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2019年4月9日火曜日

英海軍と日本の海上自衛隊、東シナ海で「瀬取り」北船舶摘発―【私の論評】韓国が北朝鮮と同じ扱いを受けるようになる日が近づいている(゚д゚)!

英海軍と日本の海上自衛隊、東シナ海で「瀬取り」北船舶摘発


米沿岸警備隊(USCG)所属の大型警備艦「バーソルフ」

 北朝鮮による違法な海上での積み替え「瀬取り」を監視するために派遣された米沿岸警備隊(USCG)所属の大型警備艦「バーソルフ」(バーソルフ級カッター、4500トン級)が6日、釜山作戦基地に入港した。

 これは、済州民軍複合港に先月末入港し、韓国海洋警察庁と北朝鮮の制裁違反船舶に対する検問の合同訓練を実施してから約1週間後のことだ。

 外交消息筋は7日、「これは『バーソルフ』が韓半島(朝鮮半島)周辺を巡航していることを意味する。制裁違反を日常的に行っている北朝鮮と、これを黙認する周辺国に、米国が強い警告メッセージを送ったものだ」と語った。

 韓国海軍関係者は同日、「『バーソルフ』の釜山入港は乗組員の休息や物資補充のためのものだ」と説明した。先月の済州入港時のように合同訓練は予定されていないということだ。しかし、外交関係者たちは「バーソルフ」が1週間後に再び韓国の港に停泊したこと自体に注目しているようだ。

 外交消息筋は「『バーソルフ』は米国の徹底した制裁履行の意志を象徴している。文在寅(ムン・ジェイン)政権が開城工業団地や金剛山観光再開などの制裁緩和を推進している中、これに対する遠回しの警告メッセージが含まれている」と話した。

 現在、釜山・甘川港には瀬取りにより少なくとも4300トンの軽油を北朝鮮に供給した疑いで韓国籍の船舶が6カ月間抑留されている。

 「バーソルフ」は今年1月、母港の米カリフォルニア州アラメダ海軍基地を出港、この2カ月間、韓半島周辺を巡航して対北朝鮮制裁違反の船舶を監視・摘発してきた。米本土の沿岸警備を任務とする沿岸警備隊の警備艦が東アジアにまで移動してきて作戦を展開するのは異例だ。

 こうした中、国際社会は北朝鮮制裁監視網を強化するため、「連合海上作戦」に乗り出すなど、協力システムの構築に力を入れている。

 日本の外務省が6日に明らかにしたところによると、英海軍は先月、東シナ海で日本の海上自衛隊と連合作戦を展開、瀬取りをしていたと疑われる北朝鮮タンカー「セビョル」と船籍不明の船を摘発した。毎日新聞は外務省関係者の話として、「海上自衛隊とイギリス海軍が連携して制裁違反が疑われる北朝鮮船舶を摘発したのは初めてだ」と報道した。

【私の論評】韓国が北朝鮮と同じ扱いを受けるようになる日が近づいている(゚д゚)!

上の記事にあるように、海上自衛隊が英国軍と協力して北朝鮮のタンカーと船籍不明の船を摘発しました。日英の連携による瀬取りの摘発は史上初とのことで朝鮮日報の報道には焦りが感じられます。

このことに加え米国の沿岸警備隊所属の大型警備艦が韓国に入港したことも文在寅政権を怯えさせる材料になります。

そのような兆候は他にもあります。

最悪に突き進む韓国と日本の外交的不和が経済界にも広がる兆しが現れています。昨年貿易規模が850億ドルで3位に達するほど経済的に緊密な両国関係が揺らぎ続ければ両国ともに大きな影響を受けるだろうという懸念が出ています。

韓日財界によると昨年11月の韓国大法院(最高裁)の徴用被害者賠償判決後、日本企業と取引する韓国企業が通関と決済遅延など大小の影響を受けています。地方のある金属加工メーカーは2月から日本の取引企業からの代金を1カ月ずつ遅く受け取っています。この会社の関係者は「10年以上取引しているが入金遅延は今回が初めて。取引先が『韓国に警告すべき』という日本政府のメッセージを聞いたという」と話したといいます。

日本国内の韓国企業支社の相当数も「貿易と本国への送金作業が複雑になった」と口をそろえています。主要空港と港湾で要求する通関書類が普段より2倍近く増え、件別審査もやはり細かくなったといいます。大企業のある日本法人長は「日本で20年近く働いたがいまほど厳しかったことはなかった」と話しました。

日本の国税庁の動きも尋常でないという話が出ています。日本で旅行会社を運営する社長は「最近韓国人が社長の中小企業のうち1000万円以上の追徴金命令を受けた業者もいる」と話しています。駐日韓国企業連合会の金正洙(キム・ジョンス)会長は「韓国企業家は毎日悪化する雰囲気を体感している」と伝えました。

韓国でも「戦犯企業」のレッテルが付けられた三菱など日本製品の不買運動の動きまで起きています。京畿道(キョンギド)議会は小中高校が保有する日本製の備品に「戦犯企業が生産した製品」と書かれたステッカーを付着する条例案を推進したりこともしました。仁荷(インハ)大学国際通商学科のチョン・インギョ教授は「韓日が互いに報復を始めれば両国ともに回復しにくい影響を受けるだろう」と警告しました。

◇日本、韓国企業に税務調査や入金遅延…外交破裂音に新規取引に影響

「過去には韓日対立が起きても両国経済系は水面下で根強い関係を維持していました。いまは日本の財界だけでなく知韓派すら冷淡な反応を見せており心配です」(A経済団体会長)

政界で始まった韓日対立が経済分野に拡散し企業家の不安が大きくなっています。日本政府が相次いで警告した「経済報復」が可視化する兆しを見せているためです。過去最悪の韓日関係にともなう打撃は韓国側が大きいだろうという分析が多いです。

◇日本「経済報復」可視化するか



先月、麻生太郎副首相兼財務相が韓国に対する報復措置に言及してから日本の公務員が忖度に出たという解釈が出ています。また、日本製鉄(旧新日鉄住金)、三菱重工業など日本の代表企業が「戦犯企業」と呼ばれ韓国世論のターゲットになっただけに日本財界が反韓戦線を共同構築しているという観測もあります。

日本との日常的な貿易取引ですら送金遅延や書類補完指示が急増しているのが代表的な事例です。主要韓国企業の日本国内新規取引は事実上「オールストップ」状態です。早稲田大学国際教養学部の朴相俊(パク・サンジュン)教授は「韓国は米国、中国の次に大きい日本製品購入者だが、韓国企業と似た条件を掲げる外国企業が現れれば現在の雰囲気では韓国の代わりに第三国の企業を選ぶ可能性がある」と雰囲気を伝えました。

NHKや読売新聞など主要日本メディアは徴用被害者判決後続措置が出るたびに主要ニュースとして扱っています。ヤフージャパンなどオンライン上に公開された韓国関連ニュースには「韓国と断交すべき」などのコメントが数千件ずつ書き込まれています。

韓国では半導体価格の下落等により、輸出の減少傾向が4カ月間続いている

輸出の割合が高い韓国企業は揺らぐ韓日関係のため戦々恐々としています。工場稼動に必須である日本の先端部品素材を調達するのに支障が生じかねないためです。石油化学業界では生産工程に使われる触媒技術を日本が保有しており関連技術を輸入する際に困難がないかと懸念する雰囲気です。

