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2020年8月27日木曜日

中国、弾道ミサイル4発発射で南シナ海が戦場に…米国に“先に手を出した”代償―【私の論評】中国には、かつての北朝鮮のように、ミサイルを発射しつつ米国の様子をうかがい、あわよくば取引をしようとする暇もない(゚д゚)!

中国、弾道ミサイル4発発射で南シナ海が戦場に…米国に“先に手を出した”代償

文=渡邉哲也/経済評論家

中国の習近平国家主席

南シナ海をめぐるアメリカと中国の応酬が激化している。8月26日、ドナルド・トランプ政権は中国企業24社に事実上の禁輸措置を発動することを発表した。

 国有企業である中国交通建設の傘下企業などについて、南シナ海での軍事拠点建設に関わったとして、「エンティティー・リスト」に27日付で追加する。今後、対象企業にアメリカ製品を輸出する場合は米商務省の許可が必要となるが、申請は原則却下されるという。

 中国交通建設は習近平指導部が掲げる広域経済圏構想「一帯一路」に関わる企業であり、ほかにも、デジタル通信機器やGPS関連機器を手がける広州海格通信集団などが含まれており、今後大きな影響が出るものと予測される。

 ウィルバー・ロス商務長官は「(制裁対象企業が)中国の挑発的な人工島建設で重要な役割を担っている」と断定しており、南シナ海関連では初めてとなる経済制裁のカードをここで切ってきたことになる。ただし、今回の措置は「アメリカ原産技術の禁輸」であり、金融制裁を伴うものではない。そのため、警告の意味合いが強く、短期的には影響が限定されるだろう。

 また、米国務省も、南シナ海の埋め立てや軍事拠点化などに関与した中国人と家族に対して、入国拒否などのビザ(査証)制限を実施すると発表した。マイク・ポンペオ国務長官は、「アメリカは中国が南シナ海での威圧的行動を中止するまで行動する」と警告している。

 中国が南シナ海で人工島を建設するなど軍事拠点化する動きについて、7月には、ポンペオ国務長官が「完全に違法」「世界は中国が南シナ海を自らの海洋帝国として扱うのを認めない」と明言し、アメリカが初めて公式に否定した。また、同月には南シナ海で米中が同時に軍事演習を行い、一気に緊張が高まったという経緯がある。

中国のミサイル発射で南シナ海が“戦場”に

 一方、中国は8月26日朝に南シナ海に向けて中距離弾道ミサイル4発の発射実験を行ったことが報じられており、ミサイルは南シナ海の西沙諸島と海南島に挟まれた航行禁止海域に着弾したという。しかも、そのうち「東風26」は米領グアムを射程に収めることから「グアムキラー」と言われ、同じく発射された「東風21D」とともに「空母キラー」と呼ばれる強力なものだ。

 中国は前日に軍事演習区域を米軍偵察機が飛行したことに対して「あからさまな挑発行為だ」と非難しており、アメリカを牽制する意図があることは明らかだ。しかし、あくまで威嚇的な行動であるとはいえ、これは事実上の宣戦布告と言っても過言ではない。南シナ海を舞台にした米中による戦争状態を加速させる動きであると同時に、中国がアメリカに対して先に手を出してしまったことの代償は大きなものになるだろう。

 すでに、アメリカは新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中国の在留アメリカ人に対して帰国命令を出しており、残留者については保護の対象外としている。そのため、中国には保護すべきアメリカ人はいないということになっている。

 中国に対して強硬姿勢を取るアメリカは、台湾との関係を強化している。8月10日には、アレックス・アザー厚生長官が台湾を訪れ、蔡英文総統と会談を行った。これは、1979年の断交以来、最高位の高官訪問であり、中国に対する牽制の意味合いも多分に含まれているだろう。

 当初は8月末に予定されていたG7サミット(主要7カ国首脳会議)は11月に延期され、世界的な話し合いの場は先送りとなった。今後は、9月半ばに迎える、華為技術(ファーウェイ)や北京字節跳動科技(バイトダンス)が運営する動画アプリ「TikTok」に対する制裁期限、9月26日から実施される香港の貿易上の優遇措置廃止などが、事態が動くタイミングとなるのだろう。

 また、アメリカ大統領選挙の選挙戦が本格化する中で、中国共産党員のアメリカ資産凍結と入国拒否、アメリカからの退去命令などの、より強い制裁が発動されるのかも注目に値する。

(文=渡邉哲也/経済評論家)

【私の論評】中国には、かつての北朝鮮のように、ミサイルを発射しつつ米国の様子をうかがい、あわよくば取引をしようとする暇もない(゚д゚)!

いよいよ、中国が本格的に北朝鮮化してきたようです。これから、中国は北朝鮮のように、ミサイルを頻繁に発射しつつ、核を開発し、様子をうかがいつつ米国との取引ができる状況になれば、ミサイルの発射を控えるということを繰り返すようになるのでしょうか。

いずれにせよ、中国が北朝鮮のようになることは十分に予想できました。中国共産党が「香港の1国2制度破棄」によって、引き返すことのできない、ルビコン川を渡ったのは明らかだらかです。習近平氏は従来から「毛沢東崇拝」を隠しもしませんでしたが、習近平政権の毛沢東化はついに「ルビコン川」を渡ったと言えるでしょう。

ルビコン川 川幅の身近いところは1mに満たない

「香港国家安全維持法」が6月30日に行われた中国全人代常務委員会で可決されましたが、施行されるまでこの法律の全文は公開されませんでした。さらに、中文のみで英語のものはありません。香港で施行される法律で英文がないものは初めてだろうと言われています。

しかも、この法律は中国共産党の統治下にはいない国外の外国人や組織にまで適用するという異常ぶりでした。

この時にすでに、中国は英語でいうところの"point of no return"(引き返せない地点)、すなわちルビコン川を渡ってしまい、かつてのナチス・ドイツと同じように、「殲滅すべき人類の敵」と民主主義国の国々から認識されたのです。

この「人類の敵」は、当時のナチス・ドイツと比較すれば、さほど強力ではないようです。特に核兵器に関しては、ソ連の核兵器を継承したロシアにも劣ります。さらに、人民解放軍は人民を抑圧するための組織であり、養わなければならない兵隊の数は多いがですし、長期にわたる一人っ子政策で、ほとんどが一人っ子ということもあり、外国と戦うための戦力としてはあてになりません。

ナチス・ドイツのV2ロケット

2隻の国産空母はほとんど戦力になりません。そうして、これは特に強調しておきますが、対艦哨戒能力に関しては、中国は時代遅れであり、日米とは比較にならないほど遅れています。また、潜水艦に関しても、ステルス性において、日米とは比較の対象にならないほど遅れています。

これは、何を意味するかといえば、日米の潜水艦は中国に発見されず、南シナ海や東シナ海、その他の海域を自由に航行できますが、中国の潜水艦はすぐに日米に発見されるということです。実際、最近では奄美大島の沖を中国の原潜が通過し、それを日本側がいちはやく発見し、河野防衛大臣が、それを公表しました。

ちなみに、日米の潜水艦は、南シナ海、東シナ海は無論のこと、中国の近海やもしかすると、港の中まで自由に航行しているでしょうが、それに関して中国のメディアが公表したことはありません。というより、中国側がそれを発見する能力がないです。

最近、サイトなどで中国の軍事力についての記事をみると、南シナ海で米中が戦えば米軍が負けるなどという、噴飯ものの記事をいくつか見ることもあります。

それらの記事には、対潜哨戒能力や潜水艦のステルス性については、なぜか一言も触れらておらず、その上で、ミサイルがどうの、航空機がどうのと、もっともらしく述べられ、結論として米国が負けるとしていました。

そういう記事には、「日米は南シナ海や東シナ海では潜水艦を使わないのですか?」と直截に質問をしてみましたが、返事がかえってきたためしはありません。痛いところを突かれたのでしょぅ。

特に、米国の原潜は、中国に発見されることなく、世界のすべての海域を自由に航行し、核を含めたあらゆるミサイルを発射することができます。日本の潜水艦も米国の潜水艦よりステルス性に関しては優れています。これでは、最初から勝負になりません。

要するに、南シナ海でも、東シナ海でも、いや世界中の海で、中国は米国に勝つ見込みはないのです。

世界最強の攻撃型原潜、米海軍のバージニア級 

さらに、米国の世界の金融支配は、中国としてはいかんともしがたく、世界金融市場をカジノにたとえると、米国がカジノの胴元とすれば、中国はいくら金をかなり使うとはいっても一プレイヤーに過ぎず、胴元に対抗しようとしても、対抗するすべがありません。胴元がプレイヤーに対して、カジノから出ていけといわれたらおしまいです。

あるとすば、中国国内にある米国企業や銀行の支店に対して、取引停止や資産凍結ができるだけです。それは、全体からみればほんのわずかなものに過ぎません。もし、中国がこれを大々的(とはいいながら最初から限界がありますが)に実施するなら、米国も国内で同じことを実行し、中国がさらに疲弊するだけです。

要するにも金融でも、軍事的にも米国は中国の敵ではないということです。そうして、米国は軍事衝突の前に、中国に対してあらゆる金融カードを切ることになります。そうされても、中国には対抗手段がほとんどありません。

では、今後中国がどのような道を選ぶことができるかというと、以下の二つしかありません。

1) 現在の北朝鮮のように、毛沢東時代の貧しい鎖国をする国になる。あるいは、北朝鮮やイラン、その他の少数の国々と経済圏をつくりその中で細々と貿易をする体制になる。
2)「人類の敵」として世界中の先進国から攻撃を受け滅亡する

中国が、ここ数十年驚異的な経済発展を遂げることができたのは「改革開放」という資本主義・自由主義的政策を共産主義に変わって、国家資本主義ともよべる体制を築き実行したからです。その中のほんの一部の自由の象徴が香港でした。

「改革開放」が存在しない中国大陸は、北朝鮮と何ら変わりがありません。習近平氏の運が良ければ、北朝鮮のように貧しい国で王朝を築くでしょうが、毛沢東時代と違って「自由と豊かさを知った」中国人民を押さえつけるのは至難の技でしょう。

ただ、現在の中国と北朝鮮とは根本的に異なることもあります。金正恩は、根本的に中国嫌いです。それが証拠に、中国に近いとされた、張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長と、実の兄である、金正男氏を殺害しています。

金正恩にとって、最大の関心事は、金王朝を存続させることです。それを邪魔するのが、中国であり、北朝鮮内の親中派です。これを金正恩は許すことができないのです。

北朝鮮内の親中派はことごとく処刑すれば、それですむかもしれませんが、中国に関しては、そう簡単にはいきません。黙っていれば、中国はすぐにも朝鮮半島に浸透して、半島を我が物にしてしまうでしょう。

しかし、それを防いでいるのが、北朝鮮の核であり、ミサイルなのです。北の核は、無論韓国や日本に向いているのですが、中国に向けられているのです。ただ、金正恩にも、中国を無碍にできない事情もあります。現在厳しい制裁を受けているので、何かと中国の手助けが必要であるということです。だから、表だって中国に対する反抗的な態度をみせないだけです。

しかし結果として、北朝鮮とその核の存在が、中国の朝鮮半島への浸透を防いでいるのです。このあたりを理解しているので、トランプ政権も現在のところは、北朝鮮を泳がせて様子見をしているというのが実情なのでしょう。

それに、米国(韓国は含まず)と中国、ロシア、北朝鮮とは、朝鮮戦争の直後の休戦協定で、38度線を互いにずらすことをしないという取り決めをしているので、みずからその現状維持を破るということはしたくないという考えもあるでしょう。

