【私の論評】東・南シナ海が騒がしくなったのは、ソ連が崩壊したから! 安全保障は統合的な問題であり、能天気な平和主義は支那に一方的に利用されるだけ(゚д゚)!
ジャーナリストの西村氏がFBでシェアした、日経新聞のこの記事、現在の中国に対する対抗策を考える上でかなり参考になります。
ルトワック氏の分析は秀逸です。ルトワック氏の他の分析(中国崩壊の必然)についてもこのブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。ここでは、その詳細については触れません、詳細を知りたいかたは是非ご覧なって下さい。
米海軍幹部、自衛隊にNATO加盟国並みの役割期待― 【私の論評】自滅する現中国の現実を見つめよ!現中国は、モンゴル帝国の末裔であり漢民族の中国は唐の時代に滅んでいることを(゚д゚)!
ルトワック氏 |
西村氏が語っておられるように、この日経の記事珍しくまともな記事です。ただし、この記事は、大部分が取材記事のようであります。間違って、掲載してしまったため、今頃この記事を書いた記者や、人民日報、いや間違えた日経新聞は中国様から大叱責を受けているかもしれません。
ただし、裏の裏を読めば、これは憶測にすぎませんが、中国としてはロシアが再び経済成長して中国を脅かすような存在になっては困るため、このような記事を日経に掲載させ、日本がロシアに肩入れして、経済援助して再びロシアがソ連時代のように中国を脅かす存在になることを牽制するという意味あいがあるのかもしません。
現在のロシアは小国(人口は、日本と同程度、GDPは日本の1/5)に成り果てたことは、このブロクで何回も掲載しました。その典型的な記事のURLを以下に掲載します。
上念司「中国包囲網の決定打はモンゴル・トルコのランドパワー強化に在り!」―【私の論評】ソ連崩壊後、小国ロシアになってから国境溶解が顕著になり中国にとって軍事的脅威はなくなった!日本は経済援助を通じて中国と国境を接する国々のランドパワーを強化すべき(゚д゚)!詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、大帝国ソ連崩壊後を継承した小国ロシアは、中ロ国境の国境溶解(シベリアへの中国人の進出による国境が不明確になる現象)にかなりの脅威を感じていることを掲載しました。
だから、上のルトワック氏は、中ロの接近は氷の微小であるとしているのです。私もそう思います。
そうして、ロシアの弱体化により、中国はかつてのようにソ連との国境線上に軍隊を配置するなど、ソ連の脅威に備える必要はなくなったため、今日の中国は海洋新進出ができるということです。
かつての中ソ国境紛争の係争地だった黒瞎子島は今では観光地になっている |
これに対処する策として、経済評論家上念氏は、中国と国境を接する国々が経済成長をして、ランドパワーを強化することが有効であることを主張していました。
強面ロシアは、ウクライナではかなり強気にでているようにもみえますが、ロシア側の立場たてば、ウクライナが完璧に西側に落ちてしまえば、西側でも国境溶解がはじまりとんでもないことになるとの脅威からあのような行動にでたものと思います。
国境溶解は、中ロ国境だけではなく、いろいろなところで生じています。
特にベトナムとの国境など、東南アジア諸国と中国の国境付近では中国元が流通しており、それが商売の決済につかわれていたりします。アジア人民元経済圏が築かれてしまえば、とんでもないことになります。
これについても、以前このブログに掲載したことがあります。そのURLを以下に掲載します。
編集委員・田村秀男 能天気過ぎる対中「金融協調」―【私の論評】アジア人民元経済圏により日本は草刈場になる!!これも、詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、野田政権のときに、対中「金融協調路線」をとったことに対する産経新聞の田村氏による批判について掲載したものです。
以下に田村氏の批判に関する部分を以下に掲載します。
日本の「お人よし」ぶりには目を覆う。野田佳彦政権はこの6月、人民元にとって初めての海外通貨との直接取引に応じ、人民元のアジア標準通貨化に手を差し伸べた。沖縄県尖閣諸島の国有化に対して、執拗(しつよう)で理不尽、国際法を無視した共産党主導の反日暴力デモによる日本企業破壊にもかかわらず、野田政権は中国との通貨スワップや円・人民元の直接取引拡大、中国国債の購入、人民元建て債券市場の育成などに協力する。目先の利益にばかり目を向け、中国のアジア通貨覇権を後押しする能天気ぶりである。
