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2020年8月15日土曜日

終戦の日も侵入…中国の「尖閣暴挙」許すな! “開戦前夜”のようだった4年前の漁船団襲来 識者「領海に1隻も入れるべきでない」―【私の論評】中国の尖閣奪取は直近ではないが、中長期的には十分ありえる、日本はそれに備えよ(゚д゚)!

終戦の日も侵入…中国の「尖閣暴挙」許すな! “開戦前夜”のようだった4年前の漁船団襲来 識者「領海に1隻も入れるべきでない」

日本の領土尖閣諸島

日本は15日、終戦から75年を迎えた。戦没者を追悼し、平和について静かに考える日だが、今年はいつもとは違う。中国発の新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)は止まらず、沖縄県・尖閣諸島周辺海域には、連日のように中国海警局の武装公船などが侵入しているのだ。中国側が設定した休漁期間が終わる16日以降、中国漁船団が大挙して押し寄せる可能性も指摘されている。中国は2016年8月にも、尖閣周辺に200隻以上を送り込んできた。先人が残した日本固有の領土・領海を守り抜くには、口先の「遺憾砲」ではなく、そろそろ具体的行動が必要ではないのか。


「中国側は4年前、わがもの顔で尖閣の海を荒らした。中国側は、海上保安庁の巡視船の後方に自衛艦や米海軍が控えていると分かっていながら、強引に侵入した。日本には強烈なジャブになった」

海洋防衛に詳しい東海大学海洋学部の山田吉彦教授は、こう語った。

4年前の暴挙は後述するとして、中国海警局の公船4隻は、日本の「終戦の日」である15日朝も、尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域を航行しているという。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは4日連続。

第11管区海上保安本部(那覇)によると、領海に近づかないよう巡視船が警告した。中国に「鎮魂の祈り」は通じないのか。

こうしたなか、中国の休漁期間明けの来週16日以降、中国漁船が大量に尖閣周辺海域に押し寄せ、日本領海を侵犯する危険性が指摘されている。

日本政府は先月、外交ルートを通じて「中国漁船が大挙して尖閣周辺に来ると日中関係は壊れる」と警告したが、習近平国家主席率いる中国政府側は「(尖閣は)固有の領土だ」と反発したという。4年前の凶行を繰り返すのか。

海保などによると、中国は16年夏の休漁明けに約1000隻の漁船団を出漁させた。同年8月初旬には、日本の四国ほどの広さの尖閣周辺の海域に、うち200~300隻を送り込んできた。

周辺海域に殺到した中国漁船と公船=2016年8月6日(海上保安庁提供)

漁船団に続けて、中国海警局の公船も周辺海域に侵入してきた。中には機関砲を搭載した武装公船もいた。同年8月8日、公船15隻が尖閣周辺で確認され、一部が領海侵犯した。一度に15隻は過去最多だ。

海保関係者は「中国漁船が多く、中国公船と連動して、現場の緊迫度が一気に上がり、一触即発となった。こちらは違法操業を確認すれば退去警告を連発し、船と船の間に割って入るなどして、何とか尖閣諸島を守り抜いた」と振り返る。

当時は「漁船には中国軍で訓練を受け、武装した海上民兵が100人以上、乗り込んでいる」「8月15日に尖閣諸島・魚釣島に上陸するようだ」との報道もあった。日本政府が抗議しても、中国側は挑発を続けた。現場海域は“開戦前夜”のような状況だった。

尖閣諸島は、歴史的にも、国際法上も、日本固有の領土である。

福岡の商人、古賀辰四郎氏が1884(明治17)年、探検隊を派遣し、尖閣諸島を発見した。その後、日本政府が他の国の支配が及ぶ痕跡がないことを慎重に検討したうえで、95(同28)年1月に国際法上正当な手段で日本の領土に編入された。

日本の民間人が移住してからは、かつお節工場や羽毛の採集などは発展し、一時200人以上の住人が暮らし、税の徴収も行われていた。

1951(昭和26)年のサンフランシスコ平和条約でも「沖縄の一部」として米国の施政下におかれ、72(同47)年の沖縄返還協定でも一貫して日本の領土であり続けている。

新型コロナで世界を大混乱させた中国は「力による現状変更」を狙っているのだ。

前出の山田氏は「中国は最近、尖閣が自国の施政下にあるとの主張を強めている。今度は4年前を上回る大船団を、より綿密に計画立てて尖閣周辺に送り込んでくるのではないか。海保巡視船にぶつけてくる危険性もある。日本は4年前の教訓をもとにガードを固め、領海に1隻も入れるべきではない」と語っている。



【私の論評】中国の尖閣奪取は直近ではないが、中長期的には十分ありえる、日本はそれに備えよ(゚д゚)!

共同通信は、本日以下のような報道をしています。
尖閣30カイリへ進入禁止、中国 休漁明け漁船に、摩擦回避か
 沖縄県・尖閣諸島の周辺海域で中国が設けた休漁期間が16日に明けるのを前に、東シナ海沿岸の福建、浙江両省の地元当局が漁民に対し「釣魚島(尖閣の中国名)周辺30カイリ(約56キロ)への進入禁止」など、尖閣への接近を禁じる指示をしていたことが15日分かった。漁民らが証言した。中国は尖閣の領有権の主張を強めているが、日本との過度な摩擦を避ける意向とみられる。  15日には日本の閣僚らが靖国神社に参拝しており、中国の反発は必至。指示が行き渡らない可能性もあり予断を許さない状況だ。  福建省石獅市の船長は「政治問題は分からない。当局には従う」と話した。
産経デジタル版でも以下のような報道をしています。
敏感な海域で漁労厳禁 中国当局が尖閣沖で漁船の管理強化 16日に漁解禁
   祥芝港(ブログ管理人注:中国福建省の漁港)を抱える石獅市当局は7月、「敏感な海域」に無断で入った漁船を厳罰に処すとの通達を出した。各漁船に対し中国独自の衛星利用測位システム「北斗」などに常時接続することも要求、漁船団の行動を綿密に把握する構えだ
 多くの漁業関係者は「敏感な海域」を台湾近海と認識しているが、実際は尖閣沖も含まれるもようだ。

一方、漁船乗組員の言(げん)さん(55)は「釣魚島は中国のものだ。今年も一部の船は行く。(接近禁止の)規制線は決められているが、こっそり規制線を越える船もある」と明かした。
 確かに、予断は許さないですが、ここ数日以内に中国漁船が退去して尖閣の水域にはいってくることはないのではないでしょうか。ただし、少数の漁船が入ってくる可能性は十分に予想されます。

そもそも、中国政府が日本政府に対し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での多数の漁船による領海侵入を予告するような主張とともに、日本側に航行制止を「要求する資格はない」と伝えてきたことをどう解釈すべきでしょうか。

沖縄県・尖閣諸島周辺海域には、確かに連日のように中国海警局の武装公船などが侵入しているという事実がありますが、もし本気で尖閣を奪取するつもりならそのようなことは全くせずに、黙って、駆逐艦や空母を派遣し、強襲揚陸艦なども派遣し兵員を輸送すればよいだけの話です。

もし、本気なら奪取の前に、わざわざ武装公船で挑発したり、ましてや大量の漁船の了解侵入の予告などするでしょうか。

そんなことは、おくびにもださず、何もせず、ある日突然上陸作戦を敢行するのではないでしょうか。第二次世界大戦中の連合軍によるノルマンディー上陸作戦もそうでした。

ノルマンディー上陸作戦

ノルマンディー上陸作戦に関しては、箝口令が敷かれ、カレーに上陸するように見せかける工作がなされました。

もし、中国が本気で尖閣を奪取しようとするなら、中国軍も日米にさとられないように、奇襲攻撃的に尖閣を奪取することを考えるのではないでしょうか。

ただし、中国という国は常識外れの国ですから、本当に「やるぞ、やるぞ」と言って実行してしまうかもしれないので、油断は禁物です。でも、その場合は犠牲が多くなるのは当然のことです。

犠牲を少なくして、奪取しようとするなら、隠密裏に行動して、いきなり奪取というのが一番です。

ただし、そのためには、直前の哨戒活動を行い、日本の航空機や艦艇や潜水艦の位置を確認して、奪取直前にあらかじめ上陸部隊に対する、攻撃を未然に防ぐべきです。

しかし、以前にも述べたように、中国の哨戒能力は日米よりも格段に劣っています。潜水艦のステルス性能は日米に比較して格段に劣っているので、中国の潜水艦や艦艇は日米に簡単に発見されてしまいます。これでは、中国側はどう考えてみても、隠密裏には行動できません。

このような軍事的背景があるのに加えて、こうした中国の動きに米国は強い警戒心を見せているということがあります。

米国は尖閣諸島は日本の施政の下にある領域であり、日米安保条約第5条の適用範囲だとの認識を持っているからです。

直近では、2017年2月に訪日したジェームス・マティス国防長官(当時)がこの点を明確に再確認、中国を念頭に「米国は尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する」と強調しました。

