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米中貿易戦争
新型コロナ禍における中国共産党が採用した措置について、私は「実に『超限戦』的だ」と思ってきた。『超限戦』(角川新書)は、1999年に出版されて世界的なベストセラーになった本だ。同書は、「目的のためには手段を選ばない。制限を加えず、あらゆる手段を活用して目的を達成せよ」と主張している。
中国共産党は現在、米国やNATO諸国、台湾、香港の反中国勢力など、多くの国・組織・個人を敵に回す「全正面同時攻撃」を展開している。
具体的には、沖縄県・尖閣諸島周辺や、南シナ海での中国海警局の不法行動、インド国境付近での国境争い、台湾軍事統一の脅し、香港国家安全法を制定しようという動きなどだ。そして、外交における「戦狼外交」だ。
5月末に、中国共産党の権威主義を示す2つのイベントがあった。同月28日に、香港に「国家安全法」を直接導入する方針が決定し、翌29日に「反国家分裂法」の制定15周年を記念する式典があった。
式典に参加した人民解放軍の李作成総参謀長は「台湾との平和的な再統一の可能性がなくなった場合、必要なあらゆる手段を用いる」「われわれは武力行使を放棄すると約束しておらず、台湾海峡の状況安定と制御のために必要なあらゆる選択肢を持っている」と台湾に警告した。
そうして、このルトワック私の説は日本にとって 何を意味するのでしょうか。
中国全人代に出席した習近平国家主席(左)と、李克強首相=5月22日、北京の人民大会堂 |
新型コロナ禍における中国共産党が採用した措置について、私は「実に『超限戦』的だ」と思ってきた。『超限戦』(角川新書)は、1999年に出版されて世界的なベストセラーになった本だ。同書は、「目的のためには手段を選ばない。制限を加えず、あらゆる手段を活用して目的を達成せよ」と主張している。
中国共産党は現在、米国やNATO諸国、台湾、香港の反中国勢力など、多くの国・組織・個人を敵に回す「全正面同時攻撃」を展開している。
具体的には、沖縄県・尖閣諸島周辺や、南シナ海での中国海警局の不法行動、インド国境付近での国境争い、台湾軍事統一の脅し、香港国家安全法を制定しようという動きなどだ。そして、外交における「戦狼外交」だ。
5月末に、中国共産党の権威主義を示す2つのイベントがあった。同月28日に、香港に「国家安全法」を直接導入する方針が決定し、翌29日に「反国家分裂法」の制定15周年を記念する式典があった。
式典に参加した人民解放軍の李作成総参謀長は「台湾との平和的な再統一の可能性がなくなった場合、必要なあらゆる手段を用いる」「われわれは武力行使を放棄すると約束しておらず、台湾海峡の状況安定と制御のために必要なあらゆる選択肢を持っている」と台湾に警告した。
一方、『超限戦』の著者である喬良・退役空軍少将は、中国共産党とは違う主張をしている。
例えば、喬氏は「主敵である米国に集中すべきだ」「ギャングの抗争においては、まず最も強い相手(ボス)を倒すことに集中するのが原則だ。ボスを倒してしまえば、雑魚は怖がる。まず、強敵に対処すべきで、その他の弱い相手にかまうべきではない。台湾が本当に独立の行動を起こさない限り、台湾を相手にすべきではない」「米国との力比べ(腕相撲)に集中すべきだ」「香港国家安全法は不可欠であり、香港問題はローカルな問題ではなく、米中対立の第一線だ。米国の抑圧をかわす重要な戦場だ」「中国が米国の包括的な抑圧に抵抗できれば、香港も抵抗できる。結局、香港問題は中米の競争問題なのだ」と主張している。
つまり、喬氏の考えでは、現在、台湾よりも危険なのは香港であり、香港が米中対立の最前線になるという判断だ。
軍事のセオリーでは、「全正面同時攻撃」は圧倒的な力がないと失敗に終わる。中国共産党が行っている「中国の意に沿わない国家・組織・個人をすべて攻撃する」やり方は粗雑だ。喬氏が主張する「米国に焦点を絞って対決せよ」は間違っていない。喬氏は手ごわい。
■渡部悦和(わたなべ・よしかず) 元陸上自衛隊東部方面総監、元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー。1955年、愛媛県生まれ。78年東京大学卒業後、陸上自衛隊に入隊。その後、外務省安全保障課出向、ドイツ連邦軍指揮幕僚大学留学、第28普通科連隊長(函館)、防衛研究所副所長、陸上幕僚監部装備部長、第2師団長、陸上幕僚副長を経て2011年に東部方面総監。13年退職。著書・共著に『中国人民解放軍の全貌』(扶桑社新書)、『台湾有事と日本の安全保障』(ワニブックスPLUS新書)など。
喬良・退役空軍少将 |
例えば、喬氏は「主敵である米国に集中すべきだ」「ギャングの抗争においては、まず最も強い相手(ボス)を倒すことに集中するのが原則だ。ボスを倒してしまえば、雑魚は怖がる。まず、強敵に対処すべきで、その他の弱い相手にかまうべきではない。台湾が本当に独立の行動を起こさない限り、台湾を相手にすべきではない」「米国との力比べ(腕相撲)に集中すべきだ」「香港国家安全法は不可欠であり、香港問題はローカルな問題ではなく、米中対立の第一線だ。米国の抑圧をかわす重要な戦場だ」「中国が米国の包括的な抑圧に抵抗できれば、香港も抵抗できる。結局、香港問題は中米の競争問題なのだ」と主張している。
