2019年1月1日火曜日

米、中国けん制へ新法成立 台湾と軍事協力推進―【私の論評】ARIA成立で習近平涙目、米国は中国が体制を変えるか経済的に無価値になるまで制裁を続ける(゚д゚)!

米、中国けん制へ新法成立 台湾と軍事協力推進

米議会は新法成立を通じて、対中政策で安易な妥協をしないようトランプ氏にクギを刺した

トランプ米大統領は31日、アジア諸国との安全保障や経済面での包括的な協力強化を盛り込んだ「アジア再保証推進法」に署名し、法律が成立した。台湾への防衛装備品の売却推進や南シナ海での航行の自由作戦の定期的な実行を明記し、中国をけん制する。2019年3月1日に期限を迎える米中貿易協議も見据え、政権と議会が一体となって、中国に圧力をかける狙いがある。

新法は議会の対中強硬派が主導し、18年4月に上院に提出された。12月上旬の上院での法案採決では野党・民主党を含む全ての議員が賛成した。中国の安保・経済面での台頭に対する米議会の危機感を象徴する法律といえる。

新法は中国の軍事面での影響力拡大をけん制した。中国が軍事拠点化を進める南シナ海のほか、東シナ海で航行や飛行の自由を維持する作戦を定期的に実施する。東南アジア諸国の海洋警備や軍事訓練などに今後5年間で最大15億ドル(約1650億円)を投じる。

東南アジア諸国連合(ASEAN)が中国と共同で策定する南シナ海での紛争回避に向けた「行動規範」を通じ、ASEANによる海洋権益の維持を支援すると明記。ASEAN支援を明確にして、中国主導の規範づくりにクギを刺した。

ルールに基づく経済秩序を目指す「インド太平洋戦略」の推進も盛り込んだ。人権尊重や国際的な法規範の重視を改めて打ち出し、広域経済圏構想「一帯一路」を進める中国に対抗する姿勢を示した。


知的財産保護についても、中国の産業スパイやサイバー攻撃を念頭に「罰則を含む法律執行の強化が最優先事項だ」と指摘した。米政府は180日以内にインド太平洋地域での中国による知的財産権の窃取の現状や摘発状況を議会に報告する。サイバー分野でもアジア諸国と連携を深める。

国・地域別では台湾との協力を強める。脅威がさらに高まりかねない中国に対抗するため、防衛装備品の定期的な売却を進める。米政府高官の台湾訪問の推進も盛り込んだ。米国では18年3月に高官交流の推進を明記した台湾旅行法が成立している。インドについても「防衛装備品の売却や技術協力を最も親しい同盟国と同じ水準に引き上げる」と強調した。

新法は議会にとって、トランプ大統領が中国に対して安易な妥協をしないようクギを刺す意図もある。トランプ氏は現時点で中国に強硬姿勢を示しているが、シリアからの米軍撤退を突然表明するなど一貫性に乏しい政策決定が目立つ。法律を成立させれば政権の政策決定を縛ることができる。これまでも議会は対ロシア制裁強化法を成立させ、対ロ接近を探るトランプ氏をけん制したことがあった。

新法は超党派の賛成を得ており、仮にトランプ氏が拒否権を発動しても、議会が再可決し法律が成立する状況になっていた。

【私の論評】ARIA成立で習近平涙目、米国は中国が体制を変えるか経済的に無価値になるまで制裁を続ける(゚д゚)!

このブログでは、かねてより、米国による対中冷戦はもはやトランプ政権のレベルではなく、米国議会レベルになっているという主張をしていましたが、今回の「アジア再保証推進法」の成立はまさしくその正しさを裏付けるものとなりました。

これにより、現在の冷戦はトランプ政権が終了したあとでも、冷戦が続くことが決定的になりました。

習近平が、トランプ政権が終われば、米国による対中冷戦が終わるか、継続されたにしても緩くなるかもしれないと考えていたとすれば、その望みは完璧に断たれました。

昨年の米国では、行政府、議会、軍、研究者等、あらゆるレベルにおいて、中国政策は、従来の関与を軸とするものから、抑止を重視する強硬論へと潮流が向かっているように見見えました。

