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2014年5月29日木曜日

米国議会で日増しに強くなる対中強硬論―【私の論評】世界は複雑だ!米中一体化、G2など中国の妄想にすぎない!しかし、日本にとってはこの妄想につけこむ絶好のタイミングかもしれない(゚д゚)!

米国議会で日増しに強くなる対中強硬論

米国国会議事堂

 米国連邦議会下院外交委員会のアジア太平洋小委員会が5月20日に開いた公聴会は、米国全体の中国への姿勢が著しく険悪化している様子をあらわにした。米国の中国への敵対傾向が明らかに強まり、米中間の「新冷戦」という言葉をも連想させるようになったのだ。 

 「中国はいまや全世界の平和と安定と繁栄への主要な脅威となったのです!」

 この公聴会ではこんな強硬な発言が出た。

 公聴会の主題は米国の「アジアへの旋回」である。このスローガンはオバマ政権が新政策として鳴り物入りで宣伝してきたが、どうも実態がはっきりしない。もしも安全保障面でアジアでの備えを重視するならば、当然、米軍の新たなアジア配備や、そのための国防予算の増額が見られるはずなのだが、見当たらない。オバマ政権の唱える「アジア最重視」も、レトリック(修辞)だけで実効措置が伴わない意図表明にすぎないという懸念がワシントンでも広がって久しい。

 中国の威嚇的な行動はますます激しさを増している。異常とも言えるほどの急ペースで軍拡をもう20年も続けているうえに、東シナ海での防空識別圏(ADIZ)の一方的な宣言、尖閣諸島での恒常的な日本側の領空領海への侵犯、南シナ海での無法な領有権拡張、対米サイバー攻撃、そして他国領土を強引に奪うロシアへの接近など、国際規範無視の中国の荒っぽい行動は、ついに米国側の忍耐の限界を超えたかのようにも見える。

 さらに、この5月には、中国人民解放軍の房峰輝総参謀長が訪米し「アジアでの紛争は米国のアジア政策のせいだ」と非難した。習近平国家主席は、ロシアやイランの首脳を交えた上海での「アジア信頼醸成措置会議」で「アジアの安全はアジアの人間が守る」と述べ、事実上、米国のアジア撤退をも求めた。オバマ政権の宥和政策にもかかわらず、中国は明らかに米国を敵視しているとしか思えないのである。

 こうした現況について、米国では以下のようにも総括された。

 「中国に対して、米側には伝統的に『敵扱いすれば、本当に敵になってしまう』として踏みとどまる姿勢が強く、中国を『友好国』『戦略的パートナー』『責任ある利害保有者』『拡散防止の協力国』などと扱ってきました。だが、そうして40年も宥和を目指してきたのにもかかわらず、中国はやはり敵になってしまったのです」(元国防総省中国担当、ジョー・ボスコ氏)

 皮肉な表現ではあるが、明らかにオバマ政権の対中宥和策への批判だと言える。

 中国が少なくともアジアにおいて、米国主導の現在の国際秩序を従順に受け入れる構えがないことはすでに明白となってきた。いや、受け入れないだけではなく、むしろ打破したいと意図していると言う方が正確だろう。

 そうした中国がロシアに本格的な接近をしてきたことは米国にとってさらに気がかりな動きである。万が一、中国とロシアの両国が団結し、連帯して、米国に対抗するとなると、いまの世界の国際秩序や安全保障構造は根本から変わってしまう。1991年にソビエト連邦が完全に瓦解して以来の最大の出来事ともなろう。米中関係の険悪化には、世界大動乱の予兆とも言える、そんな重大な要素も絡んでいるのだ。

 だがその一方でわが日本では、集団的自衛権をめぐる論議でも、肝心の外部の安保情勢ではなく国内の法的手続きを最優先しての内向きな攻防が続く。

 多数の国家が絡み合ういまの世界の安全保障情勢の中で、日本だけが孤立して安全が高まるはずがない。防衛や安保の面での国際的な連帯や協調がいまほど重要な時期はない。それにもかかわらず、日本内部での集団的自衛権容認への反対論は、砂に頭を突っこむことで見たくない現実から目を背ける、ダチョウの平和を思わせるのである。

上の記事は、要約です。詳細をご覧になりたい方は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】世界は複雑だ!米中一体化、G2など中国の妄想にすぎない!しかし、日本にとってはこの妄想につけこむ絶好のタイミングかもしれない(゚д゚)!

