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2017年1月8日日曜日

防衛施設周辺で外国資本の土地取得規制に向け調査可能に 自民が通常国会に法案提出へ―【私の論評】オホーツク海を支那原潜の聖域にさせるな(゚д゚)!


インターネットで売られる日本の離島 転売に規制はない
自民党は今月20日召集の通常国会で、自衛隊など防衛施設周辺の安全保障上重要な土地の外国人や外国資本による買収の規制に向け、政府が土地取得や利用の実態調査を可能にする法案を提出する方針を固めた。規制以前の問題として調査さえ十分に行えない現状を打開する狙いがある。公明党や日本維新の会に賛同を呼びかけ、早期成立を目指したい考えだ。

 法案は安倍晋三首相(党総裁)の意向を受け、自民党の安全保障と土地法制に関する特命委員会(委員長・佐藤正久参院議員)がまとめた骨子をたたき台に作業を進めている。

 防衛相が自治体などの意見を参考に自衛隊施設の周辺に一定の調査対象区域を指定し、所有者らに必要な報告と資料提供を求めることや立ち入り調査も可能にする内容。規制はその後の課題とする「二段階」の手続きを想定している。

 外資による安保上重要な不動産の取得をめぐっては、韓国資本による長崎県・対馬の海上自衛隊基地周辺の土地取得や、支那人が北海道などの自衛隊施設周辺の不動産を取得したことが明らかになっている。

 しかし、政府による調査は実態を反映しているとは言い難い。昨年2月の衆院予算委員会で当時の中谷元(げん)防衛相は、平成25年以降、陸海空の自衛隊施設や米軍基地の隣接地の現況を確認した結果として「住所が外国に所在し、氏名等から外国の方と類推される方が2筆確認された以外は、確認されていない」と述べた。日本各地にある防衛施設の隣接地の調査には膨大な人員と時間がかかり、そもそも防衛省には強制的に調査を行う権限がない。

 公明党は基本的に歩調を合わせるとみられるが、「自由な経済活動を阻害する恐れがある」との異論もあり、調整が難航する可能性もある。

 こうした中、自民党が連携を模索しているのが維新だ。維新は昨年の臨時国会で土地取引の制限も行う独自法案を提出している。維新幹部は「現実的には自民党案に乗ることになるだろう。できれば修正を勝ち取りたい」と語っている。

【私の論評】オホーツク海を支那原潜の聖域にさせるな(゚д゚)!

こちらは、北海道の札幌市です。北海道というと、近年起きている最も由々しき事態は、外国資本、とくに支那系資本による不動産の買収です。支那の領土をめぐる問題といえば、尖閣諸島沖の活動がマスコミで取り上げられるので、国民はそちらにぱかり目を奪われていますが、その間、北海道では支那人たちが着々と土地を取得し、実質的な侵食が確実に進んでいます。

2016102202

海外資本による水源地の買収状況
森林や水源地の買収については、やっと外国資本の買収を監視・制限する条例を北海道が制定しましたが、今も支那系資本の動きは止んでいません。支那と関係のある日本企業が買収しているケースや、支那企業が日本企業を買収し、そのまま所有権を引き継ぐケースもあり、実態把握が困難なのが実情んのです。

支那の土地買収問題はさらに厄介な方向に進んでいます。今、道内ではおもにバブル期にニーズも考えずに建設されたリゾート施設やゴルフ場が、次々と支那系資本に買収されているのです。

具体的な例を上げると、2003年、594億円の負債を抱えて民事再生法の適用を受けたゴルフ場が、2011年に香港を本拠とする投資会社BOAOに買収されました。このコースは、元々、東京のマンション業者が開発したゴルフ場でしたが、そこが2003年に民事再生法を申請したため、オープンには至らず、休眠状態となっていました。その後、香港、支那の投資家が出資してこのコースとその周辺の計210ヘクタールを約30億円を投じて取得、クラブハウスの建て替えとコース改修など開発を進め、「一達国際プライベートゴルフクラブ」と改名し、2014年にオープンしました。

「一達国際プライベートゴルフクラブ」のコース
買収した投資会社の役員は、「ここに将来、支那の五輪強化選手用の施設を作る構想がある」と語ったといいます。五輪級の選手が、最適な環境を求めて自国外で調整を行うケースは少なくありません。日本の選手らも外国で強化合宿を行っています。しかし、だからといってこの発言を「問題なし」として看過するのは間違いです。

なぜなら、相手があの全体主義国家の支那だからです。投資会社役員の発言は、この施設買収が単なる一民間企業の投資行動ではなく、支那共産党との強いパイプがあることを物語っています。

BOAOの元理事には蒋暁松という人物がいます。支那・海南島のリゾートを運営する支那人実業家です。過去に彼は、和歌山県の那智勝浦・太地町にあり2003年に事実上破綻した大規模年金施設「グリーンピア南紀」の跡地開発の疑惑に絡み、名前が挙がったことがあります。グリーンピア南紀の跡地開発が、通常の手続きを経ず、不明朗なままBOAOが請け負うと決められたからです。

蒋暁松(左)
この決定には、和歌山選出の自民党国会議員で新支那派と言われる二階俊博氏の強い後押しがあったとも報じられました。北海道内で、支那系資本による明らかに不自然な不動産買収の実態が多々あるにもかかわらず、地元の政官界からほとんど懸念の声が上がらない背景には、こうした日本の中央で力をもつ政治家らが暗躍しているという事情もあるのです。

自民党幹事長 二階俊博氏
支那マネーが道内ゴルフ場の買収に意欲を見せているのは、増大している支那人観光客を対象にした、ゴルフをセットにした旅行プランの需要が高まると見ているようです。中には、金に糸目をつけずにマイ・ゴルフ場としてコースを探している富裕層もいるといいます。

さらにもう一つ、支那が道内の森林を買っているのは水資源が目的ですが、勝手に川や沢から水を採取することはできないため、牧場やゴルフ場を取得して地下水をくみ上げようという狙いもあるようです。実際、地下水のくみ上げに関しては規制がなく、水脈を探し当てれば自由に水を確保することができるのです。

