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2019年4月4日木曜日

北朝鮮『4・15ミサイル発射』に現実味!? 「絶対に許さない」米は警告も…強行なら“戦争”リスク―【私の論評】北がミサイル発射実験を開始すれば、米・中・露に圧力をかけられ制裁がますます厳しくなるだけ(゚д゚)!


金正恩氏は東倉里から“人工衛星”を発射するのか

 北朝鮮が「人工衛星」と称して弾道ミサイルを発射する可能性が現実味を増してきた。北西部・東倉里(トンチャンリ)のミサイル発射場の準備が完了したとの分析があるのだ。「Xデー」として、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の祖父、金日成(キム・イルソン)主席の誕生日(15日)などが予想されている。米朝首脳会談の決裂を受け、北朝鮮は再び「瀬戸際外交」に戻るのか。朝鮮半島の緊張が高まっている。

 「北朝鮮が東倉里長距離ミサイル発射場の整備を事実上終えた」「最高指導部が決心すればいつでも発射できる状態を維持中」

 韓国紙、中央日報(日本語版)は2日、韓国政府当局者がこう伝えたと報じた。

 記事では、北朝鮮が3月27日にドイツ、同29日にフィンランドで予定されていた会議への出席を、ドタキャンしてきたことも伝えた。こうした状況から、国会に当たる最高人民会議が開かれる今月11日や、日成氏の誕生日などに、「人工衛星打ち上げ」を強行する可能性もあると指摘した。

 北朝鮮は2017年11月29日を最後に、弾道ミサイルを発射していない。だが、2月末にベトナムの首都ハノイで行われたドナルド・トランプ米大統領と正恩氏による首脳会談が決裂してからは、ミサイル発射施設を整備する動きが、たびたび確認されている。

米政策研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)と、北朝鮮分析サイト「38ノース」は3月7日、衛星画像に基づき、東倉里にあるミサイル発射場の構造物の再建が完了し、稼働状態に戻ったとの分析を発表した。

 北朝鮮は緊張を高めることによって、交渉相手に譲歩を迫る「瀬戸際外交」を得意としてきた。ただ、この手法が、トランプ氏や、北朝鮮が「死神」と恐れるジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に通用するかは不明だ。

 評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「北朝鮮が弾道ミサイル発射や、ロケットエンジンの燃焼実験をする可能性は十分ある。発射までの経緯や打つ方向によって、その後の展開は変わってくるだろう。例えば、北朝鮮が『人工衛星』として発射予告をした時点で、米国が『絶対に許さない』と警告したにもかかわらず強行すれば、『戦争のリスク』を孕むことになる」と語った。

【私の論評】北がミサイル発射実験を開始すれば、米・中・露に圧力をかけられ制裁がますます厳しくなるだけ(゚д゚)!

さる2月27、28日に行われた2回目の米朝首脳会談ですが、ドナルド・トランプアメリカ大統領と金正恩北朝鮮労働党委員長の会談は、事実上の物別れに終わり、共同声明すら出されませんでした。

なぜこのようになったかといえば、そのキーワードは、Status quo(ステイタス・クォー)です。この一言さえ意味が分かっていれば、今回の会談を読み解くなど、たやすいです。さらに、北朝鮮がミサイルの発射実験を開始したり、それら継続することになれば、どうなるかを予測するのもたやすいです。ラテン語の原語の意味では「現状」ですが、現代では「現状維持」とも訳されます。


米朝首脳会談に関係するアクターの中で、Status quoを望まない国はどこだったのでしょうか。そもそも誰がアクターなのかを理解していれば、愚かな報道には惑わされることはありません。

「朝鮮戦争が終結する」「日本人拉致被害者が帰ってくるかもしれない」「朝鮮半島の新時代に向けて、日本は巨額の資金供出をしなければならないのか」などなど。はっきり言いいますが、この状況で北朝鮮が日本人拉致被害者を一人でも帰してくるならば、何かの嫌がらせ以外にあり得ないです。

現代の情勢を分析する前に、Status quoを望まない国、すなわち現状打破勢力の歴史を知っているほうが、急がば回れで米朝会談の真相が見えてきます。

第二次世界大戦直前。1939年の時点で、現状維持勢力の代表はイギリスでした。しかし、大英帝国は既に絶頂期の勢力を失い、新興大国の米国が覇権を奪う勢いでした。英米の関係では、イギリスが現状維持国で、米国が現状打破国でした。

だが、両国には共通の敵のソ連がいました。ソ連は共産主義を掲げる、現状打破を公言する国でした。共産主義とは「世界中の国を暴力で転覆し、世界中の金持ちを皆殺しにすれば、全人類は幸せになれる」という危険極まりない思想です。

ソ連に対して、英米は共通の警戒心を抱く現状維持国でした。ここに、ナチスドイツが現れまし。アドルフ・ヒトラー率いるナチスは、第一次大戦の敗戦国としてのドイツの地位に甘んじないと公言する現状打破国でした。

英独ソの3国は主に東欧での勢力圏をめぐり抗争しました。現状維持を望む英国に対し、ドイツが東欧を侵略して第二次世界大戦がはじまりました。イギリスは米国を味方に引き入れドイツを倒したと思ったのも束の間、東欧を丸ごとソ連に併合されました。辛抱強く現状を変更できる戦機を待った、ソ連の独裁者・スターリンの悪魔のような慧眼の勝利でした。

ソ連の衛星国となった東欧諸国


さて、現代も現状維持勢力と打破勢力の相克で動きます。ただし、世界大戦のように劇的に動く時はめったにありません。では、東アジアにおいて、誰が今この瞬間の現状打破を望んでいるでしょうか。

