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2019年11月2日土曜日

【日本の解き方】「デジタル人民元」の発行はドルの基軸通貨体制に脅威 FBと米政府は手を組むか―【私の論評】基軸通貨にはなり得ないデジタル人民元の末路(゚д゚)!


米ドル(上)と人民元(下)

中国の政府系シンクタンク、中国国際経済交流センターの黄奇帆副理事長が講演で、「中国人民銀行が、世界で初めてデジタル通貨を発行する中央銀行になる可能性がある」と発言したことが話題になっている。

 技術的な観点では、デジタル通貨の技術はできているので、中央銀行がその発行者になることは可能だ。単純にいえば、多くの種類があるデジタル通貨も基本は同じであり、どれかをコピーすれば新たなデジタル通貨を作ることができる。

 政府や中央銀行がデジタル通貨の発行主体になれば、民間主体のデジタル通貨が抱える問題点の多くは解消されるとともに、駆逐される可能性も高い。

 民間企業の米フェイスブックが発行を目指しているデジタル通貨「リブラ」は、米国議会で苦労している。米政府や中央銀行はリブラの発行が及ぼす影響を警戒しており、リブラの規制法ができようとしている。そこで、フェイスブックが持ち出してきたのが、中国の脅威だ。

 これは、的外れな論点ではない。リブラは複数の法定通貨で構成されたバスケットに裏付けられるが、その中に中国の人民元は含まれていない。しかし、中国人民銀行が、リブラをコピーして、各国の法定通貨に人民元を加えたデジタル通貨を作るのは難しくない。この場合、このデジタル人民元は中国がコントロールするブロックチェーン上で稼働することとなるに違いない。

 日本や欧米などの民主主義国では、ブロックチェーンは分散化され政府が管理することはあり得ないが、同じ技術でも中国では全て政府が管理することとなるだろう。

 もしデジタル人民元ができれば、米国による金融制裁を回避することも実際に可能になる。現在はドルが国際金融で基軸通貨として支配的なので、米政府が米国の銀行を抑えれば、世界中でドル決済を事実上行えなくなるが、デジタル人民元でドル支配を乗り越えられる可能性がある。

 もちろん米国もデジタル人民元にドルの有用性が吸収され、基軸通貨の立場が損なわれるおそれがあることを承知している。

 そこで、フェイスブックその他の通貨の裏付けがある安定的なデジタル通貨を規制し、民間企業であっても米政府の意のままに操ろうとしているのだろう。フェイスブックがマイクロソフトのように物分かりがよければ、規制に服する代わりに利益を保証してもらえるというわけだ。

 もっとも、フェイスブックは、規制当局の支持が得られるまではリブラの発行を遅らせる姿勢を改めて示しており、フェイスブックと米国政府は条件闘争しているようにも見える。

 結局、国際基軸通貨としてのドルの立場を守るためにも、フェイスブックと米政府が最終的には協力し、デジタル人民元の台頭を許さないと、筆者はみている。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】基軸通貨にはなり得ないデジタル人民元の末路(゚д゚)!

アップルのティム・クックCEOが暗号通貨(仮想通貨)発行につき、否定的な見解を述べたことが報じられています。

今年6月、Facebookは暗号通貨プラットフォーム「Libra」を正式に発表。ブロックチェーンの管理団体「Libra Association」に参加するMastercardなどの共同創立者とともに、Libraを推進するとアナウンスしていました。

フランスの新聞Les Echosはインタビューの中で、アップルがこの動きに追随するのかと質問。それに対してクック氏は「通貨は国家の管理下に置かれるべきだと思います。民間企業グループが競合する通貨を創り出すアイディアには賛成できません」「民間企業は、このような形で権力を得ようとすべきではありません」と回答しています。

これに先立ってアップルの幹部は「暗号通貨を注視している」との趣旨を述べており、独自の暗号通貨を模索しているとの見方もありましたが、否定されたかたちです。

もっとも、クック氏の言葉は額面通りに受け取れないかもしれません。1つには、同氏がFacebookのザッカーバーグ氏とプライバシーの扱い等を巡って確執があり、当てつけを返した可能性も考えられるわけです。

もう1つは、Libraを取り巻く環境が危うさを増していること。米上院は消費者プライバシーの保護を懸念して公聴会を開催し、米政府もLibraが資金洗浄などに使われる恐れについて「非常に深刻な懸念」を表明、Libra担当者はスイスで26カ国の中央銀行幹部から質問攻めに遭うことに。そうした情勢を鑑みたのか、PayPalも撤退を表明していました。

さらに言えばクック氏は「事業を展開している現地の法律に従う」、つまり政府と対立しない方針を一貫しています。米国政府やEU諸国も大手ハイテク企業による暗号通貨に懸念を抱いているなかで、参入は問題外かもしれません。

アップルCEOティム・クック氏

ただし、仮にリブラ導入が阻止されても、他の主体が同様の仕組みを導入する可能性は残ります。

容易に想像できるのは、新興国で最初に導入される可能性です。金融システムが未発達で銀行取引にアクセスできない人が多い国々にとっては、既存の金融システムからの移行コストが相対的に小さいこともあり、スマートフォンと通信網だけで金融システムを高度化し得る可能性は魅力的でしょう。

この記事の冒頭に記事にもでてきた、リブラはビットコインと同様、ブロックチェーンの技術を使って開発される仮想通貨ですが、ビットコインとの最大の違いは、ドルやユーロなど既存通貨によって価値が担保される点である。要する、リブラはいつでもドルやユーロなどの既存通貨と交換できるということです。

リブラはリブラ協会と呼ばれるコンソーシアムが通貨を管理する予定ですが、リブラ協会はドルやユーロといった既存の法定通貨を保有し、この保有資産を裏付けにリブラを発行する仕組みとなっています。リブラと既存通貨の交換レートは変動するものの、各国通貨のバスケットになっているので、価格変動は穏やかなものになります。

