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2014年11月21日金曜日

クルーグマン氏が決定的役割-安倍首相の増税延期の決断で―【私の論評】ブルームバーグ日本語版記事から抜け落ちた部分の意味を理解せよ!今回の安倍総理の増税見送り、解散・総選挙は、財務省に挑戦状を叩きつけたのだ(゚д゚)!

クルーグマン氏が決定的役割-安倍首相の増税延期の決断で

ボールクルーグマン博士
11月21日(ブルームバーグ):ノーベル経済学賞受賞者、ポール・クルーグマン氏の訪日予定を耳にした際、本田悦朗内閣官房参与は、再増税をめぐる議論を慎重派に有利な方向に導く好機が到来したと思った。

安倍晋三首相にとって、消費税率を2015年10月に10%に引き上げることの是非を決断する期限が近づきつつあった。今年4月の8%への引き上げの影響で、日本の景気は四半期ベースとして世界的な金融危機以降で最も深刻 な落ち込みに見舞われ、その後の回復の足取りもおぼつかない状況だった。

安倍首相と30年来の知己である本田氏(59)は、4月の増税反対に続き、15年の増税延期を首相に助言。そこに登場することになったのが、自身のコラムで日本の増税延期が必要な理由を説いていたクルーグマン氏だった。

本田氏は20日、オフィスを構える首相官邸でインタビューに応じ、「あれが安倍総理の決断を決定づけたと思う。クルーグマンはクルーグマンでした。すごくパワフルだった。歴史的なミーティングと呼べるものだった」と、首相とクルーグマン氏の会談を振り返った。

助っ人

帝国ホテルから官邸への高級車の車内で本田氏は、安倍首相との会談がいかに重要かをクルーグマン氏(61)に説明した。増税延期で首相を説得する手助けをクルーグマン氏にしてもらえる可能性があった。  クルーグマン氏は今月6日の首相との会談について、自身が首相の決断に及ぼした役割の大きさには控えめな態度を示す。同氏は20日の電話インタビューで「首相の質問には明確に答えられたと願う。私がこれまで書いてきたようなことうまく説明できたと思うが、首相の考えにどこまで影響があったかは分からない」と話した。その上で、増税延期の決定を「歓迎する」と語った。

海外の著名経済学者の助けを借りたいと考えていた本田氏は、クルーグマン氏が東京での講演のため訪日することを偶然知った。「クルーグマンならと思っていたが、ミーティングのためにわざわざ日本に来てれくれないと思っていたら、たまたま日本に来ることを聞いてこれを使わない手はないと思った」と明かす本田氏は、首相とクルーグマン氏の20分間の会談のお膳立てに成功。会談は予定時間の倍近くに及んだ。

会談に同席した本田氏によると、クルーグマン氏は冒頭、アベノミクスを高く評価。唯一の問題は消費増税だと訴えた。会談が終わるまでには、首相は延期を決めるだろうと本田氏は確信を持ったという。

官邸での会談

やはり会談に臨んだ浜田宏一内閣官房参与は18日のインタビューで、「安倍首相はクルーグマン氏の説明をとても注意深く聞いていた」と振り返り、「恐らく首相の決断を手助けしたのではないか」との認識を示した。

安倍首相はNHKで「先般、ノーベル経済学賞受賞者のクルーグマン教授と話した」と言明。「彼の意見は、アベノミクスを支持する。しかし今度の消費税引き上げは慎重にいくべきだ。そうしなければ景気が腰折れしてしまう。となればデフレから脱却できず、経済再生、財政再建もおぼつかないという話だった。私もその通りだと思う」と述べた。

クルーグマン氏は17年4月の10%への引き上げをめぐっては、「ある時点で歳入の拡大を図る必要がある点は理解する」とした上で、「私としては『インフレ率が2%程度に達してから引き上げる』といった条件付きの延期の方が望ましいと考えるが、そうした可能性がないことも理解している」と語った。

原題:Abe Listening to Krugman After Tokyo Limo Ride on Abenomics Fate(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 藤岡 徹tfujioka1@bloomberg.net;ロンドン Simon Kennedyskennedy4@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先: Christopher Ansteycanstey@bloomberg.net Brett Miller更新日時: 2014/11/21 13:21 JST

【私の論評】ブルームバーグ日本語版記事から抜け落ちた部分の意味を理解せよ!今回の安倍総理の増税見送り、解散・総選挙は、財務省に挑戦状を叩きつけたのだ(゚д゚)!

