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2020年8月7日金曜日

EUのファーウェイ排除団結のカギを握るドイツの選択―【私の論評】中共は世界中を監視し、世界秩序をつくりかえようとしている。ドイツはそれに目覚めよ(゚д゚)!

EUのファーウェイ排除団結のカギを握るドイツの選択

岡崎研究所

 7月17日付の英フィナンシャル・タイムズ紙で、米ブルッキングス研究所のシニア・フェローであるシュテルツェンミュラーが、欧州、とりわけドイツはファーウェイをめぐり大事な選択を迫られているとして、EUが対中国政策で団結することの重要性を説いている。


 シュテルツェンミュラーの論説は、ファーウェイについてEUは団結して中国に対すべきであると言っているが、それは、現在EUが団結していないことを意味する。

 実際、EUの足並みはそろっていない。論説で見る限り、ポーランドはファーウェイ排除を決めており、イタリアが発表したガイドラインは事実上ファーウェイを排除することになりそうである。フランスは、ファーウェイの機器を使用する通信企業に新たな事業許可を与えない方針で、実質2028年までに排除することを決めた。

 EUの団結のカギを握るのはドイツである。メルケル首相自身は、ファーウェイを注意深く扱うべきであるとの立場である。しかし、メルケル首相の属するキリスト教民主同盟(CDU)の多くの議員をはじめ、連立のパートナーの社民党、緑の党などは、メルケルの立場に批判的である。一方、閣内のアルトマイヤー経済大臣、ドイツテレコム、自動車産業などがファーウェイの受け入れに賛成である。これは、中国がドイツの最大の貿易相手国であることを考えれば、いわば当然とも言える。

 しかし、ファーウェイを取り巻く状況が変わってきている。それは、中国が香港の例にみられるように、最近、権威主義的な行動を強めており、論説によれば欧州に対してポピュリスト支持の情報操作や高位外交官による脅迫など、欧州の弱みを利用する強圧的な行動が目立つという。他方で、COVID-19が情報ネットワークの重要性をクローズアップした。つまり、5Gといった重要なデジタルエコシステムで中国に依存することの安全保障上のリスクが再認識されたのである。

 論説は、欧州は団結すれば真の梃子を持てると言っている。どのような団結が可能なのか。これまでのEU内の議論、そしてカギを握るドイツ内の状況を考えると、EU27か国がファーウェイの全面排除で団結することは考えられない。例えば、EU諸国のテレコム組織が新たにファーウェイを採用することは認めないといったラインで合意がなされるのではないか。これは米国のファーウェイ全面排除に比べれば弱いが、中国にとっては大きな痛手だろう。

 EUが強い姿勢でファーウェイに対処するようになるとすれば、その引き金を引いたのは中国の権威主義的行動である。中国は自らの政治、外交姿勢が経済にも影響を与えることを知らされることになる。しかし今の習近平体制は、経済的にマイナスだからと言って権威主義的、強権的姿勢を変えそうにない。その間、米中の対決の様相は一層深まっていくだろう。欧州諸国も、そして日本も、その影響を免れることはできない。情報社会の重要性を認識して、的確な政策を講じていくことが求められる。

【私の論評】中共は世界中を監視し、世界秩序をつくりかえようとしている。ドイツはそれに目覚めよ(゚д゚)!

ファーウェイは何年も前から移動通信インフラ市場を支配。安価な製品を投入して、競合する北欧のノキアやエリクソンの売り上げを切り崩してました。しかしファーウェイ製品が中国政府による情報窃取に使われ得るとの米政府の懸念が力を増しています。

英国政府とフランス政府はいずれも、自国の通信網から同社製品を排除しようとしています。他のあちこちでも同様の対応が広がれば、ファーウェイの通信機器事業には深刻な打撃になるでしょう。同事業は昨年、430億ドル(約4兆5000億円)近い売り上げを稼ぎ、会社全体の売上高の約3分の1を占めました。

しかし、アンテナや鉄塔を他社製に建て替えるというのは、問題のごく一面にすぎません。英国のボーダフォンやBTのような通信業者がたとえ既存のファーウェイ機器を全撤去した場合、控えめに見積もって20億ポンド(約2700億円)の費用がかかるとしています。

世界の通信業者は引き続き、次世代通信網を本格展開する上ではファーウェイの技術に依存することになります。ドイツの知財調査会社によると、ファーウェイは最も5G関連の特許を所有しており、そのうち15%が欠かせない特許だという。

簡単に言うとそうした特許は、世界の通信業者が異なる通信網間で相互に機能できるようにするためのいくつもの技術的仕様だ。そこで一つの統一的な基準を打ち立てることは、5Gの要になります。つまり、世界中あちこちの何十億もの機械や自動車やちょっとした機器を継ぎ目なくつなぐことを意味するからです。

ファーウェイの特許の利益の大半は移動通信基地局関連です。ノキアやエリクソンが欧州全域でファーウェイの基地局などのインフラを自社製に置き換えたとしても、両社はなおもファーウェイの特許を使い続ける必要があるのです。

