2021年6月23日水曜日

さまざまな憶測が…小池都知事の入院 都民ファースト都議選苦戦の分析 自公との関係修復、東京五輪後の国政復帰狙う?―【私の論評】国際金融センターのトップになり得る東京が、今熱い!小池氏はこのチャンスを活かせるのか(゚д゚)!

さまざまな憶測が…小池都知事の入院 都民ファースト都議選苦戦の分析 自公との関係修復、東京五輪後の国政復帰狙う?
東京五輪、21年7月開催へ


 東京都の小池百合子知事(68)が22日午後、都内の病院に検査入院した。過度の疲労で静養が必要になったとして、今週中は公務から離れるという。25日に都議選(7月4日投開票)の告示が迫り、年内には衆院選があり、東京五輪の開幕(7月23日)まで1カ月というタイミングだけに、さまざまな憶測が流れている。

 「すみません。声がかれていまして…。こんな声で、恐縮です」

 小池氏は22日、都庁で開かれた新型コロナウイルス対応に関する会合で、こうあいさつしたが、小さな声量で、途中息切れもしていた。

 コロナ対応に加え、東京五輪・パラリンピックの準備など公務が重なり、最近は週末も登庁機会が多かった。

 都庁関係者は「この数日間、体調は芳しくなく、かなり疲れがたまっていたようだ」と、夕刊フジの取材に語った。

 小池氏の代理は多羅尾(たらお)光睦副知事が務めるが、来週以降、小池氏が公務に復帰できるかは未定という。

 古くから、政治家の入院は、自身の権力基盤に影響し、政局にも発展してきた。小池氏にも「重病説」から「仮病説」まで流れている。注目されるのは、都議選への対応だ。

 小池氏は、都議会の最大会派である地域政党「都民ファーストの会」の特別顧問を務めている。同会の候補者からは応援依頼が殺到しているようだが、小池氏は態度を明らかにしておらず、動向が注目されていた。

 実は、永田町で出回っている都議選の情勢調査によると、4年前に大惨敗した自民党が復調し、立憲民主党や共産党も議席を伸ばす一方、都民ファーストは大苦戦すると分析されているのだ。

 小池氏が最近、自民党の二階俊博幹事長と頻繁に接触していることも、疑念を呼んでいる。

 永田町や都庁の関係者からは「小池氏は、都民ファーストとどう距離感を取るか、悩んで心労がたたったのでは」「都議選後の都政運営を見据えて、自民、公明両党との関係修復を模索しているのだろう」「公選法違反で議員辞職した菅原一秀前経産相の選挙区(衆院東京9区)は、小池氏のお膝元(東京10区)の隣。東京五輪後の国政復帰を狙っているのかもしれない」など、さまざまな声が聞かれた。

【私の論評】国際金融センターのトップになり得る東京が、今熱い!小池氏はこのチャンスを活かせるのか(゚д゚)!

小池知事は、昨日(6月22日)の会議で声がかすれていたということや、今週いっぱいの静養だということが発表されています。一方で19日に菅総理と公邸で会談をしていたということです。都議選の告示は25日に控えています。

小池知事は、政治家ですから、選挙は大事なはずです。都議選の告示が25日ですが、このときに表に出て来るのかどうかで選挙の趨勢は随分変わるでしょう。このままだと、無理なようではあります。

ただ、選挙の第一声というものはかなり注目されます。そこは政治家でしたら欠かせないはずです。

そもそも、政治家の方の健康情報は、トップシークレットだと言われます。普通は本人からは言わないですし、秘書にすら言わない人もいるくらいです。

であれば、小池知事の静養のこの発表は相当思い切ったものであるとも思えます。とすると、この発表は告示にギリギリ間に合わせたということかもしれません。

小池知事は、都知事選の一方で、コロナ対応にも尽力しなければなりません。東京都という大きな組織を動かすのは、様々な案件が挙がって来ますから、聞くだけでも時間がかかるでしよう。それに、小池知事は会見もしていますから、下から上がって来る情報は取捨選択して捌かなくては何もできないでしょう。

小池知事は過去には大臣も経験していますが、大きな組織を長い期間、そして緊急事態下で動かすというのは、そう滅多にあることではありません。

コロナ感染自体は有事ではないですか。長くやればストレスも溜まると思います。小池都知事の第一声がないかも知れないというなかで、都民ファーストは都議選を戦えるのでしょうか。