触媒は低付加価値原料を高付加価値商品に変えるのに核心的な役割をします。業界関係者は「日本の技術を基に工場を作ったならば触媒も日本の技術が入ったものを使わなければならない。日本政府が強制的に技術供給を中断すれば韓国での生産に支障が生じかねない」と心配しています。

携帯電話に使われる高付加価値化学素材も「弱点」です。電子情報素材企業が日本から原料を輸入できなければ生産問題に直結するというのが業界の懸念です。ディスプレー企業の懸念も小さくないです。キヤノントッキなど有機EL工程の必須部品を供給する日本企業への依存度が絶対的であるためです。

自動車業界では過去最悪である韓日関係がルノーサムスン釜山(プサン)工場にも致命打を与えかねないという指摘を出しています。ルノーサムスンは日産のスポーツ多目的車(SUV)「ローグ」を受託生産しています。

日産は先月年間委託台数を従来の10万台から6万台に減らしました。日産が掲げた公式の理由は釜山工場の労使対立だが、一部では悪化した韓日関係のせいもあると解釈しています。

委託契約が終わる9月以降どれだけの生産を任せるかもまだ決まっていません。ルノーと同盟関係の日産が最後まで反対すれば釜山工場で日産車両を受託生産するのは事実上不可能という観測が支配的です。

凍りついた韓日関係が現代(ヒョンデ)重工業の大宇(デウ)造船海洋買収過程に障害として作用しかねないとの観測も出ています。両社が合併するには各国政府の企業結合審査を通過しなくてはならないですが、特に日本の公正取引委員会の審査を通過するのが容易でないかもしれないと指摘されています。

韓日経済人間交流は「ひとまず中断」状態です。来月ソウルで開く予定だった韓日経済人会議は突然9月以降に延期されました。韓日経済人会議は両国の最高経営責任者300人が参加する交流の場で1969年から1年も欠かさず開かれてきました。

全国経済人連合会の権泰信(クォン・テシン)常勤副会長は「主に政治次元で議論された多様な韓日問題が経済と民間交流に転移しており心配になる」と話しています。



さらに、日本が韓国に対してTPPに加入させないというのも、報復の一つと考えられます。日欧EPAが発効して、韓国がTPPに加入していないという状況は韓国にとってはかなり不利です。

2019年2月1日、日本とEU(欧州連合)のEPA(経済連携協定)が発効しました。これを受け、韓国・聯合ニュースは「韓国に緊張が走っている」と伝えました。

記事は「EPA発効により、世界の国内総生産(GDP)の3分の1を占め、人口6億3500万人の世界最大規模の自由貿易地帯が誕生した」とし、「EUはEPAが完全に履行されれば、EUから日本に輸出される物品の97%の関税が撤廃され、年間1兆3000億ウォン(約1266億円)相当の関税免除を受けられる」と説明しています。

日欧EPAが発効する前は、韓国とEUは、EPAを締結していたため、日本製品には関税がかかっていましたが、韓国製品にはかからず、相対的に有利でしたが、日欧EPAが発効した後には、日本製品にも関税がかからず、日韓は対等に競争ができるようになりました。さらに、日韓は産業構造が似ているということもあります。

TPPに関しては、TPP加入国同士では非関税もしくは低関税で取引できますが、韓国はTPPに加入していないので相対的に不利になります。

韓国が、北朝鮮への擦り寄せ姿勢を改めず、中国に対しての従属姿勢を改めなければ、これは米国に対する裏切り行為であり、米国は「バーソルフ」を派遣するだけではなく、さらに強力な制裁に踏み切るでしょう。

米国は一方的に北朝鮮との融和を推し進めようとする韓国を、本当の意味で信用できなくなりつつあります。そうした状況が進むと、米国は韓国と連携して北朝鮮政策を進めることは難しくなります。米国政府内では、北朝鮮との融和を目指す韓国の前のめり姿勢への不安が高まっています。韓国が北朝鮮と同じ扱いを受けるようになる日が近づいていると言えます。

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2018年9月19日水曜日

海上自衛隊の潜水艦「隠密作戦」に中国狼狽 南シナ海で中国に“強烈メッセージ”か 同盟国・米国も了解―【私の論評】日米同盟は北朝鮮問題を解決するつもりのない中国の喉元にあいくちをつきつけた(゚д゚)!


海自潜水艦「くろしお」

南シナ海で軍事的覇権を強める中国への“強烈なメッセージ”なのか。防衛省は17日、海上自衛隊の潜水艦を南シナ海に派遣し、護衛艦部隊とともに対潜水艦を想定した訓練を実施したと発表した。潜水艦の行動は「極秘中の極秘」であり、今回の公表は極めて異例。同盟国・米国も了解しているとみられる。国際法を無視して、南シナ海の岩礁を軍事基地化している中国への牽制(けんせい)とともに、中国の具体的行動への“警告”と分析する関係者もいる。米中貿易戦争が激化するなか、中国の軍事的挑発を阻止する狙いなのか。中国は反発したが、動揺を隠しきれない。

 「自衛隊の訓練は、練度を向上させるためで、どこか特定の国を想定したものではない。南シナ海における潜水艦の訓練は15年前から行い、昨年も一昨年もしている」

 安倍晋三首相は17日夜、テレビ朝日系「報道ステーション」に生出演した際、海自の対潜水艦訓練について、こう説明した。

 重ねて、安倍首相は「事実上、そうした訓練は(近隣国である)相手方も、十分に承知していることが多い」とも述べており、中国を意識したメッセージであることは、間違いない。

 中国は南シナ海のほぼ全域に歴史的権利があると主張し、独自の境界線「九段線」を引く。

 国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所は2016年、こうした主張を否定したにもかかわらず、中国は、スプラトリー(中国名・南沙)諸島の岩礁を勝手に埋め立てた人工島に滑走路やレーダーを建設したほか、パラセル(同・西沙)諸島に地対艦ミサイルを配備し、軍事拠点化を進めている。

 共産党一党独裁による中国の覇権拡大に対し、「自由と民主主義」「人権」「法の支配」といった価値観を共有する自由主義諸国は、警戒感を強めている。ドナルド・トランプ米政権は「航行の自由作戦」を展開し、英海軍も揚陸艦を航行させて圧力をかける。

 こうしたなか、今回の海自の訓練は、九段線の内側、フィリピン西側の公海上で行われたという。

 海自などによると、南シナ海に派遣したのは、海自呉基地(広島県)を母港とする潜水艦「くろしお」。13日までに護衛艦「かが」「いなづま」「すずつき」の計3隻と合流し、護衛艦や艦載ヘリコプターがソナーを使って敵の潜水艦を探索する一方、潜水艦は探知されないように護衛艦への接近を試みる実戦的内容だった。

 「くろしお」は、全長82メートル、幅8・9メートルで乗員約70人の潜水艦(排水量2750トン)。「かが」は、海自最大の護衛艦で、空母化の構想もある「いずも」と同型だ。

「かが」

 これに対し、中国の反応は、従来のような激烈な反発ではない。

 中国外務省の耿爽報道官は17日の記者会見で、「現在、南シナ海の情勢は安定に向かっている。域外の関係国は慎重に行動し、地域の平和と安定を損なわないよう求める」と述べた。

ドナルド・トランプ米大統領は17日(米国時間)、中国からの輸入品に追加関税を課す制裁第3弾を24日に発動すると発表した。中国の“軟化”は、対米貿易戦争での苦境を反映しているのか。このタイミングで日本側が対潜水艦訓練を公表した狙いを、専門家はどうみるか。

