ブリンケン米国務長官は22日、南太平洋のパプアニューギニアを訪問し、同国との防衛協力協定に署名した。地元メディアなどによると、協定によって米軍がパプア国内の港や空港などを利用できるようになり、双方の訓練実施も容易となる。太平洋島嶼(とうしょ)国進出を狙う中国を牽制(けんせい)する思惑がある。
ブリンケン氏は、パプアの首都ポートモレスビーでのマラぺ首相との会談で「未来を形成するために私たちが一緒に行っている仕事はこれ以上ないほど重要だ」と述べ、関係強化に意欲を示した。当初はバイデン大統領が先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)後にパプア訪問を予定していたが、債務上限問題を巡る対応のため中止し、ブリンケン氏が派遣された。
両国は外務・防衛閣僚協議(2プラス2)も開始する。米沿岸警備隊がパプアの排他的経済水域(EEZ)をパトロールする協定も締結するなど、幅広い分野で連携が強化された。
中国は昨年、ソロモン諸島と軍の駐留を可能とする安全保障協定を結ぶなど、島嶼国での影響力拡大を狙っている。米国はソロモンに大使館を開設するなどして巻き返しを図っており、島嶼国最大の人口を抱えるパプアでさらなる浸透を図る考えだ。
またインドのモディ首相も22日、ポートモレスビーで島嶼国首脳と会議を行い、支援強化を表明した。インドは今年、20カ国・地域(G20)の議長国を務める。
【私の論評】米・パプアニューギニア、ソロモン諸島が中国と安全保障関係を強める動きに対抗(゚д゚)!
米国はパプアニューギニアと防衛協力協定を締結する方向でした。5月19~21日のG7への出席後、現職米大統領として初めてパプアニューギニアへ訪問し太平洋島しょ国への関与を明確に打ち出す予定でしたが、上の記事にもあるように、バイデン大統領は債務上限問題に対処するため、帰米し、かわりにブリンケン国務長官が訪問したものてす。この動きは隣国ソロモン諸島が中国と安全保障関係を強める動きに対抗するものです。
米国は、中国に対して日本(那覇)、台湾、フィリピンを結ぶ第一列島線に加え、日本(横須賀)グアム、パプアニューギニアを結ぶ第二列島線を意識しており、有事の際の後方支援、戦闘任務の拠点となりえます。
外交的承認: 外交的承認:中国は、太平洋島嶼国での存在感と影響力を高めるために、太平洋島嶼国からの外交的承認を求めてきました。2019年にはソロモン諸島とキリバスなど、いくつかの国から承認を得ることに成功しています。
援助と開発プロジェクト: 中国は、太平洋島嶼国に対して実質的な援助と開発援助を提供しています。これらのプロジェクトには、港湾、道路、建物などのインフラ整備のほか、観光や農業などの分野への投資も含まれています。
経済的パートナーシップ: 中国は、貿易協定や投資機会を通じて、経済関係の強化を図っています。例えば、中国は2006年に中国太平洋島嶼国経済発展協力フォーラムを設立し、両国の経済協力を促進しています。
地域イニシアティブ: 中国は、太平洋諸島フォーラム(PIF)や南太平洋観光機関(SPTO)など、太平洋の地域イニシアティブに積極的に参加している。これらの組織と関わり、対話、協力、協調を促進しています。
戦略的重要性 : 太平洋の島々は、その地理的位置と天然資源から戦略的重要性を持っています。中国はこれらの国々と関わることで、重要な資源へのアクセスを確保し、海洋での影響力を拡大し、他の地域の大国の影響力に対抗することができます。
南太平洋を航行する中国の艦艇 |
南太平洋の島々は、日米豪印にとって戦略的に重要です。重要なシーレーンや空域を支配し、天然資源の供給源でもあります。もし中国がこれらの島々との関係を深めるならば、これらの国々に多くの懸念をもたらす可能性があります。以下にその懸念を列挙します。
中国がその経済力を利用して、これらの国々に貿易や安全保障上の問題で譲歩するよう圧力をかける可能性があります。
中国はその経済力を使って、これらの国々に貿易や安全保障上の問題で譲歩するよう圧力をかけることができます。中国はその軍事力を使ってこれらの国々を威嚇し、この地域の資源へのアクセスを阻止することができます。
中国は、この地域における自国の利益を促進するために影響力を行使する可能性があり、それは日米豪印の利益と対立する可能性があります。
全体として、中国と南太平洋の島々との関係の深化は、これらの国々に多くの懸念をもたらす可能性があります。これらの懸念を認識し、それを軽減するための措置を講じることが重要です。その一環が、今回の米パプア防衛協力協定です。
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