2023年5月10日水曜日

政府、中国大使発言に抗議 台湾巡り「日本民衆火に」―【私の論評】中国外交は習近平の胸先三寸で決まる、外交部長や大使等は他国に比較して地位も低く権限もない(゚д゚)!

政府、中国大使発言に抗議 台湾巡り「日本民衆火に」

中国の呉江浩駐日大使
 
林芳正外相は10日の衆院外務委員会で、中国の呉江浩駐日大使による台湾を巡る発言が「極めて不適切」として外交ルートを通じて抗議したと明らかにした。呉氏は4月に東京都内で開いた記者会見で、日本が台湾問題を安全保障政策と結び付ければ「日本の民衆が火の中に」引きずり込まれるなどと発言しけん制した。立憲民主党の松原仁氏への答弁。

 林氏は台湾海峡の平和と安定は日本の安全保障にとって重要だと強調。「対話により平和的に解決されることを期待するとの日本の立場を中国側に首脳レベルを含めて伝えている」と説明した。

【私の論評】中国外交は習近平の胸先三寸で決まる、外交部長や大使等は他国に比較して地位も低く権限もない(゚д゚)!

上の中国の駐日大使の発言に関しては、確かに不埒なもので、とても許容できるものではないのは確かです。ただ、中国においては外交の地位は他国と比較すれば、かなり低いことも理解しておくべきと思います。それを知った上で、上の記事を読めばまた違った見方ができると思います。

これについては、なせが日本のマスコミは報道せず、誤解を生むこともしばしばあります。

上の記事もそうです。上の記事だと、普通の国の権限のある外国の大使がとてつもない発言をしたかのように受け取る人も多いのではないかと思います。

中国では、外交の位置づけは、低いです。現在の中国の外交部長(外交トップ)である、秦剛は王毅氏の後任ですが、日本でいえば外務省の「部長レベル」とみるべきです。中国の序列からみれば、政治局員である王毅氏の方が完全に上です。

中国外交部

3月7日、中国の秦剛外相は、北京で開かれている全人代=全国人民代表大会に合わせ、就任以来初めてとなる記者会見を行いました。会見では、「米国が方針を変更しなければ衝突、対立は避けられない」と警告する一方で、関係改善も呼びかけました。敵対的とみなした相手を威嚇する「戦狼外交」の姿勢を示しています。

しかし、この発言、秦剛外相は交渉できる立場にないわけですから、結局強気な話を発信することしかできないのです。その立ち位置での発言を日本のマスコミが大きく取り上げているのは、滑稽ですらあります。そうして、それは駐日中国大使も同じことです。

中国の外交部長は、日本外相どころか、王毅氏も国家間の交渉相手とはならず、トップの習近平氏しかその立場にありません。これは独裁国家・共産圏の常であり、トップが外交で道を見誤ると大変なことになります。

習近平氏が何かを思い込んだら大変なことになりかねません。そのため米国様々な牽制球を投げ習近平の意図を探ろうとするのです。

習近平

このような中国ですから、外国大使の地位や権力は、他のいくつかの国に比べてかなり低いと考えるべきです。これは、中国が外交問題において共産党の役割をより重視する独自の政治システムを有しているためです。

大使が国家元首や政府の個人的な代表とみなされる他のいくつかの国とは異なり、中国では、外国の大使は、主に中国政府に対するそれぞれの国の代表とみなされます。駐中国大使は高官と接触でき、外交行事や交渉で自国を代表することができますが、他国の大使に比べ、中国の外交政策の決定に直接影響を与えることはほんどありません。

さらに、中国においては、外国大使の任命は中国政府の承認が必要です。つまり、中国政府は誰を駐中国大使に任命するかについて大きな支配力を持っており、政治的な理由やその他の理由で好ましくないと判断された候補者を拒否することができます。これに対して、他の多くの国では、外国大使の任命は主に派遣国の特権です。

また、中国では、外国大使と中国政府の最高意思決定者との間に、何層もの官僚機構が存在することも注目に値します。このため、大使が中国の外交政策の決定に直接影響を与えることは、ほとんどありません。

全体として、在中国大使は自国を代表し、中国政府と関わる上で重要な役割を担っていますが、その地位や影響力は他の国の大使に比べ、かなり限定的といえます。

日本等先進国の大使は、正式な名称を「特命全権大使」といいます。 互いに直接会って話す機会が限られている国のトップに代わり、自国の全権代表として条約に調印・署名できるなど大きな権限を持っています。

冨田駐米特命全権大使

要するに、中国が他国に派遣する大使も、他国から中国に派遣される大使も、中国においてはかなりランクも低く、できることは限られており、極端に言ってしまうと連絡係くらいに考えたほうが良さそうです。

上の記事も連絡係の権限もほとんどない呉江浩が、愚かな大言壮語をはいたということです。他の先進国の大使等が語ったのとは大違いです。他の先進国等の大使が同じようなことを言えば、場合によっては、断交などのこともあり得ます。そこまでいかなくなても、関係はかなり悪化することになるでしょう。

中共も、いちおう外交部や大使は、中国の顔と受け取られているのですから、ある程度まともな教育や躾などすべきでしょう。そもそも、権限もない大使であっても、「日本の民衆が火の中に」などと発言すれば、印象はかなり悪くなります。

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