2023年5月27日土曜日

岸田首相、金正恩氏との首脳会談に意欲 北朝鮮拉致問題の集会で―【私の論評】岸田首相は、拉致問題に地道に取り組みながらも日本経済を成長軌道にのせる方向に転換すべき(゚д゚)!

岸田首相、金正恩氏との首脳会談に意欲 北朝鮮拉致問題の集会で

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 岸田文雄首相は27日、東京都内で北朝鮮による拉致問題の「国民大集会」に出席し、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記との首脳会談実現に意欲を示しました。

 首相は「首脳会談を早期に実現するため、私(首相)直轄のハイレベルで協議を行っていきたい」と表明しました。

 集会には横田めぐみさんの母である早紀江さん(87)も登壇し、「被害者を必ず親の元に連れ戻してあげたい。それだけを今日まで祈ってきた」と早期解決を訴えました。

これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、是非元記事をご覧になってください。

【私の論評】岸田首相は、拉致問題に地道に取り組みながらも日本経済を成長軌道にのせる方向に転換すべき(゚д゚)!

拉致問題の解決には、以下の三つを実現する必要があります。 (1)全ての拉致被害者の安全を確保し、すぐに帰国させること。 (2)北朝鮮が、拉致被害の真相を明らかにすること。 (3)北朝鮮が、拉致を実行した者を日本に引き渡すこと。

これができて、初めて拉致の解決であるといえます。これを考えると、岸田首相は金正恩との首脳会談に前向きな姿勢を示していますが、現状ではなかなかうまくいかないと思われる理由がいくつもあります。

北朝鮮の核・ミサイル開発は、日本および国際社会にとって依然として大きな懸念事項であるす。北朝鮮はこれまで何度か核実験を行い、日本に到達しうるものを含む数十発の弾道ミサイルを発射してきました。米国とその同盟国は、北朝鮮に核・ミサイル開発の放棄を迫るため、制裁を課していますが、その効果には疑問が残ります。

次に、北朝鮮の人権記録はひどいものです。国連は、北朝鮮が強制労働、拷問、恣意的な拘束を含む人道に対する罪を犯していると非難しています。北朝鮮はこれらの疑惑を否定しているが、疑惑を裏付ける証拠が数多く指摘されています。

さらに、北朝鮮は約束を破った歴史があります。2002年、北朝鮮の金正日総書記は日本人拉致被害者全員の返還を約束したが、返還されたのはわずか5人に過ぎませんでした。

2002年返還された5人の拉致被害者

北朝鮮はかなりの秘密主義の国です。北朝鮮の真意を知ることは難しく、金正恩が日本との真の関係改善には関心がない可能性もあります。

そうして米国は、岸田首相と金正恩の首脳会談に反対する可能性が高いです。米国は、北朝鮮が外交的関与に報いる前に、まず非核化のための具体的な措置を講じなければならないと考えています。

これらのことから、岸田首相と金正恩氏との首脳会談が、日本と北朝鮮を隔てる問題の解決に成功する可能性は低いです。しかし、日朝間のコミュニケーションを改善し、将来の交渉のための土台を作ることは可能かもしれません。

しかし、拉致問題はこれからも取り組んでいくべき課題であるのは間違いないです。ただ、最近外交でたて続けに成果をあげ、政権支持率をあげている岸田酒首相が拉致問題でも成果をあげ、政権の安定につなげようとしているとしたら、それはお門違いといえます。

そもそも、外交の成功は必ずしも政権の安定に結びつかないことは昨日の記事でも述べたばかりです。

過去に岸田首相の出身派閥の首相であった大平首相、宮沢首相はともにサミット後に選挙に踏み切りましたが、惨敗しています。

ともに首相のときにサミット前後で解散総選挙をし惨敗した大平氏(左)と宮沢氏(右)

1979年、日本が初めて開催国となった東京サミットは、6月28~29日の2日間。大平正芳首相(当時・以下同)はサミット後の9月7日、衆院解散に踏み切りました。 首相就任後初となる総選挙で、大平首相は一般消費税導入を掲げたものの、党内外から反発を受け、選挙中に導入を断念。10月7日に投票された結果は、自民党が過半数に届かない248議席で惨敗しました。

ちなみに、1973年に第四次中東戦争を機に第1次オイルショックが始まり(~1977年3月まで)、1978年にはイラン革命を機に第2次オイルショック(~1983年3月まで)が始まりました。 
1993年の東京サミットは、7月7~9日の3日間で予定されていましたが、宮沢喜一首相は、内閣不信任決議が可決されたことを受け、サミット直前の6月18日に解散。サミット直後の7月18日に投票された結果、自民党は223議席で過半数を割り込みました。非自民8党派による連立政権(細川護熙内閣)が発足し、自民党は初めて下野することとなったのです。ちなみに1993年にはいわゆるバブル崩壊の年にあたっています。

1993年非自民8党派による連立政権成立

外交で一定の成果を収めたからそれが、すぐに政権の安定に寄与するとは限らないのです。やはり、昨日も述べたように経済が伸びていることが政権の安定にとって重要なファクターであるといえます。

岸田首相も、政権を安定させたいなら、安倍首相のように拉致問題に地道に取り組みながらも、国内最大の問題でありつづけている日本経済を成長軌道にのせる方向に、方向転換すべきです。政権を維持するには、結局これが、近道なのです。どうして、多くの政治家がこれに気づかないのか不思議です。これは、素直に考えれば、誰もが理解できると思います。安倍元総理とほんの一部の政治家だけが、これを本当に理解しているようです。

積極財政派といわれる議員も、どれだけまともにマクロ経済を把握しているのか、私は甚だ疑問です。これを理解せずに、選挙や政権維持に不利になるから、増税などに反対しているというがほとんどの議員のじったいなのではないでしょうか。

それに、岸田政権の現在の外交成果は、安倍政権の成果の延長線上にあることを岸田首相は忘れべきではありません。安倍首相は、3年以上もの民主党政権の負の遺産とともに、政権を引き継ぎました。外交、安保、経済ともに負の遺産ととともに引き継いだのです。

これから比較すると、岸田首相は、安倍・菅両政権のプラスの遺産を継承したので、これまではあまり大きな障害もなく政権を運営することができました。両政権がマイナスと評価するのは、愚かなマスコミの印象操作にすぎません。

現実には、両政権で合計100兆円もの補正予算を組んでコロナ対策を実施し、日本固有の制度でもある、雇用調整助成金制度を用いたため、他国では失業率がかなり上昇したにも関わらず、日本ではコロナ禍中でさえ失業率は2%台で推移していました。

岸田政権はしかし、今後は両政府のプラスの遺産を使い果たす時期にはいります。雇用調整助成金の適用も終わり、これからは半年の雇用状況の実情が反映されるようになります。まともな経済政策を行わなければ、失業率が上がるようになります。外交での成果だけでは、これからは国民は納得しなくなるでしょう。

仮に金正恩との首脳会談が成立したとしても、具体的な成果をかなりあげなけば、かえって支持率は下がるてしょう。他で外交成果をさらに上げたとしても、もう政権安定には結びつかないでしょう。もうこれからは、外交の成果だけでは、あまり注目を浴びず岸田政権は国民から見放されるかもしれません。

外交に力を入れてばかりで、国内をなおざりにし、さらにしなくても良い増税などで財務省を大喜びさせる一方で、国内産業や国民をないがしろにすれば、政権が不安定化し、岸田政権どころか、自民党自体が下野することもあり得ることを念頭において岸田首相は、政権運営をすべきです。

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