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2020年7月7日火曜日

香港国安法 自民が非難決議案協議 習氏国賓中止 慎重な意見も香港国家安全法— 【私の論評】自民党は、中国の弱みを知り、中国と対峙することを最優先とする外交・軍事戦略に転じるべき!(◎_◎;)


香港の商業施設で抗議デモを行う人々=6日

 自民党は6日、中国による香港への統制強化を目的とした香港国家安全維持法の施行に関する外交部会などの会合を開いた。習近平国家主席の国賓来日を中止するよう政府に求める非難決議案について意見交換したが、中国との関係改善を重視するは二階俊博幹事長率いる二階派(志帥会)所属議員から文面の修正を求める意見が相次いだ。

 中山泰秀外交部会長は会合の冒頭「中国が治安維持法のようなものを制定・施行したことは看過できる問題ではない」と強調し、香港の自由と民主主義を守る必要性を訴えた。

 会合後、二階派の河村建夫元官房長官は記者団に「文書は修正すべきだ」と発言したことを明かした。二階氏周辺によると、同氏はこの会合について「日中関係を築いてきた先人の努力を水泡に帰すつもりか」と不快感を示したという。

 決議案は、中国側に「大国としての責任」の自覚を要求。習氏の国賓来日は中止するよう求め、香港情勢に関する5月の前回決議文の「再検討」から表現を強めている。菅義偉(すが・よしひで)官房長官は6日の記者会見で、習氏の国賓来日について「具体的な日程調整をする段階にないという政府の立場はこれまでも申し上げてきた通りだ」と説明した。

【私の論評】自民党は、中国の弱みを知り、中国と対峙することを最優先とする外交・軍事戦略に転じるべき!(◎_◎;)

中国「香港国家安全維持法」に対し、もし日本の自民党は非難決議の一つも出せないなら「自民党」の党名をやめた方が良いかもしれません。「自由」と「民主」を看板にする資格などありません。

そもそも、「香港国家安全維持法」は全く異常というか、異様な法律です。

この法律の、36条~38条をみると、ウルトラ域外適用と言っても良いほどに、全世界を対象にしています。中国はまるで全宇宙を支配しようとしているようです。

なお、香港国家安全法全文和訳をした方が、ブログでそれを公開しています。そのリンクをいかに貼っておきます。

https://xiang-dian.hatenablog.com/entry/nsl

ただし、発言者27人中、決議に反対意見は5名、賛成意見は22名。出席者約50人のうち、原文に異論がなく発言しなかった人も考えると賛成が殆どではあります。

反対派の意見は、「隣国だから仲良くすべき」「先人の努力を台無しにする」でしたが、過去の日本がそれを続けてきた結果が今です。中国は「仲良く」を「弱さ」と見てつけ込みます。

過去の経験からも中国に対峙する覚悟がなければ中国との平和はなく、属国への道があるだけです。

媚び諂うだけの日中関係などいりません。自民党は、コロナ蔓延の初期に、中国からの入国禁止が遅れた際に支持率が急落したことを忘れるべきではありません。

二階派の反対で香港国安法非難と習近平国賓来日中止の決議一つできないなら自民党は終わるかもしれません。凄まじい人権弾圧と尖閣侵入等、世界が中国と闘う時に明確に中国側につく党を国民は2度と支持しないでしょう。各議員も中国への姿勢を明確にすべきです。

二階派の河村建夫元官房長官

これは、選挙の際の有権者の最大の判断材料となるでしょう。今こそ歴史の転換点なのです。覚悟のない議員は必要ありません。有権者は、これを落選させるべきです。

自民党は、この問題への対応を誤ると危険です。

この際自民党に問われるのは、力を背景に国際法を無視して現状を変更しようとする相手に対して、周辺国と国際社会を味方につける「外交力」と戦略的思考に基づく「情報発信力」でしょう。

中国は、最近の「マスク外交」に見られるように、あらゆる手段を使い、硬軟おりまぜて影響力を拡大させています。

また、尖閣諸島をめぐっても世界的に大規模な宣伝戦も繰り広げています。中国が発信する一方的な情報が世界に流布され、中国の影響下にある国々がそれを追認するという事態は避けなければならないのに、日本はこうした分野で中国に後れを取っていることは否めず、早急に取り組むべきべきです。

尖閣では、中国の攻勢に対して日本政府には、海上保安庁が現場で持ちこたえている間に外交による解決を目指すという「方針」はあるものの、日本全体としての長期的な戦略はみえません。それどころか、中国いどう対処するのかと言う戦略も明確ではありません。

世界で影響力を拡大し、独自の世界観と長期的な戦略で日本の主権を脅かし続ける隣国に対して、日本はどのように向き合っていくのか。この難問に答える新たな大戦略の構築が必要です。

参考になるのは、米国です。米国の戦略です。米国ではすでに中国と対峙するのは、当然の事となっていていますが、インド太平洋戦略や他の戦略や米国の行動を見ていると、米国は中国との対峙を最優先事項にしているようです。

他のことは、中国との対峙における制約要因とみているようです。数学的に言えば、中国が本命であり、他のことは従属関数か、定数のようにみなしているようです。

これに対して、中国は昨日も述べたように、ありとあらゆることを全て同時に同じく重きを置いて実行しようとしているようです。

これについては、軍事戦略でもその傾向が見られます。それについては、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【新型コロナと米中新冷戦】中国共産党「全正面同時攻撃」の“粗雑” 『超限戦』著者は「米国に絞って対決せよ」と主張 — 【私の論評】コロナで変わった世界で、米中対立は短くて2年、長くて4年で決着がつく‼︎
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中国ではある将軍が、集中すべきことを提唱しています。

喬良・退役空軍少将
以下、一部を引用します。
     一方、『超限戦』の著者である喬良・退役空軍少将は、中国共産党とは違う主張をしている。
 例えば、喬氏は「主敵である米国に集中すべきだ」「ギャングの抗争においては、まず最も強い相手(ボス)を倒すことに集中するのが原則だ。ボスを倒してしまえば、雑魚は怖がる。まず、強敵に対処すべきで、その他の弱い相手にかまうべきではない。台湾が本当に独立の行動を起こさない限り、台湾を相手にすべきではない」「米国との力比べ(腕相撲)に集中すべきだ」「香港国家安全法は不可欠であり、香港問題はローカルな問題ではなく、米中対立の第一線だ。米国の抑圧をかわす重要な戦場だ」「中国が米国の包括的な抑圧に抵抗できれば、香港も抵抗できる。結局、香港問題は中米の競争問題なのだ」と主張している。
     つまり、喬氏の考えでは、現在、台湾よりも危険なのは香港であり、香港が米中対立の最前線になるという判断だ。
 軍事のセオリーでは、「全正面同時攻撃」は圧倒的な力がないと失敗に終わる。中国共産党が行っている「中国の意に沿わない国家・組織・個人をすべて攻撃する」やり方は粗雑だ。喬氏が主張する「米国に焦点を絞って対決せよ」は間違っていない。喬氏は手ごわい。
この記事では、喬氏は手ごわいなどとしていますが、 軍事でも、外交でも、企業における仕事でも同じことが言えます。どのような仕事でも、実務上では、優先順位をつけて実行しなければ、物事はうまくは進みません。なぜなら、実務に投入する資源は限られているからです。

これは、企業でまともに、マネジメントをした経験のある人間なら、誰でも知っている原則です。トランプ大統領は長い間実業のマネジメントをしてきたので、これを骨身に染みているでしょう。しかし、中共はそうではありません。外交でも、軍事でも、とにかく集中することなく、ありとあらゆることを同時に実行しようとします。

これは、官僚の特性でもあります。中国では選挙制度がないので、先進国のように選挙で選ばれた政治家はいません。その意味では、習近平を含む中国の指導者は、全員が指名制で選ばれ、その本質は官僚のようなものです。そのため、集中したり、優先順位をつけたりして、仕事をこなしていくべきことを理解していません。

習近平は政治家ではなく、その本質は官僚

そのため、昨日もこのブログで掲載したように、アフリカをはじめEUなどでもマスク外交を実施し、南太平洋の島嶼国など世界中で外交を展開して、ロシアやインドその他の国々と長い国境線を接しているにも関わらず、尖閣、台湾、南シナ海、フィリピン、南太平洋全域などありとあらゆる方面に軍事力を展開しようとしています。

これが中国の弱みと言っても良いと思います。自民党もこれを知った上で、外交・安全保障では中国と対峙することを最優先として、戦略を構築していくべきです。このような戦略がないから、党内では意見がまとまらず、有権者からは、信頼を失う結果となってしまいがちなのです。

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2019年7月4日木曜日

参院選で自民「40台」衝撃予測! 消費増税で国民の不満が蓄積…残る手は全品目の軽減税率だ―【私の論評】生理用ナプキンが安倍政権を窮地に追い込むのか?

