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2020年8月5日水曜日

河野防衛相“ムッ”「なぜ中韓の了解がいるのか?」 ミサイル防衛で東京新聞記者の質問に不快感 「記者の質問に絶句」の声も— 【私の論評】経済に対する理解も安全保障には不可欠、それを考えると河野防衛大臣をはじめ全ポスト安倍は失格!(◎_◎;)

河野防衛相“ムッ”「なぜ中韓の了解がいるのか?」 ミサイル防衛で東京新聞記者の質問に不快感 「記者の質問に絶句」の声

さすがに怒った河野防衛相

     河野太郎防衛相が4日の記者会見で、気色ばむ一幕があった。ミサイル防衛に関する自民党提言について、東京新聞の記者から「中国や韓国の理解を得られる状況ではないのでは?」と質問され、「中国がミサイルを増強しているときに、なぜその了解がいるのか」と語気を強めたのだ。

 自民党は、中国や北朝鮮の軍事的脅威の増大を踏まえ、「専守防衛の考え方の下」で「ミサイル阻止能力」の保有を検討するよう求める提言をまとめた。

 冒頭の会見で、東京新聞の記者は「安全保障の見直しでは周辺国からの理解が重要だが、現状は理解を得られる状況ではない。防衛政策の責任者として今後、理解を得られるのに必要なこととは何か?」と質問した。

 河野氏が「周辺国とは、どこのことですか?」と聞くと、東京新聞の記者は「主に中国や韓国」と答えた。

 これを受け、河野氏は「主に中国がミサイルを増強しているときに、なぜ、その了解がいるのか」と言い切った。

 一瞬沈黙が流れたが、記者は「では、韓国に関しては?」と続けた。

 河野氏は「何で韓国の了解が必要なのか。わが国の領土を防衛するのに」と答え、着用していたマスクを外し、不快な表情をみせた。

 この動画が流れると、ネット上では「記者の質問に絶句」「中国の軍拡を、日本がいつ理解を示したのか」「自宅の鍵をかけるのに、泥棒に同意を得るのか」「内なる敵が正体を現した」などといった意見が続出した。

 夕刊フジは4日午後、東京新聞に対し、「日本の防衛を考えるのに周辺国の理解が必要とは、記者の見解か? 東京新聞の見解か?」という趣旨の質問状を送った。

 東京新聞編集局からは同日夕、「従来から個々の取材についてはお答えしていません」との回答があった。

 一連のやりとりを、どう見るか。

 東京新聞OBである、ジャーナリストの長谷川幸洋氏は「河野氏の発言こそ正論だ。中国は急速にミサイル開発・配備を進め、日本に脅威を与えている。日本の抑止力を強化するのに、中国の了解を得る必要はない。同様に韓国の了解もいらない。東京新聞などの左派メディアは、中国も韓国も『話せば分かる相手』だと思い込んでいるようだ。記者もそのロジックで質問したのだろうが、間が抜けている。河野氏はカチンときて真正面からガツンとやったのだろう。世界が話が分かる国や人ばかりなら、この世にある、さまざまな対立なんて起きはしない。左派メディアは現実を知るべきだ」と語った。
【私の論評】経済に対する理解も安全保障には不可欠、それを考えると河野防衛大臣をはじめ全ポスト安倍は失格!(◎_◎;)

河野防衛大臣は、何も突拍子もない事を言っているわけではなく、むしろ当たり前の事を言っただけです。

自国の領土防衛能力について、安保条約を結び日本国内に基地を置いている米国ならまだしも、領海侵入を繰り返す中国や、敵か味方かわからない韓国に「こんな防衛力持ってもいいでしょうか」とお伺いを立てるバカはいません。

「中国や韓国の理解が重要ではないか」というのはおそらく日本だけでしか聞かれないタイプの質問です。他の国でこんな質問したら、された方はたぶん意味がわからないでしょう。「どうして敵に聞くんですか」ということになるだけです。

ただ残念ながら日本ではこういう質問が普通に出て、政治家もそれにゆるーく答えてきたというのがメディアにおける当たり前の風景でした。だから毅然と答える政治家は「変人」と揶揄されたり、「保守強硬派」などと批判されたりしたのです。

もしかしたら日本人は他国が攻めてくるなんて考えていないのではないかという疑念を抱いたことがあるのですが、なるほどという記事を見つけました。朝日新聞のインタビューに対し岩屋毅前防衛相が以下のように答えていたのです。

岩屋毅前防衛相

記者が北朝鮮によるミサイルの飽和攻撃に言及したのに対し、岩屋氏は「そういう映画か漫画のような話をすべきでない。日米同盟に本気で挑戦するのは自殺行為だ。蓋然性は極めて低い」と答えているのだ。北の攻撃はマンガ?これが河野氏の前に防衛相だった人の認識なのです。