また、世界的な食糧不足が確実にやってくるとして、道内で農業ができる土地を確保しておこうという思惑もあるようです。ゴルフ場を農業用地に転用する目的で取得しようというのです。我々はゴルフ場といったらゴルフ場の価値しかないと思っていますが、彼らは木や池があって整地されていて開墾の必要もない農業用地として適していると見ています。水と農業は、支那系資本が道内の土地を買収する大きな動機になっているのです。

さて、北海道ではこれ以外にも大きな問題があります。それは、自衛隊駐屯地の近隣の支那人による土地購入です。その事例をあげておきます。

千歳市では、2010年、約17棟の別荘が建設されましたが、購入したのはすべて支那人。住宅には不釣り合いなパラボナアンテナがいくつも設置されています。ここは、航空自衛隊の千歳基地、陸自の千歳・恵庭演習場から2、3キロメートルしか離れていないません。

パラボラアンテナが設置された別荘
上の写真は、2014年8月撮影したものです。場所は新千歳空港や陸上自衛隊・航空自衛隊の近くの北海道千歳市文京1丁目です。
家のベランダではなく共用部に受信のためだと思われる大きなアンテナが設置されているのが4つ程確認できました。車庫は見当たりませんでした。

またどのような用途かはわかりませんが、窓に外からは電気が点いているか確認しづらく見えるフィルムが標準装備されていました。

登記情報を調べたところ17棟中16は支那人の所有でした。残りの1つはニトリ家具の取締役の名前で所有されていました。ただそこの表札の名前は、姓はニトリの取締役でしたが名は支那人の様な名でした。

岩内町(いわないちょう)では、泊原発の原子炉3基が目視できる高台に支那人が別荘を購入しているといいます。ここへは、札幌から車で3時間近くかかります。こんなところに、わざわざ別荘を買う理由は、一体何なのでしょう。

倶知安町(くっちゃんちょう)自衛隊駐屯地から3キロメートル以内に外資が所有する土地が3件、トータル109ヘクタールあります。そのうちのひとつは香港資本のものですが、買収から8年近くたってもそのままです。

北海道・俱知安町で売りに出されれている山林
こうした支那人による、日本国内の土地の所有に関しては、常に大きな危険が伴っています。

多くのみなさまがすでにご存知の通り、2010年7月に支那共産党政府が成立させ、施行した国家総動員法(国防総動員法)は、同国の国防に関わる有事にいたった場合に、国内外の支那(China)国籍者の財産の接収(没収)、同国籍者の徴兵(国内・在外を問わない同国籍者の徴兵(兵員化)と、および、同国内での外国資本の没収まで含まれています。 

何故、このような法律を性急なまでに施行したのでしょうか。その目的は、支那共産党政府がごく近い将来に有事(および戦争)の発生を想定してのことで、たとえば、対日政策の上では、侵攻による沖縄県尖閣諸島、さらには沖縄本島の収奪・領土化とそのための有事を視野に入れてのことであろうことは疑いの余地も有りません。もとより、沖縄の領土化は日本本土を次の視野に入れてのことで、日本の属国化、ひいては「日本自治区化」を想定していることでしょう。

注目すべきは、在日支那国籍者もこの法律の動員対象となっていることです。登録されている同国籍者だけでも「687,156人(2010年12月末時点の統計)に上り、その他“観光”などで一時的に渡航して来ている者や15万人を超えたとされる同国の留学生も、「有事」発生時点での動員対象になります。さらに、後者の一時的渡航者、留学生の中から絶えない「法律上は日本に存在していない」はずの不法残留(オーバーステイ)者や、さらには、数値ではその掌握が測りかねる不法滞在者(密航者)もその例外ではありません。

さらに、民間偽装での入国の末に偽装帰化した“元支那国籍者”(その正体は人民解放軍の民間偽装の兵員であったり、対日工作員であったりとの指摘も絶えない)要員で、実質的に支那共産党に忠誠を誓っている者も、いざ同法が適用となる際は上記に準ずることになるでしょう。

結果、総動員法のもとで兵員化し得る人員数では、トータルで百万人を超える可能性も否定できません。高齢層や幼年層、亡命者の数を差し引いたとしても、相当の「兵力」になるはずで、支那本国が擁する二百万人を超える人民解放軍に実質合流することになります。

これは、支那共産党政府のスイッチ「ON」一つで、それまでの“文化交流”や“経済交流”“観光”などの名目下で、巧みなまでに日本に埋め込まれて来た時限装置が一気に同時多発的に爆発することを認識すべきです。その時には、自ずと支那人の所有する日本国内の土地建物は、日本攻略の前進基地になることはいうまでもありません。 

北海道は、自衛隊を削減する動きもあります。尖閣、沖縄を含む南西諸島付近には支那艦船が出没したり、支那航空機が出没したりするので、それに対する対抗措置として、この方面での自衛隊を強化するという意味があるのでしょうが、北海道の現状をみれば、これはあまりに無防備です。

皆さんご存知のように、北海道はオホーツク海に面しています。このオホーツク海は、旧ソ連や現ロシアが、戦略原潜の聖域としています。

オホーツク海の水深は深く、そこに戦略原潜を潜ませておけば、敵に動きを察知されることなく、SLBM(潜水艦発射型各弾道ミサイル)を発射することができます。支那が、南シナ海にこだわるのは、支那近海に深海が存在しない支那にとっては、南シナ海は手近な戦略原潜の最有力候補なのです。

しかし、これに対しては米国や周辺諸国も黙ってはいません。南シナ海での支那が手詰まり状況になれば、支那はオホーツク海を次の支那原潜の聖域の最有力候補とするかもしれません。現在のロシアは冷戦当時のソ連とは異なり、かなり弱体化しています。いずれロシアをこの海域から追い出し、そうするかもしれません。

ロシア核戦略の聖域・オホーツク海
その時には、北海道の一部もしくは全域が、支那の攻撃対象となり、北海道が支那に占領されるかもしれません。このシナリオも全く荒唐無稽とはいえません。そんなことにならないためにも、ロシアとはある程度協調しておく必要があるのです。