今のところ知財関連の収益はファーウェイ全体にはそれほど貢献していません。同社はむしろ、ライバル社との特許のクロスライセンス契約を好んでいます。

ファーウェイは、自分が締め出された市場でクロスライセンス契約を停止することもできます。そうなれば移動通信各社は特許使用料や手数料を払う羽目になります。これはファーウェイにうまみのあるビジネスになるかもしれないです。例えば米クアルコムは重要な移動通信用半導体技術を多く所有しており、2017年以来のライセンス収入は170億ドルを超えています。

ファーウェイは既に今年、米通信ベライゾンを特許侵害で提訴し、10億ドル超の支払いを求めている。ファーウェイが持つ技術的優位も、中国政府の手によって政治的な駆け引きの材料にされるリスクがあるのです。

ただ、米司法省は2月13日、中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ)が企業秘密を盗み当局に虚偽の説明したとして、同社を追起訴しています。

ファーウェイと孟晩舟最高財務責任者(CFO)は既に詐欺や米国の対イラン制裁法違反の罪で起訴されていました。司法省は追起訴で、従来マフィア訴追に用いられてきた「威力脅迫および腐敗組織に関する連邦法(RICO)」を基に、ファーフェイが数十年にわたり知的財産権の窃盗に関与したと主張。不当利得行為を共謀した罪も含めたことで、有罪となれば刑罰はさらに重くなる可能性があります。

司法省は声明で、ファーウェイの違法行為は「研究開発費を大幅削減し、遅れを減らすことが目的で、それにより同社は著しく不当な競争上の優位性を得た」と指摘。競争相手の機密情報を入手した従業員を報償するボーナスプログラムまで導入していたと論じました。

追起訴でファーフェイは、企業秘密を盗み米国の制裁を回避し、当局に虚偽の説明をして国際的な地位を獲得した企業として描写されました。ファーウェイが知的財産を盗んだとする相手企業名は明記されていないですが、司法省の主張の詳細には、シスコシステムズやモトローラなどの企業に合致する説明がりました。

米中の5Gに関する争いは、単なる米中の技術派遣争いとか、知的財産権の保護に関する問題などと考える人も多いようです。

中国では、米国の約10倍に当たる35万以上の5G基地局がすでに設置されています。精度が増したジオロケーション(地理位置情報)と顔認証技術を搭載した広大な監視カメラ網を組み合わせたことによって、国内に1,100万人いるイスラム教徒のウイグル族を当局は追跡管理できるようになりました。

SF映画さながらの中国の監視カメラの画像

こうした取り組みによって、中国は次世代技術を人々の監視に適用することにおいて世界の最先端の位置にいます。将来的には『人種差別の自動化』という新たな時代の到来を体現するかもしれない」と『ニューヨーク・タイムズ』は伝えています

米国はこうした段階まではまだ到達しておらず、そうなることはないのかもしれないです。しかし、5Gの商用展開は始まっています。新たなデータ通信を手に入れて利用したいという声は、個人をはじめ企業や政府のなかから大きくなる一方です。システムに安全策を組み込むことを目指すのは、当然であり必要なことでしょう。

中国のような、全体主義体制の政府に限らずどんな政府であっても、市民のなすことすべてを常時知ることができるというのは、民主主義の根幹にかかわる問題です。なぜなら、市民がどう考えてどんなふうに行動し、何をするのか、政府は必ずや規制したいと考えるようになるからです。問題なのはそのような世界がどういうものなのか、ほとんどの人が真剣に考えていないところにあります。

私自身は、5Gの問題の本質は、技術ではなく、それこそウィグル問題と密接に絡んだものだと思います。全体主義国家がかつてない高度な監視技術を持つことへの脅威こそがその本質だと思います。

ポンペオ長官の先月23日の演説には以下のようなくだりがありました。
志を同じくする国々の新たな集団、民主主義諸国の新たな同盟を構築するときだろう。自由世界が共産主義の中国を変えなければ、中国が我々を変えるだろう。
私自身は、現在の中国はすでに共産主義ではなく、経済的には国家資本主義体制でであり、統治の観点からは、完璧な全体主義だと思います。それは、それとして自由社会が中共を変えなければ、中共が我々を変えることになるのは間違いないでしょう。

この怪物中共が、高度な監視技術を持って、自国内のみならず、世界中を監視できるようしたいというのが、中共の本音であり、その後には世界中を監視し、世界の現在の秩序をすべて自分の都合の良いよいにつくりかえてしまうというのが、彼らの究極の目的です。

確かにファーウェイの5Gが世界を席巻した場合、そうなる可能性が高いです。監視社会には、犯罪を削減するという効果もありますが、どの程度の監視にするのか、人々のプライバシーをどう守るかということについては、全体主義国家が独善的に決めることではありません。

