2018年8月16日木曜日

トランプ氏、ハイテク分野から中国を締め出し…国防権限法で中国製品の政府機関での使用禁止 島田教授「日本でも対応が必要」―【私の論評】世界は日米英露が協調して中国を叩く体制に入りつつあり(゚д゚)!

トランプ氏、ハイテク分野から中国を締め出し…国防権限法で中国製品の政府機関での使用禁止 島田教授「日本でも対応が必要」

ドナルド・トランプ米大統領が、ハイテク産業からの「中国締め出し」に踏み出した。13日成立した国防権限法で、中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)と華為技術(ファーウェイ)の製品について、米政府機関での使用を禁じたのだ。トランプ政権は、両社と中国情報機関との関係を問題視している。機密漏洩防止という安全保障上の観点から、断固たる措置に踏み切った。

「米国は平和国家だが、戦いを余儀なくされれば必ず勝つ」

トランプ氏は13日、ニューヨーク州のフォートドラム陸軍基地で大勢の兵士を前に国防権限法の署名式を開き、こう演説した。

国防権限法に署名したトランプ大統領 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

米国ではこれまでも、ZTEとファーウェイの製品について「情報を不正に改竄(かいざん)したり盗んだりする機能」や「ひそかにスパイ活動を実施する機能」の存在が指摘され、使用が問題視されていた。情報機関の高官が、中国のスマホメーカーによって米国人ユーザーの安全が脅かされるとの見方を示したこともあった。

国防権限法では、両社について「中国情報機関と関連がある」と指摘した。そのうえで、2社の製品を米政府機関が使うことを禁止したほか、その製品を利用する企業との取引を制限した。

同法では、中国が米企業を買収して先端技術を奪うのを阻止するため、対米外国投資委員会(CFIUS)の監視機能を強化し、IT産業への投資に上限を設けることも政府に要請している。

米国政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「ロシアに加え、中国がさまざまな形で米国に対するハッキングを行っていることが近年、強く主張されている。このため、防御だけでなく、反撃もしていくべきだという流れになっており、国防権限法はその一環だろう」と話す。

米国だけでなく、他国でも中国企業への警戒が進んでいるという。

島田氏は「欧州でも、中国企業によるハイテク分野の買収を阻止する動きがあり、日本だけが遅れ気味となっている。戦略的センシティブな分野では、対応が必要だろう」と指摘した。

【私の論評】世界は日米英露が協調して中国を叩く体制に入りつつあり(゚д゚)!

国防権限法とは、米国政府が国防総省に対して予算権限を与える法律のことです。当該会計年度より5年間にわたり特定の事業計画に対する支出について権限が与えられるもので、年度ごとに制定されます。

今年の7月を皮切りに、国際関係において明らかに構造的変化が起こりました。7月6日米国は支那(中国のこと、以下同じ)に対して貿易戦争を発動しました。これにより、本格的な米中対立の時代が幕開けしました。

ブログ冒頭の記事の国防権限法関連による支那への対応もその一環です。

日本の政財界人のほとんどはこのことをほとんど理解していないようですが、米トランプ政権は、世界の経済ルールを公然と破ってきた支那を徹底的に叩く腹です。

今後は、支那に対して味方をするような経済活動は、米国から反米行動とみなされることになります。

そうして、7月に起きたもう一つの大きな出来事は、米露協調時代が始まったことです。7月16日にはフィランドの首都ヘルシンキで米露首脳会談が開催され、その路線が確定しました。

フィランドの首都ヘルシンキで米露首脳会談で握手するトランプとプーチン

トランプ氏もプーチン氏も、公式にそのような発言はしていませんが、ロシアは米国に協調して世界秩序を再構築する方向に大きく舵をきったものとみられます。

7月には、この大きな2つの出来事が起こったのです。この2つの出来事が、今後の世界情勢を大きく方向づけることになるのです。

今から振り返ると、対中国貿易戦争の開始をトランプ大統領が宣言したのは、今年の3月でした。ところが、実際に開始したのは今年の7月6日です。そうして、この貿易戦争は、本格的な金融制裁も含む、本格的な経済戦争に発展していくことでしょう。

支那経済は、既に落ち込み始めていますが、これから本格的に大きな被害を被ることになります。

これまでの支那の経済的に大発展できたのは、輸出によるドルの獲得と、華僑も含む諸外国からの巨額の投資でした。これにより、支那は巨額のドルを得ることができ、それが経済発展の原動力となり、支那の人民元の信用を高めることになりました。