中国の尖閣諸島への威嚇行動が続く最中、米有力シンクタンク「ナショナル・ビュロー・オブ・アジアン・リサーチ」(National Bureau of Asian Research=NBR、全米アジア研究所、ロイ・カムパウザン理事長)が尖閣諸島防衛のための「日米統合機動展開部隊」常設構想を打ち出しました。

日本国内には尖閣諸島防衛のための陸海空3自衛隊を統合した常設の機動展開部隊を創設し、同部隊と在沖海兵隊との連携強化する構想があります。

しかし、米国サイドが一気に「日米統合機動展開部隊」を常設を提案するのは初めて。画期的です。

中国側がさらに尖閣で行動を強めると、こうした動きを加速させることも考えられるので、中国側としては、いたしかゆしというところなのでしょう。

中国海軍のロードマップでは、今年の2020年までには、第2列島線まで確保することになっているのですが、現実には尖閣諸島を含む第一列島線すら確保できていません。この列島線なるものは、単なる妄想にすぎなかったようです。


このように書くと、私は尖閣諸島の中国による奪取は、ないと考えているように聞こえるでしょうが、そうではありません。ただ、マスコミが煽るように今日明日はおそらくないだろう言っているだけです。数年後にはあるかもしれません。

それに備えるためにも、日本としても、何かをする必要はあると思います。ただ、尖閣が仮に奪取されたとしても、たとえば、日米の潜水艦で尖閣諸島を包囲して、近づく艦艇や航空機を最終的には破壊するようにすれば、尖閣諸島に上陸した中国軍はすぐにお手上げになります。


このアイディアは、以前このブログにも何度か提唱したことがあります。まともに、考えれば、こういう考え方になります。

なお、機雷というと、多くの方が、第二次世界大戦中の艦艇に接触して爆発する接触機雷を思い浮かべるでしょうが、現在は様々なタイプがあります。それについては、ここで説明していると長くなるので、他のメディアなどを参照していただきたいです。

ここで強調したいのは、海自の掃海能力(機雷を除去する能力)です。哨戒能力に関してはね、かつてはトップだったのですが、最近では米軍のほうが若干優れています。しかし、掃海の能力に関しては現在でも日本がトップです。

中国には掃海能力はありません。要するに、日本が機雷を敷設すれば、中国はそれを除去できません。これに対して、中国側が機雷を敷設した場合、日本はそれを除去できます。

おそらく中国はここ数年は、尖閣を奪取できないでしょう。ただし、何度も尖閣水域に侵入し、それを恒常化し、その次の段階では、実効支配を宣言するかもしれません。そうなってからでは、手遅れです。

日本としては、機雷敷設などのことも本気で視野にいれるべきです。機雷を敷設してしまえば、漁船はおろか、中国の駆逐艦や、武装公船も近づけなくなります。日本の海自の潜水艦や艦艇だけが近づけることになるでしょう。

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2020年6月17日水曜日

中国軍が尖閣奪取、詳細なシナリオが明らかに— 【私の論評】中国の尖閣奪取は、日本への侵略であり、侵略すれば攻撃してなきものにするだけ!(◎_◎;)

中国軍が尖閣奪取、詳細なシナリオが明らかに
ミサイル攻撃で使用不能になる那覇基地、米軍は動かない

護衛艦「こんごう」型(出典:海上自衛隊ホームページ

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)


 中国海軍は日本の海上自衛隊に対して戦闘能力面で大幅に優位に立ち、日本が尖閣諸島を奪取される危険が高まった──そんな衝撃的な調査報告書が米国の主要研究機関から公表された。

 日米同盟の危機が懸念されるなか、中国側は米軍を介入させずに尖閣を占拠するシナリオを具体的に作成しているという。日本の安全保障への切迫した危険の警告だといえよう。

日本に対して大幅な優位を獲得した中国海軍力

 ワシントンの大手安全保障研究機関「戦略予算評価センター(CSBA)」は5月中旬、「ドラゴン 対 太陽~日本の海洋パワーに対する中国の見解」と題する調査報告書を公表した。報告書は、同CSBA上級研究員で中国海洋戦略研究の権威トシ・ヨシハラ氏が中心となって作成した。

 トシ・ヨシハラ氏は米国海軍大学校の教授を長年務め、中国の海洋戦略研究では全米有数の権威とされる。トランプ政権にも近い立場にある。ヨシハラ氏は日系米人だが台湾育ちのため中国語が堪能で、今回の研究も中国側の言明や証言、発表に基づいている。

トシ・ヨシハラ氏

 報告書は「中国はこの5年ほどで海軍力を劇的に増強し、日本に対して大幅な優位を獲得した」と総括していた。報告書によると、中国人民解放軍の大規模な海軍増強は2010年ごろから始まり、習近平政権下のこの5年ほどで海軍艦艇の総トン数、性能、火力などが画期的に強化された。日本の海上自衛隊はこれまで、アジアの主要なパワーとして戦闘力や抑止力を保持してきたが、現在では確実に中国に後れをとっており、インド太平洋での重要なパワーシフトが起きているという。

 同報告書の内容は、ワシントンの他の研究機関の間でも議論の対象となり、一般のニュースメディアでも報じられた。日本でも海上自衛隊が同報告書の概要を内部資料として配布するとともに、その一部を海上自衛隊幹部学校のウェブサイトに掲載した。

「日本を屈服させることは容易になった」

 同報告書は中国側の研究や資料を基に、中国側が自国海軍の大増強をどうみて、日本への戦略をどう変えてきたかという点に焦点を合わせて考察していた。その結果として、以下の諸点を指摘する。

(1)中国は、尖閣諸島奪取でも東シナ海での覇権獲得でも日本を屈服させることは容易になったとみて、軍事力行使を抑制しないようになりつつある。

(2)中国は尖閣占領に関して日本側を敏速に圧倒して米軍に介入をさせない具体的な計画をすでに作成した。

(3)中国は日本との全面戦争をも想定し、その場合に中国側の各種ミサイルの威力で日本の防衛を崩壊させる自信を強めてきた。

 同報告書は、中国海軍力のこうした画期的な強化は日本や米国にとってきわめて危険な動きだと強調する。そのうえで、中国を抑止するための日本独自の海洋戦闘能力の強化や日米連携による海上防衛強化の具体策を提案していた。

尖閣諸島が占領されるまでのシナリオ

 これまで米国では、中国の海軍力を米海軍のそれと比較する研究はあったが、日本の海上自衛隊の戦闘力と比較する研究は少なかった。今回の報告書の大きな意味は、アジアでは最強水準とされた日本の海上自衛隊がいつのまにか中国海軍に完全に追い越されていたという現実を提示したことだろう。

 とくに象徴的な例として挙げられるのが、艦艇配備の垂直発射ミサイルシステム(VLS)である。中国海軍のVLSは2000年にはゼロだった。しかし2020年にはセル(発射口)数で2000基を超え、日本側の約1500基を大幅に上回った。

 ヨシハラ氏は、章明、金永明、廉德瑰ら中国政府系の学者や専門家の最近の論文などを引用して、中国が日本に対して海軍力で優位に立ったことで「自信と誇り」を強め、好戦的な対日戦略の傾向を増してきたことを指摘する。

 同報告書によると、中国は尖閣諸島への上陸強行による占拠作戦をすでに複数パターン準備している。その例証として、中国海軍公認の海軍雑誌「現代艦船」の最近号に、軍事専門家2人による尖閣奪取の詳細なシナリオが掲載されていたという。

 そのシナリオとは以下のような内容であった。

(1)日本の海上保安庁の船が、尖閣海域にいる中国海警の艦艇に銃撃を加え、負傷者が出る。すると、近くにいた中国海軍の056コルベット(江島型近海用護衛艦)が現場に急行し、日本側を攻撃し被害を与える。

(2)日中両国が尖閣を中心に戦闘態勢に入る。中国海軍空母の「遼寧」主体の機動部隊が宮古海峡を通過すると、尖閣防衛にあたろうとした日本側の部隊が追跡する。しかし、この機動部隊の動きは中国側の陽動作戦だった。

(3)日中の間で東シナ海での制空権争いが始まる。日本のE-2C早期警戒機とF-15が東シナ海上空で戦闘パトロールを始め、中国側が一方的に宣言した「防空識別圏」内に入り、中国のJ-20ステルス戦闘機と戦って撃墜される。

(4)中国軍のロケット軍と空軍が、日本の航空戦力主要基地である沖縄・那覇基地に巡航ミサイルの攻撃をかける。続いて中国軍は多数の弾道ミサイルを発射し、日本側のミサイル防衛システム「パトリオット」を無力化し、那覇基地を使用不能とする。中国側は周辺の制空権を24時間ほどで確保する。

(5)米国政府は日米安保条約を発動しない。大統領は、尖閣をめぐる日中紛争への全面介入は米国の利益に合致しないと判断する。ホワイトハウスは中国に対しておざなりの経済制裁の警告を発するが、それ以上には中国に対する行動はとらない。