安倍総理

参院選は4日に公示、21日投開票される。年金問題や消費増税問題などの争点が、有権者の投票行動にどう影響するか。

自民党は10月からの消費増税を決めたので、選挙では逆風も強まるだろう。マスコミは「年金問題が自民党にとって逆風要因」と書く。しかし、年金で老後の全てを面倒見ることは不可能だと国民は知っている。年金問題をあおっているのは、軽減税率をほしがり、消費増税を目立たなくしたい一部マスコミのように思える。

ともあれ、マスコミが書かなくても、国民には消費増税の不満がたまってくる。実際、政府が正式に消費増税を決めた6月21日の閣議の少し前から、テレビで軽減税率を見込んだCMが出始めた。今後は、10月から消費増税だからと、その前に買ったほうがいいというCMも出るはずだ。

そうなると、国民の怒りがジワリと出てくるだろう。すでにその萌芽(ほうが)は出ていて、6月21~23日にNHKが実施した世論調査までは、内閣支持率は前回調査より6ポイント減少し42%、自民党の支持率は5・1ポイント低下し31・6%になった。これには驚いた。

政界には、「青木方程式」というものがある。自民党の青木幹雄元参院議員会長の持論で「内閣支持率と政党支持率の合計が50%を切ったら、政権は終わり」というものだ。

内閣支持率と政党支持率は、過去の国政選挙の自民党の議席獲得率ともかなり密接な関係があるので、それを活用して、選挙予測ができる。

前月の調査結果から、予測される自民党議席数は「53」程度だったが、「48」程度まで落ち込んだ。その後、支持率は少し持ち直したが、消費増税問題が露出すると、獲得議席が落ち込む可能性も否定できない。

参院選の勝敗ラインについて、菅義偉官房長官は、自公両党で非改選を含む全体の過半数の確保といい、二階俊博幹事長は、改選過半数の確保という。

改選124議席の過半数なら63、非改選を含む全体の過半数なら123。自公の改選議席は77のため、菅官房長官のラインは25議席減でもいい。もっとも、二階幹事長のラインは14議席減で、これだと危ない。菅官房長官が勝敗ラインを明確にしたのは危機感の表れだろう。

20カ国・地域(G20)首脳会合で安倍晋三首相のテレビ露出はかなり大きいものだった。ただし、投開票日の7月21日で、消費増税の露出が大きくなる中で、どこまで自民党は持ち堪えられるか。

世界の著名エコノミストがこぞって批判する消費増税である。今からでも、対応可能な手はある。財務省は消費増税、公明党は軽減税率の導入を唱えている。この両者の意見を満たしながら、景気への悪影響を防ぐには、10月から10%への消費増税を行い、同時に全品目を8%の軽減税率の対象にするのだ。これであれば、軽減税率への対応努力も無駄にならないし、基本税率も10%に引き上げられたので増税派も満足だろう。実際の税負担は今と同じなので景気悪化にもならない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】生理用ナプキンが安倍政権を窮地に追い込むのか?

ブログ冒頭の記事で、「全品目を8%の軽減税率の対象にする」という主張は正しいと思います。実際、生活必需品で軽減税率の対象になっていないものがあり、かなりの話題となっています。

特に、生理用品やオムツなどの生活必需品が軽減税率の対象外になっていることに、ツイッター上などで不満が続出しています。

きっかけは、生理用品が対象でないと知ってびっくりしたと、7月3日に投稿されたツイートからです。

この投稿者は、生理用品は生活必需品ではないのかと不満を漏らし、嗜好品や贅沢品の扱いはおかしいと怒りをぶつけました。


さらに、トイレットペーパーや乳児・介護用のオムツも対象外なのを知って愕然としたとし、その一方で、新聞が対象になっているのは理解しがたいと訴えました。

国税庁のサイトにある軽減税率制度の手引きによると、対象品目は、酒類・外食を除く飲食料品と週2回以上発行される定期購読の新聞だけです。これらを対象にしたのは、低所得者への配慮からと説明されています。

とすると、生活必需品すべてが軽減税率の対象ではなく、先の投稿者は制度への誤解があることになります。投稿者は指摘を受け、後に一連のツイートを削除しています。

とはいえ、軽減税率の内容を理解している人は3割台に過ぎないとの調査結果もあり、投稿者のような誤解はまだ多い可能性があります。また、厚労省の調査で、「生活が苦しい」世帯が約6割と4年ぶりに増加に転じており、こうした背景もあってか、投稿者への共感の声は多かったです。

「なんで新聞ははいってて生活必需品はないんだ」「少子高齢化悪化させたいの?」「政治家の女性比率が少ないからだろうな」「新聞が行う政府批判が信じられなくなる」などです。

生理用品などが軽減税率の対象になっていないことに先の投稿者が驚いたのは、テレビで頻繁に放映しているレジ補助金のCMを見たからの可能性が指摘されています。以下のそのテレビのCMの動画を掲載します。



このCMは、政府が正式に消費増税を決めた6月21日の閣議の直前から流れています。その中で、スーパーのレシートを見せ、たまねぎやじゃがいもなどの飲食料品は対象品目のチェックが付いているものの、紙ナプキンなどにはチェックが付いていませんでした。

投稿者は、このレシート映像を見て、生理用ナプキンなどについても調べたのかもしれないです。そうして、近いうちに生理用品だけでなく、様々な適用除外品に関しても、不まおが鬱積していくと思います。

高橋洋一氏は、

「今後は、10月から消費増税だからと、その前に買ったほうがいいというCMも出るはずだ。

そうなると、国民の怒りがジワリと出てくるだろう」

としています。そうなると、これからジワジワと国民の消費税造成への反発が高まってくることになります。そうなると、高橋洋一氏が語っているように、参院選は自民党がかなり負けることになることが予想できます。

日本記者クラブが主催して、与野党7党による党首討論会が3日、東京都内で開かれました。安倍晋三首相(自民党総裁)は10月予定の消費税率10%への引き上げ後、さらなる増税について「消費増税を今後10年は、10%から上げる必要はない。社会保障などの財源は高齢者の再雇用による税収増で賄う」としていますが、そうならば8%からの引き上げも同じ理屈で必要がないはずです。

社会保障のため財政健全化をやらないと財政が持たないと、このブロクでは何度も指摘している財務省の大嘘を心の底から信じて、真正面から安倍首相に対し突きつけられるのは麻生氏しかいません。財務省は、麻生財務大臣を通じたことで、各方面に様々な増税キャンペーンを実施しやすかったとみえます。

麻生氏が財務省のトップではなくなったら、今後財務省は10%以上には増税できなくなるでしょう。ということは、安倍総理としては、増税10%後は、麻生切りができるとみているのでしょうか。麻生切とは、無論財務省の力を弱めるということです。


そうして、麻生切ができるということは、麻生氏が政権内にいなくても、安倍総理は十分に政権運営ができるということです。それの裏返しで、今はそれができないということですし、それがために勢いを回復した財務省に対して、増税せざるを得ない状況に追い込まれたということです。

参院選で負けて、その後に麻生切をしたとしたら、後は自民党どうなるのでしょうか。また、どうしなければならないのでしょうか。

今回の増税は10%とかなり切が良く、誰でも計算しやすいので、再び個人消費はかなり冷え込みます。そうなると、経済はまたデフレに舞い戻り、円高になり、雇用情勢も悪化することでしょう。そうして、国民の不満はつのっていきます。

現在の世界経済には不安要素がかなりあります。その不安が現実になり、そのときに日本経済が増税のために落ち込んでいた場合、リーマン・ショックを超えるショックが日本を襲うかもしれません。

そのようなときに、日本がリーマン・ショック時のように、緊縮財政、金融引き締めなどしていては、日本経済は再びどん底に落ち込むと思います。

そのような兆候が少しでもみられた場合、安倍総理はなりふりかまわず、減税と、再び異次元の量的緩和に踏み切るべきです。その時に麻生切ができていれば、それができるでしょう。そうでないと、安倍総理は念願の憲法改正はできずに、政治生命を終えると思います。

女性の恨みは怖いです。ナプキンで安倍総理は本懐を遂げられなかったということにならないようにしていただきたものです。そうして、本来ならばなんとしても最初から10%増税などするべきではありません。全品軽減税率対象などしてしまえば、煩雑な手間が増えるだけです。それにしても、財務省はしぶといです。

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2017年8月13日日曜日

自民・二階幹事長の「財政出動10兆円構想」は実現可能か?―【私の論評】自民党は「補正予算10兆円」で支持率上昇、再度安定政権を目指す(゚д゚)!

自民・二階幹事長の「財政出動10兆円構想」は実現可能か?

もちろん財務省は黙っていないが…

 財政拡張は悪手ではない
都議選の大敗や稲田朋美防衛相の辞任などでやや失速気味の自民党。そんななか、党内ではアベノミクス路線を改めて強調する動きが強まっている。

自民党の二階俊博幹事長は自身の派閥の研修会で、「現状の日本経済はいまだにデフレから脱却できていない」と強調。そのうえで「10兆円程度の大型補正予算を編成する必要がある」などと宣言し、今後もアベノミクスを続行していくべきだとの姿勢を崩さなかった。

二階幹事長
2ケタ規模の補正予算ともなると気が気でないのは財務省で、なんとか食い止めようと働きかけてくることは想像に難くない。はたして二階幹事長のプランの可能性はいかほどなのか。

実は、この時期に改めて財政拡張を行うのは決して悪手ではない。そのことを裏付ける指標がある。GDPギャップと呼ばれるものがそれだ。

GDPギャップとは、その国の経済が持っている供給力(潜在GDP)と現実の需要との間にある乖離のことだ。潜在GDPは完全雇用などの状況を前提にして推計されるもので、このギャップがプラスのときは好景気または景気過熱、マイナスのときは不況と判断される。

内閣府は、このGDPギャップについて、'17年1-3月期ではプラス0.1%としている。つまり、日本はいま好景気に差し掛かろうとしてはいるのだが、実は「もう安心」と判断するのは早合点で、経済政策の観点からはまだまだ「不十分」なのである。

 財務省はどう動くか

内閣府の過去のデータを遡ってみると、'07年あたりはGDPギャップがプラス2%と高水準にあったが、当時も物価の面からはデフレ状態にあった。実際にインフレ率が上昇したのはその後の'08年半ば過ぎのこと。

この過去データから言えることは、内閣府が発表するGDPギャップがプラス2%程度になって、ようやくインフレ率が上がり出す、つまりは本格的に景気が上向いてくるということなのである。

アベノミクスでは金融政策と財政出動を組み合わせ、インフレ率の「2%上昇」を目標にしているが、消費増税の影響などもあり数値はなかなか上向きにならず、日銀は'19年に達成時期を延期すると発表している。

つまり、現状のGDPギャップから見ても、財政出動はまだまだ実施の余地があり、二階幹事長の「10兆円程度」という財政出動は、デフレから脱却するためには妥当な規模であるといえる。