昨年の米朝会談で、北朝鮮は核兵器の全面廃棄と今後の核実験の中止を約束しました。約束を履行した場合の経済援助も含みがありました。

北朝鮮の望みは、体制維持です。金正恩とその取り巻きの独裁体制の維持、労働党幹部が贅沢できる程度の最小限度の経済力、対外的に主体性を主張できるだけの軍事力。米国に届く核ミサイルの開発により、大統領のトランプを交渉の席に引きずり出しました。間違っても、戦争など望んでいません。

この立場は、北朝鮮の後ろ盾の中国やロシアも同じです。習近平やウラジーミル・プーチンは生意気なこと極まりない金一族など、どうでも良いのです。ただし、朝鮮半島を敵対勢力(つまり米国)に渡すことは容認できないのです。

だから、後ろ盾になっているのです。結束して米国の半島への介入を阻止し、軍事的、経済的、外交的、その他あらゆる手段を用いて北朝鮮の体制維持を支えるのです。

ただし、絶頂期を過ぎたとはいえ、米国の国力は世界最大です。ちなみに、ロシアの軍事力は現在でも侮れないですが、その経済力は、GDPでみると東京都を若干下回る程度です。

ロシアも中国も現状打破の時期とは思っていません。たとえば、在韓米軍がいる間、南進など考えるはずはないです。長期的にはともかく、こと半島問題に関しては、現状維持を望んでいるのです。少なくとも、今この瞬間はそうなのです。

では、米国のほうはどうでしょうか。韓国の文在寅政権は、すべてが信用できないです。ならば、どこを基地にして北朝鮮を攻撃するのでしょうか。さらに、北の背後には中露両国が控えています。そんな状況で朝鮮戦争の再開など考えられないです。

米・中・露とも朝鮮戦争の再開など望んでいない

しかも、文在寅は在韓米軍の撤退を本気で考えています。そうなれば、朝鮮半島が大陸(とその手下の北朝鮮)の勢力下に落ちます。ならば、少しでも韓国陥落を遅らせるのが現実的であって、38度線の北側の現状変更など妄想です。

しかも、以前からこのブログにも掲載しているように、現状をさらに米国側から検証してみると、北朝鮮およびその核が、朝鮮半島全体に中国の覇権が及ぶことを阻止しているのです。北の核は、日米にとって脅威であるばかりではなく、中国やロシアにとっても脅威なのです。

さらに、韓国は中国に従属しようとしてるのですが、韓国は中国と直接国境を接しておらず、北朝鮮をはさんで接しています。そうして、北朝鮮は中国の干渉を嫌っています。そのため、韓国は米国にとってあてにはならないのですが、かといって完璧に中国に従属しているわけでもなく、その意味では韓国自体が安全保障上の空き地のような状態になっています。

この状況は米国にとって決して悪い状態ではないです。この状況が長く続いても、米国が失うものは何もありません。最悪の自体は、中国が朝鮮半島全体を自らの覇権の及ぶ地域にすることです。これは、米国にとっても我が国にとっても最悪です。

昨年の米朝合意は特に期限を設けていません。「本気で核廃絶する気があるのか?」「あるから制裁を解除しろ。金寄越せ」「順序が違う!」と罵りあっていて、何も困ることはありません。成果など不要なのです。

さて、米中露北の関係4か国の中で、今この瞬間の現状打破を望む国はゼロです。関係者すべてがStatus quoを望んでいるのです。「米朝会談成果なし」など、外交の素人の戯言に過ぎません。

そもそも、外交交渉における「成果」とは何でしょうか。自らの何らかの国益を譲歩することです。仮に一方的に要求をのませるとしたら相手の恨みを買います。それは降伏要求であって、外交ではありません。北朝鮮は中露を後ろ盾にしている限り米国に譲歩する必要もないし、逆に米国だって同じなのです。

今回の交渉は、続けること自体に意味があったのです。さて、わが日本はどうでしょうか。安倍晋三首相は、トランプ大統領に拉致問題の解決を要請したとされています。

そして、拉致問題の解決なくして1円も北に資金援助はしないとの立場を伝えたそうです。当たり前です。これまでの外交では、その当たり前のことを毅然とできなかったからと安倍外交を称賛しなければならないとしたら、本当に情けないことです。

今の日本は現状打破を望む必要はないです。交渉で被害者を取り返せば良いのです。全員奪還が我が国是です。だが、北は何人かを帰して幕引きにするカードをちらつかせています。日本に独自の軍事力がないから舐められているのです。日本の道は、防衛費増額しかないのです。

さて、北朝鮮が核実験や核ミサイルの発射実験を開始したらどうなるかということですが、先に述べたように、北朝鮮も現状維持を望んでいます。であれば、せいぜい人工衛星の打ち上げ実験程度にとどめて、あとは核実験や、ミサイル発射実験などはしないでしよう。

もし従来のようにミサイル発射実験や核開発をすれば、どうなるでしょうか。現状維持を望む、米国、中国、ロシアから圧力を加えられ、制裁がますます厳しくなるだけのことになります。そのようなことは、北朝鮮自身が望んでいないでしょし、余計なことをすれば、現状が崩れることを金正恩は理解していることでしょう。

にもかかわらず、北がミサイル発射実験や核開発を継続すれば、米国が軍事攻撃する可能性もでてきます。さらに、米国が中露にたとえ北朝鮮の体制が変わったとしても、現状維持することを約束するとともに、中露も現状変更をしないことを米国に約束すれば、中露は米国の北に対する軍事攻撃を許容する可能性も十分あります。そうなった場合には、米国は北を軍事攻撃することでしょう。

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2017年9月3日日曜日

米国で沸き起こる強硬論「平壌上空にトマホーク」 北の相次ぐミサイル発射に米有力紙「日本の核武装」容認も ―【私の論評】北朝鮮が暴れまくるほど日本核武装論は実現に一歩近づく(゚д゚)!

