コロナ不況による年末倒産阻止へ“40兆円”規模の投入が必要 「GoTo」「消費減税」「給付金」で財政政策を 識者「現金配布が重要」
今年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は4四半期ぶりのプラス成長となった。見かけ上は年率換算で前期比21・4%という記録的な高成長だったが、コロナ禍の戦後最悪級の落ち込みからの戻りは鈍く、景気回復にはほど遠いのが実情だ。このままでは年末から年明け以降、失業や倒産が激増する懸念もある。専門家は、消費税の減税や毎週1万円もらえる給付金の導入のほか、雇用調整助成金や「Go To」キャンペーンの継続が必要だと訴える。
21・4%という成長率は、バブル期の1989年10~12月期に記録した12・0%増を超え、比較可能な80年以降で最も高くなった。とはいえ、これは四半期の成長率が1年間続いたと仮定した年率換算で、コロナ禍のように特殊要因があった場合、ブレが生じやすい。前期比5・0%増という数字のほうが実情を反映しているといえる。
上武大の田中秀臣教授は、「4~6月期の落ち込みが深かった分、経済再開と補正予算が効いてきたと思う。ただ、落ち込み自体は諸外国に比較してそれほどでもなかったにもかかわらず、欧米に比べ、リカバリー(回復)の弱さは鮮明だ」と苦言を呈する。
実質GDPの実額をみると、1~3月期に526兆円だったのが、緊急事態宣言が出ていた4~6月期には483兆円と約43兆円落ち込んだ。今回の7~9月期は507兆円と24兆円増えたものの、戻りは約半分程度に過ぎないことが分かる。
7~9月期はGDPの過半を占める個人消費が前期比4・7%増となり、牽引(けんいん)役となった。緊急事態宣言が5月下旬に全面解除され、全国民に配った特別定額給付金10万円や、7月にスタートした「GoToトラベル」などの政策が結果に反映されている。
コロナ感染「第3波」が襲来し、「GoTo」を中止すべきだとの声もあるが、田中氏は「『GoTo』をやめるのは愚論だ。家計調査でも、宿泊費やパックの旅行代金の支出がコロナ前の5割強~6割まで戻ってきており、続けなければいけないのは明らかだ。『GoToトラベル』で感染拡大したという実証的根拠もないので、3密を回避し、ターゲットを絞った対策を拡充する方が旅客業や飲食業にプラスになる」と反論する。
10~12月期は消費を下支えした給付金の「10万円」効果が薄れるほか、輸出も欧米のコロナ感染再拡大で伸び悩む恐れもある。そして国内の雇用情勢も懸念材料だ。
田中氏は、大規模な第3次補正予算の編成による財政支出が待ったなしだと力説する。
「コロナ前に2・4%だった完全失業率は3・0%まで上昇している。失業率の上下動とGDPの変化が連動する法則を基にすると、失業率1%の悪化でGDPは8%相当低下し、金額では43兆円の損失になる。第3次補正予算は40兆円規模の財政政策が必要だ」
企業も厳しい状況が続く。企業の信用情報に詳しい東京経済情報部副部長の森田幸典氏は「現状では倒産ラッシュにはなっていないが、小規模零細の飲食店の廃業や倒産は確実に増えている。建設業もコロナ禍の前に得られた受注をやっているだけで、中小零細の建設業は足元で受注が減ってきている。将来を悲観して廃業する経営者も出てきている」と明かす。
雇用調整助成金の期限となっている年末が企業の正念場となる。森田氏は「休業支援金や雇用調整助成金で倒産は抑えられているが、体力があった企業も借り入れが増えている。延長を『絶対してほしい』との声も多い。息切れのような形で12月に倒産や廃業などが増えるだろう」との見通しを語る。
前出の田中氏は、個人にも企業にも、とにかくお金を配ることが重要だと強調した。
「欧米のデータでも持続的な家計支援が効果を発揮しており、消費税の減税や、感染収束まで1人当たり週1万円の支給を続ける定額給付金も検討すべきだ。雇用調整助成金や持続化給付金など、企業への支援も青天井にするぐらいの構えも必要だ。借り入れ依存の枠組みでは企業や個人も借金漬けから抜け出せなくなり、長期停滞の原因になりかねない。現金を配り、持続的にお金を使える枠組みにすべきだ」