(6)宮古海峡の西側で、日本と中国の海軍、空軍の部隊が激しく交戦する。中国側はフリゲート艦を撃沈され、艦隊をその海域から撤退させる。だが、中国側のJH7A戦闘爆撃機とSU30MKK多目的戦闘機が、尖閣に向けて上陸用部隊を運ぶ日本側の艦隊をみつけ、対艦巡航ミサイルで、こんごう型の誘導ミサイル装備護衛艦2隻を沈め、他の1隻を大破して、日本側の尖閣上陸作戦を阻む。

(7)米軍の偵察機が、日中両部隊の戦闘を遠距離から観察して、中国軍が攻めていない沖縄・嘉手納基地へ帰投する。中国は、嘉手納基地など沖縄の米軍基地には一切手を出さないことを米国に約束し、米軍不介入の言質を獲得していた。

(8)中国軍の上陸作戦艦隊を追尾していた日本側のそうりゅう型潜水艦が中国の対潜航空機に発見され、撃沈される。日本側は中国の尖閣上陸を必死で阻止しようと中国の沿岸警備用のコルベット艦1隻を沈めるが、大勢を変えられない。結局、戦闘開始から4日間で、尖閣諸島は中国人民解放軍に占拠されてしまう。

 こうして最終的に中国軍が日本の部隊を撃退して尖閣諸島を占領するわけだが、このシナリオでは、中国軍は嘉手納基地など米軍の部隊や施設には一切手を出さず、米軍も日中衝突には介入しない、という設定となっていた。

 同報告書は、中国がこのように尖閣奪取作戦を遂行する場合、米国が介入してこないだろうと想定することの危険性を指摘していた。中国の日本に対する軍事優位の確立は中国側にこんな想定さえも抱かせる、という警告である。

【私の論評】中国の尖閣奪取は、日本への侵略であり、侵略すれば攻撃してなきものにするだけ!(◎_◎;)

米経済誌フォーブス(電子版)は先月25日、米ワシントンのシンクタンク、戦略予算評価センター(CSBA)の最新リポートを引用し、「中国海軍は規模の上では日本の海上自衛隊を追い抜いているが、艦艇の平均サイズでは海自がリードしている。より重要なのは、有事の際に、海自は米国の支援を得られることだ」と報じています。

フォーブスの記事によると、中国はアジアをリードする海軍大国としてすでに日本を追い抜いているとしています。20年間の爆発的な成長を経て、中国海軍は現在、日本よりも多くの艦船とミサイルを保有しています。

上の記事にもあるように、CSBAのトシ・ヨシハラ氏は最新のリポートで、「アジアにおける海軍力のバランスは劇的に変化している。海洋大国としての中国の台頭は、西太平洋における日本の長年の地位を損ない、その過程でアジアにおける米国の地域戦略を弱体化させる可能性がある」と指摘しています。

リポートによると、上にもあるように、中国は1990年代後半から大規模で強力な軍事力の増強に見合うだけの経済成長を遂げました。一方、日本の経済はほとんど成長しておらず、軍事支出(防衛費)にも明らかな影響を与えています。

90年から2020年の間に、海自のコルベット、フリゲート、駆逐艦、巡洋艦、ヘリ空母の数は64隻から51隻に減少しました。一方、同時期に中国の同種の艦艇数は55隻から125隻にまで増加しています。




もちろん数だけでは全てを語れません。日本の艦艇の平均サイズは中国に比べてはるかに大きいです。サイズが大きければ大きいほど、海上に長くとどまることができ、戦闘での生存率が高くなります。

中国海軍は海自よりも多くのミサイルを配備することに成功しています。艦隊の垂直発射システム(VLS)のセル数は、艦隊の火力の量とほぼ一致しています。

日本列島はアジア太平洋の米軍に重要な基地を提供しており、これが西太平洋における米国の力の基盤となっています。有事の際に、米国は日本と一緒に戦うことになるでしょう。中国の尖閣奪取戦略は、あまりに自分たちに都合が良すぎます。

何やら、米国映画の戦闘シーンで、敵方のドイツ兵が、まるで打ってくださいといわんばりに、無防備でできて、米軍に易々とやられてしまうシーンを思い浮かべてしまいました。

言い換えれば、米国の海軍力を考慮に入れずに、日本と中国の実力を評価するのは不正確です。中国が約3300発、日本が約1600発のミサイルを配備できるのに対し、米国は1万発のミサイルを配備できます。

その約3分の2は米太平洋艦隊に属している。つまり、日米海洋同盟は、中国の3300発に対し、7600発のミサイルを配備できることになります。

それに、上でも示された戦略予算評価センター(CSBA)の最新リポートでは次のような分析もなされています。

中国の軍事兵器、機材の多くは完成品を入手して分解や解析を行い、その動作原理、構成要素や製造方法を明らかにする「リバースエンジニアリング方式」であるので、一般的に機器の信頼性が低いこと、艦艇やその装備品が最新鋭であっても乗組員の技量や練度について未知数であること、また戦力構成上対潜水艦戦能力があまり高くないことなど、いくつかの不安要素があります。

ただし、中国の政治指導部や海軍上層部が「攻撃的な戦略を採用したい欲望にかられていること」という状況は看過できないシグナルです。我が国としては、中国海軍の戦闘能力の正確な分析評価を行い、十分対応できる防衛力整備を行うとともに、堅固な日米同盟および価値観や理念をともにする台湾、豪州やインド等との連携も図りながら、中国が無謀な暴挙に走り出さぬよう、しっかり抑え込むべきです。

「超音速対艦ミサイルASM-3」の射程延伸型のものを、早く製造して大量に現場に配置することと、中国の対潜哨戒能力では、発見が難しい最新型潜水艦の隻数を増やすことや、F35の現場での運用訓練を早めに終えて、1日でも早く現場で活躍させるなど、やるべきことは山のようにあります。

それとともに、中国の戦意を喪失させることが最大の防御なります。人民解放軍の将官たちの戦意を挫くべきです。そもそも、尖閣は日本の領土であり、日中間には領土問題がないわけですがら、中国が尖閣を奪取しようとすることは、日本への侵略であり、侵略すれば、攻撃してなきものにするだけの話です。

このあたりは、政府はもっと単純に考え、中国に対する備えを固めるべきです。米国も尖閣が中国に奪取されそうになった場合、単純に考えて行動すべきです。

このブログでは台湾が中国に奪取されそうになった時の、米国のやり方を掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
習近平いよいよ「台湾潰し」へ…迎え撃つ蔡英文総統の「外交戦略」―【私の論評】中国が台湾武力奪取に動けば、急襲部隊は崩潰し、習近平の中国内での評判は地に堕ちる(゚д゚)!
米軍のF35A
中国の台湾急襲舞台は、当然のことながら航空機ならびに艦艇により派遣されると思います。それには、米国のステル性の高い航空機ならびに、潜水艦で隠密理に攻撃すれば、中国の台湾急襲部隊のほとんどが、崩潰することになります。

崩潰した後の中国台湾急襲部隊への追撃戦は、米国が行うことなく、台湾が実施すれば良いです。そうして、軍事力も強化しつつある昨今の台湾はこの追撃戦を首尾良くやり遂げるでしょう。中国にとっては屈辱的かもしれませんが、捕虜になる人民解放軍もかなりの数に登ることになるでしょう。

その後米国は、この軍事行動に関して、何も公表しなければ、台湾が独力で中国軍を粉砕したということになります。そうなると、台湾に軍事でも負けた習近平ということになり、国内でも習近平の評判は地に堕ちることにります。
中国が米国によるものだと批判しても、中国流に突っぱねれば良いのです。そもそも、中国は米軍攻撃の証拠を見つけることができないでしょう。
これと同じことを米軍は日本で実行すれば良いのです。ただし、日本の自衛隊は台湾の軍隊よりも、人員でも装備で優っていますから、米軍の出番はあまりないでしょう。

ただし、ここぞというときには、日米共同で、中国軍を徹底的に叩き、追撃戦は日本が行うことにします。

そうして、米軍はこの作戦に参加したことを発表しないようにします。そうなると、中国は日本に撃滅されたということになり、中国で習近平はもとより、中共の評判も地に墜ちることになります。

このような奇策も含めて、様々なシナリオを考えておき、いざというときには、中国を完膚なきまでに叩き潰すべきです。日本の領土尖閣などに野心を抱いたことを後悔させるべきです。

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2018年11月27日火曜日

「いずも」空母化やF35B導入、防衛大綱に明記へ=関係者―【私の論評】日本は「いずも」空母化で、中国の尖閣奪取の野望をくじき、南シナ海での航海の自由を守る(゚д゚)!

