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2019年11月3日日曜日

中国共産党は「国際支配」求める、ポンペオ米国務長官―【私の論評】米国は中国による前代未聞の世界秩序への挑戦を阻止する(゚д゚)!

中国共産党は「国際支配」求める、ポンペオ米国務長官


香港(CNN) ポンペオ米国務長官は3日までに、中国共産党は「国際支配」を欲しており、外国諸国を自らの側へ引き込もうとする「世界的なキャンペーン」に着手したとの見方を表明した。

米ニューヨークのハドソン研究所での演説で述べた。増大する米中間の競争関係をめぐり今後数カ月間、複数回の演説を行う方針も示した。

長官はこれらの演説では「競合するイデオロギーと価値観が米国と世界に及ぼす影響力に言及する」とし、中国共産党は闘争と世界支配を狙うマルクス・レーニン主義の党であると強調。「我々は中国指導者の発言に注視する必要がある」とも主張した。

ただ、米国は中国を「戦略的な競争国家」と明瞭に位置付けながらも、「対立」は求めていないとも説明。「実際は反対のことを望んでおり、自国の国民や隣国の国民と平和な状態にある、繁栄する中国を目にしたい」と指摘。「自国民の非凡な才能が栄えることを許す自由化された中国を見てみたい」とも期待した。

ポンペオ長官の今回の発言に対し中国外務省の報道官は「悪意をもって中国を非難している」と反論。「米国の一握りの政治家が抱く根深い政治的偏見と反共産主義を十分に反映している」と反発した。

米中関係は過去2年間、貿易や香港情勢などを含めさまざまな分野で対立が目立っている。

【私の論評】米国は中国による前代未聞の世界秩序への挑戦を阻止する(゚д゚)!

中国では昨年6月22~23日に、外交政策に関する重要な会議である「中央外事工作会議」が開催されました。同会議は、これまで2006年と2014年の2回しか開催されたことがないです。

今回は、習近平(共産党総書記、国家主席)以下、中国共産党政治局常務委員7人全員、王岐山国家副主席、崔天凱駐米中国大使らが参加しており、会議の重要性が窺われます。

昨年6月22~23日に、開催された「中央外事工作会議」

会議で、習近平は、中国が今後のグローバル秩序の構築において主導的役割を果たすことを明確に打ち出す演説をしました。同年6月24日付け人民日報等が報じています。習近平の演説には、以下のような注目すべき内容が含まれていました。
・新時代の中国の特色ある社会主義外交思想を指導方針とする 
・グローバルな統治の刷新を主導、より完全なグローバルパートナー関係のネットワークを構築 
・中華民族復興と人類の発展を軸に、人類運命共同体の構築を推進 
・一帯一路構想、AIIB(アジアインフラ投資銀行)の推進 
・巧妙に策をめぐらし、安定した発展的な大国外交の新たな局面を開くよう努力 
・周辺国への外交工作をうまく行い、周辺の環境を中国に友好的で有利なものにする 
・国家の核心的利益と重大な利益を死守する 
・多くの途上国は、中国外交にとり天然の同盟軍である
これは、中国が既存の秩序に代わる国際秩序を構築するという宣言であると言えます。既存の秩序は、自由、民主主義、人権尊重、国際規範の遵守といった諸価値に基づくものです。

これに対し、習近平が演説で示す外交方針は、「社会主義外交思想」に基づくものであるということですから、既存の秩序とは大きく異なった、中国中心の秩序を目指すものと理解できます。

中国は、南シナ海問題への国際仲裁裁判所の判決を「紙くず」と評したような国です。また、「民族の復興」や「核心的利益」は、台湾の武力併合を含んでいます。そうした中国が目指す国際秩序に懸念を抱かざるを得ないです。

「人類運命共同体」は、重要なキーワードの一つです。これは、昨年3月の憲法改正で、新憲法にも盛り込まれた概念です。中国は「人類運命共同体」という言葉を精力的に国際社会に売り込もうとしています。

一昨年1月には、習近平はダボス会議と国連ジュネーブ本部で「人類運命共同体の構築」を謳った演説をしました。昨年3月には、中国の主導により、人権状況の批判に際して、地域の特性、歴史、文化、宗教などの背景に留意するよう求める「互恵協力決議」が、国連人権理事会で採択されましたが、同決議にも「人類運命共同体」の文言が含まれています。
「前進の道のりにおいて、われわれは平和発展の道を堅持、互恵ウィンウィンの開放戦略を遂行し、世界各国の人民と共に人類運命共同体の建設を推進していく」。
「人類運命共同体」の内容は、まだ、あまり具体的に示されているわけではないですが、相互尊重・平等な協議、相互理解、公正・公平、互恵、文明の多様性尊重、環境保護などが含まれているようです。

「文明の多様性尊重」は、一見もっともですが、「互恵協力決議」が示唆するように、自由、民主主義、人権尊重、国際規範の遵守を普遍的価値とみなす現行の国際秩序に注文をつけているとも解釈できます。

習近平は、一昨年の第19回党大会で「人類運命共同体」の説明として、冷戦思考の放棄、同盟の代わりにパートナーを組む、などのことも言っています。

これは、米国を中心とする同盟ネットワークへの対抗を意味するようです。なお、一昨年1月15日付けの人民日報は、人類運命共同体について「中華文明に根差した外交理念」と解説しています。華夷秩序を連想せざるを得ないような表現です。中国が目指す「人類運命共同体」の具体的内容が如何なるものになっていくのか、注視していく必要があります。

ちなみに「人類運命共同体」などの言葉最初にでてきたのは、2015年9月29日の人民日報のようです。人民日報は2015年9月28日に「中国国家主席習近平がニューヨークの国連本部で一般討論演説を行い、協力・ウィンウィンを核心とする新型の国際関係を構築し、人類運命共同体を築く必要性を強調した」と報道しています。

ただし、その頃は米国はオバマ政権であり、中国の危険な意図に脅威を抱くまでにはいかなかったようです。無論一部の人は、その頃から脅威に感じていましたが、大きな声にはなりませんでした。やはり、米国がこれを大きな脅威とみたのは、昨年の「中央外事工作会議」の後の習近平の演説によってです。これによって、米国では一気に超党派で中国に対峙しようという雰囲気が醸成されたようです。

先の中央外事工作会議における習近平の演説では、一帯一路、AIIBの推進とともに、「途上国は中国外交にとり天然の同盟軍」という表現も目を引きました。理念として「人類運命共同体」を掲げつつ、一帯一路やAIIBにより途上国を中国の影響下に置き、中国中心のグローバルガバナンスを目指すということであると推測できます。

中央外事工作会議に関しては、昨年もこのブロクで解説しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国がこれまでの国際秩序を塗り替えると表明―【私の論評】中華思想に突き動かされる中国に先進国は振り回されるべきではない(゚д゚)!

この記事は、2018年7月6日金曜日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に結論部分のみ引用します。
日本をはじめとした先進国は、様々な利害の衝突もありますが、それにしても中国による世界秩序に対して譲れない部分があるはずです。特に、民主化、経済と政治の分離、法治国家化という概念は、絶対に譲れないところでもあります。 
そうして、この部分が何が何でも譲るべきではありません。中国が、チベット、ウイグル、内蒙古、満州などの本来の外国の領土であるところを除く自国の本土のみで、中国の価値観を実現するのはある程度許容できるところもあるかもしれません。 
しかし、現在は19世紀ではなく、すでに21世紀です。現在に至るまで、古代の妄想を引き継いでいるのは、不合理だし、異様でもあります。 
そうして一帯一路やAIIBにより、他国にまで中華思想を押し付けるようなことが絶対あってはなりません。さらに、中国人民も中国の体制に虐げられることは本来防がなければならないはずです。 
やはり、先進国は、米国と協調して、中国の現体制を崩壊に向かわせるべく努力すべきです。特に、妄想ともいえる、中華思想は必ず打ち砕かなければなりません。
ポンペオ長官による"中国共産党は「国際支配」を欲している"という発言は、当然のことながら、習近平の「中国が既存の秩序に代わる国際秩序を構築するという宣言」を指しているものと思われます。

私は、中国が世界征服をしようとしているとまでは思いませんが、中国が自らにとって都合の良い新たな国債秩序をつくろうとしていることは明白であり、それを米国が排除しようとしているのは当然のことだと思います。

中国が新たな世界秩序をつくるということは、日本やEUなども含まれる、米国を頂点とする世界秩序を破壊して、中国による秩序を作り出すということであり、そんなことを中国の都合だけで実行されてはたまったものではありません。

演説するペンス副大統領

10月24日には、このブログにも掲載しましたが、ペンス米副大統領は「中国は人々の自由と権利を抑圧…結局は軍事だ」、対中強硬論を述べていましたが、今回のポンペオ長官の発言ともあわせて考えると、米国は中国による新たな世界秩序の構築を米国への挑戦と見据えて、これを阻止することを決断し、その意思には全く揺らぎがないことを宣言したと受け取るべきです。

そうして、この動きは、米国においては超党派の動きであり、すでに米国の固い意思となったと受け取るべきです。次の大統領がトランプ氏であろうが、誰であろうが、変わりません。

米中通商交渉等で一時妥協したようにみえることもあるかもしれませんが、もそれは一時の戦術的なものに過ぎず、戦略的には中国が現在の世界秩序にあわせて、自らを変えるか、それを中国が拒否するなら、世界秩序の変更に二度と挑戦できないくらいまで、中国経済ならびに軍事力が弱体化するまで、米国は対中国冷戦を継続するでしょう。

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2019年3月30日土曜日

緊迫する南シナ海:中国の進出阻止に本気の米国―【私の論評】本気の米国、南シナ海で比に攻撃あれば米が防衛するとポンペオ氏明言(゚д゚)!

