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2016年9月22日木曜日

実は意外とまとも!? 「トランプ大統領」の経済政策構想をよむ―【私の論評】米メデイアの超偏向ぶりと、公約の完全実行はあり得ない事を知らないと趨勢を見誤る(゚д゚)!

実は意外とまとも!? 「トランプ大統領」の経済政策構想をよむ

いまさら言わずもがなではあるが、今年は米国の大統領選挙の年である。そしてその大統領選もまもなく終盤戦を迎える。

世論調査では、与党である民主党のクリントン候補の支持が、共和党のトランプ候補の支持を上回っているようだが、クリントン候補の健康問題が浮上してきており、両者の差は縮小している。

トランプ候補は、その問題発言等から大統領の資質を欠いているとの批判が多いが、一方でそのダイレクトな物言いから人気も高く、当初の泡沫候補という評判を覆して、正式に共和党の大統領候補となった。

これまではトランプ候補の過激な発言ばかりがクローズアップされ、経済政策についてマスメディアが報道する機会が少なかった印象が強い。そこで今回は、これまであまり取り上げられることのなかったトランプ候補の経済政策について考えてみたい。

  レーガン大統領との共通点

トランプ候補は9月15日、ニューヨークのエコノミッククラブの講演会で、自身の経済政策の構想を明らかにした。

米共和党全国大会で大統領指名受諾演説をするドナルド・トランプ氏
この講演によると、トランプ候補は、レーガン以来の大型減税と各種規制緩和、および貿易政策をテコに、10年間で2500万人の雇用を創出し、年平均で実質3.5%成長を実現させる政策を実施すると言及した。

このうち、大型減税のメニューとしては、以下の3点を挙げている。

①法人税の大幅減税(最高税率を現行の35%から15%へ)
②所得税の税率適用区分の簡素化(現行の7段階から3段階へ)と税率の大幅引き下げ(12%、25%、33%の3段階へ)、および各種控除の拡充(子育て費用)
③相続税の廃止

一方、規制緩和に関しては、現在、オバマ大統領が推進している「パリ条約」にともなう環境政策の停止(クリーンパワープランを廃止し、石油、天然ガス、石炭の生産増をはかる)がその中心となっている。

さらには、ニューヨークでの講演では言及しなかったものの、従来から老朽化が指摘されてきたインフラ(道路、橋、鉄道、港湾など)の整備拡充や防衛関連支出の増大も公約に掲げている。

また、貿易政策では、TPPからの撤退と中国に対する圧力(中国を為替操作国に認定するともに、知的財産侵害や輸出補助金の廃止を中国政府に強く求める)を通じて、米国製造業の輸出を拡大させる政策を提案している。

トランプ候補の台頭は、1980年の大統領選でのレーガン候補の台頭(最終的には大統領選に勝利)と比較されることが多いが、経済政策構想(レーガノミクス)においてもよく似ている部分が多い。

その理由は明らかである。

レーガン氏が台頭してきた1980年は、米国経済がスタグフレーションに苦しんでいた時期であった。その中で、新政権に求められた経済政策は、著しく低下した生産性、および潜在成長率を押し上げることであった。

スローガンもレーガン大統領にそっくり
そしてレーガン大統領が推し進めた経済政策である「レーガノミクス」も、減税と規制緩和を通じて、主に製造業の生産性を上昇させ、米国経済の潜在成長率を押し上げるものであった。

また、当時は、米国の貿易収支、及び経常収支の赤字が急激に拡大し始めた局面であり、保護貿易的な貿易政策もやや強まった(自動車産業などで日米貿易摩擦が強まったのもこのころである)。

  極めて強力な「ケインズ効果」

今回の大統領選でも、リーマンショック後、「長期停滞」に入ったようにみえる米国経済の低成長が問題視されている。

1980年の大統領選当時と同様、米国経済はリーマンショックという未曾有の金融危機を3度にわたるFRBの量的緩和(QE)政策によって克服したものの、その後の成長率はリーマンショック以前に比べ低い状況が続いている。

例えば、リーマンショック後の2010年から2015年にかけての実質GDP成長率の平均は約2.2%で、2000年から2007年までの平均である2.7%から0.5%程度低下している(リーマンショック前までの米国の潜在成長率は約2.8%というのがコンセンサスであった)。