私は、以前町内会で「北朝鮮のミサイルの危機」について話をした時に、あるご老人から「そんなことまで心配しなければならないのか」などと反応があったのですが、岩屋氏の発言はこのご老人とレベル的に同次元です。

政治家も記者も冷戦の「平和な時代」の癖が抜けていないのでしょうが、現代の国際情勢は全くそうではないし、かなり多くの日本国民もそのことに気づいています。

河野氏は自民党総裁選への立候補に意欲を示しているが「まだ早い」との声も根強いです。確かに政治家としてもう少し幅広く経験を積んだ方がいいかもしれないですが、「平和ボケ」していない事は次の日本のリーダーとしてとても重要な資質です。

ただし、残念なこともあります。それは河野氏の経済対策観です。これは、高野氏のブログなどのサイトにも、その主張が見られますが、はっきりいわせていただくと、経済に関する理解が今一としか言えないです。そもそも、ガチガチの緊縮派です。

特に河野氏の、国債論は、酷いの一言に尽きます。進次郎氏も河野氏も、彼らのお父さん世代の財政再建主義、構造改革主義から何も進歩していません。世代を超えて財務省の洗脳が続いています。

小泉環境大臣

河野氏は、せっかく良い資質を持っているのですが、経済に関しては、どう考えてもマイナスです。実際、総理大臣になったとしたら、まともな経済政策はできないでしょう。

特に、このブログで最近よく取り上げた、財務省抜きの、政府と日銀の連合軍に関して、これが実際何を意味しているのが、どうしてそうしなければならないのか、などということに関しては、河野氏は全く疎いと思います。小泉氏とともに、国債は将来世代へのつけなどと、いいかねません。いや、言うでしょう。

私としては、このブログにも掲載したように、コロナ対策のために、政府と日銀の連合軍が出来上がったのですから、この連合軍は、これからも何か未曾有の出来事が発生して、経済が落ち込むたびに連合を組み、日本経済の低迷を救うのに役立てるべきと思っています。

政府と日銀の“対コロナ連合軍”は、政府が国債を発行し、日銀がそれを全部買い取り、政府がコロナ対策のための資金を得るという方式のことです。

5月22日の黒田東彦(はるひこ)日銀総裁と麻生財務大臣の共同談話により、合意されたものです。

       5月12日、麻生太郎財務相の記者会見で、マスコミと財務省を、
       財政崩壊をいたずらに煽る「狼少年」だと揶揄
これは、何のためかといえば、経済が落ち込んだときに、政府と日銀による、積極財政と、金融緩和を同時に実行するということです。ざっくりというと、積極財政だけを大々的に実行すると円が逼迫し、デフレ・円高傾向になり、経済に悪影響を及ぼすので、無制限の金融緩和も同時に実行すべきということです。

日本では、この両方を同時に実行するという欧米では定番となっている考え方が、ほとんど受け入れらていません。ここでは、詳細は説明しませんが、国債を大量に発行したとしても、日銀が買い取れば、何の支障もありません。ましてや、将来世代につけになどなりません。唯一の危惧は、インフレですが、現状の日本はデフレからすっかり抜けきっていないので、インフレの心配もありません。

自民党の議員でも、この両方をすべきとする人は、少なく、経済政策というと、積極財政か、金融緩和をいずれかをすると考える人がほとんどです。河野氏の頭にもこのようなことは組み込まれていないようです。

かなり経済が落ち込んだり、落ち込むことが予想される時の、経済対策の基本はこれです。無論実務的には、どのくらい、どの期間、どの方法を実行するかということでは様々な方法や組み合わせがありますが、方向性としては、これ以外にありません。

これ以外を実行すれば、失敗するだけです。実際、平成年間のほとんどの期間は失敗して、日本はデフレ状態でした。いい加減、このことに多くの国会議員が気付くべきと思うのですが、財務省の縛りが激しく、そうはなりません。

経済が落ち込み続ければ、防衛費も削減せざるを得なくなるわけですから、経済に対する理解も安全保障には不可欠です。それを考えると、河野防衛大臣は、残念ながら失格といわざるを得ないです。

ただし、それは、自民党の他の議員もほぼ右に倣えで、河野防衛大臣だけがそうというわけではありません。

私としては、安倍総理がさらに4期目も総理大臣を務めつつ、若手を育てていくか、それが叶わないなら、メンターとして、ポスト安倍を育てられる、環境とシスステムを整えるべき思います。

それが、ここ20年最も経済的にも、安全保障的にも、外交的にも、最もパフォーマンスの良かった、安倍総理ならではの、最後の最大のつとめだと思います。

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2018年9月19日水曜日

海上自衛隊の潜水艦「隠密作戦」に中国狼狽 南シナ海で中国に“強烈メッセージ”か 同盟国・米国も了解―【私の論評】日米同盟は北朝鮮問題を解決するつもりのない中国の喉元にあいくちをつきつけた(゚д゚)!