 米国事情に精通する拓殖大学海外事情研究所所長の川上高司教授は「訓練の公表が、中国への牽制(けんせい)であることは間違いない。米国の対中関税制裁は強力で、日本は米国と歩調を合わせ、軍事面から後方支援するという意味があるのだろう」と話した。

 これと符合するように、官邸に近い永田町関係者は次のように語った。

 「米中貿易戦争が激化するなか、中国が軍事的緊張状態を演出する懸念がある。今回の公表は、日米による『軍事的緊張を許さない』というメッセージだった可能性が高い。潜水艦『くろしお』は最新鋭潜水艦ではなく発見しやすいが、中国の哨戒能力では把握できなかったのではないか。このため、『われわれは南シナ海でも自由に行動できる』『挑発はダメだ』と伝えるため、異例の公表に踏み切ったとみる。軍事的挑発で懸念されるのは、弾道ミサイルを搭載した中国原潜の太平洋進出だ。米中の軍事的緊張が一気に高まる」

 中国の具体的行動を受けたメッセージとの分析もある。

 防衛関係者は「防衛省の今回の動きは異例だ。表向きのメッセージとは違う可能性が高い」といい、続けた。

 「潜水艦の行動は、各国海軍とも極秘だ。トランプ大統領でも、米原子力潜水艦の動きは知らされない。防衛省がリスクを侵して公表した意図がある。あくまで推測だが、中国が南シナ海で許容できない行動をしたのではないか。中国は現状を少しずつ変更して、軍事的覇権を強める戦術を取っている。自衛隊がそれを察知し、米国と情報共有したうえで、中国側にメッセージを伝えたとみるのが自然だろう。自衛隊の哨戒能力は世界最高だ。日本周辺で各国艦船や潜水艦の動向をリアルタイムで把握している。中国の抑制的な反応を見る限り、メッセージは伝わったのではないか」

【私の論評】日米同盟は北朝鮮問題を解決するつもりのない中国の喉元にあいくちをつきつけた(゚д゚)!

小野寺五典(いつのり)防衛相は18日午前の記者会見で、海上自衛隊の潜水艦「くろしお」が南シナ海で13日に行った訓練について「戦術技量の向上を図るもので、特定の国を念頭に置いたものではない」と述べ、軍事拠点化を進める中国への牽制(けんせい)ではないと強調しました。その上で「南シナ海での潜水艦が参加する訓練は15年以上前から幾度となく行っている。昨年、一昨年にも実施している」と述べました。



秘匿性が高い潜水艦の訓練を公表したことについては「過去も適切に公表している。特に意図があってのことではない」と語りました。

ただし、海自は南シナ海での実任務に就く潜水艦の訓練を公表したのは、今回の事例が初めてだと説明しています。

日本の海自の潜水艦や、米軍の潜水艦が南シナ海で訓練をしたり、哨戒任務にあたっているのは、以前から知られていることで、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【世界ミニナビ】中国ご自慢の空母「遼寧」は日米潜水艦隊がすでに“撃沈”?―【私の論評】中国の全艦艇は既に海上自衛隊により海の藻屑に(゚д゚)!
実戦ではほとんど役立たずといわれる空母「遼寧」
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より一部を引用します。
日本の海上自衛隊と米国海軍の潜水艦艦隊が演習で遼寧を“撃沈”しているようだと明らかにしたのは、米誌「ナショナル・インタレスト」だ。同誌は6月18日(ブログ管理人注:2016年)のウェブサイトで、「撃沈している」との断定的な表現は微妙に避けながらも、日米の潜水艦艦隊は遼寧が出航するたびに追尾し、“撃沈”の演習を繰り返しているとしている。
・・・・・・・・・・・〈中略〉・・・・・・・・・・ 
 ナショナル・インタレストは海軍艦艇の中で最も強力なのは潜水艦戦力で、空母をはじめとする水上艦艇を沈めるのに最も有効な手段だとしている。遼寧についてもその配備先は当初、海南島や台湾やベトナム近くの海軍基地ではないかとの観測もあったが、山東半島の付け根にあり、黄海に面した北海艦隊の根拠地となっている青島に配備された。 
ナショナル・インタレストは、中国が遼寧の母港を青島にした理由として、通常動力型の宋級潜水艦と漢級原子力潜水艦が配備されているためだとしており、宋級潜水艦と漢級原子力潜水艦が日米の潜水艦隊に対抗するうえで有効なためだと分析している。 
ナショナル・インタレストは潜水艦戦力の例として、2006年10月に宋級潜水艦が沖縄近海で米空母キティホークに魚雷攻撃ができる距離まで近づき、浮上したことを紹介。また、2013年に中東のオマーン湾で行われた演習で、米海軍の攻撃型原潜が英海軍の空母イラストリアスに魚雷で攻撃できる距離まで近づいたことを明らかにしている。 
水上艦や潜水艦をはじめとする中国海軍の動向は人工衛星や偵察機によって把握され、艦艇が出港すると、海上自衛隊や米海軍の本格的な監視・追跡が始まる。もちろん、まさにこの時間帯にも中国の軍港の近海や東シナ海や南シナ海から西太平洋に抜ける海峡などのチョークポイントに日米の潜水艦隊は潜んでおり、中国の海軍艦艇をにらんでいる。
ちなみに、チョークポイント(英: choke point)とは、海洋国家の地政学における概念のひとつであり、 シーパワーを制するに当たり、戦略的に重要となる海上水路をいいます。 見方を変えれば、例えば、シーレーン防衛において、重要な航路が集束している部位であったり、あるいはスエズ運河やパナマ運河など、水上の要衝を意味します。

地理的チョークポイント

日米の潜水艦は、隠密裏にこれらのチョークポイントに潜み、協同あるいは単独でも、監視や訓練を以前から実施しているのです。そうして、「遼寧」やその他の艦艇を何度となく、訓練で撃沈しているのです。

日本は第2次世界大戦後に憲法で平和主義を掲げる一方で近代的な軍事力を築き、中国や北朝鮮の行動に対する懸念が高まる近年は、さらなる増強に取り組んでいます。日本はブルネイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、台湾やベトナムとは違い、南シナ海に直接領有権を主張しているわけではないですが、東シナ海では中国と台湾と尖閣諸島の領有権を争っています。

日本は一番の軍事同盟国であるアメリカと共に、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で中国が岩礁の軍事拠点化を進めていることについて、より厳しい姿勢で臨む構えを示しています。アメリカは「航行の自由」を主張して、これまで周辺海域に数多くの巡視船を派遣しているが、中国は同海域での建設作業は「主権国家としての権利」だと主張し反発しています。

海上自衛隊は8月にも南シナ海での訓練を実施しており、これには北朝鮮も反発を表明しました。北朝鮮は南シナ海の領有権争いに関与していないですが、海上自衛隊がアジア太平洋地域で米海軍と合同で訓練を実施したことを、中国と共に強く非難。国営通信社の朝鮮中央通信は「日本は平和を破壊した行為の代償を払うべきだ」と主張しました。

北朝鮮は9月15日にも、政府系メディアを通じて、陸上自衛隊が8月26日に静岡県御殿場近郊で実施した国内最大規模の火力演習を強く非難。政府機関誌の民主朝鮮はこの演習について、日本が「チャンスがあれば他国を侵略・占領できるように軍事力の強化を目指している」ことを裏付ける証拠だと主張しました。