上の記事でも明らかなように、オバマ大統領の中国宥和政策は、あまり実を結ばなかったのが現実です。オバマの前の大統領、ブッシュ氏は宥和政策はとりませんでした。少なくとも、年に一回くらいは、中国に対して声明を発表し、民主化をすること、政治と経済を分離すること、法治国家化をすることなど厳しく要求していました。

オバマになってからは、そのようなことはなくなり、宥和政策ばかりとるようになりました。

こうした宥和政策は、過去においても失敗しています。それは、ナチスドイツに対するイギリの宥和政策です。

これについては、以前のこのブログでも掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
歴史に学ぶ-(1)ミュンヘン会議(1938年9月29日~30日)、チェコスロバキア解体(1939年)
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では当時のイギリスの首相チェンバレンによる対独宥和政策が、結果として第二次世界大戦開戦の誘引ともなったことを掲載しました。

握手を交わすチェンバレン(左)とヒトラー

以下にこの記事から現代でも学ぶべき点に関して私が掲載した文章をコピペさせていただきます。
理不尽な要求には、絶対に屈しないということにつきる。このときに、イギリスをはじめフランス、ソビエト連邦、ポーランドをはじめとする東欧諸国も構えを崩さず、さらにアメリカの応援も要請して徹底抗戦も辞さずという態度をみせれば、戦争が回避できた可能性もあったはずである。無論、歴史にもしも、という言葉に意味はないが、これからのことを考えるためには役にたつだろう。 
現在チベット問題がクローズアップされているが、この問題も絶対に譲歩すべきではないだろう。少なくともチベットの自治は認めさせるべきであるとの意思表示は、はっきりすべきだろう。さらに、中国がこれ以上領土拡張の野心を見せたときは、たとえどのようなことになろうとも、絶対に認めないという姿勢が必要だろう。
さら、福田総理大臣はどうなのだろう。少なくとも日本のチェンバレンと呼ばれるようなことには、なってもらいたくない。
この記事は、 2008年のものです。この当時は、福田首相でした。福田首相にかぎらず、日本の歴代の総理大臣は安部総理は別として、ほとんどが対中宥和策をとってきました。最近の中国の暴虐非道は、他にも様々な理由もありましたが、こうし宥和政策も誘引したことは否めませせん。

ソ連の崩壊により、その後継者たるロシアは、小国化してしまいました。これにより、中国は特に陸上で国境を接する国々からの脅威はほとんどなくなりました。ソビエト帝国が瓦解した現在、今や世界唯一の超大国(中国は、超大国とはいえない発展途上国です)アメリカのオバマ大統領の対中宥和政策です。

これが、中国の海洋進出に拍車をかけています。これに関しては、このブログでも何度か掲載してきました。その代表的なものを以下に掲載します。
上念司「中国包囲網の決定打はモンゴル・トルコのランドパワー強化に在り!」―【私の論評】ソ連崩壊後、小国ロシアになってから国境溶解が顕著になり中国にとって軍事的脅威はなくなった!日本は経済援助を通じて中国と国境を接する国々のランドパワーを強化すべき(゚д゚)!

小国化したロシアは、未だに大国
のように見せかけているが・・・・・
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、ロシアが小国になった(GDPは日本の1/5)事実をもとに、中ロ国境の国境溶解(中国人のシベリアなどへの移動により、国境が不明確になっている現象)により、中国は陸上での差し迫った脅威がなくなり、それが、中国の海洋進出の誘引になっていることを掲載しました。

さらに、ロシアとしては、こうした国境溶解などにかなり脅威を感じていることを掲載しました。

このような状況のもと、日本はもともと対中宥和的で、アメリカのオバマが対中宥和政策をとれば、中国が海洋進出をして、傍若武人な振る舞いをすることは必然といっても良いです。尖閣問題もこうした流れの中で発生したものです。

しかし、日本では安倍政権が成立してからは、少なくとも対中宥和政策はとらなくなりました。

そんな中で、外交オンチのオバマは、対中宥和政策をとりつづけました。

オバマがもう少し早い時点で、尖閣は日本固有の領土であることをはっきり表明すれば、尖閣問題はあそこまで激しくならなかったことが考えられます。南シナ海についても同じことです。