リーマンショック後の米国経済の長期停滞を打破するために、「パパブッシュ」以降の大統領にない強いリーダーシップを求める米国民が数多く存在するというのが現在の米国の実態であり、これがレーガン大統領誕生前の状況と似ていなくもないということなのだろう。

また、レーガン大統領の就任期間には、旧ソ連との緊張が高まり、防衛関連支出の急増から米国の財政赤字は拡大したものの、それがケインズ効果をもたらし、米国経済は回復した。

さらにいえば、当時の防衛関連の投資拡大が、旧ソ連崩壊にともなう民間部門へのスピンオフによって、90年代後半の「IT革命」の素地を作ることにもなった。

CRFB(Committee for a Responsible Federal Budget、米政府の財政政策をモニターするNPO法人)の試算によれば、もし、トランプ候補が大統領に選出され、彼の構想どおりの経済政策が実施された場合、10年後に歳出は、対GDP比で22%まで拡大する。

その一方で、歳入は対GDP比で13%にまで縮小し、結果、財政赤字の対GDP比は9%に拡大すると予想されている(ちなみに2015年度はそれぞれ、20.5%、18%で財政赤字の対GDP比は2.5%)。

すなわち、このことは、トランプ候補が大統領選に勝利し、以上のような経済政策が実施された場合、従来の経済政策の枠組みが大きく転換することを意味する。

各種メディアの報道によれば、このようなトランプ候補の経済政策によって、トランプ氏が主張する「実質3.5%成長」を実現させるのは難しいと考えるエコノミストが少なからず存在するようだ。

だが、インフラ整備や防衛関連を中心とした歳出増と、法人税、所得税の減税の組み合わせが、極めて強力な「ケインズ効果」をもたらすことは間違いないのではなかろうか。

さらに、日本では、様々な困難を乗り越えてようやく交渉妥結にまで持ち込んだTPPをトランプ候補が反故にしようとしていることから「保護貿易主義者」というレッテルを貼っているようだが、これは正確ではない。

トランプ候補は、地域間の貿易協定としてはNAFTA(北米自由貿易協定)を重視し、世界貿易ではWTOの枠組みを利用して自由貿易を維持するとしている。貿易に対する過度な悲観論は不要と考える。要は米国(特に製造業)が不利になるような貿易交渉は反故にするということなのだろう。

  トランプ氏の主張がメインストリームに

ところで、興味深いことに、このようなトランプ候補の経済政策は、最近のマクロ経済学の流れとほぼ軌を一にする点に注意する必要がある。

最近のマクロ経済学では、「長期停滞」を脱する経済政策として、金融緩和よりも財政拡大を重視する動きが強まってきている(これは、金融緩和が必要ではないという意味ではない)。

その意味で、インフラ投資の拡大を掲げるトランプ候補の主張は、「長期停滞」に対する処方箋として有効となる可能性がある(クリントン候補もインフラ整備のための公共投資拡大を政策の一つとしているため、来年以降の米国では、財政支出拡大による景気浮揚が実現する可能性が高まっている)。

さらに、世界的な長期金利低下の一因として、緊縮財政路線による国債発行量の減少にともなう「安全資産」の相対的な不足を指摘する研究も出てきている(いわゆる「Safety Trap」の議論)。

前述のように、トランプ候補は思い切った減税を実施する意向でもあるので、税収も大きく減少する見込みだ。そのため、インフラ整備等の公共投資拡大は国債発行増によって賄われる可能性が高い。

トランプ氏の提唱する財政拡大政策によって米国経済の長期停滞を克服することができれば、米国債は世界随一の安全資産として世界中の投資家に選好されることにもなるだろう。

その一方で、富裕層に有利なように見える所得税改革やオバマケア廃止の方針など、所得格差是正のための所得再分配政策にはいまひとつ消極的な印象がある(貧困家庭に対する救済援助も廃止の方針だと伝えられている)。

トランプ氏はビジネスマンとして、自ら大成功を切り開き、また、数回にわたるビジネス的な試練も自助努力で切り抜けてきた人物だけに、労働のインセンティブにネガティブな影響をもたらしかねない所得再分配には、それほど賛意を持っていないのかもしれない。所得再分配政策の是非が、今後の大統領選の大きな争点になっていく可能性もある。

いずれにせよ、トランプ候補は、その過激な言動ばかりが注目されているが、仮に彼が勝利するようなことがあれば、彼の経済政策が、今後のメインストリームになるという可能性を秘めているので、注意が必要である。

【私の論評】米メデイアの超偏向ぶりと、公約の完全実行はあり得ない事を知らないと趨勢を見誤る(゚д゚)!

