日本政府は、5月23日に先端半導体の製造装置など23品目を輸出管理の対象に追加した。追加された品目のほとんどは半導体の製造装置と部品であり、洗浄や薄膜形成、回路焼き付け、エッチング、検査などの工程に関連している。背景として、経済産業省は国際的な安全保障環境の厳しさや軍事転用の防止を目的として、最新の輸出管理動向などを総合的に勘案し、特定の貨物と技術を輸出管理の対象に追加したと説明している。
中国商務省は、日本政府の決定を輸出管理の乱用として批判し、自由貿易や国際的な貿易ルールから逸脱していると述べた。
専門家や投資業界関係者の意見によると、日本政府の規制強化は中国の半導体産業にどの程度の影響を及ぼすかは不明ですが、規制対象は回路線幅14nm以下の先端半導体の製造装置に限られており、材料などは含まれていないため、影響は小さい可能性がある。ただし、規制の運用次第で規制が成熟プロセスにまで拡大する可能性もあると指摘されている。
また、中国の半導体メーカーは規制強化を見越して予備の装置や材料を大量に買い付けており、短期的には影響は大きくないとされているが、長期的には中国の半導体産業は国産の製造装置を開発し、輸入装置の代替能力が問われることになるかもしれない。
これは、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になってください。
【私の論評】最近の国内半導体製造業の旺盛な投資性向は、リターンが見込めるから。岸田首相もこれを見習え(゚д゚)!
米国が18ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)DRAM、14ナノメートル以下のシステム半導体など先端半導体の輸出だけ規制するのに対し、日本は45ナノメートル級汎用半導体製造に使われる露光装備などまで輸出規制に含むとみられるためです。もし汎用半導体製造にまで支障が出るならば中国企業は洗濯機などの家電製品から自動車に至るまで多様な製品生産に打撃を受けるほかありません。
半導体露光装置 |
また、こうした日本政府の動きがオランダと米国の今後の歩みに影響を与える可能性もありまう。オランダは7月に関連規制を出す予定です。
このため中国半導体産業協会は先月、「日本が制限する輸出装備の範囲がとても広範囲で、成熟した半導体技術供給網に影響を及ぼしかねない。日本が日中半導体産業間の協力的な関係を破壊しようとするならば中国政府が断固とした対応措置を取ってほしい」という内容の声明を出しました。
中国商務部も23日、「日本政府の措置は輸出管理措置の乱用であり自由貿易と国際経済・貿易規則に深刻に反するもので、これに対し断固として反対する」として即時是正を要求しました。これと関連し日経新聞は、中国が米国の半導体輸出規制に対して世界貿易機関(WTO)に提訴したように日本にも同様の行動を取る可能性があると予想しています。
一方、人工知能(AI)用先端半導体分野で世界1位の米エヌビディアのジェンスン・フアン(台湾系米国人)最高経営責任者(CEO)は24日に報道されたフィナンシャル・タイムズとのインタビューで、「米国と中国間の半導体戦争が米国のテック産業に途轍もない被害を与える恐れがある」と話しました。
ファンCEOは「バイデン政権が中国の半導体産業牽制に向け実施した輸出統制でシリコンバレーの企業は後ろ手に縛られた状態。米国のテック業界で3分の1を占める中国市場を失えばわれわれは米国にこれ以上半導体工場を作る必要がない」と話しました。バイデン政権が自国内に半導体工場を作らせるためにCHIPS法を通じた大々的な支援を施行中ですが、対中輸出制裁でこの政策が無用の物になりかねないという警告です。
ただ、私はそのようなことにはならないと思います。AIの進歩が半導体の需要をさらに高めることが予想されるからです。
まずAIは、新しい製品やサービスの開発に活用されています。AIは、医療、金融、交通、製造など幅広い業界で、新しい製品やサービスの開発に利用されています。これらの新しい製品やサービスには、それを支える半導体が必要です。
例えば、自動運転車の開発にはAIが使われていますが、センサーからのデータを処理し、リアルタイムで意思決定を行うためには、多くのコンピューティングパワーが必要です。
さらに、既存の製品やサービスを改善するためにAIが活用されています。例えば、医療診断の精度向上、金融取引アルゴリズムの効率化、交通システムの安全性向上などに、AIが活用されています。こうした改善には、より強力な半導体が必要です。
さらに、AIはより広く普及しています。企業や消費者がAIを搭載した製品やサービスの利点を実感していることから、AIはより広まりつつあります。AIがより普及するにつれて、半導体の需要はさらに増加し続けることでしょう。
この主張の出典は、半導体産業協会(SIA)の報告書です。SIAは、世界の半導体業界を代表する業界団体です。「2022年の半導体産業」と題されたこの報告書は、2022年の世界の半導体市場が10.3%成長すると予測しています。同レポートは、この成長の要因として、AIを活用した製品やサービスの継続的な導入など、さまざまな要因を挙げています。
結論として、AIの進歩は半導体の需要をさらに促進すると予想されます。これは、AIが新しい製品やサービスの創出、既存の製品やサービスの改善、普及に活用されているためです。その結果、半導体の需要は今後も伸び続けると予想されます。
今後、AIの進歩はさらに半導体の需要を増していくことになるでしょう。たとえ米国のテック業界で3分の1を占める中国市場を失えば、米国にこれ以上半導体工場を作る必要がないという予想は間違いではないかと思います。
米国は世界の半導体産業における主要なプレーヤーです。米国には、インテル、クアルコム、Nvidiaなど、世界有数の半導体企業があります。これらの企業は、スマートフォン、コンピュータ、自動車など、さまざまな製品に使用される半導体を設計・製造しています。
