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2019年3月30日土曜日

緊迫する南シナ海:中国の進出阻止に本気の米国―【私の論評】本気の米国、南シナ海で比に攻撃あれば米が防衛するとポンペオ氏明言(゚д゚)!

緊迫する南シナ海:中国の進出阻止に本気の米国

米軍、中東のテロ対策から対中戦略へ本格シフト

南シナ海で軍事拠点化を進める中国に対し、米軍が対中政策により力を入れ始めている。

 3月19日、ハワイのフォート・シャフター陸軍基地で開かれた会議で、米太平洋軍司令官のロバート・ブラウン陸軍大将が中国に対抗するため、本土から数千から万単位の兵士をアジアに配備する用意があると述べたのだ。

米太平洋軍司令官のロバート・ブラウン陸軍大将

 「南シナ海で問題(有事)が起きた時には陸海空および海兵隊の兵力が協力し合って対処していくことになります」

 この発言が海軍大将ではなく陸軍大将から出たところに注目したい。

 中国が南シナ海で人工島を造成し、軍事基地化を進めている中で、ブラウン大将は陸軍の出動も念頭に入れているということだ。

 米軍準機関紙『星条旗新聞』によると、実際の有事になった時にはハワイ州、ワシントン州、アラスカ州などから陸軍兵士を短期間、アジアに配備することになるという。

 同大将は具体的な兵数を口にしていないが、準備を整えている。

 「誰も紛争を望んでいません。我々も望みませんが、有事の際にはどんなシナリオにも対応できる体制を整える必要があります」

 海洋でも最終的には陸軍の出動が必要になるとの見方だ。さらにブラウン大将は同会議で「最優先は中国です」と明言した。

 これは過去20年ほど、米軍が第一義として精力を注いできた中東でのテロリズムとの戦いから、対中政策へと戦略がシフトしてきたということでもある。

 特にイラクとアフガニスタンに派遣していた兵力を世界の別地域に向かわせる中で、中国がプライオリティーになったのだ。

B52戦略爆撃機


 今月に入ってから、米軍は南シナ海上空に「B52」戦略爆撃機を3回も飛行させている。

 「定例訓練」であるが、米軍はわざわざ公表する義務がない。しかし3回とも公式発表している。

 最初は3月4日で、2機が米領グアムのアンダーセン空軍基地を飛び立ち、1機は南シナ海上空を「定例訓練」し、もう1機は航空自衛隊と共同訓練をして帰還した。

 14日にも2機のB52戦略爆撃機が、さらに19日にも同様に2機を飛ばしている。

 米太平洋軍報道官は「米航空機は同盟国や友好国、さらに自由で開かれたインド・太平洋地域を守るために恒常的に同地域で作戦行動を行う」と述べて、南シナ海での中国の行動をけん制した。

 さらに米第7艦隊は11日、イージス駆逐艦「スプルーアンス」と「プレブル」を南シナ海に派遣。これは「航行の自由」作戦の一環で、今後も定期的に行っていく予定である。

 作戦の目的は中国が南沙(スプラトリー)諸島で過度な海洋進出をしていることへの「異議申し立てと国際法に準拠した航路を維持するため」だ。

 今月の米軍によるこうした動きを見ると、前述したブラウン大将の「陸海空および海兵隊の兵力が協力し合って対処する」プランは着実に前に進んでいるかにみえる。

 米軍のこうした行動に中国はすぐに反発。

 外務省報道官は米イージス駆逐艦の派遣直後、「米軍艦が中国の許可なく海域に進入したことは中国の主権を侵す行為」と嫌悪感を露わにした。

 さらに「米国は南シナ海で挑発し、緊張を生み出し、平和と安定を脅かしている」と挑発した。

 しかし中国こそが挑発を繰り返す平和と安定の破壊者であるとの見方は、米国では広く支持されている。

 首都ワシントンにある新アメリカ安全保障センターのイーリー・ラトナー副所長は、米国が南シナ海を含めたインド太平洋地域で効果的な防衛体制を維持することは中国の拡張をけん制する意味で重要であると説く。

