実戦ではほとんど役立たずといわれる空母「遼寧」 |
米国にとって代わろうと覇権獲得に躍起となっている中国。その中国が海洋強国の象徴として心血を注いで建造したのが空母「遼寧」だ。歴史をひもとくと巨艦を持った軍事国家は「砲艦外交」に乗り出すことが多く、中国も周辺諸国威圧のため、遼寧を何度か出航させている。しかし、対する日米の潜水艦艦隊はピッタリとその動向をマークしており、すでに遼寧を何度か“撃沈”しているとみられる。もちろん、秘密裏に行われている演習の上でのことだが…。
追尾する日米潜水艦艦隊
日本の海上自衛隊と米国海軍の潜水艦艦隊が演習で遼寧を“撃沈”しているようだと明らかにしたのは、米誌「ナショナル・インタレスト」だ。同誌は6月18日のウェブサイトで、「撃沈している」との断定的な表現は微妙に避けながらも、日米の潜水艦艦隊は遼寧が出航するたびに追尾し、“撃沈”の演習を繰り返しているとしている。
遼寧は、ソ連崩壊のあおりを受けてスクラップ同然となった未完成の空母「ワリヤーグ」を、中国がウクライナから購入し、改修したものだ。米海軍が運用しているようなスチームカタパルトを装備した空母ではなく、艦載機はスキージャンプ台から発艦するなど、米海軍の空母と比べるとその能力は低い。
ただ、遼寧はすでに国産空母の建造に着手している中国が、いずれ本格的な空母機動部隊を保有するまで、艦や艦載機などの運用能力を獲得・維持するための「練習用空母」として位置づけられている。
搭載できる艦載機の数も限られているが、西太平洋方面では米国を除けば、ジェット戦闘機を発着できる艦を保有しているのは中国しかない。タイ海軍がスキージャンプを備えた小型空母「チャクリ・ナルエベト」を持っているが、予算と人員不足から機能しているとは言い難い。
時代はなすすべなく
遼寧は、満載排水量が10万トンを超える米空母ほどではないが、6万7500トンとほかの水上艦と比べると巨艦だ。駆逐艦やフリゲート艦などを従えて西太平洋の海域を遊弋(ゆうよく)すれば、海空軍力が劣るアジア諸国にとっては脅威となる。親善訪問を名目に海外に寄港し、その威容を見せつければ「砲艦外交」となる。
余談だが、130年前の1886(明治19)年に当時の新鋭艦だった定遠や鎮遠を従えた清王朝の北洋艦隊が燃料補給などを名目に長崎に入港。上陸した清国水兵が商店に押し入るなど乱暴・狼藉を働いて外交問題となった。しかし、当時の日本には定遠や鎮遠に対抗できる水上艦がないため、なすすべがなかった。
追尾する日米潜水艦艦隊
日本の海上自衛隊と米国海軍の潜水艦艦隊が演習で遼寧を“撃沈”しているようだと明らかにしたのは、米誌「ナショナル・インタレスト」だ。同誌は6月18日のウェブサイトで、「撃沈している」との断定的な表現は微妙に避けながらも、日米の潜水艦艦隊は遼寧が出航するたびに追尾し、“撃沈”の演習を繰り返しているとしている。
遼寧は、ソ連崩壊のあおりを受けてスクラップ同然となった未完成の空母「ワリヤーグ」を、中国がウクライナから購入し、改修したものだ。米海軍が運用しているようなスチームカタパルトを装備した空母ではなく、艦載機はスキージャンプ台から発艦するなど、米海軍の空母と比べるとその能力は低い。
ただ、遼寧はすでに国産空母の建造に着手している中国が、いずれ本格的な空母機動部隊を保有するまで、艦や艦載機などの運用能力を獲得・維持するための「練習用空母」として位置づけられている。
時代はなすすべなく
遼寧は、満載排水量が10万トンを超える米空母ほどではないが、6万7500トンとほかの水上艦と比べると巨艦だ。駆逐艦やフリゲート艦などを従えて西太平洋の海域を遊弋(ゆうよく)すれば、海空軍力が劣るアジア諸国にとっては脅威となる。親善訪問を名目に海外に寄港し、その威容を見せつければ「砲艦外交」となる。
余談だが、130年前の1886(明治19)年に当時の新鋭艦だった定遠や鎮遠を従えた清王朝の北洋艦隊が燃料補給などを名目に長崎に入港。上陸した清国水兵が商店に押し入るなど乱暴・狼藉を働いて外交問題となった。しかし、当時の日本には定遠や鎮遠に対抗できる水上艦がないため、なすすべがなかった。
定遠 |
この事件は「長崎事件」といわれ、1894(明治27)年に始まった日清戦争の遠因になったともいわれる。定遠や鎮遠などの新鋭艦を目の当たりにした日本は海軍力の増強に乗り出し、日清戦争でようやく仇を討つことになる。
把握される中国海軍の動向
一方、ナショナル・インタレストは海軍艦艇の中で最も強力なのは潜水艦戦力で、空母をはじめとする水上艦艇を沈めるのに最も有効な手段だとしている。遼寧についてもその配備先は当初、海南島や台湾やベトナム近くの海軍基地ではないかとの観測もあったが、山東半島の付け根にあり、黄海に面した北海艦隊の根拠地となっている青島に配備された。
