2020年9月27日日曜日

マスコミが報じる「国債格下げ」より「CDS」の方が信頼できるワケ―【私の論評】少し冷静に考えれば、財務省は札つきの「狼少年」であることは明らか(゚д゚)!

財務省の世論誘導、そのやり方とは?

政府見解は財務省意見でもある」。よくそう言われるものの、財務官僚が自ら意見を表明することはなく、「御用審議会」を通じて意見を出す。万が一、意見が間違っていても、「財務省が間違ったのではなく、審議会が間違った」というためだ。

財務省の御用審議会はいくつもあるが、その一つが「政府税制調査会」だ。同調査会は8月5日にウェブ会議方式で総会を開催したが、その場で、新型コロナウイルス対応で財政の悪化が深刻となっていることに懸念を表明。

政府税制調査会(昨年)

消費税増税を中核に据えた、骨太の議論が必要ではないか」と、財務省の意向通りの意見を表明した。

こうして審議会を利用する他にも、財務省は自分たちに有利な情報をマスコミにクローズアップさせ、世論を誘導することもある。

最近で言えば、「海外の格付け会社が日本国債の格付けを引き下げた」というニュースも、これにあたる。

かつて'00年代のはじめ、財務省は格付け会社の国債格付けには根拠がないとして、猛烈に反論したことがある。そのときの文書は、今も財務省ホームページに残っている。

しかし、今や状況は一変した。コロナ対策の消費減税を阻止し、将来的な増税への道筋をつけたい財務省にとって、国債の格付けが下がることは好都合だ。

海外の格付け会社も、日本の財政基盤を不安に思っている。増税が必要だ」とアピールすることができるからだ。

そもそも、こうした格付けがまったくあてにならないことは、リーマンショック前には「適格証券」とお墨付きを与えていた証券に、ショック後は軒並み「投資不適格」の判断を下したことからも明らかだろう。財務省も、そんなことは百も承知だ。そのうえで、格付けを自分たちに有利なように利用しようとしているのだ。

では、見識ある市場関係者の間では、日本国債の信頼性はどのように見られているのか。

基準となるのは、市場で取り引きされる国債の「保険料」である「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」だ。

現時点における日本国債のレートから計算すると、5年以内の破綻確率は0・5~1%程度と計算できる。これは、先進国の中でトップクラスの安全性であり、破綻リスクは限りなくゼロに近い。

こうしたことはあまりマスコミで報道されていないが、ネット番組では盛んに報じられている。

先日も有名なお笑い芸人が自らのチャンネルで「国債格下げを報じるマスコミより、市場で取り引きされるCDSの方が信頼できる」と主張していた。財務省は、マスコミより先に彼らに接近したほうがいいのではないか。

筆者としては、政府は財務省の思惑に乗ることなく、むしろ消費減税をおこなったほうがいいのではないかと考えている。

減税には定額給付金と似た効果がある上に、国会の手続きを考えても、はるかに早く実現でき、効果が出るからだ。

その証拠に、イギリスやドイツも時限的な消費減税をしようとしている。

10月にも臨時国会が開催され、補正予算などが議論される。そのとき、解散総選挙になるかもしれないが、消費減税も大きな争点になるだろう。

『週刊現代』2020年9月5日号より

【私の論評】少し冷静に考えれば、財務省は札つきの「狼少年」であることは明らか(゚д゚)!

日本が財政破綻などしようもないことは、国債の金利が低くマイナスもしくはほとんどゼロに近いことでも、はっきりしすぎるくらいはっきりしています。

金利がマイナスとは、購入した国債を国が償還するときに、金利を払うのではなく、逆にいただくことができるということです。金利がマイナスということは、政府が国債を発行すれば、将来世代への付けになるどころか、金利分が儲かるということです。


このようなこともわからない人というか、わからないふりをしている人がたくさんいるなど、本当に異常だと思います。

そういう人たちに問いたいです。財務省が破産するかもしれないと懸念している投資家たちが、日本国債を買っているのはどうしてでしょうか。その理由は、「日本国債は日銀が買ってくれるから」ということではありません。なぜなら、日本国債を日銀に売って、受け取るのは日銀券か日銀への預金なので、日本政府が破産するときに日本政府の子会社である日銀に対する預金や日銀券を持っていても、意味がないのです。

 

