2026年5月22日金曜日

高市政権316議席を軽んじるな—国力研究会347名こそ民主主義の数の力だ


まとめ
  • 高市政権が得た316議席は、自民党史上最多であり、安倍政権ですら到達しなかった大きな民意である。国力研究会347名は、その民意を党内の政策実行力へ変えるための器であり、自民党が再び「数で国を動かす政党」に戻りつつあることを示している。
  • 「自由で開かれたインド太平洋戦略本部」は、安倍外交を自民党の政策ラインに戻す動きだった。今回の国力研究会は、その流れを外交・防衛・経済・技術・エネルギーまで広げ、高市政権の国力再建路線を支える動きである。
  • この動きを「大政翼賛会」などと呼ぶのは、歴史への無理解であり、民主的な数の力への不信である。問われているのは、選挙で示された民意を政策に変えられるか、そして我が国をもう一度強くする覚悟を持てるかである。

1年前、私は自民党内で保守派の動きが活発化していることについて書いた。

焦点は、安倍晋三元首相を支えた人々の再結集だった。特に重要だったのは、高市早苗氏も深く関わった自民党の「自由で開かれたインド太平洋戦略本部」である。安倍元首相が提唱した「自由で開かれたインド太平洋」、すなわちFOIPを、自民党の政策ラインとして再確認する動きだった。

その流れを、私は2025年5月22日の記事「【自民保守派の動き活発化】安倍元首相支えた人の再結集—【私の論評】自民党保守派の逆襲:参院選大敗で石破政権を揺さぶる戦略と安倍イズムの再結集」で論じた。

その動きが、1年を経て次の段階に入った。

それが「国力研究会」である。

テレビ朝日は、国力研究会について、自民党所属議員有志による勉強会であり、「JiB=Japan is Back」という英語名も付けられたと報じている。さらに、自民党所属国会議員の8割を超える347人が入会したとも伝えている。

また、政治評論家の江崎道朗氏はFacebookで、「国力研究会第1回会合。発起人を代表して萩生田さんが挨拶。347名が加盟しているとのこと。会長は加藤勝信さん」と投稿した。

これは単なる勉強会ではない。高市政権を支える巨大な党内政策基盤である。

しかも、その背後には、高市政権が衆院選で得た圧倒的な数の力がある。自民党316議席、与党352議席。自民党公式も、316議席について1986年衆院選の300議席を上回る「過去最多の議席数」としている。

これは、選挙に勝ち続けた憲政史上最長の安倍政権ですら成し得なかった大勝である。

国民の声は明らかだ。高市政権に政策を実行させよ。国力を再建せよ。外交、防衛、経済、技術、エネルギー、食料を一体で立て直せ。官僚主導、マスコミのレッテル貼り、旧来の党内空気に負けるな。そういう信託である。

この数の力を軽視することは、単なる高市政権批判ではない。民主主義への挑戦である。

1️⃣FOIP戦略本部から国力研究会へ

画像はAIによるイメージ画像です 実物とは関係ありません 以下同じ

昨年の動きの中心にあったのは、自民党の「自由で開かれたインド太平洋戦略本部」である。

これは、安倍元首相のFOIP構想を、自民党の外交・安全保障政策として改めて確認する意味を持っていた。

「自由で開かれたインド太平洋戦略本部」は、自民党の正式な政策組織だった。一方、「国力研究会」は、現時点では正式な政策組織ではなく、有志議員による党内横断グループと見るべきである。

だが、正式組織でないから軽い、という話ではない。

正式な党組織は政策決定ラインに乗りやすい。だが、調整に縛られる。有志グループは政策決定権そのものは弱いが、党内の空気、人数、権力の流れをつくる力がある。

FOIP戦略本部は、安倍外交の旗を党の正式ラインに戻す装置だった。国力研究会は、高市政権の国力再建路線を、党内多数派の力で支える装置である。

役割は違う。だが、どちらも安倍レガシーの継承である。

安倍元首相が残したものは、単なる懐古ではない。自由で開かれたインド太平洋、経済安全保障、防衛力強化、強い経済、戦略的な国家運営。これらは、今も我が国が生き残るための条件である。

国力研究会は、その遺産を外交・安全保障だけでなく、経済、防衛、技術、エネルギー、食料、財政を含む国家総合力へ広げる器になり得る。

2️⃣自民党史上最多の数を軽視するな


ここで見落としてはならないのは、「数の力」である。

自民党がこの力を忘れ始めたのは、岸田政権や石破政権になってからではない。根はもっと深い。おそらく「日本列島総不況」と言われた1990年代末以降である。

バブル崩壊、より正確には「日銀ショック」以降、我が国は金融政策と財政政策を誤った。自然に泡が弾けたのではない。急速な金融引き締めと信用収縮によって、政策的に景気を壊したのである。この点は、以前の記事「理念では国家は動かない ──テクノロジスト国家・日本再設計論」でも論じた。

その後も、需要不足を埋めず、長期の国家投資も弱く、緊縮的な発想が政治の中枢に入り込んだ。そして「日本列島総不況」と言われた翌年、自公連立政権が発足した。

連立には政権安定という利点があった。だが同時に、自民党単独で国家の大きな方向を決める感覚は薄れていった。選挙で多数を取り、その数で政策を実行するよりも、連立相手への配慮、党内調整、世論への過剰反応、財務省的な財源論が前に出るようになった。

この頃から、自民党の中で「数を取って国を動かす」という政治の原理は、少しずつ力を失っていったのである。

岸田政権、石破政権期の自民党は、その延長線上にあった。安倍政権期と比べて議席数を減らし、政治基盤を細らせた。問題は、議席減だけではない。細った数を束ね、国家の大きな方向を示す迫力も弱まっていたことだ。

