まとめ
- 9月9日、日経平均株価が44,000円を突破し史上最高値を更新した。石破首相の辞任が直接の引き金となり、市場は金融緩和と積極財政への転換を織り込んだ。
- 米国との自動車関税交渉の進展や円安の追い風も株価上昇を後押しし、投資家心理を一層好転させた。
- 日本経済の基盤は悪くないが、近年の緊縮財政と日銀の事実上の引き締めが内需停滞と実質賃金の低迷を招いている。
- 日本は輸出依存度が低く、変動相場制の下では関税や為替の変動は自動的に均衡するため、根本的に内需と政策運営が経済のカギを握る。
- 市場は「石破路線と真逆の政策」が続けば日本は黄金期を迎え、日経平均が6万円に達する可能性もあると見ており、自民党幹部はその期待を直視すべきだ。
9月9日、日経平均株価が史上初めて44,000円を突破した。引き金となったのは石破首相の辞任である。財務官僚の操り人形と化した石破氏の退陣は、政権が金融緩和や積極財政へと転換するのではないかという期待を一気に膨らませた。市場はその可能性を先取りし、株価を押し上げたのだ。
米国との自動車関税引き下げ交渉の進展、円安進行による輸出企業の収益改善、そして金利の不透明感の中で相対的に高まった株式の魅力も、この上昇を後押しした。
🔳政策期待と日本経済の現状
石破は純正経済音痴であるが、自らはそれを否定している |
今回の株価上昇は、市場の期待先行という側面が強い。次の自民党総裁がどのような政策を取るか、日銀がどの方向へ舵を切るか、そして政府がどんな経済対策を打ち出すかが、中長期的に相場を左右する決定的な要素となる。
市場がとりわけ注目しているのは二つだ。ひとつは日銀の緩和継続である。石破氏の下では金融引き締めと財政健全化が優先されると見られていたが、辞任によって「低金利環境が続く」との観測が強まった。企業の資金調達コストが下がり、投資や設備拡大が加速するとの期待が生まれた。もうひとつは積極財政だ。公共投資の拡大、減税、エネルギー支援策などが現実化すれば、内需を強力に刺激し、企業収益と消費を押し上げる。今回の史上最高値更新は、まさにそうしたシナリオを映し出している。
もっとも、日本の経済基盤そのものは悪くない。失業率は2.5%前後、企業収益も過去最高水準だ。だが現実には、財政政策は緊縮色を強め、日銀も表向きは緩和を維持しながら実質的には引き締めへ傾いている。その結果、内需は伸び悩み、実質賃金はマイナス圏から抜け出せない。「緊縮+引き締め」の組み合わせが経済停滞の元凶となっている。
🔳輸出依存の低さと市場へのメッセージ
日本経済はもともと輸出依存度が低い。高度成長期でもGDP比は一割前後、バブル期ですら数%台にすぎなかった。現在も主要先進国の中で低い水準にとどまり、内需が経済の中心である。したがって、関税や為替の変動が全体経済を大きく揺るがすことはない。
変動相場制では、米国が関税をかければドル高が進み、円安が進行する。結局は為替が自動的に調整し、均衡が保たれる。1980年代の日米貿易摩擦の時も、同じ構図が繰り返された。市場が本当に見ているのは輸出ではなく、国内政策と内需なのである。
だからこそ、次期政権が金融緩和と積極財政に舵を切るという期待が、株価を大きく押し上げた。皮肉なことに、直近で最も効果をもたらした「経済対策」は、政府の施策ではなく石破の退任そのものだった。そして市場は、もし次の総裁が石破路線とは正反対の政策を打ち出し、それを持続すれば、日本は再び黄金期を迎え、日経平均が6万円に届くことも夢ではないと見ている。
株価44,000円には、その強烈なメッセージが込められている。自民党幹部は、次期総裁がどれほど「石破と真逆」を示せるかによって、市場が目に見える形で反応することを直視すべきだ。
変動相場制では、米国が関税をかければドル高が進み、円安が進行する。結局は為替が自動的に調整し、均衡が保たれる。1980年代の日米貿易摩擦の時も、同じ構図が繰り返された。市場が本当に見ているのは輸出ではなく、国内政策と内需なのである。
だからこそ、次期政権が金融緩和と積極財政に舵を切るという期待が、株価を大きく押し上げた。皮肉なことに、直近で最も効果をもたらした「経済対策」は、政府の施策ではなく石破の退任そのものだった。そして市場は、もし次の総裁が石破路線とは正反対の政策を打ち出し、それを持続すれば、日本は再び黄金期を迎え、日経平均が6万円に届くことも夢ではないと見ている。
株価44,000円には、その強烈なメッセージが込められている。自民党幹部は、次期総裁がどれほど「石破と真逆」を示せるかによって、市場が目に見える形で反応することを直視すべきだ。
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物価目標が2%を超えるまで、政府は積極財政を行い、日銀はさらなる金融緩和を実行すれば日本は確実にデフレから脱却できます。2%を超えてさらにインフレになり、物価が上がっても、失業率が下がらなくなれば、政府は緊縮財政に転じ、日銀は金融引締に転すれば良いのです。
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