中国と北朝鮮は長年、社会主義的な絆とともに、両国とも第2次世界大戦下で日本と一度も戦ったことがないにもかかわらず、あたかも抗日戦争で日本に勝利したかのような演出をし、日本を悪魔化することによって、国内で統治の正当性を主張しているということでも共通点があります。

北朝鮮は2011年に金正日の死去を受けて息子の金正恩が最高指導者となって以降、それまで後ろ盾となって影響力をふるってきた中国との関係悪化が囁かれてきたものの、金は今年に入って習近平国家主席の元を3回にわたって訪問し、関係の強化をアピールしています。

中国は、金が6月の米朝首脳会談で体制保証と引き換えに約束した非核化の実現を北朝鮮に求めていくという点で、アメリカなどの主要国を支持しているように装っています。しかし、それはみせかけだけに過ぎないということをトランプ大統領は見破ったのです。

昨日のブログにも掲載したように、北朝鮮問題の根本的な解決を急ぐトランプ政権に対し、中国はあくまでもそれが「解決されない」方向へと持っていこうとするので、北朝鮮問題をめぐっての米中連携は最初から成り立たなかったのです。

トランプ政権は、とうとう中国を頼りにしての北朝鮮問題の解決は不可能であるどころか、中国こそが北朝鮮問題解決の邪魔であるとわかったようです。

だからこそ、昨日のブログにも掲載したように、米国は今のタイミングで中国に対して対貿易戦争を仕掛けたのです。無論それだけが目的ではなく、最大の目的は中国が知的財産権をないがしろにすることに対しての制裁です。

そうして、それだけではなく、日米同盟の同盟国日本を通じてこれからも、中国が北朝鮮問題を解決するつもりながなく、北朝鮮の日本に対する内政干渉などを許容するようであれば、南シナ海で何かがおこるかもしれないこと周知させるため、中国の喉元にあいくちを突きつけたのです。これは米国が直接実施すれば、大事になりかねないので、日本を通じて実施したものだと思います。

実際、日米が協力すれば、中国を相手に南シナ海の海上封鎖などすぐにできます。中国は今更ながら、その可能性に気づき、南シナ海を中国の戦略原潜の聖域にするのは不可能であることを悟ったことでしょう。南シナ海の日米の潜水艦隊に対して軍事行動を起こせば、中国艦隊はなすすべもなく、海の藻屑と消えます。

実際、中国がそのような動きを見せれば、米国は何のためらいもなく、場合によっては軍事衝突の危険をおかしてでも、南シナ海を海上封鎖することでしょう。日英はこれに監視などで協力することになるでしょう。

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2016年8月3日水曜日

これぞ海上自衛隊の「秘中の秘」 中国軍が最も忌み嫌う音響測定艦「ひびき」「はりま」の知られざる活動とは―【私の論評】その目的は南シナ海を中国原潜の聖域にさせないこと(゚д゚)!

これぞ海上自衛隊の「秘中の秘」 中国軍が最も忌み嫌う音響測定艦「ひびき」「はりま」の知られざる活動とは

外国潜水艦の音紋を収集する音響測定艦「ひびき」
秘密が多い自衛隊装備の中でも、二重三重のベールに包まれているのが海上自衛隊の音響測定艦「ひびき」と「はりま」だ。同じ呉基地(広島県)を母港とする艦艇の乗組員も「どこで何をやっているのか詳しく分からない」と口をそろえる。

音響測定艦が戦っている“敵”はロシアや中国など外国軍潜水艦の音だ。

潜水艦のスクリュー音はそれぞれに特徴があり、あらかじめその特徴を把握していれば、どこの国のどのような型の潜水艦が航行しているのかを特定する決め手となる。警察官が犯人を追い詰めるため指紋を重視しているのと同じように、自衛隊は各国潜水艦の「音紋」をデータベース化している。

音響測定艦はこの音紋を収集している。空から潜水艦の動きを監視する哨戒機や、海中に潜む潜水艦が相手方潜水艦のスクリュー音を探知し、集積されたデータをもとに船の身元を特定する。

自衛隊が平成3年と4年に「ひびき」と「はりま」を相次いで就役させた背景には、冷戦時代末期にソ連が技術開発を進め、潜水艦が発する音が静かになったことがある。潜水艦の最大の強みは、敵に気づかれず攻撃を加える能力。ソ連潜水艦の位置を正確に把握することが、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)などの無力化につながる。

音響測定艦「はりま」
 潜水艦を発見・追尾する対潜水艦戦を得意とする海自にとって、音響測定艦は不可欠な存在となっている。その音響測定艦の能力を知られることは将来の対潜戦を不利にしかねないため、海自内でも秘中の秘となっているのだ。

乗員約40人の「ひびき」は全長67メートル、幅29・9メートル。艦尾から水中に投入する曳航(えいこう)式ソナー・SURTASSで広範囲に耳を澄ませ、海自艦が集めた音紋データは米軍と共有しているとみられる。2隻の船をつないだような船体は「双胴型」と呼ばれ、自衛隊艦船としては初めて採用された。この船体により、嵐の中でも安定的に航行できる。

音響測定艦は冷戦終結後もロシア潜水艦の音紋を集め続けているほか、潜水艦能力の増強を続ける中国も主なターゲットとなった。25年5月に沖縄県久米島周辺の接続海域で中国の元級潜水艦などが航行した際は、米海軍の音響測定艦インペッカブルとともに「ひびき」も投入した。これに対し、中国側は日米の動きを妨害するため水上艦を展開し、音響測定艦を追尾したとされる。

米海軍の音響測定艦インペッカブル
 21年3月には中国・海南島南方沖で航行していたインペッカブルが中国のトロール漁船5隻に包囲された。同年5月にも音響測定艦ビクトリアスが黄海の公海上で中国漁船から航路妨害を受けた。

有事の際、西太平洋における米軍の行動の自由を奪うことを目標とした中国の「接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略」の中で、潜水艦は中核的な役割を果たす。それだけに、中国にとって日米の音響測定艦の存在は天敵ともいえる。

【私の論評】その目的は南シナ海を中国原潜の聖域にさせないこと(゚д゚)!

まずは、音響測定艦に関して、さらに説明を加えることとします。

音響測定艦(おんきょうそくていかん)は、現代の軍艦の一種。音響測定艦は、海上自衛隊の呼称であり、アメリカ海軍では海洋監視艦(Ocean Surveillance Ship)と呼びます。武装はほとんど施されていませんが、長大な曳航聴音アレイシステムを搭載し、それによる潜水艦の探知を目的とします。聴音システムは探索曳航アレイシステム・SURTASS(Survellance Towed Array Sonar System,サータス)とも呼ばれます。 探知距離は、旧式原子力潜水艦で約100km程度と言われています。

冷戦期において、西側各国におけるソ連海軍の潜水艦の脅威は切実なものであした。潜水艦探知のために、海洋の各所にSOSUSシステムと呼ばれる固定聴音システムを整備したのでしたが、SOSUSが整備できない地区向けや機動的な潜水艦の探知のために特に聴音システムに優れた艦を整備することが検討されました。

このために開発されたのが、音響測定艦です。艦体は小型・低速ではあるのですが、静粛性に優れ、艦尾には曳航アレイを海中に投入するための設備を持ちます。静粛性と安定性を求めたために、アメリカ海軍のビクトリアス級音響測定艦やインペカブル級音響測定艦、海上自衛隊のひびき型音響測定艦は双胴のSWATH船型となっています。