もっとも、この動きに財務省は黙っていられないはずだ。

「増税ではなく国債発行で補正予算を組むのは、支持率回復のためだ。このままでは財政再建は厳しくなる一方だ」

こうマスコミに語り、財務省の人々は自民党を牽制するだろう。

7月、安倍首相はこれまで導入に否定的だった「教育国債」について「可能性から排除しない」姿勢を示した。もちろん財務省はこれらのことを快く思っていない。彼らは、この際、安倍政権が退陣して、財政再建派で財務省の言いなりになる政権ができないかと願っている。

反安倍政権に財政再建派が多いことを考えると、秋の補正予算で二階構想が実現するかどうかは、安倍政権を倒閣する動きとも絡んでくるので見物だ。

【私の論評】自民党は「補正予算10兆円」で支持率上昇、再度安定政権を目指す(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事の、二階幹事長の「10兆円程度の大型補正予算を編成する必要がある」という発言が気になりました。

この数字には妥当性があるのかどうかというところが非常に気になりました。上の記事では、GDPギャップについても記載があり、そこから妥当な規模であるとの論評があります。

しかし、この指摘は間違いだと思います。下の図1は、2000年以降四半期ベースで見たGDPギャップとインフレ率の関係です。左軸にGDPギャップ率、右軸にインフレ率(消費者物価総合対前年比)をとっています。GDPギャップは半年後(2四半期後)のインフレ率とかなりの相関関係があります。

◆図表1:GDPギャップ率とインフレ率(半年後)
ここで、GDPギャップとインフレ率の関係から、「2%インフレ」にするために必要なGDPギャップ水準を算出してみると、+4.5%程度です。

それを埋め合わせるためには、有効需要25兆円程度が必要になります。1単位の財政出動による需要創出効果を示す財政乗数が、内閣府のいう1.2程度としても、この有効需要を作るための財政出動は20兆円程度です。

財政乗数とは、財政支出乗数のことです。これは、「財政支出を1単位増加させたとき、国民所得がどれだけ増加するか」の値す。

政府支出乗数( government expenditure multiplier)とは、限界消費性向をc,限界租税性向をtとすると,政府支出が1だけ増加するとき,総需要の増加分は,政府支出の増加分だけでなく、それに加えて政府支出の増加分が生み出す家計消費支出の増加を含むので、均衡国民所得は 1/(1-c(1-t))だけ増加します。この比率1/(1-c(1-t))が政府支出乗数、あるいは財政支出乗数といいます。

いずれにせよ、現状の日本がデフレから完璧に脱却するために必要な財政出動は、20兆円程度ということです。

10兆円は、この半分ですから、とてもじゃないですが、デフレから完璧に脱却できるような規模ではないです。

では、二階幹事長の言う「10兆円」と一体どこから出てきた数字なのか、いろいろ調べて見ましたが、いずれを調べてみても、その根拠らしいものは見つかりませんでした。

そこで、ここから私の憶測ですが、本来は20兆円であることは、二階氏も誰から経済に明るい人に聴いて十分理解しているのかもしれませんが、いきなり20兆というと、財務省はかなり難色を示すので、まずは10兆としたのだと思います。

そうして、本予算も大きめにして、実際に走ってみてみれば、10兆円規模であれば、数兆円の補正予算よりははるかにましで、デフレから完全脱却はできないものの、それなりに効果があり、その効果によってある程度税収が増えることが期待できます。

デフレ・ギャップが20兆円もあるにもかかわらず、過去には、5兆円規模の補正予算が組まれ実行されたこともありましたが、これでは焼け石に水でほとんど効果がありませんでした。

しかし、デフレ脱却には不十分といいながら、さすがに10兆円規模ともなれば、それなりに効果はあり、少なくと統計値上には何らかの効果が現れてくるはずです。

その時に統計数値を根拠にして、また追加補正をするなどのことが考えられます。

本来は8%増税をして、個人消費が低迷してしまい、未だデフレから脱却できないのですから、最も良い手は、減税して消費税を5%にすることです。

しかし、ここ日本ではそれをしたくても、財務省の力が強くなかなかできないというのが実情なのです。本来財務省など政府の下部機関であり、政府の財政目標は政府が決めて、財務省はそれに従うべきです。

なぜなら、政府は国民の選挙により信託を受けた人々によって運営され、経済運営に失敗すれば、次の選挙では、有権者が気にいらなければ当選しないかもしれません。

しかし、財務省などの官僚はそうではありません。だから、本来は財政政策の目標は政府が定めて、財務省は専門家的な立場から、それを実行するというのが正しいあり方です。

ところが、現実には日本の財務省はまるで、これが一つの政治グループであるかのように、振る舞い、様々な同調圧力を用いて、結果としてこの国を支配しています。

テレビ番組で財務省の悪事を説明する高橋洋一氏
多くの人は財務省の言いなりで、まともな経済理論からするとおかしくて噴飯物の議論が、平気で公共の電波を通じて撒き散らされています。無知な政治家ならともかく、いわゆる主流派といわれる経済学者や評論家、アナリストまでそうなのですから、財務省の「同調圧力」は凄まじいものがあります。この日本という国はどこまで「財務省支配」がいきわたっているのか、本当に末恐ろしいです。

このような財務省支配がいきわたっている日本においては、政府ですら財務省に一定の配慮をしなければならないのです。

そのため、自民党は次善の策として、10兆円の財政出動を念頭に置いているのではないかと思います。

ブログ冒頭の記事では、「反安倍政権に財政再建派が多いことを考えると、秋の補正予算で二階構想が実現するかどうかは、安倍政権を倒閣する動きとも絡んでくるので見物だ」としています。

実際、この10兆円が実現すれば、先にあげたように次の展開も考えられますが、実現しなければ、安倍政権は終焉を迎える可能性がかなり高いです。

財務省の期待される役割は調整役だか、実体は調整でなくて同調圧力になっている
しかし、総理は改憲も長期政権も諦めていません。内閣支持率の低下を受け、安倍政権があたかも「崩壊前夜」のような印象を振りまくメディアもありますが、これは政治の根本を見ない希望的観測にすぎません。

細田派、麻生派、額賀派、岸田派、二階派の主要5派閥は安倍政権を支え続けると明言しています。実際、次の総裁選で安倍総理が負けて誰であれ他の人が総理になった場合、まだ安倍総理のように安定した政権を維持できるかはかなり疑問符がつきます。

それくらいであれば、ここしばらくは安倍政権を支え、再度支持率をあげ安定政権を目指すほうが得策です。

いずれにせよ、今般の内閣改造ではっきりしたのは、当分の間、日本政治の主役は安倍総理であり続けるということです。このあたりは、三浦瑠麗氏の以下の記事を読んでいただくと、良くご理解いただけるものと思います。
内閣改造 総理は改憲も長期政権も諦めていない 三浦瑠麗氏
そうなると、たとえ財務省が自民党を内部分裂させようとして、様々な同調圧力を加えてきたにしても、それに与する派閥は存在しないでしょう。さらに、野党に対して同調圧力をかけて何かしようとしても、民進党も支持率を落とし、蓮舫代表も退いている状況であり、自民党の派閥に何か働きかけるなどいうことはできません。

日本ファーストの会も未だ実体はなく、当面国政に影響を及ぼすことなどあり得ません。

そうなると、自民党は挙党一致で、内閣支持率をあげて再度安定政権を目指し「10兆円補正予算」に突っ走ることになります。

これには、さすがに財務省も「同調圧力」だけでは、対処できないでしょう。かといって、財務省は実力行使はできません。もしそれをすれば、法律違反になります。さすがに、財務省もここまではしないでしょう。

だとすれば、「10兆円補正予算」の実行と、その後の対処もうまくいくのではないでしょうか。しかし、これはあくまで自民党が挙党一致でこれに邁進した場合の想定です。そうでなければ、安倍政権終焉という結果を招くでしょう。

自民党が派閥抗争に傾けば、そうなります。これからどうなっていくか、動静を見守り、またレポートさせていただきます。

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安倍内閣内閣が問われる「20兆円財政出動」で物価目標2%達成―【私の論評】今国債を刷らずして、一体いつ刷るというのか?

2017年7月17日月曜日

二重国籍解消の自民・小野田紀美氏が蓮舫氏を猛批判「ルーツや差別の話なんか誰もしていない」「合法か違法かの話です」―【私の論評】日本でも、国会議員や閣僚は、多重国籍を禁止すべき(゚д゚)!

二重国籍解消の自民・小野田紀美氏が蓮舫氏を猛批判 「ルーツや差別の話なんか誰もしていない」「合法か違法かの話です」
自民党の小野田紀美参院議員
 民進党の蓮舫代表の「二重国籍」問題で、蓮舫氏が公的書類公開を表明しながら戸籍謄本公開に難色を示していることを受け、自民党の小野田紀美参院議員が自身のツイッターで「国籍法に違反していないことを証明できるのは、国籍の選択日が記載されている戸籍謄本のみです。ルーツや差別の話なんか誰もしていない」などと立て続けに批判した。

 小野田氏自身も昨年10月、米国との「二重国籍」状態だったことが発覚し、その後手続きをとって今年5月に正式に解消した。自身のフェイスブック上で戸籍謄本や米国籍の喪失証明書を公開している。

 小野田氏は、蓮舫氏が13日の記者会見で公的書類を公開すると表明したことを受け、翌14日に国籍に関するツイートを相次いで投稿した。蓮舫氏を名指しせずに「国籍法14条の義務である日本国籍の選択を行ったかどうかは戸籍謄本にしか記載されません」と紹介し、戸籍謄本を公開する必要性を説いた。

 その上で小野田氏は、蓮舫氏が個人のプライバシーを理由に「戸籍を差別主義者、排外主義者に言われて公開するようなことが絶対にあってはいけない」と発言したことを念頭に「公職選挙法および国籍法に違反しているかどうか、犯罪を犯しているかどうかの話をしています。日本人かそうでないかの話ではない。合法か違法かの話です」と断じた。

 小野田氏のツイートには「なるほど! だから蓮舫さんはかたくなに戸籍謄本の公開を避けているのですね」「小野田さんが言うと説得力があるね」「テレビなどでこの件について詳しい説明をしていただけないでしょうか。都合の悪いことは報道しない自由を振りかざすマスメディア相手では困難はあるでしょうが」-など多数のコメントが寄せられている。

【私の論評】日本でも、国会議員や閣僚は最低限、多重国籍を禁止すべき(゚д゚)!