世界の多くの国々よって、社会を發展させていくという方向性で、新たな秩序を形成していくべきです。

日本では、COCAという感染確認アプリが開発され、感染者も非感染者も互いにわからない形で、接触した可能性を通知するという方式で、感染の可能性を通知しながらも、人々のプライバシーを守っています。

COCOAの説明画面

このアプリそのものについては、不具合があったり普及率が低いということで、効果が疑問視されているところもありますが、それはそれにして、人々のプライバシーを守ったうえでの監視方法ということでは、発想としては素晴らしいものだと思います。

中国にも似たようなアプリがありますが、発想は日本のものとは全く発想が異なります。利用者がスマホのアプリに身分証番号などの個人情報を登録すると、その人が感染しているリスクが緑、黄、赤の3段階で示されます。判断の基準は明確に説明されていませんが、家族関係や移動履歴などのデータから、感染者との濃厚接触の可能性や感染地域への出入などをはじき出す仕組みとみられています。


利用は強制ではないですが、登録しないと職場に復帰できなかったり、店舗に入れなかったりすることがあります。北京市でも従業員の証明を店頭に貼り出す飲食店や、客に提示を求める店舗などが増え始めています。このシステムはすでに全国の200以上の都市が採用しています。

中国と日本の感染確認アプリでは、設計思想に雲泥の差があります。中国の感染確認アプリでは、個人の意思とは関係なく、政府が感染の有無や程度まで決定します。それに対して、日本では、あくまで感染者との接触した可能性が高いことを知らせるのみです。

それを知らせて後は個人の自由意志に任せています。日本では、中国のようなアプリは絶対に許容されないでしょう。ここが、全体主義のと自由主義の差です。

これは、感染アプリの事例ですが、世界の秩序が中共の都合の良いようにつくりかえられてしまえば、自由主義の国々の社会は根底から崩れることになります。

そのようなことは、自由主義の国々の人々は到底容認できないでしょう。このようなことに気づいたからこそ米国は、中国に対峙しているのです。

社会が根底からくつがえされる可能性を考えれば、技術的な問題や、経費の問題など、とるに足りないものだと思います。自由主義諸国は、ファーウェイの5Gが使えないなら、しばらくは4Gを使用して、5Gはるかに凌駕し、4Gや5Gなどとは、一線を画した6Gを開発して、それを使えば良いのです。

英国は香港問題などで、それに目覚めたようです。ドイツもはやく目覚めてほしいものです。

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2019年11月3日日曜日

中国共産党は「国際支配」求める、ポンペオ米国務長官―【私の論評】米国は中国による前代未聞の世界秩序への挑戦を阻止する(゚д゚)!

中国共産党は「国際支配」求める、ポンペオ米国務長官


香港(CNN) ポンペオ米国務長官は3日までに、中国共産党は「国際支配」を欲しており、外国諸国を自らの側へ引き込もうとする「世界的なキャンペーン」に着手したとの見方を表明した。

米ニューヨークのハドソン研究所での演説で述べた。増大する米中間の競争関係をめぐり今後数カ月間、複数回の演説を行う方針も示した。

長官はこれらの演説では「競合するイデオロギーと価値観が米国と世界に及ぼす影響力に言及する」とし、中国共産党は闘争と世界支配を狙うマルクス・レーニン主義の党であると強調。「我々は中国指導者の発言に注視する必要がある」とも主張した。

ただ、米国は中国を「戦略的な競争国家」と明瞭に位置付けながらも、「対立」は求めていないとも説明。「実際は反対のことを望んでおり、自国の国民や隣国の国民と平和な状態にある、繁栄する中国を目にしたい」と指摘。「自国民の非凡な才能が栄えることを許す自由化された中国を見てみたい」とも期待した。

ポンペオ長官の今回の発言に対し中国外務省の報道官は「悪意をもって中国を非難している」と反論。「米国の一握りの政治家が抱く根深い政治的偏見と反共産主義を十分に反映している」と反発した。

米中関係は過去2年間、貿易や香港情勢などを含めさまざまな分野で対立が目立っている。

【私の論評】米国は中国による前代未聞の世界秩序への挑戦を阻止する(゚д゚)!

中国では昨年6月22~23日に、外交政策に関する重要な会議である「中央外事工作会議」が開催されました。同会議は、これまで2006年と2014年の2回しか開催されたことがないです。