緊迫する南シナ海:中国の進出阻止に本気の米国

米軍、中東のテロ対策から対中戦略へ本格シフト

南シナ海で軍事拠点化を進める中国に対し、米軍が対中政策により力を入れ始めている。

 3月19日、ハワイのフォート・シャフター陸軍基地で開かれた会議で、米太平洋軍司令官のロバート・ブラウン陸軍大将が中国に対抗するため、本土から数千から万単位の兵士をアジアに配備する用意があると述べたのだ。

米太平洋軍司令官のロバート・ブラウン陸軍大将

 「南シナ海で問題(有事)が起きた時には陸海空および海兵隊の兵力が協力し合って対処していくことになります」

 この発言が海軍大将ではなく陸軍大将から出たところに注目したい。

 中国が南シナ海で人工島を造成し、軍事基地化を進めている中で、ブラウン大将は陸軍の出動も念頭に入れているということだ。

 米軍準機関紙『星条旗新聞』によると、実際の有事になった時にはハワイ州、ワシントン州、アラスカ州などから陸軍兵士を短期間、アジアに配備することになるという。

 同大将は具体的な兵数を口にしていないが、準備を整えている。

 「誰も紛争を望んでいません。我々も望みませんが、有事の際にはどんなシナリオにも対応できる体制を整える必要があります」

 海洋でも最終的には陸軍の出動が必要になるとの見方だ。さらにブラウン大将は同会議で「最優先は中国です」と明言した。

 これは過去20年ほど、米軍が第一義として精力を注いできた中東でのテロリズムとの戦いから、対中政策へと戦略がシフトしてきたということでもある。

 特にイラクとアフガニスタンに派遣していた兵力を世界の別地域に向かわせる中で、中国がプライオリティーになったのだ。

B52戦略爆撃機


 今月に入ってから、米軍は南シナ海上空に「B52」戦略爆撃機を3回も飛行させている。

 「定例訓練」であるが、米軍はわざわざ公表する義務がない。しかし3回とも公式発表している。

 最初は3月4日で、2機が米領グアムのアンダーセン空軍基地を飛び立ち、1機は南シナ海上空を「定例訓練」し、もう1機は航空自衛隊と共同訓練をして帰還した。

 14日にも2機のB52戦略爆撃機が、さらに19日にも同様に2機を飛ばしている。

 米太平洋軍報道官は「米航空機は同盟国や友好国、さらに自由で開かれたインド・太平洋地域を守るために恒常的に同地域で作戦行動を行う」と述べて、南シナ海での中国の行動をけん制した。

 さらに米第7艦隊は11日、イージス駆逐艦「スプルーアンス」と「プレブル」を南シナ海に派遣。これは「航行の自由」作戦の一環で、今後も定期的に行っていく予定である。

 作戦の目的は中国が南沙(スプラトリー)諸島で過度な海洋進出をしていることへの「異議申し立てと国際法に準拠した航路を維持するため」だ。

 今月の米軍によるこうした動きを見ると、前述したブラウン大将の「陸海空および海兵隊の兵力が協力し合って対処する」プランは着実に前に進んでいるかにみえる。

 米軍のこうした行動に中国はすぐに反発。

 外務省報道官は米イージス駆逐艦の派遣直後、「米軍艦が中国の許可なく海域に進入したことは中国の主権を侵す行為」と嫌悪感を露わにした。

 さらに「米国は南シナ海で挑発し、緊張を生み出し、平和と安定を脅かしている」と挑発した。

 しかし中国こそが挑発を繰り返す平和と安定の破壊者であるとの見方は、米国では広く支持されている。

 首都ワシントンにある新アメリカ安全保障センターのイーリー・ラトナー副所長は、米国が南シナ海を含めたインド太平洋地域で効果的な防衛体制を維持することは中国の拡張をけん制する意味で重要であると説く。

 「米国の抑止力が同地域でなくなったら、台湾をはじめとする所地域に政治的不安定がもたらされることになる」

 いますぐに南シナ海で有事が勃発する可能性は低いが、文字どおり万難を排して準備しておく必要性は高い。

 ただやっかいなことは、中国は南沙諸島の人工島を軍事基地だけでなく非軍事基地としても使用する意図がある点だ。

 民生基地としての併用であれば、米軍は民間人をむやみに殺傷できないとの思惑がある。

 南シナ海は地政学的に重要な場所であると同時に、海洋資源の宝庫であることは広く知られている。

 中国の貿易額の64%の貨物は南シナ海を通過しているし、南シナ海経由の原油のうち23%は日本にも来ている。

 海洋資源という点に目を向けると、原油と天然ガスの埋蔵量が豊富である。

 米エネルギー情報局(EIA)の調査によると、原油の未発見埋蔵量は112億バレル。ところが中国政府が見積もる埋蔵量はさらに多い。

 中国海洋石油総公司が算出した埋蔵量は、EIAの10倍以上にあたる1250億バレルに達する。

 また天然ガスの埋蔵量はEIAの調査では190兆立方フィート。一方の中国海洋石油総公司の見積もりは500兆立方フィートで、やはり中国の方が2倍以上も多い。

 埋蔵量を正確に算出することは難しいが、大量の天然資源が埋もれているとことは間違いない。

 世界の他地域と比較しても、原油と天然ガスは中東、ロシアの埋蔵量にはかなわないが、天然資源の宝庫と呼んで差し支えない。

 中国政府がそれを狙わないわけがない。地政学的、資源的、軍事的に南シナ海を内海したいとの野心は強まる一方なのだ。

 米専門家からは、南シナ海が「中国のクリミア半島」になりつつあると危惧が聞こえてくる。

 ロシアが2014年、力ずくでクリミア半島を併合した手法を中国は手本にしているとの見方だ。

 中国による明らかな国際法違反を、米国だけでなく関係国がともに異議として唱えると同時に、圧力を加えていく必要がある。

 前出のブラウン陸軍大将は「すべての領域でいいポジショニングを得るために、陸軍が果たす役割もある」と、米軍はすでに普段から南シナ海を眺め、陸海空および海兵隊が総合的に対中国戦略を練っていることを示唆した。
【私の論評】本気の米国、南シナ海で比に攻撃あれば米が防衛するとポンペオ氏明言(゚д゚)!


フィリピン・マニラで同国のテオドロ・ロクシン外相(左)と握手するマイク・ポンペオ米国務長官

以前のこのブログでも掲載したように、南シナ海に関しては、ポンペオ米国務長官も最近重大な発言を行っています。これも、南シナ海への中国の進出阻止に本気の米国の姿勢を示すものです。

ポンペオ米国務長官は、中国の南シナ海への覇権拡張をけん制するために、南シナ海におけるフィリピン軍等への攻撃が米比相互防衛条約の対象になると明言し、以下のように述べました。
島国としてフィリピンは、自由な海洋へのアクセスに依存している。南シナ海における中国の人工島建設と軍事活動は、米国だけでなく貴国の主権、安全、したがって経済的活動に脅威を与えている。南シナ海は太平洋の一部をなしているので、同海域におけるフィリピンの軍、航空機、公船に対する如何なる攻撃も、米比相互防衛条約第4条の相互防衛義務発動の引き金となる。
この発言は3月1日、訪問先のフィリピンでドゥテルテ大統領、ロクシン外相と会談、同外相との共同記者会見において行われたものです。

2017年末に発表された国家安全保障戦略(NSS)、2018年の8月に成立した国防権限法でもフィリピンや台湾防衛の強化が謳われており、既定路線だったと言えます。また昨年のマイク・ペンス副大統領の東アジア首脳会議(EAS)で、「中国による南シナ海の軍事化と領土拡張は違法で危険だ」との発言を一層具体化するものとなりました。

なぜポンペオ氏はこうした発言をしたのでしょうか。

米比相互防衛条約第4条では、「各締約国が太平洋地域におけるいずれか一方の締約国に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の手続きに従って、共通の危険に対処するように行動することを宣言する」と規定しています。

これまでは南シナ海が「太平洋地域」に入るのかどうかが不明であったため、「南シナ海は太平洋の一部である」と発言することで、その曖昧さを払拭したのです。これによって、以前もこのブログで掲載したように、南シナ海問題、米国とフィリピンの「温度差」を解消しようとしているのでしょう。

米国の政府高官がこうした発言をしたのは数十年ぶりです。オバマ政権下では、同種の規定のある日米安保条約が尖閣に対して適用されるという宣言があった一方で、米比相互防衛条約の適用は注意深く避けられてきました。つまり中国が着々と南シナ海において、人工島を造り、軍事基地化していた時期にこのような発言はなかったため、フィリピンの米国に対する不信は募っていました。

もし、米国が日本に与えたのと同じような確証を私達にも与えてくれるなら、フィリピンは米国に頼ることができ、ドゥテルテ大統領は、中国に対して独自の外交政策を進めようとは思わなかったでしょう。

しかし、フィリピンはすでに、2つの島を失っています。その時米国は、フィリピンを助けに行きませんでした。米国は、国際法のもとで解決されると考えており、領土問題でフィリピンの味方はしませんでした。

中国に対して独自の外交政策をすすめてきたドゥテルテ大統領

一方、米国が4条の適用を宣言してこなかったのは、その適用を宣言すれば、アメリカが望まない戦争に巻き込まれる危険や、中国がアメリカの「レッドライン」を試す可能性が高まるからです。

それにもかかわらず、米比相互防衛条約の適用を宣言したのは、着々と進む南シナ海の中国の内海化の動きです。

中国は、東シナ海、南シナ海を聖域化していく方針で、中国は2010年代半ばに南シナ海を「核心的利益」と呼び、戦争をも辞さないという姿勢を示しています。

この方針は、1989年から1997年まで中国共産党中央軍事委員会副主席であり、人民解放軍海軍の司令官であった劉華清氏(1916~2011)によって出されたものです。

