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2018年3月4日日曜日

【紅い脅威・AI軍事革命】(中)119機の小型無人機、無人潜水機…戦争の概念、躊躇なく変える中国―【私の論評】日本独自の安全保障を低予算で実現するためにも研究開発に着手すべき(゚д゚)!

【紅い脅威・AI軍事革命】(中)119機の小型無人機、無人潜水機…戦争の概念、躊躇なく変える中国


 風車がそびえる広大な空き地。日差しを浴びながら、白に塗られた大量の小型無人機が寸分の狂いもなく横一列に並べられていた。無人機はやがて、1機ずつ猛スピードで自動的に空に舞い上がっていく。別方向に飛び、田園地帯やオフィス街の上空を自由自在に移動。照明を搭載した無人機は夜間も飛行でき、闇の中を無数の光が舞った。

 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(英語電子版)や欧米メディアが昨年6月に報じた同国の実験は、世界を驚愕させた。国有企業「中国電子科技集団公司」が人工知能(AI)を活用し、計119機の小型無人機の飛行に成功。米国防総省が同年1月に発表した103機の小型無人機飛行の記録を短期間で塗り替え、世界一の技術力を見せつけたのだ。


 一部のメディアは、この実験の様子とみられる映像を流した。映像とともに、無人機が地上の目標を爆破するシミュレーションの動画も公開された。

 映像を確認した元航空自衛官で軍事評論家の潮匡人(うしお・まさと)氏は「これだけの数の無人機が鳥のように滑らかな動きで等間隔で離陸し、正確に飛行する実験は世界でも例がない。技術力で軍事的優位を保ってきた米国が中国に追い越された衝撃的な瞬間だ」と指摘する。

 中国が狙うのは、大量の無人機を主力に航空母艦や航空機を攻撃する戦術の実現だ。人間の兵士は戦場から引き揚げ、無人システムに攻撃を遂行させる。敵に打撃を与える一方、自国の軍隊の人的被害を大幅に軽減できる仕組みだ。

 「中国はAIを使って、従来の戦争の概念を躊躇なく変えようとしている。人民解放軍には、AIに操られた無人機を戦争に利用することに対する倫理的な制約は存在しない」。米中の軍事問題などを研究する渡部悦和・元陸上自衛隊東部方面総監はそう断言する。

 119機の小型無人機の飛行が報じられた約1カ月後。中国が軍事拠点化を進める南シナ海の海底で活動する無人潜水機の姿があった。環球時報などによると、中国は昨年7月から約3カ月間、無人潜水機を使い、南シナ海の北東部で科学研究のため、データを収集する水中探索を行った。

 無人潜水機の名前は「海翼1000」。浮力を調整できる仕組みで、開発に携わった関係者は中国中央テレビ(CCTV)に「波やイルカのような(円滑な)動きだ」と潜水能力を自画自賛した。環球時報の取材に応じた中国軍備管理軍縮協会の幹部は「海翼1000は、中国海域の外国の潜水艦を探知するのはもちろん軍事任務をよりうまく全うすることにも役立つ」と指摘した。


 中国は、潜水艦の指揮を補佐するAIも実現しようとしている。香港英字紙のサウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)は今年2月4日、中国が指揮官の潜在的な思考能力を高めるため、原子力潜水艦にAIを導入する取り組みに力を入れていると報じた。同紙は、AIが戦場の環境を評価したり、潜水艦の水中音波探知機(ソナー)の正確さに影響を及ぼす恐れがある海の塩分の度合いや水温についての知見を提供したりして、指揮官を助けると指摘した。敵の潜水艦の脅威を人間より早く正確に認識して警告することも可能で、中国政府は原子力潜水艦へのAI導入に多大な資金を投じているという。 中国科学者は同紙に「AIは水中(の戦争)を変えるゲームチェンジャーの潜在力を持つ」と強調した。

北やテロリストへ「拡散」の危機

 ダークウェブ。兵器や違法薬物などが、テロ組織の間で売買されている闇サイトがインターネット上に存在する。

 「AK47(カラシニコフ自動小銃) 0・0753BTC」

 2月7日午後6時25分(日本時間)ごろ、ロシアや米国製の小銃約10種類が販売される英語の闇サイトが発見された。主に0・07台(当時のレートで日本円約6万4千円相当)前後のビットコイン(BTC)で売られ、写真付きで機能や重さが紹介されていた。

