2018年3月19日月曜日

「事実上の皇帝」習近平とプーチンに、トランプは対抗できるのか―【私の論評】19世紀の皇帝たちの無謀な試みを阻止せよ(゚д゚)!

「事実上の皇帝」習近平とプーチンに、トランプは対抗できるのか

ドクターZ

いくらでも任期が延ばせる国

二人の皇帝とトランプ米大統領
トランプ政権が誕生してから1年以上が経過したいま、米中露それぞれが首脳の強権体制を強める動きに出てきた。
中国共産党は国家主席の任期を無制限にすることを検討中。これが実現すれば「習近平皇帝」誕生といったところだが、対抗するかのように、ロシアのプーチン大統領も「世界全土を射程範囲に収める」という新型巡航ミサイルを発表し、通算4選についての意気込みまで明らかにしている。
中露がトランプ大統領の再選まで視野に入れて中央集権体制を整えているとすれば、今後三国の関係はどのような変化を遂げていくのだろうか。
まず、米中露の社会体制のおさらいをしておこう。
イギリスのエコノミスト・インテリジェンス・ユニットが'17年に発表した世界167ヵ国・地域が対象の「民主主義指数」を見ると、アメリカは21位、ロシアは135位、中国は139位となっている。中国は共産党の実質的な一党独裁であり、憲法より共産党の決定のほうが優位になっている。そのため、国家主席の任期を無制限にするのは難しいことではない。
共和制の体をとるロシアも実際のところは独裁体制だが、大統領の任期の上限は2期12年と決められている。プーチン大統領は'12年から通算3期目だが、一度大統領を退いて再び当選するという裏技でこのルールを回避している。しかも、メドベージェフ氏が大統領を務めていた間もプーチン氏は大きな影響力を持っていたとされているから、実質的には10年以上覇権を握っていることになる。
アメリカの2期8年という大統領任期は比較的厳格に守られていて、歴代大統領のうちグロバー・クリーブランドだけが連続ではなく、一度退いてから再び同職を務めている。憲法をあっさり改正して任期を撤廃する中国、裏技でいくらでも任期を延ばせるロシアに比べれば、ずっと民主的なほうだ。
では、中露で元首の「皇帝化」が進むとなにが起こるのか。
まず、外交政策や安全保障において「強権国家化」が進むだろう。実際、中国の習近平主席は「海洋強国」を掲げており、ロシアの新型ミサイル開発も覇権主義を明確にするものだ。
中露の強権国家化が進むと、アメリカでもトランプ大統領の再選への後押しの動きは強くなる可能性がある。トランプ大統領の主張は、かつてレーガン大統領が冷戦中の'80年代に訴えた「強いアメリカ」の再来であり、強国化が進む二国を意識してのものだ。
それでは、米中露三大国の歩む道はどうなるかといえば、その他の諸国がどこに付くのかが問題になってくる。政治体制からすれば、欧州はアメリカ、アフリカは中国、ロシアはその隙間をついて協調関係を結ぶことになるだろう。
しかし、トランプ大統領は目下関税強化を進めていて、長期的には本来味方とするべき民主主義国の多くを敵に回すかもしれない。仮にトランプ大統領が再選しても、任期はあと6年。長く感じるかもしれないが、中露の指導者の任期は実質無限だ。徐々に20世紀以前のような帝国体制を整える二大国に対して、アメリカは民主主義のよさを訴えながら、互角に渡り合えるだろうか。
『週刊現代』2018年3月24日号より
【私の論評】19世紀の皇帝たちの無謀な試みを阻止せよ(゚д゚)!
中国とロシアという2つの帝国の登場により、世界に国際秩序の崩壊と地域戦争の勃発という2つの重大な危機が迫っていることについては、このブログでも以前掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
支那とロシアが崩壊させる自由主義の世界秩序―【私の論評】世界は戦後レジームの崩壊に向かって動いている(゚д゚)!
ロバート・ケイガン氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
 ケーガン氏(ブログ管理人注:昨年)1月24日に「自由主義的世界秩序の衰退」と題する同論文を発表した。同氏はこの論文で、第2次大戦以降の70余年の間、米国主導で構築し運営してきた自由主義の世界秩序は、崩壊に向かう最大の危機を迎えたと指摘する。 
 危機の原因となっているのは、支那とロシアという反自由主義の二大国家の挑戦だ。1991年のソ連崩壊以後の米国の歴代政権が「唯一の超大国」の座に安住し、とくにオバマ政権が軍事力を縮小して「全世界から撤退」したことがその状況を招いたという。 
支那、ロシアの軍事力行使の危険性が高まる 
 ケーガン氏の論文の要点をまとめると以下の通りである。 
・世界は第2次世界大戦の終結から現在まで、基本的には「自由主義的世界秩序」に支えられてきた。この秩序は民主主義、自由、人権、法の統治、自由経済などを基盤とし、米国の主導で構築され運営されてきた。 
・しかしこの世界秩序は、ソ連崩壊から25年経った今、支那とロシアという二大強国の挑戦により崩壊の危機を迎えるにいたった。 
・支那は南シナ海、東シナ海へと膨張し、東アジア全体に覇権を確立して、同地域の他の諸国を隷属化しようしている。ロシアはクリミア併合に象徴されるように旧ソ連時代の版図の復活に向かっている。両国はその目的のために軍事力の行使を選択肢に入れている。 
・支那とロシアの軍事的な脅威や攻撃を防いできたのは、米国と同盟諸国が一体化した強大な軍事力による抑止だった。 
・だが、近年は米国の抑止力が弱くなってきた。とくにオバマ政権は対外的な力を行使しないと宣言し、国防費の大幅削減で米軍の規模や能力はすっかり縮小してしまった。 
・その結果、いまの世界は支那やロシアが軍事力を行使する危険性がかつてなく高まってきた。武力行使による膨張や現状破壊を止めるには、軍事的対応で抑止することを事前に宣言するしかない。
トランプ政権は米軍の再増強や「力による平和」策を宣言しながらも、世界における超大国としての指導的立場や、安全保障面での中心的役割を復活させることには難色をみせている。

