2020年10月27日火曜日

中国、尖閣で海保機に“異常”警告 「領空侵犯」と退去要求 日本の公用機に初の領空主権を主張―【私の論評】日本はそろそろ、最悪の場合「撃墜」も視野に入れた法改正をすべき(゚д゚)!


尖閣諸島魚釣島の側を飛行する海上自衛隊哨戒機P3-C

 習近平国家主席率いる中国人民解放軍による、日本への主権侵害が明らかになった。沖縄県・尖閣諸島付近の上空で昨年11月、海上保安庁の航空機が中国海軍の艦船から「中国の領空を侵犯している」と警告を受け、空域からの退去を求められたというのだ。日本側は、現場や外交ルートで「中国の一方的な主張で受け入れられない」と抗議した。中国の軍事的覇権拡大は、看過できないレベルになりつつある。

 産経新聞27日朝刊によると、中国海軍の艦船による尖閣周辺の領空主張は昨年11月中旬と下旬に計4回確認されたという。

 尖閣周辺では当時、中国海警局の公船が領海外側の接続水域を航行し、海保の巡視船が領海侵入に備えて警戒監視に当たっていた。海保の航空機も上空から哨戒していたところ、中国海軍の艦船から海保機に対し、無線通信で「中国の領空だ」「領空に接近している」などと呼び掛けがあり、空域から離れるように警告されたという。

 中国は尖閣の領有権を強弁するが、日本の公用機に領空主権を主張したのは初めてとみられる。

 評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「中国による主権侵害だ。尖閣周辺海域での長時間の滞在や、日本機への『領空侵犯』警告を繰り返すことで、将来的に中国の主張を正当化しようとしている。中国の立場に立てば、国際法上、領空侵犯への警告を無視すれば撃墜できる。今後も自衛隊機だけでなく、海保機も撃墜のリスクが高まる恐れがある」と語る。

 領空は、国際ルールで無害通航権が認められている領海と異なり、当該国の許可がない侵入を不法行為とみなし、戦闘機を緊急発進(スクランブル)させるなど厳密な措置が取られる。

 1983年9月、米ニューヨークからアラスカ・アンカレジ経由で、韓国・ソウルに向かっていた大韓航空機が、ソ連領空を侵犯したとして、ソ連戦闘機によって撃墜されたこともある。

 新型コロナで世界が苦しむなか、中国は東・南シナ海での軍事的覇権拡大を進めている。口頭での抗議だけでは、日本の主権は守れない。

 前出の潮氏は「尖閣周辺などに警戒の航空自衛隊機を常時配備し、中国軍用機の接近があれば、戦闘機の緊急発進など対領空侵犯措置を講じることなどはすぐできる。また、外交ルートなどを通じた従来の抗議ではなく、国連や国際会議などの他国の面前での抗議も必要だ」と語った。

【私の論評】日本はそろそろ、最悪の場合「撃墜」も視野に入れた法改正をすべき(゚д゚)!

中国がなぜ、日本の主権を無視するようなことをするのか、それはやはり日本は現状では、最悪の場合でも中国軍機を撃墜できない可能性が高いからでしょう。

外国の航空機が日本の領空を侵犯した場合、航空自衛隊はどのような対処を行うのでしょうか。

日本は国の主権が及ぶ領域として「領土」と「領海」、そして領土・領海の上空に「領空」を設定しています。航空自衛隊は日本各地に配置されたレーダーサイト、および空中警戒管制機のE-767・E-2Cによって領空を監視。この領空の外側に設定された「防空識別圏(ADIZ)」を越えて日本に接近する国籍不明機を発見した場合、戦闘機を「スクランブル(緊急発進)」させています。

スクランブルするF15


スクランブルした戦闘機は必ず2機が1組となって行動し、防空管制システムの誘導に従い不明機に接近。これを目視で確認し、まずは無線によって日本の領空に接近しつつあるという「注意」を促します。そして不明機が領空へ侵入した場合、違法行為として「必要な措置」を取ります。この「必要な措置」については、自衛隊法第八十四条において以下のように規定されています。

【自衛隊法第八十四条】
防衛大臣は、外国の航空機が国際法規又は航空法その他の法令の規定に違反してわが国の領域の上空に侵入したときは、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる。
以上のように、領空へ侵入した不明機に対しては「着陸」または「退去」のいずれかを強制することになります。具体的には、まず無線を使用し「注意」より強力な「警告」を与える、それでも従わない場合は相手不明機の前方に出て、20mmバルカン砲による「信号射撃」を行います。20mmバルカン砲には火線をひく「曳光弾」が混ぜられており、威嚇効果を発揮します。

20mmバルカン砲を発射するF15

しかしながら、不明機がそれでも従わなかった場合、これ以上の手出しは一切できません。

スクランブルした戦闘機には必ず短射程空対空ミサイルの実弾が搭載され、場合によっては視程外距離空対空ミサイルも携行しますが、これらの武器を使用し撃墜することは「正当防衛」ないし「緊急避難」、すなわち不明機の攻撃によって自身や第三者(僚機や地上)が攻撃される恐れが高い場合にのみ可能となります。

一般的に空中戦は「先手必勝」であり、最初の一撃を相手に撃たせるということは“死”を意味しますから、対領空侵犯措置において不明機の撃墜は事実上、不可能です。

内閣総理大臣により「防衛出動」が発令された場合は合法的に武力の行使が可能となりますが、これは戦争状態を意味し、過去一度も発令されたことはありません。

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戦後、日本はソ連爆撃機による沖縄本島上空通過を含む39回の領空侵犯を受けました。そして今後は、高性能な無人機を使用した“気軽な領空侵犯”が増える可能性があります。

平時において「撃墜」は事実上、日本がとり得る選択肢ではありません。しかし撃墜を可能とする法的根拠を整備することは、抑止力の面において重要です。

日本はそろそろ、最悪の場合「撃墜」も視野に入れた法改正をすべきです。撃墜するしないは別にして、「撃墜」できるようにしておくことは、抑止につながります。

その他にも、最悪の場合は、潜水艦で艦艇を撃沈できる、機雷を用いて海上封鎖ができるよにすべきです。

このような法改正をしても、日本の領海、領空に限っての法制ならば、日本国民のほとんどは反対しないでしょう。反対するのは外国人か、それに近い勢力だけでしょう。

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