米国 自由の女神像

一昨年末の『国家安全保障戦略』、昨年1月の『国防戦略』は、中国を修正主義勢力と呼び、戦略的競争相手と明言しました。米軍は、南シナ海での航行の自由作戦の頻度を上げ、最近、インド太平洋を見据え、つまり中国への対応を強化することを明確にすべく、太平洋軍の名称をインド太平軍に改称しました。

「アジア再保証推進法案(ARIA:Asia Reassurance Initiative Act)」は、昨年から審議されていましたが、トランプ大統領の署名によって発効の運びとなりました。
新法は超党派の賛成を得ており、仮にトランプ氏が拒否権を発動しても、議会が再可決し法律が成立する状況になっていたというのですから、米国議会の並々ならぬ決意がうかがえます。

 ARIAは、序論的な部分と、次の3編からなります。

(1)インド太平洋における米国の安全保障上の利益促進
(2)インド太平洋における米国の経済的利益の促進
(3)インド太平洋における米国の価値の促進

各部分はさらに全体で20項目に細分化されており分量が多いですが、その中で繰り返し、南シナ海の係争地形への人工島建設とその軍事化をはじめとする、ルールに基づかない中国の行動への懸念が表明されています。執拗ともいえる取り上げ方は、歓迎とともにいささかの驚きすら覚える内容です。米議会の対中強硬の雰囲気をよく表していると言えます。

ARIAの第1編は、日本、韓国、豪州をはじめとする条約上の同盟国との防衛協力強化を求めるとともに、インドとの戦略的パートナーシップの強化、台湾へのコミットメントを求めています。
台湾については、台湾関係法と「6つの保証」に基づく米政府のコミットメント、武器売却を求めるとともに、この3月に成立した「台湾旅行法」に沿って米高官の訪台を大統領が許可すべきである、と言っています。米議会は伝統的に一貫して親台湾ですが、ARIAもその伝統に沿った内容になっています。
第2編では、2国間・多国間の新たな貿易協定の交渉をやりやすくする権限を大統領に付与するとしています。さらに、インド太平洋地域へのLNG(液化天然ガス)の輸出を呼びかけたり、米通商代表部(USTR)に対しASEANと交渉を行う権限を付与するなどしています。

こうしたコミットメントは、トランプのTPP離脱という愚行の損失を、いささかなりとも補うものとなり得るかもしれないです。

第3編では、人権の促進、民主的価値の尊重、法の支配や市民的自由への対応が謳われています。そのために、2019年から2023年の5年間で、1億5千万ドルを拠出するとしています。

トランプ政権は、米国が支持してきた価値観を無視したり軽視したりしているきらいがありますが、ARIAの内容を見ると、議会は必ずしもそうではありません。これは心強い点です。

そして、最も重要なことは、この法案の提出者が、共和党のコリー・ガードナー、マルコ・ルビオ、民主党のベン・カーディン、エド・マーキーと、超党派である点です。

マルコ・ルビオ上院議員

つまりARIAの内容は、米国のコンセンサスと言って良いです。米国のインド太平洋重視、対中強硬姿勢は揺るがないでしょう。これから、米中は対決の要素が多い関係になるのは、間違いないです。

まさに、「アジア再保証推進法」の成立をもって、米国は対中国冷戦を国家戦略として実行していくことを内外に明確に示したのです。昨年10月のペンス副大統領の演説を、実行する意思を内外に示したのです。

習近平は今回の推進法の成立で、涙目になっていることでしょう。米国は、今後中国が体制を変えるか、そうでなければ経済的に無価値になるまで制裁を続けるでしょう。

現在のロシアのGDPは韓国より小さく、東京都を若干下回る程度の規模です。GDPが東京都程度の国が、いくら軍事力が強かったにしても、できることは限られます。

どうあがいても、米国と真正面から軍事力で衝突することなどできません。局所的に戦闘で勝つことはあっても、戦争には到底勝つことはできません。

現在のロシアの経済規模は、経済的に世界に対して影響力を及ぼすには小さすぎて無価値になったといえるでしょう。

米国は、中国が自ら体制を変えない限り、中国を第二のソ連にしようとしていると言って良いでしょう。

なお、米国の政策決定においては、議会が大きな役割を果たしています。この点に鑑み、日本としては米議会の動向をよく観察し、積極的に働きかけていく必要があります。それは、ここで取り上げたような安全保障政策だけに限ったことではないです。

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