2020年6月13日土曜日

「日本は成功例の先駆け」米国が大絶賛したコロナレポートの衝撃内容— 【私の論評】日本人は「ジャパン・ミラクル」は連帯感によるものと認識するだけではなく、それを誇るべき!(◎_◎;)

「日本は成功例の先駆け」米国が大絶賛したコロナレポートの衝撃内容

まさに「ジャパン・パラドックス」だ

米国から見た日本のコロナ禍対策

ワシントンDCから米国人の目で日本の金融・財政政策を分析・解説する在米金融アナリスト、斎藤ジン氏がパートナーの一人である「OBSERVATORY VIEW」をほぼ毎号、読み参考にしている。

ニューヨークを本拠とする有名なユーラシア・グループのイアン・ブレマー代表が編集・発行する「eg update」も必読のニューズ・レターである。その他にも、DCで政治コンサルタントを務めるカール・アイゼルバーグ氏の「Monitor」も定期送付してもらっている。

本来、いずれも高額な購読料を支払うべきであるが、零細事務所を運営するジャーナリストに免じて贈呈扱いになっている。

日常が戻りつつあるニューヨーク市街地

さて、直近の「OBSERVATORY VIEW」(6月9日付)に斎藤氏が寄稿した「日本公衆衛生政策―コロナ、政治、ジャパン・パラドックス」は日本のコロナ禍対策を分析した秀逸のレポートである。

同レポート冒頭の長文リードは次のように始まっている。

<コロナに関して市場は以下を確認したがっている:(1)金融政策によって確実な信用フローが維持される、(2)財政政策が蒸発した需要を穴埋めする、(3)コロナを封じ込め、経済活動を再開する、この三つだが、現在(3)が最大の不透明要素だ。我々は感染症そのものについては何の付加価値も生み出せない。しかし感染症研究に基づいているとしても、公衆衛生政策は最終的に政治判断である。>

「日本はその成功例の先駆けと言える」

途中のパラグラフを割愛して、リードの最後を紹介する。

<日本は(感染症学分野で)主流派の予言を忠実に守らなかったことから、強い批判に晒されてきたが、その(新型コロナウイルス感染者の)死亡率は0.73と相対的に成功した国の一つだ。そして将来、日本のように政治的な裁量判断を多用する国が増え、社会の様々な側面(=公衆衛生危機、経済コスト、個人の自由とプライバシーに対する懸念など)を政治指導者の政治資本の範囲の中で考えるようになるだろう。日本はその成功例の先駆けと言える。>

レポートの見出しにある「ジャパン・パラドックス」とは、まさに我が国の政治指導者、即ち安倍晋三首相がコロナ危機当初、感染症学の専門家の助言よりも独自の裁量判断を重視するアプローチを追求し、国内外の専門家やコメンテーターから批判されていたが、様々な側面のバランスをどう取るのかと、政治資本の中で考えて優先順位を付けてきたのでコロナ感染者数と死亡者数の低さを得たことを指す。

日本は、韓国や台湾のように個人の自由とプライバシーの侵害の懸念よりもデジタル追跡ツールの使用を優先させ、且つ広範なPCR検査や感染者隔離のために民間施設徴用などが実施できなかった。それ故に、声高に日本のコロナ禍対策は間違っていると断じられたのである。

だがしかし、人口密度が高い大都市圏を抱えるだけでなく、約1億3000万人もの人々が米モンタナ州と同程度の広さの国土に住んでおり、しかも最も高齢化が進んでいる社会である日本の死亡率0.73は韓国(0.53)より若干高く、ドイツ(10.48)を大幅に下回っているのだ。

PCR検査の優先順位が低くなるのは不可避

斎藤氏の指摘はこうだ。確かにラッキーな面があったかも知れない。しかし、日本のアプローチの起点は「限られた能力でできるだけ多くの命を救うために医療崩壊だけは回避しなければならない」ということであり、そこから全ての優先順位付けを行ったと言う。

換言すれば、戦術的優先事項(1)クラスター(感染者集団)を最小限に抑え、(2)一定の症状(持病を含む)を持つ患者を優先的に治療する、の2つであった。であるならば、PCR検査の優先順位は低くなるのは不可避というのである。

斎藤氏の数多い指摘の中でも得心した件があった。<日本は先端医学の分野では決して米国と比肩することは出来ないと考えている。しかし感染症との闘いは結局、トップレベルの「ベスト・アンド・ブライテスト」ではなく、現場の名もない一兵卒の頑張りにかかっている。>

同氏が言う「現場の名もない一兵卒」とは、各地の保健所に監視と追跡のプロを含む様々な医療専門家で構成される現場の実行部隊であり、彼らがクラスターの特定と感染経路を愚直に追跡した影のヒーローであると讃えている。

そうであっても、コロナウイルスの「第2波」「第3波」は必ず襲来する。そのためにはSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)を含めて一連の相対的な成功体験に満足するのではなく、感染症対策の最新技術や医療システムを導入すべきだ。支給するマスクの数やPCR検査件数を競うのではない。いつの日か痛い目に遭って世界の笑いものにならないためにも、それは必要である。

【私の論評】日本人は「ジャパン・ミラクル」は連帯感によるものと認識するだけではなく、それを誇るべき!(◎_◎;)