海自潜水艦「くろしお」

南シナ海で軍事的覇権を強める中国への“強烈なメッセージ”なのか。防衛省は17日、海上自衛隊の潜水艦を南シナ海に派遣し、護衛艦部隊とともに対潜水艦を想定した訓練を実施したと発表した。潜水艦の行動は「極秘中の極秘」であり、今回の公表は極めて異例。同盟国・米国も了解しているとみられる。国際法を無視して、南シナ海の岩礁を軍事基地化している中国への牽制(けんせい)とともに、中国の具体的行動への“警告”と分析する関係者もいる。米中貿易戦争が激化するなか、中国の軍事的挑発を阻止する狙いなのか。中国は反発したが、動揺を隠しきれない。

 「自衛隊の訓練は、練度を向上させるためで、どこか特定の国を想定したものではない。南シナ海における潜水艦の訓練は15年前から行い、昨年も一昨年もしている」

 安倍晋三首相は17日夜、テレビ朝日系「報道ステーション」に生出演した際、海自の対潜水艦訓練について、こう説明した。

 重ねて、安倍首相は「事実上、そうした訓練は(近隣国である)相手方も、十分に承知していることが多い」とも述べており、中国を意識したメッセージであることは、間違いない。

 中国は南シナ海のほぼ全域に歴史的権利があると主張し、独自の境界線「九段線」を引く。

 国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所は2016年、こうした主張を否定したにもかかわらず、中国は、スプラトリー(中国名・南沙)諸島の岩礁を勝手に埋め立てた人工島に滑走路やレーダーを建設したほか、パラセル(同・西沙)諸島に地対艦ミサイルを配備し、軍事拠点化を進めている。

 共産党一党独裁による中国の覇権拡大に対し、「自由と民主主義」「人権」「法の支配」といった価値観を共有する自由主義諸国は、警戒感を強めている。ドナルド・トランプ米政権は「航行の自由作戦」を展開し、英海軍も揚陸艦を航行させて圧力をかける。

 こうしたなか、今回の海自の訓練は、九段線の内側、フィリピン西側の公海上で行われたという。

 海自などによると、南シナ海に派遣したのは、海自呉基地(広島県)を母港とする潜水艦「くろしお」。13日までに護衛艦「かが」「いなづま」「すずつき」の計3隻と合流し、護衛艦や艦載ヘリコプターがソナーを使って敵の潜水艦を探索する一方、潜水艦は探知されないように護衛艦への接近を試みる実戦的内容だった。

 「くろしお」は、全長82メートル、幅8・9メートルで乗員約70人の潜水艦(排水量2750トン)。「かが」は、海自最大の護衛艦で、空母化の構想もある「いずも」と同型だ。

「かが」

 これに対し、中国の反応は、従来のような激烈な反発ではない。

 中国外務省の耿爽報道官は17日の記者会見で、「現在、南シナ海の情勢は安定に向かっている。域外の関係国は慎重に行動し、地域の平和と安定を損なわないよう求める」と述べた。

ドナルド・トランプ米大統領は17日(米国時間)、中国からの輸入品に追加関税を課す制裁第3弾を24日に発動すると発表した。中国の“軟化”は、対米貿易戦争での苦境を反映しているのか。このタイミングで日本側が対潜水艦訓練を公表した狙いを、専門家はどうみるか。

 米国事情に精通する拓殖大学海外事情研究所所長の川上高司教授は「訓練の公表が、中国への牽制(けんせい)であることは間違いない。米国の対中関税制裁は強力で、日本は米国と歩調を合わせ、軍事面から後方支援するという意味があるのだろう」と話した。

 これと符合するように、官邸に近い永田町関係者は次のように語った。

 「米中貿易戦争が激化するなか、中国が軍事的緊張状態を演出する懸念がある。今回の公表は、日米による『軍事的緊張を許さない』というメッセージだった可能性が高い。潜水艦『くろしお』は最新鋭潜水艦ではなく発見しやすいが、中国の哨戒能力では把握できなかったのではないか。このため、『われわれは南シナ海でも自由に行動できる』『挑発はダメだ』と伝えるため、異例の公表に踏み切ったとみる。軍事的挑発で懸念されるのは、弾道ミサイルを搭載した中国原潜の太平洋進出だ。米中の軍事的緊張が一気に高まる」

