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2020年7月7日火曜日

香港国安法 自民が非難決議案協議 習氏国賓中止 慎重な意見も香港国家安全法— 【私の論評】自民党は、中国の弱みを知り、中国と対峙することを最優先とする外交・軍事戦略に転じるべき!(◎_◎;)


香港の商業施設で抗議デモを行う人々=6日

 自民党は6日、中国による香港への統制強化を目的とした香港国家安全維持法の施行に関する外交部会などの会合を開いた。習近平国家主席の国賓来日を中止するよう政府に求める非難決議案について意見交換したが、中国との関係改善を重視するは二階俊博幹事長率いる二階派(志帥会)所属議員から文面の修正を求める意見が相次いだ。

 中山泰秀外交部会長は会合の冒頭「中国が治安維持法のようなものを制定・施行したことは看過できる問題ではない」と強調し、香港の自由と民主主義を守る必要性を訴えた。

 会合後、二階派の河村建夫元官房長官は記者団に「文書は修正すべきだ」と発言したことを明かした。二階氏周辺によると、同氏はこの会合について「日中関係を築いてきた先人の努力を水泡に帰すつもりか」と不快感を示したという。

 決議案は、中国側に「大国としての責任」の自覚を要求。習氏の国賓来日は中止するよう求め、香港情勢に関する5月の前回決議文の「再検討」から表現を強めている。菅義偉(すが・よしひで)官房長官は6日の記者会見で、習氏の国賓来日について「具体的な日程調整をする段階にないという政府の立場はこれまでも申し上げてきた通りだ」と説明した。

【私の論評】自民党は、中国の弱みを知り、中国と対峙することを最優先とする外交・軍事戦略に転じるべき!(◎_◎;)

中国「香港国家安全維持法」に対し、もし日本の自民党は非難決議の一つも出せないなら「自民党」の党名をやめた方が良いかもしれません。「自由」と「民主」を看板にする資格などありません。

そもそも、「香港国家安全維持法」は全く異常というか、異様な法律です。

この法律の、36条~38条をみると、ウルトラ域外適用と言っても良いほどに、全世界を対象にしています。中国はまるで全宇宙を支配しようとしているようです。

なお、香港国家安全法全文和訳をした方が、ブログでそれを公開しています。そのリンクをいかに貼っておきます。

https://xiang-dian.hatenablog.com/entry/nsl

ただし、発言者27人中、決議に反対意見は5名、賛成意見は22名。出席者約50人のうち、原文に異論がなく発言しなかった人も考えると賛成が殆どではあります。

反対派の意見は、「隣国だから仲良くすべき」「先人の努力を台無しにする」でしたが、過去の日本がそれを続けてきた結果が今です。中国は「仲良く」を「弱さ」と見てつけ込みます。

過去の経験からも中国に対峙する覚悟がなければ中国との平和はなく、属国への道があるだけです。

媚び諂うだけの日中関係などいりません。自民党は、コロナ蔓延の初期に、中国からの入国禁止が遅れた際に支持率が急落したことを忘れるべきではありません。

二階派の反対で香港国安法非難と習近平国賓来日中止の決議一つできないなら自民党は終わるかもしれません。凄まじい人権弾圧と尖閣侵入等、世界が中国と闘う時に明確に中国側につく党を国民は2度と支持しないでしょう。各議員も中国への姿勢を明確にすべきです。

二階派の河村建夫元官房長官

これは、選挙の際の有権者の最大の判断材料となるでしょう。今こそ歴史の転換点なのです。覚悟のない議員は必要ありません。有権者は、これを落選させるべきです。

自民党は、この問題への対応を誤ると危険です。

この際自民党に問われるのは、力を背景に国際法を無視して現状を変更しようとする相手に対して、周辺国と国際社会を味方につける「外交力」と戦略的思考に基づく「情報発信力」でしょう。

中国は、最近の「マスク外交」に見られるように、あらゆる手段を使い、硬軟おりまぜて影響力を拡大させています。

また、尖閣諸島をめぐっても世界的に大規模な宣伝戦も繰り広げています。中国が発信する一方的な情報が世界に流布され、中国の影響下にある国々がそれを追認するという事態は避けなければならないのに、日本はこうした分野で中国に後れを取っていることは否めず、早急に取り組むべきべきです。