これを考えれば、防衛費を増やし、少なくとも2%台にして、南西諸島の守備を強化するとともに、北海道の守備も強化すべきです。

それにしても、問題なのは、このような問題があるにもかかわらず無為無策だった行政機関と政治家です。支那の大金持ちや特権階級が、冷え切った日本の不動産市場や金の欲しい連中を見透かすように、札びらを切って土地を買収する。これを、日本社会に「支那頼み」の構図を作り上げる支那側の間接的な侵略工作の成果と見ることもできるでしょう。

しかし、そもそもこれは我々日本人、日本社会が長年にわたり自ら蒔いてきた種が結実した結果ではないでしょうか。政治家の売国的な手引きや政策決定、行政の無責任な対応。すべては日本側の自業自得と思えてなりません。「支那けしからん!」と叫ぶ前に、自らの足元を見つめ直すべきです。

おくればせながら、ブログ冒頭の記事のように自民党は今月20日召集の通常国会で、自衛隊など防衛施設周辺の安全保障上重要な土地の外国人や外国資本による買収の規制に向け、政府が土地取得や利用の実態調査を可能にする法案を提出するそうです。

それだけにとどまらず、条件付きで、支那人所有の土地を含めた資産などを国家が取り上げることができる法律を一日でもはやく成立させるべきです。また、科武装集団に対する反撃などを想定した法体系も早急に作っておくべきです。

支那の土地買い占めによる、北海道の間接的な占領は、近いうちに必ず断念させなければなりません。

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【緊迫・南シナ海】支那海軍艦船が米海軍の無人潜水機奪う 米政府は「国際法違反」と非難―【私の論評】南シナ海を支那戦略原潜の聖域にする試みは最初から頓挫か?



首相、支韓の土地買収封殺へ法整備決意 「安全保障に関わる重要問題」―【私の論評】この国が総合商社「人民解放軍」を持つ支那や小判鮫韓国にならないうちに、極悪非道外国人による土地買収規制法だけでなく、スパイ防止法も導入せよ\(◎o◎)/!



2016年12月17日土曜日

【緊迫・南シナ海】中国海軍艦船が米海軍の無人潜水機奪う 米政府は「国際法違反」と非難―【私の論評】南シナ海を中国戦略原潜の聖域にする試みは最初から頓挫か?


中国軍艦が奪った無人水中探査機の同型機
米国防総省のジェフ・デービス報道官は16日、南シナ海で米海軍の無人潜水機が、中国海軍の潜水艦救難艦に奪われたと明らかにした。米政府は国際法違反と非難し、中国政府に即時返還を要求している。

 事件があったのは15日、フィリピン北部ルソン島にあるスービック湾の北西約93キロの海域。米海軍の測量艦「バウディッチ」が、2機の無人潜水機を回収しようとしていたところ、潜水艦救難艦が約450メートルのところまで近づき、小型ボートを出して1機を奪った。

米海軍の測量艦「バウディッチ」
 バウディッチは無線で返還を求めたが、潜水艦救難艦は応答せず要求を無視した。デービス報道官は中国の行動を「国際法違反」と批判した。

 報道官によると、無人潜水機は海水の温度や塩分濃度、透明度といった「非機密扱いの情報」を収拾していた。ただ、無人潜水機によって収集された海底の地形などを含む情報は通常、潜水艦の航行や対潜水艦作戦に活用されている。

 米海軍艦船はスービック湾を使用し、その沖には中国とフィリピンが係争するスカボロー礁もあり、今回の事件の周辺海域は“前線”の一つとなっている。

【私の論評】南シナ海を中国戦略原潜の聖域にする試みは最初から頓挫か?

さて、今回の中国艦船による、無人水中探査機の強奪については、どのメディアもあまり詳しく解説してはいないものの、これは軍事的にはかなり大きな意味を持つかもしれません。

この無人潜水艦に関しては、冒頭の記事を読んでいるだけでは、どのようなものなのかあまりわからないと思います。実は、これについては以前このブログに掲載したことがあります。

女子生徒が航空機内から撮影した北朝鮮ミサイルの可能性がある
被写体。右側に飛行機雲のような筋が見える=8月24日午前。
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、無人水中探査機に関する部分のみ以下にコピペします。
さて、空中のドローンに関しては、まだ、想像の域を超えていないのですが、それに良く似たものである、水中ドローンに関しては、すでに日本は開発を終えています。

それは、シーグライダーと呼ばれています。その外観はロケットに似ています。その小さな翼で水中を進み、毎時1キロメートル未満で非常にゆっくり移動します。電力消費量は極めて少ないです。

分解したシーグライダー ワシントン大学応用物理研究室が、
地球温暖化による氷河の変化を観察するため開発したもの
 結果として、それは一度に何ヶ月も海中にとどまることができます。2009年には、一挺のシーグライダーが、一回のバッテリー充電のみで大西洋を横断しました。横断には7ヶ月かかりました。
シーグライダーのおかけで、科学者たちは、以前には不可能だった多くの事ができるようになっています。シーグライダーは、海底火山を観察することができます。氷山の大きさを測ることができます。魚の群れを追うことができます。

上で掲載したシーグライダーを水中に投下するところ
さまざまな深度で水中の汚染の影響を監視することができます。科学者たちは、シーグライダーを利用して海底の地図を作成することまでも始めています。

シーグライダーはすでに、数ヶ月も継続する任務を遂行することが可能になっています。ところが、日本の研究者は現在、SORAと呼ばれる太陽光発電を使ったグライダーを開発中で、この船は再充電のために2、3日間海面に出れば、その後作業を続けられます。結果として、必要な何年も海に留まることができます。
理論的には数年間探査が続けられるソーラーパネルを装備したシーグライダー
 現在、シーグライダーを製造するにはおよそ15万ドル費用がかかるとされていますが、それがなし得ることを考えれば、その費用は非常に小さいです。シーグライダーを使えば、企業は石油とガスの探索のために海底調査ができますし、政府は軍事情報を収集できます。
シーグライダーは敵に見つかることなく海面にいる船舶や、近くを通り過ぎる有人潜水艦を特定できます。日本では、軍事転用はまだのようですが、日本の技術をもってすれば、容易にできることです。
この内容は、たまたま私が用いている英語学習教材の『毎日の英速読』というテキストから、日本語訳の部分を引用して加筆したものです。このシーグライダーもしくは、それに似たものが、今回中国の艦船に強奪されたものだと推定できます。