以下に小野田議員のツイートを掲載します。
民進党の蓮舫代表のいわゆる「二重国籍」問題について、金田勝年法相は昨年の10月18日の記者会見で、一般論と断りながら、「法律の定める期限後に日本国籍の選択宣言を行った場合、それまでの間、国籍法上の国籍選択義務14条に違反していた」と述べたいました。

国籍法は20歳未満の人が二重国籍になった場合、22歳までの国籍選択を定めている。蓮舫氏の国籍選択宣言は今月で、国籍法違反の状態が25年以上続いていた可能性が高まっている。

蓮舫氏は今月、都内の区役所に提出した台湾籍の離脱証明書が受理されなかったとし、「(日本国籍の)選択宣言をした」と述べていました。関係者によると、宣言は昨年10月7日付といいます。

国籍法では、二重国籍の人が日本国籍を選ぶ場合、(1)外国籍離脱を証明する書面を添えて外国国籍喪失届を出す(2)日本国籍選択の宣言をし、かつ外国籍離脱の努力をする-の2つの方法があります。

ただ、政府は台湾を正式な政府として認めていないため、台湾当局発行の国籍離脱証明書は受理していません。このため、台湾出身の二重国籍者の場合は(2)の方法を原則22歳までに求められています。

一方、蓮舫氏は昨年10月16日、訪問先の熊本県で記者団に対し「法務省から(国籍法)違反に当たらないとの考え方を文書で頂いた」と述べていました。これについて金田法相は再び一般論とした上で、「期限後に(法の定めることを)履行しても、それまでの間は違反していたことになる」と強調しました。

蓮舫氏
ただし、違法だからといって、特に罰則規定が定められているわけではないので、特に一般人や、一般人でなくても、芸能人などが蓮舫氏のように、二重国籍問題があったにしても、ほとんど何も問題はないでしょうが、やはり、政治家、それも野党第一党の党首ということであれば、非常に問題です。

これに関して、左翼系はどのように思っているのでしょうか。

以下に、朝日新聞の鮫島記者のツイートを掲載します。朝日新聞社の鮫島浩と言えば、プロメテウスの罠「手抜き除染」の捏造報道で新聞協会賞を獲ったものの、新潮に自作自演を暴露された特別報道部次長です。

鮫島浩
やはり、戸籍を公開するかもしれない蓮舫氏に対し三行半をつけているということのようです。もしあくまで、戸籍を公開しないというのなら、徹底的に擁護するつもだったのでしょう。

ちなみに、現状では公職選挙法でも二重国籍を罰する規定はありません。あくまで選挙に出るためには、日本国民であることが必要であるだけであり、重国籍であったとしても、選挙権に影響を与えるわけではないのです。

蓮舫代表の二重国籍の問題には、現実的に罰則や、公職選挙法上の問題は生じ難いことがいえます。このため、よく聞く汚職、脱税、男女トラブルの問題のようなはっきりとした違法の問題とは状況が違うとはいえるでしょう。

そのため、鮫島浩氏のような左翼は、二重国籍など違法であったにしても、罰則規定も何もないのだから、蓮舫氏には、国籍問題などには拘泥すべきでないとしているのでしょう。

一方、小野田紀美氏は、罰則規定があるなしにかかわらず「違法か、合法か」という事自体が問題であるとしているのです。

しかし、国籍をふたつ持っているということは、ふたつの国の国民であるということです。

このため、極端な例ではありますが、「日本の総理大臣が、いつか中華民国総統になりうる」という事態を生じる可能性を持っています。

こと国家の意思決定を担う政治家を、重国籍の人が担うことの意味は、よくよく話し合われるべきものといえます。

だからこそ、蓮舫代表には、この点の説明や対応が求められているのです。

諸外国では、どうなっているのでしょうか。オーストラリアの野党・緑の党に所属するスコット・ラドラム上院議員(47)は今月14日、二重国籍と知らずに過去9年間、議員活動をしていたとして、議員を辞職しました。移民国家の豪州では二重国籍は珍しくないが、議員の二重国籍は憲法で禁じられているのです。

スコット・ラドラム上院議員
ヨーロッパでは、テロ事件以来、国民意識が高揚しており、そのなかで、国家への忠誠求める風潮が、極右などでなくても高くなっています。

そこで、プーチン大統領は、最近、帰化するときに厳密な忠誠宣言をさせることを決めました。韓国などでも同様ですから、日本に帰化するときに、何の忠誠宣言も求めないのはとんでもないことで。日本に心を売らないが、日本のパスポートの方が便利だからとかいった芸能人がいたが許せないことです。

ヨーロッパでは義務兵役があったときは、二重国籍でも、どこでそれを果たしたかで忠誠対象を判断できましたが、兵役廃止で意識が希薄になったことに悩んでいます。また、女性の地位が高くなると女性の忠誠はどう確保するかも問題です。

そこで、スウェーデンに続き、フランスでもマクロン新大統領が男女共通軍事教練の義務化を公約にして当選しました。女性も軍事教練と愛国教育を受けなければならないことになりそうです。

まして、政治家では、先オーストラリアの例もありますが、韓国では、康京和外相の任命にあたり、娘の二重国籍が合法的なものにもかかわらず、問題視されました。

イラン司法当局は16日、同国の裁判所が米国と第三国の二重国籍者に、違法な情報収集活動を行ったスパイ罪で禁錮10年の判決を言い渡したと発表した。

日本でも、国会議員や閣僚は最低限、禁止すべきです。法的整備も急ぐべきだが、まず、与党が次回の国籍選挙で、二重国籍者は公認しないという姿勢を明確にして欲しいものです。

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2017年6月7日水曜日

「蓮舫氏は公人を辞めるべきだ」 “二重国籍”解消公表した自民・小野田紀美氏に直撃―【私の論評】すでに泥舟に成り果てた民進党(゚д゚)!


小野田氏(写真)は、説明責任から逃げ続ける蓮舫氏を一刀両断した 写真はブログ管理人挿入
 自民党の小野田紀美参院議員(34)が5月19日、自身のツイッターやフェイスブックに「国籍についてのご報告」として、米国籍の喪失証明書が届いたことを画像付きで投稿し、「二重国籍」状態が解消されたことを堂々と公表した。一方、「二重国籍」問題を抱える民進党の蓮舫代表は5月25日の記者会見で、戸籍謄本を公開する考えが「ない」と改めて強調した。2人の対応には、政治家として「天と地」ほどの差を感じる。夕刊フジは小野田氏を直撃した。(夕刊フジ)

 「なぜ、蓮舫氏は戸籍謄本を公開しないのか。公人にプライバシーはない。それを主張するなら公人を辞めればよい」

 小野田氏は、こう言い切った。自身の「二重国籍」を認識して以降、必要な解消手続きを素早く、透明性を持って進めた自負があるようだ。

 蓮舫氏は昨年9月の代表選の期間中、「二重国籍」が発覚した。日本国籍の選択宣言をしたと主張しているが、台湾籍離脱を含めた証拠となる戸籍謄本の開示は「個人的な件」として拒否している。

 小野田氏は、蓮舫氏の態度に「怒りを覚える」といい、続けた。

 「自民党本部からは『戸籍謄本まで公開しなくていい』といわれたが、私はそれでは国民の方々の信用は得られないと思った。逆の立場なら、私は信用しない。国会議員である以上、『日本に命を投じられる』ことを証明しなければならない。私のように海外にルーツがある人間は当然です」

 そもそも、蓮舫氏は民主党政権下で「二重国籍」のまま行政改革担当相を務めた。国益に沿った判断がされたのか、疑問を持たれても仕方ない。

小野田氏は「現在の国籍法と公職選挙法には、国籍に関する不備がある。国際結婚が増えるなか、『二重国籍』問題に直面する人は多くなる。こうした人々が困惑しないよう制度改正に尽力していきたい」と語っている。

【私の論評】すでに泥舟に成り果てた民進党(゚д゚)!

2011年当時の蓮舫氏

民進党の蓮舫代表が党幹部が集まる会合で、二重国籍問題について正直な心中を語っていたことが分かっています。それは、以下の週刊誌の記事です。


これぞまさしく蓮舫代表の本音といったところかもしれません。表向きは勘違いと手続きミスがあったとして営業スマイルで謝罪していたのですが、本音では全く悪いと思っていなかったようです。その理由は国民にも党関係者にも直接迷惑をかけていないからというもののようです。

そもそも二重国籍はなぜ問題なのかといえば、それは日本と外国とでは、利益が相反する場合があるからです。実際、日本と台湾との間には明らかに利益が相反しています。それについては、以前このブログにも述べたことがあります。その記事のリンクを掲載します。
「尖閣は台湾のもの?」“二重国籍”蓮舫新代表が知っておくべき日本と台湾の対立点―【私の論評】南京・尖閣問題で台湾は決して親日ではない(゚д゚)!
民進党代表決定の名前を呼ばれる直前にハンカチで目頭を押さえる 蓮舫新代表=昨年9月15日
詳細は、この記事をご覧いいだくものとして、この記事では、台湾と日本の利益が相反する部分を掲載しました。それは、主には、台湾は南京虐殺問題では大陸中国と同じような主張をしていること、尖閣諸島は台湾領であると主張しているということです。

それと、台湾には現在でも大陸中国に親和的な人が大勢います。当然のことながら、こういう人たちとも日本は利益が相反するとろが多々あります。こうした利益相反のある国の国籍を有していた、そうして現在でもそれがどうなったのか、明らかではない蓮舫氏は、日本の野党第一党の代表にはふさわしくありません。