 サイトを確認したセキュリティー企業「スプラウト」(東京都)の岡本顕一郎氏は「誰でも入手経路を知られずに、兵器を購入できる。匿名性が高い仮想通貨が取引に使用されるのも特徴の一つだ」と話す。

 こうした事例はさらなる「悪意」のシナリオを暗示する。テロリストや独裁者が闇サイトを使って、AIの判断で敵を殺傷する「自律型致死兵器システム(LAWS)」を入手することへの懸念だ。専門家の間ではすでに「イスラム国」(IS)などの過激組織や北朝鮮が闇サイトを利用しているとの指摘がある。

 LAWSは実戦配備されていないが、先進諸国は水面下で開発を進めている兵器体系だ。米国やロシアに加え「中国も技術を高めているとみられる」(軍事評論家の潮匡人氏)。2015年7月に開催された学術会議「国際人工知能会議」は、技術的には「(LAWSの配備は)あと数年で達成可能だ」と予測した。

 AI専門家で、豪ニューサウスウェールズ大教授のトビー・ウォルシュ氏は、LAWSが闇サイトに流出すれば「世界崩壊のシナリオが訪れる」と警告する。「北朝鮮のような孤立した国家やテロ組織は規制の議論などお構いなしだ。最も残虐な手法で扱うだろう」

 国連軍縮担当上級代表・中満泉氏も、ダークウェブや立体物を複製できる3Dプリンターといった最新のテクノロジーが「(LAWSの)拡散リスクを高める」と指摘する。

 危険性が指摘される中、LAWSの拡散防止や開発などをめぐる規制作りは順調に進んでいない。

 昨年11月に、スイス・ジュネーブで開催されたLAWSの国際的規制をめぐる初の国連公式専門家会合。参加した約100カ国の間で溝が目立った。途上国がAI兵器の開発段階からの禁止を訴えた一方、米国は規制に向けた具体的議論は「時期尚早で逆効果になりかねない」と主張した。

 専門家として会合に招かれた拓殖大の佐藤丙午(さとう・へいご)教授は「米国やロシアなどは規制が自国の開発の足かせになることや、禁止に向けて急速に議論が進むことを警戒していた」と振り返る。

 規制に向けた議論を遅らせるのは、各国の「思惑」だけではない。LAWSが実用化されていないだけに、危険性が現実として伝わりにくい課題もある。

 「AI兵器が追ってくる。逃げろ!」。とある米国の大学。大量の小型無人機が講義室に侵入し、学生たちに襲いかかる-。

 同会合の議場では、LAWSの脅威を描いた短編映画が上映された。参加者からは「SFの世界の話としか感じない」という感想が相次いだ。

 道のりは長いが、規制を訴える意見は多い。

 「AIの『負の側面』と向かい合わなければ、罪のない人間が犠牲になる」

 米AI研究者のピーター・アサロ氏は指摘する。 

【私の論評】日本独自の安全保障を低予算で実現するためにも研究開発に着手すべき(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、気になるのは、ドローンを用いた実験が、まるで中国が独壇場であるかの扱いで書かれていることです。これは、少し調べれば、そうではないことがわかります。以下の動画を見れば、それは明らかです。



水中ドローンに関しても、一昨年南シナ海で中国が米国の水中ドローンを捕獲したというニュースが流されていました。米国も水中ドローンを開発中であることは明らかです。

自律型致死兵器システム(LAWS)に関しては、その最大の脅威は、テロリストそれを開発したり入手したりして使うことでしょう。

事実それはすでにもう起こっています。

今年1月5日、13機のドローンがシリアに展開するロシア軍を襲撃しましたた。10機がフメイミム空軍基地へ、3機がタルトゥース海軍基地に向かい、攻撃を敢行しました。これらは固定翼タイプの無人機であり、10発の爆弾を抱えていました。

ロシア国防総省の公式発表によれば、7機は対空ミサイルによって撃墜され、残り6機は対ドローン電子戦装置によって強制着陸された。着陸に至った6機の半数の3機が爆発し、結局、3機が鹵獲(ろかく)されたといいます。

