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日本政府は3日、台湾にアストラゼネカ製ワクチン124万回分を提供し、台湾と共同で新型コロナウイルスに立ち向かう決意を示した。ワクチンはきょう(4日)午後、台湾に到着する。写真は成田空港でワクチンを載せた航空機に深々とお辞儀をする台北駐日経済文化代表処の謝長廷駐日代表。(台北駐日経済文化代表処より) |
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昨年、新型コロナウイルス感染症が全世界に拡大して以来、わが国は医療物資をさまざまな国に無償提供し、国際社会から評価されてきた。最近、新たな感染拡大の波が世界を襲っている。日本政府は、台湾で感染拡大が深刻化していることを鑑み、また、日本の各方面から台湾支援の声が上がる中、日本国内の感染状況が依然厳しい段階にあるにも関わらず、ワクチンを提供することで台湾に協力する決定を下した。これは「人溺己溺(他人が溺れていることを自分が溺れていることとみなす。つまり、他人の苦しみをわが事ととらえる)」、「同舟共済(同じことにあたっている者たちが力を合わせて難局を乗り切ること)」の人道的精神を発揮し、台湾と日本の感染症対策での協力を強化するものだ。外交部は、わが国の政府および国民を代表し、日本政府および関係者に心から感謝申し上げる。
台湾と日本はもとより緊密な関係にあり、固い友情を築いてきた。災害や事故が発生するたびに互いに支援の手を差し伸べ、「雪中に炭を送る」という行動を繰り返し、長期にわたって支え合いの手本を他国に示してきた。このコロナ禍においても、台湾と日本は互いに、第三国に取り残された相手国民の救出に協力してきた。大型客船ダイヤモンドプリンセス号の台湾人乗客を帰国させるためのチャーター機の運航、あるいはペルー、インド、フィジーなどに取り残された人々の帰国など、さまざまなケースを台日双方の協力で無事解決してきた。今年5月に開催された世界保健機関(WHO)年次総会では、日本の菅義偉首相をはじめとする多くの政府高官が、台湾のWHO参加を支持する立場を表明した。これに加えて、このたび日本政府からワクチンの支援を受けられることは、わが国の感染症対策システムを強化し、国民の健康を守るために大きく役立つことだ。このことはまた、台湾と日本のパートナーシップが「患難真情(まさかのときの友こそ真の友)」であることを改めて証明した。日本の人々からの心温まる支援を、わが国の政府と国民は永遠に忘れないだろう。
台湾と日本は、自由や民主主義という普遍的価値を共有している。さまざまな側面において、双方は重要なパートナーであり、貴重な友人である。わが国は、この盤石な関係を基礎に、さらに双方の関係を深めていきたいと考えている。
【私の論評】これまで日本への支援を惜しまなかった台湾に、日本はワクチン提供で恩に報いることができた(゚д゚)!
新型コロナを長く抑えていた台湾では、5月中旬から一気に感染が広がり、累計感染者が約1万人に膨れ、ワクチン不足の課題が急浮上した。いち早く中国が台湾へのワクチン提供を申し入れたが、台湾当局は「中国のワクチンは怖くて使えない」とし、強く拒否する状況にありました。
中国は、こうした台湾の日米中で異なる対応の違いに強く反発している。外務省の汪文斌副報道局長は5月31日の記者会見で「我々は台湾の同胞のために(ワクチン提供などで)最善を尽くす意思を繰り返し表明してきた。だが(台湾与党の)民主進歩党が善意を踏みにじり、中国から台湾へのワクチン輸入を妨害している」と語りました。
その上で日本の台湾への支援については「新型コロナ対策を政治的なショーに利用しており、中国への内政干渉に断固反対する」などと批判しました。
台湾では域内のメーカーによる「国産」ワクチンの開発や、当局による調達努力が今なお続きました。ところが大量調達の確保には至っておらず、政権への批判も強まっています。
こうした状況に、蔡英文総統は5月26日、党内の会議で「(台湾当局のワクチン調達の動きに)中国が介入し、契約が進まず、今まで遅れている」と明かし、中国に対して強い不快感を示しています。
中国は、こうした台湾の日米中で異なる対応の違いに強く反発している。外務省の汪文斌副報道局長は5月31日の記者会見で「我々は台湾の同胞のために(ワクチン提供などで)最善を尽くす意思を繰り返し表明してきた。だが(台湾与党の)民主進歩党が善意を踏みにじり、中国から台湾へのワクチン輸入を妨害している」と語りました。
その上で日本の台湾への支援については「新型コロナ対策を政治的なショーに利用しており、中国への内政干渉に断固反対する」などと批判しました。