米国政府は、半導体サプライチェーンの安全性に懸念を抱いています。米国政府は、米国が半導体を中国などの外国に依存しすぎていることを懸念しています。この懸念は、中国が半導体へのアクセスを利用して米国企業から知的財産を盗んでいると非難されている事実によって高まっています。
バイデン政権は、CHIPS法の一環として、半導体産業への520億ドルの投資を提案しています。この投資は、米国内でより多くの半導体工場を建設し、半導体産業での雇用を創出するのに役立つことでしょう。
AIの進歩が半導体需要を喚起している具体例をいくつか紹介します。
たとえば、自動運転車です。センサーからのデータを処理し、リアルタイムで意思決定を行うには、多くのコンピューティング・パワーが必要です。このコンピューティングパワーを提供するのが半導体です。
バーチャルアシスタント Amazon AlexaやGoogle Assistantに代表される仮想アシスタントの普及はますます進んでいます。これらのバーチャルアシスタントは、自然言語を処理し、応答を生成するために強力な半導体を必要とします。
ロボティクスもまた、AIが大きな影響を及ぼしている分野です。製造業、医療、物流など、幅広い産業でロボットの活用が進んでいます。これらのロボットを動かすには、半導体が必要です。
AI技術の発展が進むにつれ、半導体の需要はさらに高まると予想されます。なぜなら、AIは新しい製品やサービスの創造、既存の製品やサービスの改善、そして普及に活用されるからです。そのため、米国のハイテク産業は、需要の拡大に対応するために、米国内に多くの半導体工場を建設する必要があります。中国が製造できないというなら、なおさら必要になります。
そうして、これは米国だけではなく、日本も同じことです。
日本における半導体工場設立の近況を紹介します。
千歳市が工場に選ばれた理由は、インフラが整っており、東北新幹線の高速鉄道路線に近いことです。また、同市には熟練した労働力があり、政府も協力的です。
千歳市での半導体工場の設立は、日本の半導体産業にとって大きな後押しとなる。この工場は、多くの産業に不可欠な半導体の安定供給を確保するのに役立ちます。また、この工場は雇用を創出し、日本経済を活性化させるでしょう。
サムスンは、日本に新しいチップ開発施設を建設する予定です。この施設は横浜市に建設され、1,000人以上の雇用を創出する予定です。サムスンはこのプロジェクトにいくら投資するかはまだ発表していません。
東京エレクトロンは、日本に新しいチップ装置工場を建設します。この工場は大分市に建設され、200人以上の雇用が創出される見込みです。東京エレクトロンは、このプロジェクトへの投資額をまだ発表していません。
ジャパン・アドバンスト・セミコンダクター・マニュファクチャリング(JASM)は、日本で新しいチップ製造工場を建設しています。この工場は熊本市に建設され、1,700人以上の雇用が創出される予定です。JASMは、台湾のチップメーカーTSMCと日本のソニー、デンソーの合弁会社です。この工場は2024年に生産を開始する予定です。
TSMCの熊本新工場 |
これらは、日本における半導体工場設立の最近の動きのほんの一部です。日本政府は、国内生産を促進し、輸入への依存度を下げるために、半導体メーカーに補助金を支給しています。また、政府は、半導体産業への外国投資の誘致にも取り組んでいます。
世界の半導体市場は、今後数年間で大きく成長すると予想されます。この成長は、スマートフォン、コンピューター、自動車、産業機器など幅広い製品における半導体の需要の高まりによってもたらされています。日本は強力な製造基盤と熟練した労働力を有しているため、この成長の恩恵を受けるのに有利な立場にあります。
日本に新しい半導体工場が設立されることは、日本が半導体を安定的に供給できるようにすることにつながります。半導体は多くの産業にとって不可欠なものであるため、これは日本の経済的安全保障にとって重要です。また、新しい工場は雇用を創出し、日本経済を活性化させるでしょう。
日本の半導体企業は、中国が半導体製造ができなくなることを見込んでいることと、これから反動大重要はますます旺盛になることを見込んで、大型投資をどんどん実施しようとしています。
私は、最近の株価がバブル後の最高値が続いている、背景にはもちろんこうした事があるからだと思います。これに関しては、政府の動きは全く関係ないと思います。というより、政府の動きはマイナスに作用するだけだと思います。
先日もこのブログに述べたように、現状では、子どもへの投資、防衛費増は、明らかに日本ではリターンがかなり高く、であれば、財源は増税や保険料の値上げなどではなく、国債を発行して賄うべきなのですが、政府は何かというと「増税」ばかりしようと考えているようです。
半導体製造業の今回の工場新設には、無論銀行などからお金を借りるなどの手段を講じて行うのでしょう。多額の借金をしたとしても、十分リターンがあるし、意義のある事業であるからこそそのような挑戦をするのです。政府のように少子化対策や防衛費増額の、財源を税金で賄うということは、企業でいえば、大事業を内部資金だけで賄うようなものです。
確実にリターンが期待できる投資に、内部資金だけで行うのは全くばかけています。政府も半導体製造業と同じく、リターンが期待できる投資には、財源として国債をあてるべきです。
リターンが期待できる投資は、お金を借りて実行するというというのは、社会常識です。金融機関からお金が借りられるということは、企業の信用もありますが、投資が大きなリターンを生むと金融機関も理解するから、貸すのです。
岸田首相や、財務省や多くの政治家は、これを理解していないようです。彼らには、満足に企業経営もできないでしょう。満足に企業経営もできない人が、政府を運営するのは難しいです。ビジネスセンスのない人には、任せられないです。
岸田首相は、今回の半導体製造業の矢継ぎ早の投資の意味を良く考えて、そろそろ、財源に税金ばかりを用いるのは、間違いであることを理解していただきたいものです。
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