今回は、習近平(共産党総書記、国家主席)以下、中国共産党政治局常務委員7人全員、王岐山国家副主席、崔天凱駐米中国大使らが参加しており、会議の重要性が窺われます。

昨年6月22~23日に、開催された「中央外事工作会議」

会議で、習近平は、中国が今後のグローバル秩序の構築において主導的役割を果たすことを明確に打ち出す演説をしました。同年6月24日付け人民日報等が報じています。習近平の演説には、以下のような注目すべき内容が含まれていました。
・新時代の中国の特色ある社会主義外交思想を指導方針とする 
・グローバルな統治の刷新を主導、より完全なグローバルパートナー関係のネットワークを構築 
・中華民族復興と人類の発展を軸に、人類運命共同体の構築を推進 
・一帯一路構想、AIIB(アジアインフラ投資銀行)の推進 
・巧妙に策をめぐらし、安定した発展的な大国外交の新たな局面を開くよう努力 
・周辺国への外交工作をうまく行い、周辺の環境を中国に友好的で有利なものにする 
・国家の核心的利益と重大な利益を死守する 
・多くの途上国は、中国外交にとり天然の同盟軍である
これは、中国が既存の秩序に代わる国際秩序を構築するという宣言であると言えます。既存の秩序は、自由、民主主義、人権尊重、国際規範の遵守といった諸価値に基づくものです。

これに対し、習近平が演説で示す外交方針は、「社会主義外交思想」に基づくものであるということですから、既存の秩序とは大きく異なった、中国中心の秩序を目指すものと理解できます。

中国は、南シナ海問題への国際仲裁裁判所の判決を「紙くず」と評したような国です。また、「民族の復興」や「核心的利益」は、台湾の武力併合を含んでいます。そうした中国が目指す国際秩序に懸念を抱かざるを得ないです。

「人類運命共同体」は、重要なキーワードの一つです。これは、昨年3月の憲法改正で、新憲法にも盛り込まれた概念です。中国は「人類運命共同体」という言葉を精力的に国際社会に売り込もうとしています。

一昨年1月には、習近平はダボス会議と国連ジュネーブ本部で「人類運命共同体の構築」を謳った演説をしました。昨年3月には、中国の主導により、人権状況の批判に際して、地域の特性、歴史、文化、宗教などの背景に留意するよう求める「互恵協力決議」が、国連人権理事会で採択されましたが、同決議にも「人類運命共同体」の文言が含まれています。
「前進の道のりにおいて、われわれは平和発展の道を堅持、互恵ウィンウィンの開放戦略を遂行し、世界各国の人民と共に人類運命共同体の建設を推進していく」。
「人類運命共同体」の内容は、まだ、あまり具体的に示されているわけではないですが、相互尊重・平等な協議、相互理解、公正・公平、互恵、文明の多様性尊重、環境保護などが含まれているようです。

「文明の多様性尊重」は、一見もっともですが、「互恵協力決議」が示唆するように、自由、民主主義、人権尊重、国際規範の遵守を普遍的価値とみなす現行の国際秩序に注文をつけているとも解釈できます。

習近平は、一昨年の第19回党大会で「人類運命共同体」の説明として、冷戦思考の放棄、同盟の代わりにパートナーを組む、などのことも言っています。

これは、米国を中心とする同盟ネットワークへの対抗を意味するようです。なお、一昨年1月15日付けの人民日報は、人類運命共同体について「中華文明に根差した外交理念」と解説しています。華夷秩序を連想せざるを得ないような表現です。中国が目指す「人類運命共同体」の具体的内容が如何なるものになっていくのか、注視していく必要があります。

ちなみに「人類運命共同体」などの言葉最初にでてきたのは、2015年9月29日の人民日報のようです。人民日報は2015年9月28日に「中国国家主席習近平がニューヨークの国連本部で一般討論演説を行い、協力・ウィンウィンを核心とする新型の国際関係を構築し、人類運命共同体を築く必要性を強調した」と報道しています。

ただし、その頃は米国はオバマ政権であり、中国の危険な意図に脅威を抱くまでにはいかなかったようです。無論一部の人は、その頃から脅威に感じていましたが、大きな声にはなりませんでした。やはり、米国がこれを大きな脅威とみたのは、昨年の「中央外事工作会議」の後の習近平の演説によってです。これによって、米国では一気に超党派で中国に対峙しようという雰囲気が醸成されたようです。

先の中央外事工作会議における習近平の演説では、一帯一路、AIIBの推進とともに、「途上国は中国外交にとり天然の同盟軍」という表現も目を引きました。理念として「人類運命共同体」を掲げつつ、一帯一路やAIIBにより途上国を中国の影響下に置き、中国中心のグローバルガバナンスを目指すということであると推測できます。

中央外事工作会議に関しては、昨年もこのブロクで解説しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国がこれまでの国際秩序を塗り替えると表明―【私の論評】中華思想に突き動かされる中国に先進国は振り回されるべきではない(゚д゚)!