さて、南シナ海というと、中国がなぜ南シナ海にあれほどまでにこだわっているのか、それに関してこのブログに以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国の膨張路線は止まらないが国際社会から強い逆風 南シナ海のハーグ裁定―【私の論評】通常戦力で勝ち目のない中国は、南シナ海に戦術核を配備する(゚д゚)!
オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所(PCA) 
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、結局中国がなぜあれほどまでに、南シナ海に執着するかといえば、中国近海や、東シナ海などは海が浅いため、そこを中国の戦略原潜(SLBM搭載)が航行した場合、日米によりいとも簡単にその行動を逐一発見されてしまうのですが、南シナ海は深いので、その深いところを航行するとなかなか発見しずらいので、ここを中国の戦略原潜の聖域にしようとしているからです。

南シナ海の平均深度は1200メートル以上です。海盆の平均水深は3500メートル、最深部は約5600メートルにも及びます。中国は戦略ミサイル原潜を4隻配備し、潜水艦発弾道ミサイルを核抑止力の重要な柱にしています。

南シナ海から米軍を追い払えば、冷戦時にソ連が戦略原潜(SLBM搭載)をオホーツク海に潜ませたのと同じように、中国は南シナ海に戦略原潜(SLBM搭載)を自由に展開できます。海南島を出発した最新型の潜水艦が深く潜航し、台湾とフィリピンの間のバシー海峡を通って西太平洋に抜けることが可能になるのです。

従来は深海から発射される核弾頭(SLBM)はなかなか発見できなかった
これにより、中国のSLBMは米国本土全域を標的にすることができるのです。ところがです、軍事目的のシーグライダーが南シナ海に配備されているとなると、中国のこの目論見は完全に外れてしまうことになります。

このシーグライダーは、当然中国の戦略原潜の動向もキャッチできるものと思われます。今回中国に強奪されたものはどのようなものかはわかりませんが、中国としては、このシーグライダーにかなりの脅威を感じているようではあります。

中国がせっかく、長年努力を傾注して、南シナ海を中国原潜の聖域にしようとしても、米国側に南シナ海にシーグライダーを多数設置し、中国原潜の動向を探っていたとしたら、そもそも聖域になりません。

米軍が、このシーグライダーを南シナ海の各所に多数配置して、有人潜水艦や、無人潜水艦、空中ドローン、イージス艦など多数配置して、これらを連動させるようにすれば、中国戦略原潜が不穏な動きをみせれば、すぐに撃沈できるようになります。

イージス艦、潜水艦、空中ドローン、シーグライダーの連携作戦の模式図
実際、今回中国側に捕獲されたシーグライダーがどの程度の能力のものかはわかりませんが、シーグライダーを戦術的に活用しようとするなら、今はそこまではいっていなくても、将来はそのようにするのは当然のことです。

そうして、中国では未だシーグライダーの技術は進んでいないと思われます。今回の強奪は、米軍のシーグライダーがどの程度の能力を持っているか確かめるためと、中国もシーグライダーを開発するため、技術を盗むという目的もあるものと思います。

もし、今回強奪さた米軍のシーグライダーの技術水準が高ければ、すでに中国による、南シナ海の原潜の聖域化は頓挫してしまっているかもしれません。

日本も、シーグライダーの軍事転用はすでに実行しているのかもしれません。実行していようがいまいが、日本も当然のことながら、軍事転用をして、中国原潜の動向を詳細に探索できるようにし、中国海軍を丸裸にして、日本の安全保障を確かなものにすべきです。

日米の数百ものシーグライダーが、南シナ海での中国原潜の動向を逐一探索できるようにすれば、中国の南シナ海の領有化は全く無意味なことになる可能性が大です。

それどころか、このシーグライダーのさらなる開発により、SLBMを所有する核保有国は、核戦略の見直しを迫られることになるかもしれません。

「はやぶさ」などで遠隔操作に実績のある日本が、本気で軍事シーグライダーや、軍事ドローンなどを開発したら、世界のトップレベルのものができます。そうなると、比較的低予算で、満足のいく安全保障策が実行できるようになります。

私の勝手な妄想ですが、海中では、無数のシーグライダーと自動運転魚雷が待機していて、敵が不穏な動きを見せたら、シーグライダーがそれを探知し、必要があれば、自動運転魚雷が即座に敵の艦艇などを撃沈するなどのシステムができたら良いと思います。

空中でも、少なくとも数週間から、数ヶ月くらい飛ぶこのできる軍事探査ステルス・ドローンが常時複数日本の領空・領海上を24時間飛び回り全域を哨戒し、敵が不穏な動きを見せれば、ドローンより、探査情報がこれも多数配備された日本のミサイル基地に連絡がいき、即座に敵のICBMや、SLBM、航空機などを破壊できる仕組みができたら良いと思います。このような仕組みができれば、そもそもスクランブルなど必要がなくなります。

それにしても、ここにきて、軍事技術の急展開がありそうです。そうなれば、ロシアなどの軍事技術も時代遅れになるかもしれません。そうして、日本が世界のトップクラスに躍り出るかもしれません。

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2016年8月3日水曜日

これぞ海上自衛隊の「秘中の秘」 中国軍が最も忌み嫌う音響測定艦「ひびき」「はりま」の知られざる活動とは―【私の論評】その目的は南シナ海を中国原潜の聖域にさせないこと(゚д゚)!

