- 2024年11月1日、セルビア・ノヴィ・サド駅キャノピー崩落で16名死亡。元インフラ相ら13名が起訴され、中国企業による過剰請求も浮上。
- 抗議は学生主導で全国に拡大。「赤い手形」「沈黙の抗議」が政府不信の象徴となった。
- セルビアはEU加盟を掲げつつ中国資本に依存。グローバリズムが主権喪失や産業空洞化を招き、国民の不満を増幅。
- 日本も同様にグローバリズムで製造業が衰退、非正規雇用拡大、地方の人口流出が深刻化。
- 自民党が従来型エリートを据え、親中かつグローバリズム的政策を続ければ、有権者の怒りを買い、いずれ下野し多数の議員が議員バッジを失う。
🔳崩落事故が火をつけた民衆の怒り
セルビアはバルカン半島の内陸国であり、旧ユーゴスラビアの中心を担った。1999年のコソボ紛争ではNATOの空爆を受け、今も独立を宣言したコソボを承認していない。EU加盟を掲げながらも民族対立や複雑な対外関係に苦しんできた国である。
そのセルビアで、2024年11月1日、ノヴィ・サド駅のキャノピー(ひさし)が崩落し、16名が死亡した。旧駅舎の構造と監督不備が重なったとみられ、捜査は元インフラ相や副大臣、設計者、監督者ら計13名の起訴に至った。罪状は「公共の安全を危険にさらす行為」「建設施工の違法行為」などである。さらに、中国企業二社による過剰請求が発覚し、約1億1,560万ドルが不正に支払われた可能性が指摘された。責任者の一部は拘留されたが釈放された者もおり、裁判の行方は未だ不透明だ。民衆の求める「全面的な財務調査」「情報公開」「政治的リーダーの責任追及」はまだ達成されていない。
この事件を契機に抗議は学生主導で全土に広がった。大学や高校の学生、教員が先頭に立ち、数千から数万人規模のデモが繰り返された。特に印象的なのが、“赤い手形(bloodied hands)”と「沈黙の抗議」である。赤い手形は血に染まった手を象徴し、政府に「市民の血で汚れている」と突きつける行為だ。沈黙の抗議は声を上げず整然と行進するスタイルで、奪われた言葉を取り戻そうとする静かな怒りを示す。これらは制度不信を可視化し、人々の共感を呼び、運動を押し広げる原動力となった。
🔳対中依存とグローバリズムの罠
セルビア政府はEU加盟を掲げつつ、中国資本に深く依存してきた。再生可能エネルギーで20億ユーロ規模、資源開発で12.6億ドル超の投資が流れ込み、製造業でも数億ユーロ単位の案件が積み重なった。さらに2025年には中国との犯罪人引き渡し条約が批准され、治安協力の枠組みが整った。
この「親中」の根底にはグローバリズムがある。自由貿易と国際資本の移動は投資や市場拡大を可能にする一方で、国家主権の希薄化、地域産業の空洞化、雇用の不安定化、文化的アイデンティティの喪失をもたらしてきた。セルビア市民には「国家が外資と結託し、利益を吸い上げている」ように映る。エリートと国際資本だけが潤い、市民の暮らしは犠牲にされる。
この構図は日本でも同じだ。グローバリズムの旗の下、製造業は空洞化し、地方工場は閉鎖された。非正規雇用が拡大し、若年層や地方の労働者は安定した職を得られなくなった。東京や大都市は資本を集めても、地方は衰退し、人口流出が止まらない。グローバリズムは国を強くするどころか、内部から崩壊させているのである。
一方、移民・国境管理でも同じ矛盾が見える。セルビアはFRONTEXと協力協定を結び、共同作戦や越境犯罪対策を進めた。その結果、西バルカン経路の不正規越境は2024年に前年比8割減となった。しかし現場では「押し戻し」や手続きの不備が指摘され、人権団体の批判は絶えない。EUの建前と国内の現実、その板挟みが続く中、市民の不信は深まるばかりだ。
🔳日本への警鐘
セルビアで今起きていることは、我が国に対する警告でもある。旧来型エリートは親中的であり、グローバリズムに依存する。日本における石破茂もその典型だ。官僚機構と派閥に支えられたエリート型政治は、すでに国民からの支持を失っている。そしてその親中姿勢は明白であり、議論の余地はない。