ナショナル・インタレストは、中国が遼寧の母港を青島にした理由として、通常動力型の宋級潜水艦と漢級原子力潜水艦が配備されているためだとしており、宋級潜水艦と漢級原子力潜水艦が日米の潜水艦隊に対抗するうえで有効なためだと分析している。
ナショナル・インタレストは潜水艦戦力の例として、2006年10月に宋級潜水艦が沖縄近海で米空母キティホークに魚雷攻撃ができる距離まで近づき、浮上したことを紹介。また、2013年に中東のオマーン湾で行われた演習で、米海軍の攻撃型原潜が英海軍の空母イラストリアスに魚雷で攻撃できる距離まで近づいたことを明らかにしている。
水上艦や潜水艦をはじめとする中国海軍の動向は人工衛星や偵察機によって把握され、艦艇が出港すると、海上自衛隊や米海軍の本格的な監視・追跡が始まる。もちろん、まさにこの時間帯にも中国の軍港の近海や東シナ海や南シナ海から西太平洋に抜ける海峡などのチョークポイントに日米の潜水艦隊は潜んでおり、中国の海軍艦艇をにらんでいる。
おそらく、日本の海上自衛隊単独でも遼寧の撃沈は容易であると考えられます。これはたとえ、中国の攻撃型原潜が遼寧を警備している場合でも同じことだと考えられます。
いや、それどころか、日本の海上自衛隊単独で、中国の艦隊すべてを撃沈するシミレーションを行い、成功を収めているのではないかと考えられます。演習で「遼寧」だけが対象とか、日本の海上自衛隊の実力を試さないなどのことは考えられません。
ただし、実戦になれば今のところ日本の最新の「そうりゅう型」潜水艦の配備数は少ないですから、日本だけでは多少無理がありますが、今の中国海軍のレベルであれば、何とかできる状況であると考えられます。
ただし、戦争が長引いた場合など、やはり現状では、米国との連携が必要でしょうが、将来配備数が増えれば、それもできるようになることでしょう。ただし、これは無論のこと日本周辺と南シナ海に限ってのことです。
私は、このことは、以前から当然実施していることであると考えていましたが、上記の米誌「ナショナル・インタレスト」の記事によって、これは白日のもとに晒されたものと思います。
まさに、日米の潜水艦軍は、ブログ冒頭の記事にあるように、「水上艦や潜水艦をはじめとする中国海軍の動向は人工衛星や偵察機によって把握され、艦艇が出港すると、海上自衛隊や米海軍の本格的な監視・追跡が始まる。もちろん、まさにこの時間帯にも中国の軍港の近海や東シナ海や南シナ海から西太平洋に抜ける海峡などのチョークポイントに日米の潜水艦隊は潜んでおり、中国の海軍艦艇をにらんでいる」のです。
そうして、当然のことながら、中国はこのことを知っています。
チョークポイントとは、地政学上、シーパワーを制するに当たり、戦略的に重要となる海上水路のことです。見方を変えればいくつかの表現ができます。例えば、シーレーン防衛において、重要な航路が集束している部位です。すなわち、水上の要衝を意味します。ボトルネックという語で表されることもありますが、重要なのは、チョークポイントは水上航路のみを指す概念であり、陸上輸送は含みません。したがって、必然的に、「海峡」「運河」などを指し(港を指すことも)ます。
では、具体的にチョークポイントがどこにあたるのか、みてみましょう。日本周辺の日本にとってのチョークポイントは以下です。
以下は、日本近海だけでなく、世界的な視野で見た場合の、チョークポイントです。
その一つは、海賊が問題になっている、また日本のタンカーが爆発物による攻撃を受けたソマリア沖・ホルムズ海峡アジアではマラッカ海峡などシーレーンの隘路となっている海峡です。
さらに、狭い狭いマラッカ海峡を無事に通過すると、南シナ海です。ここを中国にストップされたら、どういうことになりますか?どんな人でも容易に想像がつくことと思います。インド洋沖・南シナ海は、ソマリア沖を含むシーレーンの最重要ポイントでもあります。
把握される中国海軍の動向
ナショナル・インタレストは、中国が遼寧の母港を青島にした理由として、通常動力型の宋級潜水艦と漢級原子力潜水艦が配備されているためだとしており、宋級潜水艦と漢級原子力潜水艦が日米の潜水艦隊に対抗するうえで有効なためだと分析している。
ナショナル・インタレストは潜水艦戦力の例として、2006年10月に宋級潜水艦が沖縄近海で米空母キティホークに魚雷攻撃ができる距離まで近づき、浮上したことを紹介。また、2013年に中東のオマーン湾で行われた演習で、米海軍の攻撃型原潜が英海軍の空母イラストリアスに魚雷で攻撃できる距離まで近づいたことを明らかにしている。
水上艦や潜水艦をはじめとする中国海軍の動向は人工衛星や偵察機によって把握され、艦艇が出港すると、海上自衛隊や米海軍の本格的な監視・追跡が始まる。もちろん、まさにこの時間帯にも中国の軍港の近海や東シナ海や南シナ海から西太平洋に抜ける海峡などのチョークポイントに日米の潜水艦隊は潜んでおり、中国の海軍艦艇をにらんでいる。
【私の論評】中国の全艦艇は既に海の藻屑と消えている(゚д゚)!