これぞ海上自衛隊の「秘中の秘」 中国軍が最も忌み嫌う音響測定艦「ひびき」「はりま」の知られざる活動とは

外国潜水艦の音紋を収集する音響測定艦「ひびき」
秘密が多い自衛隊装備の中でも、二重三重のベールに包まれているのが海上自衛隊の音響測定艦「ひびき」と「はりま」だ。同じ呉基地(広島県)を母港とする艦艇の乗組員も「どこで何をやっているのか詳しく分からない」と口をそろえる。

音響測定艦が戦っている“敵”はロシアや中国など外国軍潜水艦の音だ。

潜水艦のスクリュー音はそれぞれに特徴があり、あらかじめその特徴を把握していれば、どこの国のどのような型の潜水艦が航行しているのかを特定する決め手となる。警察官が犯人を追い詰めるため指紋を重視しているのと同じように、自衛隊は各国潜水艦の「音紋」をデータベース化している。

音響測定艦はこの音紋を収集している。空から潜水艦の動きを監視する哨戒機や、海中に潜む潜水艦が相手方潜水艦のスクリュー音を探知し、集積されたデータをもとに船の身元を特定する。

自衛隊が平成3年と4年に「ひびき」と「はりま」を相次いで就役させた背景には、冷戦時代末期にソ連が技術開発を進め、潜水艦が発する音が静かになったことがある。潜水艦の最大の強みは、敵に気づかれず攻撃を加える能力。ソ連潜水艦の位置を正確に把握することが、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)などの無力化につながる。

音響測定艦「はりま」
 潜水艦を発見・追尾する対潜水艦戦を得意とする海自にとって、音響測定艦は不可欠な存在となっている。その音響測定艦の能力を知られることは将来の対潜戦を不利にしかねないため、海自内でも秘中の秘となっているのだ。

乗員約40人の「ひびき」は全長67メートル、幅29・9メートル。艦尾から水中に投入する曳航(えいこう)式ソナー・SURTASSで広範囲に耳を澄ませ、海自艦が集めた音紋データは米軍と共有しているとみられる。2隻の船をつないだような船体は「双胴型」と呼ばれ、自衛隊艦船としては初めて採用された。この船体により、嵐の中でも安定的に航行できる。

音響測定艦は冷戦終結後もロシア潜水艦の音紋を集め続けているほか、潜水艦能力の増強を続ける中国も主なターゲットとなった。25年5月に沖縄県久米島周辺の接続海域で中国の元級潜水艦などが航行した際は、米海軍の音響測定艦インペッカブルとともに「ひびき」も投入した。これに対し、中国側は日米の動きを妨害するため水上艦を展開し、音響測定艦を追尾したとされる。

米海軍の音響測定艦インペッカブル
 21年3月には中国・海南島南方沖で航行していたインペッカブルが中国のトロール漁船5隻に包囲された。同年5月にも音響測定艦ビクトリアスが黄海の公海上で中国漁船から航路妨害を受けた。

有事の際、西太平洋における米軍の行動の自由を奪うことを目標とした中国の「接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略」の中で、潜水艦は中核的な役割を果たす。それだけに、中国にとって日米の音響測定艦の存在は天敵ともいえる。

【私の論評】その目的は南シナ海を中国原潜の聖域にさせないこと(゚д゚)!

まずは、音響測定艦に関して、さらに説明を加えることとします。

音響測定艦(おんきょうそくていかん)は、現代の軍艦の一種。音響測定艦は、海上自衛隊の呼称であり、アメリカ海軍では海洋監視艦(Ocean Surveillance Ship)と呼びます。武装はほとんど施されていませんが、長大な曳航聴音アレイシステムを搭載し、それによる潜水艦の探知を目的とします。聴音システムは探索曳航アレイシステム・SURTASS(Survellance Towed Array Sonar System,サータス)とも呼ばれます。 探知距離は、旧式原子力潜水艦で約100km程度と言われています。

冷戦期において、西側各国におけるソ連海軍の潜水艦の脅威は切実なものであした。潜水艦探知のために、海洋の各所にSOSUSシステムと呼ばれる固定聴音システムを整備したのでしたが、SOSUSが整備できない地区向けや機動的な潜水艦の探知のために特に聴音システムに優れた艦を整備することが検討されました。

このために開発されたのが、音響測定艦です。艦体は小型・低速ではあるのですが、静粛性に優れ、艦尾には曳航アレイを海中に投入するための設備を持ちます。静粛性と安定性を求めたために、アメリカ海軍のビクトリアス級音響測定艦やインペカブル級音響測定艦、海上自衛隊のひびき型音響測定艦は双胴のSWATH船型となっています。

中国の音響測定艦「北調991」
最初の音響測定艦はアメリカ海軍のストルワート級音響測定艦であり、1984年に就役しています。SURTASSは展張時、搭載艦の運動に制限を与えてしまうため、より簡易化したTACTASS(タックタス:戦術用タス)が巡洋艦、駆逐艦(海上自衛隊の護衛艦に相当)に装備されています。

10kt(ノット)以下で運用できるものの、艦に運動制限を加え、探知についても概略探知方位と虚像が同時に探知され、さらに艦首尾方向は不感域になるなど、用兵者には倦厭される探知ソースではあります。しかし1CZ(Convergence Zone、収束帯)域、2CZ域での探知能力は、外洋においては評価されるべきものでしょう。

最新型のアメリカ駆逐艦アーレイバーク級ではTACTASSが搭載されておらず、沿岸侵攻を第一目標とするアメリカ海軍の思想が現されています。なお潜水艦に搭載されているTACTASSはSTASS(サブマリンタス)と呼ばれますが、性能的にはTACTASSと同様です。STASSの特徴は、STASSを展張した際、聴音捜索と同時に、潜水艦が自身の放射雑音レベルの測定に用いる点にあります。

SURTASSはパッシブを基本とした曳航聴音アレイシステムであり、約2kmのワイヤーによって長さ数百mのハイドロフォンシステムを曳航するというものです。1990年代以降は、潜水艦の静粛化にともない、一部の艦にはハイドロフォンとは別に曳航式の低周波高出力アクティブソナー(Low Frequency Active, LFA)を装備している艦も出てきています。

また、海上自衛隊では東芝機械ココム違反事件によりクローズアップされた、ソビエト連邦海軍の原子力潜水艦の静粛性向上対策として、アメリカの技術指導の下、ひびき型音響測定艦2隻を建造しました。これにより、平時からソ連潜水艦の音響データ収集の向上を図るものでした。ただし、後に東芝機械のココム違反は、事件とソ連原潜の静粛性にまったく因果関係がないことが明らかとなっています。

音響測定艦は、パッシブソナーによる潜水艦の音紋採集が任務ですが、1990年代以降、アメリカ海軍に所属する音響測定艦が低周波高出力アクティブソナーを稼動させるたびにクジラやイルカが大量に座礁するという事件が多発しており、環境保護団体による非難が出ていました。これは、アクティブソナーの大音響が海棲哺乳類の感覚に打撃を与えているためだといわれています。そのために、アメリカ海軍においては、低周波高出力アクティブソナーの使用海域を制限しています。