米国で沸き起こる強硬論「平壌上空にトマホーク」 北の相次ぐミサイル発射に米有力紙「日本の核武装」容認も 

B-1戦略爆撃機「ランサー」 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 「核・ミサイル」で暴走を続ける北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権に対し、米国の一部で強硬論が沸き起こっている。シンクタンクの研究員は、北朝鮮の首都・平壌(ピョンヤン)上空に巡航ミサイルを飛来させるべきだと提案。米有力紙は、北朝鮮の相次ぐミサイル発射が「日本の核武装」を認めることにつながると指摘した。日米韓の軍事的連携が再確認されるなか、米国内で強硬世論が高まれば、ドナルド・トランプ政権が軍事オプションを選択する可能性もありそうだ。 

 「(日米が緊密に連携して)目に見える形で圧力をさらに強める」

 小野寺五典防衛相は8月31日午前、ジェームズ・マティス米国防長官と電話で会談し、北朝鮮が日本列島を越える弾道ミサイルを発射したことを受け、このような方針で一致した。

 同日午後、航空自衛隊のF-15戦闘機2機と、米国領グアムを発進した米空軍のB-1戦略爆撃機「ランサー」2機、米軍岩国基地(山口県岩国市)のF-35最新鋭ステルス戦闘機4機とともに、九州周辺空域で共同訓練を実施した。

F-35最新鋭ステルス戦闘機
 米軍機はその後、朝鮮半島上空に展開。韓国軍のF-15戦闘機4機とともに北東部江原(カンウォン)道の訓練場で、北朝鮮の重要施設の破壊を想定した攻撃訓練を行った。朝鮮半島上空への米軍のB-1、F-35の同時展開は初めて。

 B-1は、敵地に超音速(マッハ1・2)で侵入し、精密誘導爆弾「スマートボム」や、地中貫徹爆弾「バンカーバスター」などで、地上や地下の主要軍事施設をピンポイントで破壊できる。「死の白鳥」とも呼ばれ、「北朝鮮にとって、これ以上ない恐怖」(軍事専門家)といわれる。

 F-35は、高いステルス性と高度なレーダーなどを兼ね備えた第5世代型の戦闘攻撃機。北朝鮮のミグ29戦闘機(第4世代型)を一瞬にして壊滅でき、移動式のミサイル発射車両を一気に攻撃できる実力を持つ。

 米国内では、さらなる強硬論を説く声もある。

 朝鮮日報(日本語版)は30日、《「平壌上空を通るミサイルを放つべき」米の一部に強硬論》というタイトルの衝撃的な記事を掲載した。

 記事によると、米シンクタンクの専門家から「軍事的攻撃ではなく『軍事的行動』が必要。米国には日本海の公海上から巡航ミサイル『トマホーク』を発射し、平壌上空を経て黄海の公海上に落下させるという方法がある」との指摘が出ているというのだ。

 トマホークは、核弾頭が搭載可能で、潜水艦や艦艇から発射できる。命中精度の高さと、射程(約2500キロ)の長さが際立っている。

トマホーク
 トランプ氏は今年4月、中国の習近平国家主席をフロリダ州パームビーチの別荘「マール・ア・ラーゴ」に招いた際、夕食会のデザートを食べながら「たった今、シリアに59発のミサイルを撃ち込んだ」と伝え、習氏を絶句させている。

 トマホークの平壌襲来は、暴挙を繰り返す正恩氏を正気に戻させる一案かもしれない。ただ、日本海から北朝鮮・平壌を通過して黄海にミサイルを落下させれば、その背後にある中国を刺激することは確実である。

 米国では「日本核武装論」も指摘され始めた。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(日本語版)は8月31日、《日本の核武装に道開く北朝鮮の核容認》との社説を掲載した。

 社説は、北朝鮮の弾道ミサイルに触れ、次のように記した。

 「この中距離ミサイル発射実験は、北東アジアの安全保障をめぐる政治を一段と混乱させるだろう。そして、日本に自前の核抑止力を持つことをあらためて促すものだ」

 「東アジアが中東に続いて核拡散の新時代を迎えれば、世界の秩序に深刻なリスクをもたらす。それもあって、核ミサイルを持つ北朝鮮を黙認することはあまりに危険なのだ」

日本のロケットはすぐにでもICBMに転用できる
 確かに、米国の一部には「日本の核武装」を奨励する声もある。トランプ氏自身、昨年3月、米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューに、「日本と韓国の核兵器保有容認」を語っていた。

 ただ、日本は唯一の戦争被爆国であり、国民の間には強い核アレルギーが存在している。世界有数の高い原子力・ロケット技術を持っているが、核拡散防止条約(NPT)に加盟しており、「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則もある。

 このため、日本は米国の「核の傘」に頼ってきた。

 米国内には当然、「日本の核武装」に猛烈に反対する声も多い。そう簡単に実現するとは思えないが、米国内で容認論が再浮上するほど、正恩氏の暴走は突出しており、北朝鮮情勢は緊迫しているともいえる。

 北朝鮮は核兵器完成間近で、日本のほぼ全土を射程内に入れる弾道ミサイル「ノドン」を数百発も配備している。「東京を火の海にする」などと公言し、日本の了解も得ずにミサイルを5回も上空に飛来させている。日本を取り巻く安全保障環境は激変している。

 米国と北朝鮮は「水面下接触」も指摘されているが、双方とも相手を信用できず、軍事衝突に発展する可能性もある。

 ともかく、左派メディアや左派政党の「平和ボケ」した議論ではなく、国民の生命と財産を守るための現実的な議論が必要だ。

【私の論評】北朝鮮が暴れまくるほど日本核武装論は実現に一歩近づく(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事には、米紙ウォールストリート・ジャーナル(日本語版)は8月31日、《日本の核武装に道開く北朝鮮の核容認》との社説が掲載されていたことを掲載していました。

この内容に近い内容のものをこのブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【北ミサイル発射】日本列島通過 北海道襟裳岬沖の東1200キロに落下 「これまでにない深刻かつ重大な脅威」 安倍晋三首相 日米電話首脳会談開催 国連安保理に緊急会合を要請―【私の論評】北朝鮮を放置すれば中国、ロシアのアジアでの覇権を強めることに(゚д゚)!

