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2020年2月17日月曜日

中国企業が従業員を大量解雇!習主席が最も恐れる事態に… 「物不足&ハイパーインフレ」でついに暴動も? 政府措置に人民反発「人命軽視だ!」―【私の論評】中国の高物価と人民解放軍が、習近平を失脚させるかもしれない(゚д゚)!


新型コロナウイルスは中国経済も直撃している

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。中国本土では17日朝時点で、新型肺炎(COVID19)の感染者は7万人以上、死者は計1765人となった。日本国内で確認された感染者も16日夜時点で、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の355人を含め、計414人。日本政府は16日、「新型コロナウイルス感染症専門家会議」の初会合を官邸で開いたが、遅すぎではないか。米国やオーストラリアのように、入国拒否の対象地域を「中国全土」に広げるべきとの声も強い。専門家会議は日本の現状を「国内発生の早期」との認識で一致したが、初動対応に失敗した中国の二の舞にしてはならない。中国事情に精通するノンフィクション作家の河添恵子氏が「中国経済の危機」「習近平政権の危機」に迫る緊急寄稿第4弾-。


 例年より長い春節(旧正月)休暇から明けた中国だが、多くの人民は日常生活に戻るどころか、「封鎖された都市」のなかで、不安と恐怖と怒り、そして悲壮感などを抱えながら過ごしている。

 ロイター通信や、台湾紙・自由時報(2月11日)などによると、北京市市場監督管理局は「先週、北京市内で営業していたレストランは約1万1500軒で、全レストランのわずか13%だった」という。

 都市部で360店舗以上を経営するチェーンレストラン大手「西貝」は、「従業員約2万人の給料の支払いが危うくなった」と報じられ、北京の大手カラオケチェーンの「K歌之王KTV」もすべて閉店したまま、従業員約200人が雇用契約を打ち切られた。

 職業教育チェーン企業の「IT兄弟連」北京校は、学生募集をストップして職員の解雇も決め、エレベーター内の電子広告などを展開する「中国新潮伝媒」は従業員500人の解雇を発表している。

 感染を阻止するため、生産現場で工場労働者が医療現場と同じ防護服を着ている映像も出回っているが、それも含め、企業側の経済的な負担としてのしかかっている。

 一説には、現状で「全国の30%の企業が解雇や縮小を決断した」というが、新型肺炎の発生地である湖北省武漢市のみならず、全国各地の中小企業が、経営危機に直面し、すでに多くの人民が失職や給料の遅配、減給の憂き目に遭っていることが推測される。

 皮肉なのは、武漢市において目下、人手不足で「4時間で4000元(約6万2800円)」などの好条件を提示し、求人に奔走しているのが葬儀場である。ある葬儀場の募集要項には「幽霊を恐れず、大胆で強いこと」と記されていたと拡散された。

 また、12日には台湾などのメディアが、「中国政府が、死体を収める袋を100万個、至急作るよう繊維工場に命じた」といった噂話まで報じた。

 中国の習近平国家主席が最も恐れる事態が「大規模解雇による社会不安の広まり」である。

習近平

 習氏の要請を受けて、中国発展改革委員会は11日の記者会見で、「企業の早期生産再開を促す9つの措置」を発表した。

 そこには、(1)物資輸送の保護に全力を注ぐこと(2)産業チェーンの修復、リアルタイムの監視と分析で人口移動を把握すること(3)換気・消毒、体温の監視など必要な措置で流行の広がりのリスクを効果的に軽減すること(4)科学的かつ医学的な観察による集団隔離-などの措置が掲げられた。

 さらに、12日には、「共同防衛・管理メカニズムに関する記者会見」が開催された。運輸部交通服務事業部長が「高速道路の出入り口、地方の幹線道路、農村道路などの無許可の閉鎖や分離、緊急輸送車両の通行妨害などを厳重に禁じる」と述べ、高速道路のサービスエリア、料金所、省・地方の幹線道路にアウトブレーク(集団発生)予防と管理検疫所、または検査ステーションを設置することも公にした。

 だが、北京政府が打ち出すこれらの措置に、武漢市はじめ地方の役人、経営者や人民が素直に喜ぶかは大いに疑問だ。それどころか、専門家の「感染者数のピークはまだこれから」との予測から、「中国当局は、経済安定のために外国人投資家の撤退を阻止し、経済的利益に重きを置いている」「政権の維持が最優先で人命軽視だ」といった反発につながっているのだ。

 しかも、中国全土では依然、消毒液やマスクなどの物資不足に直面しているが、湖北省の病院は医療廃棄物が山積し続け、武漢市の医療従事者は一説には3分の1が感染し、心身ともに限界に近づいているとされ、「医療現場の崩壊」が危惧されている。

 国内外の専門家はさらに、習政権が恐れる、もう1つの事態を指摘し始めている。「物不足によるハイパーインフレ」である。今後、職も食も得られない人民が、暴動を起こすか、餓死者が大量に出回る可能性は捨てきれない。

 習政権は崖っぷちにある。安倍晋三政権も、東京五輪・パラリンピックを中止にさせないためにも、「国家の緊急事態」として迅速かつ大胆な措置を断行すべきだ。


 ■河添恵子(かわそえ・けいこ) ノンフィクション作家。1963年、千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、遼寧師範大学へ留学。著書・共著に『米中新冷戦の正体-脱中国で日本再生』(ワニブックス)、『世界はこれほど日本が好き』(祥伝社黄金文庫)、『覇権・監視国家-世界は「習近平中国」の崩壊を望んでいる』(ワック)など。

【私の論評】中国の高物価と人民解放軍が、習近平を失脚させるかもしれない(゚д゚)!

確かに、中国のインフレは深刻です。1月の消費者物価指数(CPI)上昇率は5・4%と8年3カ月ぶりの高水準でした。物流や市場が整っている北京市でさえ、市場によっては白菜は1月の春節前の3倍、大根とキュウリは2倍の値をつけています。


上昇の主因は二つの疫病です。まずアフリカ豚熱(ASF)の流行で豚肉が品薄となり、1月の豚肉価格は前年比2倍以上の水準になりました。CPI上昇率でみても、昨年12月はASFを主因に4・5%まで上がりました。



これに、追い打ちをかけたのが1月下旬以降に急拡大した新型肺炎。国家統計局の董莉娟・高級統計師は10日発表の1月のCPI上昇について「春節と新型肺炎が影響した」と解説しました。

感染拡大で人々が外出を控えようと、物資の買い占めが各地で起きました。各地方政府は感染拡大を防ぐため人の移動を制限。外との人の往来を一切遮断する地区もあり、産地からの出荷を含め物流が滞りました。

春節明けの2月も働き手が郷里から元の職場に戻りきらず、物流網の回復は鈍いです。多くの地方政府が10日には工場の操業を解禁したのですが、人手不足や感染拡大への恐怖から生産再開が遅れています。

マスクなど感染防止に必要な品だけでなく、白菜など生鮮食品も大幅高です。国営新華社通信によると、河南省鄭州市のスーパーは白菜1個を63・9人民元(約1千円)で販売。

上海市のスーパーはレタス価格が8倍。山東省政府は高騰を防ごうと、感染防止グッズや生活必需品を仕入れ値から35%超値上げして売れば処分するとの通知を出しました。

中国情勢では、こうした庶民を苦しめるハイパーインフレと、人民解放軍の動向も見逃せません。

事実上、中国国内は「パンデミック(感染爆発)」状態といえ、最前線に立つ、人民解放軍の医療部隊も疲弊しつつあります。「政権は銃口から生まれる」(毛沢東)という国柄だけに、「死のウイルス」が解放軍内にまで広がれば、初動対応に失敗した習近平政権への怒りが爆発しかねないです。もともと、習政権に不満を抱えていた最精強の「北部戦区」などの動きが注目されています。

「依然として非常に厳しい」「大規模な措置が必要だ」

習国家主席は10日、北京市内の医療施設などを視察し、新型コロナウイルスをめぐる状況について、こう語りました。中国国営中央テレビ(CCTV)が伝えました。

今回の感染拡大以降、習氏は公の場にほぼ姿を現しておらず、「最高権力者の身に何かが起きているのでは」との憶測も流れました。日本でも、福島原発事故後、一時行方不明となった大物政治家がいましたが、マスクに白衣姿で登場したことで、新型肺炎を心底警戒していることをうかがわせました。

ネット上では、「どうして、(新型ウイルスが発生した湖北省)武漢市に行かない?」といった批判も見られているといいます。

その武漢市では、突貫工事で「火神山医院」と「雷神山医院」が建設され、人民解放軍の医療部隊が運用しています。病床が足りず、体育館などに簡易ベッドを大量に設置して、感染者らを集中収容する方針が出されましたが、これは解放軍の「野戦病院」の手法です。

日本ではあまり知られていませんが、人民解放軍は、先進国などのような、国の軍隊ではなく中国共産党の軍隊(というか私兵)です。。「党が鉄砲を指揮する」というのが、中国のシビリアン・コントロール(文民統制)であり、軍を指揮する「最高実力者」は党中央軍事委員会主席です。

一方で、人民解放軍は歴史的成り立ちから、軍中央の支配が届きにくい半ば独立した軍閥の集まりでもあります。習氏に忠誠を誓う軍閥と、習氏と距離を置く軍閥があります。背景に、利権と政争が複雑に絡みあっています。