IMF(国際通貨基金)には、主要通貨をバスケットにしたSDR(特別引出権)という、事実上の国際通貨がありますが、リブラはこれに近い仕組みと考えてよいです。主要通貨をベースに通貨を発行するという点では、保有するドル資産などを裏付けに、政府ではなく民間企業が通貨を発行している香港ドルとも似ています。
日本では政府が発行しないと通貨ではないといった議論をよく耳にしますが、それは単なる思い込みです。経済学的に見た場合、通貨は、それに価値があると多くの人が認識すれば、通貨として流通する性質を持っています。
政府の方が民間よりも信用度が高いので、法定通貨の方が流通しやすいのは事実ですが、民間が発行主体であっても、通貨の要件を満たさないわけではありません。
中国政府はリブラの計画をきっかけに、デジタル通貨の発行を進める決断を行ったようですが、その理由は、リブラが持つ潜在力が想像以上だったからです。

リブラについては、各国から様々な懸念が寄せられており、マネーロンダリング対策などで協議を進めていくとしています。しかし、リブラにはマネロンに関する懸念があるという各国通貨当局の説明は、額面通りには受け取らない方がよいでしょう。

もちろん、匿名性の高い仮想通貨が世界に流通すれば、犯罪資金などの温床になる可能性はありますが、現金とは異なり、仮想通貨は理屈上、その行方を電子的に追跡できます。

現金ほど匿名性が高く、犯罪やテロに利用しやすい決済手段はほかにないです。それにもかかわらず、現金が主な決済手段として全世界で使われている現状を考えますと、仮想通貨が普及するとマネロン対策ができなくなるというのは杞憂に過ぎません。

各国の通貨当局が本当に恐れているのは、マネロンなどではなく、リブラのような仮想通貨が普及することで、中央銀行が持つ巨大な権力が脅かされることです。

現代の金融システムは、中央銀行が通貨を一元的に管理し、傘下にある民間銀行を通じてマネーの流通をコントロールすることで成り立っています。

中央銀行はその気になれば、その国の経済を自由自在に操ることができるので、この仕組みは、中央銀行を頂点とした銀行による一種の産業支配システムと言い換えることができるかもしれません。

ところが、ここでリブラのような仮想通貨が広く流通する事態になると、状況が一変します。

中央銀行による統制が効かないマネーの比率が増えれば、金融政策の効果は半減し、中央銀行が持つ権力も大きく削がれることになります。金融機関にも十分な情報が入らなくなり、一般企業に対する支配力も大きく低下してしまうでしょう。

米国は常に巨額の貿易赤字を垂れ流していますが、それは多額のドルを世界にバラ撒いていることと同じです。つまり米国は貿易赤字を通じて全世界にドル経済圏を構築しているわけなのですが、世界経済におけるドル覇権の影響力はすさまじく、各国企業はドルなしでは経済活動を継続できません。

近年、グローバル化が進み、海外にも気軽に送金できるようになりましたが、銀行間の送金ネットワークも実は米国がドルベースで構築したものであり、ドル覇権と密接に関係しています。海外送金が簡単になったのはドルが普及したことが要因であって、多国籍という意味でのグローバル化が進んだ結果ではありません。

ドル覇権が続く限り、米国には金融機関を通じて世界のあらゆる情報が集まってきますが、インテリジェンス(諜報)の世界において、これほど有益な仕組みはほかにないでしょう。

米国のような通貨覇権国はお金の動きをチェックするだけで、全世界の情勢をほぼリアルタイムに把握できてしまうのです。そもそも、予算は国家意思といわれるように、すべての国家の政策には何らかの予算がついて初めて実行できるからです。

そうして、予算の実行にはすべてお金が絡むわけで、お金の流れをつかんでいれば、予算の実行過程まで把握できるのです。無論予算の実行には、ドルだけではなく自国通貨も使用するので、全部を把握できるとはいえませんが、それにしても全ての国が貿易をしており、その決済にはドルを使うことから、貿易に関しては把握できるわけで、その内容から自ずと、国内のこともかなりのところまで把握できるのです。

近年、このドル覇権に対して公然と挑戦状を叩き付けたのが中国です。中国は人民元をベースにした独自の銀行送金ネットワークの構築に乗り出しており、ドル覇権を周辺から突き崩そうとしています。ただし、これはいまのところ、成功しそうにはありません。

このような現実を考えると、全世界で27億人の利用者を持つフェイスブックが、本格的な仮想通貨の計画を打ち出したことのインパクトが、米中の通貨当局にとっていかに大きいことなのかお分かりいただけると思います。

これまで規模の小さい途上国は、ドル覇権の下にぶらさがる形でしか通貨システムを構築できませんでした。内戦が続き国土が荒廃したカンボジアでは、国連による暫定統治で経済を復活させましたが、金融システムはドルと現地通貨の二本立てとなっています。現在、カンボジアはめざましい経済発展を遂げていますが、これはカンボジアがドル経済圏であることと無縁ではありません。

中国はカンボジアを中国経済圏に引き入れようと、莫大な資金を投下していますが、企業における決済や預金、投資がドルになっている以上、中国もそのルールに従わざるを得ないです。通貨覇権を握っていることは、何兆円もの経済援助をはるかに上回る効果があるのです。

もしリブラが世界に普及した場合、自国通貨とリブラの二本立てで金融システムを構築する新興国が出てきても不思議ではないです。こうした新興国は、リブラを交渉材料に、ドル覇権を狙う米国と人民元覇権を狙う中国を上手くてんびんにかけ、双方から好条件を引き出そうとするでしょう。