この記事は、2018年7月6日金曜日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に結論部分のみ引用します。
日本をはじめとした先進国は、様々な利害の衝突もありますが、それにしても中国による世界秩序に対して譲れない部分があるはずです。特に、民主化、経済と政治の分離、法治国家化という概念は、絶対に譲れないところでもあります。 
そうして、この部分が何が何でも譲るべきではありません。中国が、チベット、ウイグル、内蒙古、満州などの本来の外国の領土であるところを除く自国の本土のみで、中国の価値観を実現するのはある程度許容できるところもあるかもしれません。 
しかし、現在は19世紀ではなく、すでに21世紀です。現在に至るまで、古代の妄想を引き継いでいるのは、不合理だし、異様でもあります。 
そうして一帯一路やAIIBにより、他国にまで中華思想を押し付けるようなことが絶対あってはなりません。さらに、中国人民も中国の体制に虐げられることは本来防がなければならないはずです。 
やはり、先進国は、米国と協調して、中国の現体制を崩壊に向かわせるべく努力すべきです。特に、妄想ともいえる、中華思想は必ず打ち砕かなければなりません。
ポンペオ長官による"中国共産党は「国際支配」を欲している"という発言は、当然のことながら、習近平の「中国が既存の秩序に代わる国際秩序を構築するという宣言」を指しているものと思われます。

私は、中国が世界征服をしようとしているとまでは思いませんが、中国が自らにとって都合の良い新たな国債秩序をつくろうとしていることは明白であり、それを米国が排除しようとしているのは当然のことだと思います。

中国が新たな世界秩序をつくるということは、日本やEUなども含まれる、米国を頂点とする世界秩序を破壊して、中国による秩序を作り出すということであり、そんなことを中国の都合だけで実行されてはたまったものではありません。

演説するペンス副大統領

10月24日には、このブログにも掲載しましたが、ペンス米副大統領は「中国は人々の自由と権利を抑圧…結局は軍事だ」、対中強硬論を述べていましたが、今回のポンペオ長官の発言ともあわせて考えると、米国は中国による新たな世界秩序の構築を米国への挑戦と見据えて、これを阻止することを決断し、その意思には全く揺らぎがないことを宣言したと受け取るべきです。

そうして、この動きは、米国においては超党派の動きであり、すでに米国の固い意思となったと受け取るべきです。次の大統領がトランプ氏であろうが、誰であろうが、変わりません。

米中通商交渉等で一時妥協したようにみえることもあるかもしれませんが、もそれは一時の戦術的なものに過ぎず、戦略的には中国が現在の世界秩序にあわせて、自らを変えるか、それを中国が拒否するなら、世界秩序の変更に二度と挑戦できないくらいまで、中国経済ならびに軍事力が弱体化するまで、米国は対中国冷戦を継続するでしょう。

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2017年2月7日火曜日

支那とロシアが崩壊させる自由主義の世界秩序―【私の論評】世界は戦後レジームの崩壊に向かって動いている(゚д゚)!

支那とロシアが崩壊させる自由主義の世界秩序

孤立主義ではいられないトランプ政権

ロバート・ケーガン氏
 世界に国際秩序の崩壊と地域戦争の勃発という2つの重大な危機が迫っている。

 米国は、第2次大戦後の70余年で最大と言えるこれらの危機を招いた責任と指導力を問われている。米国民がドナルド・トランプ氏という異端の人物を大統領に選んだ背景には、こうした世界の危機への認識があった──。

 このような危機感に満ちた国際情勢の分析を米国の戦略専門家が発表し、ワシントンの政策担当者や研究者の間で論議の波紋を広げている。

 自由主義の世界秩序が崩壊へ向かう

 この警告を発したのは、ワシントンの民主党系の大手研究機関「ブルッキングス研究所」上級研究員のロバート・ケーガン氏である。

 ケーガン氏は米国学界でも有数の国際戦略研究の権威とされ、歴代政権の国務省や国家情報会議などに政策担当の高官として登用されてきた。従来は保守派の論客とされてきたが、近年ではオバマ政権でも政府の諮問機関に招かれ、国際戦略情勢に関する政策などを提言してきた。昨年の大統領選ではヒラリー・クリントン候補の政策顧問を務めている。

 ケーガン氏は1月24日に「自由主義的世界秩序の衰退」と題する同論文を発表した。同氏はこの論文で、第2次大戦以降の70余年の間、米国主導で構築し運営してきた自由主義の世界秩序は、崩壊に向かう最大の危機を迎えたと指摘する。

 危機の原因となっているのは、支那とロシアという反自由主義の二大国家の挑戦だ。1991年のソ連崩壊以後の米国の歴代政権が「唯一の超大国」の座に安住し、とくにオバマ政権が軍事力を縮小して「全世界から撤退」したことがその状況を招いたという。

 支那、ロシアの軍事力行使の危険性が高まる

 ケーガン氏の論文の要点をまとめると以下の通りである。

・世界は第2次世界大戦の終結から現在まで、基本的には「自由主義的世界秩序」に支えられてきた。この秩序は民主主義、自由、人権、法の統治、自由経済などを基盤とし、米国の主導で構築され運営されてきた。

・しかしこの世界秩序は、ソ連崩壊から25年経った今、支那とロシアという二大強国の挑戦により崩壊の危機を迎えるにいたった。

・支那は南シナ海、東シナ海へと膨張し、東アジア全体に覇権を確立して、同地域の他の諸国を隷属化しようしている。ロシアはクリミア併合に象徴されるように旧ソ連時代の版図の復活に向かっている。両国はその目的のために軍事力の行使を選択肢に入れている。

