2020年9月22日火曜日

日本の中国エクソダス? 日本企業1700社が中国撤退に向け行列作る―【私の論評】中国共産党が崩壊しない限り、大企業でさえ中国で製造を続ける意味がなくなる(゚д゚)!

日本の中国エクソダス? 日本企業1700社が中国撤退に向け行列作る

中央日報/中央日報日本語版

  

 日本企業が中国から大挙撤退し中国を困惑させている。17日に中国環球時報は「1700社余の日本企業が相次ぎ中国から撤退することに対する真相」という記事を掲載した。

今月初めに日本経済新聞が報道した、日本企業が相次いで中国から撤退しているという内容の記事が中国人民に否定的な認識を持たせかねないとの判断から釈明に出た様相だ。

日経の9日の報道によると、中国に進出した日本企業90社が6月末までに中国からの撤退を申請した。続けて7月末までにさらに1670社の日本企業が中国撤退を申請し1700社を超える日本企業が中国を離れることにしたのだ。

こうした日本企業の中国撤退は日本政府が主導している。3月5日に当時の安倍晋三首相は、中国に対する依存を減らすとの趣旨から日本企業に中国から撤退し日本に戻るか、そうでなければ東南アジアに生産施設を移転するよう求めた。

安倍政権は1カ月後の4月7日には新型コロナウイルス流行と関連した緊急経済対策をまとめ、サプライチェーン改革の一環として中国から撤退して帰ってくる日本企業に対して一定の補助金を支給することにした。

これに伴い、6月末まで90社の日本企業が中国撤退を申請し、このうち87社が日本政府の補助金の恩恵を受けることになったという。また、7月末までに1670社の日本企業が中国撤退を決めたのだ。

ここに安倍氏に続き16日に就任した菅義偉首相も官房長官在職中の5日に日経とのインタビューで、日本企業の中国撤退を経済安保的な次元から継続して推進するという意向を明らかにした。

こうした状況は中国人には日本企業が大挙中国から脱出しているという印象を与えるのに十分だ。これを受け環球時報など中国メディアが鎮火に乗り出した。環球時報はまず中国から撤退する日本企業の数が多いのではないと主張した。

現在中国に進出した日本企業は3万5000社に達しており、1700社は5%にも満たない。一般的な状況で5~10%程度の企業が経営環境変化や自社の問題のため中国市場から撤収するため1700社の日本企業撤退は正常という状況に属するということだ。

また、現在中国を離れる日本企業の大多数は中小企業であり、中国の低賃金を狙った労働集約型産業に従事した企業のため中国経済に及ぼす影響は大きくないとした。自動車や健康衛生など日本の主力企業は中国市場を離れる計画がない。

したがって日本企業が相次いで中国を離れているという表現は誇張されているという主張だ。環球時報はまた、日本は2008年の金融危機後に海外進出企業に中国以外に東南アジアなど別の所に生産基地をもうひとつ構築するいわゆる「中国+1」戦略を要求してきたという。

このため今回の撤退はそれほど目新しいことではないという話だ。特に日本貿易振興機構(JETRO)のアンケート調査によると、中国進出日本企業のうち90%以上が現状維持や拡大を試みており、日本企業が大挙中国を離れる現象はないだろうと主張した。

しかしこうした中国メディアの説明にもかかわらず、1700社を超える日本企業が6~7月に中国市場から撤退することにしたという事実は、中国とのデカップリング(脱同調化)を試みる米国の戦略とかみ合わさり中国に大きな懸念を抱かせるのに十分にみえる。

【私の論評】中国共産党が崩壊しない限り、大企業でさえ中国で製造を続ける意味がなくなる(゚д゚)!