中国の音響測定艦「北調991」
最初の音響測定艦はアメリカ海軍のストルワート級音響測定艦であり、1984年に就役しています。SURTASSは展張時、搭載艦の運動に制限を与えてしまうため、より簡易化したTACTASS(タックタス:戦術用タス)が巡洋艦、駆逐艦(海上自衛隊の護衛艦に相当)に装備されています。

10kt(ノット)以下で運用できるものの、艦に運動制限を加え、探知についても概略探知方位と虚像が同時に探知され、さらに艦首尾方向は不感域になるなど、用兵者には倦厭される探知ソースではあります。しかし1CZ(Convergence Zone、収束帯)域、2CZ域での探知能力は、外洋においては評価されるべきものでしょう。

最新型のアメリカ駆逐艦アーレイバーク級ではTACTASSが搭載されておらず、沿岸侵攻を第一目標とするアメリカ海軍の思想が現されています。なお潜水艦に搭載されているTACTASSはSTASS(サブマリンタス)と呼ばれますが、性能的にはTACTASSと同様です。STASSの特徴は、STASSを展張した際、聴音捜索と同時に、潜水艦が自身の放射雑音レベルの測定に用いる点にあります。

SURTASSはパッシブを基本とした曳航聴音アレイシステムであり、約2kmのワイヤーによって長さ数百mのハイドロフォンシステムを曳航するというものです。1990年代以降は、潜水艦の静粛化にともない、一部の艦にはハイドロフォンとは別に曳航式の低周波高出力アクティブソナー(Low Frequency Active, LFA)を装備している艦も出てきています。

また、海上自衛隊では東芝機械ココム違反事件によりクローズアップされた、ソビエト連邦海軍の原子力潜水艦の静粛性向上対策として、アメリカの技術指導の下、ひびき型音響測定艦2隻を建造しました。これにより、平時からソ連潜水艦の音響データ収集の向上を図るものでした。ただし、後に東芝機械のココム違反は、事件とソ連原潜の静粛性にまったく因果関係がないことが明らかとなっています。

音響測定艦は、パッシブソナーによる潜水艦の音紋採集が任務ですが、1990年代以降、アメリカ海軍に所属する音響測定艦が低周波高出力アクティブソナーを稼動させるたびにクジラやイルカが大量に座礁するという事件が多発しており、環境保護団体による非難が出ていました。これは、アクティブソナーの大音響が海棲哺乳類の感覚に打撃を与えているためだといわれています。そのために、アメリカ海軍においては、低周波高出力アクティブソナーの使用海域を制限しています。

また、冷戦終了後、潜水艦の脅威が減少したためにアメリカ海軍では音響測定艦の一部を別任務に転用しています。これはSURTASSシステムを降ろし、対空レーダーを増備、麻薬密輸組織の監視に使用するものです。主にカリブ海からメキシコ湾岸にかけて展開しています。また、民間人が乗り込むようになり、地球環境の観測にも使用され、地殻変動により発生する極低周波の観測など地学研究の機材としても利用されています。

さて、2012年辺りから、米軍の音響測定艦が日本の港に寄港している姿が、よく見られるようになりました。

米軍音響測定艦3隻が並んだ米海軍佐世保基地の立神岸壁(手前から
インペッカブル、エイブル、エフェクティブ)(2012年11月30日撮影)
沖縄のホワイトビーチに、2隻の音響測定艦が並んだ(2010年9月2日)
米軍が新鋭艦としてしは6隻程度しか保有していない音響測定艦を、佐世保に3隻同時寄港、あるいはホワイトビーチに2隻同時寄港させているということからは、米軍の意図が透けて見えてきます。

佐世保やホワイトビーチでは、乗員の休息と補給を行っていると見られています。つまり、佐世保や沖縄に近い海域において、これらの艦艇が重点的なパトロールを行っているということです。

北朝鮮の潜水艦は、質も量も非常に乏しいため、これら音響観測艦の目標は、中国の潜水艦であると言えると思います。

つまり、米海軍は、世界各国の潜水艦の動静に払う関心の半分以上を、対中国に向けているということです。

しかも、この潜水艦に対する対中シフトは、近年になって急激に強化されたものです。
定着した音響測定艦と測量艦」(リムピース12年1月26日)

以下に少し古い資料を掲載します。

特殊艦艇の佐世保への寄港状況 同記事より転載
少し字が潰れてしまっていますが、紺色の線は音響測定艦、ピンクは測量艦、緑は弾道ミサイル駆逐艦です。
佐世保への音響測定艦の寄港回数・停泊日数  同記事より転載

海底地形等、地誌データと呼べる資料は、以前から継続して調査がされている反面、潜水艦の動静を探る音響測定艦は、2009年あたりから急激に日本近海で活動していることが分かります。

これらリムピースの記事は、米海軍の中国潜水艦に対する脅威認識と衝突の可能性に関する認識が、ここ数年で急激に高まっていることを示す明確なデータです。

そうして、米軍のこのような動きに呼応して、日本の音響測定艦も日々、中国の潜水艦の動向を探っているに違いありません。

なぜ、そのようなことをするかといえば、やはり以前このブログでも掲載したように、南シナ海を中国の戦略型原潜の聖域にしたくないからです。

中国による、南シナ海の戦略型原潜の聖域化については以前にもこのブログで掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国の膨張路線は止まらないが国際社会から強い逆風 南シナ海のハーグ裁定―【私の論評】通常戦力で勝ち目のない中国は、南シナ海に戦術核を配備する(゚д゚)!
中国によるスプラトリー諸島にあるファイアリー・
クロス礁の完成した飛行場(昨年9月20日撮影)

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中国の南シナ海の環礁を埋め立て、軍事基地化する目的は、結局のところ、南シナ海の深い海に、中国のSLBM(潜水艦発射型弾道弾)を配備した戦略型原潜を他国に知られることなく、潜ませることにあります。

ここから、西太平洋に抜けると、さらにアメリカ本土に近くなり、アメリカ全土が中国のSLBMの射程距離内に収まります。

潜水艦で深いところに潜行すれば、他国に悟られることなく、核による先制攻撃や、報復攻撃をすることができます。これを戦略原潜の聖域化と呼びます。

米国にとっての本当の脅威は中国による南シナ海の支配そのものではなく、南シナ海の聖域化なのです。

これに対する対抗措置が、米軍による、音響測定戦による中国戦略原潜の探査なのです。日本にとっても聖域化は脅威であり、これに対する対抗措置として、日本も音響探査戦を運用し、中国の原潜の動向を探っているのです。

目に見える、中国による南シナ海の埋め立てや、米軍による南シナ海への艦艇覇権は、氷山の一角にすぎません。本当の中国の狙いは、南シナ海の聖域化であり、米国や日本の狙いはその阻止です。

中国の潜水艦は、工作技術が日本よりはるかに劣っているので、通常型であろうが、原潜であろうが、まるでドラム缶をドンドン叩きながら、水中を進んでいるようなものです。ですから、日米ともに、中国の潜水艦の動向は、かなり詳しく把握しているものと思われます。日米は、役割分担をして共同して中国の原潜の動向の詳細を把握していることでしょう。おそらく、中国の原潜の行動は丸裸にされているものと推測します。

中国の原潜が不穏な動きをすれば、それはすぐに発見されて、米軍はすぐに対抗措置をとるでしょう。それとは対照的に、日本の特に「そうりゅう型」潜水艦は、かなり音が小さいため、中国の音響測定艦ではなかなか発見できないといのが実情です。これには、中国海軍はなす術が無いです。実戦となれば、海の藻屑と消えるのみです。

日米の協力によって、中国による南シナ海の聖域化は是が非でもやめさせなければなりません。そのための、対抗措置が日米による音響測定艦による探査なのです。

多くの人は、日米が中国の南シナ海での埋め立ての暴挙を許してしまったことを非難するかもしれません。しかし、日米は今でも中国の真の意図を挫いていましす。これからも、挫き続けることでしょう。

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2016年2月19日金曜日

【緊迫・南シナ海】米中、軍事衝突秒読み 米空母が東アジアで2隻展開も―【私の論評】南シナ海の武力衝突の趨勢は米潜水艦により決まり、中国軍はなすすべがない(゚д゚)!


