2021年6月7日月曜日

A級戦犯7人の遺骨、米軍将校「太平洋にまいた」 昭和史の謎だったが…公文書発見―【私の論評】日本人は先の大戦で無条件降伏していないこと、戦犯の処刑は違法行為であることを思い起こすべき(゚д゚)!

A級戦犯7人の遺骨、米軍将校「太平洋にまいた」 昭和史の謎だったが…公文書発見


 第2次大戦後、極東国際軍事裁判(東京裁判)で死刑判決を受けた東条英機元首相らA級戦犯7人の遺骨について、米軍将校が「太平洋の上空から私がまいた」と記した公文書が、7日までに見つかった。米軍による具体的なA級戦犯の遺骨処理の方法が公文書で判明するのは初。遺骨は遺族に返還されず、太平洋や東京湾にまかれたとの臆測はあったが、行方は昭和史の謎とされていた。

 文書は、占領期に横浜市に司令部を置いた米第8軍が作成。日本大生産工学部の高澤弘明専任講師(法学)が米国立公文書館で入手した。

 極秘文書には現場責任者のルーサー・フライアーソン少佐が経緯を報告。火葬後、7人の遺骨は「横浜の東の太平洋上空を約30マイル(48キロ)地点まで連絡機で進み、私が遺骨を広範囲にまいた」と記している。

【私の論評】日本人は先の大戦で無条件降伏していないこと、戦犯の処刑は違法行為であることを思い起こすべき(゚д゚)!

A級戦犯で亡くなられた方々の、遺骨もないということを、遺族の方が語っていたのを聴いたことがありましたが、戦後70年以上もたってようやく明らかにされました。まずは、亡くなられた7人の方々をご冥福をお祈りさせていただきます。

それにしても、戦後70年以上も経て「A級戦犯」は、「戦争ですごく悪いことをした主犯級の人のこと」を意味する言葉だと考えている人でも多いのではないでしょうか。

現代でも、何かまずい事が起きたときにその中心となって事件を起こした人や一番酷いことをした人のことを「あいつがA級戦犯だ」と言うことがありますが、私たちは「A級戦犯」という言葉を正しい意味で理解しているでしょうか?

第二次世界大戦で日本は敗けました。

勝った連合国側は、戦後にポツダム宣言に従って、日本の重要な戦争犯罪人を裁くための裁判を行うことにしました。

ただし、それを裁くための法律がなかったので、まず極東国際軍事裁判所条例を作り、その第五条(イ)項で戦争犯罪に関して定義を作成し、それを元にして東京裁判(極東国際軍事裁判)を開きました。

この法律は、「事後法」と言われ、裁くために作られた法律であり罪状ですから、現在からみると完璧に違法です。

作られた条例には3つの種類の罪が明記されていました。
A.平和に対する罪
B.戦争犯罪
C.人道に対する罪
英語で作られたこの条例は、ABCに分けて書かれており、A級戦犯とは、このAの平和に対する罪で有罪となった者を呼ぶ呼び方です。

つまり、ABCは罪の深刻さでレベル分けされたのではありません。3つにグループ分けされた罪状のうち、平和に対する罪のグループをAにしたので、それを犯したとされる人々がA級戦犯と呼ばれることになったに過ぎません。

AがBやCより罪が重い、という意味はないのです。

ソビエト連邦のポツダムによって行われたポツダム宣言の合意に基づき、1945年7月26日に米国、英国、中華民国の名において大日本帝国に対して無条件降伏を求めるポツダム宣言が発せらたと信じている人も多いようですが、これも大きな間違いです。

日本は無条件降伏などしていません。

日本は、降伏条件が明示された、ポツダム宣を受諾することで、降伏したのです。

ポツダム宣言(The Potsdam Declaration)は、昭和20年(1945年)7月26日に、米合衆国大統領、英首相、中華民国主席の名において、日本に対して発せられた、全十三か条からなる宣言です。その第五条には次の文があります。

 五、我々の条件は以下の条文で示すとおりであり、これについては譲歩せず、我々がここから外れることもない。執行の遅れは認めない。

 要するに、ここには連合国が、「この条件から外れるようなことは、絶対にしない」と、書いてあるのです。

ポツダム宣言は、日本に『条件付き降伏』を求めていたのです。

第七条には、「第六条の新秩序が確立され、戦争能力が失われたことが確認される時までは、我々の指示する基本的目的の達成を確保するため、日本国領域内の諸地点は占領されるべきものとする」とあります。

つまり、日本全国を占領することはしない。日本が、われわれの要求する、条件を達成するまで、連合国側は、「いくつかの地点を占領」するという、条件を出しているのです。

日本全土を占領するとは、どこにも書いていません。米国が、日本全国を占領したということも、重大なポツダム宣言違反です。

第十条には、「我々の意志は日本人を民族として奴隷化しまた日本国民を滅亡させようとするものではないが、日本における捕虜虐待を含む一切の戦争犯罪人は処刑されるべきである。日本政府は日本国民における民主主義的傾向の復活を強化し、これを妨げるあらゆる障害は排除するべきであり、言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重は確立されるべきである」と、書かれています。

