まとめ
- 三菱商事を含む事業連合が秋田の洋上風力からコスト高騰で撤退し、県知事は再公募を要望したが合理性には疑問がある。
- 太陽光や風力は我が国日本の条件に合わず、欧州でも失敗。中国製依存やウイグル強制労働の問題もあり、反グローバリズムの観点から容認できない。
- 再エネは天候に左右され不安定で、九州や東北では出力抑制が常態化。電気料金も2010年から2023年にかけて大幅に上昇し、国民負担を増やしている。
- 原子力には長年の実績があり、開発中のSMRは安全性が高い。ただし既存技術と人材が不可欠で、ドイツのように原発を全廃すれば未来を閉ざす。
- 小樽や青森では住民運動が再エネ計画を阻止。反グローバリズムは世界的潮流となり、秋田の撤退は我が国日本のエネルギー政策を正道へ導く契機となる。
2025年夏、三菱商事を含む事業連合が秋田県沖と千葉県沖の大規模洋上風力事業から撤退した。建設費は当初の二倍に膨れ上がり、インフレや金利上昇、円安が追い打ちをかけ、採算は崩壊した。これを受け、秋田県知事は国に早期の再公募を求めた。しかし、果たしてそれは合理的な選択なのか。
問題は単なる洋上風力の失敗にとどまらない。太陽光や風力といった再エネそのものが、我が国日本の地理的条件や経済環境に合致していない。欧州でも同じ失敗が繰り返されている。ドイツが推進した「エネルギー・ヴェンデ(原発廃止と再エネ全面移行)」は、結果として電気料金の高騰と産業競争力の喪失を招き、国民から激しい批判を浴びている。
加えて、再エネはその供給網がグローバリズムに絡め取られている。太陽光パネルの約8割、風力タービンや蓄電池の多くは中国製であり、利益は海外に流れる。しかも新疆ウイグル自治区の強制労働や、中国国内の低賃金・劣悪環境労働がその製造工程に関わっているとの報告もある。再エネを拡大することは、人権侵害に加担し、経済的従属を深めることに直結する。これこそ反グローバリズムの立場から断固拒絶すべき事態である。
2️⃣インフラに不適格な再エネと原子力の選択肢
再エネの最大の弱点は不安定性だ。天候次第で発電が止まる電源をインフラの基盤に据えること自体が無謀である。実際、九州電力管内では太陽光の過剰導入で出力抑制が常態化し、2023年度は58日間、2024年度も50日を超える見通しとなっている。東北や四国でも同じ現象が起きており、作っても使えない電気があふれている。
電気料金の推移も深刻だ。資源エネルギー庁の統計によれば、家庭向け電気料金は2010年に1kWhあたり約22円だったものが、2023年には30円を超えた。再エネ賦課金や制御コストが原因である。ドイツと同じく、我が国日本も「再エネをインフラに据える」という誤った政策が国民負担を膨らませている。
三菱SMRを開発 |
これに対し、原子力には半世紀の運用実績がある。潜水艦や空母に搭載された小型炉は過酷な環境下でも安定して稼働してきた。さらに次世代の小型モジュール炉(SMR)は現在開発中であり、冷却システムや格納容器の設計が改善され、従来型より安全性が高い。だがSMRは既存の原子力技術と人材があってこそ開発できるものであり、ドイツのように拙速に原発を全廃すれば技術基盤を失い、将来の選択肢を自ら閉ざすことになる。
秋田に必要なのは「待つ」ことではなく「見切り」だ。洋上風力を含む再エネはコスト高、環境破壊、不安定性の三重苦を抱え、社会インフラとして失格である。我が国日本の未来を託す価値はない。撤退こそが最も合理的な選択である。
3️⃣地方の抵抗と反グローバリズムの潮流
再エネが国家政策として押し付けられても、地方には抗う力がある。小樽市では2022年、天狗山スキー場近くに計画された風力発電が、住民や市議会の強い反発で撤回された。青森でも漁業者の反対が計画を修正させた。秋田でも漁協が同意しなければ事業は進まない。地方の意思は巨大資本や国策すら押し返す力を持つのだ。
HPで計画中止発表 小樽市・余市町にまたがる風力発電計画 地元の理解得られず…資材高騰も理由 |
そして今、反グローバリズムは世界の潮流となりつつある。一昔前は陰謀論と片付けられた言葉だったが、いまや米国では「アメリカ・ファースト」が政権の中枢を担い、欧州でも反グローバリズムを掲げる政党が議席を伸ばしている。英国のEU離脱(Brexit)はその象徴である。2024年のEU議会選挙では右派政党が躍進し、エネルギーや移民政策で国の針路を大きく動かした。
秋田が再エネ撤退を決断することは、単なる地域防衛にとどまらない。我が国日本がグローバリズムの呪縛から抜け出し、真に自立したエネルギー政策を打ち立てる突破口となる。地方の勇気ある行動が、政府の誤りを正し、我が国日本全体を正道へ導く力になるのだ。
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