・支那とロシアの軍事的な脅威や攻撃を防いできたのは、米国と同盟諸国が一体化した強大な軍事力による抑止だった。

・だが、近年は米国の抑止力が弱くなってきた。とくにオバマ政権は対外的な力を行使しないと宣言し、国防費の大幅削減で米軍の規模や能力はすっかり縮小してしまった。

・その結果、いまの世界は支那やロシアが軍事力を行使する危険性がかつてなく高まってきた。武力行使による膨張や現状破壊を止めるには、軍事的対応で抑止することを事前に宣言するしかない。

 米国はリーダーシップを取り戻すべき

 ケーガン氏は論文で以上のように、いまの世界では支那とロシアの軍事行動による地域的な戦争の危機が高まっており、その結果、自由主義的な世界秩序の崩壊がありうると警告していた。

 トランプ政権は米軍の再増強や「力による平和」策を宣言しながらも、世界における超大国としての指導的立場や、安全保障面での中心的役割を復活させることには難色をみせている。

 だがケーガン氏は、世界の危機への対策としては、米国が世界におけるリーダーシップを再び発揮することだという。

 ケーガン氏は、今回の大統領選で米国民がトランプ氏を選んだのは、オバマ政権の消極的政策のために世界の危機が高まったという認識を抱き、オバマ路線とは異なる政治家を求めたからだとみる。トランプ大統領は、まさに非常事態だからこそ生まれた大統領だということだろうか。

【私の論評】世界は戦後レジームの崩壊に向かって動いている(゚д゚)!

世界の危機が高まっていると、警告するのは、ロバート・ケーガン氏だけではありません。たとえば、ジョセフ・ナイ氏も警告しています。ジョセフ・サミュエル・ナイ・ジュニア(Joseph Samuel Nye, Jr.、1937年1月19日 - )は、アメリカ合衆国の国際政治学者。ハーバード大学特別功労教授。アメリカ民主党政権でしばしば政府高官を務め、知日派としても知られます。

この、ジョセフ・ナイ氏が、「キンドルバーグの罠」という論文を先月9日に発表しています。この論文なかなかの優れものなので、以下にナイ氏の写真ととも、この記事の要約を掲載します。

ジョセフ・ナイ氏
キンドルバーグの罠 
トランプ次期大統領が対中政策の方針を準備するにあたって、歴史の教える注意すべき二つの大きな「罠」がある。 
一つ目は、習近平主席も引用した「ツキュディデスの罠」(Thucydides Trap)である。これは古代ギリシャの歴史家が発したとされる「既存の大国(例:米国)が台頭しつつある大国(例:支那)を恐れて破壊的な大戦争が起こる」という警告だ。 
ところがトランプ氏が気をつけなければならない、もう一つの警告がある。それは「キンドルバーガーの罠」(Kindleberger Trap)であり、これは支那が見た目よりも弱い場合に発生するものだ。 
チャールズ・キンドルバーガー
 チャールズ・キンドルバーガー(Charles Kindleberger)は「マーシャル・プラン」の知的貢献者の一人であり、後にマサチューセッツ工科大学で教えた人物だ。 
彼は破滅的な1930年代が発生した原因として、アメリカが世界大国の座をイギリスから譲り受けたにもかかわらず、グローバルな「公共財」(public goods)を提供する役割を担うことに失敗したことにあると指摘している。 
その結果が景気後退であり、民族虐殺であり、世界大戦へとつらなる、国際的なシステムの崩壊だというのだ。 
では力を台頭させている今日の支那は、グローバルな「公共財」を提供できるのだろうか? 
一般的な国内政治において、政府は国民全員の利益となる「公共財」、つまり警察による治安維持やクリーンな環境を生み出している。 
ところがグローバルなレベルになると、安定した気候や金融・財政、航行の自由のような「公共財」というのは、世界で最も強力な国が率いる同盟関係によって提供されるのだ。 
もちろん小国はそのようなグローバルな「公共財」のために貢献するインセンティブをほとんどもたない。彼らの小さな貢献は、そこから得られる利益の差を生むことはないため、彼らにとっても「タダ乗り」が合理的なものとなるからである。 
ところが最も強力な国は、小国たちの貢献の効果や差を感じることができる。だからこそ最も強力な国々にとって「自ら主導する」のは合理的なことになるのだ。もし彼らが貢献しないとなると「公共財」の生産は落ちてしまう。 
この一例がイギリスである。第一次世界大戦後に彼らがその役割を果たせないほど弱体化した後、孤立主義的なアメリカはそのまま「タダ乗り」を続けたために、破滅的な結果を生んだのだ。 
何人かの専門家は、支那は十分な力をつけても(自分たちが創設したわけではない)その国際秩序に貢献せずに、「タダ乗り」を続けると見ている。 
これまでの経過は微妙なところだ。支那は国連体制から利益を受けており、たとえば安保理では拒否権を持っている。平和維持軍では第二の勢力となっており、エボラ熱や気候変動の対処のような国連の計画にも参加している。 
また、支那は世界貿易機関(WTO)や世界銀行、そしてIMFのような多国的経済制度からも大きな恩恵を得ている。