 中国の具体的行動を受けたメッセージとの分析もある。

 防衛関係者は「防衛省の今回の動きは異例だ。表向きのメッセージとは違う可能性が高い」といい、続けた。

 「潜水艦の行動は、各国海軍とも極秘だ。トランプ大統領でも、米原子力潜水艦の動きは知らされない。防衛省がリスクを侵して公表した意図がある。あくまで推測だが、中国が南シナ海で許容できない行動をしたのではないか。中国は現状を少しずつ変更して、軍事的覇権を強める戦術を取っている。自衛隊がそれを察知し、米国と情報共有したうえで、中国側にメッセージを伝えたとみるのが自然だろう。自衛隊の哨戒能力は世界最高だ。日本周辺で各国艦船や潜水艦の動向をリアルタイムで把握している。中国の抑制的な反応を見る限り、メッセージは伝わったのではないか」

【私の論評】日米同盟は北朝鮮問題を解決するつもりのない中国の喉元にあいくちをつきつけた(゚д゚)!

小野寺五典(いつのり)防衛相は18日午前の記者会見で、海上自衛隊の潜水艦「くろしお」が南シナ海で13日に行った訓練について「戦術技量の向上を図るもので、特定の国を念頭に置いたものではない」と述べ、軍事拠点化を進める中国への牽制(けんせい)ではないと強調しました。その上で「南シナ海での潜水艦が参加する訓練は15年以上前から幾度となく行っている。昨年、一昨年にも実施している」と述べました。



秘匿性が高い潜水艦の訓練を公表したことについては「過去も適切に公表している。特に意図があってのことではない」と語りました。

ただし、海自は南シナ海での実任務に就く潜水艦の訓練を公表したのは、今回の事例が初めてだと説明しています。

日本の海自の潜水艦や、米軍の潜水艦が南シナ海で訓練をしたり、哨戒任務にあたっているのは、以前から知られていることで、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【世界ミニナビ】中国ご自慢の空母「遼寧」は日米潜水艦隊がすでに“撃沈”?―【私の論評】中国の全艦艇は既に海上自衛隊により海の藻屑に(゚д゚)!
実戦ではほとんど役立たずといわれる空母「遼寧」
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より一部を引用します。
日本の海上自衛隊と米国海軍の潜水艦艦隊が演習で遼寧を“撃沈”しているようだと明らかにしたのは、米誌「ナショナル・インタレスト」だ。同誌は6月18日(ブログ管理人注:2016年)のウェブサイトで、「撃沈している」との断定的な表現は微妙に避けながらも、日米の潜水艦艦隊は遼寧が出航するたびに追尾し、“撃沈”の演習を繰り返しているとしている。
・・・・・・・・・・・〈中略〉・・・・・・・・・・ 
 ナショナル・インタレストは海軍艦艇の中で最も強力なのは潜水艦戦力で、空母をはじめとする水上艦艇を沈めるのに最も有効な手段だとしている。遼寧についてもその配備先は当初、海南島や台湾やベトナム近くの海軍基地ではないかとの観測もあったが、山東半島の付け根にあり、黄海に面した北海艦隊の根拠地となっている青島に配備された。 
ナショナル・インタレストは、中国が遼寧の母港を青島にした理由として、通常動力型の宋級潜水艦と漢級原子力潜水艦が配備されているためだとしており、宋級潜水艦と漢級原子力潜水艦が日米の潜水艦隊に対抗するうえで有効なためだと分析している。 
ナショナル・インタレストは潜水艦戦力の例として、2006年10月に宋級潜水艦が沖縄近海で米空母キティホークに魚雷攻撃ができる距離まで近づき、浮上したことを紹介。また、2013年に中東のオマーン湾で行われた演習で、米海軍の攻撃型原潜が英海軍の空母イラストリアスに魚雷で攻撃できる距離まで近づいたことを明らかにしている。 
水上艦や潜水艦をはじめとする中国海軍の動向は人工衛星や偵察機によって把握され、艦艇が出港すると、海上自衛隊や米海軍の本格的な監視・追跡が始まる。もちろん、まさにこの時間帯にも中国の軍港の近海や東シナ海や南シナ海から西太平洋に抜ける海峡などのチョークポイントに日米の潜水艦隊は潜んでおり、中国の海軍艦艇をにらんでいる。
ちなみに、チョークポイント(英: choke point)とは、海洋国家の地政学における概念のひとつであり、 シーパワーを制するに当たり、戦略的に重要となる海上水路をいいます。 見方を変えれば、例えば、シーレーン防衛において、重要な航路が集束している部位であったり、あるいはスエズ運河やパナマ運河など、水上の要衝を意味します。