 「米国の抑止力が同地域でなくなったら、台湾をはじめとする所地域に政治的不安定がもたらされることになる」

 いますぐに南シナ海で有事が勃発する可能性は低いが、文字どおり万難を排して準備しておく必要性は高い。

 ただやっかいなことは、中国は南沙諸島の人工島を軍事基地だけでなく非軍事基地としても使用する意図がある点だ。

 民生基地としての併用であれば、米軍は民間人をむやみに殺傷できないとの思惑がある。

 南シナ海は地政学的に重要な場所であると同時に、海洋資源の宝庫であることは広く知られている。

 中国の貿易額の64%の貨物は南シナ海を通過しているし、南シナ海経由の原油のうち23%は日本にも来ている。

 海洋資源という点に目を向けると、原油と天然ガスの埋蔵量が豊富である。

 米エネルギー情報局(EIA)の調査によると、原油の未発見埋蔵量は112億バレル。ところが中国政府が見積もる埋蔵量はさらに多い。

 中国海洋石油総公司が算出した埋蔵量は、EIAの10倍以上にあたる1250億バレルに達する。

 また天然ガスの埋蔵量はEIAの調査では190兆立方フィート。一方の中国海洋石油総公司の見積もりは500兆立方フィートで、やはり中国の方が2倍以上も多い。

 埋蔵量を正確に算出することは難しいが、大量の天然資源が埋もれているとことは間違いない。

 世界の他地域と比較しても、原油と天然ガスは中東、ロシアの埋蔵量にはかなわないが、天然資源の宝庫と呼んで差し支えない。

 中国政府がそれを狙わないわけがない。地政学的、資源的、軍事的に南シナ海を内海したいとの野心は強まる一方なのだ。

 米専門家からは、南シナ海が「中国のクリミア半島」になりつつあると危惧が聞こえてくる。

 ロシアが2014年、力ずくでクリミア半島を併合した手法を中国は手本にしているとの見方だ。

 中国による明らかな国際法違反を、米国だけでなく関係国がともに異議として唱えると同時に、圧力を加えていく必要がある。

 前出のブラウン陸軍大将は「すべての領域でいいポジショニングを得るために、陸軍が果たす役割もある」と、米軍はすでに普段から南シナ海を眺め、陸海空および海兵隊が総合的に対中国戦略を練っていることを示唆した。
【私の論評】本気の米国、南シナ海で比に攻撃あれば米が防衛するとポンペオ氏明言(゚д゚)!


フィリピン・マニラで同国のテオドロ・ロクシン外相(左)と握手するマイク・ポンペオ米国務長官

以前のこのブログでも掲載したように、南シナ海に関しては、ポンペオ米国務長官も最近重大な発言を行っています。これも、南シナ海への中国の進出阻止に本気の米国の姿勢を示すものです。

ポンペオ米国務長官は、中国の南シナ海への覇権拡張をけん制するために、南シナ海におけるフィリピン軍等への攻撃が米比相互防衛条約の対象になると明言し、以下のように述べました。
島国としてフィリピンは、自由な海洋へのアクセスに依存している。南シナ海における中国の人工島建設と軍事活動は、米国だけでなく貴国の主権、安全、したがって経済的活動に脅威を与えている。南シナ海は太平洋の一部をなしているので、同海域におけるフィリピンの軍、航空機、公船に対する如何なる攻撃も、米比相互防衛条約第4条の相互防衛義務発動の引き金となる。
この発言は3月1日、訪問先のフィリピンでドゥテルテ大統領、ロクシン外相と会談、同外相との共同記者会見において行われたものです。

2017年末に発表された国家安全保障戦略(NSS)、2018年の8月に成立した国防権限法でもフィリピンや台湾防衛の強化が謳われており、既定路線だったと言えます。また昨年のマイク・ペンス副大統領の東アジア首脳会議(EAS)で、「中国による南シナ海の軍事化と領土拡張は違法で危険だ」との発言を一層具体化するものとなりました。

なぜポンペオ氏はこうした発言をしたのでしょうか。

米比相互防衛条約第4条では、「各締約国が太平洋地域におけるいずれか一方の締約国に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の手続きに従って、共通の危険に対処するように行動することを宣言する」と規定しています。

これまでは南シナ海が「太平洋地域」に入るのかどうかが不明であったため、「南シナ海は太平洋の一部である」と発言することで、その曖昧さを払拭したのです。これによって、以前もこのブログで掲載したように、南シナ海問題、米国とフィリピンの「温度差」を解消しようとしているのでしょう。