劉氏は、中国の軍隊が陸軍中心に編成されていることに不満を持ち、近代的な海軍を保有するよう主張。中国は1992年に「領海法」を施行し、海洋での資源や戦略拠点といった海洋権益の確保が、中国の安全保障にとって死活的に重要だと規定しました。

その中で中国は、東シナ海、南シナ海、南沙諸島を自国の領土だと一方的に宣言しています。つまり第一列島線から南シナ海を中国の内海として支配することを決めたのです。

中国は南シナ海を中国原潜の聖域にすることを狙っている

中国はすでに西沙諸島や南沙諸島において岩礁等を埋め立てて人工島を造り、軍事基地化しています。さらにフィリピンの隣に位置するスカボロー礁の埋め立てを完成すれば、戦略的トライアングルができ、南シナ海の内海化が完成します。

南シナ海は水深が深いため、ここに中国の原子力潜水艦が潜み、海南島の三亜海軍基地から南シナ海を通り、バシー海峡から太平洋に出ていくことができれば、アメリカ本土に核弾頭を打ち込むことができるようになります。

つまり米国に王手を打つことができるわけです。それは、米国が世界の警察官から撤退することを意味し、日本がアメリカの核の傘を失う時でもあるのです。

米比相互条約の適用について、「取引(deal)」が得意なトランプ大統領も、何のディールも持ち出していません。フィリピン防衛の表明は、アメリカは「覇権から降りない」という意志の表明そのものでもあるためでしょう。


南シナ海は、日本に輸送される石油の9割がこの海域を通過するなど、日本にとっても生命線ともいえる海域です。

この海域を護るために、日本は現在2つのことをしています。1つは、フィリピンやベトナムといった沿岸国に教育訓練を施したり、防衛装備を供与したりすることであり、もう1つは、南シナ海で潜水艦が訓練し港に寄港するなど、訓練と寄港で「中国の自由にさせない」というプレゼンスを示しています。

しかし、南シナ海に戦力を投じれば、東シナ海が手薄になるため、いずもを空母化したり、シーパワーを増やしていかないと、これ以上のことはできないでしょう。

政治とは未来を変えるために現在意思決定をすることです。海軍力の増強には時間がかかるため、日本も海軍力の増強に本腰を入れるとともに、米、英、仏とともに海洋の自由を守ることが不可欠となってきています。

このような準備をすすめる一方で、現在米国が行っている対中国冷戦も大きな意味を持ちます。これによって、中国共産党一党支配をやめ、中国が民主化、政治と経済の分離、法治国家し体制を変えるならば、新中国は国際法を遵守することになり、問題は解決します。

もし、中国が体制を変えないというなら、経済冷戦をさらに強め、米国のみならず世界の先進国がこれに協力し、中国経済を弱体化させ、その後自滅を待つか、軍事的に弱体化したとき、米国およびその他同盟国は、南シナ海の海域で何らかの軍事行動を起こすことになるでしょう。

中国は、現在の体制と、南シナ海の軍事基地をなんとしても守り抜くことになるでしょうから、米国は中国が他国に影響力を行使できなくなるくらいまで、経済を弱体化させ、軍事行動にでることになるでしょう。それは、いますぐということではなく、はやくても10年後くらいになることでしょう。

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2018年12月14日金曜日

中国の世界制覇を阻止するために日本がやるべきこと――Huawei事件を巡って―【私の論評】日本は必ずファーウェイをぶっ潰せ(゚д゚)!

中国の世界制覇を阻止するために日本がやるべきこと――Huawei事件を巡って

遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)


HUAWEIのコンパニオン

中国は国家戦略「中国製造2025」によりアメリカを凌駕して世界制覇を狙っている。それを阻止するために日本は何を成すべきか。事実に基づかない推測の拡散も、中途半端な追及も、結果的には中国に利する。

追い込まれて強くなってきた中国

12月11日のコラム「習近平の狙いは月面軍事基地――世界で初めて月の裏側」に書いたように、中国が宇宙開発でアメリカを追い抜こうとしている。

それを可能ならしめたのは、西側諸国が運営する国際宇宙ステーションから中国が除外されていたからだ。中国は復讐心を燃やした。

中国が核大国になってしまったのも、朝鮮戦争の後半、アメリカが「中国に原爆を落とす」ことを示唆したために、日本への原爆投下でその威力と恐ろしさを思い知った毛沢東が、恐怖に駆られて何が何でもと、原爆開発に執念を燃やし成功させてしまった。

このように、「中国に対して、いかなる圧力を、どのような形で加えるか」によって、中国が逆に成長してしまうケースがあることを肝に銘じなければならない。その因果関係に基づいて、長期的で緻密な分析が不可欠となる。

言論弾圧をする国家が、人類を、そして宇宙までをも制覇したら、どれほど恐ろしいことが起きるか。それを阻止するために何ができるかを考えてみたい。

典型的な懐疑的報道

最近、某チャイナ・ウォッチャーが、以下のように書いているのを発見した。

――ファーウェイの発展と解放軍や国家安全部の関与は疑う余地がない。ファーウェイは民間企業ではあるが、解放軍から無償で技術提供を受けることで発展、資金も解放軍筋から流れているとみられている。また任正非自身、ファーウェイを創立する前に国家安全部で任務に就いていた経歴があったといわれている。ファーウェイと解放軍は長期合作プロジェクトをいくつも調印しており、中国の軍事技術開発を目的に創られた企業といっても過言ではない。

このように書けば、もっともらしい。しかし、ここにはいくつもの虚偽的要素が入っている。

疑問1:任正非が「国家安全部」で働いていた、と書いているが、国家安全部が誕生したのは1983年。任正非が解放軍をリストラされたのも1983年。解雇された後、まるで島流しのように深センにある南海石油後方勤務サービス基地に配属された。したがって、任正非が「国家安全部で任務に就いていた」というのは成立しない。南海石油ではさまざまな問題も起こしているので、調べればすぐに分る。

疑問2:中国人民解放軍から資金が流れていたと書いてあるが、トウ小平があまりの軍資金難から100万人もの解放軍のリストラを断行したのは1985年のことである。リストラされて収入の道を断たれた「元兵隊崩れ」たちは路頭に迷い、解雇された者同士が周りから借金などして掻き集めたお金が2万1000元。日本円で30万程度だ。当時は何百万社という小企業が、雨後の竹の子のように生まれては消えていった。こんな明日をも知れぬ小さな会社に「軍が投資する」などということがあり得るだろうか。特に軍資金がなくて軍が困っている時期だ。電子通信の知識もなく、ただ香港の会社が生産するPBX(電話の構内交換機)を代理販売する極貧企業に資金を投入する意義もゆとりも軍にはなかっただろう。特に土木建築が専門だった任正非にはセールス能力はあっても、軍事技術開発をする能力はない。

疑問3:中国は1992年に軍が付設の企業を持つことも軍資金を他社に出すことも禁止した。なかなか徹底はしなかったが、習近平政権に入ってからは、軍が商売をすると金儲けによって強大化するのを恐れたために、非常に厳しく取り締まり始めた。逆に2015年に「軍民融合」を唱えることによって解放軍の設備調達担当は、民間企業に公けに入札を呼びかけるようになった。そのウェブサイトを示す。

日本の自衛隊でも、たとえば洗面台を自衛隊で製造したりなどしないで、TOTOなどの業者から購入し、エアコンなども自衛隊内で製造しないで、日本の某業者から購入するのと同じである。入札させてから落札させるのは、普通のことだ。

中国人民解放軍の入札に応募するのは、毎回3000社ほどあるので、その中に華為(Huawei)が入っているときがあっても不思議ではない。

日本人の耳目に心地よく響くような虚偽の情報を流して印象操作をすることが、やがてどれだけ罪深い結果を国家にもたらすか、熟慮すべきだろう。

中国を叩くなら証拠を出して徹底的に!

中国を叩くなら証拠を出して徹底的に叩かなければならない。中途半端な追い込みは中国を強化させるだけだということを、冒頭に書いた戦後の歴史が証明している。

もし華為が情報を抜き取るスパイ行為をしているというのなら、どんなことがあっても、その証拠を公表して、徹底的に中国製品を日本から排除しなければならない。

日本の政府関係者や自衛隊のみが使用を控えるのではなく、日本の全国民のセキュリティを守るために、一切輸入してはならないし、日本に支社を置くことも禁止すべきなのである。民間会社にも個人にもプライバシーはある。

スパイ行為などをしている企業であるならば、いくら民営でも、中国国内の若者たちも、さすがに離れていくだろう。スパイ行為がライバルを追い落とすためのビジネス上のことでなく、それを中国政府に渡すようなことをしているのであるなら、中国の若者も、必ず華為から離れていく。

となれば華為の経営は傾くので、その頭脳であるハイシリコンが生産した半導体を、中国政府系列に販売するしか道は無くなるだろう。中国政府が直接投資している国有企業は、どんなに投資しても利益を大きく上げてはいないから、華為もそこそこの企業に成り果てるにちがいない。このケースの場合は、「中国製造2025」は達成できなくなる。

しかし確たる証拠なしに、デマ情報に基づいて行動すれば、中国の若者はさらに熱狂的に華為を支持し、習近平は「中国製造2025」を成し遂げることに成功してしまう。但しこの場合は、華為とZTEの30年戦争を解決するために、華為がZTEを吸収合併する以外に選択肢はないだろう。

アメリカも中途半端だ

アメリカが華為の孟晩舟を逮捕させたのは、たかだか「イランとの交易をしていたことに関して嘘の供述をした」ということではないか。嘘の供述なら、トランプ大統領も数多くしているとアメリカでは指摘されているし、中国はアメリカによる独自のイラン制裁を認めてはいない。国連でイラン核合意が決議されたのに、トランプ政権が勝手に離脱したのだから、トランプ政権の方が国際ルールを逸脱していると中国は非難している。「我が家のルール」を「他人の家に強制するな」というのが、中国の言い分だ。