二重国籍の問題をはっきりさせるつもりがないのなら、ブログ冒頭の記事で、小野田紀美参院議員が主張するように公人をやめれば良いのです。

蓮舫代表の考えでは手続きで手間をとらせた台湾駐日代表部にだけ申し訳ないと思っているらしいです。そしてトドメの台詞は「他に何か問題があるんですか?」。支持率を低迷させたにもかかわらず方針を変えようとしない蓮舫代表に民進党幹部たちはうんざりのようです。

さらに記事にもある通り、ベロベロに酔っ払って「私は役人より勉強している」などと吹聴していたといいます。所詮週刊誌の記述ですから、どの程度信頼性があるかはわかりませんが、いかにも蓮舫氏らしいです。

今月の6月1日の定例記者会見でもとんでもない発言をしていました。



記者の「民進党の支持率が共産党を下回っています。今後の狙いは?」という質問に対して、蓮舫氏は、「狙いはありません。とにかく頑張っている仲間を応援する。これに尽きると思います」と応えていました。
リーダーシップを発揮して組織を正しい方向に導くのではなく、ただ頑張るという方針のみ。これでは成果は出るはずもありません。
また、記者の「昨日、安住代行が小池知事に対して二重党籍と批判されていました。小池都知事の判断について蓮舫代表はどのように判断しているでしょうか?」という質問に対しては、「二重」という言葉を耳にした途端、動揺して瞬きが増えていました。
そうして、蓮舫氏の答えは、「うん…私が判断するものではないと思います(笑)メディアの皆さまの判断じゃないでしょうか」というものでした。
攻撃は慣れているのに防御はめっぽう弱いのが蓮舫代表の特徴のようです。蓮舫代表の大した根拠もなしにむやみやたらに他人を攻撃する様子は非常に高感度を下げており、ただのヒステリーというイメージがつきまといます。蓮舫代表といえば眉間にしわを寄せ、不自然な話し方で揚げ足取りをしている様子が真っ先に連想されます。
このように、国会での答弁の仕方もまともではない蓮舫氏ですが、それでも経済対策などについてまともな見識を持っていれば、良いのですが、それもありません。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
蓮舫氏が語る経済政策 実行されたなら景気低迷で雇用改善はブチ壊し―【私の論評】財政再建はすでに終わっていることを知らない民進党に先はない(゚д゚)!
日銀と政府をあわせた統合政府ベースでは今年は借金どころか、日本政府は貸金になる
 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、これ記事ではね蓮舫氏の経済対策は無効であるどころか、有害であることを掲載しました。

蓮舫氏は消費増税を安倍晋三政権が2度も延期したことが間違いだと思っているようです。デフレを完全に脱却しないまま緊縮財政を実行すれば、ますますデフレ脱却から遠のくことになります。金融引き締めと緊縮財政の組み合わせでは、実体経済を痛める可能性が極めて高いです。雇用の確保ができないばかりか、GDP(国内総生産)ギャップが拡大して、デフレに逆戻りし、賃金も上がらないことになります。

いま求められているマクロ経済政策は、金融緩和と積極財政であるが、蓮舫氏の政策は真逆の方向のようです。万一これが実行されたなら、景気低迷と失業率上昇に見舞われ、雇用改善もぶち壊しとなります。

蓮舫氏はこのことを全く理解していないようです。あれだけ、国会で舌鋒鋭く安倍総理や自民党を責め立てても、支持率は低迷するばかりです。

朝日新聞の最新世論調査では、安倍政権の支持率が大きく上昇し 52%、他紙の世論調査でも支持率5割超です。


直近の他社のランダム抽出による世論調査結果を見ると、
      
日経 56 %
http://www.asyura2.com/17/senkyo226/msg/522.html
   
JNN 54.4 %
http://www.asyura2.com/17/senkyo226/msg/793.html


              
以上の通り直近の世論調査で、朝日も日経もJNNも安倍政権の支持率は5割越えとなっています。

連日ワイドショーや週刊現代など下世話なメディアで、安倍政権への言われないバッシングが続いています。

そんな中で安倍政権の支持率は5割超と高い状態です。

これは、外交、経済などの安倍政策の成功を多くの国民が評価している表れと言えるでしょう。
  
一方、政党支持率は、自民が37%と変わらず民進党は8%と相変わらずの1ケタ台で野党第一党として落第です。

安倍政権がバッシングを受けても、なぜここまで民進党は支持されないのでしょうか。
   
結局民進党は口汚く安倍政権をののしり、印象操作をするだけです。この痴態では民進党の支持率は大きく上がるはずもありません。
      
民進党は政権の批判というよりは、政権を口汚く罵る行為を続けています。最近、蓮舫代表は、安倍総理と同じ空気を吸うのがつらいなどと発言。辻元清美は、「安倍晋三の顔を見るだけでいやになる」などと発言しました。

蓮舫発言など、とてもまともな公党代表とは思えない、ただのいじめ発言です。悪口、印象操作。これが今の民進党の実態であり、これだからこそ民進党の支持率は1ケタ台と低いのです。

このような罵詈雑言をはくくせに、自らの二重国籍問題に関しては、明らかにしないどころか、ほとんど責任すらも感じていないような蓮舫氏が民進党の代表です。もう、民進党は泥舟に成り果てたと言っても良いです。後は、沈没するだけです。

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2017年3月31日金曜日

自民・小泉進次郎衆院議員ら「こども保険」創設で幼児教育無償化の財源確保提言 「教育国債」は「未来へのつけ回し」と批判―【私の論評】麻生財務大臣と小泉進次郎氏は財務省の使い捨て人材(゚д゚)!


こども保険」創設の提言を発表する、自民党の
小泉進次郎衆院議員=29日午後、東京・永田町の党本部
小泉進次郎衆院議員ら自民党若手議員でつくる「2020年以降の経済財政構想小委員会」は29日、新たに社会保険料を上乗せして徴収し、幼児教育無償化の財源を生み出す「こども保険」の創設を柱とする提言を発表した。30日に党「財政再建に関する特命委員会」に報告し、次期衆院選の公約への反映を目指す。

 こども保険は厚生年金の場合、平成29年度で15・275%の社会保険料について個人、事業者とも当面0・1%分を上乗せして徴収し、約3400億円の財源を捻出。将来的に0・5%分まで引き上げて約1・7兆円を確保し、幼児教育と保育を実質無償化する。

 小泉氏は記者会見で「世代間公平の観点からも、こども保険の導入は画期的なことだ」と語った。党内には教育無償化の財源として「教育国債」を発行する案もあるが、小泉氏は「未来への付け回しになるのではないか」と批判した。

【私の論評】麻生財務大臣と小泉進次郎氏は財務省の使い捨て人材(゚д゚)!

本当に、ものは言いようです。増税というと、多くの国民はかなり抵抗がありますが、こども保険というと、「子供のためならしかたないか」、という人も多いはずです。

そこに付け込んで、幼児教育から大学までの教育無償化の財源として、現在の年金に0.1%上乗せし、近い将来0.5%まで高めようというのが「こども保険」の本質です。これは、実質増税と同じことです。

自民党案である教育国債発行は、国の借金にすぎないということで、またもや財務省が難癖をつけ、小泉氏が財務省にうまく丸込まれたといった格好ではなかろうかと思います。

これには、麻生財務大臣も丸め込まれたようです。本日は以下のようなニュースもありました。

麻生太郎財務・金融相は31日の閣議後会見で、自民党の若手議員らが提言した「こども保険」に関し、教育国債よりも「ひとつの考え方としてよほど評価に足る」との認識を示しました。教育予算の重要性を指摘する一方、「財源が安定的なものではないと確実なものにならない」とも言及しました。教育国債は「赤字国債とどこが違うのか」と否定的な見方を示しました。

麻生財務大臣
消費税10%が安倍総理によって先送りにされ、何とかその穴を埋めたい財務官僚の節操のなさがにじみ出たような姑息な手段としか言いようがありません。

財務省による偽装増税路線は相変わらずのようです。小泉j進次郎氏、麻生財務相が現在の財務省の手駒なのだと思います。二人とも、財務省にうまいこと籠絡され、実質上の増税キャンペーンに加担させられたということです。

まったく、財務省は消費税8%で消費に水を差し、デフレ脱却の芽を摘んでしまった責任なんぞどこ吹く風です。

教育無償化の事例としてよくひきあいにだされるのが、昔から実行しているドイツが有名です。そうして、日米との決定的な違いは、大学に進学できる人は超エリートであり、ほんの一部しかいないということ。

日米のように、石を投げれば大学生に当たる国とは違います。大学という名前だけで、中身が伴わない大学をまず整理してからにすべきでしょう。

現状のように大学教育を受けることきができる能力もない輩に国民の税金をこれ以上使うべきではないと思います。

それから、大学の学費を昔に戻して、国公立の授業料大幅に安くして、お金はないけど頭はあるという子供が行けるようにした方が良いと思います。

今は、私大と国立の学費の差があまりないので、「お金がないから勉強して国立に」という考えも通用しなくなりました。そもそも、日本ではこれが諸悪の根源かもしれません。

このようなことをいうと、日本の大学進学率は他国に比較するとかなり低いので、やはり私のいうようなことはもう妄言に過ぎないという人もいるかもしれません。

しかし、日本の大学進学率が他国に比較して著しく低いなどとはいえません。以下が、大学進学率の国際比較のグラフです。

文科省は2013年くらいから日本の大学進学率は低いと盛んに言い始めました。当時の下村文部科学大臣が、下記の「大学進学率の国際比較(OECD Education at a glance 2012)」というプレゼン資料に基づいて国会で説明していて、個人的に違和感を持ったことをよく覚えています。



上記のプレゼン資料には「日本の大学進学率はOECD各国と比べると高いとはいえない」と書かれており、日本の大学進学率は52%で、OECD平均の60%よりも低く、アメリカ、英国、スウェーデンよりも10~20%以上も低くなっています。これを普通の人が見たら、「日本は世界から取り残されている、もっと大学に行く人を増やさないといけない」と思うことでしょう。