米国の政府高官がこうした発言をしたのは数十年ぶりです。オバマ政権下では、同種の規定のある日米安保条約が尖閣に対して適用されるという宣言があった一方で、米比相互防衛条約の適用は注意深く避けられてきました。つまり中国が着々と南シナ海において、人工島を造り、軍事基地化していた時期にこのような発言はなかったため、フィリピンの米国に対する不信は募っていました。

もし、米国が日本に与えたのと同じような確証を私達にも与えてくれるなら、フィリピンは米国に頼ることができ、ドゥテルテ大統領は、中国に対して独自の外交政策を進めようとは思わなかったでしょう。

しかし、フィリピンはすでに、2つの島を失っています。その時米国は、フィリピンを助けに行きませんでした。米国は、国際法のもとで解決されると考えており、領土問題でフィリピンの味方はしませんでした。

中国に対して独自の外交政策をすすめてきたドゥテルテ大統領

一方、米国が4条の適用を宣言してこなかったのは、その適用を宣言すれば、アメリカが望まない戦争に巻き込まれる危険や、中国がアメリカの「レッドライン」を試す可能性が高まるからです。

それにもかかわらず、米比相互防衛条約の適用を宣言したのは、着々と進む南シナ海の中国の内海化の動きです。

中国は、東シナ海、南シナ海を聖域化していく方針で、中国は2010年代半ばに南シナ海を「核心的利益」と呼び、戦争をも辞さないという姿勢を示しています。

この方針は、1989年から1997年まで中国共産党中央軍事委員会副主席であり、人民解放軍海軍の司令官であった劉華清氏(1916~2011)によって出されたものです。

劉氏は、中国の軍隊が陸軍中心に編成されていることに不満を持ち、近代的な海軍を保有するよう主張。中国は1992年に「領海法」を施行し、海洋での資源や戦略拠点といった海洋権益の確保が、中国の安全保障にとって死活的に重要だと規定しました。

その中で中国は、東シナ海、南シナ海、南沙諸島を自国の領土だと一方的に宣言しています。つまり第一列島線から南シナ海を中国の内海として支配することを決めたのです。

中国は南シナ海を中国原潜の聖域にすることを狙っている

中国はすでに西沙諸島や南沙諸島において岩礁等を埋め立てて人工島を造り、軍事基地化しています。さらにフィリピンの隣に位置するスカボロー礁の埋め立てを完成すれば、戦略的トライアングルができ、南シナ海の内海化が完成します。

南シナ海は水深が深いため、ここに中国の原子力潜水艦が潜み、海南島の三亜海軍基地から南シナ海を通り、バシー海峡から太平洋に出ていくことができれば、アメリカ本土に核弾頭を打ち込むことができるようになります。

つまり米国に王手を打つことができるわけです。それは、米国が世界の警察官から撤退することを意味し、日本がアメリカの核の傘を失う時でもあるのです。

米比相互条約の適用について、「取引(deal)」が得意なトランプ大統領も、何のディールも持ち出していません。フィリピン防衛の表明は、アメリカは「覇権から降りない」という意志の表明そのものでもあるためでしょう。


南シナ海は、日本に輸送される石油の9割がこの海域を通過するなど、日本にとっても生命線ともいえる海域です。

この海域を護るために、日本は現在2つのことをしています。1つは、フィリピンやベトナムといった沿岸国に教育訓練を施したり、防衛装備を供与したりすることであり、もう1つは、南シナ海で潜水艦が訓練し港に寄港するなど、訓練と寄港で「中国の自由にさせない」というプレゼンスを示しています。

しかし、南シナ海に戦力を投じれば、東シナ海が手薄になるため、いずもを空母化したり、シーパワーを増やしていかないと、これ以上のことはできないでしょう。

政治とは未来を変えるために現在意思決定をすることです。海軍力の増強には時間がかかるため、日本も海軍力の増強に本腰を入れるとともに、米、英、仏とともに海洋の自由を守ることが不可欠となってきています。

このような準備をすすめる一方で、現在米国が行っている対中国冷戦も大きな意味を持ちます。これによって、中国共産党一党支配をやめ、中国が民主化、政治と経済の分離、法治国家し体制を変えるならば、新中国は国際法を遵守することになり、問題は解決します。