地理的チョークポイント

日米の潜水艦は、隠密裏にこれらのチョークポイントに潜み、協同あるいは単独でも、監視や訓練を以前から実施しているのです。そうして、「遼寧」やその他の艦艇を何度となく、訓練で撃沈しているのです。

日本は第2次世界大戦後に憲法で平和主義を掲げる一方で近代的な軍事力を築き、中国や北朝鮮の行動に対する懸念が高まる近年は、さらなる増強に取り組んでいます。日本はブルネイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、台湾やベトナムとは違い、南シナ海に直接領有権を主張しているわけではないですが、東シナ海では中国と台湾と尖閣諸島の領有権を争っています。

日本は一番の軍事同盟国であるアメリカと共に、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で中国が岩礁の軍事拠点化を進めていることについて、より厳しい姿勢で臨む構えを示しています。アメリカは「航行の自由」を主張して、これまで周辺海域に数多くの巡視船を派遣しているが、中国は同海域での建設作業は「主権国家としての権利」だと主張し反発しています。

海上自衛隊は8月にも南シナ海での訓練を実施しており、これには北朝鮮も反発を表明しました。北朝鮮は南シナ海の領有権争いに関与していないですが、海上自衛隊がアジア太平洋地域で米海軍と合同で訓練を実施したことを、中国と共に強く非難。国営通信社の朝鮮中央通信は「日本は平和を破壊した行為の代償を払うべきだ」と主張しました。

北朝鮮は9月15日にも、政府系メディアを通じて、陸上自衛隊が8月26日に静岡県御殿場近郊で実施した国内最大規模の火力演習を強く非難。政府機関誌の民主朝鮮はこの演習について、日本が「チャンスがあれば他国を侵略・占領できるように軍事力の強化を目指している」ことを裏付ける証拠だと主張しました。

中国と北朝鮮は長年、社会主義的な絆とともに、両国とも第2次世界大戦下で日本と一度も戦ったことがないにもかかわらず、あたかも抗日戦争で日本に勝利したかのような演出をし、日本を悪魔化することによって、国内で統治の正当性を主張しているということでも共通点があります。

北朝鮮は2011年に金正日の死去を受けて息子の金正恩が最高指導者となって以降、それまで後ろ盾となって影響力をふるってきた中国との関係悪化が囁かれてきたものの、金は今年に入って習近平国家主席の元を3回にわたって訪問し、関係の強化をアピールしています。

中国は、金が6月の米朝首脳会談で体制保証と引き換えに約束した非核化の実現を北朝鮮に求めていくという点で、アメリカなどの主要国を支持しているように装っています。しかし、それはみせかけだけに過ぎないということをトランプ大統領は見破ったのです。

昨日のブログにも掲載したように、北朝鮮問題の根本的な解決を急ぐトランプ政権に対し、中国はあくまでもそれが「解決されない」方向へと持っていこうとするので、北朝鮮問題をめぐっての米中連携は最初から成り立たなかったのです。

トランプ政権は、とうとう中国を頼りにしての北朝鮮問題の解決は不可能であるどころか、中国こそが北朝鮮問題解決の邪魔であるとわかったようです。

だからこそ、昨日のブログにも掲載したように、米国は今のタイミングで中国に対して対貿易戦争を仕掛けたのです。無論それだけが目的ではなく、最大の目的は中国が知的財産権をないがしろにすることに対しての制裁です。

そうして、それだけではなく、日米同盟の同盟国日本を通じてこれからも、中国が北朝鮮問題を解決するつもりながなく、北朝鮮の日本に対する内政干渉などを許容するようであれば、南シナ海で何かがおこるかもしれないこと周知させるため、中国の喉元にあいくちを突きつけたのです。これは米国が直接実施すれば、大事になりかねないので、日本を通じて実施したものだと思います。

実際、日米が協力すれば、中国を相手に南シナ海の海上封鎖などすぐにできます。中国は今更ながら、その可能性に気づき、南シナ海を中国の戦略原潜の聖域にするのは不可能であることを悟ったことでしょう。南シナ海の日米の潜水艦隊に対して軍事行動を起こせば、中国艦隊はなすすべもなく、海の藻屑と消えます。

実際、中国がそのような動きを見せれば、米国は何のためらいもなく、場合によっては軍事衝突の危険をおかしてでも、南シナ海を海上封鎖することでしょう。日英はこれに監視などで協力することになるでしょう。

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