トランプ氏の経済政策は、上記で示したように、意外とまともといえばまともです。経済政策について、簡単にいってしまえば、減税を手段とした積極財政を行なうということです。

米国に関しては、リーマン・ショックから金融緩和政策を実施し、それが継続されてきました。しかし最近では利上げのタイミングを見ているという状況です。さらなる追求緩和策をとることはありえないです。

だからこそ、今後積極財政をするというのは、理にかなったまともな政策です。過去の日本のように、緊縮財政、金融引き締めを継続してデフレを長年放置したというのとは大違いです。

日本ではさらに、せっかく2013年から異次元の包括的金融緩和に踏み切ったにもかかわらず、14年から8%増税を実施し、せっかくの金融緩和の腰を折り、GDPも伸びないというのとは大違いです。

8%増税に両手をあげて、大賛成した日本の多くの政治家、マスコミ、識者らには、トランプ氏の経済政策を批判する資格は全くありません。

米オハイオ州クリーブランドのクイッケンローンズ・アリーナで開かれた米共和党大会で、
スピーチを終えた娘のイヴァンカさん(右)から、指名受諾演説のためステージに迎えられる
ドナルド・トランプ氏
以下に、トランプ氏の7月21日、共和党の大統領指名受諾演説から抜粋します。
私の誓いの言葉はこうだ。『私は君達アメリカ人とともにある』。私は君達の声だ。子供達に夢を託すすべての親達、そして、未来を夢見るすべての子供達のために、今夜、私は言いたい。『私は君達とともにある。そして、私は君達のために戦い、君達のために勝利する』」 
「私は約束する。我々はアメリカを再び強くする。我々はアメリカを再び誇らしくする。 我々はアメリカを再び安全にする。そして、我々はアメリカを再び偉大にする。 
~ドナルド・トランプ 7月21日、共和党の大統領指名受諾演説から抜粋
当初、泡沫候補だと思われていたトランプが共和党大統領候補の座を射止めるまでに大躍進を遂げたことは驚きですが、大躍進の背景には、アメリカ人が求めてきたリーダー像がそこにあるのも事実です。

これまでも実業家出身の大統領はいました。代表的な例は第29代ウォレン・ハーディング(任期:1921〜1923 年)と、第31代ハーバート・フーヴァー(1929〜1933 年)、それにジョージ・ブッシュ親(1989~1993年)・子(2001~2009年)の4人です。

ウォレン・ハーディング
その中でも、ハーディングはトランプとの共通項が多いです。1920 年の大統領選挙でハーディングは共和党候補として当選しました。ハーディングの勝利の要因は、時代の要請を敏感に嗅ぎ取ったことにありました。多くの国民は、当時ウィルソン政権が第一次世界大戦で外国の厄介事に巻き込まれたことに飽き飽きしていました。「アメリカを第一に(America First)」と「常態への復帰 (Back to Normalcy)」というハーディングの唱えたスローガンは有権者の心を掴みました。

「アメリカを第一に」は共和党の中で、その後も脈々と受け継がれる伝統になりました。1992 年の共和党の予備選挙でも、パット・ブキャナン候補が「アメリカを第一に」を唱えて現職のブッシュ大統領に挑戦しました。ブキャナンは、自由貿易の推進がアメリカの製造業に深刻な打撃を与え、不法移民がアメリカ人から職を奪っていると主張しました。

今、トランプはまさに同じような主張をしています。そして指名受諾演説で「アメリカを第一に」というスローガンを前面に押し出しており、「我々の目標と我々の対抗者の目標の最も重要な違いは、我々の目標がアメリカを第一に置くことにある。グローバル主義ではないアメリカ主義が我々の信条だ」と、トランプは主張しているのです。

「アメリカを第一に」と「常態への復帰」を目標に据えたハーディング政権は、外国に対する関与をできる限り控え、国内問題に専念する孤立主義への扉を開きました。そうした傾向はアメリカが第二次世界大戦に参戦するまで20年近くにわたって続きました。