しかし、中国は、北朝鮮とは立場が異なります、中国は北朝鮮のように米国の大きな敵と対峙しているわけではありません。中国がかつての北朝鮮のように、ミサイルを頻繁に発射すれば、米国はどんどん金融制裁を推進し、最終的に人民元とドルの交換を停止したり、中国の所有する米国債を無効化する措置まで実行することになるでしょう。

そうなると、中国の選べる道をは上で示した二つしかなくなるのです。そうして、中国がどちらかの道を選べば、北朝鮮の将来もきまります。

一つは、他の国が入ろうが、入るまいが、北朝鮮が中国の経済圏の中に入り、他の経済圏からは切り離され、細々と生きていく道です。ただし、これは中国の浸透を嫌う金正恩がなんとか避けたいと思う道です。

もう一方の道は、中国が「人類の敵」として世界中の先進国から攻撃を受け滅亡し、全くの別の国、もしくは国々になった場合です。

この場合、中共が崩壊した後の新体制は、少なくとも米国とは対立するものとはならないため、北朝鮮と核の存在が朝鮮半島への浸透を防いできたという状況は消えるというか、必要がなくなります。そうなると、北朝鮮は滅ぶしかなくなります。特に、金王朝は滅ぶしかなくなります。

どちらの道も厳しいですが、北朝鮮が存続するためには、金正恩がいやがるかどうかは、別にして中国の経済圏の中で細々と生きていくしかありません。

米国としては、中国との対立の前には、北朝鮮は従属関数にすぎないと考えているでしょう。米国にとって、最優先は、中国です。

いずれにしても、中国にはかつての北朝鮮のように、ミサイルを発射しつつ、米国の様子をうかがい、あわよくば、取引をしようとする、暇もないようです。そうして、今の北朝鮮は中国の出方次第です。どちらの未来も明るくはありません。

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2020年7月29日水曜日

中国の暴挙に釘を刺すポンぺオ国務長官声明— 【私の論評】南シナ海の中国軍基地を米軍が攻撃する可能性はあるし、攻撃すれば大勝利間違いなし!(◎_◎;)


岡崎研究所 

 6月13日、ポンペオ米国務長官は、「南シナ海における海洋権益主張に関する米国の立場」と題するブレス声明を発表した。中国の南シナ海での一方的な活動で困っているフィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシア及びブルネイ等ASEAN諸国とともに米国が同じ立場にあることを表明したものである。その要点を紹介する。
(参考:https://www.state.gov/u-s-position-on-maritime-claims-in-the-south-china-sea/)



・中国がフィリピンに対し、スカボロー環礁及びスプラトリー諸島に関する排他的経済水域(以下EEZ)を含む海洋権益の主張を行うことは法的に許されない。これらの地域は、国際仲裁裁判所によって、フィリピンのEEZないし大陸棚と認められたものである。この海域でのフィリピンの漁船に対する中国の嫌がらせや中国の一方的な資源開発は違法である。国際仲裁裁判所の判決によれば、ミスチーフ環礁やセカンド・トーマス礁はフィリピンの主権及び管轄権の下にあり、中国の法的領有権も海洋権益もない。

・従って、米国は、スプラトリー諸島の中国が主張する12海里の領海を認めない。同様に、米国は、中国が主張するベトナム沖のヴァンガード・バンク、マレイシア沖のルコニア環礁、ブルネイのEEZ及びインドネシア沖のナツナ諸島の海洋権益を認めない。中国による他国の漁業活動への嫌がらせや炭化水素開発等は違法である。

・マレーシアから50海里にすぎず中国から1000海里以上あるジェームス環礁に対する領有権またはそれに由来する海洋権益への適法な請求権を中国は有していない。中国のプロパガンダでは、ジェームス環礁が「最南端の領土」として出てくる。が、国際法は明確である。ジェームス環礁は、水面下約20メートルに位置するが、ここはいかなる国も海洋主張できないと国際法は定める。

 7月13日のポンぺオ国務長官の南シナ海に関する声明は極めて重要な意味を持つものである。国連海洋法条約に認められている権利を超えた中国の権利主張を包括的に否定したものであって、南シナ海問題に対する極めて適切な声明である。

 中国は猛反対をしているが、南シナ海ほぼ全域が中国が主権を有する地域であるかのような主張、いわゆる9段線の主張などは荒唐無稽と言わざるを得ず、こういう主張は厳しく反論すべきものである。中国外務省の報道官は「国際法上、中国の主張が正しい」と述べているが、単にそう述べたと言うだけで、それを立証することを何一つ言っていない。

 正当な主張はまず打ち出していくことが大切である。日本もポンぺオ声明を歓迎する声明でも出せばよい。

 1984年の中英共同声明を簡単に破るような中国を牽制していく必要がある。ヒトラーが1936年、非武装地帯とされていたラインラントに進駐した時に、米英仏が強硬に対応したら、ヒトラーがその後に起こったようなことを起こしたのかという歴史のIFを考えることがあるが、とんでもない主張に対しては時宜を得て、反対しておくことが大事であると思っている。

 南シナ海問題はまさにそういう問題である。中国に国際法違反、約束違反の代償を払わせる姿勢が今後の平和につながる。

【私の論評】南シナ海の中国軍基地を米軍が攻撃する可能性はあるし、攻撃すれば大勝利間違いなし!(◎_◎;)

豪政府は23日、中国が南シナ海における領有権や海洋権益を主張していることついて、「法的根拠がない」として中国の主張を正式に退けました。中国との緊張が高まる中、米国と今まで以上に足並みをそろえるかたちとななりました。

環礁を埋め立てて作った中国の軍事基地
オーストラリアはこの日、国連に宛てた宣言の中で、南シナ海の大部分を占める中国側の主張には「法的根拠がない」としました。中国側は反応を示していません。

何世紀も前から領有権があると主張する中国は近年、南シナ海の南沙諸島で人工島に基地を建設している。

ブルネイやマレーシア、フィリピン、台湾、ヴェトナムは中国の主張に反発しています。中国を批判する各国は数十年にわたり、領有権を争ってきました。しかし近年、海上での衝突がたびたび発生し、緊張は着実に高まっています。

中国は「九段線」として知られる広大な海域の領有権を主張し、人工島の建設や哨戒活動を通じてその主張を既成事実化しようとしてきました。中国は大がかりな軍事インフラを整備してきましたが、目的は平和的だと強調しています。


菅義偉官房長官は29日午後の会見で、南シナ海を巡り中国の広範な領有権主張は無効である指摘した米豪の共同声明に対し、日本政府として支持し歓迎するとの見解を示しました。

 菅官房長官は今回の声明に関し、地域の安全保障環境が厳しさを増す中で「米国と豪州の揺るぎないコミットメントを示すものである」と指摘。わが国として「歓迎し支持する」と明言しました。

 また、日本政府は法の支配の重要性を強調してきたとし、今後も関係国と緊密に連携していく方針を改めて示しました。 米国と豪州は28日、ワシントンで外務・防衛閣僚協議(2プラス2)を開催し、終了後に発表した共同声明の中で、中国による南シナ海での広範な領有権主張は「国際法に照らして無効だ」と指摘しました。

29日付の共産党機関紙・人民日報系の環球時報英語版は「南シナ海で軍事衝突の危険性が高まっている」という分析を伝えました。

中国軍をけん制するため米軍が南シナ海で軍事演習を実施し緊張が高まっており、中国が埋め立てた南シナ海の人工島を「米軍が攻撃するのではないか」という臆測も広がっています。

 北京のシンクタンクによると、米軍機が7月中旬以降、頻繁に南シナ海や中国周辺を飛行しているそうです。26日には米軍の哨戒機P8Aが福建省の領海まで約76キロの地点に接近しました。中国外務省の汪文斌副報道局長は28日の記者会見で「今年前半、米軍機は南シナ海で2000回以上の活動を行った」と述べました。

米軍の哨戒機P8A
北京大米国研究センターの王勇主任はポンペオ長官の声明について「米国が11月の大統領選挙の前に南シナ海で武力を使用する可能性を排除できない」と述べました。多維新聞は13日の声明が米国の南シナ海奇襲に対する法律的根拠を与えたものだと解釈しました。

 ポンペオ長官は25日にはツイッターで「南シナ海は中国の海洋帝国でない」とコメントしました。これを受け、米国が中国の総領事館を閉鎖したのに続き、次は中国のどこを狙うかを表したという評価が出ています。

 香港サウスチャイナモーニングポスト(SCMP)は26日、米軍が南シナ海にほぼ毎日3-5機の偵察機を送るなど、南シナ海と中国の海岸に対する偵察飛行を記録的な水準に増やしていると報じました。

 多維新聞は中国の専門家らを引用し、米国の最初の奇襲打撃対象は、現在中国軍が駐留していないスカボロー礁(中国名・黄岩島)になる可能性が高いと報じました。その次のターゲットは中国で南沙諸島と呼ばれるスプラトリー諸島と予想しました。

 中国が滑走路などを建設したファイアリー・クロス礁 (中国名・永署礁)とミスチーフ礁(中国名・美済礁)、スビ礁(中国名・渚ま碧礁)を攻撃した後、周辺暗礁をミサイルと大砲で破壊する可能性が高いということです。

最後には中国以外の国が支配を主張する暗礁などをB-52Hなど戦略爆撃機を動員して爆破し、南シナ海関連国の領有権主張紛争を解決するという手順だそうです。パラセル(西沙)諸島のウッディー島(永興島)などに戦闘機などを布陣した中国がどのように出るのかがカギになるとしています。

これに関し北京の外交筋は、米国がまず中国に南シナ海人工島に設置した施設の撤去を要求するはずであり、中国がこれを受け入れない場合は戦争を覚悟して武力を行使する手続きに入る可能性が高いと述べました。


私自身は、すぐに米中が南シナ海で軍事衝突するようなことはないと思いますが、周辺諸国と中国との紛争に米軍が巻き込まれ、軍事衝突にまでエスカレートする可能性は十分にあると思います。

それに、現状は選挙選で不利とも見られるトランプ氏が、それを打開することも目的として、環礁を爆撃などするということあり得ると思います。

何しろ、中国の軍事基地などというと、日本人の中には、屈強の兵士や軍人たちが、最新兵器を携えて待ち構えているかのように考えるところがありますが、そんなことはなく、米国の戦略家ルトワック氏は、「この中国軍の基地は、象徴的な意味しかなく、米軍なら5分で吹き飛ばせる」と語っていました。

そのような基地ですが、それでも、周辺の国々から見れば、大きな軍事的脅威ですが、米軍にとっては脅威でも何でもありません。

そもそも、この海域で、米中が本格的に武力対立をした場合、このブログでも述べたことがありますが、米中の対潜哨戒能力や、潜水艦のステルス性能が中国のそれより格段に混ざっているため、米軍の潜水艦は、南シナ海を中国に発見されることなく自由に動き回れるのに対して、中国の潜水艦はすぐに米軍に発見されてしまいます。

その後どういうことになるかといえば、中国の潜水艦も含む全ての艦艇があっという間に米軍により魚雷等で沈められしまうことになります。地上の兵器なども、潜水艦から攻撃できます。おそらく、今も南シナ海の深海に米軍の原潜が潜んでいるのはまちがい無いでしょう。

日本の潜水艦も、米軍よりもステルス性能では優っているので、東シナ海や南シナ海で中国側に探知されず自由に行動できるのですが、中国の潜水艦は日本にすぐに探知されてしまいます。日本の潜水艦は、南シナ海で哨戒活動など、米軍にかなりの手助けができるはずです。

この状況では、米中が南シナ海で、本格的に衝突すれば、中国艦艇は、即日南シナ海から姿を消すことになるでしょう。あとは、環礁を爆撃したり、しなくても、環礁の中国軍基地は、燃料も食料も水もなくなって、お手上げになるだけです。

