カナダ人男性に死刑判決を言い渡した中国遼寧省の大連中級人民法院 |
中国遼寧省の大連市中級人民法院(地裁)は14日、薬物密輸罪に問われたカナダ人男性、ロバート・シェレンベルク氏の差し戻し審で、同氏に死刑判決を言い渡した。判決は、同氏が2014年、共犯者とともに覚醒剤約222キログラムを密輸したと認定した。
シェレンベルク氏の公判は16年3月に大連市の地裁で始まり、昨年11月に懲役15年の判決が言い渡された。
同氏が上訴したが遼寧省の高裁は同12月、1審判決を「不当に軽い」とする検察側の意見を採用、審理を1審に差し戻していた。
中国当局は通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)幹部を逮捕したカナダ政府に対し、報復として在中カナダ人を相次いで拘束。シェレンベルク氏の裁判もカナダ政府への圧力の一環とみられる。
2審で検察側は、1審判決が同氏を「従犯」と認定し、犯罪も未遂だったとして刑を軽減したことは不当だと主張、高裁も認めた。一方、差し戻し審の判決によると、共犯のうち1人は2年間の執行猶予付き死刑、もう1人は無期懲役を言い渡されている。
差し戻し審は判決で、シェレンベルク氏が国際的な薬物密売組織の活動に加担していたと認定。その犯罪は「社会に著しい危害を与えた」として、同氏に死刑と全財産の没収を言い渡した。
【私の論評】外務省は日本国民に対して中国からの退避勧告を出すべき(゚д゚)!
中国の司法はかつて、2年半以上の時間を使ってこのカナダ人の公判を行なって15年懲役の判決を下しました。しかし華為の孟晩舟氏がカナダで拘束されると、わずか2カ月足らずの二審で死刑判決となりました。そのようなものは判決というよりも故意殺人です、中国とは本当に恐ろしい 言葉通りのテロ国家です。
大連市中級人民法院(地裁)は14日、薬物密輸罪に問われたカナダ人男性、 ロバート・シェレンベルク氏の差し戻し審で、同氏に死刑判決を言い渡した |
このような状況では、米国とその同盟国は、自国民を中国に安易に入国させるべきではないです。
米国務省は現地時間の3日、自国民に対し、中国に渡航する際の警告情報を更新しました。いわば、「中国では法が恣意的に適用され、出国できなくなることがある」、「中国国内の争いに巻き込まれたり、中国政府の政治的な動きに利用されたりする」といった警告です。
米国の国務省(U.S. Department of State)は3日、米国民に対し、中国に旅行する際の注意喚起の内容は以下のようものです。
リンク先の記載の要点は、次のとおりです。
「海外から中国の個人を呼び戻すため」とは、昨年、華為(ファーウェイ)CFOの孟晩舟(もう・ばんしゅう、Meng Wanzhou)氏がカナダで拘束されたことに対する意趣返しとして、中国当局が複数のカナダ市民を拘束した事件を指していると考えられます。
また、中国共産党の権力者などと癒着した中国の個人・企業が、自己のビジネスを有利に進めるため、国家権力の助けを得て米国人や日本人などを拘束するなどの嫌がらせを仕掛ける、という話は、中国ビジネスに携わる人の間では有名なチャイナ・リスクの1つです。
米国務省の注意喚起には、まだ続きがあります。
普通の法治国家の場合、なにか犯罪をした(あるいはその嫌疑がかけられた)場合でもなければ、拘束されることは絶対にありません。
隣国韓国でも、産経新聞の記者が「大統領に対する名誉棄損」で出国禁止措置を受けたという事例がありましたが、中国も韓国も「法治主義が期待できない国」といえます。ただし、韓国はいわゆる「国民情緒法」で法治が形骸化さているところがありますが、一応形式的には法治国家ではあります。
このマップの詳細を知りたい方は、以下をクリックしてください。
この点、日本の外務省の対応は非常に甘いと言わざるを得ません。というのも、中国に関しては新疆ウイグル自治区とチベット自治区を「レベル1」に設定していますが、それ以外の地域については注意喚起が出ていないからです(つまり米国でいうレベル1)。
しかし、中国では日中で何らかのトラブルが生じた際に、日本人を拘束したという事例が過去にいくつもあります。実際、菅直人元首相が2010年に尖閣諸島沖で発生した漁船衝突事件の取扱いを間違えた際にも、日本企業の関係者4人が中国本土で拘束されたという事件が発生しています。
このあたり、日本も米国を見習う必要があるように思えてなりません。
米国は中国全体を「レベル2(通常時と比べてより一層注意してください)」、北朝鮮全体を「レベル4(渡航しないでください)」に設定していますが、日本もこれに倣い、北朝鮮については「渡航を自粛してください」ではなく、「レベル4」とすべきですし、中国については「レベル1」以上が相当です。