市民が求めているのは透明性と説明責任である。それを軽んじれば、権力基盤は急速に痩せ細る。セルビアで「人民対エリート」の構図が剥き出しになったように、日本でも同じ対立が進行している。自民党が従来型エリートを据え、グローバリズム的政策を継続する限り、有権者の怒りを買い、やがて下野する。多くの議員が議員バッジを失い、政権は崩壊するであろう。
結局のところ、セルビアの政治危機を長引かせているのは「二重の接続」である。EU加盟プロセスが改革を迫る一方で、中国資本と治安協力が短期的な統治を支えてしまう。この綱引きの中で「人民対エリート」の物語が強化され、ポピュリズムの新局面が生まれている。我が国も例外ではない。親中かつグローバリズム志向のエリートが退潮し、有権者の声が前面に出る時代に入ったのだ。
この事件を契機に抗議は学生主導で全土に広がった。大学や高校の学生、教員が先頭に立ち、数千から数万人規模のデモが繰り返された。特に印象的なのが、“赤い手形(bloodied hands)”と「沈黙の抗議」である。赤い手形は血に染まった手を象徴し、政府に「市民の血で汚れている」と突きつける行為だ。沈黙の抗議は声を上げず整然と行進するスタイルで、奪われた言葉を取り戻そうとする静かな怒りを示す。これらは制度不信を可視化し、人々の共感を呼び、運動を押し広げる原動力となった。
🔳対中依存とグローバリズムの罠
セルビアの太陽光発電 |
セルビア政府はEU加盟を掲げつつ、中国資本に深く依存してきた。再生可能エネルギーで20億ユーロ規模、資源開発で12.6億ドル超の投資が流れ込み、製造業でも数億ユーロ単位の案件が積み重なった。さらに2025年には中国との犯罪人引き渡し条約が批准され、治安協力の枠組みが整った。
この「親中」の根底にはグローバリズムがある。自由貿易と国際資本の移動は投資や市場拡大を可能にする一方で、国家主権の希薄化、地域産業の空洞化、雇用の不安定化、文化的アイデンティティの喪失をもたらしてきた。セルビア市民には「国家が外資と結託し、利益を吸い上げている」ように映る。エリートと国際資本だけが潤い、市民の暮らしは犠牲にされる。
この構図は日本でも同じだ。グローバリズムの旗の下、製造業は空洞化し、地方工場は閉鎖された。非正規雇用が拡大し、若年層や地方の労働者は安定した職を得られなくなった。東京や大都市は資本を集めても、地方は衰退し、人口流出が止まらない。グローバリズムは国を強くするどころか、内部から崩壊させているのである。
一方、移民・国境管理でも同じ矛盾が見える。セルビアはFRONTEXと協力協定を結び、共同作戦や越境犯罪対策を進めた。その結果、西バルカン経路の不正規越境は2024年に前年比8割減となった。しかし現場では「押し戻し」や手続きの不備が指摘され、人権団体の批判は絶えない。EUの建前と国内の現実、その板挟みが続く中、市民の不信は深まるばかりだ。
🔳日本への警鐘
セルビアで今起きていることは、我が国に対する警告でもある。旧来型エリートは親中的であり、グローバリズムに依存する。日本における石破茂もその典型だ。官僚機構と派閥に支えられたエリート型政治は、すでに国民からの支持を失っている。そしてその親中姿勢は明白であり、議論の余地はない。
石破は旧来型エリートの典型 |
市民が求めているのは透明性と説明責任である。それを軽んじれば、権力基盤は急速に痩せ細る。セルビアで「人民対エリート」の構図が剥き出しになったように、日本でも同じ対立が進行している。自民党が従来型エリートを据え、グローバリズム的政策を継続する限り、有権者の怒りを買い、やがて下野する。多くの議員が議員バッジを失い、政権は崩壊するであろう。
結局のところ、セルビアの政治危機を長引かせているのは「二重の接続」である。EU加盟プロセスが改革を迫る一方で、中国資本と治安協力が短期的な統治を支えてしまう。この綱引きの中で「人民対エリート」の物語が強化され、ポピュリズムの新局面が生まれている。我が国も例外ではない。親中かつグローバリズム志向のエリートが退潮し、有権者の声が前面に出る時代に入ったのだ。
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