米軍が勝利するのは、最初から決まっています。ただ、なるべく犠牲は出さないようにする必要があります。

それに、いずれかの時点で、局地戦で中国が実際にどのような動きをするのか、見極めておく機会も必要になるでしょう。

そのようなことを考えると、全くあり得ないことではないです。特に戦時中の大統領は、かなり選挙に有利なるという事実も忘れるべきではありません。

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2020年7月16日木曜日

米国が一線越えの果たし状、風雲急を告げる南シナ海— 【私の論評】尖閣諸島すら自ら守れないようでは、日本は中共なき後の新世界秩序づくり参加できなくなる!(◎_◎;)

米国が一線越えの果たし状、風雲急を告げる南シナ海

中国の領有権主張に、ついに堪忍袋の緒が切れた米国

         マイク・ポンペオ米国務長官。2020年7月13日、中国の南シナ海
         領有権主張に対する米国の立場を公式文書で表明した
(北村 淳:軍事社会学者)

 アメリカ政府は、これまで永年にわたってアメリカ外交の伝統の1つとしてきた鉄則からついに一歩を踏み出した。南シナ海での中国の領域主張を否定するだけでなく、中国と領域紛争中の諸国側を支持する立場を明確に表明したのである。

アメリカ外交の鉄則とは

 アメリカは第三国間の領域紛争には中立的立場を貫くことを外交の鉄則としてきた。

 様々な手段を用いて、“味方をする”側を実質的に支援することも少なくなかった。しかしながら、そのような場合でも表面上は中立を保っていた。すなわち、アメリカ政府として領域紛争当事者の一方の主張を公式に否定し、他方の主張を支持するという、外交的立場を明確にすることは断固として避け続けてきたのである。

その鉄則は、南シナ海全域で中国が強大な海洋戦力を振りかざして近隣諸国を威嚇し、南シナ海全域に対する中国の軍事的支配を確立しつつある状況に対しても適用されてきた。アメリカ政府はこれまで懸念を表明し続けてはいるものの、中国政府の主張を完全に否定して、中国と紛争中のフィリピン、ベトナム、ブルネイ、マレーシア、インドネシア、台湾などの主張を明確に支持するという立場を明確かつ公式に表明することは避けていた。

 中国に対して融和的であったオバマ政権はもちろんのこと、トランプ政権といえども、これまでは南シナ海領域紛争に関する明確な立場を表明してはこなかった。

外交の鉄則に制約されてきたFONOP

 ただし、アメリカがまったく無策でいたわけでない。中国が南沙諸島に人工島まで建設し始めると、オバマ政権は中国に対して懸念を表明した。そして、南シナ海に軍艦を派遣して公海自由航行維持のための作戦(FONOP)を実施し、アメリカの威信を示して同盟国や友好国の信頼をつなぎ止めておこうとした。

 だが、オバマ大統領はFONOP(南シナ海での、以下同じ)にそれほど積極的ではなく、オバマ政権下でのFONOPは数カ月に一度のペースで極めて散発的に行われたにすぎなかった。

 トランプ大統領も就任直後は習近平主席との関係が悪くなかったため、FONOP実施のペースは若干上がった程度に留まっていた。しかし、米中関係がギクシャクし始めると、昨年(2019年)初頭あたりからのFONOPのペースは目に見えて上がってきている。

 FONOP実施の真意は、中国が南シナ海の大部分を中国の主権的海域であると主張している状況に対する牽制にある。とはいえアメリカは、第三国間の領域紛争には中立的立場を貫くという鉄則から逸脱することはできない。そこで、あくまでFONOPは「南沙諸島や西沙諸島などの周辺海域で領域紛争中諸国の双方の主張は、公海における自由航行を妨げる恐れがあるので、双方ともに必要以上の主張をせず、トラブルを生ぜしめないよう」という警告を発するための軍艦派遣である、という名目で実施されてきた。

 つまり、軍艦を派遣しても、中国に対して露骨に軍事的威圧を加えるような行動は極力とらない。たとえば中国が中国領と主張している人工島などの沿海域を通航するときは、国際法上認められている無害通航原則に従って、直線的針路を可及的速やかに通過する。途中停船させたり、射撃レーダー波を発したり、艦載機(ヘリコプターやドローン)を飛ばしたり、といった軍事的行動は封じ込めてきた。

 その結果、FONOPの米駆逐艦が、中国が中国領と主張している島嶼環礁に接近してくると、中国軍艦が接近してきて追尾を開始し、米軍艦がそれらの島嶼環礁から遠ざかるまで並走するという場面が繰り返された。

 そして中国当局はその都度、「中国の主権を踏みにじり、中国の主権的海域に侵入して軍事的威嚇を加えてきたアメリカ軍艦を、中国海軍が駆逐した」といった声明を発していた(中国は国内法で、あらゆる外国船舶艦艇は中国領海に接近通過するときは中国当局に対して事前に通告しなければならない、と規定している)。

 このようにしてFONOPは、形骸化した行事のようなものになってしまっていた。

新たな局面を迎える南シナ海

 オバマ政権が渋々FONOP実施を認めた当初から、米海軍や米海兵隊などの間には、「何らの軍事的威嚇にならない無害通航原則に従うだけのFONOPでは、中国の人工島建設をはじめとする南シナ海の軍事化を牽制する効果は全く期待できない」「アメリカは、領有権紛争で劣勢に立っている同盟国や友好国を明確に支持する立場を表明しなければならない」と主張する対中強硬論が存在していた。

 7月13日、それらの強硬論がようやく日の目を見ることになった。

 マイク・ポンペオ国務長官が、「南シナ海における中国による全ての主権的主張は国際法上認められるものではなく完全に違法である」「アメリカ政府はフィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシア、ブルネイの排他的経済水域や島嶼に関する領有権の主張などを支持する」との立場を明記した公式声明を発したのである(「U.S. Position on Maritime Claims in the South China Sea」)。

 アメリカ外交当局は、これまでの外交鉄則を大きく変針した。これにより、FONOPも含めてアメリカ海軍や空軍による南シナ海での対中軍事牽制行動も新たな局面を迎えることになるのは確実である。

次は尖閣問題について立場を表明か

 トランプ政権がさらに対中強硬姿勢を強めるであろう次のステップは東シナ海だ。これまで永年にわたってアメリカ政府は尖閣諸島の領有権紛争に関しても中立的立場を貫いてきた。

 日本政府高官は、米側高官たちが「尖閣諸島に対して日本が施政権を行使していると認識している」と表明すると、あたかも日本の主張を支持しているかのように手前勝手に解釈して胸をなで下ろす。しかし、アメリカ政府は「日本が尖閣諸島の領有権を保持している」あるいは「中国による尖閣諸島の領有権の主張は認められない」といった領有権に関する公的コメントを発することを避け続けてきている。

 だが、数年前から米軍関係者などの間では、アメリカ政府として公的に「尖閣諸島の領有権は日本にある」といった明確な立場を表明すべきであり、そうしなければ南シナ海のように東シナ海での中国の軍事的優勢が確立してしまう、と警告を発する者も少なくない。

 トランプ政権がそのような主張に従い、尖閣諸島をめぐる領有権紛争に関して「中国の領有権主張は、アメリカ政府としては認められない」という立場を示すならば(ただし台湾も領有権を主張しているため、そう単純にはいかないのだが)、極めて強力な対中強硬姿勢を明示することになる。

 もちろん我々としては、尖閣諸島に対する日本の領有権を確保するのはアメリカではなく日本自身であることを忘れてはならない。

【私の論評】尖閣諸島すら自ら守れないようでは、日本は中共なき後の新世界秩序づくり参加できなくなる!(◎_◎;)

このブログにもよく登場する米国の戦略家ルトワック氏は、2018年12月28日の産経新聞のインタビューに応えて、以下のような発言をしています。

エドワード・ルトワック氏
 ルトワック氏は現在の中国との「冷戦」の本質は、本来は「ランドパワー(陸上勢力)」である中国が「シーパワー(海洋勢力)」としても影響力の拡大を図ったことで米国や周辺諸国と衝突する「地政学上の争い」に加え、経済・貿易などをめぐる「地経学」、そして先端技術をめぐる争いだと指摘した。 
 特に先端技術分野では、中国はこれまで米欧などの先端技術をスパイ行為によって「好き勝手に盗んできた」とした上で、トランプ政権が今年10月に米航空産業へのスパイ行為に関与した疑いのある中国情報部員をベルギー当局の協力で逮捕し米国内で起訴するなど、この分野で「米中全面戦争の火ぶたを切った」と強調した。 
 一方、中国が南シナ海の軍事拠点化を進めている問題に関しては、トランプ政権が積極的に推進する「航行の自由」作戦で「中国による主権の主張は全面否定された。中国は面目をつぶされた」と強調。中国の軍事拠点については「無防備な前哨基地にすぎず、軍事衝突になれば5分で吹き飛ばせる。象徴的価値しかない」と指摘した。



であれは、米国としては今後もFONOPを実施するにしても、実際に南シナ海の中国軍の基地を叩くまでのことはしないと考えられます。

ただし、一つ懸念があります。それは、中国が南シナ海を中国の原潜の聖域とすることです。

中国が南シナ海で従来から、外国の軍事活動を許さないとの強硬姿勢を取っているのは、領土問題もあるでしょうが、本当の理由は、南シナ海を中国の戦略原潜の基地に接続する原潜の展開水域として確保したいから、ということは以前もこのブログでも述べています

どういうことかといえば、南シナ海は海南島の三亜を基地とする中国の戦略原潜の展開水域なのですが、中国は、対潜水艦兵器や海洋調査船を展開している米国と、インド・太平洋地域の米国の同盟国網によって、第一列島線の中に閉じこまれかねないと感じているのです。



そうして紛争の際には、戦略原潜が第一列島線の外に出る前に、米海軍に発見され、無力化されてしまうのではないかと懸念しているのです。

中国が南シナ海で外国の軍事活動にますます不寛容になっているのは、この懸念のためでしょう。

中国は南シナ海での外国の軍事活動に対して、公には領土問題の観点から抗議していますが、中国の為政者たちは内々には戦略原潜が基本であり、いかに将来の原潜による抑止を守るかが重要な関心事である、従来から述べています。

冷戦中、ソ連の戦略原潜は遠隔のバレンツ海やオホーツク海を基地としていましたが、中国が原潜の基地として選んだのは世界で最も重要なシーレーンの真っ只中に位置しています。

中国の原潜は新型の「晋」級戦略原潜に、射程距離4600マイルの弾道ミサイルを搭載するものと見られ、この原潜は現在海南島を基地としていると見られています。ただし、中国の原潜は未だ、ステルス制に劣り、先日も日本の海自に、日本近海での行動を暴露されてしまいました。

中国の南シナ海における強硬姿勢が、単なる領土主権の主張に留まらず、戦略原潜展開の必要性に基づくものであるとの見解は、第一列島線、第二列島線の概念を中心とする中国の海洋戦略、そして戦略ミサイル搭載原潜という大きな抑止力を持つ対米核抑止戦略に照らせば、当然のものでしょう。

このような見解は、私をはじめ日本でも述べられてきています。中国は南シナ海を、かつてソ連が冷戦中に対米核戦略の拠点としたオホーツク海のようにしようとしている、あるいは南シナ海を、中国の戦略原潜のための「聖域」としようとしている、といった見解です。

今のところ、中国の南シナ海の軍事基地のいずれかを、中国原潜の基地にしようという動きは見られません。しかし、そのような動きが見られた場合は、米国は躊躇わず、原潜基地を5分で吹き飛ばす可能性は十分にあります。

さて、一方尖閣諸島についてはどうでしょうか。米国では超党派の米上院議員グループが5月23日、南シナ海と東シナ海における中国政府の活動に関与した中国人や団体に対して、米国政府が制裁を科せるようにする法案を改めて提出しました。

