2015年6月10日水曜日

【戦後アジアにみる 日本軍の遺産】戦死者への敬意で高く評価された安倍首相の米議会演説 ―【私の論評】安部総理は、キャロル・キングの歌の歌詞でアメリカ人の心を射抜いた(゚д゚)!


2015.06.09

安倍首相は、米上下院合同会議で演説した

「希望の同盟」

安倍晋三首相は4月29日(日本時間同30日)、日本の首相として初めて米上下両院合同会議で演説し、この言葉を繰り返した。優れた演説で米国人の評価も高かったが、ここには彼らの心を動かす「仕掛け」が織り込まれていた。第16代エイブラハム・リンカーン大統領の有名なゲティズバーグ演説のオマージュ(過去の作品に敬意を持った類似作品)だったのだ。

「歴史の奇跡です」

安倍首相は1945(昭和20)年の硫黄島の戦いで、当時23歳で参戦したエドワード・スノーデン海兵隊中将と、日本側の指揮官、栗林忠道陸軍大将の孫である新藤義孝衆院議員が並んで演説を聴いている事実を、こう称えた。そして、ワシントンにある慰霊施設である第2次世界大戦記念碑を訪ね、米国の戦死者に哀悼を表したことを述べた。

この論理構成は、リンカーン大統領が南北戦争(1861~65年)の激戦地にある国立戦没者墓地の奉献式で行った「ゲティズバーグ演説」(63年)と同じだ。敵への悪意を強調せず、戦った人の自己犠牲を称え、その死は意義深いものと定義して未来を語った。「人民の人民による人民のための政治を、この世界からなくさないため」という有名な言葉は、戦死者の死を意味付けるために使われた。

 安倍首相は今回の演説で「私の名前はエイブ(Abe=リンカーン大統領の愛称)ではありません」と、かつての演説を思い起こさせた。今年は米国の歴史に大きな影響を与えた南北戦争の終結、そして、リンカーン大統領の暗殺から150年の節目の年だ。深い教養に基づき、歴史を踏まえ、米国に敬意を示したうえで、両国の戦死者を称えたからこそ、安倍演説は評価された。言葉の力を使った見事な外交といえるだろう。

 残念ながら、米国軍事史の知識に乏しいためか、日本のメディアや有識者は、米国人にはすぐに気づく「仕掛け」が分からなかったようだ。そして、中国と韓国の政府、日本の一部メディアは「侵略戦争の反省がない」と、安倍首相の演説に見当違いの批判をした。なぜ、日本の首相が米国の議会まで行って、中韓に謝罪をしなければいけないのか。

 日米両国の人々の大半は過去だけにとらわれるのではなく、未来のアジア・太平洋地域での両国と友好国間の友情と、繁栄を望んでいる。それは過去の戦争で亡くなった人々への慰霊にもつながるだろう。そう願う人々は安倍演説を高く評価している。

 ◇

 今年は日本の敗戦から70年目に当たる。敗北し、消滅した日本軍は「アジア諸国民に苦しみを与えた」(安倍演説)負の歴史を持つ。しかし、すべてを否定すべきなのか。米国人のように国のために戦った人をフェアに評価すべきではないのか。今回の連載では日本軍の足跡を戦史文献からたどり、日本の今を考えたい。

 ■(いしい・たかあき)

【私の論評】安部総理は、キャロル・キングの歌の歌詞でアメリカ人の心を射抜いた(゚д゚)!

安部総理の演説の素晴らしさについては、このブログでも演説のあった直後に掲載しました。この記事で、安部総理の演説について解説しましたが、上の記事はこの記事で言い足りなかった部分を表現されていましたので、「我が意を得たり」という心持ちがしたので、掲載させていだきました。まさに、安部総理の「戦死者の敬意」をあますところなく表明し、それだけではなく、聴衆にアメリカ南北戦争時の犠牲者のことを想起させつつ、日米双方の戦死者を讃えました。

