ちゃんと被災地に還元されているのか
ドクターZ
毎年1000円の増税
東日本大震災から7年が経過した。震災の傷は決して忘れてはいけないものだが、もうひとつ忘れてはいけないものがある。それは震災後に決定し、現在も続いている復興増税についてだ。
復興特別税は所得税や住民税に上乗せする形で徴収されていて、たとえば個人住民税は2014年から10年間にわたって毎年1000円上乗せされている。増税当初はニュースになったので国民の関心もあったが、いまではこの増税の存在を忘れている人も多いかもしれない。
今でも徴収されている復興税 |
復興のために予算がかかるのは仕方のないことだが、果たしてこの増税はきちんと被災地に還元されているのか。
復興庁のウェブサイトを見ると、復興施策の工程表が出ている。'16年のものには各分野において詳細な工程表が出ていたが、いまは道路修繕と福島12市町村における公共インフラ復旧の簡単な工程表などが掲載されているだけになった。
2年前の工程表にはほとんどの項目に「2018年度以降完了予定」と書いてあったが、今後どのようなスケジュールで進んでいくかは明らかになっていない。ウェブサイトには復興施策や進捗状況が書かれているが、期待される効果や達成すべき目標については明らかになっておらず、客観的な検証もほとんど行われていない。
そもそも、国民が知りたいのはこれまで政府が挙げてきた成果よりも、これからの復興計画にどれほどの時間と予算が費やされるかである。
当初、復興予算は、'11~'20年度において32兆円投入される予定だったが、はじめの5年間で25・5兆円が使われた。予算としては十分な金額だが、原発事故の影響なども考えればこのままでは'20年度までに復興を達成することはきわめて難しい。
そう考えると、本格復興に向けた長期的なスキームで予算を組みなおしていく必要がある。だがそれにもかかわらず、いま組まれている復興財源フレームは奇妙だ。
なにが奇妙かといえば、復興予算の財源確保が増税ありきで進んでしまったことだ。というのも、大災害における復興財源は、増税ではなく国債によってまかなうというのが経済学のセオリーである。
経済理論では、数百年に一度レベルの震災に際しては、たとえば100年など超長期の復興債を発行すれば、経済に対する悪影響を最小限に抑えることができる。この手法を取らなかった日本経済は、大災害と増税というダブルパンチを受けてきたといえる。
古今東西、災害後に増税をしたなどという話は聞いたことがない。いまからでも遅くないから、復興増税をやめて、長期国債を発行するべきだと筆者は考えている。特に、いまは長期国債の金利がほぼゼロで調達できるので、復興予算もそのメリットを享受するべきだ。もっと言えば、これまでの復興増税が帳消しになるように、その分の減税をしてもいいくらいだ。
なぜこのような復興増税がまかり通ってしまったのかといえば、ほかでもない財務省の差し金だろう。震災時に政権を担っていたのは民主党だが、復興対応に動揺する政権に財務省は増税を仕掛けたのだ。これは「火事場泥棒」と揶揄されても仕方ないレベルの話なのだ。
【私の論評】公文書書き換え以前にも、復興税、消費税の目的税化で嘘をついていた財務省(゚д゚)!
復興税に関しては、一般のサラリーマンの場合は、自分で税金の計算をしないので、今でも徴収されているということを気づかない人も多いようですが、自営業者などの場合は今月15日締め切りだった確定申告のため、自分で計算するので、徴収されているということに気づいているというか、毎年この時期になると、その事実を今更ながらいやでも思い知らされることになります。
改めて、復興税増税とはどういうものだったのか、以下に纏めた表を掲載します。
復興増税の法人税に関してはもうすでに徴収されていません。にもかかわらず、所得税や住民税では未だに復興税増税がなされているということです。
住民税は+1000円×10年間と決まっていますが、所得税の方はと言うと、大多数の一般サラリーマン家庭で2000〜4000円の増税年収1000万円世帯で約2万円の増税です。これが25年間です。しかも、税金ですから、一部控除される人もいるとはいいながら、被災地の人も課税されます。
この復興税の使い道に関しては以前から疑義が提示されていました。たとえば、三陸に送られた義援金が「チャグチャグ馬コ観光誘致」という名目の「公務員限定海外旅行」に全部使われたなどと言う話もありました。
三陸に送られた義援金が盛岡で集約され、なぜか「チャグチャグ馬コを国際的に広めて観光誘致」という名目の「海外旅行」にすべてつぎ込まれたのです。
チャグチャグ馬コ |
しかも、その参加者が(チャグチャグ関係者除くと)、盛岡市職員とその家族・友人でほとんどを占められていたというのです。
要するに、盛岡市職員の慰安旅行に義援金が使われたということなのです。 これは当時オンブズマンが抗議しましたが、結局盛岡市は謝罪も返金もしませんでした。
その他、野田政権のときなどは、復興税が他の目的のため使わていたことなどが、報道されていました。2011年度には復興予算が6兆円余り、1兆円が復興特別会計へくりいれていました。
この特別会計からなんと、武器購入、被災地と関係のない東京都清瀬市の日本社会事業大学の改装費用や沖縄の教育振興費に拠出されていました。この頃からすでに復興予算にシロアリがたかっていたのです。
最近ではこのようなこともほとんど報道されなくなりました。それをいいことに、財務省は何をしてもやりたい放題でした。
要するに、盛岡市職員の慰安旅行に義援金が使われたということなのです。 これは当時オンブズマンが抗議しましたが、結局盛岡市は謝罪も返金もしませんでした。
その他、野田政権のときなどは、復興税が他の目的のため使わていたことなどが、報道されていました。2011年度には復興予算が6兆円余り、1兆円が復興特別会計へくりいれていました。