共和党のマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州)とトム・コットン上院議員(アーカンソー州)、および民主党のベン・カーディン上院議員(メリーランド州)が提出した「南シナ海・東シナ海制裁法案」は、中国に圧力をかけ、中国が領有権を主張する中国沖の海域の実効支配をやめさせることを目的としていると、香港紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は伝えています。

この「南シナ海・東シナ海制裁法案」は未だ審議中ですが、いずれ成立するするのは間違いないです。だからこそ、7月13日、マイク・ポンペオ国務長官は、「南シナ海における中国による全ての主権的主張は国際法上認められるものではなく完全に違法である」「アメリカ政府はフィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシア、ブルネイの排他的経済水域や島嶼に関する領有権の主張などを支持する」との立場を明記した公式声明を発したのでしょう。

東シナ海の尖閣諸島については、上にもあるように、中国だけではなく、台湾も領有権を主張しているため、日本と台湾などと調整しなければならず、13日のポンペオ長官の公式声明には、盛り込まれなかったのでしょう。

ただし、尖閣諸島については、台湾の領有権は正統性に乏しく、しかも蔡英文政権が主張し始めたものではなく、国民党政権時代から主張されたものです。

これは、米国の後押しなどで、台湾と日本の間で漁業権問題などが平和的に解消できれば、十分に解決できるものと考えられます。

となると、いずれポンペオ長官は、「東シナ海における中国による尖閣諸島の主権的主張は国際法上認められるものではなく完全に違法である」「米国政府は日本の排他的経済水域や尖閣諸島に関する領有権の主張などを支持する」と声明を発表することになるでしょう。


ただし、尖閣諸島は日本の領土であるため、その防衛は日本が担うべき筋のものです。現状を打破するためには、まずは日本が独力で、尖閣周辺に海自の艦艇などを派遣して、中国の艦艇などを排除すべきです。

このような行動は、以前だとある程度の危険がありましたが、米国が日本の尖閣諸島領有をはっきり認めた後には、かなり実施しやすくなります。

私としては、これを実施するのは当然と思います。流石に、日本国内の勢力を排除するというのですから、これは現行の憲法の範囲でも十分にできそうです。

少なくとも米国はそう思うでしょう。それに関しては、このブログでも従来から述べているように、現状の自衛隊の能力でも、それは十分にできます。

ただし、現行法では、難しい点もあります。まずは、現行法を、平時の自衛権を発動できるような法律に変えていくべきです。この努力をすぐに始めなければ、米国から日本は自衛するつもりがあるのか、米国から疑われてしまうことでしょう。

以前からこのブログで述べているように、現在は自由主義陣営と、中国の全体主義との戦いの真っ最中であり、日本もこれに向けて、自由主義陣営に貢献しなければ、中共敗戦の後の、新世界秩序作りに日本は参加できなくなるかもしれません。

日本は、新たな理念を提唱できる可能性が大です。しかし、尖閣諸島すら自ら守れないようでは、その機会は訪れないかもしれません。

それどころか、日本は戦後レジームから逃れられなかったように、新世界秩序の中でも、一人前に扱われず、半人前の地位に甘んずることになりかねません。

それだけは、避けたいものです。

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2019年9月11日水曜日

進行する中国の南シナ海での「嫌がらせ戦術」―【私の論評】米国の戦略に組み込まれるだけではなく、日本も独自の戦略を持て(゚д゚)!


岡崎研究所

 中国は、南シナ海で領有権を争っている国々の石油・ガス探査への嫌がらせを強めている。5月以降、中国の海警局の艦船が、ベトナム、マレーシアのEEZ内での掘削活動に威圧的な妨害を加えている。さらに、7月以降、中国の海洋調査船がベトナムのEEZ内で調査を続けている。調査船は、海警の艦船、準軍事組織「人民武装海上民兵」が乗り組む漁船に護衛されているという。ベトナム側は沿岸警備艇を派遣し、衝突のリスクが高まっている。



 この問題について米国は、8月22日に国務省が、8月26日には国防総省が強い懸念を表明する声明を相次いで発表している。このうち、国防総省の緊急声明の要旨は次の通り。

 国防総省は、中国によるインド太平洋におけるルールに基づく国際社会を破壊する努力が続いていることを強く懸念している。最近、中国はベトナムの石油・ガス探査活動への威圧的干渉を再開した。これは、シャングリラ会議での魏鳳和・中国国防部長の「平和的な発展の道を堅持する」との発言と全く矛盾する。中国の行動は、『受け入れられている国際的ルールと規範に沿ってすべての国が大小を問わず主権を保障され、威圧されず経済的成長を追求し得るとする自由で開かれたインド太平洋地域』という米国のビジョンとは対照的である。

 中国が「嫌がらせ戦術」を続けることで、近隣諸国の信頼も国際社会の尊敬も勝ち得ることはないだろう。ASEANの領有権主張国を威圧する行動、攻撃的武器の配備、海洋についての違法な主張の執行は、中国の信頼性への深刻な疑いを提起している。米国は、同盟国、パートナー国による、インド太平洋全体における航行の自由と経済的機会を確かなものとする努力を支援し続ける。

出典:‘China Escalates Coercion Against Vietnam’s Longstanding Oil and Gas Activity in the South China Sea’(U.S. Department of Defense, August 26, 2019)

 中国の「嫌がらせ戦術」に対して、関係諸国は連携を密にしようとしている。例えば、8月23日にはベトナムのハノイで豪越首脳会談が行われたが、その際の共同声明で、南シナ海の資源に関する「妨害的活動」に懸念が示された。豪州とベトナムは、5月にベトナムのカムラン湾に豪海軍の艦船2隻が寄港するなど、関係を緊密化させている。また、8月27日のベトナム・マレーシア首脳会談でも、中国の調査船による活動について話し合われたと見られる。

 ただ、関係諸国、ひいては国際社会の連携のカギとなるのは、やはり何と言っても米国の動向である。この点、米国が上述の通り相次いで2つの声明を発表したことは、南シナ海における中国の傍若無人な振る舞いを米国が深刻に受け止めているというメッセージを強く発するものであり、歓迎される。上記の国防総省の声明の内容は、米国の立場、国際秩序の原則を明確に示している。定期的に繰り返されている米国主導の「航行の自由作戦」(8月末にも実施)も、本件への直接の対応ではないとしても、米国の南シナ海におけるプレゼンス維持が本気であることを示すものである。

 今後の注目点は、まず第一には、国際社会の連携をどれだけ拡大できるかである。それには、中国に対し、ルールに基づいた国際秩序の原則を繰り返し言っていくということであろう。その次に、さらに実効的な措置が模索される必要があると思われる。しかし、準軍事組織を用いた中国の「嫌がらせ戦術」に対抗するのは、言うは易く行うは難し、である。潜在的には、米議会に提出されている「南シナ海・東シナ海制裁法案」などが対抗手段となり得るかもしれない。同法は、ASEAN加盟国が領有権を主張する海域において、平和、安全保障、安定を脅かす行為をした個人に対して制裁を科すとしている。実現性は全く不透明ではあるが、興味深い試みであると言えよう。

【私の論評】米国の戦略に組み込まれるだけではなく、日本も独自の戦略を持て(゚д゚)!

尖閣に迫りくる危機

冒頭の記事にあるように、南シナ海で領有権を争っている国々の石油・ガス探査への嫌がらせを強めています。

その一方で、中国の武装艦艇による尖閣諸島周辺の日本の領海や接続水域への侵入が一段と頻繁になってきています。

この状況に対して、米国の首都ワシントンの大手研究機関からこのままだと日本は尖閣諸島の施政権を失うことになる、という警告が発せられました。米国側では、中国が尖閣奪取を計画し、さらに東シナ海全体の覇権を制しようとするとみて、警戒を強めているといいます。

中国艦艇による尖閣諸島の日本領海への侵入はあまりに頻繁すぎるためか、日本側の警戒が減ってきました。主要新聞の報道も、外国の武装艦艇による重大な領海侵犯なのに雑報扱いとなっている状況です。

多くの国民も、あまりに頻繁なので、ニュースで報じられたのを見たり聞いたりしても、危機感を感じるどころは、「あー。またか」という程度で、ほとんど興味を失っているというのが現状ではないでしょうか。

中国に実効支配された尖閣諸島の想像図
滑走路、港、レーダーサイトが設置されている

しかし、日本の領海のすぐ外にあって日本の法律がその域内で適用される接続水域への中国艦艇の侵入はさらに増えています。しかも頻繁に侵入してくる船は 中国人民解放軍の直接の指揮下にある人民武装警察に所属する中国海警の艦艇です。それらの船はみな武装しています。なかには中国海軍の正式な武装艦がそのまま海警に所属変えとなった艦艇もあります。

尖閣の現状は、より厳しいものになっています。尖閣の現状に対して米国の大手研究機関から警告を発しました。このままだと中国は尖閣の施政権を日本と共有した形となり、尖閣の奪取から東シナ海全体の覇権確保へと進むことになる、というのです。

この警告は、ワシントンの安全保障研究機関「戦略予算評価センター(CSBA)」が2019年8月に作成した「インド太平洋における中国の多様な闘争」と題する調査報告書に明記されていました。

ヨシハラ氏は中国の対尖閣戦略を「威圧態勢」と呼んでいます。同報告書の、主に「尖閣諸島への中国の威圧態勢」というパートの中で、その特徴を次のように述べています。
・中国は軍事、非軍事の多様な手段で尖閣の主権を主張し、最近では日本の領海へ1年間に60回、接続水域に1カ月に22回という頻度で侵入し、ほぼ恒常的な侵入によって事実上の施政権保持を誇示するようになった。
・中国は海軍、海警、民兵、漁船の4組織で尖閣への攻勢を進め、その侵入のたびに自国の領海領土の正当な管理行動として政府機関のサイトや官営ディアの報道で記録を公表し、支配の実績の誇示を重ねている。
・中国は尖閣侵入の主体を准軍事組織の海警としながらも、海軍艦艇を付近に待機させ、ときには原子力潜水艦やフリゲート艦などを接続水域に送りこんでいる。また、日本の自衛隊の艦艇やヘリに、実弾発射の予備となるレーダー照射を2回実行した。
・中国は近年、尖閣から300~400キロの浙江省の温州、南麂島、福建省の霞浦に、それぞれ新たな軍事基地や兵站施設を建設した。いずれも尖閣への本格的な軍事攻撃の能力を画期的に高める効果がある。
ヨシハラ氏の報告は、以上のような情勢によって、日本が尖閣諸島を喪失するだけでなく、中国が東シナ海全域の覇権を獲得しかねない重大な恐れが生じていることを強調している。同時に、中国の尖閣への「威圧態勢」は、米国の日本防衛の実効性を探るとともに、日米離反をも意図しているという。

同報告は日本にとって今後の最悪シナリオといえる可能性を、次のように指摘していました。
・中国は当面、消耗戦を続け、日本の尖閣への施政権否定を試みる。日本の反撃が弱いと判断すれば、「短期の鋭利な戦争」という形で尖閣の軍事占領に出る可能性もある。
・中国がその戦闘に勝ち、米国が介入できなかった場合、東アジアの安全保障秩序は根柢から変わってしまう。日本もその可能性を認識し、本格的な対応を考慮すべきである。
このままだと中国は、尖閣周辺での自国艦艇の活動実績を基に、尖閣への施政権保持を公式に宣言する見通しが強いといいます。日本はまさに領土喪失という国難に迫られているのです。

ヨシハラ氏の報告は、こうした深刻な事態に対して日米両国が協力し合って中国の海洋脅威をはね返すことを訴えていた。

では、これに対する備えはないのかといえば、日本はどうなのかといえば、はっきりしないところがありますが、米国の有力シンクタンクがこれに対する答えともいえる、提言を出していました。それを以下に要約して引用します。