つまりリブラという仮想通貨は、これまで構築してきたドル覇権を脅かす存在であり、そのドル覇権に対して挑戦状を叩きつけている中国にとっても、それは同じことです。

中国は発行を計画している人民元のデジタル通貨を用いて、国際的な人民元の普及を画策する可能性があります。表面上はリブラとは対立関係にありますが、この世界は「蛇の道は蛇」であり、リブラとデジタル人民元が共存することも十分にあり得ますし、米国政府が水面下でフェイスブックとの交渉を進めている可能性も否定できないです。

さらに言えば、ユーロ陣営や英国の動きにも注目する必要があります。

ユーロ圏各国は、表面的には仮想通貨規制で各国と足並みを揃えるというスタンスですが、ユーロ圏内では、ビットコインなどの仮想通貨を自由に流通させています(英国も同様)。欧州各国が、仮想通貨に対して警戒感を示しつつも、ドル経済圏に対する牽制球としての役割を仮想通貨に期待している面があるのは明らかです。

とはいいながら、先に述べたように、リブラはいつでもドルやユーロなどの既存通貨と交換できる通貨です。特に、いつでもドルと交換できるというのが強みです。

対して、中国の人民銀行が発行する仮想通貨はおそらく、ドルといつでも交換できるようにしたいのは山々でしょうが、それは現状では不可能に近いです。

リーマンショック後、人民元発行残高の100%相当のドル資産を人民銀行は保有していました。ところが、バブル崩壊不安を背景に資本の流出が激しくなりました。ドル資産は大きく減り、海外からドルを借りてようやく3兆ドル台の外貨準備を維持するありさまです。それでも人民元発行残高ドル資産比は6割まで落ちたのです。


これでは、中国が仮想通貨を発行したとしても、当然のことながら、ドルで担保することなど全くできません。

さらには、今年は中国の国内債が記録的なペースでデフォルト(債務不履行)に陥っていますが、来年はオフショア市場の番かもしれないです。現時点で「ストレスト」に分類される企業が発行したドル建て債の大量償還が近づいているためです。

ブルームバーグの集計データによると、利回りが現在15%以上のオフショア債86億ドル(約9260億円)相当が2020年に償還を迎える。言い換えると、ストレスト企業のドル建て債発行残高の約40%が来年償還となるからです。

ルームバーグの集計データによると、利回りが現在15%以上のオフショア債86億ドル(約9260億円)相当が2020年に償還を迎える。言い換えると、ストレスト企業のドル建て債発行残高の約40%が来年償還となる。

これらのことを考えると、現状ではドル建での信用がない中国の仮想通貨は仮に発行したとしても、リブラほどは普及しないことが十分考えられます。

仮想通貨自体には、現在ではあまり信用が高くはありません。それは、当然といば当然です。これは、自分におきかえて考えてみるとわかると思います。自分の給料が全部仮想通貨で支払われたとしたらどうするでしょうか。

たいていの人は仮想通貨は便利とは思うでしょうが、自分の給料が全部仮想通貨で支払われたとしたら、やはり不安を感じると思います。やはり、少なくとも一部、もしくはかなりの部分を既存の通貨に変えて、銀行に預金したいと思うのではないでしょうか。

現在の現金だって、昔は金や、銀に変換できる時代があり、それぞれ金本位制とか銀本位制と呼ばれていました。ただし、政府の発行する貨幣が長い間使われてきた実績があるので、今はなくなりました。

仮想通貨も同じことです。最初はこれで貯蓄することなどに不安を感じる人は多いでしょう。長く使われるようになって、しばらくして多くの人が安心するようになれば、ドルの保証などいらなくなるでしょうが、それまでには長くかかると認識すべきです。

現状では、人民元建てだけの信用だけでは、使い手にとってはかなり不安です。であれば、なかなか普及しないでしょう。

これから、先10年くらい中国がかつての中国のように、毎年10%程度の成長を続けるとの信頼が市場から得られれば、中国発の仮想通貨も普及する可能性はありますが、それはあり得ません。


それでも、金融システムが未発達で銀行取引にアクセスできない人が多い国々にとっては、中国の仮想通貨を使う意味は大きいかもしれません。スマートフォンと通信網だけで金融システムを高度化し得る可能性は魅力的でしょう。ただし、このような国々の多くが、仮想通貨を使うようになって、経済発展したとして、どのくらいの規模になるかという問題があります。

さらには、デジタル人民元が普及していくと、現金とは異なり、仮想通貨は理屈上、その行方を電子的に追跡できることから、中国国内では困る人が大勢出てくる可能性が大です。

無論中国の暗黒社会の構成員を容易に摘発しやすくなるというメリットもありますが、役人の不正や、政府要人の不正なども把握しやすくなります。中国共産党の幹部らは、現状ではメリットばかり考えているのでしょうが、彼らにとってデメリットも大きいことをいずれ痛感するようになるでしょう。

そもそも、ブロックチェーンは、常にみんなにみはられている台帳のようなものです。中国政府だけが、見張るブロックチェーンによる、仮想通貨は本当に仮想通貨といえるのかという問題もあります。

以上のことを考えると、現状では中国の仮想通貨はそれほど危険な存在とはとても思えません。ただし、将来の危険な芽を潰すという意味では、高橋洋一氏の主張するように、やはり国際基軸通貨としてのドルの立場を守るためにも、フェイスブックと米政府が最終的には協力し、デジタル人民元の台頭を防ぐことになると思います。

フェイスブックCEOのザッカーバーグ氏

さらに、リブラはドルトの交換ができるということで、発行には自ずと限界があるので、FRBの権力を脅かすまでにはならないでしょうし、フェイスブックは米国による規制等を受け入れるでしょうから、リブラがドルにとって変わるような事態にはなることはないでしょう。

さらに、ザッカーバーグ氏も、ドルに変わる通貨などという大それたことは考えていないでしょう。そんなことより、リブラを用いて、フェイスブックのユーザーにさらなるベネフィトをどのように提供していくかということに関心があることでしょう。

【関連記事】

2017年4月17日月曜日

台湾・八田像損壊犯は元台北市議だった FBで公表し出頭―【私の論評】台湾が100%親日とは言えないことを示した残念な事件(゚д゚)!