ついでに、日本に対してレーダー照射事件や徴用工判決など、さまざまな無法行為を仕掛けてくる韓国についても、「レベル1」が相当ではないかと思います。
日本の外務省の役割は、まず第一に、日本国民の利益と安全を守ることにあります。「日中友好」「日韓友好」を大切にするのは結構ですが、くれぐれも優先順位を間違えないでほしいです。
そんなリスクがあることはかなり以前から明らかなのですが、翻ってわが国を眺めてみると、残念ながらわが国の外務省は、この期に及んで中国に対する警戒レベルを引き上げていません。
China Travel Advisory / China – Level 2: Excercise Increased Caution(2019/01/04付 米国務省 Travel Advisoryより)記事タイトルにある “Excercise Increased Caution” とは、「通常時と比べてより一層注意してください(注意喚起レベル2)」のことです。
リンク先の記載の要点は、次のとおりです。
Exercise increased caution in China due to arbitrary enforcement of local laws as well as special restrictions on dual U.S.-Chinese nationals.(中国では国内法を恣意的に適用したり、米中二重国籍者に対する特別な規制がかけられたりしているため、通常時と比べ一層の注意が必要である。)
Chinese authorities have asserted broad authority to prohibit U.S. citizens from leaving China by using ‘exit bans,’ sometimes keeping U.S. citizens in China for years.(中国の当局者は米国市民に対し、「出国禁止規制」などを使って中国国外への出国を禁止することもあり、ときどき、米国市民が何年も中国国外に出られないことがある。)
China uses exit bans coercively:(次のような事例で中国への出国規制がかけられることがある)
to compel U.S. citizens to participate in Chinese government investigations(米国市民に対し中国政府の捜査協力を強要するため)
to lure individuals back to China from abroad(海外から中国の個人を呼び戻すため)
to aid Chinese authorities in resolving civil disputes in favor of Chinese parties(中国の民間人との民事紛争を解決するのを中国当局が支援するため)とくにこの箇条書きの部分は、中国が法治国家ではないことを如実に示しています。
「海外から中国の個人を呼び戻すため」とは、昨年、華為(ファーウェイ)CFOの孟晩舟(もう・ばんしゅう、Meng Wanzhou)氏がカナダで拘束されたことに対する意趣返しとして、中国当局が複数のカナダ市民を拘束した事件を指していると考えられます。
また、中国共産党の権力者などと癒着した中国の個人・企業が、自己のビジネスを有利に進めるため、国家権力の助けを得て米国人や日本人などを拘束するなどの嫌がらせを仕掛ける、という話は、中国ビジネスに携わる人の間では有名なチャイナ・リスクの1つです。
米国務省の注意喚起には、まだ続きがあります。
In most cases, U.S. citizens only become aware of the exit ban when they attempt to depart China, and there is no method to find out how long the ban may continue. U.S. citizens under exit bans have been harassed and threatened.(多くの事例では、米国市民は中国を出国しようとして初めて出国できないことに気付く。そして、たいていの場合、こうした出国禁止措置がいつまで続くかを知る方法もない。出国規制を受けた米国市民は嫌がらせと脅迫を受ける。)ほかにも、「いったん拘束されると領事との面会が制限されることもある」、「中国共産党を批判すると拘束されることもある」など、さりげなく恐ろしいことが色々と書かれています。国務省のホームページの英文はそれほど難しくないので、もし興味があれば、是非、読んでみてください。