7-9月期は過去最高の伸び率を実現しているのですが、1年前の水準と比較すると35兆円も乖離しています。上の記事にもあるように、緊急事態宣言が出ていた4~6月期には483兆円と約43兆円落ち込みました。今回の7~9月期は507兆円と24兆円増えたものの、戻りは約半分程度に過ぎないことが分かります。
新型コロナ禍による経済不況が普通の不況と違うのは、その悪化のスピードがかなり速いことです。この経済環境の悪化の速さが、多くの国民や事業者に社会的な不安をまきおこし、メンタルヘルスの毀損や自殺者さえも増加させているのです。
従来は政府債務を減らさないと財政破綻すると騒いできた国内の政官財学界、メディアの多数派が今回は積極財政に関して沈黙しています。現状をみれば、緊縮財政どころではないとは小学生でもわかる真実だから、自粛しているのでしょうかか。いや、そうではないでしょう。そもそもデフレの国で財政破綻が起きるという理論そのものが机上の空論だからです。
しかしギリシャはEUに属しているため自国通貨を持たないうえに、国債の大半を外国の投資家に買ってもらっていました。ユーロ不安が起きれば、信用度を表す格付けが低いギリシャ国債は投機勢力によって真っ先に売られるのは必然でした。しかも自前の発券銀行はないのですから、日米のようにカネを刷って国債を買い支えることもできないのです。
そんなギリシャや、中南米の財政、通貨不安常習国のケースを、日本に当てはめるというのはもともと無茶です。
グラフを見ましょう。コロナがもたらすデフレ不況阻止に向け、大規模な国債追加発行を繰り出している米欧の国債金利はコロナ・パンデミック(世界的大流行)勃発後、下がる基調にあります。市場は先行き予想で動きます。政府債務の膨張見通しが財政破綻の症状である国債金利高騰にならないことは明白です。
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21・4%という成長率は、バブル期の1989年10~12月期に記録した12・0%増を超え、比較可能な80年以降で最も高くなった。とはいえ、これは四半期の成長率が1年間続いたと仮定した年率換算で、コロナ禍のように特殊要因があった場合、ブレが生じやすい。前期比5・0%増という数字のほうが実情を反映しているといえる。
上武大の田中秀臣教授は、「4~6月期の落ち込みが深かった分、経済再開と補正予算が効いてきたと思う。ただ、落ち込み自体は諸外国に比較してそれほどでもなかったにもかかわらず、欧米に比べ、リカバリー(回復)の弱さは鮮明だ」と苦言を呈する。
実質GDPの実額をみると、1~3月期に526兆円だったのが、緊急事態宣言が出ていた4~6月期には483兆円と約43兆円落ち込んだ。今回の7~9月期は507兆円と24兆円増えたものの、戻りは約半分程度に過ぎないことが分かる。
7~9月期はGDPの過半を占める個人消費が前期比4・7%増となり、牽引(けんいん)役となった。緊急事態宣言が5月下旬に全面解除され、全国民に配った特別定額給付金10万円や、7月にスタートした「GoToトラベル」などの政策が結果に反映されている。
コロナ感染「第3波」が襲来し、「GoTo」を中止すべきだとの声もあるが、田中氏は「『GoTo』をやめるのは愚論だ。家計調査でも、宿泊費やパックの旅行代金の支出がコロナ前の5割強~6割まで戻ってきており、続けなければいけないのは明らかだ。『GoToトラベル』で感染拡大したという実証的根拠もないので、3密を回避し、ターゲットを絞った対策を拡充する方が旅客業や飲食業にプラスになる」と反論する。
休日の表参道ではマスク姿で多くの人々が行き交っていた=15日午後 |
10~12月期は消費を下支えした給付金の「10万円」効果が薄れるほか、輸出も欧米のコロナ感染再拡大で伸び悩む恐れもある。そして国内の雇用情勢も懸念材料だ。
田中氏は、大規模な第3次補正予算の編成による財政支出が待ったなしだと力説する。