2020年4月7日、日本政府は「2020年度予算補正予算案」を決定しました。その内容は新型コロナウイルスの感染拡大を受けての経済対策的な意味合いが色濃く、そのなかに「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」として2200億円、「海外サプライチェーン多元化等支援事業」として235億円を計上しています。

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これらは新型コロナウイルスの感染拡大で、主に中国などに依存していたマスクや医療品、部品や素材などの供給が滞ったことを受けて、既存の生産拠点を国内に回帰したり(こちらが2200億円)、アジア諸国に分散(こちらが235億円)しようというものです。

もっとわかりやすく言うと、日本国内に工場をUターンさせたり、指定した東南アジアに海外拠点の工場を移転したら補助金を出しますよということです。

つまりはサプライチェーン(部品供給網)の〝脱中国〟を意図したわけです。

これまでも世界的に〝中国頼り〟という状況を懸念する声はありましたが、日本では中国に対して弱腰ということもあって楽観的な姿勢を見せていました。しかし、新型コロナウイルスという予想外の事態に直面して、ついに「これは危機的な状況だ」と思ったのではないでしょうか。

この動きに対して、中国側は余裕の姿勢を見せていました。「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年5月14日付の『補助金で日本企業の中国撤退を支援?「いえ、遠慮します」』という記事では、日本政府が国内回帰する企業に補助金を出すことについて、「日本企業の大規模な国内回帰、もしくは東南アジアへの移転が生じる可能性は低いと分析されている」と紹介しました。

トヨタ自動車やLIXILグループなど取材に応じた日本企業5社が「中国で製造を継続する意向を示した」としています。中国としては、ここであわてれば、事態をさらに悪化させると考えたのでしょうか。

日中両国の思惑が錯綜するなか、7月17日には日本の経済産業省から「補助金」の第1弾について発表がなされました。それについて「共同通信」が報じていて、「山陽新聞朝刊」2020年7月18日では『国内供給網強化 マスク生産など574億円を補助 経産省、第1弾』という記事を掲載しました。

経産省が発表した補助金の採択事業について、「生活用品大手のアイリスオーヤマのマスク生産など57件に計574億円を補助する」とし、「供給網の分散化を進めるための支援事業についても30件を採択したと公表。20年度補正予算で計上した235億円のうち、半額程度が支払われる見通し」と紹介しています。

また、「読売新聞 東京朝刊」2020年7月18日でも『生産「国内回帰」57件補助 国、総額574億円 東南ア移転も支援』という記事で追随しています。補助金を受けた件数や金額についてはほぼ同じ内容で、補助金を受けた企業については「アイリスオーヤマのマスク工場をはじめ、医療機器や医薬品など医療関連が多数を占めていました。


アイリスオオヤマのマスク工場

航空機や自動車、電子機器の関連部品の工場も対象」と紹介。支援事業については「東南アジアに拠点を作る企業では、タイやベトナムへの移設が多かった。マスクやガウンなど医療物資のメーカーが大半を占めた。ハイテク製品の生産に欠かせないレアアース(希土類)の関連企業もあった」としています。

企業が、中国大陸に進出する際には、色々な優遇措置があり、大宴会で歓迎されたりもします。しかし、いざ撤退するとなると「万里の長城」のようなハードルが待ち構えています。一言で言えば「有り金を全部おいて、さらに追い銭を払わないとここから出さないよ」という仕組みなのです。

また、中国大陸から退却しようとする企業の社長や幹部が従業員に監禁されるという事件も起こっています。

中国に進出した企業は現在「行くは地獄、帰るも地獄」の状態に追い込まれているようです。

また、もともと中国大陸で稼いだ利益(人民元)の海外への持ち出しには厳しい制限があります。儲かっているように見えても、その儲けは中国大陸で再投資するくらいしか使い道がないのです。

そのため、現金ではなく商品として利益を持ち込み、その商品を日本で換金して円を手に入れるという手法を使っている企業もあります。

物事が追い風の時には「なんとかなる」と甘い考えでやってきたことが、現在のような向かい風の状況では、重い足かせとなります。

結局、中国大陸からの撤退はすべてを失うだけではなく、追い銭を払うことにもなりかねないです。

しかし、それでも従業員の「安心・安全・生命」におけるリスクを軽減できるし、撤退以降はさらなる追い銭を払う必要もないです。

投資には「見切り千両」という有名な言葉がある。判断を間違えたときでも少ない額で損切りをして莫大な損失から逃れることができれば、その見切りという行動には千両の価値があるということです。