ドローンの機体を調べたところ、飛行経路はGPS誘導され、最大100キロメートルもの航続距離をもっていました。

だがそれ以上に注目すべきは、これらの機体がありふれた民生品で構成されたハンドメイドだったことです。動力は草刈り機のエンジン、胴体は木とプラスチック、爆弾は手榴弾(ロシア側はウクライナ製と主張)、電子機器は市販品でした。英エコノミスト誌等の見積もりによれば、これら機体の価格は数千ドル(約数十万円)でしかありませんでした。

当初、ロシア軍の複数の戦闘機がダメージを負ったとの報道も出ましたが、ロシア側は被害は一切なかったと主張しています。ただし、12月31日にも同空軍基地はドローン攻撃を受け、少なくとも2名のロシア軍人が死亡しました。この他にも定期的な攻撃が行われ、何らかの損害が出ている可能性もあります。

これまでは米中ロ等の大国にのみ許された「大国の軍隊への航空爆撃」という手段が、小規模な武装勢力によって安価かつ容易に可能になったことが、いよいよ証明されつつあるようです。

この事実がいかに衝撃的であるかは、米空軍が今年1月4日に「我々の地上軍は、朝鮮戦争以来、65年間も敵航空機による攻撃を受けていない」と述べたことからも明らかです。要するに、65年ぶりに世界の大国は航空機による脅威に晒されるようになったということです。実際、モスルに進軍中の米軍部隊はドローン攻撃を受けました。

特に彼らは回転翼式(クワッドコプター)ではなく、「Skywalker X8」等のような爆発物等の運搬能力に優れた固定翼タイプを使用し始めています。しかも、これらは安価に入手することが可能です。例えばSkywalker X8は2~3万円程度で入手できます。下は、SUREHOBBYというサイトの購入画面です。


テロリストによる膨大な無人機によるスウォーム(群れ)攻撃は、もはや『もしも』ではなく『いつ』『どこで』の問題になったとえます。この事件は、おそらく無人機によるスウォーム攻撃の始まりです。

さらに、民生ドローン爆撃の効果が馬鹿にならない可能性を秘めています。30グラムの自己鍛造弾(EFP)は1.3センチの装甲板を貫通します。上から攻撃すれば、ほとんどの装甲車両を貫通できます。しかも、GoProのようなカメラ付きなので、照準も容易です。最近まで、EFP製造には精密機械加工が必要でしたが、今や1000ドル以下の3Dプリンターで可能です。これは、テロリストなどの非国家主体が爆撃機を手に入れたに等しいです。

GoProカメラ付きもしくは、搭載可能なドローンは今でもアマゾン等で購入できる

今やEFPは、燃料車や弾薬車、航空機を破壊して大爆発を起こしたり、レーダー、通信センター、指導者などを破壊することも可能です。我々は、動かないIED(仕掛け爆弾)を効率的に除去することに10年以上かかっていますが、そのIEDが今度は空を飛び出したのです。

迫撃砲などの従来の兵器は家電量販店では売っていません。ホームセンターで作るのも不可能ですし、そもそも高価です。他方、ドローンは家電量販店やアマゾンで購入できるし、シリアの例が証明したように自作も可能です。最近では、慣性航法装置も安価に入手できるので、改造すればGPS妨害を受けても爆撃が可能です。

今回の事件の無人機がほぼ自動操縦であった可能性もあります。これは将来的には練度維持すら不要になることを示唆しています。事実、米国、イラン、イスラエル、ポーランド等が自爆ドローンを導入しつつあるのはその証左です。

中国などが、本当に恐れるべきは、習近平政権の幹部などのドローンによる暗殺かもしれません。数百ものドローンが一斉に幹部を襲うなどということがおこれば、現状ではほとんど防ぐ手立てはないでしょう。

米軍は、カリフォルニア州での訓練中に、戦闘機から小型ドローン103機を打ち上げ実験を行っている

しかし、日本ではドローンへの備えははまだまだというところです、今のままだと、「とどまることを知らぬ北朝鮮に対し、海上封鎖をついに決意したトランプ政権。しかし、そのとき、自衛隊は北朝鮮の手によって壊滅していた」ということににもなりかねません。

