ウクライナと国境を接するロシア・ブリャンスク州で2日夜、爆発が起こり、貨物列車が脱線しました。ブリャンスク州では前日も爆発による列車の脱線が起きたばかりでした。
タス通信などによりますと、ブリャンスクの州都に近い駅の付近で2日夜、爆発が起き、貨物列車およそ20両が脱線したということです。けが人はいませんでしたが、当局は何者かが意図的に爆発物を仕掛けたものとみて、調べています。
ブリャンスク州では前日も爆発により、ベラルーシから石油製品などを運んでいた貨物列車が脱線していて、ロシア当局は破壊工作とみて調べています。
ブリャンスクでは今年3月、ウクライナから侵入したとみられるグループが、市民2人を殺害する事件が起きていて、プーチン大統領は、テロとの見方を示していました。
【私の論評】あらゆる兆候が、ウクライナ軍の反転大攻勢が近く始まることを示している(゚д゚)!
ウクライナのロシア侵攻は、現状では東部と南部に限定されています。であれば、こちらの地域の鉄道を破壊するならわかりますが、なせブリャンスク州なのでしょうか。
3月には武装集団がウクライナから国境を越えてブリャンスク州西部の村を襲撃。直後にロシアからウクライナに移住した極右活動家が率いる組織が犯行声明を出すなど、不穏な事態が相次いでいます。これをロシア側は「ウクライナ側」の仕業としましたが、ウクライナ側は否定しています。
上の記事にもあるように、前日の1日にも、ブリャンスク州で同様の爆発が起きていました。ボゴマズ州知事は1日、テレグラムを通じて「ブリャンスクとウネーチャをつなぐ線路の136キロ地点で午前10時17分頃、正体不明の爆発装置が炸裂し、貨物列車が脱線した」と伝えました。
この事故でも人命被害はありませんでしたが、事故現場の写真を見ると、線路脇の草むらに倒れた列車に火がつき、煙が立ち上る様子が確認できる。この列車は石油と建築資材を運んでいたといいます。
同日、ロシアの第2の都市サンクトペテルブルクから南に60キロ離れたスサニノ村の近くでは、送電塔が破壊された。レニングラード州のアレクサンドル・ドロスデンコ州知事は、一晩の間に送電塔1基が爆破され、他の送電塔近くでも爆発装置が発見されたと明らかにした。ロシア当局はソーシャルメディアとマスコミを通じてこのニュースを伝えたが、誰の仕業かについては言及しなかった。
ブリャンスク州は、ロシア西部に位置し、ベラルーシ、ウクライナと国境を接する地域である。モスクワと西ヨーロッパ、ロシアとウクライナを結ぶ主要な交通路に位置し、戦略的な立地です。
ソ連時代、ブリャンスク州は軍事兵站の重要な拠点として、西部戦線への兵員や物資の輸送の拠点となっていました。ソビエト連邦崩壊後、この地域の軍事的プレゼンスは低下しましたが、輸送インフラは維持されたままでした。
近年、ロシア軍はブリャンスク州のインフラに投資し、物流能力を向上させているとの報告があります。鉄道や道路網の拡張、保管施設や物流センターの新設などです。
ロシアのウクライナ侵攻において、ブリャンスク州が兵員や物資を前線に輸送するための物流拠点として機能する可能性はあります。ただ、先にも述べたように、現状の戦線はウクライナ東部、南部に集中しています。
旧ソ連による対独戦勝記念日である5月9日にモスクワの「赤の広場」で行う軍事パレードに、外国の首脳が一人も出席しない見通しとなりました。露大統領報道官が4月末、ロシア通信などに明らかにしました。
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近年、ロシア軍はブリャンスク州のインフラに投資し、物流能力を向上させているとの報告があります。鉄道や道路網の拡張、保管施設や物流センターの新設などです。
ロシアのウクライナ侵攻において、ブリャンスク州が兵員や物資を前線に輸送するための物流拠点として機能する可能性はあります。ただ、先にも述べたように、現状の戦線はウクライナ東部、南部に集中しています。
ただ、懸念されるのは、ロシアのプーチン大統領は昨年12月、ベラルーシのルカシェンコ大統領との会談で両国軍の合同演習の継続で一致するなど、ベラルーシとの結束を誇示しました。ベラルーシ国防省は6日、新たに露軍部隊が到着したとして、鉄道で運ばれてきたとみられる多数の軍用車の写真を公開しました。ベラルーシ大統領府は同日、ルカシェンコ氏が露軍部隊も駐留するウクライナ国境近くの演習場を視察したと発表しました。
ロシア軍が再度、キーフへの侵攻をする可能性も捨てきれません。その場合、ブリャンスク州がロシア軍の兵站基地になることが考えられます。しかも、ブリャンスク州はベラルーシとも国境を接しています。
ベラルーシの軍隊や軍事物資等、ブリャンスク州を経由して運ばれることも懸念されます。そのため、今回のテロはこれに対する牽制であるとも受け取れます。
ただ、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は1日の記者会見で、情報機関の分析として、ウクライナに侵攻するロシア側の兵士・戦闘員の昨年12月以降の死者数が2万人以上、負傷者数が8万人以上にのぼるとの見方を示していました。