ただ、オーストラリアの進学率が100%とほぼありえない数値になっていますし、スウェーデンが日本よりも大学進学率が高い(76%)のも直観的におかしいです。何がおかしいのかを詳しく調べてみると、このデータにはいくつかの問題があることに気づきました。すなわち、このOECDのデータは、①生涯進学率の推定値を示したものである点、②海外からの留学生も含んでいる点,③全ての国が大学・短大(Aタイプ)、専門・職業学校(Bタイプ)を区別しているわけではない点、④フルタイムやパートタイムの学生を必ずしも区別していない点です。

日本では,大学進学率は18歳進学率(18歳人口に占める大学進学者の割合)と理解されていますが、上記のグラフが扱っているのは生涯進学率で、一生のうちに大学進学する割合を推定した数値です。日本では入学者の9割以上は18〜19歳ですが、海外では高校卒業後にすぐに入学せずに社会人をしてから大学に入学する人も多いので,その生涯進学率は18歳進学率よりも高い数値が出るのです。

これを勘案すると、18歳進学率を比較すれば、日本だけがかなり低いということにはならないと思います。

ただし、ここには、別の問題点も見え隠れします。日本では、高校を卒業してすぐか、せいぜい数年間浪人をして大学に入学した人でなければ、雇う企業はほとんどないし、社会人になって長い期間企業に努めて大学に入学したとしても、それはほとんど学歴とみなされないという問題もあります。

また、日本と他の西欧諸国と比較すると、西欧諸国では大学を卒業しただけでは、高学歴とはみなされず、大学院を卒業してはじめて高学歴者であるとみなされるという違いがあります。

大卒は大卒であり、いずれの大学を卒業したからといって、それは大学卒に過ぎず、学歴のあるものとはみなされません。日本でいえば、東大を出ようが、五流の私立大学を出ようが、大学卒は大学卒であり、大学院を出ていなければ、高学歴とはみなされないのです。

ただし、大学院はいずれの大学院を出たかといいうことで、評価がいろいろと異なってきます。無名の大学院を卒業すれば、高学歴であるとはみなされるものの、それが特に大きな意味を持つということはありません。そういう意味では、欧米は大学院格差社会とでも呼ぶべきなのかもしれません。とはいっても、学歴社会であることには間違いありません。

これに対して、日本(韓国も日本と同様)では、いずれの大学に入学して卒業したかが、重要視されます。実際財務省などの官庁では、大学院卒は稀で、東大をはじめとする四年制大学卒業者がキャリア官僚となっています。

出典:stat.news.ameba.jp

これは、民間企業でも似たようなところがまだあって、大学院卒の専門能力があまり重要視されないというところがあります。たとえば、日経新聞のような新聞社であれば、大学院卒の経済の専門家がゴロゴロいると思いきや、現実にはほとんどいません。やはり、大卒がほとんどを占めています。残念ながら、日経新聞には経済の専門家はほとんどいません。

このようなことから、日本のことを良く学歴社会だというのは間違いであり、正しくは大学格差社会とみなすべきです。

少し話が横道にそれてしまいました。なぜ、このようなことを述べたかというと、日本と諸外国の大学進学率を単純に比較しても意味がないことを強調したかったのです。これらに関しては、今日の本題とは少し離れるのでここであまり詳しくは述べません。いずれまた何かの機会に詳細をレポートします。

さて、世の中には学資保険なるものがありす。しかし、保険と名の、投資信託のようなものに過ぎません。それを「保険」というのは詐称にに近いものといえます。子供の病気、怪我にも給付金がでるというのですが、その部分だだけが保険であり、その他は投資信託に近いといって良いでしょう。

なんでも「保険」というと、通りが良いのだと思います。小泉進次郎をはじめとする一部の若手議員らは、この本質は増税であるにもかかわらず、「子ども保険」と詐称しているようなものもです。

「教育国債」は「未来へのつけ回し」と小泉進次郎氏は批判していますが、最も筋がよいのは、「未来への投資」の中で、人への投資を国債発行で行うことです。

そのロジックは実に簡明です。基礎研究や教育のように、懐妊期間(成果が出るまでの期間)が長く、大規模で広範囲に行う必要のある投資は、民間部門に任せるのは無理があり、やはり公的部門が主導すべきです。その場合、投資資金の財源は、税金ではなく、将来に見返りがあることを考えると、国債が適切であるというものです。

「知識に投資することは、常に最大の利益をもたらす」というベンジャミン・フランクリンの名言もあります。特に、教育は、将来の所得を増やすという実証分析結果は数多いです。高等教育は将来の所得増や失業減などにより、費用と便益の比率は2・4程度ですが、これは、現在の公共事業採択基準を軽くクリアしています。国債発行で教育を賄い、教育効果の出る将来世代に返してもらえばいいのです。

それなのに、麻生財務大臣や小泉進次郎氏は、教育を国債発行で賄うということには、反対で、増税の変形とも受け取れる「こども保険」なる、投資信託をすべきどというとんでもない主張をしています。これでは、彼らは財務省の走狗に成り果てたといわれてもいたしかないと思います。

現状のままだと、教育支出を増やせないと財務省は主張してきました。しかし、現実には財政問題は、このブログに掲載してきたように、さほど切実にもかかわらず、緊縮財政をことさら強調する財務省など、その存在意義を疑われます。

私として、小泉進次郎氏は将来の総理大臣にしたり、麻生氏が間違っていっときでも再度総理大臣になったりすれば、財務省の言いなりに増税を繰り返し、また日本はデフレ・スパイラルどん底に沈むことになると思います。

そんなことは、絶対に避けるべきです。無論安倍総理はその方向に動きます。当面は、彼らは財務省の使い捨て人材にすぎなくなります。そうして、いずれは、財務省を解体して、他省庁の下部組織として編入するべきと思います。当然安倍総理はその方向性で機会をうかがっているものと思います。

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2017年1月8日日曜日

防衛施設周辺で外国資本の土地取得規制に向け調査可能に 自民が通常国会に法案提出へ―【私の論評】オホーツク海を支那原潜の聖域にさせるな(゚д゚)!


インターネットで売られる日本の離島 転売に規制はない
自民党は今月20日召集の通常国会で、自衛隊など防衛施設周辺の安全保障上重要な土地の外国人や外国資本による買収の規制に向け、政府が土地取得や利用の実態調査を可能にする法案を提出する方針を固めた。規制以前の問題として調査さえ十分に行えない現状を打開する狙いがある。公明党や日本維新の会に賛同を呼びかけ、早期成立を目指したい考えだ。

 法案は安倍晋三首相(党総裁)の意向を受け、自民党の安全保障と土地法制に関する特命委員会(委員長・佐藤正久参院議員)がまとめた骨子をたたき台に作業を進めている。

 防衛相が自治体などの意見を参考に自衛隊施設の周辺に一定の調査対象区域を指定し、所有者らに必要な報告と資料提供を求めることや立ち入り調査も可能にする内容。規制はその後の課題とする「二段階」の手続きを想定している。

 外資による安保上重要な不動産の取得をめぐっては、韓国資本による長崎県・対馬の海上自衛隊基地周辺の土地取得や、支那人が北海道などの自衛隊施設周辺の不動産を取得したことが明らかになっている。

 しかし、政府による調査は実態を反映しているとは言い難い。昨年2月の衆院予算委員会で当時の中谷元(げん)防衛相は、平成25年以降、陸海空の自衛隊施設や米軍基地の隣接地の現況を確認した結果として「住所が外国に所在し、氏名等から外国の方と類推される方が2筆確認された以外は、確認されていない」と述べた。日本各地にある防衛施設の隣接地の調査には膨大な人員と時間がかかり、そもそも防衛省には強制的に調査を行う権限がない。

 公明党は基本的に歩調を合わせるとみられるが、「自由な経済活動を阻害する恐れがある」との異論もあり、調整が難航する可能性もある。

 こうした中、自民党が連携を模索しているのが維新だ。維新は昨年の臨時国会で土地取引の制限も行う独自法案を提出している。維新幹部は「現実的には自民党案に乗ることになるだろう。できれば修正を勝ち取りたい」と語っている。

【私の論評】オホーツク海を支那原潜の聖域にさせるな(゚д゚)!

こちらは、北海道の札幌市です。北海道というと、近年起きている最も由々しき事態は、外国資本、とくに支那系資本による不動産の買収です。支那の領土をめぐる問題といえば、尖閣諸島沖の活動がマスコミで取り上げられるので、国民はそちらにぱかり目を奪われていますが、その間、北海道では支那人たちが着々と土地を取得し、実質的な侵食が確実に進んでいます。

2016102202

海外資本による水源地の買収状況
森林や水源地の買収については、やっと外国資本の買収を監視・制限する条例を北海道が制定しましたが、今も支那系資本の動きは止んでいません。支那と関係のある日本企業が買収しているケースや、支那企業が日本企業を買収し、そのまま所有権を引き継ぐケースもあり、実態把握が困難なのが実情んのです。

支那の土地買収問題はさらに厄介な方向に進んでいます。今、道内ではおもにバブル期にニーズも考えずに建設されたリゾート施設やゴルフ場が、次々と支那系資本に買収されているのです。

具体的な例を上げると、2003年、594億円の負債を抱えて民事再生法の適用を受けたゴルフ場が、2011年に香港を本拠とする投資会社BOAOに買収されました。このコースは、元々、東京のマンション業者が開発したゴルフ場でしたが、そこが2003年に民事再生法を申請したため、オープンには至らず、休眠状態となっていました。その後、香港、支那の投資家が出資してこのコースとその周辺の計210ヘクタールを約30億円を投じて取得、クラブハウスの建て替えとコース改修など開発を進め、「一達国際プライベートゴルフクラブ」と改名し、2014年にオープンしました。