この記事は、先月29日午前、北朝鮮が同日午前5時58分ごろ、北朝鮮西岸から弾道ミサイル1発を北東方向に向けて発射し、北海道・襟裳岬上空を通過した後、6時12分ごろ、襟裳岬東方約1180キロメートルの太平洋上に落下した日に掲載したものです。

この記事では、日本が核武装をする前提条件として、米国が北朝鮮の核ミサイルを放置し、結局北朝鮮を核保有国として認めてしまった場合を想定しました。

もしそうなれば、日本は核武装せざるを得なくなります。その理由に関する部分のみをこの記事から引用します。
もし、このままアメリカが北の核・ミサイル開発を無視し続け、オバマ政権の時のように、威勢よく非難はするものの、その他に何もしないとしたら何が起こるのでしょう。そうして、北朝鮮に対する軍事行動を永遠にためらい続け、ついに北がワシントンに届くICBMを完成させ、実戦配備したらどうなるのでしょうか。 
それは2年以内になるといわれていますが、本当にそうなったときは、完全に手遅れです。北がいくらSLBMと戦略爆撃機を持っていないないとしても、ある程度の「相互確証破壊」は成立してしまうことになります。 
ちなみに「相互確証破壊」とは、核戦略に関する概念・理論・戦略のことです。 核兵器を保有して対立する2か国のどちらか一方が、相手に対し核兵器を使用した場合、もう一方の国が先制核攻撃を受けても核戦力を生残させ核攻撃による報復を行うことです。 
そうなると、その先は、何が起ころうとアメリカは北と戦争がかなりしにくくなります。 
そうなれば、アメリカの権威は完全に失墜します。アメリカの世界覇権に穴が空き、パックスアメリカーナは消滅。世界中の反米国国はもとより普通の国家まで、北朝鮮がやったことを「学習」することになります。 
多くの国が、「この世界は結局力だ。核を持った者が勝つ」と認識することになります。こうして、現在でも有名無実になっているNPT(核兵器の不拡散に関する条約)体制は完全崩壊します。 
そうなってしまえば、世界は、まさに弱肉強食の世界になってしまいます。 核保有国の天下となり、世界から「公正」「正義」「自由」「人権」などという価値観はなくなり、「法と秩序」は消滅します。 
トランプ大統領には、こうしたことに対する自覚や、これを本気で防ごうという責任感は、あるのでしょうか。 
北朝鮮とアメリカに相互確証破壊が成立すると、アメリカは北の核を事実上容認してしまうことになり、日本に対するアメリカの核の傘は自動的に消滅することになります。なにしろ北が核で日本を脅かしても、アメリカはいままで以上に手出しができなくなります。日米同盟は無力化する可能性もあります。 
そうなれば、金正恩のやりたい放題です。日本は北朝鮮に土下座外交をするしかなくなります。経済制裁などとんでもないことになります。脅かされてもバックにアメリカがいないのですから、従うしかなくなります。韓国も同じです。 
そうなると、中国も北朝鮮と同じ態度をとることになります。尖閣など、あっと言う間に中国領になるでしょう。日本は、尖閣どころか、沖縄本島さらには西日本まで、中国の脅威にさらされることになります。 
沖縄本島を中国が手にしてしまえば、さっそく弾圧が始まります。とくに、沖縄基地運動に反対してきた連中は、権力に反逆するものとして、真っ先に弾圧され、拘束されることになります。そうして、沖縄では永遠に反基地運動などやりたくてもできなくなります。沖縄地方二紙もあっという間に廃刊です。 
金正恩と習近平は、韓国からのアメリカ軍の撤退を要求することになるでしょう。韓国は、北の支配下に入ると見て間違いないです。そうして、次の段階では、北と中国が、日本から米軍が撤退することを要求することになります。 
北と中国の覇権がアジアに全域に及ぶ状況が予想されることになれば、ロシアも黙ってはいないでしょう。ロシアも何らかの形で、アジアに進出してくる可能性もあります。朝鮮半島は、中国、ロシア、北朝鮮によって分割統治されることになるでしょう。日本は北方領土どころか、ロシアに道東を実効支配されることになるかもしれません。
このようなシナリオは十分に考えられます。 一度米国が北朝鮮を核保有国として認めてしまえば、様々な紆余曲折があったにしても、最終的にはこのシナリオどおりになることでしょう。

このようになることを防ぐためには、日本は核武装するしかなくなります。日本が核武装したとすると、アジアの安全保障状況は随分と変わります。アジアは日米の軍事力によって、新たな秩序ができあがり、北の核ミサイルは無効化され、中国は今以上に南シナ海や東シナ海に進出することを諦めるでしょう。ロシアも、アジアへの介入などは考えなくなります。新たに北方領土返却の話が進展するかもしれません。

このような筋書きは私のような素人でも考えるし、米国のWSJ紙でもそのような社説を掲載するのは当然のことと思います。本気で日本の安全保障の問題を考えれば、このような考えが出るのは当然のことです。WSJ紙も日本でこのような声が出ることは当然と考えて、今回の社説を出したのだと思います。