もし、中国が体制を変えないというなら、経済冷戦をさらに強め、米国のみならず世界の先進国がこれに協力し、中国経済を弱体化させ、その後自滅を待つか、軍事的に弱体化したとき、米国およびその他同盟国は、南シナ海の海域で何らかの軍事行動を起こすことになるでしょう。

中国は、現在の体制と、南シナ海の軍事基地をなんとしても守り抜くことになるでしょうから、米国は中国が他国に影響力を行使できなくなるくらいまで、経済を弱体化させ、軍事行動にでることになるでしょう。それは、いますぐということではなく、はやくても10年後くらいになることでしょう。

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2019年3月13日水曜日

麻生財務相“報復措置”明言で韓国は戦々恐々 韓国紙「局長会談の結果は楽観できないという見方も」―【私の論評】中国の衛星国になりそこね北の衛星国に成り下がった韓国への対処法はこれだ(゚д゚)!

麻生財務相“報復措置”明言で韓国は戦々恐々 韓国紙「局長会談の結果は楽観できないという見方も」

衆院財務金融委で答弁する麻生太郎氏 =12日、国会内

麻生太郎副総理兼財務相が、韓国への具体的な対抗措置について初めて明言した。韓国最高裁による、いわゆる「元徴用工」などへの異常判決を受け、韓国の原告側は差し押さえた日本企業の資産を売却する手続きを進めている。日本政府は、企業に実害が生じた場合、準備を終えている「報復カード」を果敢に切る構えのようだ。

 「関税(引き上げ)に限らず、送金の停止、ビザの発給停止とか、対抗措置にはいろんな方法がある」

 麻生氏は12日の衆院財務金融委員会で、こう言い切った。日本維新の会の丸山穂高氏が、韓国に対し、「具体的に対抗措置を前に進めるべきではないか?」と質問したことに答えた。

 日本政府としては、韓国への「痛み」を伴う対抗措置として100前後の選択肢をリストアップしているとされる。安倍晋三政権の重要閣僚が、その選択肢を具体的に語ったのは初めてだ。

 麻生氏は「日本政府として煽る立場ではないが、今はその(=制裁発動)前のところで交渉しており、きちんと対応をしなければと思う。これ以上、事が進んで(日本企業に)実害が出ると、別の段階になる。その段階ではいろいろと考えねばならない」と厳しい表情で語った。

 これまで、日韓間では「政治と経済は別」という意識が強かったが、文在寅(ムン・ジェイン)政権の「反日」姿勢は常軌を逸している。国会議長までが「天皇陛下の謝罪要求」をする狂乱状態となっている。

 日本の「報復カード」は、停滞する韓国経済を直撃しかねない。韓国メディアは焦りを感じさせる記事を掲載している。

 中央日報(日本語版)は12日、「日本財界、差し押さえ資産売却なら韓国支社撤収の雰囲気」との記事で、「両国関係が劇的に改善する兆候も、現在のところ見えない」などと悲観的に伝えた。

 同紙は13日、前出の麻生氏の発言を引用しながら、14日に行われる日韓外交当局者間の会談について、「韓日両政府は(事態打開に向け)突破口を開く計画だが、麻生副総理の発言を考慮すると、会議の結果は楽観できないという見方もある」と報じた。

 【予想される日本政府による韓国への制裁案】

 (1)国際司法裁判所(ICJ)への提訴

 (2)韓国人の入国ビザの差し止めを含めた厳格化

 (3)韓国製品の関税上乗せ

 (4)送金停止

 (5)貿易保険の適用から韓国を外すなどの輸出規制

 (6)環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への韓国の参加申請拒絶

 (7)日本国内の韓国企業の資産差し押さえ

 (8)日本からの部品・素材提供の停止(フッ化水素など)

 (9)長嶺安政駐韓日本大使の帰国

 (10)国交断絶

【私の論評】中国の衛星国になりそこね北の衛星国に成り下がった韓国への対処法はこれだ(゚д゚)!