習氏は2012年、党総書記と党中央軍事委員会主席に選出された後、「軍の腐敗撲滅」や「統合作戦能力の向上」などを掲げて、軍改革を進めてきました。「7大軍区」から「5大戦区」に再編し、軍人を30万人削減しました。狙いの1つは、軍閥と一体化した反習派の軍区の解体といわれています。



習政権となって、解放軍は弱体化させられ、機能を奪われています。不満がかなり鬱積しているはずです。『隙さえあれば何かやってやろう』というのが軍の特性といえます。習氏が最も恐れるのは、人数が多く、軍事的にも充実している「北部戦区」でしょう。

北部戦区は16年2月、人民解放軍で最精強とされた旧瀋陽軍区と、旧北京軍区の内モンゴル自治区、旧済南軍区の山東省を統合して誕生しました。ロシアと朝鮮半島に接するため、軍事費が優遇され、最新兵器が集積されてきました。

司令部は瀋陽市に置かれています。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権と近く、北朝鮮利権の見返りに、武器やエネルギー、食糧などを極秘支援しているとの見方もあります。反習派の牙城とされています。

北朝鮮は1月下旬、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、中国人観光客の入国を無期限で禁止しました。盟友関係にある北部戦区から連絡でもあったのでしょうか。

新型肺炎の感染拡大で、中国国内では武漢市をはじめ、「70都市以上」「4億人」が封鎖・隔離されているという報道があります。封鎖都市の中には、北部戦区の管轄区域である山東省臨沂市(人口約1140万人)や、黒竜江省ハルビン市(同約960万人)も含まれています。

習政権の初期対応の遅れが、中国全土から世界各国に「死のウイルス」をバラまく結果となっています。軍人にも被害者が続出する出る事態となれば、解放軍、特に北部戦区はどう動くでしょうか。

新型肺炎の感染拡大阻止に解放軍が駆り出されていますが、軍人は集団生活をしているため、集団感染してもおかしくはないです。「人民解放軍内で感染拡大」という事態に陥れば、軍人も自分たちを守るために命令に背いたり、独自の道を進む可能性もあるでしょう。習氏の『個人崇拝』は崩れつつあります。最悪の場合、中国全土で暴動が起き、共産党体制が揺らぎかねないです。

特に、先にあげたハイパーインフレによる国民の鬱積と、人民解放軍の鬱積がたまり、憤怒のマグマが形成された場合、その憤怒のマグマが習近平に向いて大爆発した場合、習近平の失脚等も十分あり得るでしょう。

2019年10月25日金曜日

「中国は人々の自由と権利を抑圧…結局は軍事だ」ペンス米副大統領、対中強硬過熱  識者「中国の解体をも見据えている」―【私の論評】NBA問題で理解できる! 米中冷戦が、「文明の衝突」の次元にまで高まった理由(゚д゚)!


演説するペンス副大統領

 マイク・ペンス米副大統領は24日、ワシントンで、ドナルド・トランプ政権の「包括的な対中国政策」について演説した。共産党独裁国家・中国への強硬路線を打ち出し、経済だけでなく、外交や防衛、人権問題など幅広い分野にわたり、中国と対峙(たいじ)していく覚悟を示した。米中新冷戦が激化するのは必至だ。


 「中国は人々の自由と権利を抑圧している。香港の人々の権利を尊重した平和的な解決方法があるはずだ。抗議デモに暴力を使うなら、貿易で合意するのはより難しくなる」

 ペンス氏は、政策研究機関「ウィルソン・センター」での演説で、中国・香港両政府への抗議活動が続く香港情勢をめぐり、まず警告した。

 さらに、ウイグル族への弾圧や、南シナ海での軍事拠点化、沖縄県・尖閣諸島周辺に連日公船を侵入させるなど、中国の人権問題や軍事拡大政策に非難の言葉も並べた。

 そのうえで、「米国の指導者は、もはや経済的な関与だけで、中国共産党独裁国家を、自由で開かれた社会に変えられるとの望みをもはや持っていない」と述べ、経済発展により中国の民主化を促そうとした歴代米政権の対中政策を否定した。

 中国の巨大経済圏構想「一帯一路」についても、「中国は世界各地で拠点の港湾を設けており、表面上の目的は経済だが、結局は軍事だ」と警戒感をあらわにした。

 トランプ大統領と、中国の習近平国家主席は、11月にチリで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて会談し、米中貿易協議での部分合意を目指している。

 これに先立ち、ペンス氏は中国の覇権主義を厳しく批判することで、牽制(けんせい)した形だ。今回の演説をどうみるか。

 ジャーナリストの長谷川幸洋氏は「トランプ政権の『対中強硬路線』がはっきり固まった。11月には米中貿易協議も予定されるが、『部分合意が達成されなくとも構わない』との判断があったのだろう。今回、『中国共産党こそが、自由主義社会の脅威であり、諸悪の根源だ』と明確にしたことで、今後、トランプ政権は中国共産党を倒しにかかり、人民解放軍も倒し、その先に『中国の解体』をも見据えているのではないかと感じた」と分析している。

【私の論評】NBA問題で理解できる! 米中冷戦が、「文明の衝突」の次元にまで高まった理由(゚д゚)!

上の記事では、NBAについては何も触れられていないですが、米国内の報道ではNBAに対する批判が中心に報道されています。

その典型的なものを以下に掲載します。

<引用元:ワシントン・エグザミナー 2019.10.24
ペンス=NBAは中国の「完全に所有された子会社のように振る舞っている」
マイク・ペンス副大統領は24日、NBAは香港デモを受けた中国政府の人権侵害に関して圧力に屈したと述べた。ペンスは、中国が米国に「検閲を輸出」しようとしていると述べ、バスケットボールリーグとその企業スポンサーが屈していることを恥ずべきことだとし、「単に間違っているだけでなく、アメリカ的でない」と述べた。 
「NBAの大物プレーヤーとオーナーの中には、いつもこの国を批判するために自由を行使しているのに、中国の人々の自由と権利のことになると声が出なくなる人たちがいる」とペンスは、ワシントンDCのウィルソンセンターでの演説で述べた。 
「中国共産党の味方をして自由な言論を封じることで、NBAはあの独裁政権に完全に所有された子会社のように振る舞っている。故意に人権を無視する進歩的な企業文化は、進歩的ではなく抑圧的だ」とペンスは話した。 
副大統領はNBAの関連企業も非難した。「ナイキは自身を『社会的正義の擁護者』として売り込んでいる。香港に関しては、むしろ社会的良心を入り口で確認するのを好んでいる。中国のナイキの店は実際、ヒューストン・ロケッツの商品を棚から撤去して、中国政府と一緒にロケッツのゼネラルマネージャーの7語のツイートに抗議している。『自由のために戦い、香港を支持しよう』という内容だ」とペンスは話した。 
ペンスは、ホワイトハウスが継続中の貿易交渉を、香港について中国政府を軟化させることに結び付けていることを評価した。「トランプ大統領は、当局が香港のデモに対して暴力に訴えるなら貿易交渉ははるかに難しくなると繰り返し明言してきた。それ以来、香港当局が、そもそもデモの火付け役となった容疑者引き渡し法案を撤回し、中国政府がある程度自制を示したのを見てうれしく思う」
NBA(National Basketball Association)は、アメリカで展開する世界最高峰のプロバスケットボールリーグ。また北米4大プロスポーツリーグの一つです。ちなみに残りの3つは、【NFL(アメリカンフットボール)、MLB(野球)、NHL(アイスホッケー)】です。


参加チームは30チームあり、内29チームがアメリカ、1チームがカナダを本拠地としています。 NBAはチームを東西で2つのリーグ『イーストカンファレンス、ウエストカンファレンス』に分かれています。また1シーズン終了後、上位8チームがプレーオフ進出となり、トーナメント方式の試合となります。(先に4勝で勝利)

各カンファレンス1位を決め、最後にNBAチャンピオンをかけNBAファイナルと呼ばれる決勝戦が行われます。(先に4勝で勝利)

シーズン中とプレーオフでは選手の気合い、本気度が全く違います。シーズン中は言ってしまえば練習試合。そこでチーム力を磨き、プレーオフから試合開始と言った感じです。シーズンを通して見れない人は、プレーオフから見ても十分楽しいと思います。

そんなNBAですが、実は国際バスケットボール連盟FIBAとは全く別の団体で、バスケットのルールなども異なります。

NBA自体について、詳細を知りたい方は以下のリンクからどうぞ。日本語で解説している記事に飛びます。

https://dailychips.xyz/nba-terms-commentary/

さて、このNBAとはどのようなものなのでしょうか。特に米国人にとってはどのような存在なのでしょうか。

多くの米国人は社会的成功の模範となるストーリーが大好きです。世界中から注目を浴び、プロリーグを普及させたNBAは、メリトクラシー[個人の実力主義]という米国人の夢をかき立てます。

NBAは、多くの若者が憧れ、夢をかきたてる世界です。そのような世界最高峰のリーグに、日本人で初めて挑戦した森下雄一郎氏のエピソードから、先の命題について解き明かしていきたいと思います。

地方創生について熱く語る森下雄一郎氏

以下は、森下氏に米国で生活の場所を提供してくれた恩師の二人とのエピソードです。

森下さんが「NBA」を目指していた頃、米国人のファッションなどを真似をして、それが格好が良いと思っていたため、ある意味、「日本人らしさ」というものをなくしていました。