過去の海戦では、対艦巨砲といわれ、大きな戦艦同士の砲撃戦によって雌雄が決定されるとされていました。そうして、それをものの見事に証明してみせたのが、日本海海戦で日本海軍はロシアのバルチック艦隊を完膚なきまでに打ち破り大勝利して、日露戦争の趨勢を変えてしまいました。
大東亜戦争のときには、日本は初戦で、連合艦隊の航空母艦により太平洋を席巻しましたが、最後には空母を含む米大機動部隊に敗北を喫しました。しかし、ハワイの博物館には、世界で最初に空母を本格的に運用した国として、日本は尊敬の念を持って語られています。
そうして、その次の海戦の主役は潜水艦です。日本は現在原子力潜水艦は配備してはいないものの、通常の攻撃型潜水艦では世界最高水準の潜水艦を配備しています。なぜか、現在でも、日本は海戦では最先端の道を歩んでいます。
それについては、このブログにも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「日本以外なら中国の勝利意味する」豪潜水艦共同開発で米政府―【私の論評】世界の海から原潜が消える日も?中国が最も恐れる怪物 改「そうりゅう」(゚д゚)!
「そうりゅう」型潜水艦 「うんりゅう」 |
詳細はこの記事を御覧ください。特に、技術的に世界トップ水準であることなどについては、ここでは説明しませんので、この記事をご覧下さい。以下に、この記事から軍事的な側面で中国海軍の潜水艦との比較などの部分を以下に引用します。
日本はもともと、技術水準が高いため、潜水艦の推進装置もあまり音は出ませんでした、しかしスターリングエンジンを搭載してから、格段に音が静かになり、そのため、ソナーなどで敵から発見されにくいという利点がありました。このようなことから、ブログ冒頭の記事に「日本の海上自衛隊と米国海軍の潜水艦艦隊が演習で遼寧を“撃沈”している」とありますが、これは事実であると考えられます。
現行の「そうりゅう」型潜水艦ですら、さらにかなり音が小さいのと、潜行時間が長いので、かなり隠密行動がとりやすいという利点がありました。敵に気づかれず、索敵行動や、攻撃ができます。これに比較すると、アメリカの最新鋭の原潜ですら、推進音が大きく、「ゴー、ゴー」という推進音がします。これだと、現在の技術水準の高いソナーでは、発見されやすいです。
中国の最新鋭の原潜の場合は、もともと工作技術がお粗末なので、水中で進むときには、まるでドラム缶をガンガン叩いているような音を出しながら推進するということになり、すぐに敵に発見されてしまいます。
敵側からすると、「そうりゅう」型ですら脅威なのに、リチュウムイオン電池を用いた改「そうりゆう」型は、無音と言って良いくらい音が静かなので、何をもってしても発見することができず、攻撃を受けるときには、前もって準備などできません。
全く察知できないところから、いきなり魚雷などで攻撃されるという状況になります。これを防ぐ手段はありません。海で、これほど強力な武器はありません。さらに、このブログでも以前掲載したように、日本の対潜哨戒能力は、世界トップ水準ですから、現行の「そうりゅう」型潜水艦と束になって挑まれたら、中国海軍は全く歯が立たないことでしょう。
もし、戦争になれば、中国海軍は、空母も戦艦もあっという間に海の藻屑になって消えます。はっきりいえば、自殺行為です。だからこそ、中国は尖閣付近でも、本格的に駆逐艦や空母を派遣できず、せいぜい機関砲付きの艦船をおっかなびっくり派遣する程度のことしかできないのだと思います。
現在、中国を含めて、いくつかの国が原潜を運用していますが、ご存知のように原潜は、原子力を推進力に用いています。しかし、これは言うまでもなく、非常に危険です。放射能汚染の危険といつも隣り合わせです。
日本以外の国には改「そうりゅう」型のような潜水艦を建造する技術はありませんが、数十年後には、原潜は姿を消し改「そうりゅう」型のような潜水艦が主流になるかもしれません。
おそらく、日本の海上自衛隊単独でも遼寧の撃沈は容易であると考えられます。これはたとえ、中国の攻撃型原潜が遼寧を警備している場合でも同じことだと考えられます。