この巨額のドル獲得能力を破壊しようとするのが、トランプ政権による高関税政策なのです。
この狙いはあくまで、支那に知的所有権や独禁法などの国際ルールを守らせることです。ただし、それは表面上のことで、真の理由は、支那の軍事拡張策を抑制するためです。支那はドル獲得能力をもとに経済を発展させ、それを元に過去30年以上にわたり軍拡を継続してきました。

その結果、南シナ海で傍若無人な軍事行動を行うとともに、日本の尖閣諸島付近で挑発行為を繰り返し、台湾には直接支配をしようと様々な画策をしています。

さらに、一帯一路の巨大プロジェクトにより、世界各地でインフラ投資・開発をし、結局のところ支那の企業に受注させたり、労働者を支那から派遣したりして、当該国の儲けはほんどなく、返済不能とみると、領土を実質的に奪うなどの暴虐の限りをつくしています。

こうした暴虐を繰り返す支那の能力の源泉は巨額のドル獲得能力であり、この能力の源泉を一気に叩き潰してしまおうとするのが、トランプ政権の対支那戦略なのです。

現在支那の経済は急速に縮小しています。企業倒産だけではなく、個人の住宅ローン破産も続出しています。経済悪化にともない支那全土で反政府デモが起きています。その数は今や年間100万件を超えるともいわれています。人口13億人以上の中国でもこれは、破滅的に大きな数字です。

このような支那ですが、この支那が1949年に建国して以来、支那共産党が何故統治の正当性を保つことができたのでしょうか。それは、結局のところ建国からしばらくは、何とか人民を飢えることなく食べさせることができたからです。無論、大躍進等の期間などは、相当の人民が餓死しましたが、それを除くと何とか飢えをしのぐくらいのことはできていました。

そうして、ここ20年くらいは、人民により良い経済生活を約束しそれを維持することができたため、ようやっと統治の正当性が保たれてきたのです。昨日よりは、今日のほうが収入が多く、今日よりは明日の方が豊かな生活が約束されていました。

それどころか、共産党の幹部に取り入ることに成功した人民の中には巨万の富を得るものまであらわれました。こうした人民とっては、支那共産党はなくてはならない存在になりました。

だからこそ、人民の大多数は、共産党の一党独裁、共産党員の横暴と不公正、暴力にも耐えてきたのです。元々、支那には民主政治、自治、言論の自由の伝統もありません。封建制度と呼ばれる分権的自治の伝統もありません。

現在の先進国では当たり前になっている、民主化、政治と経済の分離、法治国家化もされていません。こんな環境でも、支那人は生きていけるのです。

そのような彼らにとって一番の関心事は経済です。皆、カネが儲かれば、少なくとも昨日より今日が儲かるようになっていれば、人民は大人しくしているというのが、支那の伝統でもあります。

現在まで、支那共産党はこのような人民の行動原理をわきまえで、政治的自由は与えなかったものの、人民各層によりよい経済生活だけは約束し、曲りなりもそれを実現してきました。それが支那共産党の統治の正当性を示す唯一のものでした。

拝金主義が蔓延する中国で中国で実施されている富豪との
お見合いパーティー、審査を経て最終的に候補者12名に絞られる

ただし、その正当性は脆いものであり、それを補うために、支那共産党は意図して意識して、体系的に時間をかけて、反日教育を行ってきました。しかし、それにも限界があります。

かつて、支那では反日サイトが興隆した時期がありましたが、この反日サイトを放置しておくと、結局反政府サイトに変貌してしまうことがしばしば起こったので、しばらく前から中国共産党は反日サイトを強制的に閉じるようにしたため、今日ではみられなくなりました。

また、2012年あたりまでは、中国全土で反日デモが開催されましたが、これもそのまま放置ておくと、反日デモがいつの間にか反政府デモに変わってしまうということが、しばしば起こるようになったため、政府がこれを取り締まるようになったため、現在支那ではほとんど反日デモはみられなくなりました。

2012年あたりまでみられた中国の大規模反日デモ

こうなると、ますます支那共産党の統治の正当性は、経済だけということになってきました。つまり、経済成長ができなくなれば、支那共産党の統治の正当性も失われるのてす。これは他の国では全くみられない、支那独自の現象です。ここがまさにトランプ政権の目の付け所です。

さて、大統領選挙の頃からのトランプ氏の演説等を分析すると、彼がロシアと大きな協調体制を築きたいと考えていたのは確かです。米露が協調して、イスラム過激派や支那を抑え込むというのが、トランプの基本的な世界戦略観です。