そんな米国かぶれしている頃、恩師の二人からこう言われたそうです。

「お前は何人だ?」

「日本人だ」

と答えると、こう返されたそうです。

「それであれば、お前が育った国や地域の『誇り』を俺たちに語ってみろ。」

当時、20歳前後の彼は、 全く、母国日本を「誇り」に感じたこともなく、勿論、勉強も、必要性も感じたこともなく、自分の国のことを、胸を張って語ることなど できませんでした。

その時2人の親父は、こう言いました。

「お前が自分のルーツを勉強し、俺たちに胸を張って、『誇り』を語れた時、初めて俺たちは家族と呼びあおう」と。

そうして、

「人種や文化、宗教、全てが違う人と人が出逢い、分かりあえるのは、互いが『誇る』違いを認め合うことからが、全てのスタートだ」とも言われたのです。

彼は、本気で悩み、考え、初めて自分のルーツについて、そして、母国について、本気で勉強をしました。

​世界に誇れる、日本の「誇り」 それは、探すまでもなく、そこに関心を持ち、振り返ると、先人の方々が、私達にたくさん残してくれていることに彼は気づきました。

全ては気づきから始まります。

​その後、森下氏と2人の親父とは、 街ぐるみで、仲間や家族が増え、いつまでも消えない、人と人としての関係を結ぶまでになりました。

NBAデビュー 開幕戦に先発し14得点10リバウンドした八村塁

NBAには以前から様々な問題があったのも事実ですが、それにしてもNBAの根底にはこのような精神が宿っているはずなのです。現在の、森下 雄一郎氏は、日本の社会活動家です。「SENDto2050 PROJECT」の創設者であり、日本の地方創生活動「地方崛起」の発起人です。NBAの精神性は今でも、森下氏に受け継がれているようです。

このような、NBAのもともとの精神性の高さは、単なるスポーツを超えて米国人の誇りであり、威信なのでしょう。米国には、特に難解な学問等ではなく、バスケット・ボールという、誰にも理解されやすいスポーツによって、物事の考え方、理屈、正義、平等、公平等の考え方、価値観を等を啓蒙してきたという歴史があるのです。

こうした米国人の理想を体現してきたNBAが、香港デモを受けた中国政府の人権侵害に関して中国にやすやす圧力に屈したことに、ベンス副大統領は忸怩たる思いがしたのでしょう。

このペンス大統領の発言からもわかるように、米国の中国に対する冷戦は、貿易や軍事的牽制や覇権争いの次元から、精神性の問題、価値観・理念の問題への次元、いいかえると「文明の衝突」にまで高まったとみるべきです。NBAの件はまさにそれを象徴するものです。このNBAの件を理解しないと、ペンス副大統領の発言の真意はなかなか理解できないかも知れません。

NBAの件は、単なるスポーツリーグへの中国の圧力ではなく、米国人が大事にしてきた、精神性、価値観、理念、誇りに対する中国の挑戦であると、ペンス副大統領はみているのです。もはや、ウィグルの問題や、中国国内での人権侵害の問題は、アジアでの中国の暴虐は、対岸の出来事ではなく、米国にも悪い影響を与え始めていると、ペンス大統領はみているのです。

上の記事では、今後、トランプ政権は中国共産党を倒しにかかり、人民解放軍も倒し、その先に『中国の解体』をも見据えているのではないかと感じたとしていますが、私もそう思います。この対立は10年以上は続くでしょう。その後に中国は旧ソ連と同じような運命をたどるでしょう。その引き金をトランプ政権が引いたのです。

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2018年8月27日月曜日

平和ボケと批判された人民解放軍のビジネス活動が全面禁止へ―【私の論評】統治の正当性が不確かな中共がまともな軍隊を持つことを強引に進めれば、自身が滅びる(゚д゚)!

平和ボケと批判された人民解放軍のビジネス活動が全面禁止へ

人民解放軍を視察した習近平

中国の習近平国家主席は7月末、中国共産党の最高意思決定機関である党政治局常務委員会を開催し、現在、中国人民解放軍が行っているビジネス活動を年内いっぱいで全面的禁止することを決めた。

 習氏は「軍の本分は戦うことであり、商売ではない。商売をする時間があれば、軍事演習を行うべきだ」などと檄を飛ばした。軍機関紙「解放軍報」は7月初め、社説で「中国軍は平和ボケ」などと指摘し、軍の怠惰な雰囲気に強い警戒感を示していた。

 中国国営新華社電によると、軍による「有償服務(ビジネス)」は10万6000件以上に上っており、この決定を受けて、年内にすべて禁止する措置を軍内の各部門に通達。「これに抵触すれば、重大な処分を受けることになる」としている。

 軍のビジネスとしては、軍傘下の病院での政府関係者を中心とする診察や治療、軍の学校での研修、軍所属研究機関での委託研究、倉庫や埠頭の使用のほか、軍の出版、映像、音響などの事業の代行など。

 習氏は2015年3月の中央軍事委工作会議で、軍のビジネス活動を全面的に禁止する考えを明らかにしたほか、2016年3月には具体的に「3年以内」との期限を提示している。今回の党政治局常務委での決定は、この3年以内の禁止期限を3カ月間前倒しすることになる。

 日本人の感覚からすれば、軍が内職ともいえる10万件以上ものビジネスを行っていること自体が驚きだが、中国人民解放軍はもともと野戦軍で、しっかりとした軍規や組織があったわけではない。志願兵中心の自然発生的な軍隊であり、食糧や武器なども「自給自足」する風潮が強かった。このため、軍本体が野菜を作ったり、鶏や豚や牛を育てるほか、副業で資金を得るという伝統が残っていた。

 1980年代に改革・開放路線が導入されると、このような軍内に残る伝統の影響もあって、軍本体がビジネスに手を染めるケースが増え、それとともに、腐敗問題が深刻になってきた。

 軍内の地位を得るために、汚職が蔓延。軍内に保管されていた戦闘機、戦車、装甲車、小銃、戦略用燃料、大量の野戦ベッド、軍靴などの軍需物資が、忽然と「消えて」転売されていた事実も明るみになっている。

 『習近平の正体』(小学館刊)などの著作もあり、中国問題に詳しいジャーナリストの相馬勝氏は習氏の実質的な『内職禁止令』について、次のように指摘している。

 「習氏が最高指導者に就任するや、『反腐敗運動』が本格化し、多数の党・政府・軍の幹部が逮捕されているが、解放軍報は最近、「軍は『平和病』にかかっている」などとして軍の体質を鋭く批判している。これは習氏が米国との対立激化や悲願である台湾統一などを控え、軍の戦闘力に大きな不安を抱いていることも影響しているだろう。そして、今回の軍のビジネス全面禁止命令は習氏の焦りを如実に現しているといえよう」

【私の論評】統治の正当性が不確かな中共がまともな軍隊を持つことを強引に進めれば、自身が滅びる(゚д゚)!

中国共産党は経済政策ですら権力闘争の道具にしてしまう恐ろしい集団です。それは激しい利権の奪い合いであり、日本で例えるなら、反社会的勢力や裏社会における仁義なき戦いそのものでする。

中国においては、あらゆる法律、規制が派閥闘争の妥協の産物であり、実際にその法律、規制が守られるかどうかさえ、現場を仕切るさまざまな暴力装置(軍、警察)の気分次第で決められてしまいます。

中国の城管


たとえば、中国では「城管(じようかん)」と呼ばれる、都市管理局に相当する部局の公務員が路上秩序を維持するという名目で露天商を次々に暴行しています。

日本では違法駐車の取締員のような立場の「城管」がなぜそんなことをするか理由はよくわかりません。一説によれば露天商がいわゆる「ショバ代(賄賂)」を払わなかったからとか、たんに威張り散らして街をわが物顔で支配しているなどといわれています。

また、全国各地で大暴れする「城管」は、時として人民解放軍と「戦闘状態」に陥ることもあるといいます。

たとえば、2013年9月4日午後5時、山東省青島市石老人村で、城管(都市管理官)と、解放軍の大乱闘が発生しました。軍の高級幹部用マンションに付属する邸宅管理棟がその敷地をはみ出て建てられた違法建築物であることから、現地の城管が自治体の指示で管理棟を取り壊しに行ったところ、これに反対する解放軍兵士が解体を妨害、乱闘となりました。

人数的に勝ち目もなくボコボコにされた軍兵士は銃を持ち出そうとしたそうですが、事前の申し入れから経済格差で豪華なマンションがこれ以上注目を引くことを恐れた軍幹部が青年兵士たちを押しとどめ、なんとか殺傷沙汰にはならなかったとのことでした。

さて、この記事を読んで多くの人が疑問に思ったことでしょう。なぜ、人民解放軍の高級幹部は豪華な邸宅に住んでいるのか。それは、日本のために日夜活躍する自衛官たちが一般の公営住宅と同程度の官舎で暮らしているのとは対照的です。

そもそも、人民解放軍がアメリカ軍や日本の自衛隊と同じく軍隊だと思ったらトンデモない勘違いです。人民解放軍とは「武装する総合商社」であって、われわれ日本人が考えるところの軍隊ではありません。