この特別会計からなんと、武器購入、被災地と関係のない東京都清瀬市の日本社会事業大学の改装費用や沖縄の教育振興費に拠出されていました。この頃からすでに復興予算にシロアリがたかっていたのです。
最近ではこのようなこともほとんど報道されなくなりました。それをいいことに、財務省は何をしてもやりたい放題でした。
だからこそ、ブログ冒頭の記事では、「本格復興に向けた長期的なスキームで予算を組みなおしていく必要がある。だがそれにもかかわらず、いま組まれている復興財源フレームは奇妙だ」と疑問が提示されているのです。
それよりも何よりも、復興税に関しては上の記事にも述べられているように「経済理論では、数百年に一度レベルの震災に際しては、たとえば100年など超長期の復興債を発行すれば、経済に対する悪影響を最小限に抑えることができる。この手法を取らなかった日本経済は、大災害と増税というダブルパンチを受けてきたといえる」ということになるのは、最初からわかりきっているのに、導入され、しかもそれが未だに続いているということです。
そもそも、地震などの大災害では、「ガレキなどの処分」とか「すぐに必要な仮設」とかの費用と、「学校や橋、水道・電気など何十年も使うインフラ」の費用がかかりますが、これらのうちほとんどは、被災した世代だけではなく、その後の世代も使いその便益を享受ものです。
だから、復興を税で賄うなどのことをしてしまえば、被災した世代だけが負担をすることになってしまい、世代間で不公平が生じてしまいます。
だからこそ、100年など超長期の復興債を発行したり、60年などの建設国債などを発行して、世代間の不公平をなくすのです。
しかし、なぜか現在では、国債を発行することは将来世代につけをまわすことなどとされてしまい、国債を発行することが悪いことのように言われています。これは、全く逆の話です。そのようなことを言う人は、そもそも国債がなんのためにあるのか、全く理解していません。
特に東日本大震災のような規模の大きな災害の場合は、古今東西どこでも復興を税で賄うなどという話は聴いたことがありません。日本の過去の関東大震災のときもそうですし、諸外国でも全く例がありません。日本の復興税だけが、全く例をみない特異な事例です。
上の記事では、「震災時に政権を担っていたのは民主党だが、復興対応に動揺する政権に財務省は増税を仕掛けたのだ。これは「火事場泥棒」と揶揄されても仕方ないレベルの話なのだ」と締めくくっています。
これは、全くその通りです。大規模災害に直接対応した経験を持たない当時の民主党政権は復興対応に動揺していたため、財務省にそこを付け込まれたのです。財務省はとにかく、何でも増税をしたがります。それによって、予算の配賦権を強化し、省益を拡張したいというのが彼ら魂胆です。
その当時の自民党も増税派が大勢を占めていたので、復興税に反対するどころか、賛成しました。彼らにとっては、復興税はその後の消費税増税の露払いとなるとの考えで、導入に賛成したのでしょう。
2014年4月からの消費税増税 |
復興税に成功した財務省は、その後8%増税にも成功しました。消費税率が4年前の2014年4月1日、5%から8%に上がりました。税率の引き上げは17年ぶりのことでした。
財務省にいわせると、高齢化で増え続ける年金や医療などの社会保障費を賄う狙いがあるされました。国民負担は年間で約8兆円重くなりました。第一生命経済研究所によると、年収500万~550万円の4人世帯の場合、年間の負担額が7万1千円増えることになりました。
多くの識者らは、8%増税による日本経済に対する影響は軽微としていましたが、そうではありませんでした。復興税と消費税によるダブルパンチで、個人消費が落ち込み、GDPの60%以上を個人消費が占めている日本経済への悪影響は甚大でした。
この消費税増税でも、財務省は嘘をつきました。そもそも、その根拠となった税と社会保障の一体改革として、消費税を目的税化することは、古今東西いずれでも実行されてはいません。日本のそれが、全く例をみない特異な事例です。
社会保障の観点から見ると、その財源は社会保険方式なので保険料が基本です。税方式は少なく、しかも社会保険料方式から税方式に移行した国はありません。
そもそも、消費税に限らず、税の目的税化ということ自体が不可能です。公共財については、 代
金を支払った人だけがそのものを消費するようなこと
はできません。 例えば、 自衛隊が税金を支払わない人
を守らないなどというということはできません。こんな初歩的な常識ですら、財務省はとんでもない理論でくつがえしているのです。
財務省は、最近では文書書き換えで嘘をついていたことが暴露されましたが、それ以前に復興税で嘘をつき、消費税の目的税化で嘘をついていたのです。
私自身は、決裁文書の書き換えなどというとんでもないことをしでかした背景には、復興税や消費税の目的税化で明らかに嘘であるとんでも理論をぶちあげても、政治家やマスコミのほとんどが誰も反対しないどころか、財務省を後押しする様をみて、もともと財務省最強という意識があったものが、さらに助長され根拠のない全能感を抱いたことがあると思います。
文書を書き換えても、政治家やマスコミはそれに反対するどころか、自分たちを後押しをするだろうし、結局何をやっても自分たちは許されるのだという誤った認識をもってしまったと思います。
そうして、実際、そのような政治家やマスコミも現れつつあります。しかし、今回は復興税や、消費税の目的税化のときのように、財務省にされるがままになっているべきではありません。やはり、財務省は完全解体すべきです。すぐに解体できないにしても、国民は厳しい目で財務省や財務省を擁護する政治家やマスコミを監視していくべきです。
そうして、まずは復興税は即刻中止すべきです。国会では、文書書き換えだけではなく、このような論議もなされるべきです。
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