このような、言い逃れができる理由で逮捕したりせずに、情報を抜き取っているという証拠があるなら、それを直接突き付けるべきで、追い込むなら徹底して追い込まなければならない。アメリカは中途半端な逮捕や妥協をせずに、引き渡しを要求して司法において「情報抜き取りなどのスパイ行為があったか否か」を明らかにし、あったとすれば、それを公けにしなければならない。そうすれば中国は「中国製造2025」の達成が困難になる。

中国にエールを送っている安倍政権

こんな中国に「協力を強化する」と誓ったのは安倍首相だ。それが、どれだけ中国を利するかを考えるべきだろう。安倍政権は困窮した習近平に救いの手を差し伸べ、中国の世界制覇という野望の実現を、より可能にさせているのである。

日本政府の与党関係者が華為のスマホを分解したところ、「ハードウェアに"余計なもの"が見つかった」と言っている。本当なら、一刻も早く、その「余計なもの」が何であるかを公表すべきではないだろうか。簡単なはずだ。

上述のチャイナ・ウォッチャーの記述にしても、真実ではない推測により中国を批難すれば、中国の若者たちまでが中国政府を応援するようになる。逆効果だ。

「余計なもの」も、公開して突き付けなければ、中国は結束を固めて、現状を強行突破していくだろう。

動かぬ証拠をキチッと突き付けて、いかなる言い逃れもできないようにしなければならない。企業名さえ明言できないようなやり方では、中国をますます思いあがらせて、習近平は「中国製造2025」をやり遂げてしまうにちがいない。言論弾圧をする中国に世界制覇をさせてはならない。玉虫色でなく、そして日中友好などと中途半端なことを言わずに、日本国民を守るために証拠を突き付けて、中国の通信機器を全て日本から駆逐する以外にない。

追記:昨夜、某報道番組で某アメリカ人が「ファーウェイの通信機器を使っていたら、夜中に突如、大量のデーターを勝手に送信し始めた」という趣旨の話をしていたという報道をしていた(パソコンを打ちながら聞いていたので、一言一句正確なわけではない)。スパイ映画ではあるまいし、「夜中」という前提を持ち込むなど、いかにも素人的発想の証言だ。スパイ行動をやるなら通信量の多い時間帯に紛れ込ませるだろうし、データを送信すれば、その痕跡がパソコン上に残ることは素人でも分かる話だ。この証言が本当ならそのログを証拠として提出すべきだ。もっともデータはプロトコルを通して送信され、Huaweiの手元に直接はワープしないが。

[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』(2018年12月22日出版)、『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』(中英文版も)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など多数。

【私の論評】日本は必ずファーウェイをぶっ潰せ(゚д゚)!

ブログ冒頭の遠藤誉氏の記事、正論を言っているように見えながら、中国にとってかなり有利になりそうなことを語っています。

なぜ、遠藤氏のやり方では、中国に有利になるのか以下に述べます。それについては、以前のブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
米国に桁外れサイバー攻撃、やはり中国の犯行だった―【私の論評】サイバー反撃も辞さないトランプ政権の本気度(゚д゚)!
中国は米国政府職員の個人情報を大量に不正入手していた(写真はイメージ)
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から一部を引用します。
そもそもサイバー攻撃は、それが行われた事実を具体的かつ決定的に証明するのが難しいです。真実はどうであれ、中国は自らの関与を否定することができるのです。また、米国が公の場で中国の責任を問い詰めるためには、自国政府の機密やサイバー上の能力を露呈しなければならなくなります。その犠牲を払ってまでアメリカが中国を責めたてるとは考えられないです。
であれば、最も有効な方法は、米国から中国に対する報復のサイバー攻撃です。近いうちに、トランプ大統領から具体的に中国に対するサイバー攻撃が公表されるかもしれません。具体的に中国が何をし、それに対して米国がどのような報復をしたかを公表するかもしれません。
サイバー攻撃自体については、興味のある方は、以下の記事を参照してください。ここでは、あまり詳しくは解説しません。
サイバー攻撃とは?その種類・事例・対策を把握しよう

この記事は12月14日付けのものであり、内容は現時点で最新のものです。

さて、サイバー攻撃等は、それが行われた事実を具体的かつ決定的に証明するのが難しいとされています。サイバー攻撃を仕掛けた側は、それを否定するのは比較的簡単ですが、攻撃を受けた側がそれを証明するのは難しいし、公の場で中国の責任を問い詰めるためには、自国政府の機密やサイバー上の能力を露呈しなければならなくなります。

もし華為が情報を抜き取るスパイ行為をしているというのなら、どんなことがあっても、その証拠を公表して、徹底的に中国製品を日本から排除しなけいとか、動かぬ証拠をキチッと突き付けて、いかなる言い逃れもできないようにするなどのことは、自らをかなり危険にさらすことになりかねません。

公の場所で、HUWEIを追い詰めたりすれば、自国政府の機密や、サイバー上の能力を露呈しなければならなくなります。HuWEIが情報を盗んでいた場合、どこまでこちら側がわかっているのか、わからない部分はあるのかなどを相手にわざわざ漏洩することになりかねません。

であれば、日本側としては、ファーウェイは政府関係や民間であっても機密情報を扱う部署などでは、絶対に使わないというのがまずは、正しいやり方であると考えられます。

そうしておいて、中国がHUAWEIを用いて、サイバー攻撃をしようとしたり、情報を盗み出そうとした場合それを阻止したり、逆にこちら側が報復の攻撃を加えたりするのが、最も良い対応であると考えられます。

さて、Huwai対処については、日本がかなり有利な部分もあります。それは、Huwaiがほとんど日本製の部品で組み立てられているということです。

ファーウェイ製品に搭載される新しいテクノロジーのかなりの部分は、日本からのものです。カメラセンサーはソニー製、液晶パネルはJDI製です。時計などのスマートデバイスの中にも、日本の部品が多く使われています。Made in Japanと言えるくらい、日本の部品を搭載しています。

本メーカーのブランドはグローバルから消えつつありますが、ファーウェイはグローバルに展開しています。ファーウェイは日本の部品を搭載した製品を、グローバルに売っているのです。

さらに、今後ファーウェイは「インテリジェンス」が重要になるとしています。そこで、AI(人工知能)に特化したチップを内蔵するスマートフォン用SoCを、他社に先駆けて導入すると明言しています。ファーウェイは半導体メーカーのHiSiliconを傘下に収めており、ここから近くAIに特化したスマートフォン用SoCが登場することが予想されます。



さらに、5Gで通信を高速化し、カメラも引き続き改良するとしたうえで「S社(サムスン)やA社(アップル)のはるか上をいく製品を投入することが、将来の成功に繋がったかもしれません。

しかし、このようなファーウェイに対して、日本のメーカーは一切部品を提供しなければ良いのです。

既にファーウェイに関しては、2012年に国家安全保障上の問題があると議会に報告書が出されていたのですが、オバマ政権だったのであまり騒がれませんでした。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30129410U8A500C1000000/

ファーエィとZTEのスマホにはバックドアがついており、米軍兵士の情報が抜き取られていました。兵士を通じて部隊の動向を追跡したり、通信を盗聴することが可能となっていました。日本で販売されているものも同じ機能がついたものです。

今年の2月にはFBI、CIA、NSAのトップ6人が上院情報委員会で「両社の製品やサービスを利用すべきではない」と報告しています。

トランプ政権になってからは、中国のこういう姿勢に不信感を抱き、トランプ大統領は中国との対立を鮮明にしています。

「安いスマホが使えなくなった」と嘆いているのは、日本の脳天気な人達だけかもしれません。

すでに、ZTEには米国からの、チップの輸出が禁止されているため、事実上倒産状態に何っています。現在は国有化されています。この先HUAWEIに対しても日本などからの、チップの輸出禁止がされることになるでしょう。
そうなると、中国のスマホ看板企業である2社が痛手を受けることになるでしょう。

中国では、共産党一党独裁で企業は民間だと思っている日本人も多いようですが実態は殆どが国営企業です。

つまり、企業間の取引であってもそれは、中国共産党というヤクザ極道組織が後ろにいると認識する必要があるのです。

中国人は日本人と比較すればはるかに、好戦的です。そんな人達が1億人も集まって出来ているのが、中国共産党です。中国企業をやっている人も、そういう人達が集まっていると認識する必要がある。

はっきりいえば、とても恐ろしく、大方の日本にとっては脅威であるにもかかわらず、そういう危機感を国会議員をはじめ経済人にもあまり感じません。対中国取引は、本当は素人がヤクザと取引するような感覚というのが正しいです。

米国政府や米軍が警戒しているように日本も、もっと警戒する必要があります。日本人はなぜ?こうも中国人に対して寛容なのか、私には全く理解出来ません。

まずは、日本企業は、ファーウェイには部品を供給しないことにし、その息の根を絶つべきです。

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2018年8月12日日曜日

洋上での裏取引…北の「瀬取り」阻止へ極東監視 英海軍揚陸艦「アルビオン」 ―【私の論評】覇権・侵略国家中国を囲い込み追い詰める、日米英三国同盟(゚д゚)!

