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岡崎研究所
習近平は中央アジア首脳会議を主催 |
中国主席習近平は、中央アジアとの関係を強化し、中国の影響力を拡大するために中央アジアの首脳会議を主催しました。この動きは、ロシアの影響力が弱まり、ウクライナ戦争によって注意がそらされている中で行われました。中国は中央アジア諸国との経済的および政治的な関係を強化するための機会として、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタンとの首脳会議を開催しました。
中国は中央アジアにおける安全保障の重要性を認識しており、特に新疆ウイグルの西部地域の安全保障に関心を持っています。しかし、中央アジアの人々の中には中国への懐疑的な意見や債務増加への懸念もあります。ロシアはまだ中央アジアで支配的な役割を果たしており、好意的に受け入れられていますが、国際情勢が変化する中で中国の存在感が増大する可能性があります。
中国は中央アジアとのエネルギー貿易やレアアースの開発などで協力を深めることができます。また、中国は地域の安全保障協力の強化を発表する可能性もあります。しかし、中国の立場は時に矛盾しており、ロシアのウクライナ侵攻を非難しつつも、各国の領土の一体性を支持しています。
ロシアはウクライナ戦争によって中央アジアやコーカサス地域での影響力を失っていると言えます。中国は中央アジアでの存在感を高めており、中国との関係強化は続くでしょう。
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ロシアがウクライナへの侵攻を始めてから2年目に入りましたが、侵攻はまだ終わりの兆しは見えません。最初の段階でロシアが早期に勝利する見込みがないことを認めざるを得なくなったロシアは、自国の天然資源を利用してウクライナと欧州を凍結させることを決めました。
ロシア軍に破壊されたウクライナの都市 |
しかし、この作戦は裏目に出ました。欧州がエネルギー戦争に勝利したことで、ロシアの影響力は減少し、財政的にも苦境に立たされるようになりました。欧州の成功と中国の超然とした態度は、中央アジアの抵抗を引き起こすことになりました。
欧州に対するロシアの抵抗は明らかですが、中央アジアの抵抗は微妙なものです。中央アジアはロシアと中国によって囲まれ、地理的に孤立しており、経済的な依存関係がロシアの植民地関係の上に成り立っています。
しかし、中央アジア諸国は現在、ロシアからの難民を受け入れ、欧州連合(EU)との経済協力を拡大し、対ロシア制裁に同調し、自由化することで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対抗しようとしています。
最大の問題は、中央アジアと欧州を結ぶ既存のエネルギー輸送設備やパイプラインが、ロシアを通っていることです。代替ルートは地政学的に受け入れがたく、カスピ海を越えて西方への中部回廊が最善の選択肢となっています。
中部回廊の実現には時間がかかりますが、西側諸国は慎重に考える必要があります。ロシアからの輸出が全面的に禁止されれば、中央アジア諸国の主要な貿易ルートが閉ざされ、欧州のエネルギー価格が上昇し、中央アジアの依存度が高まる可能性があります。
日本では、中央回路を通り、カスピ海を経由する「カスピ海ルート」が注目されている |
中央アジア諸国はロシアのウクライナ侵攻に不満を表明し、西側の対ロシア制裁に同調し、欧米の影響力と投資を呼び込むことで、ロシアと中国の影響力を緩和し続けています。
欧米は中央アジア諸国に投資し、ロシアと中国のバランスを取り、中国の存在感に対抗しなければなりません。中央アジアは経済的な潜在力を持ち、民主化に対する熱意や反ロシア感情が高まっています。欧米はこの機会を逃さずに関与し、戦略的な関係を築くべきです。
そのためには、政界、金融界、産業界などの主要な主体が戦略的に関与する必要があります。西側諸国は自国の利益を明確にし、大国間の競争で敗北を認めることなく、地政学的かつ経済的な利益を守る柱を見つける必要があります。
今やロシアの衰退が顕在化した中、さまざまな形で安全保障上の保険をかけたい中央アジア諸国としては、たとえ中国のウイグル・カザフ等トルコ系民族に対する弾圧には不興を感じても、秩序維持という点では発想を共有し、「一帯一路」を通じて実利をもたらす中国との関係強化を考慮せざるを得ない、というのが実情でしょう。
外務省によると、当時訪日したのは「中央アジア+日本」対話の枠組みに参加する旧ソ連のカザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、トルクメニスタン、タジキスタンの5カ国の外相。
中国はわずか30年で中央アジアにおいてロシアを圧倒し、しかもロシアには反対する余裕もない状態を実現したと言えます。穿った見方をすれば、昨年2月4日の中露「無限の協力」宣言と、ロシアのウクライナ侵略に対して歯止めをかけない中国の態度は、ロシアに先に侵攻させて国力と影響力を削ぎ、同時にウクライナを援助する米欧の国力も削ぎ、中国が安心してその後を埋めるための計だったのではないかとすら思えます。
とはいいながら、中央アジア諸国の発想の根底にあるのは、なるべく多角的に協力者を求めて安全保障を図るという発想です。世界中が疫病禍からほぼ抜け出した昨今、もちろん日本をはじめ開かれた規範を尊ぶ諸外国にも、中央アジア諸国との協力を拡大する余地は多大にあると思われますし、ロシアが衰退した今はむしろその好機と言えるかも知れないです。
中央アジアの国々と、日本とをパイプラインで直接結ぶことは、中国とロシアが障壁となって無理ですが、もし中央アジアの石油が、西欧諸国に中部回廊を通じてとどけられるようになれば、日本もこれを利用できる可能性がでできます。これについては、日本も関心を示しています。
林芳正外務大臣は昨年12月24日、東京都内で中央アジア5カ国の外相との会談を行い、ロシアを経由しないエネルギー資源などの国際貿易路「カスピ海ルート」や両者の人材育成における協力などについて話し合いましたた。日本外務省が発表しました。(写真下)
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会談後の記者会見で林外相は、「厳しい国際情勢を踏まえ、ロシアを経由しない国際輸送路である『カスピ海ルート』について意見交換を行った」と述べました。
また、中央アジアの持続可能な発展に向け、「人への投資」や「成長の質」などに重点を置いた新たな発展モデルを推進していく考えを示しました。
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日本は中央アジア諸国に対してこれからも、支援をしていくべきでしょう。
特にカザフスタンはポテンシャルの高い国です。 カザフスタンは中央アジアで最大の経済力を持ち、2021年のGDPは1740億ドルに達します。同国の経済は、石油、ガス、ウランなどの天然資源のほか、農業や製造業を基盤としています。カザフスタンは一人当たりのGDPが高く、経済は安定的に成長しています。
さらに、カザフスタンの軍事予算は中央アジアで最も多く、2021年には24億ドルに達します。同国の軍隊は装備と訓練が充実しており、国境を守り、侵略を抑止する能力があります。カザフスタンは、旧ソ連6共和国の軍事同盟である集団安全保障条約機構(CSTO)に加盟しています。
カザフスタンの経済的、軍事的潜在力は中央アジアにおける重要なプレーヤーにさせています。この地域の経済発展と安全保障において、主導的な役割を果たすことができる位置にあります。
日本としては、カザフスタンを支援し、カザフスタンが強国になれば、西と東で中国を挟む形になり、安全保障上も有利になります。
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