2023年6月2日金曜日

岸田政権への逆風と解散戦略 政治の一寸先は闇、長男・翔太郎氏の更迭で当面の応急処置 維新は公明等を牽制し存在感示す―【私の論評】自民は、強い経済を作り出し政権を安定させる方向に進むべき(゚д゚)!

高橋洋一「日本の解き方」

岸田総理(左)と祥太朗秘書官(右)

 岸田文雄政権は広島G7サミットの成功によって追い風を受けていましたが、長男の公邸写真流出や公明党との選挙協力問題、少子化対策での負担増などで逆風が強まっています。

 これにより、衆院解散戦略に影響が出る可能性もあります。岸田内閣の支持率は世論調査によって異なりますが、一般的には下がっている傾向があります。

 サミット後の世論調査では、政党支持率も下がっており、サミット効果は失われたと考えられます。岸田政権はいくつかの問題に直面しており、これからの状況を見ながら国会対応を行うことになるでしょう。

 長男の公邸写真流出は大きな打撃となりましたが、政府は迅速に対応しました。

 選挙協力に関しては、公明党の支援が少なくなる可能性があり、これによって自民党議員にも影響が出るかもしれません。

 保守系支持者の中には、公明党との関係を見直すべきだという意見もあります。公明党との対立が解消されるまで、解散が難しくなるとの見方もあります。岸田首相と吉村洋文大阪府知事の面会は、政治的に公明党に対して牽制するタイミングとなりました。

これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、要約をご覧下さい。

【私の論評】自民は、強い経済を作り出し政権を安定させる方向に進むべき(゚д゚)!

祥太朗問題とは別に、自民党と公明党の間で「10増10減」を巡る対立が続いていることが岸田首相を悩ませているようです。


公明党は次回の衆院選で東京の選挙区が増えることに対し、東京28区に公明候補を立てるよう要求していたのですが、自民党は認めませんでした。公明党は28区の擁立を断念し、一方で自民党の東京都内の候補を推薦しない方針を伝えました。ただ、この対立の影響は限定的とされ、選挙では両党の間で水面下での協力が行われる可能性があります。

夏に総選挙が行われる可能性もあり、首相はサプライズが好きであり、自公の混乱や翔太郎氏の問題を解決し、解散に向けた動きを悟られないようにしながら、6月に解散し、7月に総選挙を行う可能性があるとされています。

一方、野党第一党の立憲民主党ではあきらめムードや党の分裂の危機感が漂っており、次の衆院選で150議席を確保しなければ代表が辞任する考えが明言されています。しかし、立憲民主党の支持率は低く、党内では衆院選後に代表の引責辞任が予定されています。

与野党ともに衆院選に向けて浮足立っており、国民の課題に対する取り組みが後退している状況が指摘されています。

昨日は、岸田文雄首相が「異次元の少子化対策」の裏付けとなる具体的な財源確保策の結論を年末に先送りしたようです。昨年末の防衛増税論議に続く持ち越しで、国民の負担増に対する与党の根強い反発を考慮したとみられます。衆院解散・総選挙の時期に注目が集まる中、自民党内では選挙で争点になることを避けたのではとの見方も出ています。

首相は昨年末、防衛力の抜本的強化に要する財源に関し、税目と税率、増税時期を一体的に決定する方針でした。ところが、与党から反対論が相次ぎ、増税時期を曖昧にして一応の決着を図った経緯があります。

岸田首相は、増税すると自民党内からも、国民からも反発を受けると認識しているようです。であれば、増税などしばらく止めてしまえば良いのではと思ってしまいます。

自民党は過去60年の大半を政権を担ってきたため、自民党の政治家の多くは、経済の状態に関係なく選挙に勝てると考えており、自己満足に陥っているのかもしれません。

しかし、経済が弱いと、政権は弱体化することを多くの政治家が間近にみてきたはずです。

2001年から民主党の野田首相まで、日本の首相は極めて頻繁に交代しました。特に、小泉純一郎首相が退陣した2006年以来、ほぼ1年に1人のペースで首相が入れ替わってきました。

もともと自由民主党政権時代から、ほぼ2年で交代することが多かったのですが、当時は自民党政権は永久政権と考えられていたため、政権交代のないままで定期的に首相を交代させる必要があったからかもしれません。一種、「派閥間の暗黙の合意に基づくたらい回し」の面があったともいえます。

しかし、1990年代に入って自民党の盤石と思われた体制が崩れ始め、小泉首相を最後に、その後すべての政権が1年くらいで、自民も、民主も崩壊を繰り返す事になりました。