さて、このブルームバーグの記事の英語の元文には、実は日本語版には掲載されていないことが盛り込まれていた。

それに関しては、前田敦司氏が、ツイートしていますので、そのツイートを以下に掲載します。
確かに、英語版をみると、リフレ派頭脳集団の前に、増税させじと財務省の官僚らが、たちはだかっていたことが掲載されています。

日本語版の最後に(抜粋)とことわってありますし、記者・編集者は英語版も抜粋日本語も同じ人たちによるものです。

さて、これを私達は、どのように解釈すれば良いのでしょうか。これは、昨日のこのブログをご覧いただければ、良くご理解いただけると思うので、その記事のURLを以下に掲載します。
【衆院選】首相はなぜ解散を決断したのか 幻となった4月総選挙 決断を早めたのは…―【私の論評】産経新聞ですらのってしまった昨年の総理増税決断の虚偽報道!今年は破壊的革命集団財務省が、安倍総理の解散時期をはやめた、その意味するところは?

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、昨年の増税政局においては、新聞は安倍総理が、「増税決断」を正式に発表する前から、どの新聞も例外なく各紙一斉に「安倍総理、増税決断」と報道する異様な自体が発生していました。

そうして、政治家のほとんどが増税推進派となり、識者も増税一色という異様な状況のなかで、安倍総理は増税を決断せざるをえなかったことを掲載しました。そうして、日本のほとんどの勢力が「増税一色」で固まった背景には、財務省の増税キャンペーンがあったことを掲載しました。

これを掲載した後で、この記事は、以下のように結びました。
今から、思えば、安倍総理は8%増税も本当はやりたくなかったということが良くわかります。それは、今年の動きを見れば、はっきりしています。そうして、本当は、去年の9月でも増税は阻止できたはずです。法律の条文など、一日もあればかえられます。
しかし、昨年は財務省の木下康司を筆頭にする、増税推進派の恐喝により、特に自民党の幹部をはじめとする、政治家が徹底的に「増税容認」を固めてしまいました。身動きがとれなくなってしまった安倍総理は、長期政権や、まだまだやり残したことを成就するためにも、「増税の決断」をセざるを得なかったのです。
その木下氏は、実は強大な権力を持つ、財務省の権化のような存在であり、これについては、上念司氏が、わかりやすく解説していますので、その動画を以下に掲載します。

木下氏は、財務次官だったときには、繰越予算など、憲法解釈上認められないはずなのに、つるの一声でそれを実現してしまいました。この動画でも、上念氏が述べているように、このようなことは、総理大臣でも出来ないことです。日本には、このような国民の選挙で選ばれた議員による国会や、政府の他に、財務省の一部の人間や、一部のOBなどによる大きな影の強力な権力集団があるということです。
その影の権力集団が、昨年に続き、今年も増税恐喝を続け、他省庁の官僚はもとより、政治家やマスコミを「増税容認」で固めてしまおうとしたのですが、さすがに、そうはいかなかったというのが、今年の流れです。
そもそも、世論が7割がた、増税に反対なのに、無理に増税に踏切るという事自体が、異常です。昨年は、安倍総理としては、解散総選挙というわけにもいかず、増税に踏み切らざるを得ませんでした。ゆくゆくは、20%増税も視野に入れている財務省は最早、政府の一下部機関とはいえません。破壊的革命集団とでも呼ぶのが相応しいと思います。
20%増税などしてしまえば、日本経済も国民も疲弊してどうしようもなくなることははっきりしています。しかし、そんなことはお構いなしに、財務省はいずれそれを実現しようとしています。これでは、破壊的革命集団と呼ぶ以外に適切な名称などありません。
これは、見方を変えてみれば、単なる日本経済や財政、デフレに関することだけではなく、安倍総理の第二の権力への挑戦とみてとるべきです。 
そうして、この挑戦は、すぐに結果がでるものではありません。長きにわたって、展開されることになると思います。 
さて、あなたは、どちらに与しますか。正当な手続きを踏んだ、安倍総理の側ですか、それとも影の権力ですか。 
私としては、無論のこととして、正当な手続きを踏んだ、安倍総理の側にたちます。
それにしても、安倍総理の増税見送り、解散・総選挙宣言!ようやっと、日本でも正当ではない権力に立ち向かう総理大臣がでてきたということで、この部分では財務省に一矢報いたということで、勝利と見て良いのではないでしょうか。 
ただし、これからも戦いは長く続きます。影の権力が日本よりなくならない限りこの戦いは終わりません。 
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
このように、今回の安倍総理の増税見送り、解散総選挙は、財務省に対する宣戦布告でもあったのです。それを昨日も掲載したのですが、これでは憶測にすぎなかったものです。しかし、本日の上のブルームバーグの記事、それに日本語版などで、掲載されなかった部分があるというこの事実。

なぜ、英語版では掲載して、多くの英語圏の人々に読んでもらっても良いものが、日本国内版ではカットされるのかということの裏を読んでいただければ、ご理解いただけるのではないかと思います。