2019年3月11日、韓国は徴用工問題で、日本企業の資産差し押さえを進めており、これを売却し現金化した場合は、日本政府は韓国に対する経済制裁を開始する秒読みに入りました。

019年が明けてからも日韓関係は紛糾した事態が続いています。昨年末に勃発した「レーダー照射問題」は、韓国海軍がこれを否定したのみならず、新たに日本の哨戒機側の低空による「威嚇飛行」問題を提起した事により、新たな展開になっています。

安全保障を巡る問題への影響を恐れる日本側がこの問題に関わる韓国側への批判をトーンダウンして以降も、韓国側は日本海のみならず、東シナ海においても、日本側哨戒機の「威嚇飛行」が続けられているとして問題提起を続けています。

韓国側が新たに日韓関係に関わる問題を提起し、両国間の関係を悪化させているのは外交分野においても同様です。2月初頭には韓国側の三権の長の一人である文喜相国会議長が、米誌ブルームバーグのインタビューに対して、「戦犯の息子」である天皇が慰安婦問題において謝罪をすべき旨発言し、日本側の大きな反発を呼んだ事は記憶に新しいです。

続く2月15日にミュンヘンで行われた日韓外相会談では日本側の河野太郎外相が、いわゆる徴用工判決をめぐり、日韓請求権協定に基づく2国間協議に応じるよう韓国側に改めて督促したものの、康京和外相はこれに対して反応を示さなかった、と日本側メディアは報道しています。

この様な一連の韓国側の動きは、あたかも意図的に日本側を刺激する行動をとっている様な形に見え、日本政府は警戒を強めています。しかしながら、これらの韓国側の一連の行動には見落としてはならない共通点が存在します。

例えば「レーダー照射問題」における韓国側の突然の哨戒機側の「威嚇飛行」の提起は、本来、「威嚇飛行が行われたから、韓国側は対応措置をやむを得ず取ったのだ」とする弁明の一環であった筈です。

であるなら、その主張が事実に適っているかどうかとは全く別にして、ある種の論理的一貫性を見出せない事もなくはありません。しかしながら、韓国側がそもそもの火器管制レーダーの照射自身を否定した結果、「威嚇飛行」は、宙に浮き、全く別個の問題へと転化する事になりました。結果、韓国内では韓国側の「レーダー照射」ではなく、日本側の「威嚇飛行」こそが問題の核心だ、という議論になってしまっています。

矛盾した対応をしている間に、問題の核心が韓国側において入れ替わってしまったのは国会議長の発言においても同様です。当初、スポークスマンを通じて、「戦犯の息子」という発言自体を否定した国会議長は、ブルームバークがインタビューの該当部分の録音を公開した後には、そもそも日本側が謝罪をするのは当然であり、自分は何も間違ったことを言っていない、として一転開き直る形になっています。

ここでも問題はいつしか国会議長の発言の妥当性から、歴史認識問題に関わる日本の謝罪へと入れ替わっています。ミュンヘンの日韓外相会談に関わる問題は、並行して日本側の河野外相から行われた国会議長の天皇謝罪発言に対して、韓国側の康外相がこの抗議を「存在しなかった」として否定するに至り、問題はいつしかいわゆる徴用工問題への対処を巡るものから、国会議長の発言に対する河野外相の抗議があったかなかったかに関わるものに変わっています。

金正恩と文在寅

一見すると、これらの韓国側の動きは単に支離滅裂で混乱している様に見えます。人によっては日本側に非難されパニックに陥っているように考える人もいるかもしれないです。

しかし、共通している事が二つあります。第一は、これらに出て来る韓国側の行動が、元々は「自らの側の言動によってはじまった問題」を「日本側に由来する問題」にすり替えてしまっている事です。

つまり、韓国側による火器管制レーダーの照射問題は、いつしか日本側の「威嚇飛行」に関わる問題になり、国会議長が天皇に謝罪を求めた発言を巡る問題は、いつしか歴史認識問題における日本の謝罪の不足を非難するものになっている。康外相による河野外相の国会議長発言問題に関わる韓国側への抗議を否定する発言は、突き詰めれば「日本側が嘘を言っている」という主張に他ならないです。

二つ目の共通点は、この様な韓国側の一連の「弁明」が、問題を惹起した「加害者」である当事者を、日本側の非難等に晒される「被害者」へと置き換える形で展開されている事です。

つまり、韓国海軍は何も悪い事はしていないどころか、海上自衛隊により「威嚇飛行」を突き付けられる「被害者」なのであり、また国会議長は日本にあるべき謝罪を求めるという「正しい」言動を行ったにも拘わらず、日本政府から「理不尽」で「盗人猛々しい」抗議を突き付けられる「被害者」なのです。