本日は、さらに北朝鮮が核実験を行っています。金正恩が「アメリカの行動を見守る」と発言すると、日本のメディアや識者の中には「トランプ大統領が北朝鮮を煽っている」とか「安倍首相は圧力だけでなく対話をするべき」と日米首脳を批判していましたが、今回6回目の核実験を強行した事を見ても、北朝鮮が対話に応じる気がない事は明らかです。

そう考えると今後、選択肢は2つです。米国が何らかの軍事行動を起こすか、さもなくば日本や韓国が核武装するかです。

もし、北朝鮮の核開発を米国がなんとしてでも止めようという行動を起こさない限り、現状ではたとえ不可能と見えても、日本は核武装の道を歩むことになるでしょう。

安倍晋三氏は2002年に早稲田大学で行われた講演会で「戦術核の保有や使用は違憲ではない」とぶち上げ、それを『サンデー毎日』に報じられて批判を浴びたことがあります。


そうして、ノーベル平和賞を受賞した安倍首相の大叔父である佐藤栄作もまた、核武装論者でした。1964年の東京オリンピックのさなかだった10月18日、中国が核実験に成功し、首相就任を翌月に控えていた佐藤は、ますます日本も核武装する必要がある、と強く確信するようになりました。そして、65年1月の首相としての初訪米を前にした64年12月29日のライシャワー駐日大使との下打ち合わせで、核武装論を語ったといわれています。

しかし、広島と長崎に原爆を落とされ、大きな被害を受けた日本国民は、佐藤が首相だった頃から核武装反対の世論が強かったし、米国も日本の核武装を好みませんでした。

しかし、これからは日本は変わって行く可能性が大です。そもそも、米国から日本核武装論が出るようになりました。北朝鮮が暴れまくるほど日本核武装論は現実味を増し、実現に一歩近づくことでしょう。

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2012年12月6日木曜日

【北ミサイル発射予告】PAC3が宮古島に到着 ミサイル日本領域落下で迎撃―【私の論評】ミサイルの日本領域落下で迎撃ではなく、日本領域通過で迎撃せよ!!

【北ミサイル発射予告】PAC3が宮古島に到着 ミサイル日本領域落下で迎撃:


北朝鮮が予告したミサイル発射に備え、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を積んだ海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」が6日朝、沖縄県・宮古島の港に到着した。ミサイルの一部が日本の領域に落下した場合、迎撃できる態勢を取る。

・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・

また海上配備型迎撃ミサイル(SM3)搭載をする海上自衛隊イージス艦「みょうこう」「こんごう」「ちょうかい」も6日朝、展開先の東シナ海や日本海に向け、長崎県佐世保市の佐世保基地を出港した。小雨が降る中、タグボートに引かれ護衛艦とともに基地をゆっくりと離岸した。

このニュースの詳細はこちらから!!

【私の論評】ミサイルの日本領域落下で迎撃ではなく、日本領域通過で迎撃せよ!!

上記で、海上自衛隊イージス監「みょうこう」「こんごう」「ちょうかい」などの名称がでてきたました。これらのイージス艦、迎撃のために、出撃しますが、実際に迎撃できるのでしょうか?私は、かなりの確率で迎撃できると思います。しかし、このことが、日本ではなぜかほとんど報道されません。


それに関しては、このブログの過去の記事にも掲載しました。以下のそのURLを掲載しておきます。それと、この手の話は、軍事オタクっぽくなるのと、どちらかというと無骨な話題なので、本日は、私達の国を守る元気溌剌とした女性自衛官の写真とともに掲載させて頂きます(笑)。

また始まった北朝鮮の核・ミサイル問題をめぐる‘綱渡り外交’−【私の論評】報道で見え隠れする北朝鮮の日本への恐れ?


詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、以下に要点だけ記載します。
実は、日本の自衛隊は過去に2度、弾道ミサイルの迎撃訓練に成功してまいす。両方ともSM3(下写真は、発射風景)というミサイルによる迎撃に成功しています。SM3とは、イージス艦に搭載して、宇宙空間を慣性飛行中の弾道ミサイルを迎撃するミサイルのことをいいます。
まず第一回目については、海上自衛隊は、SM3の配備・習熟訓練のためアメリカへ行っているイージス艦こんごうが2007年12月18日に公開撃墜実験を行い成功した、と発表しました。ハワイ島のカウワイ島の米軍基地から発射された模擬弾頭を搭載した弾道ミサイルを発射すると、900Km離れた海上に配備されたこんごうが4分後にこのミサイルをレーダーで探知して、1発のSM3を発射し、発射から3分後に高度100Km以上の大気圏外において標的弾道ミサイルを撃墜しました。
ただし、このときは、結局は、ある一定条件の中で行われた訓練であり、大陸間弾道弾を撃ち落せたということであり、実際に北朝鮮の弾道ミサイルをうち落とせるかどうかまでは、判定できないレベルであったので、あまり話題にはなりませんでした。これに関しては、軍事オタクの方が、ご自身のブログでいろいろ分析しているので、詳細は、そちらをご覧ください。
第二回目は、2010年10月26日のことです。全世界を震撼させる、ある事件が起こりました。日本の海上自衛隊の護衛艦「きりしま」が、ハワイ沖で大陸間弾道弾の迎撃試験を見事成功させたのです。
「きりしま」の放った迎撃ミサイルは、6発の大陸間弾道弾にすべて命中。弾道弾を、宇宙空間で迎撃してしまったのです。これは世界初の快挙です。世界で二番目に大陸間弾道弾がミサイルで撃墜させられたのです。しかも、この時は、軍事上の機密ということで、あまり詳しくは発表されてはいませんが、北朝鮮ミサイルも迎撃できることを十分証明することができたようです。