なぜか日本では、財務省現役とOBの一部の人間が、全部とはいいませんか、選挙で選ばれた国会議員や、内閣よりも、多方面にわたって、強力な権力を持っています。

たとえば、上の動画でも上念氏が説明しているように、財務省は今年の春に、予算の繰越をできるようにしましたが、法解釈上これは本来なら安倍総理でも一存ではできません。しかるべき正当な手続きの後でないとできることではありません。しかし、当時の木下康司財務次官は、鶴の一声でこれをやってのけました。

日本では、まだ、こうした権力の二重構造があるのです。こうした二重構造に挑戦しようとしたのが、故中川氏でした。

中川氏は、財務省の特別予算というおそろしく複雑怪奇な仕組みに切り込み、財務省の埋蔵金ということをいいだしました。中川氏も財務省の権力に挑戦しようとしたのでしょうが、その志は誠に残念ながら中途でついえてしまいしまた。この志を引き継いでいるのが、安倍総理です。

左より、高橋はるみ北海道知事、安倍晋三氏、在りし日の中川一郎氏
安倍総理の今回の増税見送り、解散・総選挙は、こうした二重権力廃止への挑戦を宣言をしたということです。いかに財務省とはいえども、官僚が表だって、10%増税を実行することはできません。それに、選挙によって正式な手続きを経た後に、民主的な手続きよって、誕生している総理に対して、あれこれ指図もできません。

財務省の権力は、あくまでも間接的なものです。日本国の財布の紐を握っているということで、それを利用して、ありとあらゆる手段を使って、他省庁や、政治家に圧力をかけ、自分たちにとって都合のよいように政治を動かしていくというのが彼らのやり方です。

それは、増税政局もそうでした。財務省は、昨年も今年も同じく、ご説明資料を持って、政治家やマスコミを回っていました。とはいいながら、その内容は、まさに恐喝でした。増税しないと、あれはできないぞ、これもできないぞという脅しです。安倍総理が何らかの行動にも出なければ、今年も昨年と同じように、増税が決まっていたことでしょう。

でも、今年は、いろいろな人が、財務省の増税推進の間違いについて、新聞は報道しなくても、徹底的にサイトなどのメディアに掲載するなどのことで、その真相ははっりきとはわからなくても、間違いであること、自分たちにとっても、良くないことであることが、理解され、多くの人達が増税に反対でした。

ここを突いたのが、安倍総理です。解散総選挙して、圧倒的多数を勝ち得ることができば、財務省とて、これを無視するわけにはいきません。そうして、安倍総理は無論、こんなことは見通していましたし、10%増税など実行すれば、経済がかなり落ち込み、安倍政権どころか、自民党政権も危うくなるということに気づいていました。

だから、クルーグマン氏の訪問と、安倍総理に対するアドバイスは、あくまでコーチング的なものであったと思います。コンサルティングなどとは異なり、コーチングでは、コーチングを受ける側に、考えて自ら問題を解決する力をつけさせるのが最終的なゴールです。クルーグマン氏も、すでに安倍総理が持っている答えを後押ししたということです。

それに、こうしたノーベル学者のアドバイス内容を公表することにより、対外的なアピールに使うという目的もあったでしょう。そもそも、クルーグマン氏は学者です。日本の経済について、経済的な観点からアドバイスはできても、日本に政局に対するアドバイスはできません。

アメリカの政局なら、それなりに理解していて、特にブッシュ政権に対する批判は、かなり辛口で辛辣でしたが、日本の政局についてはそんなに詳しくないし、他国の財務省を手ひどく批判するわけにもいきません。それに、ここ最近の増税論議などは、経済理論や、理屈など完璧に脇においた次元であり、政局そのものでした。

ただし、今回の安倍総理の挑戦は、これから長く続くであろう、最初の一回です。しかし、安倍総理には、今回のことを忘れてほしくはありません。それは、民意が自分の側についていれば、財務省も手出しはできないし、出せば大やけどをするということです。

以上のようなことは、全く表には出ないので、多くの人が知らないですし、マスコミも報道しません。水面下での戦いです。ただし、いずれ財務省の敗北が濃厚になった場合は、報道されるようになるかもしれません。しかし、今のところは、財務省がまだまだ優勢なので、しばらくは表には出てこないでしょう。

いずれにせよ、日本のような先進国において、権力の二重構造があってはならないはずです。この二重構造を廃することが、本当の意味での政治主導です。民主党がやろうとした、政治主導など、最初から間違っていました。事業仕分けや、官僚の天下りばかり追求したとしても、元を絶たなけれは、政治主導はいつまでたっても成就しません。

このような観点や背景から、増税政局、マスコミの報道姿勢、政治家の行動をみると、様々なことが浮かび上がってきます。しかし、このような観点がなければ、日本の政治、政局は全くみえてきません。今回の選挙の大義は何かなどと、まだ馬鹿なことを言っている政治家や、マスコミ関係者が大勢いますが、かれらは政局もまともに、見ることができない大馬鹿者だと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どうおもわれますか?

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