しかし、高市政権は違う。

自民党は316議席、与党全体では352議席を得た。自民党史上最多であり、戦後の単一政党としても最大級の議席数である。しかも、自民党単独で衆議院の3分の2に当たる310議席を上回る。

これは、憲政史上最大級の「民主的な数の力」である。

安倍政権ですら、自民党単独316議席には到達しなかった。高市政権は、それを成し遂げた。国民の声は明確である。高市首相の政策、国家観、国力再建路線に、かつてない規模の信託が与えられたのだ。

政治は、最後は数である。

いくら優れた政策を掲げても、数がなければ予算は通らない。法律も通らない。人事も動かない。憲法改正の発議もできない。

数があれば何をしてもよい、という意味ではない。だが、数がなければ何もできない。

だから、この数の力を軽視することは、民主主義への挑戦である。

選挙で示された国民の意思を、「危ない空気」だの「多数の横暴」だのと呼んで封じ込めようとするなら、それは国民の選択を否定しているのと同じである。民主主義とは、選挙で示された多数をもとに政治を動かす制度である。

高市政権と国力研究会の意味は、ここにある。

自民党は、ようやく数の力を取り戻したのである。それは、単なる高市人気ではない。1990年代以降、長く弱まっていた「数で国を動かす自民党」の復活なのである。

3️⃣「大政翼賛会」批判こそ民主主義への不信だ


ここで看過できない問題がある。

国力研究会の動きを「大政翼賛会」のように語る批判である。

これは、あまりにも雑である。

大政翼賛会とは、戦時下に政党政治を事実上解体し、国民を国家総動員体制に組み込んでいった組織である。自由な選挙で圧倒的な信任を受けた政権を、与党議員が政策面で支える国力研究会とは、根本から違う。

国力研究会は、野党を禁止していない。反対意見を封じていない。議員に参加を強制していない。国民を統制していない。選挙で信任された政権を、与党議員が支える。これは議会政治の本筋である。

それを「大政翼賛会」などと呼ぶのは、歴史への無理解であり、民主的な数の力への不信である。

さらに問題なのは、メディアがその言葉を検証せず、そのまま流す姿勢である。大政翼賛会という言葉は、戦時体制、政党政治の解体、思想統制を連想させる重い言葉である。それを、選挙で信任された政権の党内政策基盤に貼りつけるなら、国民に誤った印象を与える。

これは言葉の乱用である。

そして、民主主義への冒涜である。

そもそも高市政権は、先の衆院選で圧倒的な支持を受けた。自民党316議席、与党352議席。自民党史上最多であり、安倍政権ですら成し得なかった大快挙である。

その国民の信託を受けた政権が、政策を実行するために党内基盤を整える。これのどこが大政翼賛会なのか。

むしろ、この動きを頭ごなしに否定することこそ、国民の声を無視する行為である。選挙で示された民意を、「大政翼賛会」などという言葉で封じ込めようとするなら、それは民主的な数の力への挑戦である。

ここで問われているのは、単なる党内抗争ではない。

民主的な数の力によって国民の信託を受けた高市政権が、その信託に基づいて政策を実現できるのか。あるいは、選挙結果を軽んじる勢力、官僚、マスコミ、旧来の党内空気、「多数は危険だ」と叫ぶ勢力によって押し返されるのか。

この分岐点である。

前者なら、我が国は民主国家として再び強くなる。後者なら、選挙で政権を選んでも政策が動かない国になる。

それは、形式だけ民主主義で、実態は官僚とメディアと声の大きい少数者が政治を縛る国である。そんなものは、健全な民主国家ではない。

我が国はいま、剣ヶ峰にある。

国力研究会347名とは、単なる人数ではない。高市政権316議席という、自民党史上最大の民意を政策に変えるための装置である。

この数を軽んじてはならない。
この数を恐れてはならない。
この数を腐らせてはならない。

この数を、国力に変えなければならない。

結語

国力研究会347名の意味は、単なる党内グループの発足ではない。

高市政権は、先の衆院選で自民党316議席、与党352議席という圧倒的な信任を受けた。自民党史上最多であり、安倍政権ですら到達しなかった大快挙である。

この数の力は、突然生まれたものではない。日本列島総不況と自公連立以降、自民党が忘れかけていた「数で国を動かす政党」としての力が、ようやく戻りつつあるということだ。

国民の声は明らかである。

高市政権に政策を実行させよ。国力を再建せよ。外交、防衛、経済、技術、エネルギー、食料を一体で立て直せ。官僚主導やマスコミのレッテル貼りに負けるな。

そういう信託である。

この数の力を「危険だ」と言い、「大政翼賛会」などという言葉で貶めるなら、それは高市政権への批判にとどまらない。選挙で示された国民の意思への挑戦である。民主的な数の力への挑戦である。

政治は、最後は数である。

いくら立派な政策を掲げても、数がなければ何もできない。逆に、数を持つ者が覚悟を持てば、国は動く。

高市政権には、その数がある。

国力研究会には、その数を政策に変える可能性がある。

もちろん、347名が集まれば自動的に国が強くなるわけではない。勝ち馬に乗るだけの議員もいるだろう。距離を置く議員もいるだろう。だが、それも含めて政治である。大切なのは、数を恐れず、数を腐らせず、数を国力に変えることだ。

問題は、誰が集まったかではない。

その数で、何を成し遂げるかである。

いま問われているのは、覚悟だ。

民主的な数の力を信じ、国民の信託に応え、我が国をもう一度強くする覚悟である。


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