台湾・八田像損壊犯は元台北市議だった FBで公表し出頭

頭部が切り取られた八田與一像
   台湾南部・台南市で日本統治時代の技師、八田與一像の頭部が切り取られた事件で、台湾と中国の統一を主張する元台北市議の男が17日、交流サイト上で犯行を自供、警察に出頭した。

男はフェイスブックで「自分がやった」と公表した上で、台北市内の警察署に出頭。当局は共犯とみられる女とともに身柄を台南に移して事情を聴いた。

男は1958年生まれで、現在は台湾の急進統一派の団体「中華統一促進党」に所属。94年に統一派の政党「新党」から台北市議に当選し、1期務めた。任期中、市幹部を殴り起訴された。また、2016年には急進的な台湾独立派の団体の敷地に放火し逮捕、起訴されている。

男は自身を日本統治時代の義賊になぞらえる発言も投稿。像の頭部を指すとみられる「八田さん」を、中華統一促進党の「党本部に届ける」などとする記載もあった。

頭部が切り取られる前の八田與一像

【私の論評】台湾が100%親日とは言えないことを示した残念な事件(゚д゚)!

八田與一氏
八田與一氏は台湾では有名ですが、日本ではなぜかあまり知られていないので、以下に八田氏について簡単に触れておきます。

八田與一氏は、昭和初期に活躍した当時の台湾総督府の水利土木技術者です。1910年、東京帝国大学工学部土木科を卒業後、台湾総督府の技手として赴任しました。台湾南部に位置する嘉南平野は、当時、広大な面積を有していたものの、灌漑設備が未整備であったことから、雨季の大雨により、この地域が水浸しになり作物が育たないという治水問題を抱えていました。

その問題解決のため、当時東アジア最大級のダム建設計画を立案し、現場指揮にあたったのが八田與一氏なのです。約10年の長い年月をかけ完成した烏山頭ダムにより、豪雨による水害のなくなった嘉南平野は台湾で一番の農作地帯へ変貌しました。

また、この烏山頭ダムは素晴らしい技術構想の元で建設されています。当時高価であったコンクリートをほとんど用いず、砂利と粘土を巧みに組み合わせた手法を用いることで、ダム内に土砂が溜まりにくい構造になっており、建設後80年を越えた現在でもその機能を十分に果たしています。

総工費は当時の日本円で5,400万円(現在の日本円で5兆円と推測)でた。1日1,000人を超える作業者が従事しました。いかに大規模な建設計画であったかが伺えます。


「台湾の人々に安全な生活と豊かな農地を提供したい。」という願望と、一大計画を完遂した本人の強い信念、卓越したリーダーシップ、魅力的な人柄は今も現地の人々のみならず台湾中の人々から敬われています。

東日本大震災の際、台湾から200億円余りの巨額の寄付金が寄せられました。実は、この理由は八田與一氏を始めとする多くの日本人が当時の台湾の発展に大きく寄与したことが関係しているようです。現地の人々から、「八田與一が成しえたことは、決してお金に変えられるものではないが、東日本大震災に際し少しでも貢献できれば」という声が多数あったことは事実です。

後日談ではあるが、八田與一氏の功績を称え作られた銅像は、戦時中には日本政府の金属の供出や、戦後大陸からきた国民党政府から像を守るため、住民により20年近く別の場所に保管され、1981年に住民によって銅像が戻されました。

八田與一氏がいかに台湾の人々にとって偉大な人物であったかが読み取れるエピソードです。銅像は現在もかつての工事現場を今も見守るような姿で烏山頭ダムを見下ろす丘の上にあります。八田與一氏の命日である5月8日には、昨年も住民のみならず台湾政府の要人を始め多くの人々が集い、八田與一氏の偉業を偲ぶ催しが営まれました。

さて、今回この八田與一氏の象の頭の部分が切り取られるというとんでもない事件が起こってしまったということです。しかも、その犯人が元台北市議だったということも、衝撃的でした。

多くの日本人は、テレビなどを通じて、台湾には新日的な人が多いというこを知っているようですが、単純にそうとばかりは言えないところもあります。八田與一象は、住民によって他の場所に移され、1981年になってから元の場所に戻されたということは、それを如実に物語っています。これれに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「尖閣は台湾のもの?」“二重国籍”蓮舫新代表が知っておくべき日本と台湾の対立点―【私の論評】南京・尖閣問題で台湾は決して親日ではない(゚д゚)!
民進党代表決定の名前を呼ばれる直前にハンカチで目頭を押さえる 蓮舫新代表=昨年9月15日
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、台湾は日本にとっては外国です。外国と我が国とでは、当然のことながら、利益が相反することもあります。

台湾と日本の間で利益が大きく相反するものして、この記事では、 台湾が尖閣諸島を台湾領であるとしていることと、南京市民の日本軍による大量虐殺は事実であるとしていることを上げました。

尖閣諸島が台湾領であるという台湾の主張に関しては、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、これはどの観点からみても、無理筋というものであり、尖閣諸島は日本の固有の領土です。

無論、これに関しては、馬英九前総統の国民党政権のときには、そのような主張を表だって、していましたが、蔡英文総統の民進党政権からは、日本との関係を考慮してか、これに関しては表立って主張するようなことはなくなりました。ただし、だからと言って、蔡英文政権が、尖閣諸島は日本固有の領土であると正式に認めてはいません。