"
中国の台湾や尖閣攻撃に対処する米最新戦略
米国有名シンクタンクCSBAが新戦略「海洋プレッシャー戦略」発表

ワシントンDCに所在の有名なシンクタンク「戦略予算評価センター(CSBA)」が米国のアジア太平洋地域における戦略として「海洋プレッシャー(Maritime Pressure)」 (注:海洋圧力ではなく、海洋プレッシャーを採用する) 戦略とその戦略の骨幹をなす作戦構想「インサイド・アウト防衛(Inside-Out Defense)」を提言している*1。

(*1=CSBA, “TIGHTENING THE CHAIN IMPLEMENTING A STRATEGY OF MARITIME PRESSURE IN THE WESTERN PACIFIC”)

この戦略は、強大化する中国の脅威に対抗するために案出された画期的な戦略で、日本の南西諸島防衛をバックアップする戦略であり、「自由で開かれたインド太平洋構想(FOIP)」とも密接な関係がある。

海洋プレッシャー戦略の背景

海洋プレッシャー戦略が発表される以前に、これと関係の深い戦略や作戦構想が発表されてきた。例えば、CSBAが米海軍や空軍と共同して発表したエアシーバトル(ASB)は特に有名だ。

そのほかに、CSBAセンター長であったアンドリュー・クレピネヴッチの「列島防衛(Archipelagic Defense)」、米海軍大学教授トシ・ヨシハラとジェームス・ホームズの「米国式非対称戦*2」、海兵隊将校ジョセフ・ハナチェクの「島嶼要塞(Island Forts)」などだ。

(*2=Toshi Yoshihara and James R. Holmes “Asymmetric Warfare, American Style”)

ASBと密接な関係のある列島防衛戦略としての海洋プレッシャー戦略がトランプ時代に復活したことには大きな意義がある。米中覇権争いにおいて米国が真剣に中国の脅威に対処しようという決意の表れであるからだ。

既成事実化(fait accompli)をいかに克服するか?

この戦略のキーワードの一つは「既成事実化」だ。

これは、「相手が迅速に反応できる前に、状況を迅速・決定的に転換させること」を意味し、ロシアが2014年、ウクライナから大きな抵抗や反撃を受けることなくクリミアを併合した事例がこの「既成事実化」に相当する。

台湾紛争を例にとると、中国が台湾を攻撃し、米軍が効果的な対応をする前に台湾を占領してしまうシナリオを米国は危惧している。この場合、台湾占領が既成事実となり、これを覆すことは難しくなるからだ。

広大な太平洋を横断して軍事力を展開することは、米軍にとっても決して容易なことではない。

紛争地域外にいる米軍は、紛争現場に到着するために、中国の接近阻止/領域拒否(A2/AD)ネットワークを突破しなければならない。米海兵隊司令官ロバート・ネラー大将は「我々は戦場に到達するための戦いをしなければならない」と述べている*3。

(*3=ロバート・B・ネラー、下院歳出委員会・国防会議での証言、2018年3月7日)

海洋プレッシャー(Maritime Pressure)戦略

海洋プレッシャー戦略の目的は、西太平洋での軍事的侵略の試みは失敗することを中国指導者に分からせることだ。

海洋プレッシャー戦略は、防御的な拒否戦略で、従来提唱されていた封鎖作戦(blockade operations)や中国本土に対する懲罰的打撃を補完または代替する作戦構想である。

海洋プレッシャー戦略は、第1列島線沿いに高い残存能力のある精密打撃ネットワークを確立する。

米国および同盟国の地上発射の対艦ミサイルや対空ミサイルの大量配備とこれを支援する海・空・電子戦能力で構成されるネットワークは、作戦上は非集権的で、配置は西太平洋の列島線沿いに地理的に分散されている。

海洋プレッシャー戦略は、国防戦略委員会の要請に対する回答で、インド太平洋地域における中国の侵略を抑止するために前方展開し縦深防衛態勢を確立するなどの利点を追求すること、そして米国のINF条約からの離脱などの政策決定を勘案した案を案出することが求められた。

インサイド・アウト防衛(Inside-Out Defense)

海洋プレッシャー戦略ではまず、距離と時間の制約を克服し、米軍の介入に対する中国の試みを挫折させ、既成事実化を防ぐという作戦構想「インサイド・アウト防衛」を採用する。

インサイド・アウト防衛とは、インサイド部隊とアウトサイド部隊による防衛だ。

インサイド部隊は第1列島線の内側(インサイド)に配置された部隊(例えば陸上自衛隊)のことで陸軍や海兵隊が中心だ。

アウトサイド部隊は第1列島線の外側(アウトサイド)に存在する部隊で海軍や空軍の部隊が主体だ。

「インサイド・アウト防衛」

インサイド・アウト防衛は、中国が米国とその同盟国に対して行っているA2/ADを逆に中国に対して行うことなのだ。

すなわち、西太平洋の地形を利用して、中国の軍事力を弱体化させ、遅延させ、否定するA2/ADシステムを構築しようということだ。

インサイド部隊は、厳しい作戦環境で戦うことのできる攻撃力と敵の攻撃に対して生き残る強靭さを持った部隊だ。

アウトサイド部隊は、機敏で長距離からのスタンドオフ攻撃が可能で、中国のA2/ADネットワークに侵入して戦うことのできる部隊だ。

これらの内と外の部隊が協力して、人民解放軍の攻撃に生き残り、作戦する前方縦深防衛網を西太平洋に構築し、紛争初期において人民解放軍の攻撃を急速に鈍らせる。

米国が中国との紛争に勝利するためには、インサイド・アウト防衛だけでは十分ではないかもしれないが、既成事実化を回避することはできる。

また、懲罰的攻撃や遠距離からの封鎖といった他の作戦が効果を発揮するために必要な時間を提供することもできる。

インサイド・アウト防衛がより手ごわい防衛態勢を中国に提示することによって、危機において中国が大規模でコストのかかる紛争のエスカレーションを避け、緊張の緩和を選択するように導くことを目指している。

「インサイド・アウト防衛」の4つの作戦

「インサイド・アウト防衛」は、次の4つの主要な作戦で構成される。

・海上拒否作戦:中国の海上統制に対抗し、中国の海上戦力投射部隊を撃破するための第1列島線での作戦

・航空拒否作戦:中国の航空優勢に対抗し、中国の航空宇宙戦力投射部隊に勝利するための第1列島線における作戦

・情報拒否作戦:中国の情報支配に対抗し、米国の情報優位を可能にする作戦

・陸上攻撃作戦:中国の地上配備のA2/ADシステムを破壊し、中国の戦力投射部隊を味方またはパートナーの領土に引き寄せるための作戦

次の3つのサポート・ラインにより、上記4つの作戦が可能になる。

・競合が激しくパフォーマンスが低下する環境においてC4ISRシステムを確保し、米国の情報の優位性を可能にする

・中国のマルチドメイン攻撃から友軍と基地を防御する

・攻撃されている間、分散した戦力を維持する

海洋プレッシャー戦略に対する評価

・米中覇権争いの様相が濃くなり、米中のアジア太平洋における衝突の可能性が取り沙汰されている。

中国が目論む台湾占領などの既成事実化を許さない海洋プレッシャー戦略は、米中紛争を抑止する戦略、日本の防衛をバックアップする戦略として評価したい。

・海洋プレッシャー戦略を成立させるためには、第1列島線を形成する日本をはじめとする諸国(台湾、フィリピン、インドネシアなど)と米国との密接な関係が不可欠である。

国防省や国務省はその重要性を深く認識しているだろうが、唯一不安な存在は、アメリカ・ファーストを主張し世界中の米国同盟国や友好国に緊張をもたらしているドナルド・トランプ大統領だ。

アメリカ・ファーストを貫くと、関係諸国との関係がより親密になるとは思えない。

・自由で開かれたアジア太平洋戦略や海洋プレッシャー戦略のためには米軍のさらなる前方展開が必要だが、米国内にはこれに抵抗するグループがいる。

米中覇権争いにおいて、米国は本当に中国の脅威の増大に真剣に対処しようとしているのか否か、その本気度が試される。

・我が国は、この海洋プレッシャー戦略を前向きに評価しつつも、これに過度に頼ることなく、わが国独自に進めている南西防衛態勢の確立を粛々と推進すべきだ。

いずれにしても、中国の増大する脅威に日本単独で対処することは難しい。常に日米同盟の強化、第1列島線を構成する諸国との連携を今後さらに推進すべきであろう。

"
日本としては、この他にも独自の戦略を持っておくべきと考えます。それに関しては、以前にもこのブログにも掲載した方法もあります。その記事のリンクを掲載します。
日本単独で「核武装国」中国を壊滅させる秘策は機雷―【私の論評】戦争になれぱ中国海軍は、日本の機雷戦に太刀打ち出来ず崩壊する(゚д゚)!
平成20年6月12日、海上自衛隊による機雷の爆破処理で
海面に噴き上がる水柱。後方は神戸市街=神戸市沖
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、まずは日本の掃海能力は世界一であること、それに比較すると中国の掃海能力はかなり劣るから、機雷を最大限に活用した封じ込め戦略をすべきことを掲載しました。

確かに、中国海軍は機雷をばらまかれると何もできなくなるでしょう。主要港湾を機雷封鎖すれば中国は海洋進出無理などころか石油が枯渇することになります。

そこまで行く前に、まずは、尖閣周辺にばらまくという方法もあると思います。一度ばらまくと、日本としてはそれに対する対処方法もありますが、中国はできません。これで、尖閣付近に中国の武装船、漁船、潜水艦その他の公船などか侵入することを防ぐことができます。

さらに、中国が報復としてし、自分たちも機雷を設置するようなことをすると、中国には撒いた機雷の位置を精密に記録するという訓練も装備もありません。しかも中国製機雷には時限無効化機構もついてない。

自分たちで撒いた機雷により、シナ沿岸は半永久に誰も航行ができない海域と化すことになるでしょう。中共に投資しようという外国投資家も半永久にいなくなる。なにしろ、商品を船で送り出せなくなるのです。

いずれ、南シナ海の中国が環礁埋め立てて作った島々などの付近を米国と共同で機雷を投下すれば、中国の船は近づけなくなり、補給を絶つことができます。

機雷のほかにも、F16(できれば最新型F16V)と99式空対空誘導弾 もしくは、 AMRAAMがあったら余裕で制空権をとることもできるでしょう。

「海洋プレッシャー戦略」に組み込まれるというだけではなく、日本でも可能な独自戦略を考え出し、尖閣への侵入があった場合には、すぐに対応できるように準備すべきです。

米国手動の大掛かりな戦略等は、それができるようになるまでは時間と、多大な経費が必要になるでしょう。また、それまでの間には、対応できない部分もあることでしょう。当然日本も応分の貢献が求められるようになるでしょう。

これが完璧になるのを待っていては、それこそ中国が既成事実をつくりあげ、尖閣等を実行支配するようになるかもしれません。それは、断固として阻止しなければなりません。

日本は、そろそろ、尖閣付近に海保だけではなく、海上自衛隊を派遣すべきでしょう。その覚悟がなければ、せっかくの機雷による封鎖能力などは宝の持ち腐れになるでしょう。

【関連記事】

2019年3月30日土曜日

緊迫する南シナ海:中国の進出阻止に本気の米国―【私の論評】本気の米国、南シナ海で比に攻撃あれば米が防衛するとポンペオ氏明言(゚д゚)!

