2021年6月30日水曜日

インド太平洋地域に英空母“打撃群”派遣 「クイーン・エリザベス」中心に新たな対中包囲網 「連携にためらう必要なし」石平氏―【私の論評】英空母打撃群による香港・マカオの奪還はあり得るシナリオ(゚д゚)!

インド太平洋地域に英空母“打撃群”派遣 「クイーン・エリザベス」中心に新たな対中包囲網 「連携にためらう必要なし」石平氏


 茂木敏充外相はイタリア南部マテーラで29日午後(日本時間同)、英国のドミニク・ラーブ外相と会談し、インド太平洋地域に同国海軍の最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を中心とした空母打撃群が派遣されることを歓迎した。中国共産党政権の人権弾圧や軍事的覇権拡大が進むなか、民主主義陣営の結束を示した。


 日英外相会談は、対面で2年ぶりとなる20カ国・地域(G20)外相会合が同地で開催されることに合わせて行われた。

 茂木、ラーブ両氏は、中国を念頭に置いた緊密連携を確認し、インド太平洋地域における日英の安全保障協力を強化する考えで一致した。両氏は5月にも英国で戦略対話を行った。

 「クイーン・エリザベス」は、短距離離陸・垂直着陸が可能な最新鋭ステルス戦闘機「F35B」を搭載する。駆逐艦や潜水艦などを従えて、東アジア地域へ展開し、自衛隊や米軍と共同訓練を行う予定。

 茂木氏は28日、イタリア南部バーリで、オランダのシグリット・カーフ外務・貿易・開発協力相とも会談し、インド太平洋における連携強化で一致した。茂木氏は、英空母打撃群へのオランダ艦船参加や、オランダ独自の「インド太平洋ガイドライン」を歓迎した。


 さらに、茂木氏は29日、イタリアのルイジ・ディマイオ外相とも会談した。

 世界が注目するG20外相会合だが、中国の王毅国務委員兼外相は現地入りを見送った。中国共産党は7月1日、創建100周年を迎える。このタイミングでの民主主義国の結束をどう見るか。

 中国事情に詳しい評論家の石平氏は「中国が独裁を賛美し、国威を発揚している時期だけに、日英などが連携を強化する意味は大きい。先の先進7カ国(G7)や、北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議では、共同声明に『中国の脅威』が盛り込まれた。これらが象徴するように、民主主義国の連携は不可欠であり、ためらう必要は何もない」と指摘した。

【私の論評】英空母打撃群による香港・マカオの奪還はあり得るシナリオ(゚д゚)!

英下院は4月22日、中国新疆ウイグル自治区で進行中の弾圧をジェノサイド(集団殺害)と認定する決議を全会一致で可決しました。ウイグル族などのイスラム系少数民族に対する中国の行為については、既に米政府やカナダ、オランダの議会がジェノサイドと認定しています。

中国は新疆各地の施設にここ数年で最大200万人を収容したと批判されており、生存者は洗脳や拷問、レイプ、強制労働を含む広範な虐待の被害を訴えています。一方、中国政府はこのシステムについて、地域の治安確保に不可欠な職業訓練および脱過激化のプログラムだとして擁護してきました。

英下院はこの日の審議を経て、「新疆ウイグル自治区における大規模な人権侵害および人道に対する罪」を非難する拘束力のない決議を可決しました。

    中国政府はウイグル族などの少数民族を100万人近くを、新疆地区の
    収容所で拘束していると非難されている

中国共産党は英国を敵に回してしまったようです。世界でも敵にすべきではない国の筆頭は、実は英国です。英国単独では小さな国であっても、実際は英国は、英国連邦の中心です。しかも、英国はグローバル・ブリテンを目指すことを公にしています。

加・豪は連邦の一員ですから、中国共産党は世界を敵に回しているといっても良いです。英国は用意周到に間接的な戦争で敵国を弱体化させ、それから戦争をします。実は中国共産党はこれに耐えられるものではありません。