洋上での裏取引…北の「瀬取り」阻止へ極東監視 英海軍揚陸艦「アルビオン」 


晴海埠頭に入稿した英海軍揚陸艦「アルビオン」写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 英海軍揚陸艦「アルビオン」が3日、東京・晴海埠頭(ふとう)に入港した。国民的アニメ「機動戦士ガンダム」シリーズに、同名の強襲揚陸艦が登場することから、駐日英国大使館は「ガンダム0083は搭載していませんが、たくさんの皆さんのお越しをお待ちしています」とツイートし、話題を集めた。その効果もあってか、4、5日に行われた一般公開には約6000人が見学に訪れた。

 今春から、英国海軍は極東地域で大規模な活動を行っている。

 米海軍横須賀基地に4月11日、英海軍フリゲート艦「サザーランド」が入港した。同月27、28日の2日間にわたり、海上自衛隊と共同訓練を実施している。「アルビオン」もこれに続き、5月から極東展開し、任務の合間に、沖縄や横須賀、そして晴海に寄港している。

4月11 日米海軍横須賀基地に入港した英海軍フリゲート艦「サザーランド」

 英国海軍遠征の目的は「北朝鮮に対する経済制裁の実効性を強める」ことにある。

 国連安保理事会は、北朝鮮が「核・ミサイル開発」を行えないよう、根本となる資金を断つことを決めた。これで表の貿易はできなくなったが、洋上で貨物船などと合流し、燃料などを受け取る裏取引「瀬取り」を行っている。違法取引の中には、武器に転用できる物品が含まれている疑惑すらある。

 そこで、日本と米国、英国、オーストラリア、カナダは、監視活動を強化している。日本政府は今年に入り、4件の「瀬取り」の事例を公表したが、実際は何十倍もの取引が行われている。

 中国・上海の東方約250キロの場所に、「瀬取り銀座」と呼ばれる海域があったが、監視の目が厳しくなったため、分散してしまった。

 ドナルド・トランプ米政権は、6月の米朝首脳会談後、話し合いを重視する立場をとった。北朝鮮の不法行為に対し、強硬な対応を取れない事情もある。

 そこで、英国海軍がイニシアチブを取ろうとしている。フリゲート艦「アーガイル」も加えた3隻体制で、極東地域をパトロールしている。

 英海軍が数ある保有艦艇の中から、「アルビオン」を派遣してきた意味も大きい。

 多数の装甲車や最大約700人もの海兵隊などを輸送できる。水陸両用戦を得意とする揚陸艦が極東エリアを動き回ることは、中国にとっても面白くない。今月中には、陸上自衛隊と島嶼(とうしょ)防衛訓練を実施する計画もある。

 昨年より日英防衛協力は確実に進んでいる。今後は、新世代戦闘機や空対空ミサイルJNAAMの開発などを、日英が協力していく方針だ。

英国の航空母艦HMSクイーン・エリザベス号(手前)

 2020年までには、英空母「クイーン・エリザベス」の太平洋展開も予定されている。そのころまでには、日英防衛協力体制はさらに深化していることだろう。

 ■菊池雅之(きくち・まさゆき) フォトジャーナリスト。1975年、東京都生まれ。講談社フライデー編集部を経てフリーに。陸海空自衛隊だけでなく、米軍やNATO軍、アジア各国の軍事情勢を取材する。著書に『自衛隊の戦力-各国との比較』(メディアックス)、『陸自男子-リクメン』(コスミック出版)など。

【私の論評】覇権・侵略国家中国を囲い込み追い詰める、日米英三国同盟(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にある、英海軍揚陸艦「アルビオン」の日本への寄港は、新日英同盟の復活を象徴するものだといえます。

現代の世界は第一次世界大戦前と酷似しているという英国の歴史家は多いです。大国が衰退を始め、それに乗じて別の国家が膨張し、混沌(こんとん)と不確実性が世界中に蔓延しています。

欧州では統合を率いてきた英国がEU(欧州連合)からの離脱を決めました。ロシアはウクライナ領のクリミアを事実上併合、第二次世界大戦後初めて中東に軍事介入し、バルト海では軍の活動を活発化させています。

一方、アジアでは中国が南シナ海の島々に軍を駐屯させ、空母の建造を推進、太平洋の西部にまで海軍を展開させ、海のシルクロード構想のもと海洋進出を着々と進めています。

そして、米国のオバマ前政権は、世界の警察官としての座から退くことを表明、海外の紛争に関わることに消極的になっていました。

こうした時代にあって、最も重要なことは同盟の相手を増やし、安全保障の傘を大きく広げることです。19世紀の英国の著名な政治家であり、2回にわたって首相を務めたヘンリー・ジョン・テンプルは1848年、英国下院での演説の中で、「英国には永遠の味方もいなければ、永遠の敵もいない。あるのは永遠の利益だけだ」と述べました。

混沌とした時代の中で国家が生き抜くためには敵と味方を峻別(しゅんべつ)し、堅固な戦略的自律を維持することだとテンプルは説いたのです。

そして、その言葉は現代の日本に対して同盟関係の再編を宿題として提起しています。

2017年8月30日、英国のテリーザ・メイ首相が日本を訪問しました。アジア諸国の歴訪でもなく、メイ首相はただ日本の安倍晋三首相らと会談するためにだけ、日本にまで出向いて来たのです。その目的は、英国と日本の安全保障協力を新たな段階に押し上げることにありました。

安倍総理と日本を訪問したメイ首相(右)  訪日のためだけにユーラシアを
越えるほど、メイ英首相にとって日本との安全保障協力は重要だ

 英国は1968年、英軍のスエズ運河以東からの撤退を表明しました。以来、英国はグローバルパワー(世界国家)の座から退き、欧州の安全保障にだけ注力してきました。

ところが、その英国は今、EUからの離脱を決め、かつてのようなグローバルパワーへの返り咲きを目指しています。そして、そのために欠かせないのが、アジアのパートナー、日本の存在です。日本と英国は第二次世界大戦前後の不幸な時期を除いて、日本の明治維新から現代に至るまで最も親しい関係を続けてきました。

日本の安倍首相とメイ首相は「安全保障協力に関する日英共同宣言」を発表し、その中で、「日英間の安全保障協力の包括的な強化を通じ、われわれのグローバルな安全保障上のパートナーシップを次の段階へと引き上げる……」と述べ、日英関係をパートナーの段階から同盟の関係に発展させることを宣言しました。

そして、「日本の国際協調主義に基づく『積極的平和主義』の政策と英国の『グローバルな英国』というビジョンにより」と述べ、英国がグローバルパワーとして、日本との同盟関係を活用して、インド太平洋地域の安定に関与していく方針を明確にしました。

この方針は、2017年12月にロンドンで開催された日英の外務・防衛担当閣僚会議、通称2プラス2に引き継がれ、両国間で詳細に協議されました。協議の後に発表された共同声明によれば、日英両国はインド太平洋地域の安定のため、英国が近く配備する予定の最新型空母をこの地域に展開させることや、北朝鮮の脅威に対して協調して対処すること、自衛隊と英軍との共同演習を定例化し、部隊間の交流を深めていくこと、さらに、将来型の戦闘機の共同研究を進めることなど23項目について合意しました。

昨年末にロンドンで開催された日英の外務・防衛担当閣僚会議

河野太郎外相は会談後の記者会見で、「英国がスエズの東に戻ってくることを大いに歓迎する」と述べ、英国のグローバルパワーへの復帰を強く促したのである。

このように2017年は日英の安全保障関係がパートナーの関係から同盟国の段階へと劇的に進展した年となりました。日英が互いを「同盟国」と公式に呼び合ったのは、1923年に日英同盟が解消して以来、おそらく初めてのことでしょう。

ただ、多くの人にとっては日英関係が突然接近したかのように思えたことでしょうが、実はかなり以前から日英の安全保障面での接近は始まっていました。

例えば、英国政府と関係の深いシンクタンク、英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)は2012年1月、日英安全保障協力を側面支援するため、東京にアジア本部を開設し、活動を始めました。

そして13年10月、英国からエリザベス女王の次男であるアンドルー王子を招聘(しょうへい)して、東京で初めての日英安全保障会議を開催しました。この会議には日本から安倍首相が参加し、日本が英国との安全保障協力を強化していく方針を表明しました。この日英安全保障会議は、以後、ロンドンと東京で定期的に開催されています。

また、歴史的につながりの深い海上自衛隊と英海軍は、先達(せんだつ)を務めるように日英の部隊間の交流を活発化させました。15年2月、横須賀の海上自衛隊自衛艦隊司令部に英海軍から連絡将校が派遣され、常駐するようになりました。

英海軍から連絡将校が派遣されるのはかつての日英同盟解消以来、初めてのことでした。また、ソマリア沖で、海賊対策の任務に当たっている多国籍の海軍部隊、第151統合任務部隊(CTF−151)の司令官に海上自衛隊の海将補が着任するときは、慣例のように英海軍から補佐役として参謀長が派遣されるようになりました。

この動きは16年から一気に加速しました。10月、英空軍の戦闘機、ユーロファイターの部隊が日本の三沢基地に飛来し、航空自衛隊と共同訓練を行いました。米国以外の空軍戦闘機の部隊が、日本本土に展開して、自衛隊と共同訓練を実施したのはこれが初めてでした。

同じ時期、陸上自衛隊富士学校のレンジャーが英国のウェールズの基地で、英陸軍や米海兵隊の部隊といっしょに偵察活動の共同訓練を実施しました。17年5月には、陸上自衛隊、英陸軍、米海兵隊、それにフランス海軍が参加した日米英仏の共同演習も初めて実施されました。多国籍の演習ではありましたが主導しているのは日英でした。

三沢基地から飛び立つ英空軍のユーロファイター。手前は航空自衛隊のF2

そして、18年、英国陸軍の部隊が日本の富士山麓の自衛隊演習場に派遣され、陸上自衛隊との初めての共同演習を行うことや、海上自衛隊と英海軍の対潜水艦共同演習も予定されています。

一方、こうした部隊間の交流を進めるための法整備も順調に進められ、17年1月、日英の部隊同士で互いの補給物資を融通し合う物品役務相互提供協定(ACSA)が結ばれたほか、部隊が相手国を訪問する際の法的地位を定めた訪問部隊地位協定(VFA)の締結についても現在、日英間で作業が進んでいます。