多額の現金を手にしている投資家にとって、選択肢は限られています。日本円の資産を持つとしたら、紙幣を金庫に入れておいたり、日銀やメガバンクに預金したりするより、日本国債を持っているほうがまだ安心なのです。

 

国債を買ったとしても、日本政府が破産するリスクがあります。そのリスクを避けようとすると、米国債等を買うしかありません。しかし、それには為替リスクが伴います。

 

仮に投資家が、「今日から明日までの運用を考えよう。明日以降のことは、明日考えればいいのだから」ということで、運用を検討するとします。明日までに日本政府が破産する可能性は非常に小さい一方、明日までにドル安になって為替差損を被るリスクは比較的高いといえます。

 

そのように考えるなら、日本国債を持っているのがいちばん安全な資産運用だ、ということになります。だから投資家たちは日本国債を所有しているのです。

 

もちろん、明日までにドル高円安になって為替差益を稼げる可能性もありますし、米国債の利回りは日本国債の利回りより高いので、米国債を選択する投資家もいるとは思いますが、投資家は基本的にリスクを嫌うので、よほど日米金利差が開いているのならともかく、そうでないない限り多くの投資家が日本国債を選択します。


多くの投資家がそうすることと、財務省が何十年にわたって「財政破綻するかもしれない」と脅しても、一向にその気配すらなく麻生財務大臣が揶揄するようにまるで「狼少年」のようであり、もうその脅しにはのらなくなっているからこそ、日本の国債は短期でも長期でも金利がゼロにかなり近いか、マイナスになっているのです。


麻生財務大臣


マイナスになっても購入するのは不思議だと思う人もいますが、大量の現金を金庫にいれておけば、火災や強盗にあうかもしれませんし、米国債などを買えば、場合によっては多大な為替リスクを負うことになるかもしれないのですから、やはり国債ということになるのでしょう。


投資家は長い間投資をしてきていますし、その長い経験から、もう財務省は「狼少年」であることを見抜いているのでしょう、だかこそ、日本国債の金利は、長期でも金利がゼロに近いか、マイナスになっているのです。


それに、日本が世界最大の債権国(世界で最も金を外国に貸し付けている国)、言い換えると対外金融純資産が世界一であることを考えれば、日本が財政破綻することなど考えられません。


実際コロナ禍などの不安から、9月下旬に入り、国債金融市場では数々の不安材料が多発し、危機回避の気配が高まりましたが、こうした状況下、金融市場ではドルおよび米国債が買われる一方、株を筆頭とするリスク資産が手放されていますが、その中で「不安の逃避先」として囃し立てられてきた金もしっかり売られていることにも注目したいところです。

株価下落などを補填する「換金売り」で含み益の実現が企図されているとの解説が目立ちますが、そもそも本当に危なくなった時に換金される資産は安全資産として金の「位(くらい)」がそれほど高くないようです。

今回の危機回避の局面で買われたのはドル、そして円です。具体的に数字を見ると、9月14日を基点として23日までの対ドルの変化率を見た場合、上昇したG10通貨は円だけであり、それ以外の通貨は全て対ドルで下落しました。為替市場では伝統的な反応といえます。また、金や銀、プラチナなどの貴金属も対ドルでは軒並み下落しました。

結局、「有事のドル買い」と「世界最大の債権国通貨の円買い」は最も深刻な危機回避局面では威力を発揮するのです。なお、世界最大の経常黒字国(貿易黒字国)であるドイツを擁するユーロも本来、この状況で買われてしかるべきですが、今回の危機回避の震源が「欧州のコロナ第二波懸念」であり、また過去3か月でユーロは猛烈に買われてきたという経緯も踏まえれば、対ドルで売られるのは致し方ないともいえます。

今回のように、世界金融市場が危機的な状況になると、ドルとともに円が買われます。そうして、円高傾向になります。日本が財政破綻するというのなら、危機的状況で回避策として円が買われるのはなぜなのでしょうか。

金よりも安全な日本国債

考えてみれば、金が日本国債よりも絶対安心な資産であるとすれば、日本の投資家は、日本国債ではなく、金を大量に購入するのではないでしょうか。しかし、そのような話は聞いたことはありません。日本では、金よりも日本国債が安全な資産ということです。

「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」は、過去にこのブログにもとりあげたように、重要な指標であることは間違いないですが、別にその指標に頼らなくても、少し冷静に考え場、財務省は札付きの「狼少年」であることは明らかです。

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