緊迫する南シナ海:中国の進出阻止に本気の米国

米軍、中東のテロ対策から対中戦略へ本格シフト

南シナ海で軍事拠点化を進める中国に対し、米軍が対中政策により力を入れ始めている。

 3月19日、ハワイのフォート・シャフター陸軍基地で開かれた会議で、米太平洋軍司令官のロバート・ブラウン陸軍大将が中国に対抗するため、本土から数千から万単位の兵士をアジアに配備する用意があると述べたのだ。

米太平洋軍司令官のロバート・ブラウン陸軍大将

 「南シナ海で問題(有事)が起きた時には陸海空および海兵隊の兵力が協力し合って対処していくことになります」

 この発言が海軍大将ではなく陸軍大将から出たところに注目したい。

 中国が南シナ海で人工島を造成し、軍事基地化を進めている中で、ブラウン大将は陸軍の出動も念頭に入れているということだ。

 米軍準機関紙『星条旗新聞』によると、実際の有事になった時にはハワイ州、ワシントン州、アラスカ州などから陸軍兵士を短期間、アジアに配備することになるという。

 同大将は具体的な兵数を口にしていないが、準備を整えている。

 「誰も紛争を望んでいません。我々も望みませんが、有事の際にはどんなシナリオにも対応できる体制を整える必要があります」

 海洋でも最終的には陸軍の出動が必要になるとの見方だ。さらにブラウン大将は同会議で「最優先は中国です」と明言した。

 これは過去20年ほど、米軍が第一義として精力を注いできた中東でのテロリズムとの戦いから、対中政策へと戦略がシフトしてきたということでもある。

 特にイラクとアフガニスタンに派遣していた兵力を世界の別地域に向かわせる中で、中国がプライオリティーになったのだ。

B52戦略爆撃機


 今月に入ってから、米軍は南シナ海上空に「B52」戦略爆撃機を3回も飛行させている。

 「定例訓練」であるが、米軍はわざわざ公表する義務がない。しかし3回とも公式発表している。

 最初は3月4日で、2機が米領グアムのアンダーセン空軍基地を飛び立ち、1機は南シナ海上空を「定例訓練」し、もう1機は航空自衛隊と共同訓練をして帰還した。

 14日にも2機のB52戦略爆撃機が、さらに19日にも同様に2機を飛ばしている。

 米太平洋軍報道官は「米航空機は同盟国や友好国、さらに自由で開かれたインド・太平洋地域を守るために恒常的に同地域で作戦行動を行う」と述べて、南シナ海での中国の行動をけん制した。

 さらに米第7艦隊は11日、イージス駆逐艦「スプルーアンス」と「プレブル」を南シナ海に派遣。これは「航行の自由」作戦の一環で、今後も定期的に行っていく予定である。

 作戦の目的は中国が南沙(スプラトリー)諸島で過度な海洋進出をしていることへの「異議申し立てと国際法に準拠した航路を維持するため」だ。

 今月の米軍によるこうした動きを見ると、前述したブラウン大将の「陸海空および海兵隊の兵力が協力し合って対処する」プランは着実に前に進んでいるかにみえる。

 米軍のこうした行動に中国はすぐに反発。

 外務省報道官は米イージス駆逐艦の派遣直後、「米軍艦が中国の許可なく海域に進入したことは中国の主権を侵す行為」と嫌悪感を露わにした。

 さらに「米国は南シナ海で挑発し、緊張を生み出し、平和と安定を脅かしている」と挑発した。

 しかし中国こそが挑発を繰り返す平和と安定の破壊者であるとの見方は、米国では広く支持されている。

 首都ワシントンにある新アメリカ安全保障センターのイーリー・ラトナー副所長は、米国が南シナ海を含めたインド太平洋地域で効果的な防衛体制を維持することは中国の拡張をけん制する意味で重要であると説く。

 「米国の抑止力が同地域でなくなったら、台湾をはじめとする所地域に政治的不安定がもたらされることになる」

 いますぐに南シナ海で有事が勃発する可能性は低いが、文字どおり万難を排して準備しておく必要性は高い。

 ただやっかいなことは、中国は南沙諸島の人工島を軍事基地だけでなく非軍事基地としても使用する意図がある点だ。

 民生基地としての併用であれば、米軍は民間人をむやみに殺傷できないとの思惑がある。

 南シナ海は地政学的に重要な場所であると同時に、海洋資源の宝庫であることは広く知られている。

 中国の貿易額の64%の貨物は南シナ海を通過しているし、南シナ海経由の原油のうち23%は日本にも来ている。

 海洋資源という点に目を向けると、原油と天然ガスの埋蔵量が豊富である。

 米エネルギー情報局(EIA)の調査によると、原油の未発見埋蔵量は112億バレル。ところが中国政府が見積もる埋蔵量はさらに多い。

 中国海洋石油総公司が算出した埋蔵量は、EIAの10倍以上にあたる1250億バレルに達する。

 また天然ガスの埋蔵量はEIAの調査では190兆立方フィート。一方の中国海洋石油総公司の見積もりは500兆立方フィートで、やはり中国の方が2倍以上も多い。

 埋蔵量を正確に算出することは難しいが、大量の天然資源が埋もれているとことは間違いない。

 世界の他地域と比較しても、原油と天然ガスは中東、ロシアの埋蔵量にはかなわないが、天然資源の宝庫と呼んで差し支えない。

 中国政府がそれを狙わないわけがない。地政学的、資源的、軍事的に南シナ海を内海したいとの野心は強まる一方なのだ。

 米専門家からは、南シナ海が「中国のクリミア半島」になりつつあると危惧が聞こえてくる。

 ロシアが2014年、力ずくでクリミア半島を併合した手法を中国は手本にしているとの見方だ。

 中国による明らかな国際法違反を、米国だけでなく関係国がともに異議として唱えると同時に、圧力を加えていく必要がある。

 前出のブラウン陸軍大将は「すべての領域でいいポジショニングを得るために、陸軍が果たす役割もある」と、米軍はすでに普段から南シナ海を眺め、陸海空および海兵隊が総合的に対中国戦略を練っていることを示唆した。
【私の論評】本気の米国、南シナ海で比に攻撃あれば米が防衛するとポンペオ氏明言(゚д゚)!


フィリピン・マニラで同国のテオドロ・ロクシン外相(左)と握手するマイク・ポンペオ米国務長官

以前のこのブログでも掲載したように、南シナ海に関しては、ポンペオ米国務長官も最近重大な発言を行っています。これも、南シナ海への中国の進出阻止に本気の米国の姿勢を示すものです。

ポンペオ米国務長官は、中国の南シナ海への覇権拡張をけん制するために、南シナ海におけるフィリピン軍等への攻撃が米比相互防衛条約の対象になると明言し、以下のように述べました。
島国としてフィリピンは、自由な海洋へのアクセスに依存している。南シナ海における中国の人工島建設と軍事活動は、米国だけでなく貴国の主権、安全、したがって経済的活動に脅威を与えている。南シナ海は太平洋の一部をなしているので、同海域におけるフィリピンの軍、航空機、公船に対する如何なる攻撃も、米比相互防衛条約第4条の相互防衛義務発動の引き金となる。
この発言は3月1日、訪問先のフィリピンでドゥテルテ大統領、ロクシン外相と会談、同外相との共同記者会見において行われたものです。

2017年末に発表された国家安全保障戦略(NSS)、2018年の8月に成立した国防権限法でもフィリピンや台湾防衛の強化が謳われており、既定路線だったと言えます。また昨年のマイク・ペンス副大統領の東アジア首脳会議(EAS)で、「中国による南シナ海の軍事化と領土拡張は違法で危険だ」との発言を一層具体化するものとなりました。

なぜポンペオ氏はこうした発言をしたのでしょうか。

米比相互防衛条約第4条では、「各締約国が太平洋地域におけるいずれか一方の締約国に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の手続きに従って、共通の危険に対処するように行動することを宣言する」と規定しています。

これまでは南シナ海が「太平洋地域」に入るのかどうかが不明であったため、「南シナ海は太平洋の一部である」と発言することで、その曖昧さを払拭したのです。これによって、以前もこのブログで掲載したように、南シナ海問題、米国とフィリピンの「温度差」を解消しようとしているのでしょう。

米国の政府高官がこうした発言をしたのは数十年ぶりです。オバマ政権下では、同種の規定のある日米安保条約が尖閣に対して適用されるという宣言があった一方で、米比相互防衛条約の適用は注意深く避けられてきました。つまり中国が着々と南シナ海において、人工島を造り、軍事基地化していた時期にこのような発言はなかったため、フィリピンの米国に対する不信は募っていました。

もし、米国が日本に与えたのと同じような確証を私達にも与えてくれるなら、フィリピンは米国に頼ることができ、ドゥテルテ大統領は、中国に対して独自の外交政策を進めようとは思わなかったでしょう。

しかし、フィリピンはすでに、2つの島を失っています。その時米国は、フィリピンを助けに行きませんでした。米国は、国際法のもとで解決されると考えており、領土問題でフィリピンの味方はしませんでした。

中国に対して独自の外交政策をすすめてきたドゥテルテ大統領

一方、米国が4条の適用を宣言してこなかったのは、その適用を宣言すれば、アメリカが望まない戦争に巻き込まれる危険や、中国がアメリカの「レッドライン」を試す可能性が高まるからです。

それにもかかわらず、米比相互防衛条約の適用を宣言したのは、着々と進む南シナ海の中国の内海化の動きです。

中国は、東シナ海、南シナ海を聖域化していく方針で、中国は2010年代半ばに南シナ海を「核心的利益」と呼び、戦争をも辞さないという姿勢を示しています。

この方針は、1989年から1997年まで中国共産党中央軍事委員会副主席であり、人民解放軍海軍の司令官であった劉華清氏(1916~2011)によって出されたものです。

劉氏は、中国の軍隊が陸軍中心に編成されていることに不満を持ち、近代的な海軍を保有するよう主張。中国は1992年に「領海法」を施行し、海洋での資源や戦略拠点といった海洋権益の確保が、中国の安全保障にとって死活的に重要だと規定しました。

その中で中国は、東シナ海、南シナ海、南沙諸島を自国の領土だと一方的に宣言しています。つまり第一列島線から南シナ海を中国の内海として支配することを決めたのです。

中国は南シナ海を中国原潜の聖域にすることを狙っている

中国はすでに西沙諸島や南沙諸島において岩礁等を埋め立てて人工島を造り、軍事基地化しています。さらにフィリピンの隣に位置するスカボロー礁の埋め立てを完成すれば、戦略的トライアングルができ、南シナ海の内海化が完成します。

南シナ海は水深が深いため、ここに中国の原子力潜水艦が潜み、海南島の三亜海軍基地から南シナ海を通り、バシー海峡から太平洋に出ていくことができれば、アメリカ本土に核弾頭を打ち込むことができるようになります。

つまり米国に王手を打つことができるわけです。それは、米国が世界の警察官から撤退することを意味し、日本がアメリカの核の傘を失う時でもあるのです。

米比相互条約の適用について、「取引(deal)」が得意なトランプ大統領も、何のディールも持ち出していません。フィリピン防衛の表明は、アメリカは「覇権から降りない」という意志の表明そのものでもあるためでしょう。


南シナ海は、日本に輸送される石油の9割がこの海域を通過するなど、日本にとっても生命線ともいえる海域です。

この海域を護るために、日本は現在2つのことをしています。1つは、フィリピンやベトナムといった沿岸国に教育訓練を施したり、防衛装備を供与したりすることであり、もう1つは、南シナ海で潜水艦が訓練し港に寄港するなど、訓練と寄港で「中国の自由にさせない」というプレゼンスを示しています。

しかし、南シナ海に戦力を投じれば、東シナ海が手薄になるため、いずもを空母化したり、シーパワーを増やしていかないと、これ以上のことはできないでしょう。

政治とは未来を変えるために現在意思決定をすることです。海軍力の増強には時間がかかるため、日本も海軍力の増強に本腰を入れるとともに、米、英、仏とともに海洋の自由を守ることが不可欠となってきています。

このような準備をすすめる一方で、現在米国が行っている対中国冷戦も大きな意味を持ちます。これによって、中国共産党一党支配をやめ、中国が民主化、政治と経済の分離、法治国家し体制を変えるならば、新中国は国際法を遵守することになり、問題は解決します。

もし、中国が体制を変えないというなら、経済冷戦をさらに強め、米国のみならず世界の先進国がこれに協力し、中国経済を弱体化させ、その後自滅を待つか、軍事的に弱体化したとき、米国およびその他同盟国は、南シナ海の海域で何らかの軍事行動を起こすことになるでしょう。

中国は、現在の体制と、南シナ海の軍事基地をなんとしても守り抜くことになるでしょうから、米国は中国が他国に影響力を行使できなくなるくらいまで、経済を弱体化させ、軍事行動にでることになるでしょう。それは、いますぐということではなく、はやくても10年後くらいになることでしょう。

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2018年11月27日火曜日

「いずも」空母化やF35B導入、防衛大綱に明記へ=関係者―【私の論評】日本は「いずも」空母化で、中国の尖閣奪取の野望をくじき、南シナ海での航海の自由を守る(゚д゚)!