2015年にはAIIBを創設し、これを世銀の対抗馬にすると見る人もいたが、実際は世銀と協力しながら国際的なルールを遵守している。 
その一方で、去年の南シナ海の領土問題におけるハーグの判決の拒否は、支那に対する大きな疑問を投げかけることになった。 
それでもこれまでの支那の行動は、自らが恩恵を受けているリベラルな世界秩序をつくりかえようとするものではなく、むしろその中で影響力を増そうというものだ。 
ただしトランプ政権の政策によって追い込まれると、支那は世界を「キンドルバーガーの罠」に落とす、破滅的な「タダ乗り」をする国になる可能性が出てくる。 
同時に、トランプはより有名な「ツキュディデスの罠」にも警戒すべきである。つまり弱すぎる支那よりも、強すぎる支那である。 
もちろんこの「罠」は、不可避であるわけではないし、その効果も誇張されることが多い。 
たとえば、政治学者のグレアム・アリソン(Graham Allison)は、1500年以降の既存の大国が台頭する大国に直面した16のケースのうち、12回が大戦争につながったと論じている。 
グレアム・アリソン氏
ところがこの数は不正確である。なぜならどれがその「ケース」に該当するのかが不明確だからだ。 
その一例として、イギリスは19世紀なかばに世界大国であったが、それでもヨーロッパ大陸の中心部に新たなドイツ帝国が誕生するのを見逃している点などが挙げられる。 
当然ながら、イギリスはそのおよそ50年後となる1914年にドイツと戦うことになったのだが、これは一つのケース、もしくは二つのケースとしてカウントされるのか微妙なのだ。 
第一次世界大戦は、単に台頭するドイツに直面した既存の大国であるイギリスというケースではなく、それに加えてドイツ国内におけるロシアの台頭に対する恐怖が原因であるし、衰退しつつあったオーストリア=ハンガリーにおけるスラブ系のナショナリズムの盛り上がりに対する恐怖のように、古代ギリシャの例とは違う無数の要因によるものであった。 
現在のアナロジーに関していえば、今日の米中間のパワー・ギャップは、1914年当時におけるドイツとイギリスの間よりもはるかに大きい。注意を促すという点ではたしかに比喩というのは有用だが、歴史的に不可避なような感覚を醸し出しはじめると危険なものになってくる。 
さらに古代ギリシャのケースでも、ツキュディデスが解説したようなシンプルなものではない。 
彼は第二次ペロポネソス戦争の原因はアテナイの力の台頭がスパルタの恐怖を起こしたことにあると主張しているが、イエール大学の歴史家であるドナルド・ケーガン(ブログ管理人注:ブログ冒頭の記事にでてくるロバート・ケーガンの父)の研究によれば、アテナイの国力は実際は台頭しておらず、紀元前431年に戦争が勃発した時のバランス・オブ・パワーは安定化し始めていたのだ。 
ドナルド・ケーガン氏
むしろスパルタに「リスクを冒しても戦争をすべきだ」と思わせたのは、アテナイの政策面での間違いだった。 
アテネの台頭は同世紀初期の第一次ペロポネソス戦争のほうの原因となったのだが、その後の30年間は停戦が続いた。ケーガンによれば、より破壊的なものとなった第二次ペロポネソス戦争が発生するためには、まだ消えさっていない火種を再び点火する火花と、それをマズい政策の選択を選び続けることによって煽ることが必要だったのだ。 
これをいいかえれば、この戦争は「非人間的な力」ではなく、難しい状況におけるマズい決断によって発生したのだ。 
これこそが、支那の台頭に直面する現在のトランプにとっての課題だ。彼は「強すぎる支那」と「弱すぎる支那」に同時に対処しなければならないからだ。つまり彼は「キンドルバーガーの罠」と「ツキュディデスの罠」の両方を避けなければならないのである。 
究極的にいえば、彼が避けるべきなのは、人類の歴史をむしばんでいる「計算違い」や「思い違い」、そして「早とちりの判断」なのである。
結論をリーダーの失策というところに求めているのは実務経験のあるナイ氏だからでしょうか。

それにしても、最近もトランプ政権のカオスぶりが目立ちます。

ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期米大統領が国防長官への起用を発表しているジェームズ・マティス(James Mattis)元中央軍司令官(66)は先月12日、上院軍事委員会で開かれた指名承認公聴会の場で、ロシアが北大西洋条約機構(NATO)を破壊しようとしていると非難し、米国はかつての敵国ロシアに立ち向かう必要があるとの考えを示しました。