康外相もまた、河野外相から如何なる要請も受けていないのだから、発言をする必要はなく、逆に存在もしなかった発言を恰もあったかのように日本側に不当に非難される「被害者」として位置づけられています。

最初から計算ずくだったかは疑問としても、彼らが何を目指し、どちらを向いてその仕事をしているかは明らかです。日本のことは眼中にないのです。

康外相と河野外相

その事が示す事は一つです。それは彼らが、彼等の言動に抗議する日本側に対して語りかけているのではなく、渦中に置かれた彼等の言動を見守る韓国国内の世論に対して語りかけているという事です。

つまり、彼らは何も日本側に非難されたからパニックになり、苦しい言い訳を連発しているのではない。そこには彼らなりの計算があり、そしてその計算は国内世論に向けられたものである。言い換えるなら、そこでは日本の反応は最初から重視されておらず、だからこそ彼等の言動は、抗議する日本側の怒りをなだめる方向へとは向かわないのです。

とはいいながらこれは、韓国国内の世論の支持を取り付ける事により、彼等が何かしらの政治的意図を成し遂げようとしている事を意味してはいません。日本側の威嚇飛行があろうとなかろうと、韓国海軍そのものの置かれた立場が変わる事はなく、天皇に関して国会議長がどんなに過激な発言をしてもそれにより政府や与党の支持率が上がる訳ではありません。

外交部長官が日本側外相の発言を否定する事により、韓国外交部の地位が上がる訳でもなければ、長官自身の政府内の発言権が増す訳ではありません。

悪いのは自らではなく、日本側であり、自分はその日本側に責められる被害者に過ぎないのです。この韓国側の共通する論理のポイントは、彼等が本来なら問題を惹起した事により問われるかも知れなかった自らの責任を逃れる先は、韓国国内なのです。

弁明が弁明である以上、重要なのは、それにより支持を得ることではなく、当初を問題を惹起した自らの言動の責任を回避することであり、軍や政治、さらには外交の現場にいる彼らにとってはそれで十分なのです。

その背後にあるのは、再び二つの事、そもそも韓国側が日本との関係改善の重要性を見失っている事と、状況を変えようとする政治的リーダーシップが決定的に欠如している事です。

事実、これらの問題に対して大統領である文在寅をはじめ、当事者以外の政府首脳は積極的な発言を行っておらず、真相解明の為にも動き出していません。文在寅政権は北朝鮮との関係改善を進めるのに精いっぱいであり、日本との関係に大きな意味を見出していないのです。

さらに、彼らは従来から、中国に従属しようという考えがあり、それは米国が本格的に対中国冷戦に踏み切った現在も変わりありません。

であるとすれば、現状の韓国の不可解な行動は、以下のようなことで説明がつくと思われます。北朝鮮との交渉の進展に沸き、自信を強めた韓国政府関係者は、いつしか日本の重要性を見失い、日本を刺激するような対応を連発する事となっているのです。

さらにいってしまえば、先日もこのブログで述べたように、もはや韓国は北朝鮮の衛星国のような位置づけになっているのです。ただし、韓国は、北朝鮮も中国に従属しようとしているのであり、その意味では自分たちと共通の価値観を持っていると勘違いしているようです。

北朝鮮は決して中国に従属しようとしてはいません。北朝鮮は中国から干渉されることを明らかに嫌っています。金正男や、張成沢の殺害は、如実にそれを物語っています。中国に従属しようるする韓国と違い、北朝鮮は中国からの完全独立を希求しています。

それすら見抜けない韓国は、北朝鮮の金正恩から都合の良いように利用されているだけです。そうして、まさに韓国は先日もこのブログに掲載したように、北朝鮮の衛星国のような立場になっています。
朝鮮労働党→北朝鮮(直轄領)
  ↓
  ーーー形式的国境ーーー
  ↓
  韓国政府→大韓民国(衛星国)

文在寅は、まさに北朝鮮の衛星国韓国のリーダーであり、自らは全く何の戦略もなく、北朝鮮の顔色をうかがいながら、日本のことなどおかいまいなし日本への対処を決めています。

中国の衛星国ではなく、北朝鮮の衛星国に成り下がった韓国に対して、中国もまともに相手にするはずもありません。韓国は、中国に従属して衛星国になろうとしたのですが、結果として現在北朝鮮の衛星国に成り下がったのです。