米海軍のCVN-73ジョージ・ワシントンとCVN-74ジョン・C・ステニス空母戦闘群
中国が、南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島に地対空ミサイルを配備したことを受け、東アジアで緊張が高まっている。日米両政府は17日、相次いで懸念を表明した。今後、東南アジア諸国連合(ASEAN)と連携して、中国の軍事的覇権を阻止する構えだ。こうしたなか、米軍が東アジアで、空母2隻を常時展開する可能性が出てきた。(夕刊フジ)

中谷元(げん)防衛相「現状変更を試みる動きは看過できない」

ハリス米太平洋軍司令官「中国の習近平国家主席が約束を守れないことの証左だ」

中谷、ハリス両氏は17日、防衛省で会談し、中国によるミサイル配備を批判した。習氏は昨年9月の訪米時、「南シナ海を軍事拠点にする意図はない」と発言したが、真っ赤なウソだったことが明らかになった。

昨年11月24日、米ハワイのキャンプ・スミスで、ハリス米太平洋軍司令官(左)と会談する中谷防衛相
 米FOXニュースは16日、中国軍がパラセル諸島にあるウッディー(同・永興)島に今月、地対空ミサイル8基を配備したと報じた。米国防当局者と台湾の国防部(国防省に相当)も17日、配備を確認した。

米政府筋は射程125マイル(約201キロメートル)の移動式防空ミサイル「紅旗(HQ)9」としている。部隊の規模は、2個大隊という。

中国軍がパラセル諸島にあるウッディー(同・永興)島に配備した「紅旗(HQ)9」
 ケリー米国務長官は17日、「深刻な懸念」を表明し、「(中国側と)今後数日間で非常に真剣な協議をする」と語った。軍事拠点化の中止を直接要求する方針だ。

ケリー米国務長官
 これに対し、中国国防省は「西沙諸島は中国固有の領土であり、中国は防衛施設を建設する正当で合法的な権利がある」と反論しており、中国がミサイル撤去に応じる可能性は低い。

オバマ米大統領の残り任期が1年を切ったことで、中国は「米国は大胆な軍事作戦を展開できない」と足元を見ているのか。これを放置すれば、中国が南シナ海だけでなく、東シナ海や西太平洋でも軍事的覇権を握り、「航海の自由」を守ってきた米軍が自由に行動できなくなる恐れもある。

危機的現状を受けて、米海軍関係者の間では、世界最強の米空母機動部隊を常時2つ、東アジアで展開させることを議論しているという。

国際政治学者の藤井厳喜氏は「遅きに失した感はあるが、もう1部隊を東アジアに展開させるのは当然の動きだ。オバマ大統領が『米国は世界の警察官ではない』と宣言してから、中国は増長している。日本も、米国やフィリピン、ベトナムと協力して、南シナ海などで共同哨戒活動を行うべきだ」と語っている。

【私の論評】軍事衝突の趨勢は米潜水艦群により決まり、中国軍はなすすべがない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にある米軍の動きに呼応し、自衛隊もすでに行動を起こしています。

海上自衛隊はP3C哨戒機2機を今月18日までの3日間、ベトナム中部ダナンに派遣し、ベトナム海軍と合同で図上の洋上捜索訓練などを実施しました。日本とベトナムの防衛協力をアピールし、南シナ海における中国の実効支配強化をけん制するとともに、自衛隊の存在感を高める狙いがあります。

 海上自衛隊のP3C哨戒機
ベトナムは南シナ海のパラセル(中国名・西沙)、スプラトリー(同・南沙)両諸島の領有権を中国と争っています。

日越両国は昨年11月の中谷元(げん)防衛相のベトナム訪問の際、南シナ海情勢をにらんだ防衛協力強化に向け、人道支援、災害救援目的の共同訓練の実施や、海自艦船のベトナム・カムラン湾への寄港で合意しました。海自P3Cのベトナム訪問は昨年5月以来です。

このブログで何度か掲載したことがありますが、日本の海上自衛隊の対潜哨戒能力は実質的に世界のトップです。そうして、海上自衛隊の対潜哨戒機を南シナ海に派遣する用意はすでにできています。これについては、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。

海自哨戒機、南シナ海飛行拡大へ…中国をけん制―【私の論評】これは中国にとってはかなりの脅威、南シナ海の中国の艦船と潜水艦の動きが丸裸に(゚д゚)!

 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、世界一の対潜哨戒能力を持つ日本の海上自衛隊には米国もかなり期待しています。

この海上自衛隊の対潜哨戒機を南シナ海に派遣することの意義などを以下に述べます。

その最大の意義は、中国の潜水艦を完璧に無力化することにあります。日本の海上自衛隊の対潜哨戒能力を南シナ海で発揮すれば、日本の自衛隊は中国の艦船のすべての動きはもとより、中国の潜水艦の動きも完璧に把握することができます。

そうして、その情報は当然のことながら、米軍にも連絡がいきます。一方、中国の対潜哨戒能力はかなり劣るため、中国の潜水艦に比較すれば、はるかにステルス性の高い米国の潜水艦は、中国側から察知することはできず、この海域を自由に航行できます。

そうなると、何がおこるかといえば、中国がいかにこの地域を軍事拠点化しようとも、米国はほとんど犠牲をともなくことなく、それらをことごく潜水艦により破壊することができます。

中国側からすると、どこに潜んでいるか全く察知できない米国の潜水艦から、いつ攻撃を受けるか事前に全く察知できないわけです。

空母2隻の戦闘群が、表の顔とすれば、潜水艦は裏の顔です。空母は航行すればその姿ははっきりと中国側に捉えられ、空母群が最初に攻撃を加えるということになれば、中国側もそれをすぐに察知して、それに「紅旗(HQ)9」を用いて反撃を加えることができます。さらに、航空機を用いて、反撃することもできるでしょう。

しかし、潜水艦にはそのような対処は一切できません。突如とて米潜水艦からミサイルが発射され、それを防ぐ手立てはありません。また、米潜水艦は、当然のことながら、南シナ海の中国の軍事基地に対する弾薬、燃料、水、食料などの補給を絶つこともできます。

そのような米軍の攻撃に対して、中国側は全く打つ手がなく、大パニックに陥ることでしょう。

USSバージニアの魚雷発射管室内の制御装置
実際に武力衝突が始まるとすれば、米国側は最初は潜水艦による攻撃で口火を切るでしょぅ。先ほども述べたように、米側は、中国の艦船、潜水艦の動向をすべてつかむことができますから、まずは潜水艦によって、これらを無力化できます。これらは、初戦ですべて海の藻屑と消えます。