「戦争犯罪人」というのは、それまでの戦時国際法によれば、たとえば非戦闘員を殺すとか、一般市民への略奪を行うとか、あるいは女性に対して乱暴をはたらく、あるいは降伏して捕虜となった者を虐待するなどの「戦場犯罪」を意味します。

戦犯として裁かれた東條閣下 この裁判自体が違法だった

それまで、国民の指導者に対して、「戦争犯罪人」として、責任を問うたことは、人類史上ただの一度もありませんでした。だから、日本がポツダム宣言を受諾したときには、当然のことながら「戦争犯罪人」というのは、通常の戦場犯罪をおかした、いわゆる「戦争犯罪者」を罰するものだと、理解していたのです。

それ以外の解釈は全く考えられませんでした。前例がないのだから、当然です。

さらに、最後の第十三条では、「我々は日本政府が全日本軍の即時無条件降伏を宣言し、またその行動について日本政府が十分に保障することを求める。これ以外の選択肢は迅速且つ完全なる壊滅があるのみである」と、書いてあります。ここでの「無条件降伏」とは、「全日本軍」の無条件降伏を要求しているのであって、「日本国」としての無条件降伏はもとめていないのです。

そもそも第五条には、「我々の条件は以下の条文で示すとおりであり、…我々がここから外れることもない。…」と、書いてあります。意訳すると、「われらの条件は左の通りである。われらはこれらの条件より離脱することはない」と、宣言しているのです。

そう宣言しながら、日本全土を占領し、極東国際軍事裁判を行っているのです。連合国による日本の占領政策は、ポツダム宣言の重大な違反なのです。

日本は、天皇を人質にとられた状況でしたた。「天皇を捕えて戦争犯罪人として裁く。命も保障できない」と脅迫されたら、二千六百年余りに及ぶ「国体」の護持が、最大の望みである日本人は、何の文句も言えなかったのです。

こうして、米国の国際法への重大な違反は、自ら発した『ポツダム宣言』に違反するところからはじまったのです。

日本の大新聞をはじめとして、多くのメディアは平然と、「日本は先の戦争で無条件降伏をした」という「虚偽」報道をしています。

占領軍は、自らが宣言した日本の降伏条件を、一方的に破ったのです。だから日本が「無条件降伏をした」という、ことにして虚偽情報を蔓延させたのです。

その宣言の中に「我らの捕虜を虐待した者を含む一切の戦争犯罪人に対しては厳重な処罰が加えられる」とあります。

さらに、同年8月8日に英国、米国、フランス、ソビエト連邦の4ヶ国が「欧州枢軸諸国の重要戦争犯罪人の訴追求お呼び処罰に関する協定」(ロンドン協定)を締結し、8月10日それらを日本が受諾しました。

9月2日には日本の降伏文書調印式が行われています。

降伏文書調印式に参加した日本の代表団

その後、ダグラス・マッカーサー連合国軍最高司令官が中心になって東条英機を逮捕し、戦争犯罪人容疑者のリスト作成が行われました。

この際、米国政府は、占領政策の円滑化のために日本に天皇が欠かせないという認識があったため、昭和天皇の訴追は行っていません。

アメリカ軍の憲兵司令部へ出頭命令を受けた戦犯容疑としての逮捕者は126名。それ以外に5名が逮捕・出頭前に自殺しています。

中でも28名がA級戦犯として昭和天皇の誕生日4月29日に起訴され、病死や精神障害により裁判を終了できなかった3名以外の25名が判決を受けました。

さらにそのうち以下の7名の男性がA級戦犯として死刑判決を受けました。
東條英機(陸軍大将、元首相)
土肥原賢二(陸軍大将)
松井石根(陸軍大将)*
武藤章(陸軍中将)
板垣征四郎(陸軍大将、元陸軍大臣)
広田弘毅(元首相)
木村兵太郎(陸軍大将)
彼らは、当時の皇太子明仁親王の誕生日である1948年12月23日、真夜中の巣鴨プリズンで絞首刑を執行されました。

巣鴨拘置所の入り口(現在のサンシャインシティーのある場所)

これら天皇、皇太子の誕生日を起訴や死刑執行日に選んだのは、訴追できない天皇に対する連合国側の意図があったと言われています。

松井石根はA級戦犯としては無罪、B級戦犯として処刑されていますが、同時期に処刑された人々が全てA級戦犯だったことから、今でもA級戦犯とされることがあります。

日本人は日本は今回戦犯として処刑された方々の遺骨がどうなったのか、明らかになったことを機会に、第二次世界大戦で無条件降伏していないことと、戦犯の処刑は違法行為であることを思い起こすべきです。

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