また、冷戦終了後、潜水艦の脅威が減少したためにアメリカ海軍では音響測定艦の一部を別任務に転用しています。これはSURTASSシステムを降ろし、対空レーダーを増備、麻薬密輸組織の監視に使用するものです。主にカリブ海からメキシコ湾岸にかけて展開しています。また、民間人が乗り込むようになり、地球環境の観測にも使用され、地殻変動により発生する極低周波の観測など地学研究の機材としても利用されています。

さて、2012年辺りから、米軍の音響測定艦が日本の港に寄港している姿が、よく見られるようになりました。

米軍音響測定艦3隻が並んだ米海軍佐世保基地の立神岸壁(手前から
インペッカブル、エイブル、エフェクティブ)(2012年11月30日撮影)
沖縄のホワイトビーチに、2隻の音響測定艦が並んだ(2010年9月2日)
米軍が新鋭艦としてしは6隻程度しか保有していない音響測定艦を、佐世保に3隻同時寄港、あるいはホワイトビーチに2隻同時寄港させているということからは、米軍の意図が透けて見えてきます。

佐世保やホワイトビーチでは、乗員の休息と補給を行っていると見られています。つまり、佐世保や沖縄に近い海域において、これらの艦艇が重点的なパトロールを行っているということです。

北朝鮮の潜水艦は、質も量も非常に乏しいため、これら音響観測艦の目標は、中国の潜水艦であると言えると思います。

つまり、米海軍は、世界各国の潜水艦の動静に払う関心の半分以上を、対中国に向けているということです。

しかも、この潜水艦に対する対中シフトは、近年になって急激に強化されたものです。
定着した音響測定艦と測量艦」(リムピース12年1月26日)

以下に少し古い資料を掲載します。

特殊艦艇の佐世保への寄港状況 同記事より転載
少し字が潰れてしまっていますが、紺色の線は音響測定艦、ピンクは測量艦、緑は弾道ミサイル駆逐艦です。
佐世保への音響測定艦の寄港回数・停泊日数  同記事より転載

海底地形等、地誌データと呼べる資料は、以前から継続して調査がされている反面、潜水艦の動静を探る音響測定艦は、2009年あたりから急激に日本近海で活動していることが分かります。

これらリムピースの記事は、米海軍の中国潜水艦に対する脅威認識と衝突の可能性に関する認識が、ここ数年で急激に高まっていることを示す明確なデータです。

そうして、米軍のこのような動きに呼応して、日本の音響測定艦も日々、中国の潜水艦の動向を探っているに違いありません。

なぜ、そのようなことをするかといえば、やはり以前このブログでも掲載したように、南シナ海を中国の戦略型原潜の聖域にしたくないからです。

中国による、南シナ海の戦略型原潜の聖域化については以前にもこのブログで掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国の膨張路線は止まらないが国際社会から強い逆風 南シナ海のハーグ裁定―【私の論評】通常戦力で勝ち目のない中国は、南シナ海に戦術核を配備する(゚д゚)!
中国によるスプラトリー諸島にあるファイアリー・
クロス礁の完成した飛行場(昨年9月20日撮影)

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中国の南シナ海の環礁を埋め立て、軍事基地化する目的は、結局のところ、南シナ海の深い海に、中国のSLBM(潜水艦発射型弾道弾)を配備した戦略型原潜を他国に知られることなく、潜ませることにあります。

ここから、西太平洋に抜けると、さらにアメリカ本土に近くなり、アメリカ全土が中国のSLBMの射程距離内に収まります。

潜水艦で深いところに潜行すれば、他国に悟られることなく、核による先制攻撃や、報復攻撃をすることができます。これを戦略原潜の聖域化と呼びます。

米国にとっての本当の脅威は中国による南シナ海の支配そのものではなく、南シナ海の聖域化なのです。

これに対する対抗措置が、米軍による、音響測定戦による中国戦略原潜の探査なのです。日本にとっても聖域化は脅威であり、これに対する対抗措置として、日本も音響探査戦を運用し、中国の原潜の動向を探っているのです。

目に見える、中国による南シナ海の埋め立てや、米軍による南シナ海への艦艇覇権は、氷山の一角にすぎません。本当の中国の狙いは、南シナ海の聖域化であり、米国や日本の狙いはその阻止です。

中国の潜水艦は、工作技術が日本よりはるかに劣っているので、通常型であろうが、原潜であろうが、まるでドラム缶をドンドン叩きながら、水中を進んでいるようなものです。ですから、日米ともに、中国の潜水艦の動向は、かなり詳しく把握しているものと思われます。日米は、役割分担をして共同して中国の原潜の動向の詳細を把握していることでしょう。おそらく、中国の原潜の行動は丸裸にされているものと推測します。

中国の原潜が不穏な動きをすれば、それはすぐに発見されて、米軍はすぐに対抗措置をとるでしょう。それとは対照的に、日本の特に「そうりゅう型」潜水艦は、かなり音が小さいため、中国の音響測定艦ではなかなか発見できないといのが実情です。これには、中国海軍はなす術が無いです。実戦となれば、海の藻屑と消えるのみです。

日米の協力によって、中国による南シナ海の聖域化は是が非でもやめさせなければなりません。そのための、対抗措置が日米による音響測定艦による探査なのです。

多くの人は、日米が中国の南シナ海での埋め立ての暴挙を許してしまったことを非難するかもしれません。しかし、日米は今でも中国の真の意図を挫いていましす。これからも、挫き続けることでしょう。

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2015年5月26日火曜日

人民解放軍に激震 習政権が軍部のカネの流れを徹底調査 聖域を破壊 ―【私の論評】習の戦いは、中国の金融が空洞化し体制崩壊の危機状況にあることを露呈した(゚д゚)!