しかし、安部総理のこの演説の素晴らしさは、それだけにとどまるものではありません。

安部総理演説直後に演説に関して論評したこのブログの記事のリンクを以下に掲載します。
安倍首相米議会演説 全文―【私の論評】「希望の同盟」を主題とする演説は、米国の保守派はもとより良識のあるリベラル派も味方につける用意周到なものだった(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では安部総理の演説の内容の全文の日本語訳を掲載しました。そかから、以下に最後の締めくくりの部分をコピペさせていただきます。
まだ高校生だったとき、ラジオから流れてきたキャロル・キングの曲に、私は心を揺さぶられました。「落ち込んだ時、困った時、目を閉じて、私を思って。私は行く。あなたのもとに。たとえそれが、あなたにとっていちばん暗い、そんな夜でも、明るくするために」。2011年3月11日、日本に、いちばん暗い夜がきました。日本の東北地方を、地震と津波、原発の事故が襲ったのです。そして、そのときでした。米軍は、未曾有の規模で救難作戦を展開してくれました。本当にたくさんの米国人の皆さんが、東北の子どもたちに、支援の手を差し伸べてくれました。私たちには、トモダチがいました。被災した人々と、一緒に涙を流してくれた。そしてなにものにもかえられない、大切なものを与えてくれました。――希望、です。米国が世界に与える最良の資産、それは、昔も、今も、将来も、希望であった、希望である、希望でなくてはなりません。米国国民を代表する皆様。私たちの同盟を、「希望の同盟」と呼びましょう。アメリカと日本、力を合わせ、世界をもっとはるかによい場所にしていこうではありませんか。希望の同盟――。一緒でなら、きっとできます。ありがとうございました。
この締めくくりは、本当に素晴らしいものであり、私自身が心を打たれました。歴代の日本の総理大臣の演説を聴いてもここまで感動したことはありません。

なぜ、そこまで、私が心打たれたかといえば、シンガーソングライターの元祖ともいわれている、キャロル・キングの"You've got a friend"という曲の歌詞を安部総理が語ったからです。

この歌、本当に素晴らしいものです。以下にキャロル・キングがこの歌を歌っている動画を掲載させていただきます。


このキャロル・キングの"You've got a friend"(邦題:君の友達)は、歌も素晴らしいですが、歌詞も素晴らしいです。この曲を聴いて、心を揺さぶられない人は、滅多にいないでしょう。上の動画には、歌詞も日本語に翻訳されて、掲載されていますので、是非ご覧になってください。

日米の「希望の同盟」の文脈の中において、このギヤロル・キングの歌詞を語るということは、まさにこれをベスト・チョイスといわずして、何をベスト・チョイスと呼べば良いのかと言いたくなるほどの、ベスト・チョイスです。

私は、高校時代に英語を覚えるために、いくつかの英語の歌を覚えたのですが、その中でもこれは素晴らしい歌だったので、今でも一言一句違わず、覚えています。大学時代には、この歌だけはピアノで弾き語りできるまで練習しました。今では、覚えているのこの歌だけです。

こういうと、アメリカ人あたりはすぐに理解してくれるとは思うのですが、日本人の場合は、キャロル・キングのことをよく知っているファンであり、さらにこの歌ができた時代背景などを知っている人なら、理解できると思うのですが、そうではない人には若干の説明を要すると思うので、以下に説明します。

まずは、キャロル・キングはアメリカ人なら、たいていの人は知っています。日本でいえば、五輪真弓のような存在以上だと思います。

実際、「恋人よ」の五輪真弓は、日本のキャロル・キングとして鳴り物入りで、デビューしていました。

当時としては、異例のアルバム・デビューを成し遂げ、キャロル・キング本人のピアノ、チャールズ・ラーキーがギターを弾きカリフォルニアでレコーディングされました。

以下に五輪真弓の「恋人よ」の動画を掲載させていただきます。


五輪真弓は、1972年の秋にアルバムデビューしました。日本でのシンガー・ソング・ライターの草分け的存在です。ちなみに、同じ年の7月に荒井由実はシングル・デビューしています。

キャロル・キングは、日本でいえば五輪真弓、荒井由実のような存在と同等か、もっとアメリカでは知られており後でものべますが、さらに親近感のある存在ということができると思います。

そうして、キャロル・キングの歌は、多くの有能・有力アーティストにカバーされ、今でもカバーされ続けています。「君の友達」も持ちろん、カバーされています。以下に代表的なジェームス・テイラーによるカバーを掲載しておきます。



キャロル・キングとくれば、もちろんあの一世を風靡した超ロングセラー・アルバム「つづれ織り」ということになるでしょう。もちろん、「君の友達」も収録されています。全米アルバム・チャートで15週連続ナンバー1、さらに302週に渡ってチャートにとどまり続けた驚異の作品です。(302週は、ほぼ6年近い期間にあたります!)