「いずも」空母化やF35B導入、防衛大綱に明記へ=関係者

空母化が予定されている「いずも」 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

政府は12月中にまとめる新たな「防衛計画の大綱」に、海上自衛隊の「いずも」型護衛艦の事実上の空母化や搭載する最新鋭のステルス戦闘機「F35B」の導入を明記する方向だ。政府関係者が明らかにした。

 与党内では、航空自衛隊が保有するF15戦闘機の後継として次世代ステルス戦闘機F35のA・B型を計100機、計1兆円程度購入する案も浮上。財政支出膨張に歯止めをかけたい財務省などとの綱引きが激しくなりそうだ。

 岩屋毅防衛相は27日の閣議後会見で、いずも型護衛艦について「せっかくある装備なので、できるだけ多用途に使っていくことが望ましい」と表明。F35Bの導入についても「短い滑走路で離陸できる性能を持った航空機だ。航空機体系全体をどうするかの一つとして検討している」と述べた。

 自民党が5月に示した防衛大綱に向けた提言では、いずも型護衛艦を空母化改修する「多用途運用母艦」とF35Bの導入が盛り込まれ、大綱および同時に策定される、今後5年間に自衛隊がそろえる装備品や費用を示す中期防衛力整備計画(中期防)での焦点となっている。

F35B

 従来の政府見解では、遠方に攻撃型の戦力を投入できる空母の保有は日本が掲げる専守防衛との整合性を問われる可能性があるとされていたが、今回の防衛大綱の作成時に論点を整理する。

<次世代ステルス機100機・1兆円購入案、与党内で浮上>

 自衛隊は現在200機保有するF15の半分を改修する予定だが、改修に適さない残り100機の取り扱いも焦点となっている。

 与党議員の中では、中国、ロシアの航空戦力が拡充される中で「F35のA型であれば60機程度でF15・100機相当の防空能力がある」として、A型を60機、垂直着陸が可能で空母搭載に対応したB型を40機の計100機の購入が望ましいと主張する声がある。

 政府が100機購入を決定した場合、来年1月から始まる日米通商交渉での有力な交渉カードになる可能性があるとの声が政府・与党内にはある。

 トランプ大統領は今年9月の日米首脳会談直後に「私が『巨額の貿易赤字は嫌だ』と安倍首相に言うと、日本がすごい量の防衛装備品を買ってくれることになった」と表明。日本の防衛装備品購入に期待している。

 トランプ政権は年間7兆円の対日貿易赤字削減を繰り返し主張しており、日本に対して「(赤字削減には)自動車輸出削減や自動車の米国生産拡大、米国からの輸入拡大の全てが必要」(ハガティ駐日米大使)と明言している。

【私の論評】日本は「いずも」空母化で、中国の尖閣奪取の野望をくじき、南シナ海での航海の自由を守る(゚д゚)!

なぜ、日本は「いずも」を空母化して、軽空母を作ろうとするのでしょうか。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【アジアを先導する日本】台湾海峡を中国から守る“主役”は日本 日台、中国共産党の野望を打ち砕くソフトパワーに―【私の論評】「いずも」の空母化は、中共の野望を粉微塵に打ち砕く(゚д゚)!
中国初の国産空母。昨年4月26日水曜日に中国・大連で行われた進水式にて
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では日本がなぜ軽空母を持とうとする理由を以下の三点に絞って説明しました。
1中国空母を陳腐化 
2中国艦隊戦力の更新強要 
3中国潜水艦戦力の更新遅滞
さらにこの記事では、結論として以下のように掲載しました。
日本が軽空母を数隻持ち、交代で台湾海峡を航行するようになれば、どういうことになるでしょうか。中国共産党の野望を打ち砕くソフトパワーとともに有効なハードパワーにもなります。 
さらに、米国の空母も台湾海峡を不定期なが、航行させ、さらに日本の軽空母とともに、5隻程度の空母とともに、台湾海峡で大規模な軍事演習など行えば、中国は極度のプレッシャーにされされることになり、対抗上空母開発とともに海軍力の再構築に追い込まれることになります。 
だからこそ、中国は「いずも」の空母化を極度に恐れているのです。「いずも」の空母化と、さらなる親密な日台関係が、中国共産党の野望を打ち砕く巨大パワーとなるのです。
さて、今回は「いずも」空母化で、日本は何ができるようになるのかをまた別の角度から掲載しようと思います。

安倍晋三首相は、「今までの憲法の枠内で何ができるか」という発想を持っていますが、「トータルの日本の防衛力はどうあるべきか」という戦略も考えているようです。いずもの空母化は、筋の通った話だと思います。というのも、自衛隊は、陸海空の統合運用を目指しています。これを統合戦闘能力と言います。

この統合戦闘能力において、いずもの空母化は、どういう意義があるかといえば、まず「尖閣諸島を守るため」という意義があります。

現在、沖縄の那覇基地にあるF15戦闘機が、尖閣諸島上空の防空に当たっています。しかし、尖閣諸島上空到達までに30分かかります。燃料の搭載量には限界があり、1時間強ほどしか防空任務に就けません。往復1時間かかるとなると、実際の戦闘時間は極めて短いわけです。戦闘時には燃料を最大限に使うので、5~10分しかもちません。

そこで、戦闘機を載せた「いずも」が、尖閣付近にまで近づくというわけです。そこから、発艦すれば、戦闘機の防空任務にさける時間が大幅に増すことになります。

陸上自衛隊の水陸機動団が今年3月27日に、佐賀県で発足したばかりですが、これはアメリカの海兵隊を見習ったものです。水陸機動団は、尖閣が奪われたら、艦船やオスプレイで上陸部隊を運び、逆上陸して奪い返します。

水陸機動団

しかし、上空の安全が確保されてないと、オスプレイはすぐに撃ち落されるので、海と空が一体となった作戦を実施できなければ、尖閣は守れません。統合戦闘能力を向上させる一環として、「いずも」の空母化が持ち上がったわけです。

また長崎県佐世保には、海兵隊が運用している「ワスプ級強襲揚陸艦」という軽空母が配備されました。これは、いずもと似ていて、F35Bが搭載でき、海兵隊の作戦を上空から支援する目的があります。日本は、これを真似ているわけです。

いずもに搭載できるF35Bは、ステルス戦闘機であり、攻撃機です。F35Bには、導入が検討されている空対地・対艦ミサイル「JSM」を搭載できます。

日本はすでに類似したミサイルを持っていますが、射程は120~130キロの範囲です。F35Bに、それよりも遠くから発射できるJSMを搭載することで、攻撃の「長射程化」を図り、尖閣をガッチリと守るつもりです。あくまでも、日本周辺に侵出してくる艦艇やミサイル発射台などを叩くことが目的です。

将来的には、尖閣防衛のためだけでなく、北朝鮮や中国などの脅威を取り除くために、F35Bを投入することもありえます。

さらには、南シナ海での航海の自由を守ることも、想定できるとは思います。つまり、シーレーンの防衛です。しかし、いずも自体に自分を守る防御能力はないので、イージス艦のような盾になる艦艇とセットでないと、南シナ海に行かせることはできません。

ただ、いずもは改修しても、戦闘機を最大14機しか運用できません。アメリカのワスプは20機くらい載りますので、それと比べると能力は落ちます。相手の戦力によりますが、いずも1隻では足りません。いずれは、2~4隻体制になるでしょう。

私は政府はもともと、いずもを空母化しようと考えていたのでしょう。少しずつ進めて、いつの間にか空母をつくるという、なにやら中国のサラミ戦術のようなやり方です。いきなり空母を建造するというより、小出しにして少しずつ実施すれば、マスコミなどから叩かれないという考えなのでしょう。政府は、空母の必要性について、正面から国民に説明すべきです。

米国は、11隻の原子力空母を保有していますが、日本もいずれは、原子力空母を持つべきです。ただし、原子力空母の建造には、日本は一切手をつけていないので、かなり時間がかかるでしょう。

おそらく、米国から買った方が早いです。持つべきだとは思いますが、10年~20年かかることでしょう。原子力空母は、燃料を入れなくて良いのですが、5~10年ごとにオーバーホールして核燃料の交換をしないといけませんので、経費も相当かかります。金と時間の面で融通が利きづらいです。

それに、原子力空母は一度燃料を入れると、その後は廃艦になるまで、燃料を入れなくもすむという利点はありますが、乗員は乗りっぱなしというわけにはいかず、交代する必要があるのと、水・食料補給、装備品の補給などで、原子力空母といえども、定期的にいずれかの港に寄港しなければなりません。

それを考えると、日本は原子力以外の既存のエネルギーを用いた省エネ型の空母をつくり、原子力空母の寄港頻度と同じくらいの頻度ですむような空母をつくることができるかもしれません。なにしろ、日本は省エネ技術では世界トップクラスなのですから。

しかし、まずは「いずもクラス」の軽空母を持つことで、当面の中国を含む周辺国への存在感はかなり高まります。

特に、中国に対するインパクトは相当のものになるでしょう。まずは、当面尖閣奪取の野望をくじくことになるでしょう。そうして、南シナ海での航海の自由を守ることにも寄与することになるでしょう。

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2018年11月22日木曜日

シュライバー米国防次官補単独会見 米、中国海軍と海警、海上民兵の一体運用による尖閣奪回を警戒―【私の論評】冷戦Ⅱで日本は尖閣から中国を排除しやすくなった(゚д゚)!