しかも、英国は一国二制度を反故にされ、香港から民主主義が奪われています。実は香港人保護を大義名分に、英国は英空母打撃群を用いた奪還作戦が可能です。中国共産党は強気に出ましたが、英国に正当性を与えています。次は英国の外交発言により、英国の出方がわかることになります。そのようなことはあり得ないという人もいますが、

2019年から2021年3月までの中国は強気でした。人民解放軍を使い大規模な軍事演習を世界に見せ付け、中国の存在感をみせつけました。人民解放軍の軍事演習は大規模で、渤海・黄海・東シナ海・南シナ海などの演習が連なり、さらに海岸部と内陸部の軍事演習が行われました。

この時期は、台湾への圧力が激化した時期と一致します。連日のように、人民解放軍機が台湾の国防線に接近。台湾空軍は連日スクランブルで対応。明らかに台湾が劣勢だたのですが、人民解放軍は未だ台湾侵攻しません。

それどころか、米国の台湾支援が強化されることになりました。中国は米国に対して、「米国軍機を台湾に入れたら開戦だ」と脅していました。ところが、米国は輸送機を台湾に入れてこれに応えています。にもかかわらず、中国は開戦しません。沈黙するだけであり、軍事演習で脅すこともしていません。

その後も米軍の動きは続き、駆逐艦を台湾海峡で通過させています。にもかかわらず、中国からの猛烈な抗議は無く、軍事演習による返答もありません。最近では米軍の動きだけが目立ち、人民解放軍の存在は低下しています。しかし香港では民主主義への弾圧を強化し、蘋果日報社は休刊に追い込まれています。

中国がつい最近まで人民解放軍を用いた軍事演習を国内外に喧伝していました。軍事演習の目的は、軍の練度向上と維持です。これは、敵が居ないだけであり実際の戦闘に近いものですから、指揮命令と物資消費は実戦そのものです。そのため、各国の軍隊は、定期的に軍事演習を行います。

軍事演習の裏の意味は、軍事を背景にした外交です。国際社会は軍事を背景に外交を行うのが基本であり、軍事力を見せつけて相手国を恫喝します。軍事力は覇権拡大と維持にもつかわれるのです。

ところが中国は、台湾侵攻を臭わせていますが、未だに実行しません。というより、できないのです。

欧米の軍なら、戦争に先立ち台湾の対岸に10万トン以上の物資を備蓄した基地を複数建設すします。備蓄基地が連なることで、はじめて戦場に物資を補給することが可能になります。ところが中国の海岸部には、台湾侵攻部隊を支援する備蓄基地は確認されていません。

ただし、中国は兵站を無視して人民解放軍を朝鮮戦争で使った過去が有ります。だから台湾侵攻の可能性は捨てきれませ。しかし、これを実行すれば2万人規模の師団単位を、使い捨てとして連続投入することになるでしょう。

人民解放軍の台湾侵攻をシミレートしていみると、人民解放軍の空軍による対地攻撃は週単位で減少していき、いずれ消滅します。その後は、台湾に上陸した人民解放軍だけの持久戦に移行することになるでしょう。

最終的にはゲリラ戦なるでしょう。さらに戦闘が続いた場合は、人民解放軍海軍の定期的な戦力投入。人民解放軍は、初期段階は数で圧倒できるでしょうが、長期化すると、補給が続かずゲリラ戦で挑むことになります。このやり方は生産力が著しく低く、敵に数で勝る場合に使われる方式です。

しかし人民解放軍の台湾侵攻は行われていません。これは、日々人民解放軍が消費する物資に対応できていない可能性が有ります。軍隊では、兵士一人は一ヶ月で食糧・水・弾薬など3トンの物資を必要とします。戦闘に備えるためには、膨大な備蓄も必要になるのです。

物資の流れは、生産・輸送・備蓄・補給ということになりますから、生産には将来のための備蓄と今の消費に対応する補給が同時進行で行われることになります。ところが、生産が低下すると、備蓄よりも補給が優先することになります。こうなれば、人民解放軍は容易には動けない状況になります。