普通の法治国家の場合、なにか犯罪をした(あるいはその嫌疑がかけられた)場合でもなければ、拘束されることは絶対にありません。
隣国韓国でも、産経新聞の記者が「大統領に対する名誉棄損」で出国禁止措置を受けたという事例がありましたが、中国も韓国も「法治主義が期待できない国」といえます。ただし、韓国はいわゆる「国民情緒法」で法治が形骸化さているところがありますが、一応形式的には法治国家ではあります。
しかし、中国ではそもそも憲法が中国共産党の下に位置づけられています。法律は憲法に基づき作成されるわけですから、すべての法律が中国共産党の下に位置づけられるわけです。
これが、意味するのは、中国共産党が直接関わることない、事件・事故などに関しては、法律通りに裁判などが行われますが、中国共産党が直接関わる、事件・事故などに関しては、中国共産党が恣意的に裁判の結果を自由に捻じ曲げられるということを意味しています。
だからこそ、今回のようにカナダ人の死刑が短期間で判決されたのでしょう。これは、本当に恐るべきことです。
ちなみに米国務省がある国に渡航するかどうかを巡って注意喚起をする際、その水準は、次の4階層に分けられます。
レベル1:通常の注意を払ってください(Excercise normal precautions)米国は中国を「レベル2」に設定しているのですのですが(下図でいう黄色)、北朝鮮については「レベル4」(下図でいう赤色)だそうです。
レベル2:通常時と比べてより一層注意してください(Excercise increased caution)
レベル3:渡航を再考してください(Reconsider travel)
レベル4:渡航しないでください(Do not travel)
このマップの詳細を知りたい方は、以下をクリックしてください。
https://travelmaps.state.gov/TSGMap/
この、「自国民に対して注意喚起を促す」という制度は主要国が導入しており、たとえば日本の場合も外務省の『海外安全情報』のページで次の4段階にわけて注意喚起をしています。
この、「自国民に対して注意喚起を促す」という制度は主要国が導入しており、たとえば日本の場合も外務省の『海外安全情報』のページで次の4段階にわけて注意喚起をしています。
レベル1:十分注意してくださいしかし、日本の場合は「注意喚起」自体が出ていないケースもあるため、事実上、レベルは5階層ということです。あえて私の責任で日米の注意喚起対応表を作成すれば、次の図表のとおりでしょうか。
レベル2:不要不急の渡航は止めてください
レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)
レベル4:退避してください。渡航は止めてください(退避勧告)
この点、日本の外務省の対応は非常に甘いと言わざるを得ません。というのも、中国に関しては新疆ウイグル自治区とチベット自治区を「レベル1」に設定していますが、それ以外の地域については注意喚起が出ていないからです(つまり米国でいうレベル1)。
しかし、中国では日中で何らかのトラブルが生じた際に、日本人を拘束したという事例が過去にいくつもあります。実際、菅直人元首相が2010年に尖閣諸島沖で発生した漁船衝突事件の取扱いを間違えた際にも、日本企業の関係者4人が中国本土で拘束されたという事件が発生しています。
このあたり、日本も米国を見習う必要があるように思えてなりません。
米国は中国全体を「レベル2(通常時と比べてより一層注意してください)」、北朝鮮全体を「レベル4(渡航しないでください)」に設定していますが、日本もこれに倣い、北朝鮮については「渡航を自粛してください」ではなく、「レベル4」とすべきですし、中国については「レベル1」以上が相当です。
ついでに、日本に対してレーダー照射事件や徴用工判決など、さまざまな無法行為を仕掛けてくる韓国についても、「レベル1」が相当ではないかと思います。
日本の外務省の役割は、まず第一に、日本国民の利益と安全を守ることにあります。「日中友好」「日韓友好」を大切にするのは結構ですが、くれぐれも優先順位を間違えないでほしいです。
その上で、中国、韓国に対しては厳しい制裁を課すべきです。
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