しかも、人民解放軍は、共産党の配下であり、言ってしまえば共産党の私兵です。国民の生命と財産を守ることら主要任務とする国民国家の軍隊とは全く異なる組織です。

人民解放軍は国境地帯で故意緊張を誘発しては中央政府に予算を要求し、不動産開発、ホテルやバーの経営、資源貿易などさまざまなビジネスに投資する立派な「産業」なのです。

よって高級幹部が豪華なマンションに住んでいたり、軍の経営するホテルで毎晩幹部たちが宴会をしていたり、直営バーにロシア人の売春婦がたくさんいたりすることに驚いてはいけないのです。

解放軍の腐敗は、幹部だけのことではありません。一般の兵士からその親まで巻き込んだ、腐敗の嵐が吹き荒れているといっても過言ではありません。

中国では現実はどうかは別にして、軍隊は、安定した就職先と捉えられています。実際、ある程度上級の階級になれれば、そうだったのでしょう。軍隊への入隊は『待遇、福利がよく一生を保障される』という意味で、鉄で作ったおわんのように割れずに安定している『鉄飯碗』になぞらえられています。多くの親たちはわが子を入隊させるために軍幹部にこぞって賄賂を贈るのです。

賄賂の相場は、2万元(約34万6000円)から30万元(約519万円)といいます。軍隊内では、官位を“商品”として売買する「売官買官」なる行為も横行しています。

こうした腐敗によって解放軍全体の質は史上最低レベルにまで低下しています。遊び好きな将校の中には、自分の部下をお抱えのコンピューターゲームのアップグレード係にする傍若無人な『配属』までやっている始末です。

党指導部は、以前からこうした兵士たちの劣化に危機感を抱き、綱紀粛正に躍起でした。2013年11月に行われた第18期中央委員会第3回総会(3中総会)では、「反腐運動」と銘打った軍部の腐敗撲滅運動を展開しました。これに先立つ、同3月には前代未聞の軍紀も発布していました。

『軍人違反職責罪案件立案標準規定』では、主に防衛戦における将校・兵士の逃亡・投降行為について規定しています。党指導部は、外国と戦争が起きたとき、解放軍の将校・兵士が敵前逃亡してしまうことを恐れているのでしょう。しかし、党指導部が軍紀で定めるのも無理はないです。敵前逃亡の例が実際にあるからです。

「東京を爆撃する」とほざいた羅援少将

中越戦争開戦直前の1979年、解放軍少将で中国戦略文化促進会の常務副会長を務める羅援氏、つまり冒頭で「日本は火の海」と挑発したその本人が、党高級幹部だった父親の口利きで前線勤務を免れています。彼はあちこちで『日本、米国と戦争する』と息巻く解放軍きってのタカ派です。しかし、そう吹聴する本人が戦争逃亡兵だったのだから笑えないです。

口先だけの見かけ倒しは、まだあります。2009年1月にはこんなことも起きました。中国の大型貨物船がソマリアの海域で海賊に襲われ、船員が人質として拿捕(だほ)されました。中国世論は「貨物船を武力で救出すべきだ」と沸き立ち、これを受け、中国艦隊がソマリア海域に派遣されました。とこめが、武力奪還はならなかったのです。

中国政府はソマリアの海賊におとなしく400万米ドル(当時で約3億6000万円)の身代金を差し出して、商船と船員を取り戻したのです。単なる威嚇のために艦隊を派遣したに過ぎなかったのです。

アデン湾で警備に当たる中国人民解放軍海軍の艦艇

これは、人民解放軍の常套(じょうとう)手段である『孫子兵法』の『戦わずして屈服させる兵法』です。日本に対しても同じハッタリ戦術を使っているに過ぎません。心理戦を仕掛けているだけで、実戦となれば、解放軍は何もできないでしょう。1894年の日清戦争の結末を再演することになるだけです。すなわち、敗北です。

ましてや、いずれの先進国の軍隊にも同じような条件で戦えば、勝つことはないでしょう。勝つのは、一般市民を弾圧したり、自分たちより圧倒的に不利な状況で戦う弱小国の軍隊を相手にしたときだけでしょう。

このような、腐敗まみれの人民解放軍は実際に米軍は無論のこと日本の自衛隊にでさえ対峙したときに、全く勝ち目はないでしょう。解放軍の腐敗は、幹部から下士官まで浸透しています。賄賂の実体をみれば、それは誰の目にも明らかです。誰が腐敗まみれの上官のために本気で戦うことができるでしょうか。

だからこそ、習近平は人民解放軍のビジネス活動を全面禁止しようとしているのでしょうが、それくらいのことで、人民解放軍がまともになるとは考えられません。

本来ならば、ある程度時間をかけて、人民解放軍とは全く別の軍隊組織をつくり、それこそヒトラーが突撃隊幹部を暗殺して、有名無実にしてしまったように、人民解放軍の幹部を情け容赦なく粛清するなどの過激なことをしない限り、習近平はまともな軍隊すら手にすることはできないでしょう。

突撃隊地用エルンスト・レーム(左)とヒトラー
ヒトラーは、レームを粛清した

このような手段を避け、先進国からみてまともな方法で、新たなに軍隊を創設するということになれば、それこそ国民国家の軍隊を創設しなければならず、民主化、政治と経済の分離、法治国家化をすすめる必要があり、そうなれば中国共産党による統治を根本から改めなければならず、その時は現体制は崩れることになります。

人民解放軍の腐敗などといいますが、統治の正当性が不確かな中国共産党中央政府がまともな軍隊を持つことを強引に進めれば、自身が滅びることになります。

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2017年12月3日日曜日

中印紛争地区、離脱合意のはずが「中国固有の領土だ」 軍駐留を継続、トンネル建設も着手か―【私の論評】この動きは人民解放軍による尖閣奪取と無関係ではない(゚д゚)!


インド、中国、ブータンの国境付近のドクラム地区
 インド、中国、ブータンの国境付近のドクラム地区で中印両軍の対峙(たいじ)が続いた問題をめぐり、中国側が最近、「ドクラム地区は固有の領土」と改めて発言し、軍隊駐留を示唆したことが波紋を広げている。中国軍が付近でトンネル建設に着手したとの報道もあり、インド側は神経をとがらせる。双方「要員の迅速離脱」で合意したはずの対峙だが、対立の火種はくすぶり続けている。

 中国国防省の呉謙報道官は11月30日の記者会見で、ドクラム地区をめぐり、「冬には撤退するのが慣例だが、なぜ(部隊が)依然、駐留しているのか」と質問され、「中国の領土であり、われわれはこの原則に従って部隊の展開を決定する」と応じた。

中国国防省の呉謙報道官
 ドクラム地区はヒマラヤ山脈の一角に位置し、冬は積雪のため部隊配備が困難となる。中国側は現在も軍隊が駐留していることを否定せず、配置を継続させることを示唆した格好だ。

 発言にインドメディアは反応し、PTI通信は「中国が軍隊を維持することを示唆」と呉氏の発言を報じた。中国側の動きに敏感になっていることがうかがえる。

 ドクラム地区では、中国軍が道路建設に着手したことを契機に6月下旬から中印両軍のにらみ合いが発生。8月28日に「対峙地点での国境要員の迅速な離脱が合意された」と宣言され、事態は収束したかのように見えた。

ドクラム地区に展開する中国人民解放軍
 ただ、中国側は「パトロールは続ける」(華春瑩・外務省報道官)との意向を示しており、10月に入っても「中国軍はまだ駐在する」とインド紙が報道。インド民放は11月、ドクラム地区付近で中国軍が「6カ所でトンネル工事をしており、兵舎も建設中だ」と報じた。

 今夏のにらみ合いは1962年の国境紛争以来、「軍事衝突の恐れが最も高まった」とされたが、いまだ緊張関係が継続している格好だ。印政治評論家のラメシュ・チョプラ氏は「各地で覇権主義を強める中国側が、簡単に引き下がると思えない」と指摘している。

【私の論評】この動きは人民解放軍による尖閣奪取と無関係ではない(゚д゚)!

1962年の中印国境紛争は、高慢なインドが中国の要求をのまなかった代償であるというのが、中国指導部の見方です。しかし、インドにしてみれば、これは半世紀以上にわたって国を苦しめてきた屈辱にほかならないものです。

国際関係において「屈辱」とは、他国の名誉を傷つけ、地位を得ようとする試みを否定することであり、明白なヒエラルキーの構築を意味します。戦争は、相手に屈辱を与える格好のチャンスです。

屈辱が持つ、こうしたインパクトを理解している国があるとすれば、それは他ならぬ中国です。中国国防省がインドに警告を発していた頃、習近平国家主席は香港返還20周年を祝う式典で、こう語りました。英国が1842年に香港を収奪したことによって中国が受けた「屈辱と哀しみ」は、香港が中国に返還されたことで終わったのだ、と。

ナショナリズムをあおるために「屈辱の世紀」という言葉を広く利用してきたのが中国です。1949年の中華人民共和国樹立により、「屈辱の世紀」は終わったことにはなっているのですが、東アジアの大国としての中国の自己イメージはその後、何度も打ち砕かれてきました。とりわけ、戦後日本の高度成長によって受けたショックは大きいものでした。

しかし、中国は自らに対する屈辱は敏感に感じ取るくせに、いかに自らの行いが他国に同様の感情を引き起こしてきたかについては全く鈍感です。1962年の国境紛争で敗北させたことで、旧植民地国のリーダーたらんとしていたインドの野心を徹底的に踏みにじったのです。