1990年代というと、1993年の東京サミットは、7月7~9日の3日間で予定されていましたが、宮沢喜一首相は、内閣不信任決議が可決されたことを受け、サミット直前の6月18日に解散。サミット直後の7月18日に投票された結果、自民党は223議席で過半数を割り込みました。

そうして、非自民8党派による連立政権(細川護熙内閣)が発足し、自民党は初めて下野することとなったのです。ちなみに1993年にはいわゆるバブル崩壊の年にあたっています。

自民・公明が連立政権を組む前の年である、1998年度に日本経済は、主要な需要項目が前年を下回り、大部分の業種が減収減益に見舞われる「日本列島総不況」に陥りました。

 こうした需要の低迷を背景に物価も弱含みとなり、物価の下落が企業経営の悪化や雇用の減少を招き、それがさらに景気を悪くする「デフレ・スパイラル」に陥る可能性さえ考えられ状態になり、実際その後日本はそうなりました。

日本経済が、このような状態になったのは、バブル期に確かに株価や地下はうなぎ登りでしたが、一般物価の上昇はさほどでもなかったのに、日銀官僚の誤謬によって、すべきでなかった金融引締に転じ、政府も緊縮財政に舵を切るなど、マクロ経済政策が間違ってしまったせいです。

経済の悪化は自民にも相当影を落とし、支持率が低迷し連立しないと過半数を取れないような状況になってしまったのです。

選挙は水物と言われます。何が起きるかは分からないです。1998年の参院選は予想とは異なる展開になりました。

96年に村山富市氏の後を継いで首相に就いた橋本龍太郎首相は改革志向を鮮明にしました。行政改革、財政構造改革、金融制度改革、経済構造改革、社会保障制度改革、教育改革を「6大改革」としました。国民の人気がなかったわけではありません。

橋本龍太郎氏

参院選で自民党は事前に60議席前後を確保すると予測されていましたが、ふたを開けると44議席にとどまり大敗しました。金融不安に加え「恒久減税」をめぐる橋本首相の発言のぶれが有権者の離反を招いたとされ、橋本首相は退陣しました。

選挙直前に結党した民主党は27議席と躍進。自民の対抗勢力として地歩を固めていくことになりました。

橋本首相が選挙で勝てなかったのは、1998年度に日本経済は、主要な需要項目が前年を下回り、大部分の業種が減収減益に見舞われる「日本列島総不況」に陥ったことが影を落としていたのは間違いないです。そうして、自民党が単独で過半数を取ることさえ難しくなったため、自公連立をすることになったのです。

結局何かの改革をしようが、憲法改正を声高に叫ぼうが、景気が悪ければ、政権の維持は難しいのです。なぜかこのことに、多くの政治家が気づいていないようです。

以前このブログに示したように、強い経済は政権の維持をするのにかなり重要なファクターであることは間違いないです。景気が良ければ、あるいは景気は循環しますから、景気が悪くなることがあっても、それがさほど悪くなく、すぐに回復するということであれば、多くの国民は安定を一番に考えますから、与党を支持するのです。

現実に、安倍首相は第一次安倍政権のときには、経済が回復せず、短期政権で終わっています。安倍氏は、第一次政権の失敗は、経済であると見抜いたのでしょう。第二次安倍政権ではアベノミックスを打ち出し、積極財政、金融緩和を行い、経済を上向きにさせることに成功しました。

積極財政は、結局二度にわたる消費税増税でうまくはいきませんでしたが、金融緩和は今にいたるまで継続され、第二次安倍政権では、雇用が劇的に改善しました。これもあって、安倍政権は憲政史上最長の政権になったのでしょう。

ちなみに、経済対策は雇用が良ければ、合格だといえます。他の指標が良くても、雇用がよくならなければ、合格とはいえません。安倍政権は経済対策では、合格点だったのです。

強い経済と安定した政権との間には相関関係があることを示す証拠は数多く存在します。

例えば、ピュー・リサーチ・センターの研究によると、"国内の物事の進め方に対する国民の満足度は、経済の状態と密接に関連している "という結果が得られています。また、この研究では、"経済がうまくいっているとき、人々は大統領の仕事を承認する可能性が高い "ということもわかっています。

ブルッキングス研究所による別の研究では、"経済成長と政治的安定の間には強い関係がある "とされています。この研究では、"経済成長率が高い国は、政治的な不安定さを経験する可能性が低い "とされています。