いや、それどころか、日本の海上自衛隊単独で、中国の艦隊すべてを撃沈するシミレーションを行い、成功を収めているのではないかと考えられます。演習で「遼寧」だけが対象とか、日本の海上自衛隊の実力を試さないなどのことは考えられません。
ただし、実戦になれば今のところ日本の最新の「そうりゅう型」潜水艦の配備数は少ないですから、日本だけでは多少無理がありますが、今の中国海軍のレベルであれば、何とかできる状況であると考えられます。
ただし、戦争が長引いた場合など、やはり現状では、米国との連携が必要でしょうが、将来配備数が増えれば、それもできるようになることでしょう。ただし、これは無論のこと日本周辺と南シナ海に限ってのことです。
私は、このことは、以前から当然実施していることであると考えていましたが、上記の米誌「ナショナル・インタレスト」の記事によって、これは白日のもとに晒されたものと思います。
まさに、日米の潜水艦軍は、ブログ冒頭の記事にあるように、「水上艦や潜水艦をはじめとする中国海軍の動向は人工衛星や偵察機によって把握され、艦艇が出港すると、海上自衛隊や米海軍の本格的な監視・追跡が始まる。もちろん、まさにこの時間帯にも中国の軍港の近海や東シナ海や南シナ海から西太平洋に抜ける海峡などのチョークポイントに日米の潜水艦隊は潜んでおり、中国の海軍艦艇をにらんでいる」のです。
そうして、当然のことながら、中国はこのことを知っています。
チョークポイントとは、地政学上、シーパワーを制するに当たり、戦略的に重要となる海上水路のことです。見方を変えればいくつかの表現ができます。例えば、シーレーン防衛において、重要な航路が集束している部位です。すなわち、水上の要衝を意味します。ボトルネックという語で表されることもありますが、重要なのは、チョークポイントは水上航路のみを指す概念であり、陸上輸送は含みません。したがって、必然的に、「海峡」「運河」などを指し(港を指すことも)ます。
では、具体的にチョークポイントがどこにあたるのか、みてみましょう。日本周辺の日本にとってのチョークポイントは以下です。
以下は、日本近海だけでなく、世界的な視野で見た場合の、チョークポイントです。
その一つは、海賊が問題になっている、また日本のタンカーが爆発物による攻撃を受けたソマリア沖・ホルムズ海峡アジアではマラッカ海峡などシーレーンの隘路となっている海峡です。
さらに、狭い狭いマラッカ海峡を無事に通過すると、南シナ海です。ここを中国にストップされたら、どういうことになりますか?どんな人でも容易に想像がつくことと思います。インド洋沖・南シナ海は、ソマリア沖を含むシーレーンの最重要ポイントでもあります。
日本近海でもいつかのチョークポイントがあります。さらに、世界的規模でみると日本にとってのチョーク・ポイントはかなり膨大なものとなります。これでは、とても日本だけの力では守り切れるものではありません。このためにも、日米や他の国との集団的自衛権の行使は必要不可欠です。
しかし、南シナ海の危機はさらに大きな脅威となりつつあり、日本としては、何としてでも、南シナ海の中国の権益の拡大を阻止しなければなりません。
これを許しておけば、日本のシーレーンは脅かされ、中国がこのシーレンを自らのものにして、中国がアジア向けの石油を全部わが物にして、中国を最優先して、残った石油を他のアジアの国々に対して法外な価格で売りつけるなどという馬鹿真似をしだすかもしれません。いや、日本や、周辺諸国が中国の動きを封ずることができなければ、将来そうなる確率はかなり高いです。
さらに、先日も示したように、中国は南シナ海を中国の戦略型原潜の聖域にしようとさえしています。
このような危機に対処するためにこそ、日米は、共同で南シナ海のチョークポイントに潜水艦を潜ませ、中国海軍の動向を監視したり、撃沈のシミレーションをして鉄壁の構えを構築しているのです。そうして、そのシミレーションの中には、中国艦隊の殲滅も含まれているのは当然のことです。
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