トランプが使っている「アメリカを第一に」というスローガンはまさに孤立主義を体現す る言葉です。そして、トランプはハーディングと同じように時代の要請を敏感に嗅ぎ取っています。それは外国よりも国内に目を向けるべきではないかという国民の声です。

さて、トランプの大統領候補指名受諾演説を聞いた人々はどう思うでしょうか。例えば、製鉄所が閉鎖され街に活気がなくなったことを嘆く者は、「TPP は我が国の製造業を破壊するだけではなく、 アメリカを外国政府の支配に屈服させることになる」という言葉に喝采を送ることでしょう。

また不法移民によって麻薬や犯罪が蔓延していると危機感を抱く者は、「我々は不法移民を止め、ギャングと暴力を止め、そして、我々の社会に麻薬が流入するのを止めるために国境に長城を築く」という宣言を支持します。7月7日に起きたダラス警官銃撃事件を知って社会に混乱が広まっていると不安を感じる者は、「俺は法と秩序の候補だ」という台詞に期待を寄せるでしょう。

すべての課題を一挙に解決できる万能の処方箋など存在するはずはありません。しかし、トランプの主張 が正しいか否かは問題ではありません。政治は理性だけでは動きません。感情にかなり左右されます。今、危機に直面している人々からすれば、自分達にも理解できる解決方法を提示してくれるトランプは魅力的に映ります。それに政界の完全なアウトサイダーであることも好ましく思えます。なぜなら彼らは、様々な既得権益にがんじがらめにされた政治家が自分達を救ってくれるはずがないと思っているからです。

民主党候補指名で勝利宣言をしたクリントン氏
クリントン氏は6月2日の外交・安保政策演説で、次期大統領の重要指針として、緊密な同盟関係維持を挙げました。その代表例として、北朝鮮のミサイルの脅威に対抗する日韓とのミサイル防衛協力について説明し、「これこそ同盟の力だ」と訴えました。

さらに、「外交は多くの場合、紛争を避ける唯一の道だ」と強調。オバマ政権が主導してまとめたイランの核兵器開発阻止を目指す合意を取り上げ、「世界や米国が合意の前より安全なのは疑問の余地がない」と力説しました。

内政ではオバマ政権の目玉政策である医療保険制度改革(オバマケア)の継承を打ち出しているほか、銃規制強化や同性愛者の権利保護でも軌を一にします。

目立った政策で一部違いもあります。環太平洋連携協定(TPP)について、雇用創出などの面で効果が不十分だと反対しています。「核兵器なき世界」の実現を掲げるオバマ大統領は広島も訪れましたが、クリントン氏は「大統領ほどには、この問題を大事だとは思っていない」という専門家の指摘もあります。

現政権を継承する外交・内政の諸政策は、共和党からことごとく攻撃されてきました。トランプ氏も「外交政策の経歴で彼女はあまりに多くの過ちを犯してきた」と批判。各種世論調査のオバマ大統領の支持・不支持率はどちらも40~50%台とほぼ同水準で、クリントン氏はオバマ氏の負の半面も背負って戦うことになります。

さて、日本では大統領選はクリントン氏が優勢との報道ばかりです。これは実は日本では、米国メディアがかなり偏っていて、90%はリベラルであり、保守は10%に過ぎないということが理解されおらず、米国メディアからの情報は米国の半分しか実体を表しておらず、多くの人はアメリカの半分しかみていないという現実が大きく左右しているように思います。わかりやすく言うと、米国のメデイアはリベラルが優勢で、日本にたとえると産経新聞すら存在していないというような感覚です。

これについては、以前このブログにも掲載したことがあり、記事中に動画を掲載したので、その動画を掲載します。


米国のメディアの報道は、かなり偏向しているとみて間違いありません。しかし、日本のメディアは米国のメディアをそこまで偏向していないという前提で、受け取りそれを報道しています。

さらに、日本ではトランプ氏の暴言をかなり問題にする人が結構多いです。これに関しては、アメリカ人では額面通りに受け取る人は少ないです。そのことは日本ではほとんど報道されません。