つまり、喬氏の考えでは、現在、台湾よりも危険なのは香港であり、香港が米中対立の最前線になるという判断だ。
軍事のセオリーでは、「全正面同時攻撃」は圧倒的な力がないと失敗に終わる。中国共産党が行っている「中国の意に沿わない国家・組織・個人をすべて攻撃する」やり方は粗雑だ。喬氏が主張する「米国に焦点を絞って対決せよ」は間違っていない。喬氏は手ごわい。
■渡部悦和(わたなべ・よしかず) 元陸上自衛隊東部方面総監、元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー。1955年、愛媛県生まれ。78年東京大学卒業後、陸上自衛隊に入隊。その後、外務省安全保障課出向、ドイツ連邦軍指揮幕僚大学留学、第28普通科連隊長(函館)、防衛研究所副所長、陸上幕僚監部装備部長、第2師団長、陸上幕僚副長を経て2011年に東部方面総監。13年退職。著書・共著に『中国人民解放軍の全貌』(扶桑社新書)、『台湾有事と日本の安全保障』(ワニブックスPLUS新書)など。
【私の論評】コロナで変わった世界で、米中対立は短くて2年、長くて4年で決着がつく‼︎
米国防総省のアドバイザーなどを務め、戦略論研究で知られるエドワード・ルトワック氏が来日し、毎日新聞のインタビューに応じました。貿易や知的財産権などを巡る米中対立について「長期間に及ぶことになる。対立は中国共産党政権が崩壊するまで続くだろう」と語りました。そうして、米政界における親中派はもはや「壊滅状態」と指摘しました。(毎日新聞)
米国の「親中派」はこの時点で「壊滅状態」だったのです。驚くべきことです。米国は、ニクソンの時代から、基本的に一貫して「親中」でした。キッシンジャーは、70年代から「米中は事実上の同盟関係にある」と宣言していました。
中国が急成長をつづけることができたのは、米国(と日本)から資金と技術を好きなだけ受け取ることができたからです。レーガンもブッシュ(父)もクリントンもブッシュ(子)もオバマも、基本的には皆親中でした(オバマは、2015年3月のAIIB事件以降、反中)。ところが当時から「親中派は壊滅状態」だというのです。
当時から軍需産業や外交ロビーに加え、シリコンバレーなどのハイテク企業も対中圧力を求めるようになり、米政府の「締め付けが始まっている」と強調していました。
当時から軍需産業や外交ロビーに加え、シリコンバレーなどのハイテク企業も対中圧力を求めるようになり、米政府の「締め付けが始まっている」と強調していました。
トランプ政権の発足直後、ハイテク産業は「自分たちのビジネスに干渉しないでくれという姿勢だった」が、中国による知的財産権の侵害事案が相次ぎ、現在は「ワシントンに来て、助けが必要だと要請するようになっている」というのです。(毎日新聞)
何と、シリコンバレーも「反中」に転じていたのです。米国は、「挙国体制」になったのです。
米中両国が核兵器保有国であることから「米中が軍事衝突する可能性はない」とも強調。ただ、その結果、かえって対立は長引き、共産党支配が終わる「レジーム・チェンジ(体制変革)」まで収束しないと予測しました。(毎日新聞)これに関しては、このブログでは何度か掲載したことがあります。ルトワック氏は、米中共に、両国ばかりか地球を破壊できる量の核をもっています。だから大戦争(大戦闘)にはなりにくいです。主戦場は、「経済戦争」に移行しているのです。そうして、共産党支配が終わる「レジーム・チェンジ(体制変革)」まで収束しないと予測したのです。
そうして、このルトワック私の説は日本にとって 何を意味するのでしょうか。
1.安全保障面では、大きなプラス
皆さんご存知のように、中国は明確な「日本破壊戦略」をもっています。中国、ロシア、韓国で、「反日統一共同戦線」をつくる。 中ロ韓で、日本の領土要求を断念させる。 日本に断念させる領土とは、北方4島、竹島、尖閣・沖縄のことです。
皆さんご存知のように、中国は明確な「日本破壊戦略」をもっています。中国、ロシア、韓国で、「反日統一共同戦線」をつくる。 中ロ韓で、日本の領土要求を断念させる。 日本に断念させる領土とは、北方4島、竹島、尖閣・沖縄のことです。
日本には、沖縄の領有権はない。 反日統一共同戦線には、米国も入れなければならない。
中国の現政権は、「日本壊滅」を願い、実際積極的に行動しているのです。ですから中共政権がなくなるのは、日本にとっては良いことです。
中国の現政権は、「日本壊滅」を願い、実際積極的に行動しているのです。ですから中共政権がなくなるのは、日本にとっては良いことです。
2.経済では悪影響のはずがコロナで状況は変わった
米国とソ連の冷戦時代、2つのシステム間には、ほとんど経済交流がありませんでした。それで、冷戦時代、日本は問題なく経済成長することができた。しかし、米中冷戦は、事情が違います。中国は、世界経済に完璧に組み込まれています。
というわけで、米中貿易戦争の悪影響から、日本は逃れることができないでしょう。昨年は消費税増税、今年は、コロナが日本も直撃し、現在そこから、回復すべく日本は努力しています。