2015.05.26

今度は人民解放軍にメス。習氏のもくろみは吉と出るか。写真はブログ管理人挿入。以下同じ。
腐敗官僚の撲滅を進める中国・習近平国家主席が人民解放軍への攻勢を強めている。取り締まりを主導する党中央規律検査委員会が、胡錦濤政権時の制服組トップ、郭伯雄・前中央軍事委員会副主席の身柄を拘束するなど、軍幹部を次々と粛清。会計検査を断行し、これまでタブー視されてきた軍部内のカネの流れまでも暴こうとしている。「赤い帝国」で繰り広げられる“聖域破壊”の衝撃を富坂聰氏がリポートする。

軍幹部の収賄額が桁違いであることは中国では常識だ。その実態を報じた「財経網」(4月1日)の記事のタイトルは、《谷俊山の収賄事件で収賄額は200億元(約3860億円) 軍の資産一つ売って1億元のリベート》という驚くべきものだった。

日本では習近平国家主席がライバルを追い落とす目的ばかりが注目される反腐敗キャンペーンだが、ターゲットの規模はすでに権力闘争だけでは説明できないほど広範だ。

中国社会科学院が3月18日に公表した「法治青書(15年版)」をもとに「人民網」が分析した記事によると、14年の中国では1日平均500人の官僚が双規(規律検査委員会による規律違反の取り調べ)を受けていた計算になるという。

現在までに省級・大臣級の“大トラ”幹部が80人以上、同じクラスの軍幹部が30人以上も規律違反を問われて処分されている。

反腐敗キャンペーンが打ち出された直後、「トラもハエもたたく」とのスローガンが唱えられたが、昨年7月からはこれに「キツネ(主に海外に逃亡した官僚と政商)」が加わり、いまは「デブネズミ(公金で飲み食いして太った官僚)」を官僚組織から追い出すことを目的にしている。

トラ、ハエ、キツネ、ネズミとターゲットを広げてくるなかでは、国家のダイエットと名付けられた無駄遣いへの攻撃から、親族を幽霊職員にしている問題に対して大々的にメスを入れ、大量に首を切ってみせた。

中国の国民は周永康、徐才厚、令計画の3氏といった共産党の大物の落馬の裏でこうした社会の変化を目の当たりにしている。この劇場型の手法が習政権の人気を支えている。

検査の対象は上官から下士官まであらゆる階級に及ぶ。経費をすべて洗い出し、不正なカネの流れがなかったかを調べる。この調査によって、軍部の腐敗の詳細が白日の下にさらされることになるだろう。検査結果が出るころには大量の処分者が出るはずで、人民解放軍に激震が走るのは間違いない。

まさに聖域破壊の連鎖だが、国民はより大きな刺激を求めてくる。その欲求に習氏がどこまで応えられるのか。今後の一つの焦点だろう。

■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授

この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】習の戦いは、中国の金融が空洞化し体制崩壊の危機状況にあることを露呈した(゚д゚)!

上の記事で、人民解放軍にまで反腐敗キャンペーンが及んでいるということは、人民解放軍の特殊性を理解していないと、十分理解できないかもしれません。普通の国の軍隊であれば、反腐敗キャンペーンとは言っても、幹部の一部を逮捕すればそれですむと思います。

しかし、人民解放軍は違います。人民解放軍は、軍隊ではありません。これは、正確には各地の共産党組織の配下の私兵です。そもそも、人民を守るための、軍隊ではありません。私兵というだけでもありません。

実は、軍備をしていながら、日本でいうところの商社のような存在なのです。軍備をしながも、様々な事業を展開しているという普通の国では考えられないような特異な組織なのです。そうして、こういう特異な組織の中には、核兵器で武装しているものもあるという、とんでもない組織です。ですから、普通の軍隊でなら考えられないような様々な利権が存在します。だから、人民解放軍の幹部にも大金持ちが存在します。

だから、習近平が反腐敗キャンペーンをするなら、ある意味、人民解放軍はいずれ必ず実施しなければならないものだったと思います。

人民解放軍の招待は武装する商社

しかし、こうしたキャンペーンを実行する中国の習近平国家主席が反腐敗対策を宣言する一方で、当の習主席のファミリーが海外のタックスヘイブン(租税回避地)に蓄財している一端が、昨年のはじめに国際調査報道協会(ICIJ)のジェームズ・ボール記者と英紙ガーディアンの報道で明らかになっています。

ICIJのボール記者らはタックスヘイブンとして有名なカリブ海の英領バージン諸島の2社から200ギガバイト以上のデータを入手、約2年にわたって分析し、裏付け取材を進めてきたといいます。

英領バージン諸島

第一報で名前が挙げられているのは習、温、李3氏のほか胡錦濤前国家主席、トウ小平、中国人民解放軍創設者の1人、葉剣英、同大将の粟裕、戴相竜・元中国人民銀行総裁、「八大元老」の1人に数えられた王震、彭真・元全国人民代表大会常務委員会委員長のファミリー計13人でした。

国際会計事務所プライスウォーターハウスクーパース、スイス銀行大手クレディ・スイス、UBSなど欧米の銀行や会計事務所がバージン諸島での会社設立を仲介していたといいます。

中国と香港の2万1千人以上が海外会社のオーナーや株主になっており、2000年以降、1兆~4兆ドル(約104兆~約417兆円)の隠し資産が中国から流出したとボール記者は指摘しています。

中国では高度経済成長とともに貧富の差も拡大。100人の富豪が3000億ドルの資産を独占する一方で、推定3億人が毎日2ドル未満の生活を強いられています。ボール記者らが入手したデータでも、16人の資産を合わせた金額は450億ドルにのぼっていたといいます。

たった2社のデータでこの数字です。しかも、タックスヘイブンはバージン諸島だけではありません。タックスヘイブンを使う目的は租税回避、不正蓄財、国内資産の海外移転などが考えられます。中国共産党、中国人民解放軍幹部ファミリーによる海外蓄財は一体どれぐらいの規模に及ぶのか、想像もつかないほどです。

日本国内のサイトなどから、習近平ファミリービジネスについて、以下にまとめます。

習近平の父である、習仲勲は新中国建国の元勲であり、これらの長老指導者グループとして知られるのが80年代から90年代にかけて権力を振るった「8大元老」です。習仲勲氏のほか、改革・開放路線を推進した鄧小平氏、副首相を務めた陳雲、全国人民代表大会(全人代)委員長だった彭真、国家主席の李先念、副首相だった薄一波らで、彼らの子弟のなかには習近平のように党や政府の最高幹部になったり、有力企業のトップなど中国各界で活躍している名士、有力者が多数います。