「なぜならば、北朝鮮の工作員がヤマダ電機などでも購入できる10万円ほどの小型無人機(ドローン)によって、自衛隊の戦闘機も護衛艦も破壊されていたからです」ということも起こりかねないです。

まず、現行のドローン規制法はドローン撃墜権限を警察官や海上保安官などに与えましたがたが自衛官には捕獲・撃墜権限を与えていません。また、防衛省・自衛隊関連施設では東京・市ヶ谷の防衛省本省以外はドローン飛行の禁止区域に指定していません。また、航空法でも自衛隊施設の一部しかドローンの飛行を禁じていません。

たとえ航空法で禁止された場所でドローンを飛ばしたとしても罰金50万円以下が科される程度なのでテロリストに対する抑止力になるとは考えにくいです。ちなみに、自衛隊は、自衛隊法に基づく、「武器等の防護のための武器の使用」が許されていますが、これは平時には警察官職務執行法が適用されるので、平時に怪しいドローンに対して発砲を許可するようなものではありません

能力的にも、自衛隊の現在の装備では小型のドローンをレーダーで捉えるのは難しいです。撃ち落とす訓練もしておらず、専用の装備もないです。つまり、今の自衛隊は敵ドローンが基地に攻めてきても110番するしかないという哀れな現状です。

今からでも遅くはないです。速やかなドローン規制法の改正と自衛隊への対処装備の導入が必要です。このままでは、日本は戦わずして、主力兵器を中国なり北朝鮮のドローン攻撃によって無力化されかねないです。また、海外派遣時に自爆ドローンが自衛隊を襲ったらどうするのでしょうか。

とはいいながら、日本は過去の「はやぶさ」や現在「はやぶさ2」にもみられるように、遠隔操作に関する技術に関しては、独壇場の様相を呈するほどに優れています。この技術力からすれば、日本のドローン技術の軍事転用などを行えば、他国ではできない軍事ミッションが可能になると思います。

たとえば、遠隔地から北朝鮮などの核施設を人を殺傷することなく完璧に破壊するドローンの開発などです。さらには、他国からドローンの攻撃に対しての防衛を担うドローンの開発です。

あるいは、尖閣諸島に数千の空中・水中ドローンを予め配置しておき、人民解放軍や海上民兵が尖閣諸島に上陸しようとしたり、潜水艦が不穏な動きを見せたりした場合、それらをたとえば、艦船のスクリューを破壊するなどのことをして無力化してしまうとか、最悪上陸した場合、艦船や兵器を無力化したりすることができるかもしれせん。

私は、このブログでは何度か主張させていただいていますが、日本なら数ヶ月飛行し続けるドローンも開発可能です。このドローンに偵察用の機材を積み込み、日本の上空の数カ所に日々定期的飛行させることも可能です。

これが可能になれば、中国の航空機の領空侵犯などに備えて、航空機を飛ばす必要もなく、すぐに発見し、攻撃することも可能になります。さらに、北のミサイルにも備えることができます。この開発にもイージスアショアを導入するよりははるかに低い予算でできるかもしれません。

日本独自の安全保障を低予算で実現するためにも、ドローンそのもののや敵のドローンを破壊する方法などを研究開発を日本でも本格的に実行すべきです。

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2016年12月17日土曜日

【緊迫・南シナ海】中国海軍艦船が米海軍の無人潜水機奪う 米政府は「国際法違反」と非難―【私の論評】南シナ海を中国戦略原潜の聖域にする試みは最初から頓挫か?


中国軍艦が奪った無人水中探査機の同型機
米国防総省のジェフ・デービス報道官は16日、南シナ海で米海軍の無人潜水機が、中国海軍の潜水艦救難艦に奪われたと明らかにした。米政府は国際法違反と非難し、中国政府に即時返還を要求している。

 事件があったのは15日、フィリピン北部ルソン島にあるスービック湾の北西約93キロの海域。米海軍の測量艦「バウディッチ」が、2機の無人潜水機を回収しようとしていたところ、潜水艦救難艦が約450メートルのところまで近づき、小型ボートを出して1機を奪った。

米海軍の測量艦「バウディッチ」
 バウディッチは無線で返還を求めたが、潜水艦救難艦は応答せず要求を無視した。デービス報道官は中国の行動を「国際法違反」と批判した。

 報道官によると、無人潜水機は海水の温度や塩分濃度、透明度といった「非機密扱いの情報」を収拾していた。ただ、無人潜水機によって収集された海底の地形などを含む情報は通常、潜水艦の航行や対潜水艦作戦に活用されている。

 米海軍艦船はスービック湾を使用し、その沖には中国とフィリピンが係争するスカボロー礁もあり、今回の事件の周辺海域は“前線”の一つとなっている。

【私の論評】南シナ海を中国戦略原潜の聖域にする試みは最初から頓挫か?