日本の海上自衛隊は、試験開始前から、「100発100中ですよ」とケロリとしていたといいますが、対する米国のミサイル防衛庁(MDA)は、びっくり仰天したようです。
高速で飛来するミサイルを、宇宙空間で撃ち落とすというのは、飛んでくるピストルの弾を、ピストルの1発の射撃で撃ち落とすよりも尚、難しいといわれています。なぜかといえば、宇宙空間には大気がありません。ですから、迎撃ミサイルの軌道を、途中で羽を使って変えることができないのです。だから、ミサイル自体の噴射角で制御するしかありません。これは、かなり高度な技術がなければ、できることではありません。
米国内では、このニュースは、大々的に報道されました。北朝鮮やロシアや中国から飛んでくる大陸間弾道弾の脅威にさらされずに済むようになるのです。これがビックニュースでなくて何だというのでしょうか。

ヨーロッパでも、このニュースは大々的に報じられました。日本は、他国からの侵略の脅威から、かなりの確率で、これで逃れられるのです。それに、もともと、アメリカの艦艇や、ミサイルを使っているわけですから、アメリカは、無論のこと、これらの武器を用いている他の国でも、日本のやりかたを見習えば、できる可能性が高いのです。米国では、このニュースの動画が、作られました。これを、下に転載します
こんなこと信じられますか。これだけ、防衛環境が激変したことをほんど発表しません。もう、従来のように北朝鮮のミサイルの驚異に怯える必要はないのです。むろん、だからといって、すべてが安全というつもりはありません。しかし、従来と事情が大きく異なってきていることは確かです。国内で、もっと、こうした海上自衛隊の実力を認めることが必要ではないかと思います。  

さて、この内容で、十分北朝鮮のミサイルを迎撃できる可能生があることがご理解いただけたものと思います。日本の海上自衛隊は、6発もの各弾道弾のすべてを撃ち落とすことができたのですから、北朝鮮の単発の核弾頭は、かなり落とせる確率が高いと思います。複数のイージス艦から一斉に攻撃すれば、さらにその確率は高まります。それにしても、予定通りに巡航しているミサイルを撃ち落とすのは、比較的容易ですが、故障などによって、日本に落下してくるミサイルを撃ち落とすのは、なかなか難しいです。

そうして、故障することなど、予測するのは、困難です。では、発射されてから、早い時期で、日本の領空に入った時点で迎撃するというのはいかがでしょうか?これだと、かなり撃墜できる可能性が高まります。


もし、撃墜すれば、世界の軍事バランスは大きく変わると思います。特に、日本は、核攻撃をされても、それを回避する手段があることを世界にアピールすることができるわけです。それに、北朝鮮の核の脅威をかなり取り除くこともできます。世界に向かってそれをアピールできます。もし、そんなことにでもなったら、北朝鮮の面目は丸つぶれだし、核による脅しも、従来よりははるかに弱まります。

現在日本は、選挙一色で、何やら北朝鮮のミサイルなど消えてしまったかのごとくです。これは、これで良いことだと思います。北朝鮮がミサイルを発射すると、発表しても、もう日本は驚きもしないということです。


しかし、いざというときの備えはいつでもしておかなければなりません。今回は、日本に向かって落ちてこない限り迎撃はないそうですが、北朝鮮は、これからも発射を繰り返すだろうし、いつの日か、核を搭載することも可能になると思います。そんなときに、備えて、次の発射では、迎撃して、できれば、撃墜すべきです。そうして、日本の核武装も視野にいれて、国内論議をすすめて行くべきと思います。そう思うのは、私だけでしょうか?皆さんは、どう思われますか?







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2012年4月21日土曜日

北朝鮮、核実験準備完了 韓国紙報道「2週間内に実施可能」―【私の論評】いくらGoogle EarthとMapなどで、誰にでも情報が入手しやすくなっても、過去のケーススタディーなどの歴史的事実はないがしろにはできない!!

北朝鮮、核実験準備完了 韓国紙報道「2週間内に実施可能」


北朝鮮の核実験施設

 【ソウル=辻渕智之】韓国紙・朝鮮日報は二十一日、韓国政府筋の話として、北朝鮮が北東部の咸鏡北道豊渓里(ハムギョンプクトプンゲリ)で進める三度目の核実験の準備を事実上完了したと報じた。実験直前に坑道を埋め立てるための土砂が坑道の入り口付近から消えたのが衛星写真で確認されたという。

続きは、こちらから。(東京新聞)


【私の論評】いくらGoogle EarthとMapなどで、誰にでも情報が入手しやすくなっても、過去のケーススタディーなどの歴史的事実はないがしろにはできない!!


北朝鮮自民解放軍女性兵士による剣舞、スタイルも抜群の選りすぐりを採用している


さて上の記事に掲載されている、核実験場をはじめ、最近ミサイルが打ち上げられたのとは別のミサイル発射基地など以下に掲載したので、是非ご覧になってください。北朝鮮の施設など、秘密のベールに隠されているのですが、今では、Google MapやEarthで丸見えです。何か新しい発見があるかもしれません。



北東アジア注意エリアと参考データ(座標ファイル)Google EarthGoogle Map
ムスダンリ北朝鮮弾道ミサイル発射基地kmlファイルURL
咸鏡北道吉州郡豊渓里北朝鮮核実験場最寄り駅kmlファイルURL
豊渓里核関連施設北朝鮮核実験関連施設kmlファイルURL
北朝鮮核実験場トンネル入口ISIS Imagery BriefkmlファイルURL
北朝鮮核実験場支援施設ISIS Imagery BriefkmlファイルURL
核実験VIP宿舎とヘリポートISIS Imagery BriefkmlファイルURL
核実験場韓国政府発表kmlファイルURL
寧辺(ヨンビョン)核施設実験用原子炉5,000kWekmlファイルURL
板門店南北連絡事務所kmlファイルURL
青瓦台韓国首相官邸kmlファイルURL
平壌/メーデースタジアムアリラン祭開催場所kmlファイルURL
Google Earthへ直接放り込みたいときは、URLを変換すればOK。ここで