尖閣では、中国の攻勢に対して日本政府には、海上保安庁が現場で持ちこたえている間に外交による解決を目指すという「方針」はあるものの、日本全体としての長期的な戦略はみえません。それどころか、中国いどう対処するのかと言う戦略も明確ではありません。

世界で影響力を拡大し、独自の世界観と長期的な戦略で日本の主権を脅かし続ける隣国に対して、日本はどのように向き合っていくのか。この難問に答える新たな大戦略の構築が必要です。

参考になるのは、米国です。米国の戦略です。米国ではすでに中国と対峙するのは、当然の事となっていていますが、インド太平洋戦略や他の戦略や米国の行動を見ていると、米国は中国との対峙を最優先事項にしているようです。

他のことは、中国との対峙における制約要因とみているようです。数学的に言えば、中国が本命であり、他のことは従属関数か、定数のようにみなしているようです。

これに対して、中国は昨日も述べたように、ありとあらゆることを全て同時に同じく重きを置いて実行しようとしているようです。

これについては、軍事戦略でもその傾向が見られます。それについては、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【新型コロナと米中新冷戦】中国共産党「全正面同時攻撃」の“粗雑” 『超限戦』著者は「米国に絞って対決せよ」と主張 — 【私の論評】コロナで変わった世界で、米中対立は短くて2年、長くて4年で決着がつく‼︎
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中国ではある将軍が、集中すべきことを提唱しています。

喬良・退役空軍少将
以下、一部を引用します。
     一方、『超限戦』の著者である喬良・退役空軍少将は、中国共産党とは違う主張をしている。
 例えば、喬氏は「主敵である米国に集中すべきだ」「ギャングの抗争においては、まず最も強い相手(ボス)を倒すことに集中するのが原則だ。ボスを倒してしまえば、雑魚は怖がる。まず、強敵に対処すべきで、その他の弱い相手にかまうべきではない。台湾が本当に独立の行動を起こさない限り、台湾を相手にすべきではない」「米国との力比べ(腕相撲)に集中すべきだ」「香港国家安全法は不可欠であり、香港問題はローカルな問題ではなく、米中対立の第一線だ。米国の抑圧をかわす重要な戦場だ」「中国が米国の包括的な抑圧に抵抗できれば、香港も抵抗できる。結局、香港問題は中米の競争問題なのだ」と主張している。
     つまり、喬氏の考えでは、現在、台湾よりも危険なのは香港であり、香港が米中対立の最前線になるという判断だ。
 軍事のセオリーでは、「全正面同時攻撃」は圧倒的な力がないと失敗に終わる。中国共産党が行っている「中国の意に沿わない国家・組織・個人をすべて攻撃する」やり方は粗雑だ。喬氏が主張する「米国に焦点を絞って対決せよ」は間違っていない。喬氏は手ごわい。
この記事では、喬氏は手ごわいなどとしていますが、 軍事でも、外交でも、企業における仕事でも同じことが言えます。どのような仕事でも、実務上では、優先順位をつけて実行しなければ、物事はうまくは進みません。なぜなら、実務に投入する資源は限られているからです。

これは、企業でまともに、マネジメントをした経験のある人間なら、誰でも知っている原則です。トランプ大統領は長い間実業のマネジメントをしてきたので、これを骨身に染みているでしょう。しかし、中共はそうではありません。外交でも、軍事でも、とにかく集中することなく、ありとあらゆることを同時に実行しようとします。

これは、官僚の特性でもあります。中国では選挙制度がないので、先進国のように選挙で選ばれた政治家はいません。その意味では、習近平を含む中国の指導者は、全員が指名制で選ばれ、その本質は官僚のようなものです。そのため、集中したり、優先順位をつけたりして、仕事をこなしていくべきことを理解していません。

習近平は政治家ではなく、その本質は官僚

そのため、昨日もこのブログで掲載したように、アフリカをはじめEUなどでもマスク外交を実施し、南太平洋の島嶼国など世界中で外交を展開して、ロシアやインドその他の国々と長い国境線を接しているにも関わらず、尖閣、台湾、南シナ海、フィリピン、南太平洋全域などありとあらゆる方面に軍事力を展開しようとしています。

これが中国の弱みと言っても良いと思います。自民党もこれを知った上で、外交・安全保障では中国と対峙することを最優先として、戦略を構築していくべきです。このような戦略がないから、党内では意見がまとまらず、有権者からは、信頼を失う結果となってしまいがちなのです。

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