もともと、円はドル、ユーロに次ぐ国際通貨として認知され、企業も旅行者も世界の主要国のどこでも円で支払い、モノやサービスを購入できる。国債、社債、株式など円建ての金融資産は国際的に出回っている。
ところが、円建て貿易決済は主に本国と海外現地法人の間など日本企業同士に限られ、多くは依然としてドル建て決済である。他通貨に比べて大きく変動する円は日本企業ばかりでなく海外の企業や政府にとってもリスクが大きく、地域の標準通貨としては人為的に相場変動を管理、抑制する人民元に比べて巨大なハンディを背負っている。
このまま東アジアが人民元にのみ込まれてしまうと、日本の企業、金融機関とも人民元を手にしていないとアジア全域でビジネスができなくなる。中国共産党が指揮する人民元政策に翻弄(ほんろう)され、服従を余儀なくされる。経済の弱体化に伴い、日本は外交、安全保障面で不利になる。
野田政権が今すぐとれる対抗策はある。人民元の自由変動相場制への移行を対中金融協調の条件とせよ。人民元相場の操縦に批判を強める米国などと水面下でスクラムを組んで、北京と対峙(たいじ)する。IMF・世銀総会はその絶好の場なのだ。各国との国境溶解やアジア人民元経済圏への移行途上であるという事実に後押しされているのが、中国の海洋進出というわけです。であれば、これらの国境溶解をなくしてしまえば良いわけです。そのためには、中国と国境を接する国々が経済発展をして、軍備などを増強して、国境溶解を食い止め、アジア人民経済圏を粉砕すれば良いわけです。
しかし、上の日経新聞の記事の末尾は以下のように締めくくられています。
では、日本はどうすればよいのか。中ロの結束が弱まれば、日本の選択肢は広がる。それでもロシアが対中外交で協力したり、領土交渉で譲ったりすると期待するのは禁物だ。
米政府当局者は「ロシアに過剰な期待を抱かないほうがいい。日本には戦中の経験もある」と語る。第2次大戦末期、日本の降伏が確実とみるや、ソ連は日ソ中立条約を一方的に破棄し、攻め込んできた。
ユーラシアの両雄はどこに向かうのか。日本は歴史の教訓をひもときながら、冷徹に次の一手を練るときである。(編集委員 秋田浩之)この部分はルトワック氏の主張ではありません。秋田浩之なる人物の意見です。米政府当局者などとして、名前も伏せています。要するに、ロシアは信用出来ないということを言いたいようです。
しかし、これはうがった見方をすれば、日本がロシアに経済援助をして、再びロシアのランドパワーを増すことを牽制しているという見方もできます。要するに、日経新聞はいずれに転んでも、中国様の味方なのかもしれません。
日本としては、ロシアの出方、たとえば北方領土の問題を日本にとって良い方向に導くつもりがあるのかどうかを見極めながら、ロシアに対する援助などを見極めるべきです。
もし、ロシアにはその気がないというのなら、ロシアを支援する分をモンゴル、トルコ、ベトナム、インドなどにまわし、これらの国々の国境固め、中ロ国境溶解をさらに進行するようにし中ロ両国を弱体化する方向に進めばそれで良いだけです。
いずれにしても、日本としては、なるべく早くデフレから脱却して、経済的に余裕を持ち、日本の意図を成就できる体制に持っていくべきです。
だから、デフレ下の増税などとんでもないことです。支那を利するだけです。
上記のように安全保障は、軍事力だけではなく、金融・経済・外交が密接にからみあった、統合的なものてあり、これに対応するには統合的思考によらなければ、なかなか解決できるものでありません。海にだけ気を取られていたり、軍事力だけを考えていては何も成就しません。
昨日も、ベトナムの漁船が中国によって沈没されたばかりです。日本は、軍事力、金融、経済、外交を縦横無尽に駆使して、支那の傍若無人な海洋進出を阻止しなければなりません。残念ながら、政治家がほとんど白痴化してしまった今、それができるのは安倍総理だけです。
能天気な平和主義は支那に一方的に利用されるだけです。過去にはこれは、支那に貪り尽くされ、今もそうです。将来がそうであっては絶対になりません。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
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