Google Earthは、飛んで行きたい場所の kmlファイルをダウンロードし、クリックすれば Google Earthが起動して※2 自動的にその場所に連れて行ってくれます。

開いているウィンドウにファイルを Drug & Dropしても良いです。

「URL」をクリックすると、Google Mapが場所を表示します。

※1 kmlファイルのダウンロードは、[フォーカスを当てる] -> [右クリック] -> [対象をファイルに保存]で行う。

※2 もちろん Google Earthがインストールされていないと何も起きない。そんなときには、ここから無料版をダウンロードする。

【付帯情報】豊渓里核関連施設(豊渓里:プンゲヨク、プンゲリ)

北朝鮮が核実験を行った坑道の入り口は北朝鮮北東部の咸鏡北道吉州郡「豊渓里核関連施設」の北北西にあり、坑道を掘るために排出された土砂が同施設の北に大量に捨てられたとのこと。いずれ衛星写真が更新されれば見ることができるだろう。

2007年8月18日(以降、年度はすべて同じ)には米ABCテレビが、匿名の米国務省・国防省関係者らの話として、「北朝鮮が咸鏡北道吉州郡豊渓里で核実験準備をしている可能性がある」と報じた。豊渓里で不審なトラックの移動と地下核実験場と観測装備をつなぐのに使えるケーブルが巻かれた大型ケーブルリールがトラックから降ろされたことが目撃されたという報道で、リークによる北朝鮮への牽制と見られたが効果はなかったようである。

【付帯情報】北朝鮮核実験場トンネル入り口

米科学国際安保研究所(ISIS)が10月10日に発表した「北朝鮮核実験疑惑」のレポートをもとに座標を確定。右にトンネルを掘ったとき出した土砂を捨てた跡が見える。

【付帯情報】北朝鮮核実験場支援施設

米科学国際安保研究所(ISIS)が10月10日に発表した「北朝鮮核実験疑惑」のレポートをもとに座標を確定。

【付帯情報】核実験VIP宿舎とヘリポート

米科学国際安保研究所(ISIS)が10月10日に発表した「北朝鮮核実験疑惑」のレポートをもとに座標を確定。右に見えるのがヘリポート。

【付帯情報】核実験場(韓国政府発表)

10月15日に韓国地質資源研究院の地震研究センターが発表し直した核実験の震源地。咸鏡北道吉州郡万塔山のあたり。13日に最初の発表を修正した震源地、北緯41.267度、東経129.179度から約7キロ西にずらした。地震研究センターの最初の発表は北緯40.81度、東経129.10度の咸鏡北道金策市。

【付帯情報】青瓦台

「青瓦台」とその周辺は一般の地図で明らかにすることが禁じられ写真撮影も制限されているが、Google Earth、Google Mapでは一目瞭然で、長年の韓国政府の努力はいまや水泡に帰している。

【付帯情報】板門店

「板門店」の西南西に160m高の国旗掲揚塔(の影)が見える。また軍事境界線をまたぐ北と南の状況が興味深い。

【付帯情報】平壌

衛星画像はあるのだが、市内についての情報は入手が難しい。大きくてわかりやすいのがアリラン祭を行うメーデースタジアムである。

さて、先日ミサイル発射の記事に関して、その後わかった事実もあるので、続報を掲載します。特に下の動画は、もとイージス艦にも登場されていた方の解説なので理解しやすいです。





さて、上の動画では、航海長として乗艦なさっていたイージス艦「みょうこう」で、平成10年8月のテポドン発射をレーダー上で見届けられ、そして半年後の平成11年3月には能登沖で北朝鮮工作母船を追跡、海上自衛隊初の実戦に臨まれた伊藤祐靖氏をお迎えし、この度の弾道ミサイル発射への対処において政府が批判を浴びている「ダブルチェック」をめぐり、そもそもの認識や判断の鉄則が通じていない現状について御指摘いただきます。 また、能登沖不審船事案についての手記(『正論』4月号・5月号掲載)より、工作母船乗員に対してはからずも覚えてしまった「怒り」とは別の感慨や、海上警備行動発令による警告射撃に臨む艦橋で実感され、その後、創設に携わられた特別警備隊においても必須 且つ当然であった相互理解の前提となるものについても、お話を伺っています。




詳細は、上の動画を御覧いただくものとして、要するに、レーダーはもともと、人間の視覚と同じ理屈で、直線的であり、球形である地球の水平線のかなたまでは、認知できず、当然、ミサイルがかなり高く上がった時点でなければ、もともと、日本のイージス艦は、ミサイルを補足できないことは、最初からわかっていたということです。私もこの事実については、知ってはいたのですが、この動画ほど、日本政府のダブルチェックに関してのあわてぶりが、そもそもおかしいことをわかりやすく説明しているもはないと思います。それから、この伊藤氏はこの動画では、日本のイージス艦今回のミサイル、もしものことがあれば、かなり高い確率(ほとんど百発百中で)打ち落とせたことまでは、説明していませんでしたが、これも事実です。無論、伊藤氏もこれを承知しているとは思うのですが、この動画の趣旨からは外れるので、敢えて説明しなかったのだと思います。これに関しては、このブログでも掲載してあります。