その後に、米潜水艦は、中国のミサイルや、その他の軍事的脅威を標的に攻撃をしかけ、これらも無力化することでしょぅ。

その後に、空母戦闘群が攻撃を加え、中国の軍事基地を無力化し、その後で海兵隊が上陸し、島嶼の基地を破壊し、戦闘員を殺害するか、捕獲して、比較的短時間に米軍の勝利に終わります。

米軍バージニア級原子力潜水艦
万に一つも、中国側に勝つ見込みはありません。中国軍は、最初から最後まで、苦しい戦いを余儀なくされるでしょう。

このように、南シナ海では日本の海上自衛隊の対潜哨戒に中国軍の監視と、米側の潜水艦による戦いにより、またたくまに趨勢が決まり中国側は、なすすべがなくなることでしょう。

そうして、当然のことながら、すでに米国の潜水艦は、南シナ海に派遣されており、いつでも攻撃ができる体制を整えていることでしょう。空母やイージス艦などは、これらを米国が南シナ海に派遣すれば、それは中国側にも、南シナ海の近隣諸国にもすぐに知られてしまうので、米側もこの海域に派遣することなどすぐに発表します。

しかし、潜水艦は違います。潜水艦はあくまで隠密行動で、米側も何も発表しません。しかし、まず間違いなく、派遣していることでしょう。

もしかすると、米原潜は、中国の潜水艦に突如として、ソナーを照射して、中国の乗組員らを震撼させているかもしれません。

そうして、上記で述べたようなことは、習近平をはじめとする中国の要人たちが、もっとも良く理解していると思います。にもかかわらず、綱渡りをしなければならない、中国の厳しい現実があります。

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2012年4月21日土曜日

北朝鮮、核実験準備完了 韓国紙報道「2週間内に実施可能」―【私の論評】いくらGoogle EarthとMapなどで、誰にでも情報が入手しやすくなっても、過去のケーススタディーなどの歴史的事実はないがしろにはできない!!

北朝鮮、核実験準備完了 韓国紙報道「2週間内に実施可能」


北朝鮮の核実験施設

 【ソウル=辻渕智之】韓国紙・朝鮮日報は二十一日、韓国政府筋の話として、北朝鮮が北東部の咸鏡北道豊渓里(ハムギョンプクトプンゲリ)で進める三度目の核実験の準備を事実上完了したと報じた。実験直前に坑道を埋め立てるための土砂が坑道の入り口付近から消えたのが衛星写真で確認されたという。

続きは、こちらから。(東京新聞)


【私の論評】いくらGoogle EarthとMapなどで、誰にでも情報が入手しやすくなっても、過去のケーススタディーなどの歴史的事実はないがしろにはできない!!


北朝鮮自民解放軍女性兵士による剣舞、スタイルも抜群の選りすぐりを採用している


さて上の記事に掲載されている、核実験場をはじめ、最近ミサイルが打ち上げられたのとは別のミサイル発射基地など以下に掲載したので、是非ご覧になってください。北朝鮮の施設など、秘密のベールに隠されているのですが、今では、Google MapやEarthで丸見えです。何か新しい発見があるかもしれません。



北東アジア注意エリアと参考データ(座標ファイル)Google EarthGoogle Map
ムスダンリ北朝鮮弾道ミサイル発射基地kmlファイルURL
咸鏡北道吉州郡豊渓里北朝鮮核実験場最寄り駅kmlファイルURL
豊渓里核関連施設北朝鮮核実験関連施設kmlファイルURL
北朝鮮核実験場トンネル入口ISIS Imagery BriefkmlファイルURL
北朝鮮核実験場支援施設ISIS Imagery BriefkmlファイルURL
核実験VIP宿舎とヘリポートISIS Imagery BriefkmlファイルURL
核実験場韓国政府発表kmlファイルURL
寧辺(ヨンビョン)核施設実験用原子炉5,000kWekmlファイルURL
板門店南北連絡事務所kmlファイルURL
青瓦台韓国首相官邸kmlファイルURL
平壌/メーデースタジアムアリラン祭開催場所kmlファイルURL
Google Earthへ直接放り込みたいときは、URLを変換すればOK。ここで


Google Earthは、飛んで行きたい場所の kmlファイルをダウンロードし、クリックすれば Google Earthが起動して※2 自動的にその場所に連れて行ってくれます。

開いているウィンドウにファイルを Drug & Dropしても良いです。

「URL」をクリックすると、Google Mapが場所を表示します。

※1 kmlファイルのダウンロードは、[フォーカスを当てる] -> [右クリック] -> [対象をファイルに保存]で行う。

※2 もちろん Google Earthがインストールされていないと何も起きない。そんなときには、ここから無料版をダウンロードする。

【付帯情報】豊渓里核関連施設(豊渓里:プンゲヨク、プンゲリ)

北朝鮮が核実験を行った坑道の入り口は北朝鮮北東部の咸鏡北道吉州郡「豊渓里核関連施設」の北北西にあり、坑道を掘るために排出された土砂が同施設の北に大量に捨てられたとのこと。いずれ衛星写真が更新されれば見ることができるだろう。

2007年8月18日(以降、年度はすべて同じ)には米ABCテレビが、匿名の米国務省・国防省関係者らの話として、「北朝鮮が咸鏡北道吉州郡豊渓里で核実験準備をしている可能性がある」と報じた。豊渓里で不審なトラックの移動と地下核実験場と観測装備をつなぐのに使えるケーブルが巻かれた大型ケーブルリールがトラックから降ろされたことが目撃されたという報道で、リークによる北朝鮮への牽制と見られたが効果はなかったようである。

【付帯情報】北朝鮮核実験場トンネル入り口

米科学国際安保研究所(ISIS)が10月10日に発表した「北朝鮮核実験疑惑」のレポートをもとに座標を確定。右にトンネルを掘ったとき出した土砂を捨てた跡が見える。

【付帯情報】北朝鮮核実験場支援施設

米科学国際安保研究所(ISIS)が10月10日に発表した「北朝鮮核実験疑惑」のレポートをもとに座標を確定。

【付帯情報】核実験VIP宿舎とヘリポート

米科学国際安保研究所(ISIS)が10月10日に発表した「北朝鮮核実験疑惑」のレポートをもとに座標を確定。右に見えるのがヘリポート。

【付帯情報】核実験場(韓国政府発表)

10月15日に韓国地質資源研究院の地震研究センターが発表し直した核実験の震源地。咸鏡北道吉州郡万塔山のあたり。13日に最初の発表を修正した震源地、北緯41.267度、東経129.179度から約7キロ西にずらした。地震研究センターの最初の発表は北緯40.81度、東経129.10度の咸鏡北道金策市。

【付帯情報】青瓦台

「青瓦台」とその周辺は一般の地図で明らかにすることが禁じられ写真撮影も制限されているが、Google Earth、Google Mapでは一目瞭然で、長年の韓国政府の努力はいまや水泡に帰している。

【付帯情報】板門店

「板門店」の西南西に160m高の国旗掲揚塔(の影)が見える。また軍事境界線をまたぐ北と南の状況が興味深い。

【付帯情報】平壌

衛星画像はあるのだが、市内についての情報は入手が難しい。大きくてわかりやすいのがアリラン祭を行うメーデースタジアムである。

さて、先日ミサイル発射の記事に関して、その後わかった事実もあるので、続報を掲載します。特に下の動画は、もとイージス艦にも登場されていた方の解説なので理解しやすいです。