シュライバー米国防次官補単独会見 米、中国海軍と海警、海上民兵の一体運用による尖閣奪取を警戒

シュライバー米国防次官補
【ワシントン=黒瀬悦成】シュライバー米国防次官補が21日、産経新聞との単独会見で東シナ海での中国海警局の公船や漁船に乗り込んだ海上民兵に対して厳しく対応していく姿勢を打ち出したのは、これらの勢力が実質的に中国人民解放軍の指揮下にあり、「非軍事組織」を装いつつ中国軍と事実上一体となって尖閣諸島(沖縄県石垣市)の奪取に動くことを強く警戒しているためだ。

 日本の海上保安庁に相当する中国海警局は7月、中央軍事委員会の傘下にある人民武装警察部隊(武警)に編入された。軍の指導機関である軍事委の傘下に入ったことで、沿岸警備とは別に中国海軍と連携した軍事行動をとる恐れがあるとの懸念が強まっている。

 また、米海軍大学校のアンドリュー・エリクソン教授は軍事専門誌で、中国の海上民兵が「人民解放軍の指揮命令系統に組み込まれ、国家主導の作戦で運用されている多数の証拠がある」と指摘。エリクソン氏は、これらの海上民兵をウクライナの分離独立派を支援するロシア軍要員「緑の小人」にちなんで「青い小人」と名付け、米国としてもその実態を白日の下にさらすべきだと訴える。

 さらに、米議会の超党派政策諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」が14日に発表した年次報告書によると、中国海軍は今年、原子力潜水艦やフリゲート艦を尖閣諸島の接続水域に初めて侵入させ、軍用機の訓練飛行を頻繁に実施するなど、尖閣をめぐる日本の主権と施政権を否定する行動を繰り返している。

 日中首脳は10月の首脳会談で東シナ海を「平和・協力・友好の海」とすることを確認したが、中国による行動は発言とは正反対といえる。米国防当局者によると、マティス国防長官は10月、シンガポールでの魏鳳和国防相との会談で、この問題に関する米国の懸念を明確に伝えたという。

 北朝鮮問題に関しては、「交渉は外交官に任せる」として国務省主導の非核化協議を支援する立場を打ち出す一方、「北朝鮮との間では幾つかの信頼醸成措置が取られたものの、北朝鮮は通常兵力を全く削減していない」と指摘し、「北朝鮮は引き続き重大な脅威だ」と訴え、米韓同盟に基づく米軍駐留の必要性を強調。在韓米軍の削減をめぐる議論は「現時点で一切行われていない」とした。

 非核化協議を進展させる狙いから中止されている米韓の大規模合同演習を来年春以降に再開するかについては「北朝鮮の交渉態度が誠実かどうか次第だ」と指摘。これに関し国防総省は21日、今後の演習に関し、規模を縮小して実施するなどの選択肢を検討しているとする声明を発表した。◇

 ランドール・シュライバー米国防次官補 西部オレゴン州出身。海軍情報士官として湾岸戦争(1991年)などに参加後、ハーバード大で修士号(公共政策)取得。ブッシュ(子)政権下の2003~05年に国務次官補代理(東アジア・太平洋問題担当)を務めるなどした後、コンサルタント会社「アーミテージ・インターナショナル」をリチャード・アーミテージ元国務副長官らと共同設立した。アジア地域を専門とする政策研究機関「プロジェクト2049研究所」の代表も務めた。18年1月から現職。

【私の論評】冷戦Ⅱで日本は尖閣から中国を排除しやすくなった(゚д゚)!

海上民兵
昨日は海警については掲載したので、本日は海上民兵について掲載します。

海上民兵について、上の記事では詳細については掲載されていません。これは、どのような存在なのか、今一度振り返っておきます。

海上民兵は過去にすでに尖閣諸島付近に姿を現しています。2016年8月5日に尖閣諸島周辺に200~300隻にも上る中国漁船接続水域に現れました。その後、5日間にわたってこの海域にとどまり操業を続ける様子を、警戒にあたった海上保安庁の航空機がしっかりと映像に捉えていました。

「視界の及ぶ限り延々と中国漁船が浮かんでいました。この漁船団とともに最大で15隻もの中国海警局の公船が一体となって、日本の領海への侵入を繰り返していたのです。警戒にあたる巡視船の基本は、マンツーマンディフェンスですが、これほどの数だと、対応しきれません」(海上保安庁幹部)

現場からはさらに驚くべき動きが伝えられました。

「尖閣諸島周辺海域に押しかけた中国漁船に多数の海上民兵が乗船していたというのです。その数は100人を下らない。多くは漁船の船長として、乗組員である一般の漁民らを指揮していたと見られています」(同前)

今回だけでなく、近年、尖閣周辺に入り込む中国漁船に海上民兵が乗船するのは、もはや日常の光景と化しています。

「尖閣周辺の上空で毎日欠かさず警戒にあたる海上自衛隊の哨戒機P─3Cが捉えた中国漁船の写真には、海上民兵と思しき軍服を着た人物が乗り込み、船体には軍の識別番号、甲板には20mm連装機関銃を搭載した様子まで映っていた」(防衛省関係者)

そもそも海上民兵とは、漁民や民間の船会社の船員などのうち、軍事的な訓練を施され、必要に応じて漁船などで軍の支援活動をする者たちをいいます。漁業繁忙期には漁にいそしみ、漁閑期には国防を担うことで日当を政府からもらう、パートタイムの軍人というべきかもしれません。民兵(Min Bing)の略である、MBのワッペンや記章が付いた軍服を着て活動します。

中国民兵の肩章

中国国防法22条には、「人民の武装力は中国人民解放軍および予備部隊、人民武装警察部隊、民兵組織によって構成される」と謳われ、民兵は軍を所掌する中央軍事委員会の指導下にありますが、彼らはフルタイムで軍務に従事するわけではありません。その数は10万人以上とも言われるますが、正確には判明していません。

この海上民兵が米軍や自衛隊関係者の間で大きく注目されています。近年、急激に活動を活発化させているからです。

「2009年に海南島沖の公海上で米海軍の音響測定艦インペッカブルが、中国の海上民兵が乗り込んだトロール漁船などから執拗に妨害を受けるということがありました。

南シナ海で中国が進める人工島の埋め立て作業にも海南島などの海上民兵が動員され、さらに2015年から米軍が始めた『航行の自由』作戦に参加したイージス艦が、海上民兵が乗る武装漁船によって取り囲まれるという事態が二度にわたり起きたことを米太平洋艦隊の司令官が2016年5月に明らかにしています。

海上民兵は単なる半漁半軍の集団ではなく、米中の軍事的緊張の最前線に躍り出る存在となったのです」(同前)

その海上民兵たちの拠点となる漁村は、東シナ海および南シナ海に面した浙江省から福建省、広東省、海南省にかけての海岸線沿いに複数点在しています。日本の公安当局はその実態の把握に躍起となっています。

「浙江省や福建省などでは海軍の教育施設で海軍兵士と一緒に30日ほどの軍事訓練を受けており、その活動は海軍艦船への燃料や弾薬の補給から偵察、修理、医療など幅広く行います。なかには、機雷の設置や対空ミサイルの使用に習熟した民兵もおり、敵国艦船への海上ゲリラ攻撃を仕掛けるよう訓練された部隊もあるようです」(公安関係者)

この他にも中国が西沙諸島や南沙諸島などに作った人工島をあわせて新設した三沙市への移住を海上民兵に対して促すこともあるといいます。

1日あたり35元から80元(約500~1200円)の居住手当が支払われるといいますが、移住先の人工島で漁業などに従事させることで、中国領であるとの既成事実を作り上げようといしているのかもしれません。

以上のようなことから、海上民兵を日本の屯田兵のようなものとみなすことができると思う人もいるかもしれません。しかし、それは全くの間違いです。日本の屯田兵は、当時自他ともに自国領土とされる北海道に展開されていました。

屯田兵は、国境係争地等や他国領土、領海に配置されたことはありません。それは、あくまで軍隊が行っていました。屯田兵はあくまで、自国領地を守るという意味合いで設置されたものであって、中国の海上民兵とは全く異なるものです。

さて、このような海上民兵と闘うためにはどうすれば良いのでしょうか。

中国が尖閣諸島に多数の「漁民」を軽武装で上陸させてくる可能性があります。実際には民兵であるこれら「漁民」は人民解放軍の指揮下にある「漁船」で上陸し、日本側が出動させるヘリコプターに対してフレア・ガン(照明弾や発煙弾を発射する信号銃)を一斉発射して撃退することでしょう。