このように急ピッチで進む日英協力ですが、「復活」とは言っても、厳密に言えば、かつての旧日英同盟とはその目的も構造もまるで違います。21世紀の世界にふさわしい新しいタイプのものです。

旧日英同盟はユーラシアのランドパワー(内陸国家)であるロシアが領域外に拡大しようとするのを、シーパワー(海洋国家)である英国と日本が連帯してこれを阻止しようとする軍事同盟でした。1902年に最初の条約が調印され、その後2回、条約が更新され、23年に解消されるまで、20年余りにわたって続きました。

当時の日本はロシア牽制のため、大陸への進出を果たしたいと考えており、ロシアが満州に関心を示していることを警戒していました。他方、英国もロシアが中国や中東地域へ進出を図ろうとしていることを警戒していました。

しかし、当時の英国は南アフリカでの戦争に注力しており、アジアに力を注ぐ余裕がなかったため、新興国だった日本の力を借りる必要があったのです。それは、日本にとって国際社会での日本の地位を高めるという効果が期待されましたし、事実、そのようになりました。

04年に起きた日露戦争で日本が勝利すると、日本は史上初めて欧州を下したアジア国家として世界から注目を集めるようになりました。ただ、その後、米国が日本の台頭を警戒するようになり、旧日英同盟は23年、解消しました。

日本が近代国家として初めて結んだ旧日英同盟が極東の新興国、日本をアジアの大国に押し上げ、日本の国際社会での地位を揺るぎないものにした歴史的意義は極めて大きいです。

これに対して、21世紀の新日英同盟は戦争に備える軍事同盟ではありません。海洋安全保障、テロ対策、サイバーセキュリティ、インテリジェンス、人道災害支援、平和維持活動、防衛装備品開発など、多様化する安全保障のあらゆる分野で包括的に協力し合う関係づくりを目指すものです。

それでは、日英が同盟を結び、安全保障面での協力を強化することは、世界の安定にとって、どのような意義があるのでしょうか。

東西冷戦時代から今日に至るまで、アジア太平洋地域では、米国を中心に、日本、韓国、フィリピン、タイ、オーストラリアがそれぞれ別個に同盟を結んでいました。

それは「ハブ・アンド・スポークの同盟」と呼ばれ、米国が常にハブであり、スポークがその相手国でした。これに対して、欧州のNATOのように複数の国が互いに同盟を結び、協力し合う関係を、「ネットワーク型の同盟」と呼びます。

ハブ・アンド・スポーク同盟の最大の問題は、協力し合う相手が常に一国しかないために、国同士の利害が一致しない場合、機能不全に陥ることです。また、二国間の力のバランスに大きな差があると、弱い側が常に強い側に寄り添う追従主義に陥りがちであり、スポークの国は戦略的に自律するのが難しいです。そのため、2000年代以降、スポークの国同士の協力が急速に進展してきました。

具体的には、日本では安倍政権発足以来、政府の首脳陣がほとんど毎月のように東南アジア、南アジア、さらに欧州諸国に足を伸ばし、安全保障協力を拡大しようとしていましたし、自衛隊も、オーストラリア、インドなどと定期的に共同の演習を実施しています。

また、日米とオーストラリア、日米と韓国、日米とインドといった三国間での安全保障協力も進んでいます。米国との同盟関係を共有する国同士が個別に同盟関係を築き、米国との同盟を支えようとしているのです。

ただし、このようなネットワーク型の同盟には、NATOにとっての米英がそうであるように、コア(中軸)となる二国間関係が必要です。日英同盟はまさにそのコアになりうるものです。

以前このブログでも述べたように、日英はユーラシア大陸の両端に位置しているシーパワーであり、その安全のためにユーラシアのランドパワーを牽制(けんせい)する宿命を負っています。

ユーラシア大陸の両端に位置する海洋国家、英国と日本

日本は中国の海洋進出を警戒していますし、英国はロシアの覇権を抑え込んできました。英国はロシア、日本は中国と別々の脅威に対峙(たいじ)しているようにも見えますが、日本と英国は、ユーラシアというひとかたまりのランドパワーを相手にしているのであって、本質的には同じ脅威に対峙しているのす。

また、日英はともに米国の重要な戦略的パートナーです。日英はそれぞれ米国と深い同盟関係で結ばれ、情報や軍事、外交などあらゆる分野で深い協力関係にあります。つまり、日英が今、同盟関係に進もうとするのは歴史の偶然ではなく、地政学的な必然です。

英国は核保有国であり、国連安保理の常任理事国であり、米国と肩を並べる最強最大の情報機関を持ち、ロイターやBBCのような世界に影響力のある報道機関があり、国際石油資本を持ち、ロイズ保険機構のような世界の保険料率を決定する機能を持ち、さらに、世界の金融センターであるシティーを持ちます。日本が、このような国家と「同盟国」と呼び合える関係を築くことは極めて大きな国益です。

ただ、そこで重要なのは、日英共にその関係を既存の米国との同盟関係とどう調和させるかという問題です。そして、それは結局、日英米の三国による同盟関係の追求に発展するでしょう。

それは覇権の三国同盟ではなく、新しい安全保障の枠組みとしての「平和と安定の正三角形」でなくてはならないのです。そこにこそ、新日英同盟の本当の意味があり、それが実現すれば、日本の国際的地位と外交力は飛躍的に向上することになるでしょう。

他方、それは日本にとって、日米同盟だけに依存してきた現状から脱し、第二次世界大戦後初めて戦略的自律を手に入れることを意味します。日本は安全保障や外交面で常に独自性を問われることになるでしょう。

英国はNATO、EU、英連邦など多層的に同盟を維持し、これらを使い分けながら自律を維持してきました。日本も米国、英国との「正三角形」を軸に、アジア太平洋諸国との同盟をバランス良く組み合わせ、多層的に同盟を構築、運用しなくてはならないでしょう。

そうして、現代の日米英同盟は、中国の海洋進出を防止するものでもあります。

米国はすでに中国に対して貿易戦争を開始しました。これは、武力にはよらないものの、現在の国際秩序を破壊して、世界の少なくとも半分を自らの価値観によって傘下におさめようとする中国の野望を挫こうとするものです。

日米英同盟に対抗するために、中国はさらに軍事予算を増やすなどの対抗措置が必要になります。さらに大きな軍事予算を費やすことになり、それがさらに貿易戦争ともあいまって、中国を弱体化することになります。

日本はこれからも、日米英同盟を強化し、それを軸として、周辺諸国との同盟・協力を強化し、徹底的に中国を追い込むべきです。

中国が現体制を変えるというのなら、これ迎え入れるべきですが、そうでないというのなら、経済的にも安全保障の面でも、日米英同盟は、徹底的に中国を追い込み、経済的に弱体化させ、中国が海洋進出しようにもできないようにすることになるでしょう。

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2018年3月19日月曜日

「事実上の皇帝」習近平とプーチンに、トランプは対抗できるのか―【私の論評】19世紀の皇帝たちの無謀な試みを阻止せよ(゚д゚)!