確かに、現在の中国大陸からの撤退は損切りになる場合が多いでしょうが、それでもそれ以上の莫大な損失と、モンゴル・チベットそうして最近では内蒙古を迫害した人類の敵中共と取引したという「黒歴史」を背負うよりははるかにましです。

中国からは、昨年から日本人経営の飲食店が脱出していました。

マレーシアの首都クアラルンプールでは、近年日本人が経営する飲食店の新規開業が相次いでいます。これらの飲食店の中には、中国での経営に見切りをつけた"中国脱出組"が少なくありません。

クアラルンプールの日本人が経営するラーメン店


振り返れば、2010年代に入った頃から、徐々にその動きは始まっていました。2012年の反日デモが、一部の日系製造業に撤退決断の契機をもたらしたのですが、コスト上昇で上海経営のうまみが薄れつつあった一部の日系飲食業界でも“撤退作戦”がささやかれるようになっていました。

2000年代に入って中国がWTOに加盟すると、日本から企業がどっと上海に進出。2010年には上海万博が開催され、日系企業の進出がさらに加速しました。日本料理店は日本人駐在員にとっての息抜きの場ともなり、日本飲食店は繁盛しているようにみえました。

しかし、内実はそうではなかったようです。2010年代に入ると、従業員の賃金は一昔前の700元から5倍に、能力のある社員は10倍に跳ね上がりました。食材も日本並みに上がるどころか、テナント料もすでに東京の水準を上回るものになりました。

多くの飲食店経営の日本人仲間が街の再開発とともに立ち退きを迫られ、店を転々とさせられたのもこの時代でした。

この頃から、上海で経営する一部の日本料理店オーナーの間で、“上海脱出”が話題に上るようになったという。彼らが注目したのはマレーシア等の東南アジアでした。賃料、人件費などの固定費が上海の約半分で済むことと、政府の政策に安定性があることが、日本人オーナーたちの関心をひいたようです。

「商機あり」と日本中が注目したのも今は昔。2000年代の魅力は薄れ、2010年代には視界の悪ささえも出てきた上海に、「ここが潮時」と腹を決めた飲食店オーナーは多かったようです。日本-中国-東南アジア。日本人オーナーたちの移動を追うと、市場の変遷と時代感が見えてきます。

先に掲載したように、トヨタ自動車やLIXILグループなど取材に応じた日本企業5社が中国で製造を継続する意向を示したそうですが、これらの大企業は中国での製造は全体の一部にすぎないので、そのまま継続しても中国経済が今後かなり悪化したとしても、損害は一部に過ぎないので、製造を続ける意向なのでしょう。

これから中国がどうなったにしても、現在中国と呼ばれる地域には、14億人の人々が生活しているわけですから、一時とんでもないことになって経済が落ち込んだにしても、日々食べたり、何かを消費しないと生きていけないわけですし、現体制が崩れたにしても、必ず統治の正当性を持った新たな体制がたちあがるはずです。そうして、いずれ商機は必ずでてくるわけです。

大企業なら、そのような商機を逃さないため、中国にとどまり続けるということもできますが、中企業以下の企業はそうもいかないですから、ここは撤退すべきです。

ただ、恐ろしいのは、中国共産党がたとえ経済が悪化しても、しぶとく生き残った場合です。そうして、長い間中国を統治し続けた場合です。その場合は、中国は経済的には落ち込んだまま、他国に影響を及ぼすことができない、図体が大きいだけのアジアの凡庸な独裁国家に成り果てることになります。

そうなれば、富裕層でさえの生活水準が落ち込み毛沢東時代のような経済状況が長く続くことになるというか、それが中国の新たな常態となるわけです。そのときには、中国は中進国どころか、発展途上国に舞い戻るわけです。

その時でも、トヨタなどの大企業が中国で製造を続けていて、意味があるかどうかはわかりません。そうして、米国の対中制裁の最近の苛烈さと、両国とも本格的な戦争に踏み切るつもりはないようなので、どうもそうなる可能性が高いように思います。大企業としても、現状では見極めが難しいところです。

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