このような、尖閣攻撃は、中国側が日本のなまぬるい対応を事前に知っているためにその可能性が高くなってきました。

日本側は憲法上の規制などで尖閣に侵入してくる中国の軍事要員に対しても警察がヘリで飛来して、違法入国で逮捕し、刑事犯として扱おうとする対応を明らかにしています。だから中国側の偽装漁民はフレア・ガンでまずそのヘリを追い払うわけです。ヘリがフレア・ガンに弱いことはよく知られています。この場合、米軍の介入も難しくなります。

フレア・ガンを撃つ女性

日本に必要なのは、尖閣諸島を、重要施設が集中している「東京都千代田区」と同じにみなし、そこへの侵略は本格的な軍事作戦で撃退することです。日本側はいまその軍事反撃ができないことを内外に広報しているような状態であり、中国の侵略をかえって誘発する危険を高くしています。

日本は自国の防衛のために現実的かつ本格的な軍事作戦を遂行する意思や能力があることを示さねばならなりません。そのことこそが中国の軍事的な侵略や威嚇への抑止となります。

幸いなことに現在、トランプ大統領の安倍晋三首相への信頼度は高いです。トランプ大統領は、安倍氏をいまの世界で最高水準の指導者とみなし、日本をアメリカにとって第一の同盟国とみています。

現在トランプ政権では、対中国冷戦Ⅱを本気で実行している段階です。トランプ政権下では日本は中国に対して強い措置をとる際に従来のように米国政府にいちいち了解を求める必要はもうなくなりました。

2018年からは、米国はこれまでと異なる対中政策をとりはじめ、その結果、まったく新たな米中関係が始りました。この変化は日本にとっても、プラスが多いです。

もし中国が海上民兵を主体に尖閣上陸しようとした場合、日本が武力も含めて何らかの措置を講じ、海上民兵尖閣から排除した場合、米国は日本を同盟国としてさらに信頼することになるでしょう。

一方、世界の中で、中国、北朝鮮、韓国とごく一部の国を除いて、日本が海上民兵を排除したとしても、ほんどの国がそれを当然とみなし、非難する国はないでしょう。避難するどころか、中国の侵略や干渉に悩まされている国々からは賞賛の声があがることでしょう。

そうして、国内でも中国が武装海上民兵を尖閣に上陸させた場合、それを迅速に排除すれば、政府に対する信頼はますます深まるでしょう。野党は、大反対するかもしれませんが、これはかえって多数の国民から反発を買うことになるでしょう。

その逆に、海上民兵にやすやすと尖閣を奪取された場合、政府の支持率はかなり落ちることになるでしょう。これは、特に最近の政府の韓国に対する厳しい対応に対して、国民やマスコミなどから反対の声が起こらないことからも容易に推察できます。

もし、尖閣がやすやすと海上民兵に奪取された場合、普段野党は親中派・媚中派のようであるにもかかわらず、途端にあたかも反中派になったように、倒閣のために政府を大批判し、マスコミもこれに迎合し、これでもかこれでもかと政府の不手際を批判することになるでしょう。

その挙句の果てに、中国から大目玉を喰らって、意気消沈するなどの喜劇が発生するかもしれません。

このよなことにならないためにも、日本は法改正して、海保と海自が連携行動出来るようにすれば良いのです。当然海保の巡視艇は、中国の海警船並に、兵器を搭載します。敵の海警船と、我が巡視艇同士でも、砲撃戦が出来るようにしておくのが急務です。ことが大きくなったら海自の潜水艦やイージス艦が出て行けば良いのです。

また、予め中国に対して、海上民兵は軍事組織とみなすとはっきりと伝えておくことも重要です。

肝腎なことは、「中国は尖閣だけでなく、沖縄諸島を略奪することを企図している」ことをはっきりと表明していることです。これに対応するには妙案などありません。昨日もこのブログに示したように、迅速に行動することです。

いずれにせよ、トランプ政権になり冷戦Ⅱが始まってからは、日米の関係性からいって、日本は以前よりはるかに尖閣対応がやりやすくなったのは確かです。オバマ政権時代までには考えられないような対応ができるようになりました。

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2017年12月4日月曜日

中国尖閣攻勢は米にとって「日本の国難」との深刻な懸念―【私の論評】遅かれ早かれ、北より危険な中国は尖閣を奪取しにくる(゚д゚)!

中国尖閣攻勢は米にとって「日本の国難」との深刻な懸念


尖閣国有化から5年。いまも頻発する中国海警の領海侵犯に日本は麻痺しているが、事態は深刻だ。産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏が警鐘を鳴らす。

* * *

 日本はいま国家安全保障上の重大な危機に直面するに至った。国家としての主権や独立や領土を根本から脅かされる目の前の明白な危機である。誇張ではない。と述べると、日本側の大方は北朝鮮の核兵器開発や弾道ミサイルの発射を思い浮かべることだろう。北朝鮮の脅威は確かに日本にとっての危機である。

 だがここで私が報告するのは中国が日本の主権や領土を侵食し、奪取しようとしている現在の危機なのだ。具体的には中国が日本固有の領土である尖閣諸島に軍事がらみの攻勢を強め、日本領海に自由自在に侵入している現実である。日中間の軍事衝突の危険はすぐ目の前にある。北朝鮮の脅威に比べ、中国の長期で大規模な対日攻勢はずっと危険度が高い。しかも尖閣での日中のせめぎあいは米中戦争の発端になりかねない潜在的な爆発性をも秘めているのだ。

 産経新聞10月6日付朝刊に小さな記事が載った。

 《尖閣領海、中国公船が一時侵入

 5日午前10時5分ごろから、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海に中国海警局の船4隻が相次いで侵入し、約2時間航行して領海外側の接続水域に出た。中国当局の船が尖閣周辺で領海侵入したのは9月25日以来で、今年25日目》

 社会面の片隅の雑報扱いの記事である。普通に読んでいたらまず目に入らない。「地球接近の小惑星撮影」とか「ゴルフ場被害で東電に賠償命令」というお知らせと並ぶ短報なのである。

 安全保障問題には敏感な産経新聞にしてこれだから他のメディアの扱いは推して知るべし、尖閣諸島の日本領海への中国艦艇の侵入はまったくの軽視なのだ。総選挙でも争点にならない。国会の審議でもツユほどの言及もない。

 ◆艦隊が定期的に日本領海へ

 だが私の取材拠点のワシントンではアジア安保や中国軍事動向の専門家たちの間で、中国の尖閣攻勢は日本にとって重大な危機であり、アメリカにとっても深刻な懸念の対象とされている。まさに日本の国難という位置づけなのだ。

 確かに中国の尖閣侵犯はここ数か月でもその規模と頻度を増してきた。昨年までは尖閣周辺の日本領海やそのすぐ外側で日本の主権の及ぶ接続水域に侵入してくる中国海警の武装艦艇はいつも2隻だった。だがいまでは必ず4隻の行動をともにする艦隊となった。倍増なのだ。しかも各艦は1000t級から5000t 以上の、巡視艇としては大型ばかりの組み合わせだ。この艦隊が毎月3回ほど、定期的に日本領海に侵入してくるのだ。

 日本側ではこれらの艦艇を中国公船と呼ぶ。公式には国家海洋局の傘下の中国海警局所属の船だが、海警局は事実上は人民解放軍の指揮下にあり、軍事色が強い。実際に尖閣領海に侵入してくる艦艇はみな大型機関砲などで武装している。目的は究極的には尖閣諸島の日本からの奪取である。

 アメリカ側では中国のこの動きに最大の警戒の目を向けている。国防総省の中国の軍事力に関する最新の2016 年度報告書でも、中国人民解放軍が「地域的な短期で鋭利な戦争」の能力を高め、尖閣もその主要戦略目標の一つとしていることを明記していた。

 民間の大手安全保障研究機関の「ランド研究所」も同年夏に公表した「中国との戦争」という長大な調査研究で米中戦争の可能性について、尖閣をめぐる日本対中国の衝突が米中戦争に発展する危険を第一のシナリオとしてあげていた。

 ちなみにアメリカでの中国の軍事動向研究は官民ともにきわめて重層かつ大規模だ。中国が長期にはアメリカの最大の脅威になるとの認識が反映されているのだろう。その研究では情報機関や軍を動員した豊富な軍事情報が基礎となる。民間での中国軍事研究はゼロに等しい日本とは対照的だ。

 【PROFILE】古森義久●慶應義塾大学経済学部卒業。毎日新聞を経て、産経新聞に入社。ロンドン支局長、ワシントン支局長、中国総局長などを経て、2013年からワシントン駐在客員特派員。2015年より麗澤大学特別教授を兼務。近著に『戦争がイヤなら憲法を変えなさい』(飛鳥新社)。

【私の論評】遅かれ早かれ、北より危険な中国は尖閣を奪取しにくる(゚д゚)!