さて、上の動画では、航海長として乗艦なさっていたイージス艦「みょうこう」で、平成10年8月のテポドン発射をレーダー上で見届けられ、そして半年後の平成11年3月には能登沖で北朝鮮工作母船を追跡、海上自衛隊初の実戦に臨まれた伊藤祐靖氏をお迎えし、この度の弾道ミサイル発射への対処において政府が批判を浴びている「ダブルチェック」をめぐり、そもそもの認識や判断の鉄則が通じていない現状について御指摘いただきます。 また、能登沖不審船事案についての手記(『正論』4月号・5月号掲載)より、工作母船乗員に対してはからずも覚えてしまった「怒り」とは別の感慨や、海上警備行動発令による警告射撃に臨む艦橋で実感され、その後、創設に携わられた特別警備隊においても必須 且つ当然であった相互理解の前提となるものについても、お話を伺っています。




詳細は、上の動画を御覧いただくものとして、要するに、レーダーはもともと、人間の視覚と同じ理屈で、直線的であり、球形である地球の水平線のかなたまでは、認知できず、当然、ミサイルがかなり高く上がった時点でなければ、もともと、日本のイージス艦は、ミサイルを補足できないことは、最初からわかっていたということです。私もこの事実については、知ってはいたのですが、この動画ほど、日本政府のダブルチェックに関してのあわてぶりが、そもそもおかしいことをわかりやすく説明しているもはないと思います。それから、この伊藤氏はこの動画では、日本のイージス艦今回のミサイル、もしものことがあれば、かなり高い確率(ほとんど百発百中で)打ち落とせたことまでは、説明していませんでしたが、これも事実です。無論、伊藤氏もこれを承知しているとは思うのですが、この動画の趣旨からは外れるので、敢えて説明しなかったのだと思います。これに関しては、このブログでも掲載してあります。

これに関しては、以下にその核心部分のみ下に掲載しておきます。
2010年10月26日のことです。全世界を震撼させる、ある事件が起こりました。日本の海上自衛隊の護衛艦「きりしま」(写真下)が、ハワイ沖で大陸間弾道弾の迎撃試験を見事成功させたのです。
「きりしま」の放った迎撃ミサイルは、6発の大陸間弾道弾にすべて命中。弾道弾を、宇宙空間で迎撃してしまったのです。これは世界初の快挙です。世界で二番目に大陸間弾道弾がミサイルで撃墜させられたのです。しかも、この時は、軍事上の機密ということで、あまり詳しくは発表されてはいませんが、北朝鮮ミサイルも迎撃できることを十分証明することができたようです。
北朝鮮などの核弾頭は、一基しか搭載していませんが(技術水準からの推定)、アメリカ、ロシアなどの各先進国の核弾頭は、複数搭載しています。なぜこのようなことをするかといえば、一基であれば、途中で撃墜される率がかなり高いですが、複数であれば、その複数の弾頭が、複数方向に向かって落ちるわけで、ほとんど防ぐことは、不可能とされていたのを、日本の自衛隊のイージス艦が全部撃墜してしまったということです。であれば、一基しか積んでいない北朝鮮のミサイルはほとんど確実に打ち落とすことができたということです。核弾頭は、なるべく少ないエネルギーで、遠くに飛ばすためや、このように複数にするためにも核開発では小型化を目指しているものです。


核弾頭、三基の核が搭載された例

これが、なぜすごいかといえば、今までは、核攻撃は防御がまったく不可能といわれていたものが、日本の自衛隊が、可能であることを実証して見せたということです。これで、核に対する考えが変わったということです。防御できるということを日本の自衛隊が、世界に向かって示したということです。

それにしても、今回のイージス艦の配置により、日本は、打ち上げ直後にはもともと、それを確認できなかったこと。それは、もともと、沖縄周辺で有事のときにミサイルを確実に迎え撃つためにそのような配置をしたこと、さらには、かなり高い確率でそれを迎撃できた可能性など、これは、政府が悪いのか、マスコミが故意に発表しないのか、それとも、軍事機密なのかわかりませんが、少なくとも、国の安全保障を考える人たちは、正しい情報にもとづき判断していただきたいものです。

それに、今回のミサイル発射に関する政府の対応のお粗末さですが、私は表面的なことだけではなく、もっと深い背景があると思います。それは、歴史を学ぶという謙虚な姿勢に欠けているということです。これに似たようなことは昔もありました。日露戦争のときの、日本海海戦の前に、ロシア艦隊がウラジオストック港を目指してロシア黒海から出港ときに、太平洋側から入って、北海道と青森の間の津軽海峡をわたるか、それとも、対馬沖から入って、日本海を通り旅順港を目指すかの二通りが想定できました。

当時日本海軍としては、ロシアのバルチック艦隊を迎え撃つつもりでしたから、この二とおりのうち、いずれになるということは、かなり重要なことでした。そうして、海軍が出した結論は、もっとも可能性の高い対馬沖を通るであろうことを想定して、日本艦隊を配備するということでした。要するに、太平洋側は捨てるというものでした。当時の日本の海軍としては、対馬沖と、太平洋側の両方に艦隊を分散して、配置することは、兵力、艦艇数からして、不可能でした。もし、そのようなことをすれば、軍事力の点からいって、ロシア艦隊に大打撃を与えることは困難でした。(下の絵画は、日本海海戦における、旗艦三笠における、東郷平八郎とその幕僚たちの図)


だから、太平洋側は捨てたのです。これは、正しい判断でした。どちらにころんだとしても、良い判断です。対馬沖であれば、大打撃を与えられる、太平洋沖であれば、日本艦隊は無傷で、かなりやっかいなことになるのですが、次のチャンスを狙えるということです。しかし、兵力を二つにわけて、対抗すれば、半分の艦艇、兵力を失うことになるかもしれません。そうして、結果といえば、皆さんご存知のように、日本海海戦は、日本の一方的な大勝利に終わりました。軍事ではこのようなことは、いくらでもあります。

ちなみに、下の図は、当時想定された、ロシアバルチック艦隊がウラジオストックを目指す航路です。当時でも、宗谷海峡はほとんどあり得ないと考えられていました。しかし、津軽海峡を通ること十分あり得ることと認識されていました。




今回のミサイル発射での日本の対応も、沖縄付近で迎え撃つということで、ミサイル発射直後の対応は捨てているということです。であれば、政府としては、何もうろたえることはなく、当方としては、ミサイルの飛跡を確認できず、したがって、日本には、影響なしと、発表すれば良かっただけです。それに、プラスして、アメリカの情報では、発射は確認されたが、飛跡が見当たらないため、打ち上げに失敗したようであると公表すれば、それで良かったことです。




軍事的には、日本海海戦のように、何かを決断すれば、何かを捨てることにもなるということを学んでいれば、さほどあわてることもなかったと思います。しかし、歴史に学ぶという姿勢欠いているため、あのようなお粗末な対応になったものと思います。(上は、韓国の女優ハン・イェスル、中国のあるメディアは、これを美しい北朝鮮の陸軍中尉と紹介し、韓国のネットユーザーらを失笑させた。報道は、正しい情報にもとづいて行いたいものです)

さて、そろそろ、結論を掲載させていただきます。いくらGoogle Earthや、Mapなどで、誰もが情報を比較的簡単に入手しやすい時代になったとしても、判断ということになれば、人間が情報をもとに行うものであり、昔も今もあまり変わりはないということです。いくら情報が山ほどあって、最新であったとして正しい判断ができるとは限りません。ですから、歴史的事実などのケーススタディーもないがしろにできないということです。






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