「コロナ前に2・4%だった完全失業率は3・0%まで上昇している。失業率の上下動とGDPの変化が連動する法則を基にすると、失業率1%の悪化でGDPは8%相当低下し、金額では43兆円の損失になる。第3次補正予算は40兆円規模の財政政策が必要だ」
企業も厳しい状況が続く。企業の信用情報に詳しい東京経済情報部副部長の森田幸典氏は「現状では倒産ラッシュにはなっていないが、小規模零細の飲食店の廃業や倒産は確実に増えている。建設業もコロナ禍の前に得られた受注をやっているだけで、中小零細の建設業は足元で受注が減ってきている。将来を悲観して廃業する経営者も出てきている」と明かす。
雇用調整助成金の期限となっている年末が企業の正念場となる。森田氏は「休業支援金や雇用調整助成金で倒産は抑えられているが、体力があった企業も借り入れが増えている。延長を『絶対してほしい』との声も多い。息切れのような形で12月に倒産や廃業などが増えるだろう」との見通しを語る。
前出の田中氏は、個人にも企業にも、とにかくお金を配ることが重要だと強調した。
「欧米のデータでも持続的な家計支援が効果を発揮しており、消費税の減税や、感染収束まで1人当たり週1万円の支給を続ける定額給付金も検討すべきだ。雇用調整助成金や持続化給付金など、企業への支援も青天井にするぐらいの構えも必要だ。借り入れ依存の枠組みでは企業や個人も借金漬けから抜け出せなくなり、長期停滞の原因になりかねない。現金を配り、持続的にお金を使える枠組みにすべきだ」
【私の論評】危急存亡の今こそ積極財政や金融緩和策を実行しないことこそが、将来世代の大きなつけとなる(゚д゚)!
7月〜9月のGDPの伸びに関しては、以下の高橋洋一氏が作成したグラフをご覧いただければ、どのくらいのものかよくお分かりいただけると思います。
7-9月期は過去最高の伸び率を実現しているのですが、1年前の水準と比較すると35兆円も乖離しています。上の記事にもあるように、緊急事態宣言が出ていた4~6月期には483兆円と約43兆円落ち込みました。今回の7~9月期は507兆円と24兆円増えたものの、戻りは約半分程度に過ぎないことが分かります。
新型コロナ禍による経済不況が普通の不況と違うのは、その悪化のスピードがかなり速いことです。この経済環境の悪化の速さが、多くの国民や事業者に社会的な不安をまきおこし、メンタルヘルスの毀損や自殺者さえも増加させているのです。
そして最も不都合な点は、雇用の悪化のスピードほどには、経済の回復の速度が追いつかないということが十分考えられるということです。
そのため、目の前では、冒頭の記事にもあるように、様々な対策を迅速に行う必要があります。
ただし、様々な財政出動を行えば、財政が逼迫とい人もいますが、現在の日本の状況そんなことはありません。MTT論者いうように、何の制限もなく、青天井の財政政策による対策を行えば、いずれかの時点でインフレになり大変なことになりますが、上で述べた程度か、それよりも大きい規模で行っても何も不都合は起こりません。
従来は政府債務を減らさないと財政破綻すると騒いできた国内の政官財学界、メディアの多数派が今回は積極財政に関して沈黙しています。現状をみれば、緊縮財政どころではないとは小学生でもわかる真実だから、自粛しているのでしょうかか。いや、そうではないでしょう。そもそもデフレの国で財政破綻が起きるという理論そのものが机上の空論だからです。
「財政破綻」とは市場で信認を喪失した国債の相場が暴落、即ち国債金利が高騰することです。近年では2012年のギリシャが典型例で、10年物国債利回りは30%近くまで上がりました。
しかしギリシャはEUに属しているため自国通貨を持たないうえに、国債の大半を外国の投資家に買ってもらっていました。ユーロ不安が起きれば、信用度を表す格付けが低いギリシャ国債は投機勢力によって真っ先に売られるのは必然でした。しかも自前の発券銀行はないのですから、日米のようにカネを刷って国債を買い支えることもできないのです。
そんなギリシャや、中南米の財政、通貨不安常習国のケースを、日本に当てはめるというのはもともと無茶です。