「一達国際プライベートゴルフクラブ」のコース
買収した投資会社の役員は、「ここに将来、支那の五輪強化選手用の施設を作る構想がある」と語ったといいます。五輪級の選手が、最適な環境を求めて自国外で調整を行うケースは少なくありません。日本の選手らも外国で強化合宿を行っています。しかし、だからといってこの発言を「問題なし」として看過するのは間違いです。

なぜなら、相手があの全体主義国家の支那だからです。投資会社役員の発言は、この施設買収が単なる一民間企業の投資行動ではなく、支那共産党との強いパイプがあることを物語っています。

BOAOの元理事には蒋暁松という人物がいます。支那・海南島のリゾートを運営する支那人実業家です。過去に彼は、和歌山県の那智勝浦・太地町にあり2003年に事実上破綻した大規模年金施設「グリーンピア南紀」の跡地開発の疑惑に絡み、名前が挙がったことがあります。グリーンピア南紀の跡地開発が、通常の手続きを経ず、不明朗なままBOAOが請け負うと決められたからです。

蒋暁松(左)
この決定には、和歌山選出の自民党国会議員で新支那派と言われる二階俊博氏の強い後押しがあったとも報じられました。北海道内で、支那系資本による明らかに不自然な不動産買収の実態が多々あるにもかかわらず、地元の政官界からほとんど懸念の声が上がらない背景には、こうした日本の中央で力をもつ政治家らが暗躍しているという事情もあるのです。

自民党幹事長 二階俊博氏
支那マネーが道内ゴルフ場の買収に意欲を見せているのは、増大している支那人観光客を対象にした、ゴルフをセットにした旅行プランの需要が高まると見ているようです。中には、金に糸目をつけずにマイ・ゴルフ場としてコースを探している富裕層もいるといいます。

さらにもう一つ、支那が道内の森林を買っているのは水資源が目的ですが、勝手に川や沢から水を採取することはできないため、牧場やゴルフ場を取得して地下水をくみ上げようという狙いもあるようです。実際、地下水のくみ上げに関しては規制がなく、水脈を探し当てれば自由に水を確保することができるのです。

また、世界的な食糧不足が確実にやってくるとして、道内で農業ができる土地を確保しておこうという思惑もあるようです。ゴルフ場を農業用地に転用する目的で取得しようというのです。我々はゴルフ場といったらゴルフ場の価値しかないと思っていますが、彼らは木や池があって整地されていて開墾の必要もない農業用地として適していると見ています。水と農業は、支那系資本が道内の土地を買収する大きな動機になっているのです。

さて、北海道ではこれ以外にも大きな問題があります。それは、自衛隊駐屯地の近隣の支那人による土地購入です。その事例をあげておきます。

千歳市では、2010年、約17棟の別荘が建設されましたが、購入したのはすべて支那人。住宅には不釣り合いなパラボナアンテナがいくつも設置されています。ここは、航空自衛隊の千歳基地、陸自の千歳・恵庭演習場から2、3キロメートルしか離れていないません。

パラボラアンテナが設置された別荘
上の写真は、2014年8月撮影したものです。場所は新千歳空港や陸上自衛隊・航空自衛隊の近くの北海道千歳市文京1丁目です。
家のベランダではなく共用部に受信のためだと思われる大きなアンテナが設置されているのが4つ程確認できました。車庫は見当たりませんでした。

またどのような用途かはわかりませんが、窓に外からは電気が点いているか確認しづらく見えるフィルムが標準装備されていました。

登記情報を調べたところ17棟中16は支那人の所有でした。残りの1つはニトリ家具の取締役の名前で所有されていました。ただそこの表札の名前は、姓はニトリの取締役でしたが名は支那人の様な名でした。

岩内町(いわないちょう)では、泊原発の原子炉3基が目視できる高台に支那人が別荘を購入しているといいます。ここへは、札幌から車で3時間近くかかります。こんなところに、わざわざ別荘を買う理由は、一体何なのでしょう。

倶知安町(くっちゃんちょう)自衛隊駐屯地から3キロメートル以内に外資が所有する土地が3件、トータル109ヘクタールあります。そのうちのひとつは香港資本のものですが、買収から8年近くたってもそのままです。

北海道・俱知安町で売りに出されれている山林
こうした支那人による、日本国内の土地の所有に関しては、常に大きな危険が伴っています。

多くのみなさまがすでにご存知の通り、2010年7月に支那共産党政府が成立させ、施行した国家総動員法(国防総動員法)は、同国の国防に関わる有事にいたった場合に、国内外の支那(China)国籍者の財産の接収(没収)、同国籍者の徴兵(国内・在外を問わない同国籍者の徴兵(兵員化)と、および、同国内での外国資本の没収まで含まれています。 

何故、このような法律を性急なまでに施行したのでしょうか。その目的は、支那共産党政府がごく近い将来に有事(および戦争)の発生を想定してのことで、たとえば、対日政策の上では、侵攻による沖縄県尖閣諸島、さらには沖縄本島の収奪・領土化とそのための有事を視野に入れてのことであろうことは疑いの余地も有りません。もとより、沖縄の領土化は日本本土を次の視野に入れてのことで、日本の属国化、ひいては「日本自治区化」を想定していることでしょう。

注目すべきは、在日支那国籍者もこの法律の動員対象となっていることです。登録されている同国籍者だけでも「687,156人(2010年12月末時点の統計)に上り、その他“観光”などで一時的に渡航して来ている者や15万人を超えたとされる同国の留学生も、「有事」発生時点での動員対象になります。さらに、後者の一時的渡航者、留学生の中から絶えない「法律上は日本に存在していない」はずの不法残留(オーバーステイ)者や、さらには、数値ではその掌握が測りかねる不法滞在者(密航者)もその例外ではありません。

さらに、民間偽装での入国の末に偽装帰化した“元支那国籍者”(その正体は人民解放軍の民間偽装の兵員であったり、対日工作員であったりとの指摘も絶えない)要員で、実質的に支那共産党に忠誠を誓っている者も、いざ同法が適用となる際は上記に準ずることになるでしょう。

結果、総動員法のもとで兵員化し得る人員数では、トータルで百万人を超える可能性も否定できません。高齢層や幼年層、亡命者の数を差し引いたとしても、相当の「兵力」になるはずで、支那本国が擁する二百万人を超える人民解放軍に実質合流することになります。

これは、支那共産党政府のスイッチ「ON」一つで、それまでの“文化交流”や“経済交流”“観光”などの名目下で、巧みなまでに日本に埋め込まれて来た時限装置が一気に同時多発的に爆発することを認識すべきです。その時には、自ずと支那人の所有する日本国内の土地建物は、日本攻略の前進基地になることはいうまでもありません。 

北海道は、自衛隊を削減する動きもあります。尖閣、沖縄を含む南西諸島付近には支那艦船が出没したり、支那航空機が出没したりするので、それに対する対抗措置として、この方面での自衛隊を強化するという意味があるのでしょうが、北海道の現状をみれば、これはあまりに無防備です。

皆さんご存知のように、北海道はオホーツク海に面しています。このオホーツク海は、旧ソ連や現ロシアが、戦略原潜の聖域としています。

オホーツク海の水深は深く、そこに戦略原潜を潜ませておけば、敵に動きを察知されることなく、SLBM(潜水艦発射型各弾道ミサイル)を発射することができます。支那が、南シナ海にこだわるのは、支那近海に深海が存在しない支那にとっては、南シナ海は手近な戦略原潜の最有力候補なのです。

しかし、これに対しては米国や周辺諸国も黙ってはいません。南シナ海での支那が手詰まり状況になれば、支那はオホーツク海を次の支那原潜の聖域の最有力候補とするかもしれません。現在のロシアは冷戦当時のソ連とは異なり、かなり弱体化しています。いずれロシアをこの海域から追い出し、そうするかもしれません。

ロシア核戦略の聖域・オホーツク海
その時には、北海道の一部もしくは全域が、支那の攻撃対象となり、北海道が支那に占領されるかもしれません。このシナリオも全く荒唐無稽とはいえません。そんなことにならないためにも、ロシアとはある程度協調しておく必要があるのです。

これを考えれば、防衛費を増やし、少なくとも2%台にして、南西諸島の守備を強化するとともに、北海道の守備も強化すべきです。

それにしても、問題なのは、このような問題があるにもかかわらず無為無策だった行政機関と政治家です。支那の大金持ちや特権階級が、冷え切った日本の不動産市場や金の欲しい連中を見透かすように、札びらを切って土地を買収する。これを、日本社会に「支那頼み」の構図を作り上げる支那側の間接的な侵略工作の成果と見ることもできるでしょう。

しかし、そもそもこれは我々日本人、日本社会が長年にわたり自ら蒔いてきた種が結実した結果ではないでしょうか。政治家の売国的な手引きや政策決定、行政の無責任な対応。すべては日本側の自業自得と思えてなりません。「支那けしからん!」と叫ぶ前に、自らの足元を見つめ直すべきです。

おくればせながら、ブログ冒頭の記事のように自民党は今月20日召集の通常国会で、自衛隊など防衛施設周辺の安全保障上重要な土地の外国人や外国資本による買収の規制に向け、政府が土地取得や利用の実態調査を可能にする法案を提出するそうです。

それだけにとどまらず、条件付きで、支那人所有の土地を含めた資産などを国家が取り上げることができる法律を一日でもはやく成立させるべきです。また、科武装集団に対する反撃などを想定した法体系も早急に作っておくべきです。

支那の土地買い占めによる、北海道の間接的な占領は、近いうちに必ず断念させなければなりません。

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2016年10月25日火曜日

総裁任期「3期9年」に延長=26日に全体会合へ提示―自民―【私の論評】財務省とわたりあえる人材が出てくるまでは安倍総裁とすべき(゚д゚)!