しかし、彼女のベスト・セラーはそれだけではありません。それ以前にも、彼女は名うてのソングライターとして、数々の大ヒット曲を生み出しており、そのカバー・ソングは、今後もまたヒット・チャートをにぎわす可能性をもっています。彼女はローラ・ニーロとともに女性シンガー・ソングライターの草分けであるとともに、永遠不滅のソングライターでもあるのです。

つづれおり
キャロル・キングの「つづれ織り」
1971年、シンガー・ソングライター・ブームの頂点を究めただけでなく、1970年代を代表することになるモンスター・アルバム、「つづれ織り」が発売されました。全世界で2200万枚を売り上げたこのアルバムの凄さの秘密は、いったいどこにあるのでしょうか?そこにはいくつかのポイントがあります。

先ず、このアルバムが見事に時代の空気をとらえていたこと。そして、この時代の流れは、その後5年以上変わらなかったということがあげられそうです。だからこそ、6年近くにわたってこのアルバムはヒット・チャートに居座り続けたのです。

それは熱く燃えた1960年代の反動とも言える個人の時代であり、人々が「癒し」を求めてさまよい続けた時代でもありました。ちなみに、ベトナム戦争は、1960年12月 にはじまり、1975年4月30日に終了しました。まさに、「つづれ織り」がヒットした時代はこの期間に重なります。

当時アメリカは、長いベトナム戦争が人々に影を落とし、その後の敗北により多くの人々が自信を喪失をしていた時代であり、そういった背景から多くの人々が癒やしを求めており、まさにキャロル・キングの曲はその時代にフィットしたのです。その中でも、「君のともだち」は、アメリカ人の琴線に最も触れるものの一つだと思います。

もちろん、彼女が10代から鍛えてきたヒットを生み出す作曲の能力がなければ、12曲すべてがヒットしてもおかしくない驚異のアルバムを作り上げることは不可能だったでしょう。後年発売された彼女のボックス・セットには、このアルバムの12曲すべてが収められているほどです。

彼女のけっして美人とは言えない普通っぽい容姿とけっして超一流ではない歌唱力もまた、ひとつのポイントだったに違いないでしょう。それは、世界中の多くのファンが彼女と自分を同一化し、感情移入することを可能にさせたのです。そういう意味では、日本のAKB48等と共通したところがあると思います。カリスマ的というより、本当に身近な存在なのです。

キャロル・キング
安部総理の演説の中に、アメリカの多くの人がこのように感情移入した、キャロル・キングの歌、それも特に「君の友達」の歌詞を選んだというのは、以上のような背景から本当にベストチョイスであったと思います。

今のアメリカは、ようやっとリーマン・ショックから立ち直り、次の時代へと移行しようとしているのですが、残念ながら世界情勢がなかなかそれを許してくれません。ベトナム戦争前後のアメリカよりはましですが、それでも、多くのアメリカ人が自信喪失から立ち直ってはいない状況にあるのは確かです。

そんな中で、安部総理が米議会であのような演説をして、キャロル・キングの「君の友達」の歌詞でアメリカを応援してくれたわけです。それも、震災のときの「トモダチ作戦」を引き合いにだし、感謝の意を評しながらの、応援です。

アメリカ人なら、多くの人が、リベラル・保守などの立場を超えて、安部総理の演説に感激し、感動し共感したことでしょう。


この締めくくりは、聴衆にオバマ大統領が最初に就任したときのあの"Yes we can"よりもはるかに感動的で、インパクトがあり、まさに安部総理はキャロル・キングの歌の歌詞でアメリカ人の心を射抜いたと思います。

日本では、なぜかあまり評価されていないのが、残念です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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