トランプの発言を額面通りに受け取るべきでない理由は以下の3点によります。

第1に、トランプが今のような極端な政策や発言を続けてていては、大統領本選に残った現在、勝利する可能性は少ないです。

第2に、米国の大統領が議会や社会の合意なしにできることは限られています。日本でも、多くの人が誤解していますが、米国の大統領は、平時においては世界最弱といってもいいくらい権限がありません。しかし、多くの人が米国の大統領にはかなり権限が集中していると思い込んでいます。

それは、おそらく戦時のアメリカ大統領を思い浮かべるからでしょう。第二次世界大戦のときも、ベトナム戦争のときにも、その後のイラク戦争などにおいても、議会が戦争することを承認すると、途端に戦争を遂行するために多くの権限が大統領に集中するようになっています。平時とは全く異なります。

第3に、政治家の選挙での発言がそのまま政策になることは、どのような民主主義国にもない。ましてや1年以上も選挙運動が継続する米国では、大統領候補の選挙戦での公約が守られなかった歴史のオンパレードである。極端なことをいうと、米国では大統領の就任演説時は別にして、その前の選挙運動中の公約など半分以上は履行されないのが普通です。

多くの日本人は、アメリカのメディアはかなり偏向しているという事実と、大統領候補の選挙運動中の公約はあまり守られていないという事実を知らない人が多いです。だから、トランプ報道でもかなり幻惑されている可能性が高いです。

そのため、私は、日本のメディアが報道する内容は、米国のメデイアの内容を偏向がないものとして報道しているものと認識し、米国の報道でも小さなものも見落とさないようにしようと努めています。そうして、大統領選に関してそのような報道内容を見つけました。以下にその内容を掲載します。
トランプ氏がクリントン氏を追い上げ-的中率の高い世論調査で
米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏が支持率を上げつつあるのは、有権者の投票意図を調べる伝統的な世論調査だけではない。 
選挙研究を専門とする学者らによると、誰に投票するつもりかではなく、誰が当選すると思うかと質問する調査の方が的中しやすいことが示されている。 
ただ、この調査で示唆されたクリントン氏勝利の確率低下は、これまでの世論調査の集計が示す状況に比べればはるかに緩やかだ。以下のチャートを見ると、トランプ氏はまだ劣勢だが、全国調査で着実に勢いづいていることが分かる。 
消費者を対象とした8月のミシガン大学調査でこの質問をしたところ、民主党候補ヒラリー・クリントン氏がトランプ氏に大差を付けていたが、9月の暫定集計は差が縮まりつつあることを示した。それによると、クリントン氏のリードを示す数値は8月の43ポイントから37ポイントに縮小した。
 
381世帯を対象としたミシガン大学の調査が行われた8月下旬から9月半ばにかけてはクリントン氏の健康問題が浮上したほか、トランプ氏支持者の半数は「嘆かわしい人々」だとのクリントン氏発言が批判を招いた時期と重なった。 
一方、同調査期間の直後には、トランプ氏がオバマ大統領について米国生まれだと認める短い声明を出したことが大きく報じられた。
原題:Donald Trump Is Gaining Ground on Hillary Clinton in a Crucial Polling Question(抜粋)
このような報道日本では全くされません。まだまだ、トランプ氏の勝利の可能性は捨て切れません。

私としては、ヒラリー氏はオバマ氏の路線を受け継ぐということに危惧の念を抱いています。特に、対中国に関しては、現在はオバマ大統領は、レームダック化しているので、軍のほうも中国に対して厳しい措置をとれるのですが、これがヒラリー大統領が誕生すると、オバマ政権の外交政策などを引き継ぎ、対中国に対しても、オバマ並に及び腰になる可能性があります。

しかし、トランプ氏が大統領になれば、日本対する暴言に関してはもとより、他国に対する暴言も、それを実際に行動に移すことなどほとんどないと思います。

おそらく、リアリストとしての実業家の面が多いに発揮され、現実的な政策をとるようになると考えます。

それに比較すると、ヒラリーの場合は、オバマとあまり変わりないし、クリントン財団が、中国人から多額の寄付を受けているなどの、きな臭い情報もあります。日本にとっては全く良いことはありません。

これから、挽回して是非ともトランプ氏に大統領になって頂きたいです。

それよりも何よりも大統領選挙なども、米偏向メディアに操られたり、大統領選挙活動中の公約はあまり実行されないということを認識して、冷静に大統領選の推移を見守ろうと思います。

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2016年2月19日金曜日

【緊迫・南シナ海】米中、軍事衝突秒読み 米空母が東アジアで2隻展開も―【私の論評】南シナ海の武力衝突の趨勢は米潜水艦により決まり、中国軍はなすすべがない(゚д゚)!