中国に辱められた国はインドにとどまらないです。ベトナムには、中国の「屈辱の100年」に相当する「中国支配の1000年」という言葉があります。

一方で自ら屈辱を受けながら、他国にも屈辱を加えた国は中国だけではありません。インドは1962年に中国から辱めを受けましたが、9年後の第3次印パ戦争によって隣国パキスタンに同様の感情を植え付けました。

1947年の独立以降、パキスタンは南アジアでインドと覇権争いを繰り広げており、米国や中国にすり寄ることで存在感を高めようとしていました。同国の野望は、1971年の第3次印パ戦争に敗北して崩れ、これが東パキスタン(現バングラデシュ)の独立につながりました。

これまで述べてきた屈辱の事例に共通するのは、遠くの超大国ではなく、アジアの隣国によって与えられたという点です。これが痛みをとりわけ大きくしています。

アジア全域でナショナリズムが台頭する今、各国指導者が欲しくてたまらないもの、それは自らの政治目標を達成するのに都合のいい歴史解釈です。この技を極めた達人は中国ですが、同様のテクニックはインドも含め各国で見られます。

そうして、この屈辱は、日本も例外ではありません。自らの政治目標を達成するために都合の良い尖閣諸島は中国の固有領土であるという歴史解釈を中国は打ち出しています。そうして、この歴史解釈を習近平も受け継いでいます。

習近平
習近平国家主席が軍幹部の非公開会議で沖縄県・尖閣諸島について「(中国の)権益を守る軍事行動」の推進を重視する発言をしていたことが2日、中国軍の内部文献で分かっています。日本の実効支配を打破する狙いのようです。直接的な衝突は慎重に回避する構えのようですが、現在は海警局の巡視船が中心の尖閣周辺海域のパトロールに加え、海軍艦船や空軍機が接近してくる可能性もああります。

文献によると、2月20日に開催された軍の最高指導機関、中央軍事委員会の拡大会議で、同委トップを兼務する習氏は「わが軍は、東シナ海と釣魚島(尖閣諸島の中国名)の権益を守る軍事行動を深く推進した」と述べたとされています。

この発言は、尖閣諸島を自らの固有の領土という都合の良い歴解釈により、国内では日本に与えられた屈辱感を煽り、尖閣諸島付近で示威行動をすることにより、その屈辱感を晴らす行動に出て、中国人民の中国共産党中央政府に対する憤怒のマグマを日本に向けるという習近平の政治目標を露わにしたものです。

しかし、ドクラム高地の対立を見ればわかるように、この戦略は極めてリスキーです。第1次世界大戦が終結した後、欧州は屈辱の遺産を処理するのに失敗し、第2次世界大戦の惨禍を招きました。特に当時のドイツ国民の屈辱感は凄まじいもので、ヒトラーはこれを利用しました。一方で第2次大戦後の欧州は、未曾有のレベルで域内協力を行う枠組みを整え、問題に立ち向かいました。

歴史的屈辱をめぐって煮えたぎる怒りに手がつけられなくなる前に、アジアでも同様の試みがなされるのを願うばかりです。

習近平は、現在人民解放軍を掌握すべく、様々な画策をしていることをこのブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【石平のChina Watch】「習近平の兵隊」と化する解放軍…最高指導者の決断一つで戦争に突入できる危険な国になりつつある―【私の論評】国防軍のない中国はアジア最大の不安定要素であり続ける(゚д゚)!
北京で行われた中国共産党大会の開幕式に向かう中国人民解放軍の代表ら=10月
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
 中国の政治・経済・外交の全般を統括する多忙な身でありながら、習氏がわずか10日間で4回にもわたって軍関係活動に参加するのは異様な風景であるが、同5日、中央軍事委員会が全軍に対して通達したという「軍事委員会の主席負責制を全面貫徹させるための意見書」に、習氏の軍に対する特別な思い入れの理由を解くカギがあった。 
 中国語のニュアンスにおいて、「軍事委員会の主席負責制」とは要するに、「軍事委員会の業務は全責任を持つ主席の専権的決裁下で行われること」の意味合いである。もちろん「主席」は、習氏であるから、この「意見書」は明らかに、中央軍事委員会における習氏一人の独占的決裁権・命令権の制度的確立を狙っているのだ。 
 「意見書」はその締めくくりの部分で習主席の名前を出して、「われわれは断固として習主席の指揮に服従し、習主席に対して責任を負い、習主席を安心させなければならない」と全軍に呼びかけたが、それはあたかも、解放軍組織を「習主席の軍」だ、と見なしているかのような表現であろう。 
 中国共産党は今まで、党に対する軍の絶対的服従を強調してきているが、少なくとも鄧小平時代以来、軍事委員会主席本人に対する軍の服従を強調したことはない。しかし今、習主席個人に対する軍の服従は、まさに「主席負責制」として制度化されようとしているのである。このままでは、中国人民解放軍は単なる共産党の「私兵部隊」にとどまらずにして、習主席自身の「私兵部隊」と化していく様子である。
しかし、「軍事委員会の主席負責制を全面貫徹させるための意見書」を全軍に通達したからといって、すぐに習近平が人民解放軍全軍を掌握できるとは限りません。

実際、中国国営の新華社通信は28日、人民解放軍の最高指導機関、共産党中央軍事委員会の元メンバーで、重大な規律違反の疑いで調査を受けていた張陽・前政治工作部主任(66)が自殺したと報じました。習近平政権が進める反腐敗闘争で元軍高官が自殺するのは異例です。習国家主席が進める軍掌握にも影響が及びかねない事態です。

張陽・前政治工作部主任
習近平が軍を掌握するにしても、様々な紆余曲折があった後にようやっと実質的にできるようになるものと考えられます。

そうなると、習近平は、軍部を腐敗撲滅で追い詰めるでけではなく、軍部の歓心を買うために、軍部が強力に推進している作戦などをさらに強く進めることを許可するかもしれまんせん。

そうなると、ドクラム地区、南シナ海、尖閣諸島での軍の作戦を強力に推進するかもしれません。先日も、このブログでも述べたように、人民解放軍は他国の国防軍とは違い、現状では、共産党の私兵であり、独自で様々な事業を推進する商社の存在であるということを考えれば、習近平は尖閣諸島の奪取も黙認するかもしれません。

なぜなら、尖閣諸島を奪取すれば、ここは豊富な水産資源があるとともに、それにつらなる東シナ海は石油などの豊富な地下資源が眠っているところだからです。

人民解放軍としては、尖閣を奪取することにより、この利権を入手することも可能です。そうして、習近平がこの利権を人民解放軍が入手することも黙認すれば、習近平に従うようになり、習近平が軍を掌握することができるようになるかもしれません。

一方ドクラム地区は、習近平が推進する広域経済圏構想「一帯一路」の要衝でもあります。習近平としては、この地区での中国の覇権を手中に収めることも重要な政治目標でもあります。尖閣諸諸島とそれに続く東シナ海の覇権を認めることで軍を懐柔して、ドクラム地区および「一対一路」のために必要になる軍事的な存在感を周辺の国々に訴求できるように軍部に働きかけるということも考えられます。

日本としては、尖閣諸島が日本固有の領土であることを国際社会にこれからも強く訴えるとともに、尖閣諸島はどんなことがあっても守ることを中国に対して強く示していくべきでしょう。曖昧な態度を取り続ければ、南シナ海の環礁を中国が実行支配することになってしまったように、尖閣諸島および東シナ海、あるいは沖縄まで中国に実行支配されることになるかもしれません。

曖昧な態度は良くありません。中国の誤解を招くだけです。寸土の領土も中国には絶対に譲らないという意思を具体的な行動を持って示すべきです。そうして、まかり間違って人民解放軍が尖閣を奪取にきたら、実際に武力で排除すべきです。

それととも、長期的には、第2次大戦後の欧州のように、未曾有のレベルで域内協力を行う枠組みを整え、「屈辱」にかわる新たなアジアの秩序を樹立するために努力すべきです。これは、自国中心にしか物事を考えられない中国には絶対にできないことです。この問題にASEAN諸国、インド、その他のアジアの国々とともに具体的に取り組みリーダー的役割を果たせる国はアジアの中でも日本をおいて他にできる国はありません。

【関連記事】

日本の“海軍力”はアジア最強 海外メディアが評価する海自の実力とは―【私の論評】日本は独力で尖閣の中国を撃退できる(゚д゚)!
↑この記事では、世界屈指の戦略家ルトワック氏の日本の尖閣列島への具体的対処法の提言を掲載してあります。


2017年11月30日木曜日

【石平のChina Watch】「習近平の兵隊」と化する解放軍…最高指導者の決断一つで戦争に突入できる危険な国になりつつある―【私の論評】国防軍のない中国はアジア最大の不安定要素であり続ける(゚д゚)!