「いずも」空母化やF35B導入、防衛大綱に明記へ=関係者

空母化が予定されている「いずも」 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

政府は12月中にまとめる新たな「防衛計画の大綱」に、海上自衛隊の「いずも」型護衛艦の事実上の空母化や搭載する最新鋭のステルス戦闘機「F35B」の導入を明記する方向だ。政府関係者が明らかにした。

 与党内では、航空自衛隊が保有するF15戦闘機の後継として次世代ステルス戦闘機F35のA・B型を計100機、計1兆円程度購入する案も浮上。財政支出膨張に歯止めをかけたい財務省などとの綱引きが激しくなりそうだ。

 岩屋毅防衛相は27日の閣議後会見で、いずも型護衛艦について「せっかくある装備なので、できるだけ多用途に使っていくことが望ましい」と表明。F35Bの導入についても「短い滑走路で離陸できる性能を持った航空機だ。航空機体系全体をどうするかの一つとして検討している」と述べた。

 自民党が5月に示した防衛大綱に向けた提言では、いずも型護衛艦を空母化改修する「多用途運用母艦」とF35Bの導入が盛り込まれ、大綱および同時に策定される、今後5年間に自衛隊がそろえる装備品や費用を示す中期防衛力整備計画(中期防)での焦点となっている。

F35B

 従来の政府見解では、遠方に攻撃型の戦力を投入できる空母の保有は日本が掲げる専守防衛との整合性を問われる可能性があるとされていたが、今回の防衛大綱の作成時に論点を整理する。

<次世代ステルス機100機・1兆円購入案、与党内で浮上>

 自衛隊は現在200機保有するF15の半分を改修する予定だが、改修に適さない残り100機の取り扱いも焦点となっている。

 与党議員の中では、中国、ロシアの航空戦力が拡充される中で「F35のA型であれば60機程度でF15・100機相当の防空能力がある」として、A型を60機、垂直着陸が可能で空母搭載に対応したB型を40機の計100機の購入が望ましいと主張する声がある。

 政府が100機購入を決定した場合、来年1月から始まる日米通商交渉での有力な交渉カードになる可能性があるとの声が政府・与党内にはある。

 トランプ大統領は今年9月の日米首脳会談直後に「私が『巨額の貿易赤字は嫌だ』と安倍首相に言うと、日本がすごい量の防衛装備品を買ってくれることになった」と表明。日本の防衛装備品購入に期待している。

 トランプ政権は年間7兆円の対日貿易赤字削減を繰り返し主張しており、日本に対して「(赤字削減には)自動車輸出削減や自動車の米国生産拡大、米国からの輸入拡大の全てが必要」(ハガティ駐日米大使)と明言している。

【私の論評】日本は「いずも」空母化で、中国の尖閣奪取の野望をくじき、南シナ海での航海の自由を守る(゚д゚)!

なぜ、日本は「いずも」を空母化して、軽空母を作ろうとするのでしょうか。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【アジアを先導する日本】台湾海峡を中国から守る“主役”は日本 日台、中国共産党の野望を打ち砕くソフトパワーに―【私の論評】「いずも」の空母化は、中共の野望を粉微塵に打ち砕く(゚д゚)!
中国初の国産空母。昨年4月26日水曜日に中国・大連で行われた進水式にて
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では日本がなぜ軽空母を持とうとする理由を以下の三点に絞って説明しました。
1中国空母を陳腐化 
2中国艦隊戦力の更新強要 
3中国潜水艦戦力の更新遅滞
さらにこの記事では、結論として以下のように掲載しました。
日本が軽空母を数隻持ち、交代で台湾海峡を航行するようになれば、どういうことになるでしょうか。中国共産党の野望を打ち砕くソフトパワーとともに有効なハードパワーにもなります。 
さらに、米国の空母も台湾海峡を不定期なが、航行させ、さらに日本の軽空母とともに、5隻程度の空母とともに、台湾海峡で大規模な軍事演習など行えば、中国は極度のプレッシャーにされされることになり、対抗上空母開発とともに海軍力の再構築に追い込まれることになります。 
だからこそ、中国は「いずも」の空母化を極度に恐れているのです。「いずも」の空母化と、さらなる親密な日台関係が、中国共産党の野望を打ち砕く巨大パワーとなるのです。
さて、今回は「いずも」空母化で、日本は何ができるようになるのかをまた別の角度から掲載しようと思います。

安倍晋三首相は、「今までの憲法の枠内で何ができるか」という発想を持っていますが、「トータルの日本の防衛力はどうあるべきか」という戦略も考えているようです。いずもの空母化は、筋の通った話だと思います。というのも、自衛隊は、陸海空の統合運用を目指しています。これを統合戦闘能力と言います。

この統合戦闘能力において、いずもの空母化は、どういう意義があるかといえば、まず「尖閣諸島を守るため」という意義があります。

現在、沖縄の那覇基地にあるF15戦闘機が、尖閣諸島上空の防空に当たっています。しかし、尖閣諸島上空到達までに30分かかります。燃料の搭載量には限界があり、1時間強ほどしか防空任務に就けません。往復1時間かかるとなると、実際の戦闘時間は極めて短いわけです。戦闘時には燃料を最大限に使うので、5~10分しかもちません。

そこで、戦闘機を載せた「いずも」が、尖閣付近にまで近づくというわけです。そこから、発艦すれば、戦闘機の防空任務にさける時間が大幅に増すことになります。

陸上自衛隊の水陸機動団が今年3月27日に、佐賀県で発足したばかりですが、これはアメリカの海兵隊を見習ったものです。水陸機動団は、尖閣が奪われたら、艦船やオスプレイで上陸部隊を運び、逆上陸して奪い返します。

水陸機動団

しかし、上空の安全が確保されてないと、オスプレイはすぐに撃ち落されるので、海と空が一体となった作戦を実施できなければ、尖閣は守れません。統合戦闘能力を向上させる一環として、「いずも」の空母化が持ち上がったわけです。

また長崎県佐世保には、海兵隊が運用している「ワスプ級強襲揚陸艦」という軽空母が配備されました。これは、いずもと似ていて、F35Bが搭載でき、海兵隊の作戦を上空から支援する目的があります。日本は、これを真似ているわけです。

いずもに搭載できるF35Bは、ステルス戦闘機であり、攻撃機です。F35Bには、導入が検討されている空対地・対艦ミサイル「JSM」を搭載できます。

日本はすでに類似したミサイルを持っていますが、射程は120~130キロの範囲です。F35Bに、それよりも遠くから発射できるJSMを搭載することで、攻撃の「長射程化」を図り、尖閣をガッチリと守るつもりです。あくまでも、日本周辺に侵出してくる艦艇やミサイル発射台などを叩くことが目的です。

将来的には、尖閣防衛のためだけでなく、北朝鮮や中国などの脅威を取り除くために、F35Bを投入することもありえます。

さらには、南シナ海での航海の自由を守ることも、想定できるとは思います。つまり、シーレーンの防衛です。しかし、いずも自体に自分を守る防御能力はないので、イージス艦のような盾になる艦艇とセットでないと、南シナ海に行かせることはできません。

ただ、いずもは改修しても、戦闘機を最大14機しか運用できません。アメリカのワスプは20機くらい載りますので、それと比べると能力は落ちます。相手の戦力によりますが、いずも1隻では足りません。いずれは、2~4隻体制になるでしょう。

私は政府はもともと、いずもを空母化しようと考えていたのでしょう。少しずつ進めて、いつの間にか空母をつくるという、なにやら中国のサラミ戦術のようなやり方です。いきなり空母を建造するというより、小出しにして少しずつ実施すれば、マスコミなどから叩かれないという考えなのでしょう。政府は、空母の必要性について、正面から国民に説明すべきです。

米国は、11隻の原子力空母を保有していますが、日本もいずれは、原子力空母を持つべきです。ただし、原子力空母の建造には、日本は一切手をつけていないので、かなり時間がかかるでしょう。

おそらく、米国から買った方が早いです。持つべきだとは思いますが、10年~20年かかることでしょう。原子力空母は、燃料を入れなくて良いのですが、5~10年ごとにオーバーホールして核燃料の交換をしないといけませんので、経費も相当かかります。金と時間の面で融通が利きづらいです。

それに、原子力空母は一度燃料を入れると、その後は廃艦になるまで、燃料を入れなくもすむという利点はありますが、乗員は乗りっぱなしというわけにはいかず、交代する必要があるのと、水・食料補給、装備品の補給などで、原子力空母といえども、定期的にいずれかの港に寄港しなければなりません。

それを考えると、日本は原子力以外の既存のエネルギーを用いた省エネ型の空母をつくり、原子力空母の寄港頻度と同じくらいの頻度ですむような空母をつくることができるかもしれません。なにしろ、日本は省エネ技術では世界トップクラスなのですから。

しかし、まずは「いずもクラス」の軽空母を持つことで、当面の中国を含む周辺国への存在感はかなり高まります。

特に、中国に対するインパクトは相当のものになるでしょう。まずは、当面尖閣奪取の野望をくじくことになるでしょう。そうして、南シナ海での航海の自由を守ることにも寄与することになるでしょう。

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2018年9月19日水曜日

海上自衛隊の潜水艦「隠密作戦」に中国狼狽 南シナ海で中国に“強烈メッセージ”か 同盟国・米国も了解―【私の論評】日米同盟は北朝鮮問題を解決するつもりのない中国の喉元にあいくちをつきつけた(゚д゚)!