先月29日には、2014年3月にロシアが合併を宣言したクリミア半島のロシア黒海艦隊の拠点であるセバストポリの油類貯蔵庫で、ドローンによるものとみられる攻撃で爆発が発生しました。ウクライナ軍はこれに対して、異例にもウクライナ軍の大規模反撃攻勢のための「準備過程」だったと発表しました。
ロシアはウクライナ東部ドネツク州バフムトの攻略を目指しており、ここ数カ月で死傷者数が加速度的に増加しているとみられます。これでは、ロシアにはもうすでに、ウクライナ東部・南部戦線と、キーウを狙う北部戦線のすべで攻勢に出るのはかなり難しいでしょう。
カービー氏は、ウクライナ側の死傷者数は明らかにしませんでした。ロシア側の死傷者の多くは、民間軍事会社「ワグネル」の戦闘員といいます。刑務所からリクルートされた受刑者らが、十分な戦闘訓練や指導もないままバフムトなどに投入されているとしました。
この状況だと、ブリャンスク州やクルスク州などは軍事的にはかなり手薄になっていると考えられます。これは、ロシアもしくはウクライナの武装グループが仕掛けたものでしょう。あるいは、両方かもしれません。
武装グループにとっては、まずは攻撃しやすいということがあるのでしょう。さらに、今後のウクライナ軍による大反抗が予想されるなか、ブリャンスク州で頻繁にテロを起こして、こちらのほうにロシア軍をひきつけて、少しでもウクライナに有利になるようにするという意図もあるとみえます。
軍ではない、武装グループもこれに呼応して、自分たちの裁量で、破壊活動をしている可能性があります。
モスクワの軍事政治研究センターで責任者を務めるアンドレイ・クリンチェビッチ氏は「敵軍(ウクライナ軍)は今月9日(戦勝記念日)にロシア領土深くに入る込む大規模な挑発を準備している」と述べました。
モスクワで、戦勝記念日に行う軍事パレードのリハーサルをするロシア軍(4月28日) |
同メディアは「(ウクライナは彼らの)勝利について欧米など世間の耳目を惹く動きを必要としている」と伝え、反撃の時期を戦勝記念日と予測した理由について説明しました。
同メディアは「ウクライナの反転攻勢によりロシアの都市を狙った小規模なテロ攻撃が数十回行われる可能性がある」とも予測しているとも伝えています。
参加者や登場する兵器も減らす予定で、ウクライナ侵攻の影響が、プーチン大統領が特に重視する行事にも及んでいます。
報道官は、戦勝記念日は「我々ロシア人にとっての祝日だ」と述べ、「外国首脳を招待しなかった」と説明しました。戦勝75年の節目だった2020年には米欧や日本の首脳も招待してました。
報道官は、戦勝記念日は「我々ロシア人にとっての祝日だ」と述べ、「外国首脳を招待しなかった」と説明しました。戦勝75年の節目だった2020年には米欧や日本の首脳も招待してました。
やはり、ロシアはウクライナ反転攻勢を警戒しているでしょう。さらに、軍事パレードなどもテロの対象になる可能性を懸念しているのでしょう。
実際露側は進軍を妨害する約800キロメートルにも及ぶ防衛線(塹壕)の構築を急ぎ、完成間近か、完成されいることが分かっています。露軍は、占領地域の防衛に徹することに戦術を切り替え、持久戦に持ち込む狙いとみられます。
しかし、防衛線を保つには、乱れのない指揮系統や空中戦での優位が必須条件とされ、時代がかった長大な塹壕は無用の長物と化す可能性もあります。
さらにロシアはミサイルによる奇襲攻撃を行うことで大攻勢を阻む意図を伝えるとみられるシグナルを送っています。 ロシア軍は1日未明、ウクライナ全土に3日間で2回目となるミサイル攻撃を行いました。 東部の地区で大規模な火災が発生し、当局者によると34人が負傷、住宅数十棟が損害を受けました。 ウクライナ軍は、防空部隊がロシア軍のミサイル18発のうち15発を破壊したと発表しました。
米ニューヨーク・タイムズも1日付で「ウクライナによる反転攻勢が近い徴候が相次いで捕捉された」と報じました。
ニューヨーク・タイムズは「この徴候には双方の軍事攻撃強化、ロシア軍による防衛陣地の移動、ウクライナと接するロシア西部の都市で発生した爆発による列車脱線事故なども含まれる」と伝えています。
ウクライナのレズニコフ国防相も先月28日に国営テレビに出演し「反撃の準備は最後の段階に入った」「その方法や位置、時期については指揮官たちが決めるだろう」と述べ、反転攻勢を予告しました。
これに対してロシア軍もウクライナの反転攻勢に備えるため、南部の防衛陣地に部隊を移動させています。英国の国防情報参謀部はロシアが最前線近くだけでなく、現在統制している地域でも「最も広範囲な軍事防衛システムを構築した」と説明しました。
米カペラ・スペース社の衛星写真に映し出された、ウクライナ・ザポロジエ州のロシア占領地域に築かれた3層構造の防衛線=4月11日 クリックすると拡大します |
しかし、防衛線を保つには、乱れのない指揮系統や空中戦での優位が必須条件とされ、時代がかった長大な塹壕は無用の長物と化す可能性もあります。
これらは、本当に今月9日(戦勝記念日)に反転大構成があるかどうかは別にしてウクライナ軍の反転大攻勢を近いことを示している兆候であると考えられます。
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