これに関しては、以下にその核心部分のみ下に掲載しておきます。
2010年10月26日のことです。全世界を震撼させる、ある事件が起こりました。日本の海上自衛隊の護衛艦「きりしま」(写真下)が、ハワイ沖で大陸間弾道弾の迎撃試験を見事成功させたのです。
「きりしま」の放った迎撃ミサイルは、6発の大陸間弾道弾にすべて命中。弾道弾を、宇宙空間で迎撃してしまったのです。これは世界初の快挙です。世界で二番目に大陸間弾道弾がミサイルで撃墜させられたのです。しかも、この時は、軍事上の機密ということで、あまり詳しくは発表されてはいませんが、北朝鮮ミサイルも迎撃できることを十分証明することができたようです。
北朝鮮などの核弾頭は、一基しか搭載していませんが(技術水準からの推定)、アメリカ、ロシアなどの各先進国の核弾頭は、複数搭載しています。なぜこのようなことをするかといえば、一基であれば、途中で撃墜される率がかなり高いですが、複数であれば、その複数の弾頭が、複数方向に向かって落ちるわけで、ほとんど防ぐことは、不可能とされていたのを、日本の自衛隊のイージス艦が全部撃墜してしまったということです。であれば、一基しか積んでいない北朝鮮のミサイルはほとんど確実に打ち落とすことができたということです。核弾頭は、なるべく少ないエネルギーで、遠くに飛ばすためや、このように複数にするためにも核開発では小型化を目指しているものです。


核弾頭、三基の核が搭載された例

これが、なぜすごいかといえば、今までは、核攻撃は防御がまったく不可能といわれていたものが、日本の自衛隊が、可能であることを実証して見せたということです。これで、核に対する考えが変わったということです。防御できるということを日本の自衛隊が、世界に向かって示したということです。

それにしても、今回のイージス艦の配置により、日本は、打ち上げ直後にはもともと、それを確認できなかったこと。それは、もともと、沖縄周辺で有事のときにミサイルを確実に迎え撃つためにそのような配置をしたこと、さらには、かなり高い確率でそれを迎撃できた可能性など、これは、政府が悪いのか、マスコミが故意に発表しないのか、それとも、軍事機密なのかわかりませんが、少なくとも、国の安全保障を考える人たちは、正しい情報にもとづき判断していただきたいものです。

それに、今回のミサイル発射に関する政府の対応のお粗末さですが、私は表面的なことだけではなく、もっと深い背景があると思います。それは、歴史を学ぶという謙虚な姿勢に欠けているということです。これに似たようなことは昔もありました。日露戦争のときの、日本海海戦の前に、ロシア艦隊がウラジオストック港を目指してロシア黒海から出港ときに、太平洋側から入って、北海道と青森の間の津軽海峡をわたるか、それとも、対馬沖から入って、日本海を通り旅順港を目指すかの二通りが想定できました。

当時日本海軍としては、ロシアのバルチック艦隊を迎え撃つつもりでしたから、この二とおりのうち、いずれになるということは、かなり重要なことでした。そうして、海軍が出した結論は、もっとも可能性の高い対馬沖を通るであろうことを想定して、日本艦隊を配備するということでした。要するに、太平洋側は捨てるというものでした。当時の日本の海軍としては、対馬沖と、太平洋側の両方に艦隊を分散して、配置することは、兵力、艦艇数からして、不可能でした。もし、そのようなことをすれば、軍事力の点からいって、ロシア艦隊に大打撃を与えることは困難でした。(下の絵画は、日本海海戦における、旗艦三笠における、東郷平八郎とその幕僚たちの図)


だから、太平洋側は捨てたのです。これは、正しい判断でした。どちらにころんだとしても、良い判断です。対馬沖であれば、大打撃を与えられる、太平洋沖であれば、日本艦隊は無傷で、かなりやっかいなことになるのですが、次のチャンスを狙えるということです。しかし、兵力を二つにわけて、対抗すれば、半分の艦艇、兵力を失うことになるかもしれません。そうして、結果といえば、皆さんご存知のように、日本海海戦は、日本の一方的な大勝利に終わりました。軍事ではこのようなことは、いくらでもあります。

ちなみに、下の図は、当時想定された、ロシアバルチック艦隊がウラジオストックを目指す航路です。当時でも、宗谷海峡はほとんどあり得ないと考えられていました。しかし、津軽海峡を通ること十分あり得ることと認識されていました。




今回のミサイル発射での日本の対応も、沖縄付近で迎え撃つということで、ミサイル発射直後の対応は捨てているということです。であれば、政府としては、何もうろたえることはなく、当方としては、ミサイルの飛跡を確認できず、したがって、日本には、影響なしと、発表すれば良かっただけです。それに、プラスして、アメリカの情報では、発射は確認されたが、飛跡が見当たらないため、打ち上げに失敗したようであると公表すれば、それで良かったことです。




軍事的には、日本海海戦のように、何かを決断すれば、何かを捨てることにもなるということを学んでいれば、さほどあわてることもなかったと思います。しかし、歴史に学ぶという姿勢欠いているため、あのようなお粗末な対応になったものと思います。(上は、韓国の女優ハン・イェスル、中国のあるメディアは、これを美しい北朝鮮の陸軍中尉と紹介し、韓国のネットユーザーらを失笑させた。報道は、正しい情報にもとづいて行いたいものです)

さて、そろそろ、結論を掲載させていただきます。いくらGoogle Earthや、Mapなどで、誰もが情報を比較的簡単に入手しやすい時代になったとしても、判断ということになれば、人間が情報をもとに行うものであり、昔も今もあまり変わりはないということです。いくら情報が山ほどあって、最新であったとして正しい判断ができるとは限りません。ですから、歴史的事実などのケーススタディーもないがしろにできないということです。






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