「事実上の皇帝」習近平とプーチンに、トランプは対抗できるのか

ドクターZ

いくらでも任期が延ばせる国

二人の皇帝とトランプ米大統領
トランプ政権が誕生してから1年以上が経過したいま、米中露それぞれが首脳の強権体制を強める動きに出てきた。
中国共産党は国家主席の任期を無制限にすることを検討中。これが実現すれば「習近平皇帝」誕生といったところだが、対抗するかのように、ロシアのプーチン大統領も「世界全土を射程範囲に収める」という新型巡航ミサイルを発表し、通算4選についての意気込みまで明らかにしている。
中露がトランプ大統領の再選まで視野に入れて中央集権体制を整えているとすれば、今後三国の関係はどのような変化を遂げていくのだろうか。
まず、米中露の社会体制のおさらいをしておこう。
イギリスのエコノミスト・インテリジェンス・ユニットが'17年に発表した世界167ヵ国・地域が対象の「民主主義指数」を見ると、アメリカは21位、ロシアは135位、中国は139位となっている。中国は共産党の実質的な一党独裁であり、憲法より共産党の決定のほうが優位になっている。そのため、国家主席の任期を無制限にするのは難しいことではない。
共和制の体をとるロシアも実際のところは独裁体制だが、大統領の任期の上限は2期12年と決められている。プーチン大統領は'12年から通算3期目だが、一度大統領を退いて再び当選するという裏技でこのルールを回避している。しかも、メドベージェフ氏が大統領を務めていた間もプーチン氏は大きな影響力を持っていたとされているから、実質的には10年以上覇権を握っていることになる。
アメリカの2期8年という大統領任期は比較的厳格に守られていて、歴代大統領のうちグロバー・クリーブランドだけが連続ではなく、一度退いてから再び同職を務めている。憲法をあっさり改正して任期を撤廃する中国、裏技でいくらでも任期を延ばせるロシアに比べれば、ずっと民主的なほうだ。
では、中露で元首の「皇帝化」が進むとなにが起こるのか。
まず、外交政策や安全保障において「強権国家化」が進むだろう。実際、中国の習近平主席は「海洋強国」を掲げており、ロシアの新型ミサイル開発も覇権主義を明確にするものだ。
中露の強権国家化が進むと、アメリカでもトランプ大統領の再選への後押しの動きは強くなる可能性がある。トランプ大統領の主張は、かつてレーガン大統領が冷戦中の'80年代に訴えた「強いアメリカ」の再来であり、強国化が進む二国を意識してのものだ。
それでは、米中露三大国の歩む道はどうなるかといえば、その他の諸国がどこに付くのかが問題になってくる。政治体制からすれば、欧州はアメリカ、アフリカは中国、ロシアはその隙間をついて協調関係を結ぶことになるだろう。
しかし、トランプ大統領は目下関税強化を進めていて、長期的には本来味方とするべき民主主義国の多くを敵に回すかもしれない。仮にトランプ大統領が再選しても、任期はあと6年。長く感じるかもしれないが、中露の指導者の任期は実質無限だ。徐々に20世紀以前のような帝国体制を整える二大国に対して、アメリカは民主主義のよさを訴えながら、互角に渡り合えるだろうか。
『週刊現代』2018年3月24日号より
【私の論評】19世紀の皇帝たちの無謀な試みを阻止せよ(゚д゚)!
中国とロシアという2つの帝国の登場により、世界に国際秩序の崩壊と地域戦争の勃発という2つの重大な危機が迫っていることについては、このブログでも以前掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
支那とロシアが崩壊させる自由主義の世界秩序―【私の論評】世界は戦後レジームの崩壊に向かって動いている(゚д゚)!
ロバート・ケイガン氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
 ケーガン氏(ブログ管理人注:昨年)1月24日に「自由主義的世界秩序の衰退」と題する同論文を発表した。同氏はこの論文で、第2次大戦以降の70余年の間、米国主導で構築し運営してきた自由主義の世界秩序は、崩壊に向かう最大の危機を迎えたと指摘する。 
 危機の原因となっているのは、支那とロシアという反自由主義の二大国家の挑戦だ。1991年のソ連崩壊以後の米国の歴代政権が「唯一の超大国」の座に安住し、とくにオバマ政権が軍事力を縮小して「全世界から撤退」したことがその状況を招いたという。 
支那、ロシアの軍事力行使の危険性が高まる 
 ケーガン氏の論文の要点をまとめると以下の通りである。 
・世界は第2次世界大戦の終結から現在まで、基本的には「自由主義的世界秩序」に支えられてきた。この秩序は民主主義、自由、人権、法の統治、自由経済などを基盤とし、米国の主導で構築され運営されてきた。 
・しかしこの世界秩序は、ソ連崩壊から25年経った今、支那とロシアという二大強国の挑戦により崩壊の危機を迎えるにいたった。 
・支那は南シナ海、東シナ海へと膨張し、東アジア全体に覇権を確立して、同地域の他の諸国を隷属化しようしている。ロシアはクリミア併合に象徴されるように旧ソ連時代の版図の復活に向かっている。両国はその目的のために軍事力の行使を選択肢に入れている。 
・支那とロシアの軍事的な脅威や攻撃を防いできたのは、米国と同盟諸国が一体化した強大な軍事力による抑止だった。 
・だが、近年は米国の抑止力が弱くなってきた。とくにオバマ政権は対外的な力を行使しないと宣言し、国防費の大幅削減で米軍の規模や能力はすっかり縮小してしまった。 
・その結果、いまの世界は支那やロシアが軍事力を行使する危険性がかつてなく高まってきた。武力行使による膨張や現状破壊を止めるには、軍事的対応で抑止することを事前に宣言するしかない。
トランプ政権は米軍の再増強や「力による平和」策を宣言しながらも、世界における超大国としての指導的立場や、安全保障面での中心的役割を復活させることには難色をみせている。

しかし、ケーガン氏は、世界の危機への対策としては、米国が世界におけるリーダーシップを再び発揮することだといいます。


日本の保守層は、「戦後レジーム」からの脱却ということを主張してきました。私も、当然のことながらこれには賛成です。

ただし、私たちは現在中国、ロシアが「戦後レジーム」を崩壊させるほうに動いていることを理解すべきです。そうして、その崩壊の方法は、日米などとは全く関係なく、自分たちの都合の良い方向に曲げようとしています。

習近平支那皇帝とプーチン露西亜皇帝
そうして、彼らの望む新たな秩序は、民主化、政治と経済の分離、法治国家があまりなされていなかった、19世紀の体制です。そもそも、中国もロシアも軍隊などは近代化を推し進めながら、国の体制としては元々遅れているので、世界に新たな秩序を作り出すとすれば、19世紀の帝国のような体制を目指さざるを得ません。

シンガポールのような独裁政権の国家であれば、これに対してあまり違和感はないかもしれません。しかし、世界には民主的な体制に移行したり、移行しようと努力している国々も多いです。

ただし、現在中国にもロシアにも誤算があります。ロシアについては、現状ではGDPが韓国なみであり、日本の東京都と同じくらいの規模しかありません。

プーチンは資源国としての成長を目指しましたが、現在石油などの価格は低迷しています。そのため、いくら頑張ったとしても、世界規模の新秩序の樹立には取り組みたくてもできません。せいぜい、周辺諸国に対してこれをかろうじて実現できるくらいのことで終わってしまう可能性のほうが大きいです。

中国に関しては、過去においては、国内の大規模なインフラ整備によって経済成長をしてきましたが、国内ではもうすでに投資案件が一巡してしまったので、習近平は一帯一路なるブロジェクトを推進しています。これは、中国主導で世界各地にインフラ整備をして新たな交易路をつくりだそうというものです。

しかし、この構想は最初から頓挫することが運命づけられたようなブロジェクトです。これは、失敗に終わり、中国はしばらく中進国の地位から抜け出すことができない可能性が大きいです。そうなると、中国も世界に中国にとって都合の良い新秩序を樹立するのはかなり難しいかもれません。

さらに、ロシアは、中国とは仲良くならないでしょう。プーチンは、シベリアなどに侵食してくる中国を脅威だとみているからです。むしろ、ロシアは中国をにらみ、本当は日米と協力を広げたいはずです。

とはいいながら、ロシアはクリミア侵攻などで、米国などから制裁を受けている真っ最中でもあります。だから、おいそれと日米接近というわけにもいきません。

2014年3月4日、ベルベク空軍基地を占拠するロシア軍に対して
歌を歌いながら行進し、基地の返還を求めるウクライナ軍兵士

このようなことから、中露が「戦後レジューム」を壊して、新たな世界の秩序を樹立するためには、現実には様々な一筋縄ではいかない、状況にあります。私は、これは失敗する確率のほうが高いと思います。しかし、失敗するまでの過程で、中露両国が世界中で様々な軋轢を生み出す可能性は十分あります。

そうして、最悪のシナリオでは米・中・露三つ巴の戦争が起こる可能性さえあり得るということを銘記すべきでしょう。さらに、このことは日本を含めた世界中の国々に大きな影響を与えます。日本は、遅ればせながら今からでもそれに備える必要があります。

戦後体制が崩れれば、そのときには我が国は、北朝鮮のICBMにも、中国の海洋進出にも、あらゆる安全保障に関する課題について日本は米国に全面的に頼ることはできないと考えて臨むべきです。

日本の背後には、いつでも、アメリカが存在していて、必ず助けるてくれるとは限らないと、覚悟するよりないのです。少なくとも、尖閣は自分で守らなければならないことなるでしょう。

自分の国のことを他国に憚らず自分で決め、自分で守るのは、トランプ大統領に言われることもなく、自明の理屈なのです。無論その時に、米国との対等同盟関係を築くことも選択肢の一つです。

しかし、アメリカに頼りきって、アメリカに守られながら生きる日本の時代、日本にとっての「戦後レジーム」は、間もなく終了するとみなすべきなのです。そもそも、これは当然のことです。どんなに強固な体制であっても同じ体制が永遠に続くことなどあり得ないのです。時代の変化にあわせて変わっていくのが自明の理です。


戦後レジームが終わりを迎え、新たなレジームができあがったとき、それを中露の思い通りのものにするわけにはいかないのです。日米、EU、その他多くの国々も、19世紀の遅れた体制に戻るわけにはいかないのです。これだけは、何としても防がなればならないのです。

それには、ケーガン氏が主張するように、米国は世界でのリーダーシップを取り戻し、日本もアジアでのリーダーシップをとりもどさなけばならないです。先程、中露が世界で「戦後レジーム」に変わって新たな秩序を樹立するのは非常に難しいということをあげました。この事実に加えて米国などの軍事力には到底かなわないことを悟らせれば、これから両国が世界で軋轢を起こすこともなくなるでしょう。

そのためには、日本は軍事的には普通の国に生まれ変わらなければなりません。そうして、昨年は実質上の日英同盟が復活しましたが、いずれ日米英豪印同盟なども構築して、中露に対抗していかなければならないのです。それ以外に世界の平和と安定を維持することはできません。

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2018年2月14日水曜日

韓国の野望粉砕! 安倍首相とペンス副大統領、制裁逃れの「南北融和」阻止―【私の論評】「強い日本」とそれを志向する米保守派とって元々金王朝はあってはならない存在(゚д゚)!