さらに、このブログで日本の静寂性に優れた通常型潜水艦と米軍の攻撃力に優れた原潜が組めば、補給を絶つのは比較的簡単です。

現在の中国は、全域で電力不足になっています。これが事実ならば、人民解放軍を維持するための物資が欠乏している可能性が高いです。ミサイル・砲弾の生産には電気が必要ですし、精密機器のメンテナンスにも電気が必要です。

そうなると、人民解放軍は過去に備蓄した物資しか使えません。それに過去に大規模な軍事演習を行ったことで、本来必要な物資が無くなったはずです。これでは悪循環に陥っており、人民解放軍を使いたくても使えない事態に陥っている可能性があります。

中国は人民解放軍を用いた軍事演習による攻勢の外交を継続してきました。ところが、今では防勢に回っています。中国は香港の一国二制度を破棄し、民主主義を弾圧。その象徴として、蘋果日報社は休刊に追い込まれました。中国が国内への圧力を強化しているのは、人民解放軍が動けないことの裏返しの可能性が高いです。端的に言えば、大々的な軍事演習をやりたくてもできないので、国内向けのパフォーマンスをしているとも見えます。

外交で防勢なら、国内で攻勢に出て、これで中国の恐ろしさを国内外に喧伝するわけです。しかも香港の民主主義を弾圧できるから都合が良いです。

しかし、米軍はこれを見抜いている様で、台湾に輸送機を派遣し、台湾海峡で駆逐艦を航行させています。これは米軍が、人民解放軍は動けないことを見抜いたからでしょう。実際に人民解放軍の、軍事演習は、鳴りを潜めています。

台湾に派遣された米軍輸送機

無論、英国もこれを見抜いています。先に述べた、人民解放軍の物資不足で、動けない状況になっていることは、英国にとっては大きなチャンスです。このチャンスを逃してしまえば、中国は物資を大量に製造した後にチャンスが巡ってくるということになりますが、それにはかなり時間がかかることになります。

それどころか、中国も人民解放軍の兵站の重要性に目覚めて、米軍などのようにこれを充実されせるようになるかもしれません。そうなると、香港奪還は遠のくことになります。

英国が今がチャンスだとみれば、近いうちに英国が香港奪還の挙に出る可能性は十分にあります。そんなことをすれば、中国はミサイルを発射してとんでもないことになるという人もいるかもしれませんが、そうなると、英軍はもちろんのこと、米国、その他の国々にも中国に向けてミサイルを発射することを正当化することになります。

台湾にすら侵攻できない中国がそこまでやるでしょうか。三峡ダムを攻撃され、これが決壊すれば、国土の4割が水害に見舞われるともいわれていますし、核兵器を使わなくても、このような標的は中国国内の各地にあります。

英国空母打撃群が香港とマカオを奪取すれば、人権弾圧を受ける香港人を解放できます。さらに空港を使うことで、人民解放軍を南北に分断することが可能です。しかも内陸部の人民解放軍を空爆することも可能なので、奪取後の長期戦にも耐えられることになります。

そうして、クイーン・エリザベスは英空軍と米海兵隊に所属するF35B戦闘機計18機のほか、攻撃用ヘリや対潜哨戒ヘリなどを搭載。打撃群はこの空母を中心に45型駆逐艦2隻、23型対潜フリゲート艦2隻などで構成され、米軍の駆逐艦とオランダのフリゲート艦も参加している。全体の要員は3700人。英国の空母打撃群は、すでに米国とオランダの軍を含む混成軍なのです。

米英は人権を武器に戦争を行え、しかも中国を弱体化させることができます。戦後のアジアの安定を獲得し、しかも一帯一路構想で奪われた市場を取り戻すことも可能です。そのためのG7だっとしたら、中国はG7連合軍との戦争に怯えていることでしょう。シナリオとして、英空母打撃群の香港・マカオ奪還は十分ありえるのです。

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