強い経済は、政府に必要な資金を提供し、インフラを維持することを可能にします。強い経済は、人々に雇用と機会を創出し、社会不安を軽減するのに役立ちます。

強い経済は、政府に正当性を与え、反対派が政府の権威に挑戦することをより困難にします。

岸田首相は、このことを理解すべきです。政権を維持し安定化させるためには、自公連携を強化したり、増税をなるべき先送りにしたり、効果が上がることが期待できそうもない「新しい資本主義」、「異次元の少子化対策」を提唱するような、姑息なことをしても無駄です。

王道は、安倍総理のように、経済を良くすることです。安倍総理は雇用を劇的に改善しましたが、岸田首相はこれは、継承し、安倍総理ができなかった、本格的な積極財政を実行すべきです。

先日も述べたように、現状では、大きなリターンが予想される、子どもへの投資や、防衛防衛費増を増税で賄うのではなく、大量の国債を発行しそれで、投資をすることです。これは、将来のリターンだけではなく、現状の20兆円近くの需給ギャップを埋めることになり、すぐに効果があらわれます。

これをしただけでも、政権はかなり安定するでしょう。

そうして、その後も果敢に、積極財政、金融緩和政策を継続し、日本経済を強くすべきです。その過程で、日本の経済対策の非効率さや利権を生み出している、ほとんどの対策を補助金で行うという方式から、欧米などで主流になっている減税策を多用する方式に転換すべきです。

その他諸々の不合理や非効率を廃し、それを背景に外交では安倍路線を継承し、さらに発展させ、憲法改正を成し遂げるなどのことも実行すべきです。

経済が強いことは、他にも副産物があります。たとえば、日本が高度成長した後には、当時のソ連の影響力はほとんどなくなりました。これはソ連の工作員に扇動され、反政府行動をしたり、その他の活動をするよりも、普通にまともに働いて生活したほうが、より幸せになれると多くの人々が判断したからでしょう。

日本でも他国のように、20 〜30年もすれば、同じ職場で同じ職位で働いていても、賃金が倍増することが期待できれば、考え方が全く変わってくるでしょう。人生設計も夢のあるものに変わってくるはずです。そうなれば、少子化問題など何もしなくても、自動的に解決するかもしれません。

現在日本の経済が再び強くなれば、中国からの影響も受けにくくなります。インバウンドなど誰もあてにしなくなります。いまもそうなのですが、日本人の観光客のほうが、観光地で消費をしますが、それがかなり増えるでしょう。観光地を訪れる頻度も増えるでしょう。地価や株価が再びあがりはじめ、得体のしれない中国系企業などに土地を売るくらいなら、自分でもっていて値上がりすれば、自分で売ろうと考えるようなるでしょう。

本格的に強い経済を作り出せば、岸田政権は安定し、憲法改正はもとより、懸案になっているいくつもの案件を成就することもできるでしょう。

しかし、いくら目先で増税を先送りしても、いずれ増税ということになれば、岸田政権は確実に不安定化します。そんなことより、強い経済に目を向けるべきてす。そうして、それは、長あいだ財務省や日銀がマクロ経済政策を間違え続けてきた日本では十分可能です。

岸田首相は、「増税は経済が過熱するまでやめます。金融緩和も、経済が過熱するまで継続します。子どもや若者に対する投資や防衛費増や公共工事などでもリターンの大きい投資に関しては、国債を用いてどんどん投資します。日本を希望に満ちた明るい国につくりかえていきます」と公言し、それを実行していけば、その過程で、岸田政権に対する支持率はうなぎのぼりで上がっていくことでしょう。

もちろん選挙でも公明や維新や国民などと連立しなくても勝つことができるようになるでしょう。連立などしなくても、単独で過半数以上をとれるなら、しないほうが良いに決まっています。

自民党の中でも、積極財政派の方々もいらしゃいますが、その方々ももっと「強い経済が、政権を安定させる」ことを強調し、岸田政権が安定し、長期政権になるために自分たちは動いているということを首相に理解していただくようにすべきと思います。

一番恐れなければならないのは、岸田政権が終わった後、小石河政権が続き、その後さらに林、茂木政権等が成立しても、どの政権も1年前後で終わってしまい、政権が弱体化し、また多数の政党による連立政権ができあがるような事態です。

総理大臣がコロコ変わるだけで、外交で安倍元総理が築き上げてきた、アベノレガシーは崩れるでしょう。政権が弱体化し、憲法改正はできなくなります。

挙句の果てに、上記のポスト岸田の面々は、経済に疎いので、今後何十年も日本人の賃金はあがらないかもしれません。財政でも緊縮に緊縮を重ねて、とんでもないことになるかもしれません。有能な若者は、前途を悲観して、海外に移住するようになるかもしれません。そんな事態だけは避けていただきたいものです。そのためにも、強い経済を築くべきなのです。

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