岸田首相 |
2022年2月4日、衆議院財務金融委員会で、自民党の中西健治議員は、菅内閣下の20年度の税収が上振れ、21年度も同傾向の見通しとなることを指摘し、政府に対して「巣ごもり需要で好調な製造業と、対面抑制で苦戦しているサービス業との二極化を認識し、対応してほしい」と求めました。
中西健治議員 |
首相に近い自民党議員によると、答弁した鈴木俊一財務相が中西議員の指摘を岸田首相に伝えたとのことです。岸田首相は、中西議員の指摘に心を打たれたようで、財源策の一つとして上振れを念頭に置くようになったとのことです。また、2022年6月16日に閣議決定された骨太方針で、防衛増税の先送りを示唆したのも、直近の税収見通しを見極めるためだったとのことです。
防衛財源確保法案のカラクリ 本当は「増税なしでも手当可能」だ 透けてみえる財務省の思惑―【私の論評】確実に税収が上ブレする現状で防衛財源確保法案は、財務省の増税の意図を隠す表看板に過ぎない(゚д゚)!
さらに足元の月次税収の趨勢を踏まえ、2022 年度は 72 兆円程 度への着地を予想されています。22 年度税収は当初予算時点で 65.2 兆円のところ、昨年 11 月の補正予算時点 で 68.4 兆円と上方修正がなされましたが、ここから更なる上振れ着地が予想されます。
背景にはインフレ・円安、賃金・雇用の回復などがあります。足元で特徴的なのが景気の振幅に影響 されにくい消費税が大きく伸びている点です。およそ 40 年ぶりの物価急上昇は、税収にもこれまでに ない変化をもたらしています。この状況で、いずれ増税することになれば、反発は必至とみられます。
このような状況でも、わざわざ防衛財源確保法案を出すのは、これを財務省は増税の隠れ蓑にするためだと判断するのが妥当だと思います。
天下り先でスーパーリッチな生活をする財務官僚たち AI生成画 |
2023年度の日本の財務省人事異動は、岸田政権が、防衛力強化や異次元の少子化対策を巡る財源問題、ロシアによるウクライナ侵攻への対応などに注力することを示唆しています。また、この人事異動は、岸田政権が、財務省の権力構造を変更し、財務省をより効率的に運営しようとしていることを示唆しています。
具体的には、斎藤理財局長の退任と奥総括審議官の就任は、財務省の権力構造に変化をもたらす可能性があります。斎藤理財局長は、安倍政権時代に理財局長を務め、財政政策の立案に大きな影響力を持っていました。奥総括審議官は、財務省の官僚であり、財政政策の立案に携わってきました。
しかし、奥総括審議官は、斎藤理財局長ほど財政政策の立案に影響力を持っていないと考えられます。そのため、斎藤理財局長の退任と奥総括審議官の就任は、財務省の財政政策の立案に影響を与える可能性があります。
また、奥総括審議官は、安倍政権の財政政策に対して、より柔軟な姿勢をとってきたと考えられます。そのため、斎藤理財局長の退任と奥総括審議官の就任は、財政政策の方向性に変化をもたらす可能性があります。
方向性の変化とは、財政出動の拡大や増税の抑制につながる可能性があります。
斎藤理財局長は、財政出動よりも増税を重視していました。一方、奥総括審議官は、財政出動を重視していると考えられます。そのため、斎藤理財局長の退任と奥総括審議官の就任は、財政出動の拡大や増税の抑制につながる可能性があります。
ただし、これらの変化が実際に起こるかどうかは、今後の情勢次第です。
また、岸田政権は、財政政策の方向性について、まだ明確な方針を示していません。そのため、斎藤理財局長の退任と奥総括審議官の就任が、どのように財政政策に影響を与えるかは、今後の政権の動向を見守る必要があります。
そうして、斎藤理財局長は、財務省の省内序列で2番目のポストである理財局長を務めていました。奥総括審議官は、財務省の省内序列で3番目のポストである総括審議官を務めていました。そのため、斎藤理財局長の退任と奥総括審議官の就任は、財務省の省内序列に変化をもたらす可能性があります。
ただ、これらの人事異動が、実際に財務省の権力構造にどのような影響を与えるかは、今後の情勢次第です。
一方、自民党内の積極財政派は、近年、勢力を拡大しています。その背景には、次のようなものがあります。- 少子高齢化や人口減少による経済成長の鈍化
- 中国の台頭による安全保障環境の悪化
- 新型コロナウイルス感染症による経済の混乱
増税に反対する自民党積極財政派議員 AI生成画 |
積極財政派の勢力拡大は、岸田政権の財政政策にも影響を与えています。岸田首相は、当初は財政再建を重視する姿勢を示していましたが、積極財政派の支持を獲得するために、財政支出の拡大に転換する可能性が高まっています。
積極財政派の勢力拡大は、日本経済にどのような影響を与えるでしょうか。積極財政派の主張通り、現状では、このブログで指摘した通り、財政支出の拡大が経済を活性化させ、成長につながるのは間違いありません。一方、需給ギャップがある現場で、増税してしまえば、経済は沈滞し、低成長どころか、縮小することになります。
これについては、過去20年以上にもわたって、多くのまともな世界標準のエコノミストが繰り返し主張してきました。このブログでも、同じくらいの期間、これを主張してきました。
今や20年前とは異なり、マクロ経済を理解する政治家も増えてきています。財務省も、20年前と同じ感覚で、簡単に「増税」とはいえない雰囲気になってきているのは確かです。
税収の上振れは以前から予想されたことであり、自民党内では防衛費の増額に伴う増税の先送りを求める声が一層強まっていました。政府は6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」でも、自民党内の積極財政派の声に配慮して従来は「24年以降」としていた増税開始時期を「25年以降も可能となるよう、柔軟に判断する」と先送りを示唆していました。
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