この米露協調路線を米国内で妨害しようとする人々が叫んでいたのが現在では、日本の「もりかけ」と同様に何の根拠もないことが明白になった「ロシア・ゲート」でした。

ロシア・ゲートを騒ぎ立てた人々は、反トランプ派であり、それは親支那派であったとみて間違いないです。そうして、問題なのはこれらの人々の中には共和党の一部も含まれていたのです。共和党の中にも、無国籍の大企業を支持するような立場の人々は反トランプでした。

そのような人々は、トランプ大統領がロシアと組むことにかなりの危機感を感じていたものと思います。彼らの頭の中には、かつてのソ連があったものと思います。

しかし現在のロシアは、現在でも世界第2の軍事大国ではありますが、このブログでもたびたび掲載しているように、経済は韓国より少し小さいくらいです。韓国の経済というと、大体東京都と同程度です。

いくら東京都が核武装をしたり、他の軍事力を強化したとしても、米国に伍して、覇権国家になろうと思ってみても土台無理な話です。さらに、人口もこの広大な領土であるにもかかわらず、日本よりわずかに2千万人多い、1億4千万人です。

そんなことよりも、ロシアのプーチンは、米国を中心とする現在の世界秩序をうまく利用しながら、ロシアの権力を少しでも拡大していこうというのがプーチンの基本戦略です。さらにはロシアは、世界で一番長く支那と国境を接しているということから、プーチンは支那の台頭に脅威を感じています。

ところが、習近平は現在の米国を頂点とする世界秩序に挑戦し、かつてのソ連のように、支那が覇権国家になることを目指しています。もし支那が世 界 ナンバー1の覇権国家を目指すというなら、それは米国を妥当しなければ不可能です。 それを習近平はどうどうと宣言しています。プーチンは無論そのようなことは宣言していません。

米国からすれば、ロシアと組み支那を阻害するというのは当然の戦略です。ただし、プーチンはロシアがかつてのソ連のように覇権国家になる夢を完全に捨ててはいないでしょうが、それにしても現在のロシアではどう考えてあと20年は全く無理です。

そんなことよりも、プーチンが何よりも米国に望むのは、経済制裁の解除でしょう。米国の経済制裁により、ロシアの経済成長はほとんどゼロの状態が続いています。米国が解除すれば、EUの対ロシア経済制裁も解除できるでしょう。

一方米国が、ロシアに求めるのには、北朝鮮やイランの核武装の阻止、中東の安定化、イスラム過激派の壊滅、アフガニスタンにおけるアヘン問題などにおけるロシアの全面的な協力です。

世界一の軍事大国である米国と、世界第2の軍事大国であるロシアが協力しなければ、このような地域紛争を安定化させることは難しいです。だからこそ、両国が大き国益を踏まえた上で手を携えたのが7月16日の米露サミットだったのです。

またアジアにおいては、日米英の三国同盟にロシアが協力することになれば、経済的にも軍事的にも、対中国封じ込めは完璧となり、支那の衰退は確定したようなものです。そうして、この路線は日本の安倍総理が目指す路線とも一致しています。

以上のようなかなり大きな構造変化があったのが、今年の7月だったのです。後世の歴史家は、この時を歴史の大きな転換点だったと位置づけることでしょう。

ただし、米国内では未だ反ロシア派が一定の力を持っていることから、トランプ大統領が、今すぐに米露協調路線を全面的に実行することはないでしょうが、両首脳の間ではこの路線が合意されたというのが7月16日だったのです。

いずれにせよ、今後日米英露が協調して中国を叩く体制に入りつつあるとみるべきです。日米の経済力、米露の軍事力、それに加えて英国など有力な他国の協力があれば、支那を叩きのめすことは十分可能です。

ただし、英国とロシアの関係は、英国内でのロシア元スパイ暗殺未遂事件などがあり良くはありませんが、中国に対峙するという共通の目的に向けては十分に協調できると考えられます。その他、フランスも太平洋に領土を持つということから、協力を仰ぐことはできるでしょう。豪州も協力が見込めます。

このあたりを理解しない日本のマスコミは、また米国大統領選でトランプ大統領登場を予測できなかったように、これからも世界情勢を誤って判断して、誤った報道を続けることでしょう。

マスコミは過った判断をしても、それで危機に陥ることはありませんが、支那で活動したり、支那に投資している企業はそうではありません。支那に利する活動をしていると判断されれば、米国の制裁の対象になる可能性も十分あります。国際情勢を見誤れば、とんでもないことになりかねないです。マスコミの無責任な支那報道に惑わされたり、煽られたりせず自ら情報収集し、自ら対処すべきです。

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