ただ、オリンピックの前でトップ不在ということになると、いろいろ支障も出て来ると考えられます。もちろん職務代行は立てているので執務自体はさほど問題はないでしょう。

執務よりは政治の方が問題になるでしょう。都議選での都民ファースト、分が悪いようです。

そうして、その原因の一つかもしれませんが、都民ファーストの都議選の公約には、整合性がないと思います。

東京五輪の開催にあたって、「国が有観客を強行開催するならば」と書いてあったのですが、昨日もこのブログにも述べたように、東京オリンピック「開催都市契約」によれば、国には主債権がないですから、そもそもこの公約が成り立たないです。この公約はあまり精査されたものではないと言う印象を受けました。


特に、➂は余計でした。ここに、ある程度大きな経済対策を盛り込むべきだったと思います。経済対策が「ワクチン」というだけでは、あまりに弱すぎです。本来ならば、都の予算は潤沢なのですから、何らかの大型経済対策を打ち出すべきでした。

特に、都の財政は地方自治体の中では、ダントツに潤沢です。東京都のバランスシートを見てみると、18年度では、資産34兆6265億円、負債6兆7486億円。資産負債差額27兆8779億円という「超健全」な財務状況です。

都財政に財政調整基金の1兆円の取り崩しが取りざたされていましたが、これは確かに「資産」の減少であるものの、1兆円くらい減少しても、健全財政はびくともしません。

この観点からいえば、地方債を発行して総額15兆円のコロナ対策を賄うと都知事選で公約を掲げた山本太郎氏の考えは、一理あったともいえます。

これだけ潤沢なら、昨年の時点でコロナ病床を増やしたり、医療従事者を増やすとか、休業補償をかなり手厚く実施するなど対策を実施しようとすれば、できたはずです。少なくとも、潤沢な財政で、資金に関しては心配せずに、存分に大鉈をふるえたはずです。

これを実行していれば、今頃嫌がおうでも、小池人気は再燃したかもしれません。

コロナ禍の現在、そうして収束後も経済対策は重要です。国に先駆けて、都も大々的に実施すべきです。

しかし、それがないために、都民ファーストの公約はかなり貧弱な魅力のないものになっています。

都議選における、各党の五輪に対する姿勢は、共産党は反対。立憲民主党は「延期または反対」と言っていますが、もう五輪は確実に始まってしまいます。

前回の都議選では、小池氏が陣頭指揮をとり緑旋風を起こし、そうして自民党の議席数が落ちましたが、今回は違うのではないかみられています。あのときは、自民が落ちて都民ファーストが伸びたのですが、それが今回ひっくり返りそうだという予想があります。

そういうときに都民ファーストの小池さんが表に十分に出ることができない。特に第一声がないということになると、都民ファーストは惨敗になるのではないでしょうか。

そうした中で、小池氏は国政に戻るという話も出ています。特に、自民党・党本部の二階幹事長と通じているのではないかということも言われています。

ここで、昨年の都知事選をふりかえっておきます。

自民党は、2019年3月、二階俊博幹事長が現職の小池百合子都知事に対して、「都知事選に出馬することになれば、全面的に協力する」と述べ、支持する考えを表明。2017年東京都議会議員選挙で小池率いる都民ファーストの会に惨敗した禍根の残る自民党東京都連は二階の発言に猛反発しました。

2019年6月に都連は候補者選考委員会を立ち上げ対立候補の擁立を模索しましたが、丸川珠代や松岡修造らに立候補を打診するも実現せず、さらに2020年3月には新型コロナウイルスの感染拡大により都連内でも主戦論が下火となりました。

その後、党本部は5月15日に正式に独自候補の擁立断念を決定。また、自民党と連立を組む公明党は、2020年1月に山口那津男代表が街頭演説で小池の再選支持を示唆しました。

自民党本部は小池からの要請があれば推薦する方向で調整していたものの、小池氏が6月12日に出馬表明した際に政党の推薦を求めない考えを示したため、同日に自主投票とすることを決定しました。