米海軍のCVN-73ジョージ・ワシントンとCVN-74ジョン・C・ステニス空母戦闘群
中国が、南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島に地対空ミサイルを配備したことを受け、東アジアで緊張が高まっている。日米両政府は17日、相次いで懸念を表明した。今後、東南アジア諸国連合(ASEAN)と連携して、中国の軍事的覇権を阻止する構えだ。こうしたなか、米軍が東アジアで、空母2隻を常時展開する可能性が出てきた。(夕刊フジ)

中谷元(げん)防衛相「現状変更を試みる動きは看過できない」

ハリス米太平洋軍司令官「中国の習近平国家主席が約束を守れないことの証左だ」

中谷、ハリス両氏は17日、防衛省で会談し、中国によるミサイル配備を批判した。習氏は昨年9月の訪米時、「南シナ海を軍事拠点にする意図はない」と発言したが、真っ赤なウソだったことが明らかになった。

昨年11月24日、米ハワイのキャンプ・スミスで、ハリス米太平洋軍司令官(左)と会談する中谷防衛相
 米FOXニュースは16日、中国軍がパラセル諸島にあるウッディー(同・永興)島に今月、地対空ミサイル8基を配備したと報じた。米国防当局者と台湾の国防部(国防省に相当)も17日、配備を確認した。

米政府筋は射程125マイル(約201キロメートル)の移動式防空ミサイル「紅旗(HQ)9」としている。部隊の規模は、2個大隊という。

中国軍がパラセル諸島にあるウッディー(同・永興)島に配備した「紅旗(HQ)9」
 ケリー米国務長官は17日、「深刻な懸念」を表明し、「(中国側と)今後数日間で非常に真剣な協議をする」と語った。軍事拠点化の中止を直接要求する方針だ。

ケリー米国務長官
 これに対し、中国国防省は「西沙諸島は中国固有の領土であり、中国は防衛施設を建設する正当で合法的な権利がある」と反論しており、中国がミサイル撤去に応じる可能性は低い。

オバマ米大統領の残り任期が1年を切ったことで、中国は「米国は大胆な軍事作戦を展開できない」と足元を見ているのか。これを放置すれば、中国が南シナ海だけでなく、東シナ海や西太平洋でも軍事的覇権を握り、「航海の自由」を守ってきた米軍が自由に行動できなくなる恐れもある。

危機的現状を受けて、米海軍関係者の間では、世界最強の米空母機動部隊を常時2つ、東アジアで展開させることを議論しているという。

国際政治学者の藤井厳喜氏は「遅きに失した感はあるが、もう1部隊を東アジアに展開させるのは当然の動きだ。オバマ大統領が『米国は世界の警察官ではない』と宣言してから、中国は増長している。日本も、米国やフィリピン、ベトナムと協力して、南シナ海などで共同哨戒活動を行うべきだ」と語っている。

【私の論評】軍事衝突の趨勢は米潜水艦群により決まり、中国軍はなすすべがない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にある米軍の動きに呼応し、自衛隊もすでに行動を起こしています。

海上自衛隊はP3C哨戒機2機を今月18日までの3日間、ベトナム中部ダナンに派遣し、ベトナム海軍と合同で図上の洋上捜索訓練などを実施しました。日本とベトナムの防衛協力をアピールし、南シナ海における中国の実効支配強化をけん制するとともに、自衛隊の存在感を高める狙いがあります。

 海上自衛隊のP3C哨戒機
ベトナムは南シナ海のパラセル(中国名・西沙)、スプラトリー(同・南沙)両諸島の領有権を中国と争っています。

日越両国は昨年11月の中谷元(げん)防衛相のベトナム訪問の際、南シナ海情勢をにらんだ防衛協力強化に向け、人道支援、災害救援目的の共同訓練の実施や、海自艦船のベトナム・カムラン湾への寄港で合意しました。海自P3Cのベトナム訪問は昨年5月以来です。

このブログで何度か掲載したことがありますが、日本の海上自衛隊の対潜哨戒能力は実質的に世界のトップです。そうして、海上自衛隊の対潜哨戒機を南シナ海に派遣する用意はすでにできています。これについては、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。

海自哨戒機、南シナ海飛行拡大へ…中国をけん制―【私の論評】これは中国にとってはかなりの脅威、南シナ海の中国の艦船と潜水艦の動きが丸裸に(゚д゚)!