自民党役員連絡会であいさつする高村正彦副総裁
(中央右)。同左は下村博文幹事長代行=25日午前、国会内
自民党は25日、党総裁任期を現行の連続2期6年から連続3期9年に延長する方針を固めた。

総裁任期延長「なぜ今なのか」=自民・小泉氏が疑義

 党・政治制度改革実行本部(本部長・高村正彦副総裁)では、「期数制限撤廃案」も検討されたが、高村氏は26日に、党所属国会議員全員が参加できる全体会合に「3期9年」案のみを諮る方針だ。

 高村氏は25日の党役員連絡会で、「あした私の考えを伝えて、全体会合に諮る」と述べた。これに関し、党幹部は記者団に「期数撤廃はない」と指摘し、3期9年の方が「国民に受け入れられやすい」との認識を示した。

 現行の党則は、総裁任期を1期3年と定め、連続3選を禁止している。任期延長はこれを改正するもので、安倍晋三首相(総裁)に限定しない。実行本部で了承が得られれば、総務会などを経て、来年3月の党大会で正式決定する運びだ。

 安倍総裁は2018年9月に任期満了を迎えるが、党則改正後は次期総裁選に出馬できる。当選すれば、自ら招致に当たった20年東京五輪・パラリンピックに首相として臨む可能性も出てくる。

【私の論評】財務省とわたりあえる人材が出てくるまでは安倍総裁とすべき(゚д゚)! 

上の記事を読んでまず思ったのは、財務省と渡り合い時には死んだふりや、やるとき衆院を解散しても増税を阻止した安倍総理のような総裁候補が出てこない限りは、安倍総裁であるべきということです。

先日行われた民進党の代表戦では、候補者の3人が3人とも増税論者であり、経済に関してはまるで擦り切れたテープのように財務省のパンフレットのような経済論を繰り返すばかりでした。

そうして、代表は蓮舫氏になったのですが、蓮舫氏の人選によって、幹事長に決まったのは野田氏であり、これも消費税狂の馬鹿でした。

野田元総理の増税狂発言。おまけ、安住元財務省の増税狂発言。
最近野田氏は、最近北方領土の2島返還「馬鹿も休み休み言え」 と語っています。本当に消費税増税狂のバカにこのようなことは言われたくはないです。最近、偽装右翼などといわれていますが、野田氏こそまさに偽装右翼の名にふさわしい人物かもしれません。

民進党のほとんどは、増税狂であり、例外はほんの一部です。金子洋一元参議院議員は、増税狂ではないのですが、残念ながら今年の夏の参院選で落選してしまいました。あと増税狂でないのは、馬渕氏くらいなものです。

他の議員はことごとく幹部も含めて、増税狂です。そうして、かつての民主党政権は単なる財務省に使い捨て政党でした。これについては、このブログにも以前掲載したことがあります。
臨時国会も安倍政権VS財務省 民進党の本音は消費増税優先か―【私の論評】元々財務省の使い捨て政党民進党にはその自覚がない(゚д゚)!
参院本会議で、民進党の蓮舫代表の代表質問を
聞く安倍晋三首相(左奥右)=28日午前
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、民進党が民主党として政権を担っていたときに、財務省の使い捨て政党であったことを示す内容を以下に引用します。


"
民進党と財務省といえば、民進党が民主党だったときの民主党政権の最後の、2012年の野田総理による衆院解散に関して、当時みんなの党の代表であった渡辺喜美氏が会見で興味深い話をしていました。その動画を以下に掲載します。


この動画の7:30あたりのところから、渡辺氏が記者になぜこのタイミングでの解散になったのか、問われて以下のように話しています。
「これは、財務省の路線そのものなのであって、とにかく新製権で、予算編成をしたいと・・・。旧政権でつくった予算をグタグタにされるのは困るという財務省の路線が、そっくりそのまま、野田総理を動かしたというだけのことですね。 
党首会談をやったときに、もう自分は財務省に見放されているということを、はっきりと言っていました。その見放された総理が、最後まで財務省路線に乗っからざるをえないと、まあー、非常に情けない内閣ですね」。
後は、ご存知のように野田佳彦氏は財務省の意向を反映した自民党が提案した消費税増税を法定化して民主党政権が壊滅する道を突き進みました。これは、本当に理解に苦しみます。民主党は政権交代直前の選挙の公約では「民主党が政権の座についている間は増税しない」としていました。

民主党政権というと、蓮舫氏による事業仕分けが有名ですが、蓮舫氏がどうして専門知識を有する官僚を「公開処刑」できたのかというと「仕分け人」たちは、財務省が作った“極秘の査定マニュアル”に基づいて発言、追及していたからです。

要するに行政刷新会議の概算要求の無駄を洗い出すという「事業仕分け」は、「政治主導」ではなく、「官僚主導」のパフォーマンスだったのです。何のことはない、官僚官僚の手の上で踊ったに過ぎなかったのです。法的にも何の権限もなく本格化する財務省の査定の下馴らしとPRをしただけだったのです。 
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現在の民進党の議員のほとんどは、増税推進派で、経済や財政について語るときは、まるで財務省のスポークスマンのようです。民主党政権だったときの、民主党は上記の事実でもわかるように、財務省の使い捨て政党です。その性質は昔から変わらず、現在もそうであり、将来も継承続けていくことでしょう。

一方自民党はどうかというと、これも民進党と同じように、財務省の影響下にあったのは間違いないです。というより、自民党でも安倍総理が、衆院を解散してまで、財務省に反旗を翻して増税を阻止して、真正面からわたりあった最初の総裁ということになります。

自民党も民進党の財務省の使い捨て政党というところまではいかないものの、同じように財務省の影響下にあって、財務省にはなかなか正面切って逆らえなかったというのが実体です。

ただし、今の自民党は、安倍総理と一部の安倍総理に近いブレーンが財務省と渡り合っているだけであって、他の自民党議員はなかなか財務省に諜略されているか、諜略されないまでも正面切って逆らえないというのが実体です。

例えばかって小泉純一郎元首相は在任時に「景気が回復すると構造改革ができなくなる」と明言していました。これは、平たくいうと、構造改革をするためには、金融緩和や積極財政はしてはならないということです。これでは、まるで財務省のスポークスマンのようです。

そのためでしょうか、財務省がかつての日銀を含む大蔵省であったときから、日本では本来金融緩和をすべきときに、金融緩和どころか、金融引き締めを行い、積極財政をすべきところを緊縮財政を行なうといことで、失われた20年という不毛の時代を招いてしまいました。

大蔵省が、財務省と日銀に分離された後も、この政策はしばらく温存され、日銀が金融緩和に転じたのは、2013年のことです。そのため雇用は最近に至るまで、一環して良くなって今います。ところが、財務省は、積極財政をするどころか、結局のところ8%増税をするという失策を行い、経済は低迷しました。

実際に8%増税は、大失敗だったことは統計数値をみれば明らかなのに、民進党は先ほど述べたように、ほとんどが増税狂です。

しかし、自民党でも安倍総理とこれに近いブレーンは別として、ほとんどの議員は金融政策の意味や、財政政策の正しい運用の仕方を理解してないか、理解していたとしても、財務省に正面切って逆らえないでいるようです。

財務省にとって消費増税が自己目的化していますから、それに貢献する政治家たちもすべて消費増税のための手段でしかないのです。なんといっても財務省的な経済政策観をもつ政治家やそうでなくても、財務省に逆らえない政治家が今の日本の政治家のほとんど占めているといのが実情なのです。

ちなみに自民党の中の「ポスト安倍」と目されている人たち、たとえば、稲田朋美防衛大臣、小泉進次郎衆議院議員、石破茂衆議院議員らの過去の発言をみれば、消費増税ありきの財政再建主義か、もしくは金融政策中心のデフレ脱却への懐疑的であったり批判的であることが明瞭です。


稲田大臣は、先の再延期の前には「消費税をまず1%引き上げる」案をだしていましたが、そもそも消費増税を経済が低迷しているときになぜ増税にそこまでこだわるのか、その背景についての説明は全くありませんでした。最初から消費引き上げ自体を目的とした発言としか思えません。

そうして、小泉議員はより深刻です。先の再延期のときの報道を読むかぎりでは、消費増税先送りへの懐疑的な態度にくわえて、親譲りなのでしょうか、とにかく社会保障の見直しなどで、倹約という視点しかありません。景気循環的な発想が全くありません。増税延期が決まった直後の、「延期するけれども決まっていた(社会保障)充実策はやるというなら、こんなおいしい話はない。そんなおいしい話に若い人たちはだまされない」と発言にはほんとうに驚いてしまいました。これでは、まるで財務省のスポークスマンであり、経済・財政などに関しては、民主党議員とほとんど変わりありません。


むしろ消費増税は積極的に先送りすることで、経済成長を安定化させ、そこで財政再建(社会保障制度の積極的な拡充)も実現していくべきなのですが、その手の発想は過去の発言をみるかぎり皆無です。石破議員は、デフレ脱却を金融政策中心で行うと高いインフレに帰結するなど副作用の可能性を指摘してきました。

石破茂氏
いずれも財務省の消費増税路線やその背景にある財政再建主義や税と社会保障の一体改革という考え方に親和的です。とりあえず代表的な三者をあげたのですが、さきほど指摘したように他の政治家もごく少数を抜かして同じ考えです。

今の日本では、安倍総理自身と、その身近な一部のブレーンたちのみが、政治家の中では、財務省と渡り合えるだけの、力量を持っているだけです。そうして、稲田朋美氏のように、安倍総理の身近な一部のブレーンと目される人ですから、この有様なのですから、本当に自民党内に安倍総理の経済に関する考え方を理解しつつ、財務省と対等に渡り合える人材が自民党総裁になれるまで成長を待たなければ、ポスト安倍の後は、安倍としか言いようがありません。

もし、そうしなければ、日本経済はまたデフレ・スパイラルのどん底に沈み、せっかくの金融政策の効果も台無しになり、雇用はずたずたになり、若者はまた異様な就活で苦しむことになります。自殺者も増えることでしょう。

今回の総裁任期の延長は、経済や財政などとは関係なく、おそらく政治的駆け引きや、派閥の均衡などでそのように決まったのでしょうが、いずれにしても当面の日本経済のことを考えた場合、良い選択であったと言わざるを得ません。

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