平昌五輪開会式に出席した安倍首相(右)とペンス副大統領。ともに表情は厳しい
安倍晋三首相と、マイク・ペンス米副大統領の連携が、南北朝鮮の野望を打ち砕いた。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、世界の脅威である北朝鮮の「核・ミサイル開発」を棚上げにするように、平昌(ピョンチャン)冬季五輪に合わせた「南北融和」を進めていたが、安倍、ペンス両氏がこれを阻止したのだ。文氏には「大恥」となったようだ。

「今、会えませんか?」

五輪開会式当日の9日夕、平昌のホテル「竜平(ヨンピョン)リゾート」のタワー・コンドミニアム9階。文氏との首脳会談を終えて、くつろいでいた安倍首相に、10階に滞在していたペンス氏から連絡が入った。

2人は、9階の部屋で南北朝鮮の動向について意見交換をした。

安倍首相が「平昌五輪を北朝鮮に利用させないようにすることが大事だ。しっかりと韓国に対応させるべく連携しましょう」と言うと、ペンス氏は深くうなずいた。

北朝鮮は平昌五輪に、金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長だけでなく、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン)氏まで送り込んできた。国連の経済制裁が効いている証左であり、国際的な包囲網を突破するため、「従北」の文政権に狙いを定めていた。

安倍、ペンス両氏は、文大統領主催のレセプションに、ペンス氏の副大統領専用車に一緒に乗って、会場に乗り込んだ。文氏のスピーチが始まっていたが、別室でスピーチが終わるのを待った。

「遅刻」も予定通りだった。スピーチ前の集合写真に、金永南氏らと一緒に写りたくなかったのだ。

安倍、ペンス両氏は、スピーチを終えた文氏を別室に招き入れ、日米韓の3人だけで写真を撮影した。「3カ国の連携を絵に残る形で打ち出したい」という米側の意向の表れだった。

文在寅大統領は、平昌オリンピック開会式が開かれる9日午後、江原道龍平で
開かれた五輪開会式レセプションで安倍首相、ペンス米国副大統領と記念写真
 ペンス氏は写真撮影を終えると、レセプション会場で数人と言葉を交わした後、5分ほどで会場を立ち去った。ペンス氏は最初から北朝鮮を無視する腹づもりだったとされ、着座する考えはサラサラなかった。

「従北」の文氏による「米朝対話」実現への露骨な演出はお見通しだったのだ。

日韓首脳会談でも、安倍首相は文氏を圧倒した。

安倍首相は会談冒頭、韓国が公表した慰安婦問題の日韓合意に関する新方針を「受け入れられない」と断じ、在韓日本大使館前の慰安婦像撤去などの合意履行を迫った。

文氏は「微妙な問題だから簡単には解決できない」などと釈明した。

安倍首相はたたみかけるようにこう言った。

「朴槿恵(パク・クネ)前政権の時に(10億円など)取るものは取っておいて実行できないというのはあり得ない」「日韓合意には、日本にも国民から強い反発があったが、『ここで決断しないと日韓関係は前に行けない』と考え合意に応じた。あなたも国民の高い支持があるんだから決断しなければならない」

文氏の顔から愛想笑いが消えた。

【私の論評】「強い日本」とそれを志向する米保守派とって元々金王朝はあってはならない存在(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事は示すように、今回の文在寅による、韓国の平昌五輪をきっかけとした、対北宥和政策の試みはことごとく失敗したようです。

韓国大統領府で10日、文在寅(ムンジェイン)大統領(左)と並んで歩く
金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の実妹、金与正(キムヨジョン) 氏
この文の行動と態度に、日本政府は懸念と不満を強めています。小野寺五典防衛相は10日、視察先の佐賀県で記者団に「過去、日本も韓国も北朝鮮の融和的な政策に乗ってしまい、結果として北朝鮮が核・ミサイル開発を継続した」と指摘。「その反省は韓国も十分認識し、しっかり対応されると思う」と話しました。

外務省幹部は「北朝鮮は非核化への具体的な行動を一切示していないのに文氏が訪朝するなどありえない」と語りました。

そもそも安倍晋三首相の訪韓は、ペンス氏とともに文氏に圧力強化に向けた日米韓の結束を念押しするのが大きな目的でした。

日本政府関係者は「韓国がこれ以上北朝鮮に傾斜しないよう、日米で連携してクギを刺し続ける必要がある」としています。

これからも、日米がクギを指し続けるどころか、様々な制裁措置に出る可能性もあります。実際、トランプ大統領は平昌五輪が始まる2日前に、韓国に対するセーフガード(貿易制限措置)を発動させています。

この米国の行動そうして、日本の行動の変化に文在寅はさぞ驚いたことでしょう。文から見れば、ペンス副大統領も、安倍総理も全く話が通じない異次元の人間のように見えたにちがいありません。

文在寅自身はリベラル・左派であり、彼の取り巻きもリベラル・左派であり、保守派のペンス副大統領や安倍総理のものの考え方や行動は、彼が日常目にするものとはかけ離れているに違いありません。

そもそも、日本の安倍総理も米国のペンス副大統領も米国保守の志向する「強い日本」を念頭においてものを考え、行動しています。

従来は安倍総理がそうであっても、オバマ大統領や民主党の議員らのほとんどは「弱い日本」を志向しており、結局のところ「強い日本」を表だって表明することは困難でした。

そのためもあり、日本は中国や韓国、北朝鮮などに「弱い日本」の側面を徹底的に利用されてきたという側面があります。

ルーズベルト
さて、この「強い日本」「弱い日本」の考え方を実際に政治に適用したのは米国の大統領ルーズベルトが最初でした。

ルーズヴェルトは大統領に就任すると直ちにソ連と国交を樹立し、反共を唱えるドイツや日本に対して敵対的な外交政策をとるようになりました。

ルーズベルトは、「強い日本はアジアの脅威であるばかりでなく、アメリカの権益を損なう存在」とみて、「弱い日本」政策を推進しました。

他方で、「大陸国家(ロシアや中国)の膨張政策の防波堤として日本を活用すべきだ」とする「強い日本」政策を進めようとしたのが保守派の人たちです。

ミスター共和党と呼ばれたロバート・タフト上院議員たちは「弱く、敗北した日本ではなく、強い日本を維持することがアメリカの利益となる」と主張しました。

ロバート・タフト上院議員
また、「勝者による敗者の裁判は、どれほど司法的な体裁を整えてみても、決して公正なものではあり得ない」し、「日本に対してはドイツと異なり、復讐という名目が立ちにくい」と、東京裁判を批判してきました。 

タフト上院議員が「ヤルタ協定」批判を行い広範囲の支持を得たきっかけは、元ソ連のスパイで「タイム・マガジン」誌編集者あったH・チェンバースが1948年に「ルーズヴェルト大統領の側近としてヤルタ会談に参加した国務省高官のアルジャー・ヒルはソ連のスパイだった」との告発でした。 

アルジャー・ヒス
1950年以降、ジョセフ・マッカーシー上院議員の赤狩りで自殺者が多く出るようになると、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなど代表的なリベラル派マスコミが「魔女狩りだ」と批判を強めていきました。

戦前戦後を通じて米国には「草の根保守」が存在してきました。その数は1200万人とも言われ、真珠湾攻撃をめぐる「ルーズヴェルトの陰謀説」を支持してきました。

しかし、新聞・テレビはリベラル派に牛耳られて「草の根保守」の意見はほとんど報じられないため、両国の総合理解を妨げてきたと言われています。

1995年以降、米政府が第2次世界大戦中のソ連諜報機関の交信を米陸軍秘密情報部が傍受・解読した機密のヴェノナ文書を公開し始めました。これにより、チェンバースの告発が正しかったことが論証され、保守派の勢いが盛り返してきたとされます。

ブッシュ大統領(当時)が2005年5月7日、バルト3国の一国、ラトビアの首都リガで行った演説はその延長線上にありました。 


ブッシュ元大統領は「安定のため小国の自由を犠牲にした試みは、反対に欧州を分断し不安定化をもたらす結果を招いた」と述べ、「史上最大の過ちの1つだ」とヤルタ会談を強く非難しました。

第2次世界大戦の連合国であったルーズヴェルト米大統領、ウィンストン・チャーチル英首相、ヨシフ・スターリンソ連首相は1945年2月クリミヤ半島のヤルタで会談しました。

この際、国際連合構想にソ連が同意する見返りとして、ポーランドやバルト3国などをソ連の勢力圏と認め、対日参戦と引き換えに満州の権益や南樺太・北方領土をソ連に与える「秘密協定」を当事国である東欧諸国や日本の同意を得ずに結びました。

中国国共内戦の激化と共産党政権の樹立、朝鮮半島の分割、満州と北方領土の占領などは、その協定がもたらした結果です。

ヤルタ会談が行われた時点では米国に原爆が完成しておらず、日本本土上陸作戦では50万人の兵士が犠牲になると予測され、大統領はソ連の参戦が必要とみていたとされます。また、大統領は病気で覇気を失っており、スターリンがルーズヴェルトの弱みにつけ込んだとの見方もあります。

1945年、昭和20年2月9日ヤルタ会談に臨む、チャーチル・ルーズベルト・スターリン
米国の保守派がヤルタ協定を批判するのは、ロシアの参戦は必要なかったとみているからであり、参戦が共産主義帝国構築への道を開き、朝鮮戦争をもたらし、また今日の北朝鮮における金一族の独裁体制へつながったという認識をもっているからです。

このような考え方を持った米保守派の系譜であるのが、ペンス副大統領です。そうして、安倍総理も無論「強い日本」を志向しています。

この二人の保守派が今回韓国に乗り込んで、韓国の野望を粉砕したのは、当然といえば当然です。

米国の保守派からすれば、ルーズベルトが独裁者スターリンのロシアと組んだ事自体が間違いであり、さらに当時朝鮮半島から満州にかけてソ連と対峙していた日本と戦争をしたことも大きな間違いだと認識しています。

米保守派は、極悪人ルーズベルトが、ロシアと手を組んで、日本を攻撃して負かしたらからこそ、その後のソ連や中国などの共産主義帝国構築への道を開き、朝鮮戦争をもたらし、また今日の北朝鮮における金一族の独裁体制へつながり、それが今日米国に核の恐怖をもたらしていると認識しているのです。

リベラル派のオバマの民主党政権と、現在の保守派トランプ政権は全く質が違うのです。そもそも、米保守派がみれば、北朝鮮の金王朝という存在はあってはならない存在なのです。私は、「強い日本」とそれを志向する米保守派がいずれ金王朝を打ち砕くことになると思います。

文在寅も、金王朝もいずれそのことに気づくことになると思います。「強い日本」と米国保守派は今後北制裁をさらに強化することはあっても、緩めることはないです。オバマ政権と違い、妥協したり「戦略的忍耐」をするなどということはありません。

どんどん強くなり、最終的には「戦争」になることも厭わないでしょう。文在寅は無論のこと、金王朝もそのことに気づかなければ、いずれ致命的な大やけどをすることになります。外交音痴の文在寅も、金正恩もこのことにはまだ気づいていないでしょう。

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