南京虐殺問題に関しては、台湾は元々、大陸中国と同じように30万もの市民を日本軍が虐殺したと主張しています。

そもそも、南京での戦闘は、異常なものでした。なぜなら、国民党政府軍軍事委員長・蒋介石が戦いの途中で麾下の数万の兵士を置き去りにして高級将校とともに南京から逃げたからです。この時蒋は督戦隊を残して逃亡しています。

督戦隊とは、逃げる兵士を撃ち殺す部隊のことです。そのため、南京市内の国民党軍兵士は逃げるに逃げられなかったのです。よって、置き去りされた兵士らは、便衣兵(一般市民と同じ私服・民族服などを着用し民間人に偽装して、各種敵対行為をする軍人)となって難を逃れたとも言われています。

そのため、南京では一般の市民が日本軍により便衣兵と間違われ、戦闘で命を落としたり、あるいは戦闘の後で捕獲した便衣兵の中に一般市民がいた可能性も否定しきれない部分があり、確かに市民が犠牲になった可能性は否定しきれません。

しかし、だかといって、日本軍が南京市民を数十万を意図に虐殺したという事実はありません。それに、当時の南京攻略の成功責任者であった、松井石根大将は、この事件のため戦後に極東軍事裁判において死刑になっています。しかし、この事件の大元の責任者である、蒋介石と高級将校たちには、いっさい何の罪にも問われていません。

南京虐殺記念館に刻まれた虐殺された市民30万の虚構
そうして、蒋介石は後に台湾の総統となり、国民党政権を樹立しました。台湾でも戦後何度か政権交代があり、国民党以外の政党が政権を担ったこともありました。しかし、その時期にも尖閣諸島が台湾であるとか、南京で日本軍は数十万の市民を虐殺したという主張を変えたことはありません。

ブログ冒頭の記事のように、親日的な台湾人が多いことは事実です。しかし、そもそも台湾の建国は蒋介石率いる国民党によって行われたことや、大陸中国の息のかかったような人も多いことから、政界や財界などにもまだまだ、国民党に関係の深い人間が、隠然と勢力や権力を保持しているため、国民党による主張など簡単に取り消すことができないのです。

現在の台湾は蔡英文総統の民進党政権が率いていますから、台湾は独立国であり、大陸中国の一部ではないという考え方であり、どちらかというと日本との関係を強化させたいと考えています。

他方、国民党を支持する層も多いという現実もあります。そのような台湾の現実を示したのが、今回の八田像損壊だったのです。

私達日本人も、このような台湾の現実を知り、台湾がいつまでも親日的であるとは限らないかもしれないことについては、肝に銘じるべきです。

そうして、日本政府や民間も、台湾の親日的な人々の絆を深めていくべきものと思います。

【関連記事】



2015年3月20日金曜日

チュニジア襲撃事件に関する池内恵氏のFB記事―【私の論評】チュニジアで夏は、地元女性のタンクトップやビキニは当たり前! メディアに騙されないようにするため、クリティカル・シンキングを身につけよ(゚д゚)!



【私の論評】チュニジアで夏は、地元女性のタンクトップやビキニは当たり前! メディアに騙されないようにするため、クリティカル・シンキングを身につけよ(゚д゚)!

上の記事で、池内氏はあまりに日本国内のマスコミのチュニジア襲撃事件に関しては、無責任で出鱈目な報道をしているので、呆れ果てて、それをはやめに是正するためにも、FBにこのような記事をはやめに掲載したのだと思います。

今回の事件の真相は、池内によれば、ジハード主義者は、チュニジアが必死にうまくいくように頑張ってうまくいっているから、壊したいということだけのようです。そうして、ジハード主義者がいくら努力しても、チュニジアの体制は壊せないようです。

この記事を見ていると、いかに日本のマスコミやら識者がいかに出鱈目なのか良くわかります。NHK-BSのみが、ある程度中東問題専門家が存在するせいか、まともな報道を行っているようです。NHKも地上波ではとんでも報道をしています。

私は、残念ながらチュニジアには行ったことはないのですが、サイトで"Tunisian girl"というキーワードで、写真を検索すると、以下のような写真があります。

チュニジアの女の子たちの写真

さらに、以下のような文言の掲載されているサイトも発見しました。


何と、チュニジアは、ビールとビキニの土地だそうではありません。それを査証する写真を以下にピックアップします。


これは、確かにビールとビキニの土地のようです。


以上の写真、無論観光客の写真ではありません。全部チュニジア人の女の子の写真です。無論、これだけが、チュニジアと主張するつもりはありませんが、これを見る限り、池内氏が上の記事で主張しているように、肌の露出がどうのこうのという話は全く関係ないです。

それにしても、テレビ局やラジオ局など、良く知りもしないことをもっともらくし、さも事実であるように報道してしまうものということがいまさらながら良く理解できます。

その典型例として、朝日新聞の慰安婦報道がありました、ごく最近のものとして新聞・テレビによる大増税キャンペーンがありました。10%増税なんて実行したら、とんでもないことになっていたはずですが、新聞・テレビはさも増税するのが当然のような報道を繰り返していました。それも、昨年の暮の選挙で、国民ははっきりと「ノー」と意思表示をしました。

さて、このようなとんでも報道、テレビや新聞だけでなくネットでもあることです。というより、ネットのほうが酷いかもしれません。

その事例を以下にあげます。
クルーグマン教授、日銀のQEにインフレ達成効果ないと断言 米誌などは反論更新日:2015年3月18日
NewsPhere カテゴリー:経済


この記事、タイトルなどみただけで、非常に変だと思い私自身は最初は読みませんでした。それでも気になって、斜め読みしたのですが、とんでもなく変な記事です。

この記事のおかしさ加減、このブログで説明しようともしたのですが、この愚かな記事にげんなりしてしまったので、この記事に関して何か批評している記事はないかと探してみたら、実際あったので、その記事のURLを以下に掲載します。
flip out circuits2015年3月20日金曜日誤解を誘う記事の作り方を学ぶ:NewSphereさまの事例
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、とにかく、NewSphereの記事とんでもない誤解を招くものです。