二階氏は「全力で小池氏を応援する」と述べ、小池を支援する意向を改めて示しました。また、自民党都連も同日、「候補者はいたが、勝てる候補者はいなかった」などとして独自候補の擁立を正式に断念しました。公明党も小池氏の意向を踏まえ推薦や支持を見送ったものの、16日には山口が実質的に支援する方針を示しました。都民ファーストの会も小池に対し党として推薦や支持を出さなかったのですが、代表の荒木千陽氏が小池陣営の選対本部長に就きました。

二階氏と、小池氏が通じているというのは、間違いないようですが、その二階氏が、昨日述べたように、衆院選後の秋には幹事長もお役御免になりそうな趨勢です。

もし、本当にお役御免になれば、二階氏と通じていたということは、小池氏の国政復帰にはかなりの打撃となります。

二階氏(左)と小池氏(右)

小池氏はもっと先を見て、公示のときには公に姿を表し、都民ファーストを応援する旨を明らかにし、都民ファーストの公約のうち、➂は削除して、そのかわりに大型コロナ対策予算をつけることを公言し、都議選においては都民ファーストを応援して、陣頭指揮をとるようにしたほうが良いのではないでしょうか。

そうすれば、都民ファーストは、勝つ見込みがでてきますし、小池氏も新たな旋風を起こせる機会がおとずれるかもしれません。➂削除で、東京五輪開催にも、全身全霊で取り組み、これを成功させるべきです。

そうして、実際に10兆円を超える経済対策を実施し、東京都の経済をいちはやく回復し、その余勢をかって、東京を香港に変わる国際金融都市にすることに取り組むべきと思います。

実際東京都は、アジアナンバーワンの国際金融都市としての地位を取り戻すために、「国際金融都市・東京」構想をまとめています。

出典:東京都政策企画局2015年「東京国際金融センター推進会議」資料より転載

ここでは、①魅力的なビジネス面、生活面の環境整備 ②東京市場に参加するプレーヤーの育成 ③金融による社会的課題解決への貢献、という3つの取り組みを中心に進められることが発表されました。

この一環として2019年4月には、官民連携で各種プロモーションを展開する組織「一般社団法人東京国際金融機構」(通称:FinCity.Tokyo)が設立されました。この機構にはメガバンクや大手証券会社、金融関連業界団体のほか、東京都も正会員として参加しています。

この構想を実現に移すのです。東京五輪の成功、経済のいち早い復活を背景に、東京の国際金融都市化はスムーズに進むと考えられます。

そもそも、自由のない香港、上海、シンガポールなどは、これからますます国際金融都市の地位を下げていくでしょう。

ロンドンは、ブレグジットにより、地位を下げることになります。となると、コロナ禍での五輪開催に成功し、経済復興も急速に進み、何よりも安全な東京が金融センターの事実上のトップとなる時がきたとしてもおかしくはありません。これは、日本復活の狼煙になる可能性が大です。もし、小池氏がそれに成功すれば、これは大成果です。

そうなれば、二階氏がどうなろうとも、小池氏には国政復帰の大チャンスがくるのは当然です。

無論、これには政府や日銀もまともな、財政政策や金融政策等を実行して、サポートしていく必要があります。これなしに、国際金融都市を維持発展させていくことはできません。万年デフレの国の首都が、国際金融都市になることはできません。その意味でも、小池氏の国政復帰の必然性が出てくることになります。

国政に復帰した場合、コロナ禍でのオリンピックを成功させ、その後東京を国際金融都市にした都知事として、国内はもとより、海外でも一目置かれることになるでしょう。英国のジョンソン首相は、ロンドンオリンピックのときにはロンドン市長でした。

五輪開催時のロンドン市長だったことは、その後ジョンソン氏が首相になる際にプラスに働いたと思いますが、コロナ禍での東京五輪開催とその成功、そうして、東京が世界一の国際金融都市になることができたとすれば、小池氏は日本国だけではない、世界中のその名を馳せることになります。

そうなれば、与党も小池氏を無下にすることはできません。初の女性首相への道も開けるかもしれません。そうならなくても、小池氏の名前は、歴史に刻まれることになります。これに挑戦せずに、近いうちに都知事を引退するとしたら、本当に愚かなことだと思います。

小池さんの前には、こうしたとてつもないチャンスが転がっているのですが、本人は気づいているでしょうか、いまのままだと、東京国際金融都市構想は他の人が実行することになりそうです。それどころか、二階氏とともに沈没ということにもなりかねません。

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