松井・大阪市長発言に対し「コメントする考えはない」と述べる門川・京都市長 |
門川市長は7日、厳しい財政状況を受けて財政再建に向けた行革案を発表。翌8日、松井市長は維新創設者の橋下徹氏が大阪市長時代に実施した市長給与の3割削減などを引き合いに「それぐらいやらないと市民サービスや職員給与のカットというのも理解されない」と指摘した。
大阪市松井市長 |
門川市長は松井発言について問われると、険しい表情を見せて不快感を示したものの、直接的な反論は避けて「市民の命と健康、暮らしを守るため行財政改革をまい進する」と述べた。門川市長は今年4月から自身の給与カット幅を2割から3割に拡大している。
【私の論評】BS(貸借対照表)をみれば、京都市は財政破綻する可能性は全くなし(゚д゚)!
京都市の財政はどうなっているのでしょうか。これを確かめるには、京都市のBS(バランスシート、貸借対照表)をみるのが一番確かな手立てです。
京都市のBSを含む京都市の財務書類
(令和元年度決算版)は以下のリンクからご覧いただけます。
さて、この資料から、BSの部分を以下に引用します。4ページ目の貸借対照表を掲載します。
この貸借対照表からすると、資産4.8兆円、負債2.8兆円 差額2.0兆円なので、数年以内に破綻するような状況ではなく、超優良地方公共団体です。
これだと、大阪市松井市長が語るような「身を切る改革」は全く必要ありません。
無論、コロナ禍で歳入が減っているということは十分理解できますが、自己資本比率(純資産比率)がこのレベルであれば、破綻することはないでしょう。
企業でも、自己資本比率が高ければ、積極的に事業拡大ができ、経営のための設備投資に踏み切ることも可能です。負債が少ないため経営が安定し、結果的に倒産しにくい企業となるでしょう。
さらに借入金が少ないということは財務が安定していると判断されるため、多額の資金を必要とすることがあっても、金融機関などの融資審査に通りやすいメリットもあります。
自己資本比率を高める3つのメリット
① 資金繰りの負担が軽減する
② 金融機関などから融資を受けやすくなる
③ 経営が安定し、倒産しにくい
自己資本比率は、50%を超えると倒産するリスクのない優良企業だと言われています。また、自己資本比率が20~39%だと平均的な企業であると判断できますが、中小企業の場合は少し低い15%前後が平均値となっています。これらの平均値よりもさらに下がると、数値によっては経営危機に直面している企業や赤字経営の企業だと判断され、金融機関からの融資を受けられず資金繰りが悪化し、倒産してしまう可能性もあります。
資産と負債の差額が、数千万しかないと言うような状況であれば、確かに財政破綻の危険もありますが、これだけ余裕があれば、破綻の危機など全く考えられません。これは、他の自治体などと比較してみれば、よく理解できると思います。
人通りもまばらな京都・木屋町の繁華街=2月4日午後8時40分ごろ、京都市中京区 |
コロナで歳入が減っているのは、どこの自治体でも状況は同じだと思います。無論、自己資産比率が少ない自治体であれは、破綻する可能性が大きいといえますが、京都市は全くそのレベルではありません。
なぜ、マスコミが京都市の破綻の報道をするのか、全く理解できません。こういう報道をする人たちは、BSを読めないのかもしれません。サラリーマンでも、損益計算書は読めても、BSが読めないような人も大勢いるようです。そのような人は、はっきりいいますが、出世できません。なにしろ、BSが読めないということは、会社全体を把握できないと言っている等しいからです。
バランスシートの一部の負債の部だけ見れば、現状では負債が増えているのは確実なので、京都でも他の自治体でも、負債が増えて破たん寸前であるように見えるのかもしれませんが、それは会計の知識がない人たちが言っている戯言にすぎません。
政府レベルでもこのような見方しかできない人たちが多いので、辟易とします。まともな民間会社であれば、細かい財務分析は別にして、BSさえ読めないような幹部など存在しません。なぜなら、そのような人間を幹部にしてしまえば、会社が破綻するか、将来に向けての投資もできなくなり、先細りになるからです。ただし、マスコミはそうではないようです。だかこそ、先細りになるのでしょう。
財政に余裕がないのなら仕方ないですが、京都市のような優良自治体なら、まだなんとかできたかもしれません。生活保護などの世帯が増えた後から支援するというのではなく、前倒しで、支援することもできたと思います。
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