しかし、ケーガン氏は、世界の危機への対策としては、米国が世界におけるリーダーシップを再び発揮することだといいます。


日本の保守層は、「戦後レジーム」からの脱却ということを主張してきました。私も、当然のことながらこれには賛成です。

ただし、私たちは現在中国、ロシアが「戦後レジーム」を崩壊させるほうに動いていることを理解すべきです。そうして、その崩壊の方法は、日米などとは全く関係なく、自分たちの都合の良い方向に曲げようとしています。

習近平支那皇帝とプーチン露西亜皇帝
そうして、彼らの望む新たな秩序は、民主化、政治と経済の分離、法治国家があまりなされていなかった、19世紀の体制です。そもそも、中国もロシアも軍隊などは近代化を推し進めながら、国の体制としては元々遅れているので、世界に新たな秩序を作り出すとすれば、19世紀の帝国のような体制を目指さざるを得ません。

シンガポールのような独裁政権の国家であれば、これに対してあまり違和感はないかもしれません。しかし、世界には民主的な体制に移行したり、移行しようと努力している国々も多いです。

ただし、現在中国にもロシアにも誤算があります。ロシアについては、現状ではGDPが韓国なみであり、日本の東京都と同じくらいの規模しかありません。

プーチンは資源国としての成長を目指しましたが、現在石油などの価格は低迷しています。そのため、いくら頑張ったとしても、世界規模の新秩序の樹立には取り組みたくてもできません。せいぜい、周辺諸国に対してこれをかろうじて実現できるくらいのことで終わってしまう可能性のほうが大きいです。

中国に関しては、過去においては、国内の大規模なインフラ整備によって経済成長をしてきましたが、国内ではもうすでに投資案件が一巡してしまったので、習近平は一帯一路なるブロジェクトを推進しています。これは、中国主導で世界各地にインフラ整備をして新たな交易路をつくりだそうというものです。

しかし、この構想は最初から頓挫することが運命づけられたようなブロジェクトです。これは、失敗に終わり、中国はしばらく中進国の地位から抜け出すことができない可能性が大きいです。そうなると、中国も世界に中国にとって都合の良い新秩序を樹立するのはかなり難しいかもれません。

さらに、ロシアは、中国とは仲良くならないでしょう。プーチンは、シベリアなどに侵食してくる中国を脅威だとみているからです。むしろ、ロシアは中国をにらみ、本当は日米と協力を広げたいはずです。

とはいいながら、ロシアはクリミア侵攻などで、米国などから制裁を受けている真っ最中でもあります。だから、おいそれと日米接近というわけにもいきません。

2014年3月4日、ベルベク空軍基地を占拠するロシア軍に対して
歌を歌いながら行進し、基地の返還を求めるウクライナ軍兵士

このようなことから、中露が「戦後レジューム」を壊して、新たな世界の秩序を樹立するためには、現実には様々な一筋縄ではいかない、状況にあります。私は、これは失敗する確率のほうが高いと思います。しかし、失敗するまでの過程で、中露両国が世界中で様々な軋轢を生み出す可能性は十分あります。

そうして、最悪のシナリオでは米・中・露三つ巴の戦争が起こる可能性さえあり得るということを銘記すべきでしょう。さらに、このことは日本を含めた世界中の国々に大きな影響を与えます。日本は、遅ればせながら今からでもそれに備える必要があります。

戦後体制が崩れれば、そのときには我が国は、北朝鮮のICBMにも、中国の海洋進出にも、あらゆる安全保障に関する課題について日本は米国に全面的に頼ることはできないと考えて臨むべきです。

日本の背後には、いつでも、アメリカが存在していて、必ず助けるてくれるとは限らないと、覚悟するよりないのです。少なくとも、尖閣は自分で守らなければならないことなるでしょう。

自分の国のことを他国に憚らず自分で決め、自分で守るのは、トランプ大統領に言われることもなく、自明の理屈なのです。無論その時に、米国との対等同盟関係を築くことも選択肢の一つです。

しかし、アメリカに頼りきって、アメリカに守られながら生きる日本の時代、日本にとっての「戦後レジーム」は、間もなく終了するとみなすべきなのです。そもそも、これは当然のことです。どんなに強固な体制であっても同じ体制が永遠に続くことなどあり得ないのです。時代の変化にあわせて変わっていくのが自明の理です。


戦後レジームが終わりを迎え、新たなレジームができあがったとき、それを中露の思い通りのものにするわけにはいかないのです。日米、EU、その他多くの国々も、19世紀の遅れた体制に戻るわけにはいかないのです。これだけは、何としても防がなればならないのです。

それには、ケーガン氏が主張するように、米国は世界でのリーダーシップを取り戻し、日本もアジアでのリーダーシップをとりもどさなけばならないです。先程、中露が世界で「戦後レジーム」に変わって新たな秩序を樹立するのは非常に難しいということをあげました。この事実に加えて米国などの軍事力には到底かなわないことを悟らせれば、これから両国が世界で軋轢を起こすこともなくなるでしょう。

そのためには、日本は軍事的には普通の国に生まれ変わらなければなりません。そうして、昨年は実質上の日英同盟が復活しましたが、いずれ日米英豪印同盟なども構築して、中露に対抗していかなければならないのです。それ以外に世界の平和と安定を維持することはできません。

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