尖閣諸島の危機については、昨日もこのブログに掲載したばかりです。詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事で述べた尖閣の危機の部分のみを簡単にまとめると以下のようになります。
習近平が軍を掌握するにしても、様々な紆余曲折があった後にようやっと実質的にできるようになるものと考えられます。 
そうなると、習近平は、軍部を腐敗撲滅で追い詰めるでけではなく、軍部の歓心を買うために、軍部が強力に推進している作戦などをさらに強く進めることを許可するかもしれまんせん。 
そうなると、ドクラム地区(インド・中国の国境)、南シナ海、尖閣諸島での軍の作戦を強力に推進するかもしれません。先日も、このブログでも述べたように、人民解放軍は他国の国防軍とは違い、現状では、共産党の私兵であり、独自で様々な事業を推進する商社の存在であるということを考えれば、習近平は尖閣諸島の奪取も黙認するかもしれません。 
なぜなら、尖閣諸島を奪取すれば、ここは豊富な水産資源があるとともに、それにつらなる東シナ海は石油などの豊富な地下資源が眠っているところだからです。
人民解放軍としては、尖閣を奪取することにより、この利権を入手することも可能です。そうして、習近平がこの利権を人民解放軍が入手することも黙認すれば、習近平に従うようになり、習近平が軍を掌握することができるようになるかもしれません。
最近の習近平の動向をみていると、尖閣諸島奪取へのシナリオは一段と現実味を帯びつつあります。

尖閣の危機については、昨年もいくつもの米国民間研究機関が表明していました。ワシントンの民間の中国軍事研究機関「国際評価戦略研究センター」の主任研究員リチャード・フィッシャー氏の予測がより具体的で詳細でした。以下にリチャード・フィッシャー氏の主張を簡単にまとめて掲載します。

リチャード・フィッシャー氏
中国は日本の尖閣防衛の能力や意思が弱く、アメリカの支援も疑問だと判断すれば、必ず攻撃をかけてくる。その方法は民兵『漁船』を利用した上で、ヘリコプター、ホバークラフト、潜水艦のいずれかを使っての奇襲上陸の可能性が高い。
同氏は、まず中国の民兵が尖閣潜入上陸を試みるケースが考えられるが、その場合、ヘリやホバークラフトで投入される中国軍部隊との一体化の公算が大きいといいます。
中国軍は浙江省の南ジ列島にヘリ発着を主目的とする新軍事基地の建設を始めた。この基地は尖閣から約300kmで、中国軍新鋭ヘリのZ─8BやZ18─Aは約900kmも飛べるから尖閣急襲目的にかなう。
Z18-A
中国海軍はロシアとウクライナから高速の大型ホバークラフト4隻をすでに購入し、東シナ海にも配備している。艦底部に空気を吸い込み浮上して走るホバークラフトは水陸両用の揚陸艦艇として尖閣諸島への上陸にも機能を発揮しうる。 
人民解放軍のホバークラフトと、上陸用舟艇
フィッシャー氏は潜水艦からの兵員の奇襲上陸も可能だと述べました。こうした手段で尖閣に投入された戦闘要員を「漁船」民兵が支援することにもなるといいます。

このように、現在の尖閣事態はすでに日本にとって「いまそこにある危機」なのです。日本国土の一部を武力で奪われる瀬戸際というわけです。

では、なぜワシントンではアジア安保や中国軍事動向の専門家たちの間で、アメリカにとっても深刻な懸念の対象とみているのでしょうか。

それは、もし日本が尖閣諸島を中国に奪取されても、何の有効な手立てもとらなかった場合、尖閣諸島や東シナ海を南シナ海と同じように実行支配される可能性が大きいということです。

そうして、日本の同盟国である米国が、これを見てみぬふりをすれば、ますます中国はつけあがり、さらに南シナ海、東シナ海での行動をエスカレートさせ、我が物顔で振る舞うようになり、いずれ西太平洋にも進出することが懸念されるからです。さらには、中国は沖縄を奪取することも狙うかもしれません。

そうなると、米国としても中国と本格的に対峙し、場合によっては軍事力を行使しなければならなくなります、その場合地域紛争ですめば良いのですが、最悪中国との本格的な戦争に突入する危険もあるからです。

中国に尖閣を奪取された途端に、日本の世界における存在感は地に落ちることでしょう。そうなってしまえば、日本は独立国とはみなされなくなり、米国、中国いずれかの属国になる道を選ぶしかなくなります。今でも、日本は独立国ではなく米国の属国だなどという人もいますが、現状の水準どころではなく、いずれかの国の一地方という扱いになることでしょう。

中国には、このような狙いがあります。そのため、中国は遅かれ早かれ、本格的に尖閣諸島奪取にしにくるとみておくべきです。北朝鮮は、核ミサイルは発射できるかもしれませんが、尖閣諸島を奪取したりする能力はありません。中国も核ミサイルを保有していることを考えると日本にとって、中国は北よりもはるかに危険で厄介な国です。

こんなことを語ると、「そんな馬鹿なことがおこるはずない」などという呑気な人もいるかもしれませんが、こういう人に私は「日米戦争開戦の10年前までは、誰も日米が戦争になるなどとは考えていなかったし、それを望むものもいなかった」という事実をお伝えしたいです。

これに対して、日本はどうすれば良いのかということになりますが、無論のこと最悪軍事力を行使しても、尖閣諸島付近から中国軍を追い払うべきです。

そうして、軍事的にはその力は十分にあります。日本は米国に頼らなくても、単独で尖閣諸島を守り抜くことができます。それに関しては、以前このブログにも掲載しました。以下の【関連記事】のところに、その記事のリンクを掲載します。

日本は、軍事的には十分にそれが可能ですが、後は国民と政府がこのような事態に対して、たとえ場合によっては犠牲者が出たとしても軍事力を行使して、守り抜く覚悟があるかないかだけです。

【関連記事】

2017年12月3日日曜日

中印紛争地区、離脱合意のはずが「中国固有の領土だ」 軍駐留を継続、トンネル建設も着手か―【私の論評】この動きは人民解放軍による尖閣奪取と無関係ではない(゚д゚)!


インド、中国、ブータンの国境付近のドクラム地区
 インド、中国、ブータンの国境付近のドクラム地区で中印両軍の対峙(たいじ)が続いた問題をめぐり、中国側が最近、「ドクラム地区は固有の領土」と改めて発言し、軍隊駐留を示唆したことが波紋を広げている。中国軍が付近でトンネル建設に着手したとの報道もあり、インド側は神経をとがらせる。双方「要員の迅速離脱」で合意したはずの対峙だが、対立の火種はくすぶり続けている。

 中国国防省の呉謙報道官は11月30日の記者会見で、ドクラム地区をめぐり、「冬には撤退するのが慣例だが、なぜ(部隊が)依然、駐留しているのか」と質問され、「中国の領土であり、われわれはこの原則に従って部隊の展開を決定する」と応じた。

中国国防省の呉謙報道官
 ドクラム地区はヒマラヤ山脈の一角に位置し、冬は積雪のため部隊配備が困難となる。中国側は現在も軍隊が駐留していることを否定せず、配置を継続させることを示唆した格好だ。

 発言にインドメディアは反応し、PTI通信は「中国が軍隊を維持することを示唆」と呉氏の発言を報じた。中国側の動きに敏感になっていることがうかがえる。

 ドクラム地区では、中国軍が道路建設に着手したことを契機に6月下旬から中印両軍のにらみ合いが発生。8月28日に「対峙地点での国境要員の迅速な離脱が合意された」と宣言され、事態は収束したかのように見えた。

ドクラム地区に展開する中国人民解放軍
 ただ、中国側は「パトロールは続ける」(華春瑩・外務省報道官)との意向を示しており、10月に入っても「中国軍はまだ駐在する」とインド紙が報道。インド民放は11月、ドクラム地区付近で中国軍が「6カ所でトンネル工事をしており、兵舎も建設中だ」と報じた。

 今夏のにらみ合いは1962年の国境紛争以来、「軍事衝突の恐れが最も高まった」とされたが、いまだ緊張関係が継続している格好だ。印政治評論家のラメシュ・チョプラ氏は「各地で覇権主義を強める中国側が、簡単に引き下がると思えない」と指摘している。

【私の論評】この動きは人民解放軍による尖閣奪取と無関係ではない(゚д゚)!