そもそも、クルーグマン氏は、現日銀の金融政策を効果がないなどと批判したことは一度もありません。

世の中には、このようなことがいくらでもあります。だから、新聞・テレビの報道でも、ネットの報道でも、やはりクリティカル・シンキングをしなければならないと思います。

クリティカル・シンキングとは、あらゆる物事を批判的に考えることです。ただし、「批判」の定義については論者によって異なります。

普段から、このような癖をつけておいて、あまりにも疑問の多い報道などに関しては、その背景を普段から考えたりしていれば、このような報道に惑わされることはなくなります。

そうして、自分自身で、信用のおけるメディアや、個人を探し出し、それを情報源とすることにより、まともな思考ができるようになると思います。それができなければ、私達は、自身の主人公とはなりえません。いつも、他の人の思惑に操られる人生を送ることになります。そんな人生は真平ごめんです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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【関連図書】

以下の三冊をご覧いただければ、あなたは、自身の主人公となることができます。いつも、他の人の思惑に操られる人生を送ることなく、自分自身が思った人生を生きることができるようになります。

まずは、マスコミの酷さを痛いほど実感できるのがこの一冊です。ここてまで、堕落していると認識している人は少ないかもしれません。


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2014年5月27日火曜日

【西村幸祐氏FB】ルトワックはウクライナ危機でシナとロシアの接近は氷の微笑だと分析する。―【私の論評】東・南シナ海が騒がしくなったのは、ソ連が崩壊したから! 安全保障は統合的な問題であり、能天気な平和主義は支那に一方的に利用されるだけ(゚д゚)!

【西村幸祐氏FB】ルトワックはウクライナ危機でシナとロシアの接近は氷の微笑だと分析する。


【私の論評】東・南シナ海が騒がしくなったのは、ソ連が崩壊したから! 安全保障は統合的な問題であり、能天気な平和主義は支那に一方的に利用されるだけ(゚д゚)!

ジャーナリストの西村氏がFBでシェアした、日経新聞のこの記事、現在の中国に対する対抗策を考える上でかなり参考になります。

ルトワック氏の分析は秀逸です。ルトワック氏の他の分析(中国崩壊の必然)についてもこのブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。ここでは、その詳細については触れません、詳細を知りたいかたは是非ご覧なって下さい。
米海軍幹部、自衛隊にNATO加盟国並みの役割期待― 【私の論評】自滅する現中国の現実を見つめよ!現中国は、モンゴル帝国の末裔であり漢民族の中国は唐の時代に滅んでいることを(゚д゚)!
ルトワック氏

西村氏が語っておられるように、この日経の記事珍しくまともな記事です。ただし、この記事は、大部分が取材記事のようであります。間違って、掲載してしまったため、今頃この記事を書いた記者や、人民日報、いや間違えた日経新聞は中国様から大叱責を受けているかもしれません。

ただし、裏の裏を読めば、これは憶測にすぎませんが、中国としてはロシアが再び経済成長して中国を脅かすような存在になっては困るため、このような記事を日経に掲載させ、日本がロシアに肩入れして、経済援助して再びロシアがソ連時代のように中国を脅かす存在になることを牽制するという意味あいがあるのかもしません。

現在のロシアは小国(人口は、日本と同程度、GDPは日本の1/5)に成り果てたことは、このブロクで何回も掲載しました。その典型的な記事のURLを以下に掲載します。
上念司「中国包囲網の決定打はモンゴル・トルコのランドパワー強化に在り!」―【私の論評】ソ連崩壊後、小国ロシアになってから国境溶解が顕著になり中国にとって軍事的脅威はなくなった!日本は経済援助を通じて中国と国境を接する国々のランドパワーを強化すべき(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、大帝国ソ連崩壊後を継承した小国ロシアは、中ロ国境の国境溶解(シベリアへの中国人の進出による国境が不明確になる現象)にかなりの脅威を感じていることを掲載しました。

だから、上のルトワック氏は、中ロの接近は氷の微小であるとしているのです。私もそう思います。

そうして、ロシアの弱体化により、中国はかつてのようにソ連との国境線上に軍隊を配置するなど、ソ連の脅威に備える必要はなくなったため、今日の中国は海洋新進出ができるということです。

かつての中ソ国境紛争の係争地だった黒瞎子島は今では観光地になっている

これに対処する策として、経済評論家上念氏は、中国と国境を接する国々が経済成長をして、ランドパワーを強化することが有効であることを主張していました。

強面ロシアは、ウクライナではかなり強気にでているようにもみえますが、ロシア側の立場たてば、ウクライナが完璧に西側に落ちてしまえば、西側でも国境溶解がはじまりとんでもないことになるとの脅威からあのような行動にでたものと思います。

国境溶解は、中ロ国境だけではなく、いろいろなところで生じています。

特にベトナムとの国境など、東南アジア諸国と中国の国境付近では中国元が流通しており、それが商売の決済につかわれていたりします。アジア人民元経済圏が築かれてしまえば、とんでもないことになります。

これについても、以前このブログに掲載したことがあります。そのURLを以下に掲載します。
編集委員・田村秀男 能天気過ぎる対中「金融協調」―【私の論評】アジア人民元経済圏により日本は草刈場になる!!
これも、詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、野田政権のときに、対中「金融協調路線」をとったことに対する産経新聞の田村氏による批判について掲載したものです。