海自潜水艦「くろしお」

南シナ海で軍事的覇権を強める中国への“強烈なメッセージ”なのか。防衛省は17日、海上自衛隊の潜水艦を南シナ海に派遣し、護衛艦部隊とともに対潜水艦を想定した訓練を実施したと発表した。潜水艦の行動は「極秘中の極秘」であり、今回の公表は極めて異例。同盟国・米国も了解しているとみられる。国際法を無視して、南シナ海の岩礁を軍事基地化している中国への牽制(けんせい)とともに、中国の具体的行動への“警告”と分析する関係者もいる。米中貿易戦争が激化するなか、中国の軍事的挑発を阻止する狙いなのか。中国は反発したが、動揺を隠しきれない。

 「自衛隊の訓練は、練度を向上させるためで、どこか特定の国を想定したものではない。南シナ海における潜水艦の訓練は15年前から行い、昨年も一昨年もしている」

 安倍晋三首相は17日夜、テレビ朝日系「報道ステーション」に生出演した際、海自の対潜水艦訓練について、こう説明した。

 重ねて、安倍首相は「事実上、そうした訓練は(近隣国である)相手方も、十分に承知していることが多い」とも述べており、中国を意識したメッセージであることは、間違いない。

 中国は南シナ海のほぼ全域に歴史的権利があると主張し、独自の境界線「九段線」を引く。

 国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所は2016年、こうした主張を否定したにもかかわらず、中国は、スプラトリー(中国名・南沙)諸島の岩礁を勝手に埋め立てた人工島に滑走路やレーダーを建設したほか、パラセル(同・西沙)諸島に地対艦ミサイルを配備し、軍事拠点化を進めている。

 共産党一党独裁による中国の覇権拡大に対し、「自由と民主主義」「人権」「法の支配」といった価値観を共有する自由主義諸国は、警戒感を強めている。ドナルド・トランプ米政権は「航行の自由作戦」を展開し、英海軍も揚陸艦を航行させて圧力をかける。

 こうしたなか、今回の海自の訓練は、九段線の内側、フィリピン西側の公海上で行われたという。

 海自などによると、南シナ海に派遣したのは、海自呉基地(広島県)を母港とする潜水艦「くろしお」。13日までに護衛艦「かが」「いなづま」「すずつき」の計3隻と合流し、護衛艦や艦載ヘリコプターがソナーを使って敵の潜水艦を探索する一方、潜水艦は探知されないように護衛艦への接近を試みる実戦的内容だった。

 「くろしお」は、全長82メートル、幅8・9メートルで乗員約70人の潜水艦(排水量2750トン)。「かが」は、海自最大の護衛艦で、空母化の構想もある「いずも」と同型だ。

「かが」

 これに対し、中国の反応は、従来のような激烈な反発ではない。

 中国外務省の耿爽報道官は17日の記者会見で、「現在、南シナ海の情勢は安定に向かっている。域外の関係国は慎重に行動し、地域の平和と安定を損なわないよう求める」と述べた。

ドナルド・トランプ米大統領は17日(米国時間)、中国からの輸入品に追加関税を課す制裁第3弾を24日に発動すると発表した。中国の“軟化”は、対米貿易戦争での苦境を反映しているのか。このタイミングで日本側が対潜水艦訓練を公表した狙いを、専門家はどうみるか。

 米国事情に精通する拓殖大学海外事情研究所所長の川上高司教授は「訓練の公表が、中国への牽制(けんせい)であることは間違いない。米国の対中関税制裁は強力で、日本は米国と歩調を合わせ、軍事面から後方支援するという意味があるのだろう」と話した。

 これと符合するように、官邸に近い永田町関係者は次のように語った。

 「米中貿易戦争が激化するなか、中国が軍事的緊張状態を演出する懸念がある。今回の公表は、日米による『軍事的緊張を許さない』というメッセージだった可能性が高い。潜水艦『くろしお』は最新鋭潜水艦ではなく発見しやすいが、中国の哨戒能力では把握できなかったのではないか。このため、『われわれは南シナ海でも自由に行動できる』『挑発はダメだ』と伝えるため、異例の公表に踏み切ったとみる。軍事的挑発で懸念されるのは、弾道ミサイルを搭載した中国原潜の太平洋進出だ。米中の軍事的緊張が一気に高まる」

 中国の具体的行動を受けたメッセージとの分析もある。

 防衛関係者は「防衛省の今回の動きは異例だ。表向きのメッセージとは違う可能性が高い」といい、続けた。

 「潜水艦の行動は、各国海軍とも極秘だ。トランプ大統領でも、米原子力潜水艦の動きは知らされない。防衛省がリスクを侵して公表した意図がある。あくまで推測だが、中国が南シナ海で許容できない行動をしたのではないか。中国は現状を少しずつ変更して、軍事的覇権を強める戦術を取っている。自衛隊がそれを察知し、米国と情報共有したうえで、中国側にメッセージを伝えたとみるのが自然だろう。自衛隊の哨戒能力は世界最高だ。日本周辺で各国艦船や潜水艦の動向をリアルタイムで把握している。中国の抑制的な反応を見る限り、メッセージは伝わったのではないか」

【私の論評】日米同盟は北朝鮮問題を解決するつもりのない中国の喉元にあいくちをつきつけた(゚д゚)!

小野寺五典(いつのり)防衛相は18日午前の記者会見で、海上自衛隊の潜水艦「くろしお」が南シナ海で13日に行った訓練について「戦術技量の向上を図るもので、特定の国を念頭に置いたものではない」と述べ、軍事拠点化を進める中国への牽制(けんせい)ではないと強調しました。その上で「南シナ海での潜水艦が参加する訓練は15年以上前から幾度となく行っている。昨年、一昨年にも実施している」と述べました。



秘匿性が高い潜水艦の訓練を公表したことについては「過去も適切に公表している。特に意図があってのことではない」と語りました。

ただし、海自は南シナ海での実任務に就く潜水艦の訓練を公表したのは、今回の事例が初めてだと説明しています。

日本の海自の潜水艦や、米軍の潜水艦が南シナ海で訓練をしたり、哨戒任務にあたっているのは、以前から知られていることで、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【世界ミニナビ】中国ご自慢の空母「遼寧」は日米潜水艦隊がすでに“撃沈”?―【私の論評】中国の全艦艇は既に海上自衛隊により海の藻屑に(゚д゚)!
実戦ではほとんど役立たずといわれる空母「遼寧」
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より一部を引用します。
日本の海上自衛隊と米国海軍の潜水艦艦隊が演習で遼寧を“撃沈”しているようだと明らかにしたのは、米誌「ナショナル・インタレスト」だ。同誌は6月18日(ブログ管理人注:2016年)のウェブサイトで、「撃沈している」との断定的な表現は微妙に避けながらも、日米の潜水艦艦隊は遼寧が出航するたびに追尾し、“撃沈”の演習を繰り返しているとしている。
・・・・・・・・・・・〈中略〉・・・・・・・・・・ 
 ナショナル・インタレストは海軍艦艇の中で最も強力なのは潜水艦戦力で、空母をはじめとする水上艦艇を沈めるのに最も有効な手段だとしている。遼寧についてもその配備先は当初、海南島や台湾やベトナム近くの海軍基地ではないかとの観測もあったが、山東半島の付け根にあり、黄海に面した北海艦隊の根拠地となっている青島に配備された。 
ナショナル・インタレストは、中国が遼寧の母港を青島にした理由として、通常動力型の宋級潜水艦と漢級原子力潜水艦が配備されているためだとしており、宋級潜水艦と漢級原子力潜水艦が日米の潜水艦隊に対抗するうえで有効なためだと分析している。 
ナショナル・インタレストは潜水艦戦力の例として、2006年10月に宋級潜水艦が沖縄近海で米空母キティホークに魚雷攻撃ができる距離まで近づき、浮上したことを紹介。また、2013年に中東のオマーン湾で行われた演習で、米海軍の攻撃型原潜が英海軍の空母イラストリアスに魚雷で攻撃できる距離まで近づいたことを明らかにしている。 
水上艦や潜水艦をはじめとする中国海軍の動向は人工衛星や偵察機によって把握され、艦艇が出港すると、海上自衛隊や米海軍の本格的な監視・追跡が始まる。もちろん、まさにこの時間帯にも中国の軍港の近海や東シナ海や南シナ海から西太平洋に抜ける海峡などのチョークポイントに日米の潜水艦隊は潜んでおり、中国の海軍艦艇をにらんでいる。
ちなみに、チョークポイント(英: choke point)とは、海洋国家の地政学における概念のひとつであり、 シーパワーを制するに当たり、戦略的に重要となる海上水路をいいます。 見方を変えれば、例えば、シーレーン防衛において、重要な航路が集束している部位であったり、あるいはスエズ運河やパナマ運河など、水上の要衝を意味します。

地理的チョークポイント

日米の潜水艦は、隠密裏にこれらのチョークポイントに潜み、協同あるいは単独でも、監視や訓練を以前から実施しているのです。そうして、「遼寧」やその他の艦艇を何度となく、訓練で撃沈しているのです。

日本は第2次世界大戦後に憲法で平和主義を掲げる一方で近代的な軍事力を築き、中国や北朝鮮の行動に対する懸念が高まる近年は、さらなる増強に取り組んでいます。日本はブルネイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、台湾やベトナムとは違い、南シナ海に直接領有権を主張しているわけではないですが、東シナ海では中国と台湾と尖閣諸島の領有権を争っています。

日本は一番の軍事同盟国であるアメリカと共に、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で中国が岩礁の軍事拠点化を進めていることについて、より厳しい姿勢で臨む構えを示しています。アメリカは「航行の自由」を主張して、これまで周辺海域に数多くの巡視船を派遣しているが、中国は同海域での建設作業は「主権国家としての権利」だと主張し反発しています。

海上自衛隊は8月にも南シナ海での訓練を実施しており、これには北朝鮮も反発を表明しました。北朝鮮は南シナ海の領有権争いに関与していないですが、海上自衛隊がアジア太平洋地域で米海軍と合同で訓練を実施したことを、中国と共に強く非難。国営通信社の朝鮮中央通信は「日本は平和を破壊した行為の代償を払うべきだ」と主張しました。

北朝鮮は9月15日にも、政府系メディアを通じて、陸上自衛隊が8月26日に静岡県御殿場近郊で実施した国内最大規模の火力演習を強く非難。政府機関誌の民主朝鮮はこの演習について、日本が「チャンスがあれば他国を侵略・占領できるように軍事力の強化を目指している」ことを裏付ける証拠だと主張しました。

中国と北朝鮮は長年、社会主義的な絆とともに、両国とも第2次世界大戦下で日本と一度も戦ったことがないにもかかわらず、あたかも抗日戦争で日本に勝利したかのような演出をし、日本を悪魔化することによって、国内で統治の正当性を主張しているということでも共通点があります。

北朝鮮は2011年に金正日の死去を受けて息子の金正恩が最高指導者となって以降、それまで後ろ盾となって影響力をふるってきた中国との関係悪化が囁かれてきたものの、金は今年に入って習近平国家主席の元を3回にわたって訪問し、関係の強化をアピールしています。

中国は、金が6月の米朝首脳会談で体制保証と引き換えに約束した非核化の実現を北朝鮮に求めていくという点で、アメリカなどの主要国を支持しているように装っています。しかし、それはみせかけだけに過ぎないということをトランプ大統領は見破ったのです。

昨日のブログにも掲載したように、北朝鮮問題の根本的な解決を急ぐトランプ政権に対し、中国はあくまでもそれが「解決されない」方向へと持っていこうとするので、北朝鮮問題をめぐっての米中連携は最初から成り立たなかったのです。

トランプ政権は、とうとう中国を頼りにしての北朝鮮問題の解決は不可能であるどころか、中国こそが北朝鮮問題解決の邪魔であるとわかったようです。

だからこそ、昨日のブログにも掲載したように、米国は今のタイミングで中国に対して対貿易戦争を仕掛けたのです。無論それだけが目的ではなく、最大の目的は中国が知的財産権をないがしろにすることに対しての制裁です。

そうして、それだけではなく、日米同盟の同盟国日本を通じてこれからも、中国が北朝鮮問題を解決するつもりながなく、北朝鮮の日本に対する内政干渉などを許容するようであれば、南シナ海で何かがおこるかもしれないこと周知させるため、中国の喉元にあいくちを突きつけたのです。これは米国が直接実施すれば、大事になりかねないので、日本を通じて実施したものだと思います。

実際、日米が協力すれば、中国を相手に南シナ海の海上封鎖などすぐにできます。中国は今更ながら、その可能性に気づき、南シナ海を中国の戦略原潜の聖域にするのは不可能であることを悟ったことでしょう。南シナ海の日米の潜水艦隊に対して軍事行動を起こせば、中国艦隊はなすすべもなく、海の藻屑と消えます。

実際、中国がそのような動きを見せれば、米国は何のためらいもなく、場合によっては軍事衝突の危険をおかしてでも、南シナ海を海上封鎖することでしょう。日英はこれに監視などで協力することになるでしょう。

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