コロナに限らず病気は、命を保つことができれば克服できます。どれくらいの方が亡くなるか、逆から言えば病気にかかった方のうちどのくらいが生き残るかということがいちばん重大なことです。

客観的な数字として人口100万人当たりで考えると、日本ではコロナ肺炎で亡くなった方は、英国の100分の1です。米国と比べても50分の1以下です。それを考えると、いままでの国民の努力は政府の要請と合致して、大成功していまい。海外の方からは、今回の日本の対応について「ジャパンミラクル」とか「ジャパンミラクル」と言われるのです。


WHOの首脳陣は、テドロス事務局長をはじめ、中国に支配されていると以前から批判しているのですが、現場には非常に優れた方々がいらっしゃいます。日本の方もいらっしゃるのですが、そういう人たちの共通の言葉も「日本の奇跡に学べ」です。

まもなくコロナによる異常事態は終息して行きますから、国民の方々は自信を持たれて、最後の踏ん張りとして、いままでのペースを守っていただきたいと思います。

まだまだ不安であることには変わりはありませんが、不安があってこそ対応策を考えるので、不安そのものにこだわらず、不安があることは自然だと考えていただきたいです。

諸外国と異なり、都市を強制封鎖するなどの強権的なことを行ったわけでもなく、ある意味で国民の連帯によって、ここまで押さえ込んで来たということは、何か日本にだけ特殊なことがあるのでしょうか。

同じアジアでも、韓国は個人情報を追跡してスマホも使い、トレースして行ったのですが、日本はそれすら一切やっていないのです。ではなぜかと言えば、やはり日本人の「連帯感」によるものではないでしょうか。

しかし、このようなことを言うと「いや、そんなはずはない、政府不審の声が溢れかえっていたじゃないか」と言う方も多いかもしれません。確かに、コロナウイルスが引き起こした心の病の1つが政府不審でした。

政府に対する指摘や批判が自由にできることが民主主義なのですが、政府に対する不審が世界的に高まっていることが、中国が引き起こした問題の根底にあります。そのため日本だけで特殊な政府批判が起きているわけではありません。

日本人の連帯は今回のコロナウイルスに対するものが初めてということではありません。2009年に日本列島を襲った新型インフルエンザのことを覚えておいででしょうか。感染力は強く、とりわけ高齢者の致死率が高いとして恐れられました。

当初政府は、新型インフルエンザウイルスの上陸を阻止する水際作戦に力点を置いていました。しかしそうした中で海外渡航歴のない人々の集団感染が判明しました。

過去の空港での水際作戦

その時点で政府の対処方針は、今回のコロナウイルスと同様、水際作戦から重症化を防ぐ作戦へと転換しました。軽症患者には十分な注意と指導を徹底して、地元の病院、或いは自宅で療養してもらい、重い症状の人をふやさないという作戦でした。

当時私も、手洗い、ウガイを励行し、外出時と会社内ではマスクを必ずつけ、自身を守り、周囲の高齢者や弱い存在を守れるよう心掛けました。そしてそれは成功しました。その頃の習慣が残っているため、その時から今まで一度もインフルエンザや風邪を患ったことがありません。

自分の健康と周りの人、他者、さらに社会全体の健康を重ね合わせて考えることが大事なのです。それは連帯意識と助け合いの精神に直結します。

あの3.11の東日本大震災で大地震と大津波に襲われたとき、東北地方の人々を中心に、日本人は全員が助け合いました。自分の身を守ったうえで、自分より弱い人たち、お年寄りを、皆が助けました。
日用品を買い求める人たちの行列=仙台市青葉区で2011年3月20日午前11時8分
一緒に頑張りました。こうした日本人の資質から見ても、やはり「コロナミラクル」は、日本人の連帯に負うとこが間違いなくあります。

今回のコロナでは、政府への不審もありましたが、それを乗り越えて、結局多くの日本人が連帯したことが、今回のジャパンミラクルにつながったと考えるべきでしょう。政府不審で反対の方々も多くは結局は従ったのでしょう。

ブログ冒頭の記事では、「いつの日か痛い目に遭って世界の笑いものにならないためにも」などと第2波、第3波の懸念を表明していますが、第2波、第3波は必ずあります。それがない大きな感染症はありません。

ただし、第1波の経験、100段上り切った経験があります。人の体で喩えれば、どこで膝が痛んだのか、どの人が弱かったのかということを経験しているので、第2波、第3波ではその経験を活かせます。

特に失敗を活かすことで乗り越えやすくなります。備えることは必要ですが、不安を増幅させる必要はありません。それに私は、第2 波、第3波でも、日本人の連帯が十二分に、発揮されることを信じて疑いません。

それと、私達日本人は、「ジャパン・ミラクル」に関して、もっと誇りを持つべきです。日本人の連帯が、コロナ・ウイルス封じ込めに効果があることは、間違い無いと思います。

私自身は、海外の人には、「ジャパン・ミラクル」は日本人の連帯によるものと、話しています。2009年に日本列島を襲った新型インフルエンザの時の日本人の連帯や、東日本大震災の時の日本人の連帯についても話をすると大抵は理解していただけます。

ここで、日本人は過度に謙虚になる必要はないと思います。なぜなら、日本人の連帯が世界に理解されれば、世界は変わるかもしれないからです。世界の国々でも、日本人の連帯が理解され、受けいられれれば、世界の他の国々にも将来また感染症が発生した時にミラクルが起こるかもしれないからです。

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