以下に田村氏の批判に関する部分を以下に掲載します。
日本の「お人よし」ぶりには目を覆う。野田佳彦政権はこの6月、人民元にとって初めての海外通貨との直接取引に応じ、人民元のアジア標準通貨化に手を差し伸べた。沖縄県尖閣諸島の国有化に対して、執拗(しつよう)で理不尽、国際法を無視した共産党主導の反日暴力デモによる日本企業破壊にもかかわらず、野田政権は中国との通貨スワップや円・人民元の直接取引拡大、中国国債の購入、人民元建て債券市場の育成などに協力する。目先の利益にばかり目を向け、中国のアジア通貨覇権を後押しする能天気ぶりである。 
もともと、円はドル、ユーロに次ぐ国際通貨として認知され、企業も旅行者も世界の主要国のどこでも円で支払い、モノやサービスを購入できる。国債、社債、株式など円建ての金融資産は国際的に出回っている。 
ところが、円建て貿易決済は主に本国と海外現地法人の間など日本企業同士に限られ、多くは依然としてドル建て決済である。他通貨に比べて大きく変動する円は日本企業ばかりでなく海外の企業や政府にとってもリスクが大きく、地域の標準通貨としては人為的に相場変動を管理、抑制する人民元に比べて巨大なハンディを背負っている。
このまま東アジアが人民元にのみ込まれてしまうと、日本の企業、金融機関とも人民元を手にしていないとアジア全域でビジネスができなくなる。中国共産党が指揮する人民元政策に翻弄(ほんろう)され、服従を余儀なくされる。経済の弱体化に伴い、日本は外交、安全保障面で不利になる。 
野田政権が今すぐとれる対抗策はある。人民元の自由変動相場制への移行を対中金融協調の条件とせよ。人民元相場の操縦に批判を強める米国などと水面下でスクラムを組んで、北京と対峙(たいじ)する。IMF・世銀総会はその絶好の場なのだ。
各国との国境溶解やアジア人民元経済圏への移行途上であるという事実に後押しされているのが、中国の海洋進出というわけです。であれば、これらの国境溶解をなくしてしまえば良いわけです。そのためには、中国と国境を接する国々が経済発展をして、軍備などを増強して、国境溶解を食い止め、アジア人民経済圏を粉砕すれば良いわけです。

しかし、上の日経新聞の記事の末尾は以下のように締めくくられています。
 では、日本はどうすればよいのか。中ロの結束が弱まれば、日本の選択肢は広がる。それでもロシアが対中外交で協力したり、領土交渉で譲ったりすると期待するのは禁物だ。 
 米政府当局者は「ロシアに過剰な期待を抱かないほうがいい。日本には戦中の経験もある」と語る。第2次大戦末期、日本の降伏が確実とみるや、ソ連は日ソ中立条約を一方的に破棄し、攻め込んできた。
 ユーラシアの両雄はどこに向かうのか。日本は歴史の教訓をひもときながら、冷徹に次の一手を練るときである。(編集委員 秋田浩之)
この部分はルトワック氏の主張ではありません。秋田浩之なる人物の意見です。米政府当局者などとして、名前も伏せています。要するに、ロシアは信用出来ないということを言いたいようです。

しかし、これはうがった見方をすれば、日本がロシアに経済援助をして、再びロシアのランドパワーを増すことを牽制しているという見方もできます。要するに、日経新聞はいずれに転んでも、中国様の味方なのかもしれません。

日本としては、ロシアの出方、たとえば北方領土の問題を日本にとって良い方向に導くつもりがあるのかどうかを見極めながら、ロシアに対する援助などを見極めるべきです。

もし、ロシアにはその気がないというのなら、ロシアを支援する分をモンゴル、トルコ、ベトナム、インドなどにまわし、これらの国々の国境固め、中ロ国境溶解をさらに進行するようにし中ロ両国を弱体化する方向に進めばそれで良いだけです。

いずれにしても、日本としては、なるべく早くデフレから脱却して、経済的に余裕を持ち、日本の意図を成就できる体制に持っていくべきです。

だから、デフレ下の増税などとんでもないことです。支那を利するだけです。

上記のように安全保障は、軍事力だけではなく、金融・経済・外交が密接にからみあった、統合的なものてあり、これに対応するには統合的思考によらなければ、なかなか解決できるものでありません。海にだけ気を取られていたり、軍事力だけを考えていては何も成就しません。

昨日も、ベトナムの漁船が中国によって沈没されたばかりです。日本は、軍事力、金融、経済、外交を縦横無尽に駆使して、支那の傍若無人な海洋進出を阻止しなければなりません。残念ながら、政治家がほとんど白痴化してしまった今、それができるのは安倍総理だけです。

能天気な平和主義は支那に一方的に利用されるだけです。過去にはこれは、支那に貪り尽くされ、今もそうです。将来がそうであっては絶対になりません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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「沖縄は日本が武力併合」中国共産党機関紙が論文―【私の論評】歴史地図と長期国家戦略地図が示す、侵略国家中国!!弱れば、攻めこまれ領土を奪われるだけ!!



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2012年4月3日火曜日

Facebookタイムラインを活用したコミュニケーション活性化事例まとめ−【私の論評】社史はFBでこうつくれ!?

Facebookタイムラインを活用したコミュニケーション活性化事例まとめ:


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3月30日を迎え、Facebook社のアナウンス通りすべてのFacebookページが正式にタイムライン化されました。


しかし、ひとまずカバー写真のみ設定したくらいで、タイムラインそのものの有効利用の手段を確立できていない企業も多いかと思います。そんななか、既にいくつかの企業がその企業ならではのタイムラインを活用したコミュニケーション活性化事例を展開しています。 


Spotify

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Spotifyが展開するのは、タイムラインを利用して西暦1000年からの音楽の歴史を振り返るというもの。

(一時期話題になったFacebookタイムラインが1800年までしか遡れないという仕様は修正されたようです。)


注目すべきは、普通なら企業のタイムラインがその企業の歴史のみを記録しているのに対して、Spotifyのタイムラインでは音楽そのものの歴史を記録しているところです。