【石平のChina Watch】「習近平の兵隊」と化する解放軍…最高指導者の決断一つで戦争に突入できる危険な国になりつつある

北京で行われた中国共産党大会の開幕式に向かう中国人民解放軍の代表ら=10月
    先月、中国共産党総書記に再任して以来、習近平国家主席は頻繁に軍関係の活動を展開している。同26日、習氏は北京で開かれた「軍指導幹部会議」に参加し、「重要講話」を行った。それに先立って、習氏は、19回党大会参加の解放軍関係者全員を招集して彼らに「接見」した上、短い演説も行った。

 さらに今月2日、習氏は中央軍事委員会主席として同委員会が執り行った「上将軍階級授与式」に出席し、上将の軍階級に昇進した軍人に新階級を授与した。

 同4日には、習氏は軍事委員会のメンバー全員を率いて、「中央軍事委員会連合作戦指揮センター」を視察した。習氏はその日、迷彩服までを身につけて軍の最高司令官として指揮を執るような演出を行った。軍を動かしているのは自分自身であることを強く印象付けたのである。

中央軍事委員会連合作戦指揮センターを視察した習近平氏
中国の政治・経済・外交の全般を統括する多忙な身でありながら、習氏がわずか10日間で4回にもわたって軍関係活動に参加するのは異様な風景であるが、同5日、中央軍事委員会が全軍に対して通達したという「軍事委員会の主席負責制を全面貫徹させるための意見書」に、習氏の軍に対する特別な思い入れの理由を解くカギがあった。

 中国語のニュアンスにおいて、「軍事委員会の主席負責制」とは要するに、「軍事委員会の業務は全責任を持つ主席の専権的決裁下で行われること」の意味合いである。もちろん「主席」は、習氏であるから、この「意見書」は明らかに、中央軍事委員会における習氏一人の独占的決裁権・命令権の制度的確立を狙っているのだ。

 「意見書」はその締めくくりの部分で習主席の名前を出して、「われわれは断固として習主席の指揮に服従し、習主席に対して責任を負い、習主席を安心させなければならない」と全軍に呼びかけたが、それはあたかも、解放軍組織を「習主席の軍」だ、と見なしているかのような表現であろう。

 中国共産党は今まで、党に対する軍の絶対的服従を強調してきているが、少なくとも鄧小平時代以来、軍事委員会主席本人に対する軍の服従を強調したことはない。しかし今、習主席個人に対する軍の服従は、まさに「主席負責制」として制度化されようとしているのである。このままでは、中国人民解放軍は単なる共産党の「私兵部隊」にとどまらずにして、習主席自身の「私兵部隊」と化していく様子である。

 先月の党大会において政権内における個人独裁を確立した習氏はこのようにして、軍における自分自身の個人独裁体制の確立を図っているのである。上述の「意見書」はまさにこのための工作の重要なる一環であり、冒頭に取り上げた習氏による軍関係活動への頻繁な参加もそのための行動であろうと理解できよう。

 つまり習氏が今、解放軍を自らの「私兵部隊」として作り上げようとしていることは明らかだ。それによって政権内における自らの独裁体制をさらに強化していく魂胆であるが、外から見れば、それは実に大変危険な動きである。

 軍はいったん習氏の「私兵部隊」となって、習氏個人の意のままに動くようになると、中国は彼の一存で簡単に戦争ができるような国となってしまう。これから中国と他国との間で何か起きたとき、もし習氏が自らの信念に基づいて、あるいは単なる個人的な判断ミスに基づいて戦争を起こす決断を下してしまえば、中国国内ではそれにブレーキをかける人間はもはや誰もいない。つまり金正恩(キム・ジョンウン)氏の北朝鮮と同様、中国は今、最高指導者の決断一つでいつでも戦争に突入できるような危険な国になりつつあるのである。

 このような中国にどう対処していくのか、日本と世界にとっての大問題であろう。

                   ◇

【プロフィル】石平
 せき・へい 1962年、中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。

【私の論評】国防軍のない中国はアジア最大の不安定要素であり続ける(゚д゚)!

多くの日本人いや、諸外国の人々にとっても、習近平主席と中国の人民解放軍は外から見ると強固な関係で、習の独裁あるいは軍と一体化しているようにも見えているのかもしれません。

しかし、実際には中国人民解放軍には習近平への不満が渦巻いており、機会があれば失脚させようと狙っています。

まず中国人民解放軍について理解する必要があります。先日も述べたように人民解放軍は中国という国家に所属していません。

法律では中国共産党に所属する私兵なので、国家主席だろうと最高指導者だろうと、軍に直接命令する事はできないのです。

どうしてこのようなことになったかといえば、清国が辛亥革命によって倒れたあと、国民党が政権を握り後で共産党が誕生した経緯に原因があります。さらに、私達に理解できないのは、人民解放軍はそれ自体で様々な事業を展開していて、日本でいえば商社のような存在であるということです。人民解放軍本当の姿は、共産党の属する武装商社なのです。

「一つの中国」の中で国民党軍と共産党軍が内戦をしているのですから、国家に所属する軍隊などとすれば、それこそ敵に寝返りかねないわけです。

現在の中国にも近代国家としての正規軍が存在せず、共産党に所属する私兵だという事は、何を意味しているかといえば、党内の派閥や軍閥が強い力を持っていることを示しています。

習近平が人民解放軍を動かせるのは、「共産党中央軍事委員会主席」という地位に就いているからで、中国の国家主席だからではありません。

1982年に重要な憲法改正が行われ、「軍事委員会主席が軍を統率する」から「軍事委員会が軍を領導する」に変わっています。

比較すると以前は主席(毛沢東)個人に指揮権があったのに、現在は委員会が統率して指導するとなっていて、権限が縮小されています。

これは恐らく毛沢東時代の独裁が経済や軍事に悪影響を与えた事から、最高指導者の権限を縮小したのでしょう。

つまり習近平主席の軍への影響力は絶対的なものでも、強固でもなく、むしろ弱いものなのだと分かります。ところが、ブログ冒頭の記事にもあるように「軍事委員会の主席負責制」となったわけであり、主席に指揮権を戻したということです。

南シナ海ではASEAN 諸国、尖閣では日本、そうしてインドなどと中国は多くの周辺国と紛争状態にありますが、習近平が指示しているというよりは軍が習に強要しているとの見方もあります。

中国軍幹部は過去になんども「沖縄に1000発のミサイルを撃ち込み草一本生えないようにする」のよう挑発を繰り返しています。

アメリカや台湾やベトナムやインド、フィリピンにもそうであり、アメリカ軍など全滅させる事ができると豪語しています。

習近平は自分に従わない軍部を統率できなければ、いずれ失脚するので熱心に軍制改革を行ってきました。

軍人の30万人削減、宇宙軍やサイバー軍創設とか戦略支援部隊と呼ばれるものを創設し、従来部隊の役割りを縮小しました。

汚職撤廃として多くの軍上層部が摘発されたのですが、摘発されたのは「江沢民派」と「反習近平派」だけだったとされています。

矢継ぎ早に行われた軍制改革は近代化の必要性と同時に、軍部に打撃を与え、「習近平」の軍隊にするためだったのです。
全体い主義国家は、北朝鮮でも旧東欧やソ連でもベトナムでも、軍を握ったものが権力を握ります。

「国民に支持される」などは二の次で、軍を握れば党も握ることになり、国民も支持せざるを得なくなるのです。

軍を押さえ込めなければ、中国の暴走は続くことでしょう。なぜなら選挙制度のない共産国家で統治の正当性を持つためには、軍を掌握するしかないからです。

人民解放軍幹部には過去に何度も習近平へのクーデター計画があったと噂されていて、どうやら真実だったようです。

だからこそ習近平は軍の強硬論を丸呑みにして、南シナ海や尖閣で日米と衝突せざるを得なかったのです。

2016年10月11日には中国国防省前で1000人超の退役軍人が、「反習近平改革」を掲げてデモ行進しました。

中国国防省前で異例の大規模デモ
これは、中国においては天安門事件のように戦車で踏み潰せば良いのかもしれませんが、主催者が人民解放軍なら治安部隊でも取り締まることが難しいです。

中国では珍しい事に反政府のデモ隊は堂々と道路を占拠して、国防省や中央軍事委員会を包囲して気勢を上げていました。

10月24日からおこなわれる第18期中央委員会第6回総会(6中全会)を前に、軍の習近平への姿勢を示したと受け取れます。

習近平国家主席はいまだに中国軍を掌握できておらず、従って南シナ海や尖閣では、軍の言いなりになるしかないでしょう。

2017年7月30日、解放軍設立90周年を前に、内モンゴル自治区にある朱日和
基地で緑の迷彩服を身に付け、オフロード車に乗って野戦部隊を検閲する習近平主席
ただし、「軍事委員会の主席負責制」が本当に機能すれば、習近平が人民解放軍を掌握したということになるわけで、その後何がおこるのかは判断がわかれるところです。

ブログ冒頭の記事を書いた石平の言うように、中国の私兵だったものが、習近平の私兵となることで、習近平が戦争をしたいときに戦争できるようになるという評価があります。

しかし、もう一方からみれば、習近平が軍を掌握することにより、人民解放軍の暴走や圧力を減らし場合によてっては、南シナ海や尖閣での人民解放軍の示威行動がなくなるということも考えられるかもしれません。

しかし、私自身は、結局は何も変わらないと思います。たとえ、習近平が軍を掌握できたとして、習近平が南シナ海や尖閣での示威行動をやめるべきだと思っていたにしても、習近平にとって都合が悪くなれば、今度示威行動を開始するかもしれません。

あるいは、南シナ海や尖閣での次威行動をやめても、今度は習近平の考えにより、新たな紛争地帯が生まれる可能性があるからです。そうして、この習近平による軍の掌握が中途半端であれば、さらに軍と習近平の軋轢がたかまるだけで、さらに大きな不安定要因になりかねません。

所詮、軍隊でもない人民解放軍が存在している事自体が誤りなのです。まともな近代国家の自国を守るための軍隊に変わらなければ、根本は何も変わらず、変わったにしても目先のリーダーが変わるだけのことです。

もし人民解放軍が国防軍であり、それが人民を守るためのものであると法に定められており、しかも中国がまともな法治国家であれば、南シナ海や尖閣の問題もなかったでしょうし、チベット自治区、ウイグル自治区などの問題もなかったでしょう。

人は、誰でも私兵などもてば、自分の都合の良いよいに、国を富簒奪装置にするでしょうし、国内でそれが一巡すれば、国外でもそれをやろうとするのは当然のことです。

いずれにせよ、現中国共産党中央政府の体制が変わり新たな体制にならない限り、何も変わりありません。中国は、これからもアジアの不安定要素となり続けることでしょう。北朝鮮は目先の不安定要素に過ぎません、格段に大きく、これからも長期間にわたり不安定要素となり続けるのは中国のほうです。

【私の論評】

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2017年11月10日金曜日

中国政治は人民解放軍抜きに語れない―【私の論評】中国の体制崩壊はいずれ必ずやってくる(゚д゚)!