グラフを見ましょう。コロナがもたらすデフレ不況阻止に向け、大規模な国債追加発行を繰り出している米欧の国債金利はコロナ・パンデミック(世界的大流行)勃発後、下がる基調にあります。市場は先行き予想で動きます。政府債務の膨張見通しが財政破綻の症状である国債金利高騰にならないことは明白です。
慢性デフレでカネ余りがひどい日本の場合、金融機関の国債需要が旺盛で、買い手が金利を払う羽目になるマイナス金利でも買ってしまうのです。これは、おそらく外債を買ったり、外国に金を預けたりすれば、為替リスクがあり、それよりは日本の国債のほうがよほど安全だからでしょう。
安全でなければ、外債を購入したり、外国に大量に資産を預けるはずです。そうしないで、日本国債を購入するのはバカ真似と謗られるはずです。
政府が仮に100兆円規模で国債を発行しても、日銀が現状の国債購入にとどめても、金利ゼロで推移するでしょう。
そうして、それをかなり上回る国債を発行して、危険なゾーンに入り込んだときには、国債の金利が間違いなく跳ね上がります。跳ね上がらない限り、いくら国債を発行しても、財政は破綻しないですから、国債を発行しすぎるリスクなどないのです。仮にそのようなリスクが発生したとすれば、国債発行をやめて、国債を日銀がすぐ買い戻せば良いだけの話です。
それに、他の指標もあります。日銀の物価目標2%がありますが、これを誤解している人もいて、2%にならないのがおかしいという珍妙なことをいいますが、これは2%以下であれば、良いという指標です。
いくら日銀が金融緩和をしても2%以上にならなければ良いという指標です。2%を超えればインフレになるので、緩和政策をやめよという指標です。
これも簡単な指標です。以上、国債の金利がはねあがる、物価目標の2%が超えない限り、政府がいくら国債を発行して、積極財政をしても、日銀が緩和政策を実行しても、日本経済には何ら不都合はおきません。この指標超えて、国債を発行し続けたり、日銀が緩和を続ければインフレになります。
要するに、緩和をやりすぎると、岩石が転がり落ちるのを止められないのと同じく、経済の混乱がとめられなくなというのです。しかし、実際そのようなことはありませんでしたし、これからもそのようなことはないでしょう。実際、現在までの緩和や国債の発行で、物価目標2%には達しませんでしたし、国債のマイナス金利傾向は変わりませんでした。
そもそもコロナ禍による軽座の悪化の速度はかなり速いので、経済の回復の速度が追いつかないことは十分に考えられますから、岩石理論などで、緩和を抑制するなどのことは大きな間違いです。仮にやりすぎたら、止めば良いだけです。
コロナ禍による経済の悪化と比較すれば、通常の経済の悪化ははるかに緩慢なものです。実際、あのバブルの象徴で有名なジュリアナ東京も、バブルが崩壊した後に設立されました。気ついたときに、積極財政をやめ緊縮財政に切り替えたり、緩和をやめて緊縮に転ずれば、確実に制御できます。
要するに、いくら国債を発行しても、国債金利が上がらない限り、日銀が金融緩和をしても、物価目標2%を超えない限り、日本経済には何の悪影響もないし、ましてや将来世代のつけにもならないということです。
これに反論する方は、ぜひとも当ブログに質問のメッセージを送ってください。まかりまちがって、あなたの理論が正しいければ、ノーベル経済学賞がとれる可能性があります。そういう才能を埋もれさせたくないので、是非ご連絡ください。
とくにかく「岩石理論」などの珍奇な理論で、財政が破綻するなどという人の意見などを聞いているほど、日本経済は余裕はありません。すぐにでも、冒頭の記事にあるような対策を実行すべきです。
危急存亡の現在これをやらないで、日本経済を毀損すれば、それこそ将来世代に対して申し訳がたちません。今こそ、戦後最大の経済対策のやりどきです。現在積極財政や緩和策を実行しないことこそが、将来世代の大きなつけ回しとなります。
いまそれをやらないということは、他国から攻撃を受けたときに、本当はそうではないのに、屁理屈をつけて財政が赤字になるから、防衛戦争をしないと言っているのと同じような売国行為ともいえます。
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