台湾では域内のメーカーによる「国産」ワクチンの開発や、当局による調達努力が今なお続きました。ところが大量調達の確保には至っておらず、政権への批判も強まっています。
こうした状況に、蔡英文総統は5月26日、党内の会議で「(台湾当局のワクチン調達の動きに)中国が介入し、契約が進まず、今まで遅れている」と明かし、中国に対して強い不快感を示しています。
ただし、このブログにも以前掲載したように、台湾のコロナ感染症は、高橋洋一氏が「さざなみ」と評した日本の感染状況よりもさらに低く、現状でも欧米諸国に比較すれば、かなり感染は低い状態に抑えられています。そのため、感染の酷い地域から、ワクチンの接種を始めるという防疫上の観点からいっても、台湾の接種の遅れはさほどのものではないともいえます。
このような背景と、さらに中国の妨害があったので、若干遅れたというのが、実体であるとみるべきです。今後台湾は確実に感染症を抑え、いずれ収束に向かうと考えて良いでしょう。
台湾に対する英製薬大手アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンの提供は、中国からの「横槍(よこやり)」を警戒しつつ、水面下で慎重に準備が進められてきた。ワクチンを共同購入して途上国に分配する国際的枠組み「COVAX(コバックス)」を通じて台湾に供給する案も検討されたが、「時間がかかりすぎる」と判断。安倍晋三前首相ら自民党議員も動き、迅速な提供を実現しました。
5月24日夜、東京都港区の台北駐日経済文化代表処では、台湾の駐日大使に当たる謝長廷代表と米国のヤング駐日臨時代理大使の意見交換会(写真下)に薗浦健太郎元首相補佐官が招かれていました。
「日本はアストラゼネカ製のワクチンを公的接種では当面使わない。それを台湾に譲る動きもある」 薗浦氏はアストラゼネカ製の使い道を問われ、こう答えた。薗浦氏の発言にヤング氏も「グッドアイデアだ」と賛意を示しました。
台湾は新型コロナウイルスの押さえ込みに成功してきたのですが、5月中旬から感染が拡大。与党関係者によると、日本政府にも5月の大型連休明け以降に、台湾側から複数のルートで「100万回分ほどワクチンが融通できないか」と打診が届いており、水面下での検討が進められていたといいます。
薗浦氏は翌日、安倍氏に謝氏らとのやり取りを報告して協力を要請しました。2人は前政権で首相と、首相を支える首相補佐官や党総裁外交特別補佐として外交政策を担ってきた間柄でもあります。
安倍氏も「すぐにやろう」と応じました。 国有財産であるワクチンの譲渡は財務省の了解が必要となります。麻生太郎副総理兼財務相に報告した上で、菅義偉(すが・よしひで)首相のゴーサインを得ました。
園裏元安倍首相補佐官(左)と安倍首相(右) |
関係省庁間の調整役には加藤勝信官房長官が当たりました。 外務省は当初、コバックスを通じた提供を検討しましたが、安倍氏らから「それでは時間がかかりすぎる」との声が上がりました。
台湾側からは「数量はともかく、スピード重視で対応してもらいたい」との意向が伝えられていたこともあり、コバックスではなく日台間の相互援助の一環として提供する方針に転換しました。
日本が震災や新型コロナのマスク不足で困難に直面した際、台湾からは多額の義援金やマスクが届いた経緯があります。今回はその「返礼」としてワクチンが送られることになりました。提供に関わった議員は「災害など、困ったときには互いに助け合ってきた歴史がある。国民の理解も得られるだろう」と語りました。
日本のワクチン提供を伝える台湾主要紙 |
自由時報は「日本は中国の脅しに直面しながら気概を示した」とたたえました。日本政府がアストラゼネカ製を特例承認したものの、国内では当面使わない方針を決めたことを受け、蔡英文総統ら政権幹部が台湾への提供に向けて日本側と交渉を続けたとしました。
駐日台湾代表の謝氏は、ご自身のフェイスブックに「一年前の四月、私はこの場所で中華航空が台湾から運んできたマスクを迎えました。今日はこの同じ場所で、日本航空が台湾に運ぶワクチンを嬉しく見送りました。どちらも新型コロナウィルス対策の為のもので、とても温かな気持ちで一杯です」と投稿されています。
東日本大震災のときには、義援金が世界で一番高額であったことなども含めて、これまで日本への支援を惜しまなかった台湾に、日本はワクチン提供で恩に報いることができました。
こうした動きは、人道的にも道義的にも高く評価できます。中国は「政治的利益を図っている」などと日本を批判していますが、ワクチン調達を妨害した中国こそ、政治的利益のために人命を軽視する本質が顕になったといえます。
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