さて、今回の中国艦船による、無人水中探査機の強奪については、どのメディアもあまり詳しく解説してはいないものの、これは軍事的にはかなり大きな意味を持つかもしれません。

この無人潜水艦に関しては、冒頭の記事を読んでいるだけでは、どのようなものなのかあまりわからないと思います。実は、これについては以前このブログに掲載したことがあります。

女子生徒が航空機内から撮影した北朝鮮ミサイルの可能性がある
被写体。右側に飛行機雲のような筋が見える=8月24日午前。
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、無人水中探査機に関する部分のみ以下にコピペします。
さて、空中のドローンに関しては、まだ、想像の域を超えていないのですが、それに良く似たものである、水中ドローンに関しては、すでに日本は開発を終えています。

それは、シーグライダーと呼ばれています。その外観はロケットに似ています。その小さな翼で水中を進み、毎時1キロメートル未満で非常にゆっくり移動します。電力消費量は極めて少ないです。

分解したシーグライダー ワシントン大学応用物理研究室が、
地球温暖化による氷河の変化を観察するため開発したもの
 結果として、それは一度に何ヶ月も海中にとどまることができます。2009年には、一挺のシーグライダーが、一回のバッテリー充電のみで大西洋を横断しました。横断には7ヶ月かかりました。
シーグライダーのおかけで、科学者たちは、以前には不可能だった多くの事ができるようになっています。シーグライダーは、海底火山を観察することができます。氷山の大きさを測ることができます。魚の群れを追うことができます。

上で掲載したシーグライダーを水中に投下するところ
さまざまな深度で水中の汚染の影響を監視することができます。科学者たちは、シーグライダーを利用して海底の地図を作成することまでも始めています。

シーグライダーはすでに、数ヶ月も継続する任務を遂行することが可能になっています。ところが、日本の研究者は現在、SORAと呼ばれる太陽光発電を使ったグライダーを開発中で、この船は再充電のために2、3日間海面に出れば、その後作業を続けられます。結果として、必要な何年も海に留まることができます。
理論的には数年間探査が続けられるソーラーパネルを装備したシーグライダー
 現在、シーグライダーを製造するにはおよそ15万ドル費用がかかるとされていますが、それがなし得ることを考えれば、その費用は非常に小さいです。シーグライダーを使えば、企業は石油とガスの探索のために海底調査ができますし、政府は軍事情報を収集できます。
シーグライダーは敵に見つかることなく海面にいる船舶や、近くを通り過ぎる有人潜水艦を特定できます。日本では、軍事転用はまだのようですが、日本の技術をもってすれば、容易にできることです。
この内容は、たまたま私が用いている英語学習教材の『毎日の英速読』というテキストから、日本語訳の部分を引用して加筆したものです。このシーグライダーもしくは、それに似たものが、今回中国の艦船に強奪されたものだと推定できます。

さて、南シナ海というと、中国がなぜ南シナ海にあれほどまでにこだわっているのか、それに関してこのブログに以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国の膨張路線は止まらないが国際社会から強い逆風 南シナ海のハーグ裁定―【私の論評】通常戦力で勝ち目のない中国は、南シナ海に戦術核を配備する(゚д゚)!
オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所(PCA) 
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、結局中国がなぜあれほどまでに、南シナ海に執着するかといえば、中国近海や、東シナ海などは海が浅いため、そこを中国の戦略原潜(SLBM搭載)が航行した場合、日米によりいとも簡単にその行動を逐一発見されてしまうのですが、南シナ海は深いので、その深いところを航行するとなかなか発見しずらいので、ここを中国の戦略原潜の聖域にしようとしているからです。