こうしたオバマの煮え切らない態度に、アメリカ議会は黙認していることはできず、このブログ冒頭の記事が掲載しているように、対中強硬論に傾いているのだと思います。

日本の安部首相が中国を意識した安全保障のダイヤモンドを構築し、アメリカはオバマはともかく、議会が対中恐慌論に傾いている現在。これは、日本にとっては大きな外交上のチャンスかもしれません。

ブログの冒頭の記事では、「中国とロシアの両国が団結し、連帯して、米国に対抗する」などということはほとんど考えられません。まずは、過去においてはソ連が現在ではロシアは、中国に対して譲歩したということは一回もありません。

大国ロシアの復活を目論むプーチン

現在の中ロ国境は、比較的安定していますが、これは中国がロシアに一方的に屈辱的譲歩して定まったものです。今後暫くは、中国が軍事的にロシアの脅威になるような行動をしても、ロシアは何一つ譲歩することなく、中国を軍事的に屈服させることでしょう。

しかし、これも長くは続きません。今やロシアは日本のGDPの1/5、人口も日本より多少多い1億4千万人程度に過ぎません。その中でも支配者階層のロシア人の数は、日本人と同程度です。現状では、旧ソ連邦時代に築いた軍事技術などが中国を圧倒していますが、これから先はどうなるかはわかりません。

現在、ロシアと中国が強く結びつくということにでもなれば、ロシアは中国の属国になりかねません。ロシアは絶対にそのような道は選ばないでしょう。まずは、ロシアと中国の結びつきとは、表面上のことであり、現実的ではありません。これに関しては、昨日一昨日も掲載した中ロの接近は、「氷の微笑」に過ぎないとする、ルトワック氏の分析が的を射ているようです。詳細を知りたい方は、是非ご覧になって下さい。

ルトワック氏

さて、現状は、オバマが外交オンチではあっても、米国議会が対中強硬論に傾いている状況にあるわけです。それに、ロシアは中ロ国境の国境溶解に苦しみ、何とか打開策を探していますロシア以外の中国と陸並びに海で、国境を接する国々も中国の脅威が日増しに増大しています。

この状況は、良く考えてみれば、日本にとってはかなり有利な状況でもあります。日本は、安部総理の実行するアメリカなどに偏る外交ではなく、他の国々も含めた全方位外交が今後さらに効果を増すことになると思います。

今の日本は、対中強硬論のアメリカ議会を後ろ盾とすることができます。国境溶解に悩むロシアは、北方領土の交渉を続けるとしています。ロシアは、日本の経済援助を望んいます。そうして、経済が発展すれば、国境溶解に備えることができます。アジアにおいては、中国・韓国・北朝鮮以外の国々は日本の再軍備を望んですらいます。

この状況はかなり日本にとって良い状況であり、中国の脅威をはねのけ、アジアのリーダーになる可能性が高めるものでもあります。

しかし、残念ながら、ブログ冒頭の記事でも指摘しているように、以下のような状況にあります。
集団的自衛権をめぐる論議でも、肝心の外部の安保情勢ではなく国内の法的手続きを最優先しての内向きな攻防が続く。 
 多数の国家が絡み合ういまの世界の安全保障情勢の中で、日本だけが孤立して安全が高まるはずがない。防衛や安保の面での国際的な連帯や協調がいまほど重要な時期はない。それにもかかわらず、日本内部での集団的自衛権容認への反対論は、砂に頭を突っこむことで見たくない現実から目を背ける、ダチョウの平和を思わせるのである。
安全保障は、上の文章が示しているように国際的な連帯や協調が重要です。そうして、それだけではありません。

安全保障は、軍事力や国際的な連帯や協調だけではなく、金融・経済・外交が密接にからみあった、統合的なものてあり、これに対応するには統合的思考によらなければ、なかなか解決できるものでありません。海にだけ気を取られていたり、集団的自衛権や国内のことだけを考えていては何も成就しません。

世界は、複雑です。米中二極体制、G2などという考えはとうてい成り立たないものであり、これは中国の妄想に過ぎません。ただし、中国がこの妄想にふけり続ければ、過去のソ連と同じよう崩壊することになります。そこに日本がつけいる隙があります。そうして、今は日本がこれを最大限に活用できる絶好のタイミングにあります。安部総理はこれを狙っています。

能天気な平和主義は支那に一方的に利用されるだけです。実際、外交オンチのオバマは、宥和政策を中国に利用されてきました。日本の宥和政策も、過去には支那に貪り尽くされ、今もそうです。将来がそうであっては絶対になりません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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