中国政治は人民解放軍抜きに語れない
2つのディレンマを抑え込む「共産党の軍隊」がカギを握る

 第19回党大会を終え、いよいよ「習近平1強体制」が固まってきた中国。「中華民族の偉大な復興」を掲げて大国化が進みつつあるものの、一方で、日本をはじめ周辺国との軋轢(あつれき)や不協和音も大きくなっている。単純に「友好」という言葉では御しきれなくなったこの国との関係を、今後どうしていけばいいのか。そのためには、中国をどんな国だと認識すればいいのか――。
 そんな問いに対し、「中国人民解放軍」に焦点を当てたヒントを提示しているのが、阿南友亮氏の近著『中国はなぜ軍拡を続けるのか』(新潮選書)である。
 著者の阿南氏は1972年生まれ。慶應義塾大学法学部、同大学院博士課程を経て、現在は東北大学大学院法学研究科教授を務める、中国現代政治史の専門家。
 阿南氏に、習近平「1強」時代に入った中国を考えるための視座について話を聞いた。

中国社会の不安定要因は格差

 中国とはどんな国なのか。歴史的に見れば、それは「国が社会の面倒を見ない」国、というものでした。人々は国に頼らず、自分たちの面倒を自分たちで見ていた。自然災害などが続いてそうした営みが行き詰まった時、彼らは国家に牙を剥き、王朝を倒しました。それが2000年にわたって続いたのです。
 そのサイクルに終止符を打とうとしたのが、中国革命だったと言えます。1911年に革命が勃発した際、その指導者の孫文は、民が国の主人となり、国は民の福利厚生のために存在するという近代国家を作ろうとしました。ところが、それから100年以上経ちましたが、いまだにその課題は充分達成されたとはいえません。今でも国家権力と民間社会の関係は、近代国家という基準からみれば、歪な形になっています。
 現在の中華人民共和国は、1970年末以降の「改革・開放」政策のおかげで、だいぶ豊かになり、世界的に注目されるようになりました。富裕層が大挙して日本を訪れ、「爆買い」する様子はずいぶんと報道されたものでした。
 ところが、こうした報道では、中国が抱える矛盾や歪みに関する言及はあまりありません。実は、日本にやってきて「爆買い」できるのは、14億人に迫ると言われている全人口のうちのほんのわずかでしかありません。中国政府の公式発表でも1人当たりのGDPはまだ8000ドルであり、人口の大半は日本円にして年収50万円以下で暮らしています。
「改革・開放」は、中国における「官」と「民」の間の矛盾を解決するために打ち出されたのですが、実は矛盾がむしろ深刻化するという事態になっています。

深刻な農村の貧困問題

 日本人は、近代国家ならば基本的に制度的な平等が担保され、国民を網羅した社会保障制度も整っているものと考えがちです。ましてや、中国は社会主義の看板を掲げているので、福利厚生が充実しているだろうとお考えの人もいるかもしれません。
 しかし、実はそうではないのです。中国では、都市部出身者と農村部出身者の間で、戸籍による制度的差別と巨大な格差が厳然として存在します。そして、8億人以上いる後者に関して言えば、21世紀に入るまで共産党が提供していた社会保障は粗末なものでした。共産党は2003年に農民を広範に網羅した医療保険制度の整備に着手しましたが、中国における医療費の高騰に対応できていないなど、いまだ課題山積の状態です。農民の自己負担が依然として非常に高くて家計を圧迫している、あるいは農民が出稼ぎ先の都市部の病院を利用できないといったことが中国国内でも問題視されています。
 また、2007年にようやく農村に導入された生活保護制度を見ても、毎月の支給額は、最大でも日本円にして4000~5000円程度に留まっています。2007年までは0円だったので、これを大きな進歩と評価する意見もありますが、年収が10万円しかない農民の場合、日本だったら間違いなく生活保護の対象となる一方で、中国では生活保護の対象とはみなされないため、全般的に言えば、農村の貧困問題は依然として極めて深刻です。
 要するに、中華人民共和国では、人口の半分以上を占める農民への公共サービスに回す資源が非常に低く抑えられてきたと言えます。
 もし日本のように、国家予算の半分以上を社会保障に使っていれば、オリンピックだ、万博だ、軍拡だ、対外投資だというところに派手にお金を使うのは困難です。これまで数億の農民の社会保障にあまりお金を使ってこなかったからこそ、そうしたことができたのですが、その点が日本ではあまり正確に理解されていないようです。

解放軍は「国家の軍隊」ではない

 そんな国家・社会関係を作ったのは誰なのか。もちろん、一党独裁を続ける中国共産党であり、人民解放軍(解放軍)だと言えます。
 これも重要なことなのですが、解放軍は「共産党の軍隊」であって「国家の軍隊」ではありません。これは1927年の解放軍の設立以来90年間変わりません。また、中華人民共和国は、内戦に勝利した解放軍によって作られたという経緯があり、軍人は中央・地方の統治ネットワークに深く関与してきました。
 1970年代の終わりから、中国は「改革・開放」政策に舵を切りました。当時から懸念されていたのは、共産党の一党独裁下でどうやって自由な市場経済を進めるのか、ということでした。そもそも、土地や工場といった生産手段をすべて共産党が握っているわけですから、よほどしっかりしたルールと監視体制によって党とビジネスの間に境界を設けないと、共産党の幹部ばかりが金持ちになってしまいます。そして、現実にそうなった。 こうした軍の存在を抜きにして現代中国政治は語れないというのが、私が今回の著書をつうじて特に強調したかったことです。
阿南友亮・東北大学大学院教授
 解放軍は、一貫して共産党の一党支配体制の重要な後ろ盾となってきました。「改革・開放」の旗振り役は、鄧小平でしたが、彼は長らく党中央軍事員会主席を務め、軍の統帥権を一手に握っておりました。
 鄧小平は、腹心の胡耀邦や趙紫陽を党と政府のトップに据えて「改革・解放」と呼ばれる規制緩和を大々的に進めました。ところが、共産党の独裁に対して異議申し立てをすること、つまり「民主化」要求には断固反対しました。それが1989年の天安門事件という悲劇を招いたのです。
 この事件において、鄧小平は解放軍を駆使して「民主化」運動を粉砕し、それによって中国国内は安定を取り戻したかに見えました。しかし、実際には、これにより国家権力と民間社会の間の矛盾は解消されないまま、蓄積されていくことになりました。

格差社会の要因は鄧小平の判断ミス

「改革・開放」は、もともと経済の自由化に向けた規制緩和をしつつも、党とビジネスをきちんと切り離すという指針に基づいて進められていました。しかし、鄧小平が「民主化」運動に寛容だった胡耀邦と趙紫陽を相次いで失脚に追い込んだため、党とビジネスの間に境界線を引く試みにブレーキがかかることとなったのです。
 そして、その後、鄧小平から江沢民に政権運営のバトンが渡されると、江沢民の地盤だった上海市などを中心に、「権力と資本の癒着」、すなわち共産党幹部が権力を駆使して金儲けに興じる現象が顕在化することになりました。このため、新たに台頭した富裕層には、共産党幹部とその縁者や取り巻き連中が多く含まれることになりました。では、共産党がそうした富裕層、すなわち金持ち共産党員に課税ができるかというと、なかなかできない。
 こうして、党幹部とその縁者がどんどん富を蓄えていく一方で、富の再分配(社会保障)の充実が遅々として進まないという構図が出現し、先進諸国でも類がない凄まじい格差社会が誕生することになりました。
 こうした事態は、不用意に胡耀邦と趙紫陽を失脚に追い込んだ鄧小平の判断ミスによって生じたと私は考えております。

結果として招いた2つのディレンマ

この重大なミスによって、中国は「2つのディレンマ」を抱えることになりました。第1のディレンマは、華々しい経済発展の裏側で、格差拡大に起因する社会内部の不満が、膨大な数の農民も巻き込む形で拡大の一途をたどっているということ。これは共産党の一党独裁を揺るがしかねない国内問題です。

 これに対して共産党指導部は、国内のディレンマの中和剤として排外的なナショナリズムを煽りました。しかし、これによって、中国自身の経済発展にとって不可欠なパートナーである各国との関係を不安定にさせてしまった。