狂犬との異名を持つジェームズ・マティス氏
元海兵隊大将のマティス氏によるこの痛烈なロシア批判は、近く上司となるトランプ氏の対ロシア観とは懸け離れています。トランプ氏はこれまで、「非常に頭が切れる」などとウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の指導者としての手腕を繰り返し称賛し、両国間の関係改善を訴えてきました。

公聴会でマティス氏は、現在の世界秩序が直面している緊迫した状態をどのように認識しているかという質問に対して、第2次世界大戦(World War II)以後で最も大きな攻撃にさらされていると回答。「(その攻撃は)ロシアやテロ集団によるものであり、南シナ海(South China Sea)で支那が行っていることもそうだ」と指摘しました。

さらにマティス氏は、トランプ氏同様、ロシアとの関わり合いを深めることは受け入れるとしながらも「プーチン氏との協力の範囲については、ごく控えめな期待」しか抱いていないと強調しました。

ということで、アメリカという超大国も、政権中枢が混乱すると余計で無駄な戦争を起こす可能性もなきにしもあらずです。

ただし、ジョセフ・ナイ氏は、もっぱらトランプ大統領が「計算違い」や「思い違い」、そして「早とちりの判断」をする可能性を述べていますが、私としては、習近平やプーチンのそれのほうが、可能性は大きいと思います。

習近平やプーチンは、オバマ政権が軍事力を縮小して「全世界から撤退」したことを受けて、支那は海洋進出し周辺諸国の隷属化する道を歩み、ロシアはクリミア併合に象徴されるように旧ソ連時代の版図の復活に向かっています。

そうして、支那はもともと、建国以来ウイグル、チベット、内蒙古、満州などに侵略して版図を広げました。旧ソ連は、建国から崩壊まで、毎年平均するとオランダと同程度版図を拡大してきました。

これを考えると、ロバート・ケーガンが主張するように、支那、ロシアの軍事力行使の危険性があることを前提に、自由主義的な世界秩序の崩壊を防ぐために、米国はリーダーシップを取り戻すべきです。

米国がリーダーシップを取り戻すことにより、支那・ロシアが今後軍事力の行使を諦めればそれで良いですが、もし行使すれば、米国としてもこれに対抗するため行使する他ないでしょう。

米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は先月25日、米当局者の話として、トランプ政権が国連などへの拠出金の削減や、一部の多国間条約からの離脱を目指す二つの大統領令署名を検討していると報じました。国連への関与を大幅に見直し、政権が掲げる「米国第一」主義を推進する狙いがあるとみられます。

ご存知のように、国連とは英語では"United Nations"であり、これは直訳すれば、「連合国」です。国連とは、第二次世界大戦の戦勝国のための組織です。米国がここへの関与を大幅に見直し、関与をあまりしないようにするということは、米国が戦後体制から離脱することを意味します。

トランプ氏は大統領選で、支那の対米輸出拡大を批判して「45%の関税をかける」と繰り返していました。また、支那が通貨安誘導によって輸出を促進していると訴えていました。

しかし、これは事実上WTO加盟国に対してはできない措置です。どうしても、米国が支那に対して「45%」の関税をかけるということになれば、WTOを脱退しなければなりません。これも、戦後体制からの脱却を意味します。

ここまでしないとしても、米国としては、支那に対して金融制裁措置をとることもあり得ます。

戦後体制を概要を決定したヤルタ会談(前列左よりチャーチル、ルーズベルト、スターリン)
日本の保守層は、「戦後レジーム」からの脱却ということを主張してきました。私も、当然のことながらこれには賛成です。

ただし、私たちは現在米支露が「戦後レジーム」を崩壊させるほうに動いていることを理解すべきです。そうして、最悪のシナリオでは米・支・露三つ巴の戦争が起こる可能性さえあり得るということを銘記すべきでしょう。さらに、このことは日本を含めた世界中の国々に大きな影響を与えます。日本は、遅ればせながら今からでもそれに備える必要があります。

戦後体制が崩れれば、そのときには、北朝鮮のミサイル発射にも、支那の海洋進出にも、あらゆる外交課題について日本はアメリカに全面的に頼ることはできないと考えて臨むべきです。

日本の後ろにもうどのような場合でも、アメリカが存在していて、必ず助けるてくれるとは限らないと、覚悟するよりないのです。もう与野党で馬鹿な議論、誹謗合戦をしている暇はないのです。

しかしこれは、当たり前のことなのです。自分の国のことを他国に憚らず自分で決め、自分で守るのは、トランプ(大統領)に言われることなく、自明の理屈なのである。無論その時に、米国との対等同盟関係を築くことも選択肢の一つです。

しかし、アメリカに頼りきって、アメリカに守られながら生きる日本の時代、日本にとっての「戦後レジーム」は、間もなく終了するとみなすべきなのです。そもそも、これは当然のことです。どんなに強固な体制であっても同じ体制が永遠に続くことなどあり得ないのです。時代の変化にあわせて変わっていくのが自明の理です。

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