1997年10月、84歳を迎えた習仲勲の家族写真。前列左から、斉心、
習仲勲、習冬英。後列左から、習近平、習安安、習正寧、斉橋橋、習遠平。
習近平の弟の習遠平は一時、北京の不動産会社『羽白(ユイバイ)』の社長を務め、土地開発やマンション建設に熱心でした。この会社の名前の『羽』と『白』は習という字を分解して、企業名として付けたものです。

また、習遠平氏はその後、香港に拠点を移し、欧米諸国を中心に、さまざまなコネクションを使ってビジネスを展開すると同時に外資を誘致しています。彼は現在、北京に本部を置く国際環境団体の会長に就任していますが、それは多分に名誉職的な肩書きであり、兄から得た内部情報をもとに事業を展開しています。

また、習近平の姉の習橋橋も夫の家貴氏と共同で不動産会社などを幅広く経営し、首都の北京や経済特区の深センの土地開発を手掛けています。不動産バブルに沸く大都市の一等地を優先的に開発できるのは、父の習仲勲や、やはり最高幹部の習近平氏の強い影響力があるからです。

次女の安安夫妻はカナダに居住しカナダ国籍も取得していながら、中国の携帯電話事業に出資し巨利を得ているといます。

金融・経済情報専門通信社「ブルームバーグ」や香港メディアなどの情報を総合すると、習近平ファミリーの総資産は少なくとも日本円で565億円を下りません。

最も活発なビジネス活動を展開しているのが習近平ファミリーの斉橋橋と家貴夫妻です。夫妻は2人で11社の企業のオーナーであり、そのほか、少なくとも25社の重役として経営に携わっています。夫は、投資会社の会長を務め、この資産が18億3000万元(約311億円)。さらに、同社の関連会社の資産が5億3930万元(約91億円)に上ります。彼はこれらの企業を通して、江西省にあるレアアースを生産・販売している江西レアアースの株式の18%を所有しており、それだけで4億5000万元(約77億円)に上ります。

夫妻は北京で不動産会社の北京中民信房地産開発を経営しており、橋橋が会長に納まっています。同社のホームページによると、同社は2001年8月9日創設で、資本金5000万元(約8億500万円)。同社が開発した北京の一等地に建つマンションのうち、面積が189平方㍍で、3ベッドルームの物件は1500万元(約2億5500万円)で売りに出されています

さらに、夫妻の一人娘夫婦が北京の電機会社の株式1億2840万元(約22億円)を所有しているほか、夫妻とその娘夫婦は香港に、3150万ドルの豪邸のほか、6件の不動産物件計2410万ドルを所有していることが分かっています。このほか、他の名義で中国有数の不動産会社、大連万達商業地産の株式を3000万元分保有。これらの資産をすべて合わせると、中国人民元分では約29億9770万元(約510億円)、米ドル分は5560万ドル(約55億円)で、合計565億円に達っします。

また、習近平氏の2番目の姉である安安の夫の呉龍氏は「広州新郵通設備」の社長を務めており、中国最大の携帯電話事業を展開する中国電信集団(チャイナテレコム)と密接な関係を持ち最近、数億元の事業を受注したと伝えられています。

習近平の姉が巨額の資産を持っていることを伝える日本の新聞
習氏は党中堅幹部の教育機関である中央党校で、「配偶者や子女、親戚、友人、部下が権力を濫用して私利を図ることがないよう管理しなければならない」などと述べてと特権を利用してのビジネスに強く注意を促しているが、習近平ファミリーの実態は、彼の言動とはまったく相反しているといえます。

文書で読むと長ったらしくなるので、以下に習近平のファミリービジネスを図にまとめておきます。以下は、2012年現在のものです。


さてこれだけ、不正蓄財を匂わせる情況証拠があります。習近平を含む大幹部の娘や息子らは、幼馴染みの遊び相手だったこともあって結束が固いです。また、不動産開発や政府の機密情報などに通じており、太子党仲間で情報交換をしては、自身のビジネスに生かしています。とくに、習近平ファミリーはその傾向が強いです。

中国の幹部連中は、習近平の不正蓄財のことは、誰もが知っている事実です。どのように蓄財したかも詳細を知っているはずです。

にもかかわらず、習近平が反腐敗キャンペーンを執拗に実施するのは、それだけ中国は今までにないほどの、危機に見舞われているということです。

どんな危機かといえば、かつてのように海外に中国から流出した巨額の金を含めて、海外から流入する資金が枯渇しているからです。この状況では、過去に中国が発展したモデルである、海外から流入した資金を元手に、インフラ整備をして発展するという方式が成り立たなくなるからです。

習近平は、中国から海外に大量に不正マネーが流出することを防ぎ、何とか過去の発展モデルを維持しようとしているのです。

習近平国家主席のこの振る舞いは、反腐敗キャンペーンにより失脚した者や、その親族などにとっては、結局習近平自らの蓄財を守るため。利権を巡る命がけの闘争に身を置いている、としか見えないことでしょう。

自らも、不正蓄財をしながら、他者を不正撲滅キャンペーンで失脚させるなど、失脚されだ側のファミリーからすれば、恨み骨髄です。不正撲滅をするなら、まずは身内からやれといいたいことでしょう。



中国では、建国以来毎年2万件もの暴動が発生していたとされています。それが、2010年からは10万件になったとされています。中国の一般人民の憤怒のマグマは頂点に達しているということです。

それでも、今までは幹部や、富裕層は少なくとも、巨万の富を蓄えさせてくれたということで、中国の現体制を支持してきたと思います。しかし、習近平の反腐敗キャンペーンにより、幹部や富裕層も現体制を支持しなくなることが考えられます。

そうなると、様々な不満分子が乱立し、現体制を変えるか、潰そうという動きが本格化する可能性が高いです。そうなれば、現体制は崩壊します。その日は意外と近いと思います。

習のこの戦いは、中国の金融が空洞化し現体制の崩壊も含む危機状況にあることを露呈したとみるべきです。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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