1962年の中印国境紛争は、高慢なインドが中国の要求をのまなかった代償であるというのが、中国指導部の見方です。しかし、インドにしてみれば、これは半世紀以上にわたって国を苦しめてきた屈辱にほかならないものです。

国際関係において「屈辱」とは、他国の名誉を傷つけ、地位を得ようとする試みを否定することであり、明白なヒエラルキーの構築を意味します。戦争は、相手に屈辱を与える格好のチャンスです。

屈辱が持つ、こうしたインパクトを理解している国があるとすれば、それは他ならぬ中国です。中国国防省がインドに警告を発していた頃、習近平国家主席は香港返還20周年を祝う式典で、こう語りました。英国が1842年に香港を収奪したことによって中国が受けた「屈辱と哀しみ」は、香港が中国に返還されたことで終わったのだ、と。

ナショナリズムをあおるために「屈辱の世紀」という言葉を広く利用してきたのが中国です。1949年の中華人民共和国樹立により、「屈辱の世紀」は終わったことにはなっているのですが、東アジアの大国としての中国の自己イメージはその後、何度も打ち砕かれてきました。とりわけ、戦後日本の高度成長によって受けたショックは大きいものでした。

しかし、中国は自らに対する屈辱は敏感に感じ取るくせに、いかに自らの行いが他国に同様の感情を引き起こしてきたかについては全く鈍感です。1962年の国境紛争で敗北させたことで、旧植民地国のリーダーたらんとしていたインドの野心を徹底的に踏みにじったのです。

中国に辱められた国はインドにとどまらないです。ベトナムには、中国の「屈辱の100年」に相当する「中国支配の1000年」という言葉があります。

一方で自ら屈辱を受けながら、他国にも屈辱を加えた国は中国だけではありません。インドは1962年に中国から辱めを受けましたが、9年後の第3次印パ戦争によって隣国パキスタンに同様の感情を植え付けました。

1947年の独立以降、パキスタンは南アジアでインドと覇権争いを繰り広げており、米国や中国にすり寄ることで存在感を高めようとしていました。同国の野望は、1971年の第3次印パ戦争に敗北して崩れ、これが東パキスタン(現バングラデシュ)の独立につながりました。

これまで述べてきた屈辱の事例に共通するのは、遠くの超大国ではなく、アジアの隣国によって与えられたという点です。これが痛みをとりわけ大きくしています。

アジア全域でナショナリズムが台頭する今、各国指導者が欲しくてたまらないもの、それは自らの政治目標を達成するのに都合のいい歴史解釈です。この技を極めた達人は中国ですが、同様のテクニックはインドも含め各国で見られます。

そうして、この屈辱は、日本も例外ではありません。自らの政治目標を達成するために都合の良い尖閣諸島は中国の固有領土であるという歴史解釈を中国は打ち出しています。そうして、この歴史解釈を習近平も受け継いでいます。

習近平
習近平国家主席が軍幹部の非公開会議で沖縄県・尖閣諸島について「(中国の)権益を守る軍事行動」の推進を重視する発言をしていたことが2日、中国軍の内部文献で分かっています。日本の実効支配を打破する狙いのようです。直接的な衝突は慎重に回避する構えのようですが、現在は海警局の巡視船が中心の尖閣周辺海域のパトロールに加え、海軍艦船や空軍機が接近してくる可能性もああります。

文献によると、2月20日に開催された軍の最高指導機関、中央軍事委員会の拡大会議で、同委トップを兼務する習氏は「わが軍は、東シナ海と釣魚島(尖閣諸島の中国名)の権益を守る軍事行動を深く推進した」と述べたとされています。

この発言は、尖閣諸島を自らの固有の領土という都合の良い歴解釈により、国内では日本に与えられた屈辱感を煽り、尖閣諸島付近で示威行動をすることにより、その屈辱感を晴らす行動に出て、中国人民の中国共産党中央政府に対する憤怒のマグマを日本に向けるという習近平の政治目標を露わにしたものです。

しかし、ドクラム高地の対立を見ればわかるように、この戦略は極めてリスキーです。第1次世界大戦が終結した後、欧州は屈辱の遺産を処理するのに失敗し、第2次世界大戦の惨禍を招きました。特に当時のドイツ国民の屈辱感は凄まじいもので、ヒトラーはこれを利用しました。一方で第2次大戦後の欧州は、未曾有のレベルで域内協力を行う枠組みを整え、問題に立ち向かいました。

歴史的屈辱をめぐって煮えたぎる怒りに手がつけられなくなる前に、アジアでも同様の試みがなされるのを願うばかりです。

習近平は、現在人民解放軍を掌握すべく、様々な画策をしていることをこのブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【石平のChina Watch】「習近平の兵隊」と化する解放軍…最高指導者の決断一つで戦争に突入できる危険な国になりつつある―【私の論評】国防軍のない中国はアジア最大の不安定要素であり続ける(゚д゚)!
北京で行われた中国共産党大会の開幕式に向かう中国人民解放軍の代表ら=10月
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
 中国の政治・経済・外交の全般を統括する多忙な身でありながら、習氏がわずか10日間で4回にもわたって軍関係活動に参加するのは異様な風景であるが、同5日、中央軍事委員会が全軍に対して通達したという「軍事委員会の主席負責制を全面貫徹させるための意見書」に、習氏の軍に対する特別な思い入れの理由を解くカギがあった。 
 中国語のニュアンスにおいて、「軍事委員会の主席負責制」とは要するに、「軍事委員会の業務は全責任を持つ主席の専権的決裁下で行われること」の意味合いである。もちろん「主席」は、習氏であるから、この「意見書」は明らかに、中央軍事委員会における習氏一人の独占的決裁権・命令権の制度的確立を狙っているのだ。 
 「意見書」はその締めくくりの部分で習主席の名前を出して、「われわれは断固として習主席の指揮に服従し、習主席に対して責任を負い、習主席を安心させなければならない」と全軍に呼びかけたが、それはあたかも、解放軍組織を「習主席の軍」だ、と見なしているかのような表現であろう。 
 中国共産党は今まで、党に対する軍の絶対的服従を強調してきているが、少なくとも鄧小平時代以来、軍事委員会主席本人に対する軍の服従を強調したことはない。しかし今、習主席個人に対する軍の服従は、まさに「主席負責制」として制度化されようとしているのである。このままでは、中国人民解放軍は単なる共産党の「私兵部隊」にとどまらずにして、習主席自身の「私兵部隊」と化していく様子である。
しかし、「軍事委員会の主席負責制を全面貫徹させるための意見書」を全軍に通達したからといって、すぐに習近平が人民解放軍全軍を掌握できるとは限りません。

実際、中国国営の新華社通信は28日、人民解放軍の最高指導機関、共産党中央軍事委員会の元メンバーで、重大な規律違反の疑いで調査を受けていた張陽・前政治工作部主任(66)が自殺したと報じました。習近平政権が進める反腐敗闘争で元軍高官が自殺するのは異例です。習国家主席が進める軍掌握にも影響が及びかねない事態です。

張陽・前政治工作部主任
習近平が軍を掌握するにしても、様々な紆余曲折があった後にようやっと実質的にできるようになるものと考えられます。

そうなると、習近平は、軍部を腐敗撲滅で追い詰めるでけではなく、軍部の歓心を買うために、軍部が強力に推進している作戦などをさらに強く進めることを許可するかもしれまんせん。

そうなると、ドクラム地区、南シナ海、尖閣諸島での軍の作戦を強力に推進するかもしれません。先日も、このブログでも述べたように、人民解放軍は他国の国防軍とは違い、現状では、共産党の私兵であり、独自で様々な事業を推進する商社の存在であるということを考えれば、習近平は尖閣諸島の奪取も黙認するかもしれません。

なぜなら、尖閣諸島を奪取すれば、ここは豊富な水産資源があるとともに、それにつらなる東シナ海は石油などの豊富な地下資源が眠っているところだからです。

人民解放軍としては、尖閣を奪取することにより、この利権を入手することも可能です。そうして、習近平がこの利権を人民解放軍が入手することも黙認すれば、習近平に従うようになり、習近平が軍を掌握することができるようになるかもしれません。

一方ドクラム地区は、習近平が推進する広域経済圏構想「一帯一路」の要衝でもあります。習近平としては、この地区での中国の覇権を手中に収めることも重要な政治目標でもあります。尖閣諸諸島とそれに続く東シナ海の覇権を認めることで軍を懐柔して、ドクラム地区および「一対一路」のために必要になる軍事的な存在感を周辺の国々に訴求できるように軍部に働きかけるということも考えられます。

日本としては、尖閣諸島が日本固有の領土であることを国際社会にこれからも強く訴えるとともに、尖閣諸島はどんなことがあっても守ることを中国に対して強く示していくべきでしょう。曖昧な態度を取り続ければ、南シナ海の環礁を中国が実行支配することになってしまったように、尖閣諸島および東シナ海、あるいは沖縄まで中国に実行支配されることになるかもしれません。

曖昧な態度は良くありません。中国の誤解を招くだけです。寸土の領土も中国には絶対に譲らないという意思を具体的な行動を持って示すべきです。そうして、まかり間違って人民解放軍が尖閣を奪取にきたら、実際に武力で排除すべきです。

それととも、長期的には、第2次大戦後の欧州のように、未曾有のレベルで域内協力を行う枠組みを整え、「屈辱」にかわる新たなアジアの秩序を樹立するために努力すべきです。これは、自国中心にしか物事を考えられない中国には絶対にできないことです。この問題にASEAN諸国、インド、その他のアジアの国々とともに具体的に取り組みリーダー的役割を果たせる国はアジアの中でも日本をおいて他にできる国はありません。

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