まとめ
- ロシア国内のジャパンセンター閉鎖は、冷戦後の日本外交の象徴的存在の終焉であり、2025年9月に日本政府が正式決定した。
- 岸田内閣は「ロシア経済分野協力担当相」を継承し続け、制裁と協力の二重基準として批判を浴び、石破内閣はこれを廃止したが、ジャパンセンター閉鎖は遅れ、矛盾が浮き彫りになった。
- 外交・安保においても、制裁強化を唱えつつサハリン2のLNG輸入を維持するなど、左派リベラル政権の二枚舌が続いた。
- エネルギー政策では、再エネ賦課金徴収や原発再稼働の遅れ、釧路湿原でのメガソーラー建設など矛盾が噴出し、国民生活を圧迫した。
- ジャパンセンター閉鎖という重大な転換にもかかわらず、日本の大手マスコミはほとんど大きく報じず、国外メディアが中心となって伝えた。
モスクワ「ジャパンセンター」に刻まれた碑文 |
日本政府がロシアに設置していた「ジャパンセンター」の閉鎖を決めた。これは、長年の対露政策の甘さに終止符を打つものだ。これは単なる文化交流拠点の整理ではなく、冷戦後の日本外交の一つの時代の終焉を告げる象徴的な出来事である。
ジャパンセンターは1994年に設立され、モスクワやサンクトペテルブルク、ウラジオストクなど六都市に拠点を持ち、日本語教育や文化紹介、経済改革支援のセミナーを通じて日本企業の活動を後押ししてきた。外務省の資金で運営され、長らくロシア社会における「日本の顔」として存在感を示してきた。しかし2022年のウクライナ全面侵攻を境に情勢は一変し、ロシアは監視と圧力を強め、日本関連機関の活動は制約を受けるようになった。日本政府は2025年9月10日、林芳正官房長官が会見で全六拠点を閉鎖すると発表し、外交ルートではすでに8月27日にロシア側へ通知していた。
🔳左派リベラル政権の矛盾
岸田氏と石破氏 両氏ともロシア政策は矛盾 |
注目すべきは「ロシア経済分野協力担当相」の存在だ。2016年に設置され、経済産業相が兼務してきたが、岸田内閣でも継承され、制裁と協力を両立させる二重基準は批判を浴びた。石破内閣ではこの担当相を廃止し、西側との連携を優先したにもかかわらず、ジャパンセンターの閉鎖は遅れた。協力の象徴を切り捨てながら文化外交の象徴を延命する矛盾は、左派リベラル政権の曖昧さを露呈した。外交や安保の場でも同様である。制裁を強化しつつサハリン2のLNG輸入は継続、追加制裁を積み増しながら「国民生活を守る」との名目で依存を続けた。国内では価値外交を声高に語りながら、実際には実利を優先する二枚舌が続いたのである。
エネルギー政策でも矛盾は顕著だ。再エネ推進を掲げつつ再エネ賦課金を国民から徴収し、電気料金を高騰させた。原子力発電の再稼働は遅れ、火力依存が続いた結果、燃料価格の高騰が電気代に直撃した。釧路湿原周辺ではメガソーラー建設が進められ、自然保護団体や住民の反対署名が相次いだ。環境保護を掲げながら自然を破壊し、再エネ賦課金で国民生活を締め付ける――これ以上の矛盾があるだろうか。
🔳国益を守るための選択
加えて見逃せないのは、このジャパンセンター閉鎖自体を日本の大手メディアがほとんど大きく取り上げていない点だ。英字メディアや国外報道では報じられたが、国内主要紙は一面扱いを避け、小さな記事で済ませる傾向が強い。国民にとって重大な政策転換であるにもかかわらず、報道の“低温化”は政権の矛盾を覆い隠す役割を果たしている。
結論は明白である。今回の閉鎖は最低限の軌道修正に過ぎない。国益を守るためには、左派リベラル的な総裁を自民党が選び続けることは許されない。自民党議員は保守系総裁を擁立し、保守政策へ回帰しなければならない。さもなければ、次の選挙で議員バッジを失うことになるだろう。国民はもはや言行不一致の政治を許さず、強いリーダーシップで国益を守る真の保守を求めているのだ。これは、日本国内の一時的な現象ではなく、世界の潮流である。
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