冷戦下のソ連での軍事パレード |
というわけで、米中貿易戦争の悪影響から、日本は逃れることができないでしょう。昨年は消費税増税、今年は、コロナが日本も直撃し、現在そこから、回復すべく日本は努力しています。
これによって日本では、マスク不足など過度な中国依存の弊害が明るみに出て、中国依存をやめようという動きが広がっています。この動きは日本だけではなく、全世界に広まっています。
米国など先進国は、中国をサプライチェーンから引き離そうとしています。そうなると、かつての米国とソ連の冷戦時代、に2つのシステム間には、ほとんど経済交流がなかった時代のようになるかもしれません。
そうなると、日本はまた、経済的に大発展するかもしれません。それについては、このブログでも掲載したことがあります。
3.日本の針路
日本は、習近平首席を国賓待遇で招くという話があります、安倍総理は「米国の敵国の大将」を招くのだという自覚をはっきりもっていただきたいと思います。
日中両政府が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期した中国の習近平国家主席の国賓としての来日について、年内の実施を見送ることが5日、分かっています。
日本は、習近平首席を国賓待遇で招くという話があります、安倍総理は「米国の敵国の大将」を招くのだという自覚をはっきりもっていただきたいと思います。
日中両政府が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期した中国の習近平国家主席の国賓としての来日について、年内の実施を見送ることが5日、分かっています。
習氏の来日は来年以降も無期延期状態が継続するとみられ、事実上、白紙となる公算が大きいようです。中国のコロナ対応や香港問題などへの強硬姿勢をめぐっては、米国をはじめ世界各国で批判が高まっており、政府高官は「習氏は来日できないし、来ないだろう」との見通しを明らかにしました。
米中貿易戦争で『歴史的岐路』に立つ日本としては、中国は負ける側であることをしっかり認識すべきです。日本は前回、負けるナチスドイツと同盟を組み、破滅しました。今回は、すでに「勝つ側」と「同盟関係」にあります。日本としては、しっかりと現状を維持すべきです。
コロナによって、世界は随分変わりました。コロナ以前には、5年から10年かかった世界の変化が、コロナ後には1年から2年で変わるであろうことをイアンブレマー氏が語っていました。
私も、そう思います。私は、米中対立は中共が体制を変えるか、中共が体制を変えることを拒むなら、経済的に弱体化して世界に大きな影響を及ぼせなくなるまで続くだろうと見ています。そうして、コロナ前には、短くても10年、長けば20年継続するだろうと考えていました。
米中貿易戦争で『歴史的岐路』に立つ日本としては、中国は負ける側であることをしっかり認識すべきです。日本は前回、負けるナチスドイツと同盟を組み、破滅しました。今回は、すでに「勝つ側」と「同盟関係」にあります。日本としては、しっかりと現状を維持すべきです。
コロナによって、世界は随分変わりました。コロナ以前には、5年から10年かかった世界の変化が、コロナ後には1年から2年で変わるであろうことをイアンブレマー氏が語っていました。
私も、そう思います。私は、米中対立は中共が体制を変えるか、中共が体制を変えることを拒むなら、経済的に弱体化して世界に大きな影響を及ぼせなくなるまで続くだろうと見ています。そうして、コロナ前には、短くても10年、長けば20年継続するだろうと考えていました。
この長丁場の中では、『超限戦』の著者である喬良・退役空軍少将が主張するように、米国だけを相手にするとか、超限戦を挑むということも意味があったかもしれません。
しかし、金融制裁や資産凍結なども含むありとあらゆる手段で中国を潰そうとする米国に対抗するのは難しいです。しかも、コロナ禍により、他国も中国に対して硬化しています。いくら中国が米国だけを相手にしようとしても、他の国々がそれを許さないでしょう。
コロナ後の世界では、中国VS米国等の国々の対立は、短くて2年、 長くても4 年で決着がつきそうです。5年後には、中共は姿を消し、現在の中国を姿を消し、新たな国が生まれているかもしれません。その時には、チベットやウイグル、内蒙古や旧満州も別な国になっているかもしれません。
日本は、このような展望に立脚し、中国への経済ての依存を断ち切り、冷戦下の時のように、内需を拡大して、令和時代は、平成時代とは一線を画して、経済的にも黄金時代を迎え、国際的にも、米国と並んでリーダー的な地位を勝ち得るように努力すべきです。
日本は、このような展望に立脚し、中国への経済ての依存を断ち切り、冷戦下の時のように、内需を拡大して、令和時代は、平成時代とは一線を画して、経済的にも黄金時代を迎え、国際的にも、米国と並んでリーダー的な地位を勝ち得るように努力すべきです。
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