南シナ海の平均深度は1200メートル以上です。海盆の平均水深は3500メートル、最深部は約5600メートルにも及びます。中国は戦略ミサイル原潜を4隻配備し、潜水艦発弾道ミサイルを核抑止力の重要な柱にしています。

南シナ海から米軍を追い払えば、冷戦時にソ連が戦略原潜(SLBM搭載)をオホーツク海に潜ませたのと同じように、中国は南シナ海に戦略原潜(SLBM搭載)を自由に展開できます。海南島を出発した最新型の潜水艦が深く潜航し、台湾とフィリピンの間のバシー海峡を通って西太平洋に抜けることが可能になるのです。

従来は深海から発射される核弾頭(SLBM)はなかなか発見できなかった
これにより、中国のSLBMは米国本土全域を標的にすることができるのです。ところがです、軍事目的のシーグライダーが南シナ海に配備されているとなると、中国のこの目論見は完全に外れてしまうことになります。

このシーグライダーは、当然中国の戦略原潜の動向もキャッチできるものと思われます。今回中国に強奪されたものはどのようなものかはわかりませんが、中国としては、このシーグライダーにかなりの脅威を感じているようではあります。

中国がせっかく、長年努力を傾注して、南シナ海を中国原潜の聖域にしようとしても、米国側に南シナ海にシーグライダーを多数設置し、中国原潜の動向を探っていたとしたら、そもそも聖域になりません。

米軍が、このシーグライダーを南シナ海の各所に多数配置して、有人潜水艦や、無人潜水艦、空中ドローン、イージス艦など多数配置して、これらを連動させるようにすれば、中国戦略原潜が不穏な動きをみせれば、すぐに撃沈できるようになります。

イージス艦、潜水艦、空中ドローン、シーグライダーの連携作戦の模式図
実際、今回中国側に捕獲されたシーグライダーがどの程度の能力のものかはわかりませんが、シーグライダーを戦術的に活用しようとするなら、今はそこまではいっていなくても、将来はそのようにするのは当然のことです。

そうして、中国では未だシーグライダーの技術は進んでいないと思われます。今回の強奪は、米軍のシーグライダーがどの程度の能力を持っているか確かめるためと、中国もシーグライダーを開発するため、技術を盗むという目的もあるものと思います。

もし、今回強奪さた米軍のシーグライダーの技術水準が高ければ、すでに中国による、南シナ海の原潜の聖域化は頓挫してしまっているかもしれません。

日本も、シーグライダーの軍事転用はすでに実行しているのかもしれません。実行していようがいまいが、日本も当然のことながら、軍事転用をして、中国原潜の動向を詳細に探索できるようにし、中国海軍を丸裸にして、日本の安全保障を確かなものにすべきです。

日米の数百ものシーグライダーが、南シナ海での中国原潜の動向を逐一探索できるようにすれば、中国の南シナ海の領有化は全く無意味なことになる可能性が大です。

それどころか、このシーグライダーのさらなる開発により、SLBMを所有する核保有国は、核戦略の見直しを迫られることになるかもしれません。

「はやぶさ」などで遠隔操作に実績のある日本が、本気で軍事シーグライダーや、軍事ドローンなどを開発したら、世界のトップレベルのものができます。そうなると、比較的低予算で、満足のいく安全保障策が実行できるようになります。

私の勝手な妄想ですが、海中では、無数のシーグライダーと自動運転魚雷が待機していて、敵が不穏な動きを見せたら、シーグライダーがそれを探知し、必要があれば、自動運転魚雷が即座に敵の艦艇などを撃沈するなどのシステムができたら良いと思います。

空中でも、少なくとも数週間から、数ヶ月くらい飛ぶこのできる軍事探査ステルス・ドローンが常時複数日本の領空・領海上を24時間飛び回り全域を哨戒し、敵が不穏な動きを見せれば、ドローンより、探査情報がこれも多数配備された日本のミサイル基地に連絡がいき、即座に敵のICBMや、SLBM、航空機などを破壊できる仕組みができたら良いと思います。このような仕組みができれば、そもそもスクランブルなど必要がなくなります。

それにしても、ここにきて、軍事技術の急展開がありそうです。そうなれば、ロシアなどの軍事技術も時代遅れになるかもしれません。そうして、日本が世界のトップクラスに躍り出るかもしれません。

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