結果、新たな問題が次々と生まれ、関係者は自らの責任問題を逃れる為に、さらに日本を刺激するような言動を繰り返しているのです。そして、その言動は、日本や日韓関係に対してではなく、国内世論に対してのものであり、結果として、国内世論の支持を得た彼らは責任を問われる事なく、その場に留まり続けているのです。

そして大統領と大統領府もまた、その状況を何も疑問には思わないのです。こうして日韓関係はますます悪化していくことになるのです。
そもそも、衛星国は大国の意向によって行動を律するわけですから、衛星国の態度を変えようと思えば、大国に対して訴えかけ、その行動を変えさせるべきなのです。日本がいままで何度見韓国に直接働きかけもうまくいかなかったのはこのためです。

であれば、韓国の行動を変えさせようとするなら、北朝鮮、中国に働きかけるべきなのです。

幸か不幸か、第二次米朝首脳会談の失敗を経て、韓国はもう一度自らの足元を顧みなければならない状況に置かれています。北が現状を維持して、核実験やミサイル発射をしないで、徐々に弱っていくことになった今日の状況は、決して悪い状況ではありません。

最も悪い状況は、朝鮮半島が統一されて、半島全体が中国の配下に収まることです。そうなると、日本にとっては対馬が38度線となることになります。これだけは、避けるべきです。

北朝鮮が弱体しつつある現在、北が核廃棄を決めた後に、日本としては何ができるかを明確にした上で、米国とともに日本が、北を操ることができるようになれば、韓国も日本に配慮するようになります。

中国に対しては、米国の冷戦に協力しつつ、中国の弱体化を協力に推進すべきです。日中友好などと浮かれている場合ではありません。

中国の体制を変えるか、経済的に弱体化させてしまえば、確実に朝鮮半島問題は解決し、北朝鮮の核の問題も、韓国の問題も自ずと解決します。それができない場合は、日韓関係はいつまでたっても解決されません。

今のまま韓国に制裁を加えたにしても、ある程度の効き目はあるでしょうが、決定打にはならないでしょう。実行しても効き目がなければ、どんどん厳しいものにしていき、最終的には国交断絶をすべきです。国交断絶をしつつ、日本としては、中国が体制を変えるとか、経済的に弱体化し他国に影響を及ぼすことができなくなるくらいに疲弊する時期を待つのです。本命はやはり日本にとっても、中国なのです。

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2013年9月23日月曜日

安倍首相、増税を明言せず ―【私の論評】増税問題はもう経済の問題ではない、これは中国共産党主導による悪質な安倍下ろしだ、日本人は利害を乗り越えて大同団結せよ!!

【倉山満の砦】安倍首相、増税を明言せず

安倍総理の肉声。

テレ朝でのインタビュー



増税するなんて、一言も言っていない。

・経済成長でデフレ脱却!このチャンスを逃すな。
・増税した場合でも腰折れしない対策を指示はした。

むしろ、挑発的な質問には「フッ」とか笑ってる。

産経やロイターが報じている「増税を前提にした議論」は、質問者の前提にのっただけ。安倍さんはしっかり「経済成長が重要」と明言しているが、そこを飛ばして、かつ仮定の質問だということも飛ばしている。報道としてどうよ?


しかし、
「本日安倍総理、3時間ぶり7度め、通算11回目の増税決断」
みたいなの多すぎないか?

テレビと新聞だと、総理は何回、増税を決断したんだ?
誰か数えて。

どこに自分の死刑執行書に署名する総理がいる?

この記事の続きはこちらから(゚д゚)!

【私の論評】増税問題はもう経済の問題ではない、これは中国共産党主導による悪質な安倍下ろしだ、日本人は利害を乗り越えて大同団結せよ!!