 特に日本との関係は、誰の目にも明らかなように、どんどんおかしくなっていきました。今では、米国、フィリピン、ヴェトナム、インド、そして韓国との関係も不安定化しております。これが第2のディレンマです。

 現在の中国共産党は、これら「2つのディレンマ」を抱えており、その統治は決して安定しているとはいえません。そんな共産党の「安全保障」装置として、解放軍がいる。つまり軍の存在が、深刻な矛盾を内包する独裁体制の動揺を防いでいるのです。天安門事件は、その象徴的事例といえるでしょう。

 中国共産党の統治は、解放軍に大きく依存している。だからこそ、毎年多額の資金を解放軍に提供せねばならない。中国で進行している軍拡は、そうした背景を持っているのです。

共産党と民間社会を同一視してはいけない

 中国をめぐる議論をみると、共産党と民間社会を区別しないまま、中国をあたかも一つのまとまった集合体として見る傾向が目立ちます。しかし、これまで述べたように、中国は経済発展しているといっても、その恩恵は社会の隅々まで行き渡っているわけではありません。「爆買い」する中国人観光客を見て、これが中国の標準だと思ったら、大間違いです。
 中国では江沢民政権以降、国内の不満を党からそらすために排外主義的要素を多分に含んだ愛国主義教育を行ってきました。その結果、国内の言論空間では強硬な外交を求める声が充満するようになりました。その声に応えないと、国内の不満は共産党に向かうため、共産党は他国との対話で譲歩するのが難しくなりました。特に島嶼(とうしょ)や海洋権益をめぐる問題では、その傾向が顕著です。そこで、共産党は、解放軍を用いて他国に対してさかんに威嚇を行うようになりました。すなわち、圧力によって他国に一方的な譲歩を迫るようになったのです。その結果、中国外交は、今日のように、複数の国と同時に摩擦をかかえるという泥沼にはまってしまいました。
 したがって、日中関係を改善するには、中国共産党の抱える2つのディレンマの問題を緩和ないし解消することが重要な課題となりますが、これは決して容易なことではない。一方、日中間の民間交流は、今後も拡大していくと予想されます。
 そこで重要になってくるのが、中国共産党と中国の民間社会とを区別する視座です。今後も長引く可能性が高い日中の政府レベルでの摩擦に違和感やフラストレーションを覚えることは自然なことですが、共産党の独裁に起因する諸問題を確たる根拠もなく「民族性」に起因するものと主張し、「中国人はみんなこうなのだ」といったレッテル貼りを行うことは、中国の民間社会との共生さえも難しくするものです。
 逆に、このような外交面での対立が続いている間も、民間が地に足の着いた多面的な交流を今後も続けていければ、やがてそれが関係再建の土台となっていくはずです。

台湾問題には無関係ではいられない

 最後にもう一つ。この本では、解放軍の実力についても分析しており、日米と比べると装備全般が遅れた軍隊であるという評価を示しました。しかし、それをもって解放軍に起因するリスクを過小評価することがあってはなりません。
 それは台湾問題があるからです。中国は今でも、台湾を取り戻すことを大きな目標にしています。「台湾が独立を宣言したら、それは戦争を意味する」という思考回路は、中国社会にひろく浸透しております。
 そして、そのことは、日本にとって無縁の話ではありません。なぜなら、周辺事態法や平和安全法制によって、日本は米国の台湾防衛戦略に組み込まれているからです。しかし、日本社会では、そのような当事者意識は、決して高いとはいえないでしょう。
 日本人は、自国の外の人々の生命や権利が脅かされた時にどのような行動を取るべきなのか。中国の軍拡は、日本社会にこのような問題も突きつけているのです。
阿南友亮
1972年、東京生まれ。東北大学大学院法学研究科教授。慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学(法学博士)。大学院在籍中に北京大学国際関係学院に留学。東京成徳大学講師、東北大学准教授を経て、2014年より現職。また2017年、東北大学公共政策大学院院長に就任。著書に『中国革命と軍隊』(慶應義塾大学出版会)、『シリーズ日本の安全保障5 チャイナ・リスク』(共著、岩波書店)など。
【私の論評】中国の体制崩壊はいずれ必ずやってくる(゚д゚)!
ブログ冒頭の記事では、人民解放軍は「国家の軍隊」ではなく、共産党の私兵であることが掲載されていました。そもそも、中国には普通の国でいう、軍隊は存在しないのです。これは、よく知られていることですが、上の記事でさらに人民解放軍が特異というか異常な組織であることが述べられていません。

中国人民解放軍女性兵士?彼女らは、総合商社の一員でもある\(◎o◎)/!
それは何かといえば、人民解放軍は日本でいえば、商社のような存在であり、実際中国国内外で様々なビジネスを展開しているという事実です。そのような存在でありながら、武装もしており、いわば武装商社のような存在です。そうして中には核武装もしているという異常な状況です。

そうした中にあって、この中国共産党の私兵は、上記で述べられた2つのジレンマにより、中国自体が崩壊してもおかしくないようような状況において、治安を暴力によって維持し、中国が崩壊しないように、人民を弾圧し続けきました。

そのため、この2つのジレンマは根本的に解決されないまま今でも、温存されています。第1のディレンマは、華々しい経済発展の裏側で、格差拡大に起因する社会内部の不満が、膨大な数の農民も巻き込む形で拡大の一途をたどっているというものです。第2のディレンマは、周囲の国々との関係がどんどん悪くなっていき、収拾がつかなくなっているというものです。

このようなジレンマの存在は、従来から知られていました。そうして、中国といえば民主化、政治と経済の分離、法治国家も遅れており、このまま中国が経済発展し続けていくことはあり得ません。

様々な中国崩壊本
ただし、08年の北京オリンピックの前後から、「反中国本」「中国崩壊本」はまるで雨後のたけのこのように日本で出版されてきました。しかし、未だに中国はの崩壊していません。そのため、これらの「中国崩壊本」に対しては批判も強まっています。

しかし、未だ中共が崩壊しないでいられるのは、中共(共産党)は胡錦濤(フー・チンタオ)政権末期の危機的状況に際し、成功体験である毛沢東時代を再現すべく習近平(シー・チンピン)に権力を集中させたからです。

テレビで報道された習近平一強体制の強化
この対応によって、何とか体制を保っていられるとみるべきです。しかし、それでも抜本的な問題を先送りしているだけで構造的問題の解消にはなっていません。おそらく、中共の現体制を10年間だけ延命しただけに終わるでしょう。

しかし、これらジレンマを抱えたまま、消費拡大を伴わず、公共事業と輸出に依存した、いびつな経済成長は到底持続不可能です。いずれ崩壊すると考えるのが妥当です。
バブル経済崩壊で日本も崩壊しましたが、日本人全員が路頭に迷ったわけではありません。同様に中国経済もいきなりゼロになることはあり得ないです。
ただし、中国共産党の体制は国防費と治安維持費の拡大、出稼ぎ労働者のための雇用創出など経済成長を前提としているため、成長がストップまたは鈍化すれば現体制を維持できなくなります。これが中国の崩壊です。その日は必ずやってきます。

私としては、中国のやり方などをみていると、ソ連が崩壊したような崩壊の仕方をするのではなく、いずれどう頑張ってみても、経済成長できなくなり、いわゆる中所得国の罠(中進国の罠とも言う)にどつぷりとはまっていることに気づくことになるのではと思っています。

中所得国の罠については、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国は「中所得国の罠」を抜けられない 今後の経済成長は線香花火に―【私の論評】中国の分析でも、中国は罠にどっぷりとはまり込むことになる(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の結論部分のみを掲載します。
現在の中国の経済をたてなおすためには、楼継偉財政相が指摘するように、1・農業改革、2・戸籍改革、3・労働・雇用改革、4・土地改革、5・社会保険改革―の5点を何とかしなければならなのです。

そのためには、まずはこのブロクでも何度も主張しているように、ある程度以上の民主化、政治と経済の分離、法治国家化をすすめなければならないのです。現在の先進国は、これをいずれかの時期に達成し、経済的中間層を多数輩出し、それらが、自由で活発な社会経済活動がすることにより、社会・経済が発展し、中進国の罠にはまることなく、経済的にも軍事的にも強国になったのです。

今のままでは、中国は中進国の罠にどっぷりと嵌り込むしかなくなります。その果てには、図体の大きなだけの、アジアの凡庸な独裁国に成り果てるしかなくなります。見込みがあるとすれば、いくつかに分裂して、沿海部の大都市部を含む国もしくは、国々が、民主化、政治と経済の分離、法治国家化をなしとげ急速に発展することです。
結局、 楼継偉財政相が指摘する改革は、先に上げた第1のジレンマから抜け出すための手立てです。中国は、この他にも第2のジレンマから抜け出さなければ、結局中所得国の罠から抜け出すことができなくなることでしょう。

そうして、そこから本格的な崩壊が緩やかに始まり、その直後から世界の誰もが、中国が今後も発展して、米国の経済を追い越すようなときは永遠に来ないどころか、中進国のままで終わり、中国の夢がすべて夢で終わるという事態がやってくると思います。

そのときがいわゆる中国の崩壊です。その時、中国は現在のロシアのような存在になるかもしれません。おそらく、チベット、東トルキスタン、内蒙古や満州なども独立するかもしれません。

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