 
ホワイトハウス

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公的な機関であるホワイトハウスもしっかりとタイムラインに対応しています。1789年の設立からその歴史を記録していっています。


オバマ大統領のFacebookページも一ヶ月ほど前にタイムライン対応していることからも、Facebookがアメリカでいかに影響力を持っているサービスかということが伺えますね。今の日本ではちょっと考えられないことです。


またオバマ大統領は今話題のPinterestの活用にも乗り出しましています。ソーシャルメディアの影響力を認識してどんどん活用していく姿勢には感心させられます。


ファンタ

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少し前から話題になっていたアメリカのファンタのタイムライン。


時間を遡ることができるタイムラインの特性とカバー写真を活用してユーザー参加型の仕組みを提供しています。


カバー写真に欠けているキャラクターを過去のタイムラインの中から探し出し、現在に連れ戻してあげるという仕掛け。「現在に連れ戻すにはみんなのいいね!が必要です」などユーザーが参加することによってカバーやタイムラインが変化するという仕組みは、双方向のコミュニケーションを形成していく上で大変参考になるでしょう。

 
考察

Facebookページがタイムライン化したことによって、これまで主流であったウェルカムページタブや診断コンテンツに代表されるFacebookアプリを活用したものよりも、よりユーザーとのコミュニケーションを重視する方向へと動いていると言えます。そのなかでタイムラインという新たな仕組みを活かして、これまで以上にファンとのコミュニケーションを活性化させていくかを考えていかなければなりません。


また、まだまだ始まったばかりの企業のタイムライン活用に関しては、これからユニークな事例がどんどん増えていくでしょう。


国内のカバー写真事例をまとめたものを見る限りではカバーだけでも海外のものとは違った色を見せていると言えます。個人的に海外とは違った日本ならではのユニークなタイムラインの活用法がたくさんでてくるのではと、期待を持っています。


[Spotify Facebookページvia THE VERGE]

[WhiteHouse Facebookページ via THE VERGE]

[Fanta Facebookページ]

[Photo by http://www.flickr.com/photos/dylan20/]


Social Media Account Planners

江川昂志(@social_ouji

 

【私の論評】社史はFBでこうつくれ!?

さて、以前も、facebookが、Timelineになるという記事がInfobahnに掲載されていました。今回の記事は、Timeline化の実施が完了したことのお知らせととともに、これに対応した企業のFBの事例をまとめています。


私は、前回のお知らせの記事の論評で、これは、社史を作成するのに、最適であることを述べました。いまでも、そう思っています。それに、上のspotifyの事例は、西暦1000年からの音楽の歴史を振り返るものですから、当然社史などもつくれるはずです。


ただし、今回も社史の事例は存在せず、これは、少しがっかりしました。私は、いずれどこかの会社がかならず、社史をFBでつくるものと期待しています。書籍による、社史、歴史的資料として残すのには、良いですが、たいてい、分厚くて、重くて、どうしようもありません。多くの会社で、作成は、されているものの、ほとんど参照されていないというのが実情ではないでしょうか。


私は、社史なるもの、いくつか実物をみたことがありますが、中小企業はともかく、大企業のものとなると、本当に、分厚くて、本当に読みたい部分を探すのも大変です。それに、紙ベースですから、あまり頻繁に更新されるものではないので、すっかり、時代から取り残されていて、あるには、ある程度のものになっているものも多いです。これじゃ歴史的資料というだけで、誰も参照しないと思います。それでは、本来の社史の意味がなくなると思います。(下の写真は、ある会社のサイトでの会社案内。FBでの社史は、このような単純なものではなく、はるかに高機能で、ユーザーコメントも可能になり、さらには、それ自他いがプロモーションツールになる)


この記事で以前単に「社史」作成にも向いているくらいのことしか掲載していなかったので、本日は、FBでの、社史がどのうようなものになるのか、簡単に掲載してみます。


今回は、マインド・マップを作成してみましたので、以下にそれを掲載します。以前、あるSNSで、マインドマップのコミュニティーを主催していたことがあります。コミュニティーメンバーも数百人にまでなったのですが、ある時点から私もサポートしてないので、開店休業状態になってしまっています。これだと、マインドマップを非常に書きやすいので、再開してみょうかな、なんて思ったりもしています。それにしても、マインドマップだと、複雑な概念でも、結構短時間で描けますから、これから、このブログでもマインドマップを多様してみようとも考えています。本日のマップは、横長ですが、縦長にすれば、もっと大きく表示できます。次に掲載するときは、縦長にしてみます。

このマインドマップ、iPad用のアプリ"Simple mind+"で書いています。とても使いやすいです、これを使いはじめてから、最初は、なんでもマップ化してしまうマップ魔になってしまいました。詳細は、上の画像をドロップしていただければ、拡大画像でご覧になることができます。以下の四つの柱から構成されています。


◆未来を作って行く社史

◆シャしそのものをプロモーションツールとする

◆SNSの利用促進(これは、特に社内の促進を意図しています)

◆FBで作成のメリット・デメリット

詳細は、マインドマップをご覧になってください。(下の写真は、ある会社のサイトでの会社案内の入り口画面。FBでの社史は、これにTimelineが付加されたようなものになるかもしれない)


FBなら、おそらく、紙の出版よりも、かなり安くあがると思います。それに、従来の社史などと異なり、多くの人に実際に読んでもらえるでしようし、さらに、これ自体がプロモーションツールになります。


これは、いいことづくめだと思うのですが、皆さんは、どう思われますか。こんなところに、こんな記事を掲載しているより、うちの会社あたりで、さっさと作ってみたほうがよいかもしれません。そうして、実物をご覧いただければ、その良さが理解しやすいのかもしれません。でも、作るのは大変そうです。でも、紙でつくるよりは、はるかに楽だと思います。

 

 

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