 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、世界一の対潜哨戒能力を持つ日本の海上自衛隊には米国もかなり期待しています。

この海上自衛隊の対潜哨戒機を南シナ海に派遣することの意義などを以下に述べます。

その最大の意義は、中国の潜水艦を完璧に無力化することにあります。日本の海上自衛隊の対潜哨戒能力を南シナ海で発揮すれば、日本の自衛隊は中国の艦船のすべての動きはもとより、中国の潜水艦の動きも完璧に把握することができます。

そうして、その情報は当然のことながら、米軍にも連絡がいきます。一方、中国の対潜哨戒能力はかなり劣るため、中国の潜水艦に比較すれば、はるかにステルス性の高い米国の潜水艦は、中国側から察知することはできず、この海域を自由に航行できます。

そうなると、何がおこるかといえば、中国がいかにこの地域を軍事拠点化しようとも、米国はほとんど犠牲をともなくことなく、それらをことごく潜水艦により破壊することができます。

中国側からすると、どこに潜んでいるか全く察知できない米国の潜水艦から、いつ攻撃を受けるか事前に全く察知できないわけです。

空母2隻の戦闘群が、表の顔とすれば、潜水艦は裏の顔です。空母は航行すればその姿ははっきりと中国側に捉えられ、空母群が最初に攻撃を加えるということになれば、中国側もそれをすぐに察知して、それに「紅旗(HQ)9」を用いて反撃を加えることができます。さらに、航空機を用いて、反撃することもできるでしょう。

しかし、潜水艦にはそのような対処は一切できません。突如とて米潜水艦からミサイルが発射され、それを防ぐ手立てはありません。また、米潜水艦は、当然のことながら、南シナ海の中国の軍事基地に対する弾薬、燃料、水、食料などの補給を絶つこともできます。

そのような米軍の攻撃に対して、中国側は全く打つ手がなく、大パニックに陥ることでしょう。

USSバージニアの魚雷発射管室内の制御装置
実際に武力衝突が始まるとすれば、米国側は最初は潜水艦による攻撃で口火を切るでしょぅ。先ほども述べたように、米側は、中国の艦船、潜水艦の動向をすべてつかむことができますから、まずは潜水艦によって、これらを無力化できます。これらは、初戦ですべて海の藻屑と消えます。

その後に、米潜水艦は、中国のミサイルや、その他の軍事的脅威を標的に攻撃をしかけ、これらも無力化することでしょぅ。

その後に、空母戦闘群が攻撃を加え、中国の軍事基地を無力化し、その後で海兵隊が上陸し、島嶼の基地を破壊し、戦闘員を殺害するか、捕獲して、比較的短時間に米軍の勝利に終わります。

米軍バージニア級原子力潜水艦
万に一つも、中国側に勝つ見込みはありません。中国軍は、最初から最後まで、苦しい戦いを余儀なくされるでしょう。

このように、南シナ海では日本の海上自衛隊の対潜哨戒に中国軍の監視と、米側の潜水艦による戦いにより、またたくまに趨勢が決まり中国側は、なすすべがなくなることでしょう。

そうして、当然のことながら、すでに米国の潜水艦は、南シナ海に派遣されており、いつでも攻撃ができる体制を整えていることでしょう。空母やイージス艦などは、これらを米国が南シナ海に派遣すれば、それは中国側にも、南シナ海の近隣諸国にもすぐに知られてしまうので、米側もこの海域に派遣することなどすぐに発表します。

しかし、潜水艦は違います。潜水艦はあくまで隠密行動で、米側も何も発表しません。しかし、まず間違いなく、派遣していることでしょう。

もしかすると、米原潜は、中国の潜水艦に突如として、ソナーを照射して、中国の乗組員らを震撼させているかもしれません。

そうして、上記で述べたようなことは、習近平をはじめとする中国の要人たちが、もっとも良く理解していると思います。にもかかわらず、綱渡りをしなければならない、中国の厳しい現実があります。

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