倉山満氏が指摘するように、安倍総理は今にいたるまで、一回も増税の決意表明をしたことはありません。さて、増税に関しては、最近YouTubeでブレイクしているKatuya.channelで非常にわかりやすいものがあったので、以下に掲載します。



この動画でも、指摘しているように、増税問題に関しては、増税派も反増税派も、増税ししまえば、景気の腰折れがあることは両方ともしっかり認識しているようです。ただし、増税派の方はは、景気の腰折れの度合いをかなり軽く見積もっているようです。

しかし、このブログにも何回も掲載してきたように、デフレの日本で増税すればとんでもなく景気が後退します。これは、デフレではなかったイギリスが、付加価値税増税後大規模な金融緩和を実施しても、未だ景気が良くならなず、停滞しており、そのため税収が減り、財政再建のための増税に見事失敗していることからも理解できます。

もともとは、景気が悪くてもデフレではなかったイギリスが増税して、雇用が悪化したので、その対策として大規模な金融緩和をしても、未だに経済は回復していないわけです。日本は、デフレが15年もデフレが続き、その対策として金融緩和をしてその後に増税ということになるわけですが、いずれにせよ、増税しつつ金融緩和ということではイギリスと同じようなことをしようとしているわけです。

日本は、イギリスよりも酷いことになるのは明らかです。それに、金融緩和をしつつ、増税して、景気が腰折れするから経済対策というのは、もうマクロ経済学的にいっても、はゃめゃちゃです。

さて、上の動画では消費税増税に関する中国の影については述べていませんが、これに関しては、このブログでも掲載してきたことであり、以下の倉山満氏の動画でもこれについて言及しています。



上の動画で、倉山満氏は、異常極まる「消費増税」への世論工作について語っています。果たしてこれに、中国共産党の影を見ることは陰­謀論に過ぎなのかと疑問を呈しています?増税派の言論人もジャーナリストも、その「基本原則」を­無視した言論戦は、如何にも手段を選ばない彼の国の行動様式に合致するとしています。「次なる戦い­」に備える意味でも、保守派を名乗っていた買弁政治家の名前をしっかりと頭に刻み込み­、残されたチャンスに全力を投入していくことを宣言しています!

中国にとっては、安倍晋三総理大臣は、就任直前には、中国包囲網である「安全保障のダイヤモンド」構想を打ち出し、就任後は着々とこの構想を実現すべく世界各地を外遊し外堀を埋めさらには、包括的金融緩和で中国経済を混乱の巷に落とし込んだ、憎き輩です。

それまでの総理大臣とは全く異なるタイプであり、まともに中国に対抗するはじめての総理大臣です。そうして、第一次安倍内閣は崩壊したにもかかわらず、またまた、不死鳥のように第二次安倍内閣が復活しました。これは、中国では考えられないことでしょう。一度崩壊した体制がまた復活するなど中国ではあり得ません。こんなことからも、中国が安倍総理になみなみならぬ脅威を感じていることは確かです。

これは、中国にとってみれば、建国以来の最大の脅威であり、この脅威は何としても取り除かなければ、安閑としておられないでしょう。だから、倉山満氏も語っているように、全力で安倍政権を崩壊に導こうとありとあらゆる手を駆使していることは間違いありません。それも、どこの誰がやっているのか、わからないような形で巧妙に行なっているのは間違いないです。だから、倉山氏も動画の中で、中国崩壊とか、日本崩壊という状況にでもならない限り永遠に明るみに出ることはないとしています。

ということは、反増税派は直接であれ間接であれ、中国の操作を受けているということです。野党も、自民党の大部分も、マスコミもそうして、あの財務省もみなそうだということです。そうして、この動きはここ数ヶ月のものです。

金融緩和のときにも、野党、マスコミなど徹底した金融緩和阻止キャンペーンをしましたが、自民党内はそうでもありませんでした。そうしたところ、実際に日銀人事が行われ黒田体制ができあがり、4月より異次元包括緩和が行われ、ものの2,3ヶ月で、中国経済は混乱の巷と化しました。

これは、中国共産党の大失敗です。彼らも反省をし、日銀、財務省、野党、マスコミだけでなく、今回は自民党内部もありとあらゆる手をつかい、凋落したのだと思います。


まさに、安倍総理の身辺は、敵だらけで、四面楚歌の状況です。この状況を打ち破るには、やはり国民の世論を盛り上げるしかないと思います。世論を盛り上げるだけではなく、その世論をfacebook,tiwtter,mixi,Google+などで、大炎上するほど盛り上げていくことが必要不可欠になると思います。悪質な、中国主導による安倍下ろしを駆逐するためにも、私たち日本人は利害を乗り越えて、大同団結すべきとき思います。この団結には、マスコミ、野党、自民党は無理にしても、私たち国民は参加すべきものと思います。もう、中国に日本国内を引っ掻き回されるのはこりごりです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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