東京五輪のモニュメント |
東京五輪の開幕まで約1カ月半となった。五輪とパラリンピック閉幕後の政治シナリオはどうなるだろうか。
菅義偉首相のこれまでの言動からみると、新型コロナウイルス対策が最優先で、その中で五輪・パラリンピック開催や衆院解散を考えているのだろう。
当面の政治スケジュールを確認しておこう。通常国会は延長なしで6月16日までだ。東京都議会選挙は25日告示、7月4日に投開票される。東京五輪は7月23日から8月8日、パラリンピックは8月24日から9月5日まで開かれる。そしてデジタル庁が9月1日に発足する。
菅首相の自民党総裁の任期は9月30日に、衆院議員の任期は10月21日にそれぞれ満了となる。ここまでくると衆院選の日程はかなり絞られてくる。最短でパラリンピック後の9月6日に臨時国会を召集し、補正予算を通して28日公示、10月10日投開票が考えられる。
9月28日は大安で10月10日は先勝だ。縁起的にも申し分ないスケジュールだが、新型コロナの状況を考慮しても合理的選択肢だといえる。
ワクチンについては、控えめな予測でも東京五輪までに国民の4割以上が接種できるだろう。かなりの人に新型コロナウイルスの耐性ができ、新規感染者が落ち着く可能性が高い。今とは全く違う光景になるだろう。
無観客などの対策を実施すれば、五輪が感染拡大の契機にもなりにくい。それはこれまでの各種国際大会や国内スポーツイベントでも明らかだ。となると、ワクチン接種を前提とすれば、五輪は間違いなく開催できる。
日本のワクチン接種率の国別順位は、4月19日時点で71位、5月20日時点で79位、6月3日時点で71位だ。ただし、新型コロナの感染状況を加味した順位でみると、4月19日時点で45位、5月20日時点で42位、6月3日時点で32位と、ここにきて急速に順位を上げている。
ワクチン接種については、従来の集団接種やかかりつけ医での接種に加えて、自衛隊による大規模接種センターや、企業や大学での接種など、地元医師会の主導とは別ルートでの接種方法も出てきている。今後の接種状況は、筆者が想定した控えめなものより急速に進展するだろう。
9月末ごろになると、総ワクチン接種率は8割程度になっていると考えられる。これは、今の欧州より高く、英米並みの数字で、ほぼ集団免疫を獲得しているといっていい。そこまでくると、新型コロナへの心配は無用となっているだろう。
菅政権としては、五輪とパラリンピックの興奮が冷めないうちに、解散総選挙をしたくなってもおかしくない。パラリンピック後に速やかに補正予算を通して、前述したように、9月28日公示、10月10日投開票という公算が大きいのではないか。
補正予算は、5月の緊急事態宣言などからGDPギャップ(完全雇用を達成する潜在GDP水準と現実のGDP水準の差)が30兆円程度あることを考慮すれば、かなりの規模にする必要がある。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
【私の論評】五輪か命の二者択一ではなく、万全な感染対策で命と五輪を両立させ開催すべき(゚д゚)!
東京五輪の開催が1カ月半後に迫り、「命と五輪とどちらが大事か」という二者択一の議論が国会やマスコミをにぎわしています。これは、あまりにも極端な論議だと思います。函館五稜郭病院に設置された室内を殺菌するUV―C紫外線照射システム |
5月12日、衆議院第一議員会館大会議室において「感染対策を資材と方法から考える超党派議員連盟」の設立総会が約50人の国会議員の参加で開かれました。会長に就任した片山さつき元地方創生担当相は「いま感染対策に何らかの思いを持たなければ国会議員ではない。感染対策に有効性があるものを活用、改善するプロセスなくして、この難局と戦うことはできない」と挨拶しました。
先にあげた、理学・光学的手法は、五輪後においても、デパート、レストラン、映画館、病院、介護施設、保育園、幼稚園、小中高の学校、大学、企業のオフィス、家庭など、あらゆる場所で利用できます。それによって医療機関の過度の負担が大幅に軽減され、あらゆる分野で我が国の経済力の復活につながることになります。
ワクチン接種が進んだ欧米諸国は、新規感染者の発生が激減し、日常を取り戻しつつあります。しかし、国立研究開発法人「国立循環器病研究センター」の健康サポートセンターは「定期的(多分6か月ごと)に流行中の変異新型コロナウイルスに有効なワクチンを接種する必要」を示唆しており、ワクチンはゲームチェンジャーだが万能ではないことを示しています。
G7サミットで記念撮影をする菅義偉首相(後列左から2人目)ら各国首脳 |
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